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    <title>破壊のことば</title>
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    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><br />
<br />
<h3 id="id_f68d4e92">“破壊のことば”</h3>
<br />
<br />
<div>
1.
<br />
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/49.html"  title="バルバドの魔法 (6074d)">バルバド魔法</a>の起こしうる最大最強の破壊力を招来する呪文。第一紀に編み出された究極の攻撃魔法。

</div>
<br />
<br />
<div>
2.
<br />
　バルバド魔法では、この世界は魔力に満たされているという考え方が出発点となる。魔力は、〈世界〉を運行する「媒体」である。人間という存在も魔力と関わる世界の一部であり、この媒体を介してうまく世界と交感すれば、世界を操作できる、というのがバルバド魔法の説明する魔法の原理である。“破壊のことば”は、全世界を満たしているこの「媒体」を一点に集める呪文である。正確には、術者の所在する地点に向けて凝集するように魔力を方向付ける。遍在するすべての魔力がひとつの点を目指そうとする結果、魔力の膨大に集中した特異点が生じる。一方、世界からは瞬間的に魔力という媒体が失われる状態が生まれ、無限に魔力が凝集した一点と、媒体を失った外部との間の格差が、特異点の飛散となって破壊という現象を生じさせる。
<br />
　これは「媒体」を操作することによって間接的に事象を生成するという魔法原理とは異なり、「媒体」そのものが直接的に破壊事象となるという意味で他の魔法呪文とは一線を画している。したがってこの原理によって為される破壊は、他の攻撃呪文のようないわば「世界内」の現象にすぎない破壊と違って、「世界そのもの」に対しての破壊であり、原理上、どのような防御手段も効かない。
<br />
　この呪文はこうした性格を持つゆえに術者もその絶対的破壊力から免れ得ないという欠点を持っているが、第一紀にこの呪文の根本原理を発見した<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/21.html"  title="魔法使い (6956d)">魔法使い</a>たちは、これを実戦において使用可能にするように術を改良した。彼らがこの原理をもとにしながら編み出した呪文である“破壊のことば”は、魔力を、一点ではなく、術者を取り囲むような球面に対して凝集させる。魔力がこの球面を目指し集中する結果、球内部は完全に外部世界から隔絶された領域となり、術者の安全は保たれる。一方でこの球面の大きさは世界全体からみれば点といってもいいほどの大きさにすぎないから、世界に対しての特異点という相対関係も維持される。よって、この“破壊のことば”は、何者も妨げえることのない破壊を招来すると同時に、その破壊を含むすべてから自身が完全に防御されるという、絶対的な攻撃呪文となった。
<br />
　“破壊のことば”が実際に発動した場合、その効果はほぼ一瞬にして生じる。全世界はその媒体を失うことで、あたかも疑念に揺れるように一瞬の不安定を体験し、同時にこの呪文が発動している間はすべての魔法作用が不可能となる。極小点に凝縮した魔力は瞬間的に飛散し、再び全世界を均等に満たすべく、破壊を伴いながら世界に戻っていく。この破壊は特異点と外界との相対格差によって生じるものなので、魔力が飛散してその凝集度が小さくなるにしたがってその破壊力は弱まっていく。そのため、全世界が破壊されるということはなく、その効果範囲は限定される。とはいえその効力、規模は他のどんな攻撃呪文と比較にならないほど巨大であり、攻撃範囲内ではどのような存在であれ必ず消滅する無双の恐怖であることにかわりはない。
<br />
　それゆえこの呪文に対しての唯一の防御手段は、必然的に、自分も“破壊のことば”を発動することに帰結する。一瞬でも呪文発動が遅れたほうが、虚無のなかに敗北するだろう。しかし、“破壊のことば”が同時に発動された例はないし、実際に同時に発動された場合どのような現象が起こるのかについてはわかっていない。

