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革正団(レボルシオン) - (2019/10/03 (木) 01:44:15) のソース

【種別】
“[[紅世の徒]]”の組織(集団)

【初出】
S巻

【解説】
19世紀後半から20世紀前半にかけて存在した、人の世に自分たちの存在を知らしめることを目的とした“[[紅世の徒]]”の大集団。
明確な首魁や組織としての実体を持たず、その『表明思想』に共鳴する者がめいめいに一員を名乗っていた。思想結社ゆえに横も縦も繋がりは無いに等しく、そのため他の組織のように根拠地を構える必要すらなかった。

彼らが現れ始めたのは、『[[封絶>封絶(ふうぜつ)]]』が“[[螺旋の風琴]]”によって改良され広まり始めた頃と同時期であり、発生の理由は『封絶に対する反発』『この世に渡り来た[[導きの神>シャヘル]]の啓示』などさまざまな諸説があるが、シャヘルの啓示だったとしてもその大本となる表明思想の提唱者が誰かは特定不能であり、解明は最早不可能と見られている。
自らの存在を示すため封絶の使用を良しとしない風潮があり、彼らを快く思わない者たちからは「目立ちたがり屋」と評されていた。また、メンバーの中には人間や[[フレイムヘイズ]]も僅かながら含まれていた。

19世紀中頃には既に人間相手に「[[この世の本当のこと]]」を語る者達が存在したが、[革正団]の名が本格的に鳴り響くのは、1862年に『[[君主の遊戯]]』を崩壊させる原因となった『[[破約事件]]』である。
この事件で“徒”組織の本拠地を人間の新聞を通じて[[外界宿>外界宿(アウトロー)]]に暴露し、討ち手達が復讐のため飛び出していったところで“徒”側に外界宿主要施設への逆襲を惹起させるなど、悪辣な手段を持って自分たちの存在を無視出来ない勢力と認識させた。
更に『[[内乱]]』が勃発した後に、パリ万国電信連合における“征遼の睟”[[サラカエル]]の電信を使った思想宣言が行われた。これによって外界宿の指導部も“徒”の領袖も戦慄し、当時各地で猖獗を極める「暴露屋」などとは格の違う「思想的指導者」が出現したことを意味した。この宣言とともに、数百年の歴史を持つ“徒”の組織が数多く崩壊した。

それまで“徒”とフレイムヘイズの間にあった暗黙の了解を平然と打ち破り、周囲からすれば「奇天烈」としか見えない思想を掲げて、二十世紀初頭の欧州で大規模に活動を始め(彼らが言うところの「運動」を行い)、それを止めるために立ち上がった[[ドレル・クーベリック]]を中核としたフレイムヘイズ陣営との間で、対[革正団]戦争(または[革正団]覆滅戦)と呼ばれる大戦争を繰り広げた。
1901年の時点では、アメリカ本土にも[革正団]の一派がいたようだ。
当時の[革正団]の跳梁には、“徒”の運び屋一味[[[百鬼夜行]]]が一役買っていた。彼らを常連として利用した“徒”([[ドゥーグ]])がいたが、その生死は最終巻まで不明だった。
フレイムヘイズ側では、[[ピエトロ・モンテベルディ]]と彼の『コーロ』が、討ち手たちの交通の手配で多忙を極めることとなった。その支援もあってか、アメリカのフレイムヘイズの相当数が、援軍として欧州に渡ったようだ。
その特異な思想ゆえ、フレイムヘイズのみならず“徒”の中にも忌み嫌う者がおり、[[[仮装舞踏会>仮装舞踏会(バル・マスケ)]]]に至っては[[ベルペオル]]がフレイムヘイズ陣営と暗黙の協定を結んだほどで、参謀直属の[[リベザル]]がパリで[革正団]を蹴散らしたと回想しているところから、彼らを潰しにかかった模様。

この対[革正団]戦争は、欧州全域で策動する[革正団]に、同様に各地に散在する外界宿が全体を貫く作戦意図に従って各個に対応し、主戦場すら明確ではない、局地的な勝敗が入り乱れる混沌とした情勢に陥っていった。結果として、直に戦火を交える者たち自身は全体の趨勢を知ることが出来ず、じわじわと全体の状況が一進一退を繰り返すようになった。
1930年代に入ると、チューリヒに腰を据えたドレル・クーベリックは、去就を決めかねている討ち手の参戦を促すため、外界宿の重鎮である『[[大地の四神]]』のひとり[[イーストエッジ]]に、檄文を発するよう要請した。
この戦争は、最終的にフレイムヘイズ陣営が最小単位による広域への浸透戦術を展開し、100年にわたる戦争の末に[革正団]は覆滅されるに至った。
しかし、勝利したフレイムヘイズ側でも、[[ザムエル・デマンティウス]]の参戦の遅れから[[ゾフィー・サバリッシュ]]が生涯の友二人([[ドゥニ]]と[[アレックス]])を失って戦意を失い引退するなど、被った損害は大きいものがあった。

