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396 名前:VIP魔法使い[起きて残ってたら続きを] 投稿日:2006/11/22(水) 02:29:04.86 ID:mIINDs790

 「雨か……。」

 やや弱い水滴がひっそりと落ちた木の葉を打った。
 遠くからバスがやってくる。見えるものはもう一つあった。

 一人の人間が雨に打たれるのはありきたりではあるのだが。
 そこから微動だにしないのはさすがに違和感がある。

 「あの、傘、貸しましょうか。」

 後ろからそっと肩を叩くと、すらりと撫でた肩と艶やかに長い髪が一瞬大きく波打った。


 「いえ、大丈夫です。」


 聞こえるか聞こえないか、呟いたその声は雨粒にほぼかき消された。

 「でも、風邪を引きますよ。」

 お人よしなのか迷惑なのか、自分でも判断はつかなかったが何かがそう言わせた気がする。


 「私、雨の音、好きなんです。」



 振り向いた彼女は白い杖を抱いていた。



最終更新:2006年12月18日 13:51