</div>
<br />
<div>
2.
<br />
　“破壊のことば”が第二紀において用いられたただひとつの例が、この世の栄華を極めた魔法の都・<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/160.html"  title="ハーデバウ (6074d)">ハーデバウ</a>の滅びのもととしてのものである。第一紀にも及ぶともいわれたあまたの偉大な魔術師たちが住まう巨大な都を、この呪文は一瞬にして壊滅させた。壮麗な宮殿、神殿、回廊、連なる広大な街並みを、すべて瓦礫の廃墟に変え、術が発動されたとおぼしき中心部は、砂粒ひとつ残らず地面をえぐり巨大な球形の空洞のみが残された。（今では周囲の砂漠から吹き込む砂によってほとんど埋め戻されてしまっているが。）
<br />
　これは“破壊のことば”が実際に発動しその効果を伺い知ることのできる唯一の例でもある。しかし、ハーデバウを滅ぼした“破壊のことば”は、術者の能力ゆえか、完全なものではなかった。ハーデバウの魔法使いといえども、“破壊のことば”を完全なかたちで発動させるには足りないのだ。もし完全なかたちで“破壊のことば”が発動していたならば、ハーデバウの都は欠片ひとつ残さずにすべて消え失せ、地平の彼方に至るまでがその破壊力に蹂躙されて死の荒野と化していただろう。
<br />
　それでは、第一紀には“破壊のことば”が完全に発動した例があったのだろうか？　その記録は第二紀には伝わっていない。もしそのような例があったとしても、その破壊の傷跡は第一紀末の大陸変動によって失われているだろう。

</div>
<br />
<div>
3.
<br />
　全世界の魔力を一点に招来させるという原理は、バルバド魔法の最大の秘密のひとつだ。バルバド魔法では、どのような呪文も、限定された範囲の魔力しか操作できない。あるいは、世界の魔力の流れにおける結節点のようなものをうまく操作することによって効果規模を大きくしているにすぎない。全世界のすべての魔力を操作するなどということは、バルバド魔法の常識から考えれば、不可能なことだ。その原理は、第一紀においても、それまでの常識を根底から覆すようなものだった。
<br />
　この原理は、世界を認識するものと認識されるものという関係の問題に関わっているとされる。“破壊のことば”の呪文は、複雑なものではない。長い詠唱や、特別な儀式を必要としているわけでもない。たった数節のことばによって生じる。この究極魔法は、極めて単純なひとつの原理によって生じているのだ。

</div>
<br />
<div>
4.
<br />
　ひとつの原理。魂。
<br />
　すべてに相対し、すべてを見据える眼。
<br />
　黄泉に通ずる窓。

</div>
<br />
<div>
　すべては、世界を‘見る’ために。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]>    </description>
    <dc:date>2015-06-13T13:17:25+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/stillwater/pages/9.html">
    <title>胎動</title>
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    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><br />
<br />
<div>
<b>胎動</b><span class="smallertext">　　 The Conception</span>

</div>
<br />
<br />
<br />
<div>
1.
<br />
　“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/86.html"  title="暗黒王 (6073d)">暗黒王</a>”ヴァザルダウアの思索により始まった、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/7.html"  title="冥王 (6072d)">冥王</a>の創造と<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/126.html"  title="ソウルヴランド (6068d)">死の軍勢</a>の招来による世界の完全遷移を最終目的とする遠大な計画。