対[革正団]戦争以降、フレイムヘイズに呼びかける際は、“[[王>紅世の王]]”ではなく契約者の名を先に呼ぶのが、礼儀のようなものになったようだ。

XV巻では、1901年のハワイで活動していた[革正団]の同志たちが描かれていた。
メンバーは、“紅世の王”[[サラカエル]]、“徒”の[[ドゥーグ]]、フレイムヘイズの[[クロード・テイラー]]、人間の[[ハリー・スミス]]、[[ハリエット・スミス]]兄妹など。客分としてあの[[ダンタリオン]][[教授]]と[[ドミノ]]も加わっていた。

『[[星黎殿]]』の書庫には彼らの思想が記された書物([[サラカエル]]が書いた本の写本)があり、それを読んだ[[坂井悠二>坂井悠二(さかいゆうじ)]]の行動に影響を与えた。

新世界『[[無何有鏡>無何有鏡(ザナドゥ)]]』ではドゥーグがその思想を伝え回っており、旧知の[百鬼夜行]の足を使って古参の“徒”組織に人間との共存を訴えて回っているところから、[革正団]の思想的な首魁の一人と見なされている。

【由来・元ネタ】
元ネタは、フランス語の『革命』=révolutionだと思われる。読みはそのまま「レボルシオン」。

「革正」とは、あらためただすという意味の熟語。「革正団」とはそのために集った集団ということであろう。

【コメント】
☆[[アニメ第2期]]では、名称だけ登場していた。
☆他の[革正団]が出てこないと「同士」と呼ぶのがサラカエル一派限定なのか、そうでないのかはわからなかった。[革正団]全体で統一された思想は、人の世に自分達の存在を知らしめるってだけなんだしな。
☆「革命家」と「同志」の呼称は不可分なんだが、他の構成員が出てくるまでは保留だった。
☆対[革正団]戦争で使われた「浸透戦術」とは、第一次世界大戦の塹壕戦で最初に使われたもので、歩兵が小規模の戦力で敵陣の第一陣を密かに突破し、後背で内部攪乱、拠点破壊を繰り返す戦術のことである。兵士への補給が出来ないため、人間の軍隊では数日しか継続できないが、ドレル指揮下のフレイムヘイズなら、さぞ効率的に運用したことだろうな。
☆[革正団]発生の諸説の一つである『導きの神』とは、[[ロフォカレ]]の主だった。
☆知らしめる[[神]]であるシャヘルと行動が似てるっちゃあ似てるんだが、この世に“徒”がいることはそれこそ「既に流れが出来ている」ことで、「新たなるもの」じゃないよな。
☆↑シャヘルは実存していることすら疑う者もいる言わば幻の神なので、その[[神意召還]]の条件の詳細は殆ど知られていなかったのだろうな。実際、御崎市決戦における[[シャナ]]一派の計画ではシャヘルの権能を利用しようとしていたが失敗に終わっていた。つまり同じ神である[[アラストール]]でさえその詳細を理解していなかったということなので、この『導きの神の啓示』という説は、シャヘルの『知らせる力』という点だけで考えられた間違った説、という設定なのだろうな。
☆新世界『[[無何有鏡>無何有鏡(ザナドゥ)]]』が創造された後に、似たような組織形態を持ちながらも真逆の思想を持った[[[マカベアの兄弟]]]が新世界で結成された。
☆「思想に共鳴しさえすれば同志となる」(公式ガイドブック完結編『灼眼の[[シャナ]]ノ全テ 完』)。やはり[革正団]の賛同者は、同志と呼び合うのが基本なのではなかっただろうか?
☆新世界『無何有鏡』が創造されてからは、その思想が再評価されている感じだ。生まれるのが200年早かったというところだろうか。
☆[[[巌楹院>巌楹院(ミナック)]]]の[[ゴグマゴーグ]]や[[[宝石の一味]]]の“[[瓊樹の万葉]]”[[コヨーテ]]や[[トンサーイ]]や[[フックス]]や[[イナンナ]]や[[[百鬼夜行]]]の[[ギュウキ]]や[[パラ]]や[[ゼミナ]]や[[セムルヴ]]や[[[仮装舞踏会>仮装舞踏会(バル・マスケ)]]]の[[ガープ]]との絡みもあったら面白かったのにな。
☆[巌楹院]や[[[とむらいの鐘>とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]]]や[[[マカベアの兄弟]]]や[[[轍>轍(ラット)]]]や[[[狂気の城]]]には賛同しそうもなかったな。
☆番外編『[[おじょうさまのしゃな]]』にも登場している。
☆番外編『[[さんじゅうしのしゃな]]』にも登場している。