</div>
<br />
<br />
<div>
2.
<br />
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/6.html"  title="ドルウィー･デュナル (5153d)">ドルウィー･デュナル</a>たちは、深い地底の瞑みに眠る“世界に呪われた種族”である。
<br />
　この種族がいつから眠り続けているのかを知るものはいない。人間が世界に台頭するようになった第一紀、彼らドルウィー･デュナルたちの一部が覚醒し、地上に姿を現して<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/171.html"  title="フュダーイン (5454d)">フュダーイン</a>と壮絶な戦いを繰り広げたとされるが、第一紀末の大変動によりその記録はほとんど失われた。第二紀になってもっとも早く目覚めたのが、ヴァザルダウア、のちに“暗黒王”と謂われたドルウィー･デュナルである。このものは南大陸において目覚め、地上に出るとすぐに、人の子に埋め尽くされた世界の様相を知り、自分たちの生存のためには世界をつくりかえなければならないとの認識に至る。ヴァザルダウアは<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/93.html"  title="エンゼスメキア (6074d)">エンゼスメキア</a>北西、バスノンに闇の種族や魔族を呼び寄せ、巨大な地下城砦を築き、世界侵攻の拠点とした。これは要塞であるにとどまらず、ヴァザルダウアが自身の知性をさらに補強し、いかなるものでも成し得ないほどの細密かつ深遠な思考をおこなう魔法的道具でもあった。広大な地下城砦で起こるすべての事象、諸力の絡み合いが、自律的に思考の要素として展開し、総体で神の如き計略をめぐらすことになるのだ。ヴァザルダウアはそれを読み解き、どのような難問をも解きほぐす。
<br />
　南大陸には、第一紀からの<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/49.html"  title="バルバドの魔法 (6074d)">バルバド魔法</a>の真髄を受け継ぐフュダーインたちが住んでいたが、彼らはやがてヴァザルダウアによる地上侵攻の気配に気付き、脅威と見定める。彼らはこの敵を“暗黒王”と呼び、その殲滅を図って戦いを決断する。
<br />
　かくて彼らフュダーインによって、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/21.html"  title="魔法使い (6956d)">魔法使い</a>リッジェと戦士エレフ･ギアノ、黒龍ヴィムリアロウロの、数奇な冒険が導かれる。
<br />
　暗黒王の軍勢は南大陸諸国へ襲来。人間の軍隊はひとたまりもなく次々と地に伏していく。フュダーインたちは隠遁を脱し地上に顕現。かろうじて暗黒王の勢いをおしとどめる。その間にリッジェたちは<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/40.html"  title="バスノンの地下城砦 (6074d)">バスノンの地下城砦</a>へ到達、すべてが暗黒王の思念の一部であるこの魔界を突破し、ついにはその最たる深みへ。暗黒王ヴァザルダウアと邂逅する。太陽をはるかに隔絶した闇の極みにおいて、“アウバスの瞳”あるいは“深淵の剣”と呼ばれる秘技<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/141.html"  title="ナウエルフュラード (6073d)">ナウエルフュラード</a>を駆使する暗黒王との壮絶な戦いの末、エレフ･ギアノはついに究極の境地に達し、“妨げるものなき炎”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/77.html"  title="アイオフュラード (6071d)">アイオフュラード</a>を放つ。
<br />
　それはあたかも第二の太陽の如く輝き、灼熱をもって暗黒王を溶かし尽くす。
<br />
　こうして暗黒王ヴァザルダウアは敗れ去った。その身は溶解し、闇のなかに消え去った。
<br />
　だがそれは終わりではなかったのである。

</div>
<br />
<br />
<div>
3.
<br />
　バスノンにて敗北を喫する前、地上侵攻の際にフュダーインの強硬な抵抗にあったヴァザルダウアは、さらに徹底的な計画を練らなければならない必要を悟っていた。暗黒王の当初の計画では、侵攻の最終段階で世界を魔法的に掌握する“死の軍勢”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/126.html"  title="ソウルヴランド (6068d)">ソウルヴランド</a>を招来することにより、世界をつくりかえようと目論まれていた。しかしバスノンを用いた思考は、ヴァザルダウアがこの目標へ到達するよりも先に、フュダーインという強力な敵の抵抗に妨げられ失敗を余儀なくされるだろうという結果を導き出す。暗黒王は、自分の構想をより緻密で壮大な計画へ編み直さねばならないことを知る。それは仮に自分が敗北したとしても継続して展開され得るものでなければならない。バスノンによる思索では、この時点での戦いで自分が勝利する可能性はきわめて低いと算出されたのである。
<br />
　かくて、ヴァザルダウアは“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/7.html"  title="冥王 (6072d)">冥王</a>”の創造にとりかかる。この計画が“胎動”である。
<br />
　冥王は世界の超越者。自分のように世界の摂理に縛られることのない、神そのものである。冥王は自分たち闇の種族の支配者として君臨し、その超常的能力によって、万難を排してソウルヴランドの招来を果たすであろう——。
<br />
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/87.html"  title="暗黒の胎動 (6074d)">暗黒の胎動</a>はエレフ･ギアノたちがバスノンの深奥へ到達する前に開始された。誰にも気づかれることなく。
<br />
　そしてヴァザルダウア自身は、予見通りにフュダーインたちとの戦いで敗れ、“妨げるものなき炎”によって消滅することとなる。しかしそれは真の滅亡ではなかった。暗黒王の肉体は完全に消え去ったかのように思われたが、塵よりも小さな細片となってバスノンの隅々へ霧散し、闇のなかへ溶け込んでいた。また、この比類なき地下空間は暗黒王の思考を支える魔法的道具として構築されたものであり、肉体は失なわれても、ヴァザルダウアの思念はバスノンのなかに残されていた。構造物および内包する一切のものすべてを作動要素とし、静穏かつ精巧に運動する総体。バスノンの闇はそのようにしてヴァザルダウアの身体と思考を薄く含みながら、沈黙の刻を過ごし始める。エレフたちは、バスノンを完全に壊滅させることなく地上に戻ってしまっていた。壊すにはあまりにも大きい構造物であったためである。フュダーインたちも、バスノンが単なる城砦にすぎないとしかみていなかった。それが思考する道具としてヴァザルダウアを湛えたままであるとは、誰にもわからなかったのだ。
<br />
　一方、ヴァザルダウアによる遠大なる魔法“胎動”も密やかに続いていた。遠き北大陸、はるか第一紀に史上もっとも過酷でおぞましき戦乱が巻き起こった禁断の地、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/102.html"  title="カロア (6074d)">カロア</a>にて。氷に閉ざされ光を退け続けるカロアで、ヴァザルダウアの画策通りに闇は集い始めていた。ゆっくりと。凝集する闇は至上の高みを目指すよう織り成され、永い刻をかけて、力を蓄えて、増殖し続ける。きわめて微弱ではあったが、この反応は世界中へ伝播し、あまねく闇の力を徐々に取り込み活性化させていく。遠く離れたバスノンの廃墟にも、その波及は達した。胎動の効果はバスノンの闇に記憶されるヴァザルダウアを少しずつ再生し、千年もの時をかけて、ついにその身を元の姿へと蘇らせたのである。身体は戻ったものの、かくも微細に砕かれたために、記憶は一切失われていた。しかし壊滅されなかったバスノンは、熔け去る前のヴァザルダウアの記憶を自らの繊細な機構の内に宿していた。ヴァザルダウアはバスノンに残されていた自分の記憶を取り込み、肉体･精神ともに完全に復活する。ヴァザルダウアは自身の起源を知り、その歩みと敗北を知り、自分が講じていた計画を再び知る。このとき、冥王は誕生しかかっていた。はるかカロアの地に。“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/56.html"  title="マイエルヴァーン (6073d)">海龍の深淵</a>”より、その居城<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/85.html"  title="アルド･バルン (6073d)">アルド･バルン</a>“氷の城”は浮上した。世界を穿つ巨大な裂溝を伴って。“幽玄にして悠久なる真の暗黒”を顕現させて。もはやバスノンは不要であった。自分の主はまもなく生まれる。そしてアルド･バルンこそはかつて自分にとってのバスノンがそうであったように、冥王の超常の思索の道具として発動するであろう。暗黒王はバスノンを捨て、カロアへ赴く。暗黒の帝国を創始させるために。
<br />
　こうして暗黒王は千年の闇を超えて復活し、自分たちの神、冥王のもと、暗黒の軍勢をふたたび組織し、その総大将となった。バスノンはヴァザルダウアの記憶を本人に返したあとは抜け殻の如く静謐していたが、思考機能はまだ健在していた。暗黒王はバスノンを南大陸侵攻の拠点とすべく、自ら魔界より召還した<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/59.html"  title="メルグアズール (6073d)">メルグアズール</a>・“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/69.html"  title="夜の主 (6074d)">夜の主</a>”ザフルハードへ与える。バスノンは新たな主を得てふたたび思考し始める。ザフルハードの思考を。そして南大陸はまずその半分を完全に<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/8.html"  title="暗黒帝国 (6073d)">暗黒帝国</a>に支配される。すなわちその夜を。絶望の時代が始まる。

</div>
<br />
<br />
<div>
4.
<br />
　しかし、暗黒王の深遠な目論見がまったく人間たちに気付かれぬまま進んでいったわけではなかった。千年前に南大陸で闇との戦いが起こり、そのさなかに密かにカロアで胎動が始まったとき、これを察知した者がいた。
<br />
　シーザの大神官デクネウン。果てなきオグ砂漠の“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/112.html"  title="シーザの神殿 (6074d)">シーザの神殿</a>”にて思考の日々を送る大神官は、バスノンという不可思議な“道具”の動きと、それに呼応する胎動の開始とをかすかに感知していた。デクネウンは神殿での思索の果てに、この何者かの計略がいかに結実するかを予測する。苛烈なオグ砂漠の中央にあって外界より隔絶されるシーザ神殿もまた、バスノンにも似た思索の“場”であるのだ。デクネウンの予知は“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/5.html"  title="影の予言 (6074d)">影の予言</a>”として、西海の龍インガッドを通じ<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/166.html"  title="ララン (6074d)">ララン</a>の大賢人ラカウォーンに伝えられた。ラランのもとで、この予言は大切に伝承されていくこととなる。
<br />
　影の予言は、やがて起こる冥王の発動に備える警句であった。西方諸王国にて繁栄の日々を送る人々はこれを気にすることはなかった。千年後、予言の示す時が来て、暗黒王が密かに復活してカロアに赴き、南大陸がバスノンにザフルハードを抱いてその半分を闇に掌握されてしまってからも、西方ではまだ脅威を知る者はいなかった。だが、この予言を真実とし、深刻に受け止める者たちはけっして失われなかった。そしてついに、予言のもとに闇との戦いを決意した旅人たちが、冒険を始める時が来る。

</div>
<br />
<br />
<div>
5.
<br />
　そのひとりは、アージェン･アストール。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/163.html"  title="聖剣 (6074d)">聖剣</a><a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/92.html"  title="エグネウン (6074d)">エグネウン</a>を所持する英雄。彼は冒険の日々の果てに、バスノンにたどりつき、“夜の主”に戦いを挑んだ。しかし彼は“夜の主”が差し向けた強壮な<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/140.html"  title="ナヴァルフュス (6067d)">ナヴァルフュス</a>、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/145.html"  title="ノウフェドゥルル (6073d)">ノウフェドゥルル</a>に敗れ去る。このとき聖剣エグネウンは潜在する力を解放し、バスノンは壊滅。廃墟となる。しかし“夜の主”を滅ぼすことには、そしてバスノンそれ自体を滅ぼすことには、至らなかった。バスノンは廃墟となってもなお思考するに支障はきたさない。それすらもひとつの事象として思考を構成する単位要素になるからである。自らを読み解くことのできる主さえいる限り、バスノンは思念をめぐらし続ける。一方、エグネウンはその所持者の手を離れ、いかなる手段でかバスノンを抜け出す。やがてそれは<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/93.html"  title="エンゼスメキア (6074d)">エンゼスメキア</a>のあるひとりの戦士に仮に委ねられることになる。あらたな所持者を見出すために。

</div>
<br />
<br />
<div>
6.
<br />
　エグネウンは遙か東の海を越え、伝説の島、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/80.html"  title="アザリア (6074d)">アザリア</a>へたどりつく。アザリアにて、あらたな所持者は見出された。彼は海を渡って<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/175.html"  title="ウイリア (6068d)">ウイリア</a>へたどり着くと、同様に“影の予言”に導かれてアザリアから来た旅人たちにめぐりあう。
<br />
　こうして予言に導かれた者たちは、北大陸も南大陸も隈無くまわる長い冒険を経て、ついにバスノンに至ることとなる。このとき“夜の主”はなお健在であり、しかし深く思索に没頭し沈黙していた。何かを策謀しているのか、何かの脅威に備えているのか。
<br />
　深奥層へたどりついた一行は、ノウフェドゥルルにまみえる。この忌まわしき魔物、“変転する不死”との戦いは、彼らの今までのいかなる戦いにも増して過酷であった。だがそのとき、闇より彼らの戦いに参じ、魔物にとどめを与えた者があった。それはバスノンに敗れ去ったはずの、アージェン･アストールだった。彼はバスノンという、この世でもっとも深い闇の底で生き延びていたのだった。“夜の主”の思索と戦い続けながらも。アストールと予言の旅人たちは、互いの力を得て、ついに“夜の主”を駆逐することに成功する。
<br />
　こうしてアストールは闇を克服し、地上に帰還することとなった。

</div>
<br />
<br />
<div>
7.
<br />
　このとき、冥王はまさに降臨した。地上に帰還した一行を待ち受けるかのように。
<br />
　冥王は全世界に宣言する。世界を滅ぼすことを。その宣言はことばを超え、思念を持つあらゆる人間、あらゆる生き物へ直接伝わった。天は瞬時に灰色の雲に覆われ、地は熱を失った。暗黒の軍勢は“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/115.html"  title="ジェルルド･ヴァーン (6073d)">影の門</a>”より発し、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/133.html"  title="デュラサイン･メレア (6073d)">暗闇の使い</a>は恐怖を携え天空を行き交った。
<br />
　バスノンを脱し冥王の宣言を聞いた一行の前に、霧の中より静かにあらわれる軍勢の姿があった。完全に統率された静寂の軍勢。率いるのは、冥王に次ぐ暗黒帝国の第二位、超越者“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/116.html"  title="死鬼王 (6073d)">死鬼王</a>”であった。死鬼王は一行に言い渡す。今より二年の期間をおいて、われらは世界を完全に掌中におさめるための準備をおこなう。そののち、世界侵攻は速やかにおこなわれるであろう。このときが来たれば、予言に謳われた者どもであろうと、もはや世界遷移を覆すことはできない。二年後、まみえるとしよう。.....こう言い残して死鬼王は消える。二年の歳月をかけて、冥王はソウルヴランドの招来を準備するのだ。かつてドルウィー･デュナルであり、今や超常を極め冥王に次ぐ超越者となった死鬼王が、冥王の代行者として暗黒帝国を統轄する。その間、いかなる勢力も冥王を妨げることはできないだろう。もはや暗黒帝国の軍勢は強大なのだ。そこにはヴァザルダウアを始め、胎動に同調して覚醒したドルウィー･デュナルが数多く参じている。その勢いを押しとどめることなど、不可能だ。そしてソウルヴランドが発動すれば、世界は闇の種族の思うままにつくりかえられてしまう。
<br />
　二年の猶予の間に、一行はそれぞれの道を極めることとする。戦士は戦士の道を。魔法使いは魔法使いの道を。彼らはそれぞれ独自の修練に向かい、二年後にふたたび再会することを誓って、別れる。

</div>
<br />
<br />
<div>
8.
<br />
　二年後。暗黒帝国の軍勢は本格的な侵攻を再開する。ヴァザルダウア麾下に編成された軍勢“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/139.html"  title="ドルドラン (6073d)">ドルドラン</a>”は五つに分かれており、全世界を同時に侵攻する。それぞれがドルウィー･デュナルを指揮官として抱いて。あらゆる国が、あらゆる勢力が、これに抗すること能わず、滅んでいった。たったひとつ持ちこたえたのが、南大陸で積年バスノンという暗黒に対峙し続け得た東方の大国、エンゼスメキアだけであった。エンゼスメキアは予言の旅人の帰還を待った。彼らにできうる限りの助力をすることだけが、いまや唯一できることだった。死の軍勢の完全発動は、もう間近に迫っていた。
<br />
　予言の旅人たちはそれぞれの修練を終え、再会を果たす。彼らのもとに、一匹の銀龍が降り立つ。その名はインガッド。かつてデクネウンの予言をラカウォーンへ伝えた龍である。インガッドは千年の時を経て成就したこの予言がいかなる結末を迎えるかを見届けるつもりなのであろう。インガッドは一行を乗せて飛び立ち、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/128.html"  title="ダロア･ディルロス (6073d)">暗黒の山脈</a>を超え、“影の門”を突破。彼らは暗黒帝国への侵入に成功する。
<br />
　氷の大地のはるか上空。彼らの前方、薄灰色の雲のなかに、見たこともないほど巨大な白い影が浮かび上がる。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/44.html"  title="ハルヴァイド (6073d)">ハルヴァイド</a>。“闇のもの”自らが創造した、究極のナヴァルフュス。暗黒語で、“龍を喰らうもの”を意味する。天空を覆い尽くすハルヴァイドとの壮絶な戦いの末に、彼らはかろうじて勝利し、インガッドは傷つきながらも、カロアの湖のもとに降り立つ。
<br />
　それは遠い昔、呪われた戦いにより大地を引き裂かれて生まれた、この世の底にまで至る深淵であった。凍てつくカロアの氷原にあるにもかかわらず、湛えられた水は決して凍りつくことはなかった。岸辺には、ひとりの人間の姿があった。それはラランの大賢人、イフジェスだった。彼はたったひとりで帝国の東境を超えて暗黒帝国に入り込み、カロアの湖の、氷よりも冷たい水の中、一筋の光も差さぬ深淵を潜り続け、ついにカロアの湖底にたどりつき、そこに横たわる世界最強の聖剣<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/113.html"  title="ジ･エルム (6072d)">ジ･エルム</a>を手にしたのだ。イフジェスは聖剣を地上へ持ち運び、アストールに手渡すと、息絶えた。このときアストールは、再び聖剣所持者となった。
<br />
　そしてインガッドは一行を残し飛翔。北方へ。“凍てつく海”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/104.html"  title="グラン･ルクア (6073d)">グラン･ルクア</a>の果てへ。かつてザウノン･シェイアが銀龍ソルジスと共に赴いた最北の世界へ。インガッドは二度とウイリアに戻ることはなかった。龍の思いをひとが窺い知ることはできない。
<br />
　一行は氷の城をまっすぐに目指す。呪われた氷の大地を徒歩で踏破し、敵の本拠へ。闇の中心、千年の時をかけて紡がれた魔法の焦点へと。

</div>
<br />
<div>
9.
<br />
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/85.html"  title="アルド･バルン (6073d)">氷の城</a>。それは世界に穿たれた裂溝に浮かぶ巨大な城であった。裂溝。それは白い輝きに満たされた虚無であった。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/56.html"  title="マイエルヴァーン (6073d)">マイエルヴァーン</a>の海岸は大きく円形に抉られ、海水が延々と流れ落ちていた。水の壁のように。不思議な光景だった。海水は絶えず流れ落ちているのに、海面は穏やかで、その水位が少しでも減っているようには見えなかった。滝の流れに応じて潮流が生じているようでもなかった。それは聖剣所持者が戦うときに目にする光景にも似ていた。時間が複数に分解し、それぞれを同時に目にしているのだ。水は瀑布として、大地の縁は切り立つ断崖となって、はるか下方へ続いている。巨大なこの空洞が無限に続いているであろうことを一行は感じた。視界の果てで、穴は白いぼんやりとした霧のようなもので包まれていた。太陽ではない、何か別種の光で満たされて。——これこそは超越そのものの顕現であった。
<br />
　開いてはいけない裂け目。一行はついに、“幽玄にして悠久なる真の暗黒”の本質を知ることとなる。未だいかなることばでも捕捉されていなかったこの虚無の裂け目を、彼らはアザリア語で<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/65.html"  title="ユイエンル (6073d)">ユイエンル</a>と名付けることとした。
<br />
　そこには一本の細い橋がかかっていた。氷の城へとまっすぐに続く橋。虚無の上にかかる細い直線。その上にて一行を待ち受ける者。——暗黒王ヴァザルダウアが現れた。

</div>
<br />
<br />
<div>
10.
<br />
　はるかな時を経て、自分のためにつくりあげた自らの主のもとにその剣を捧げたドルウィー･デュナルは、氷の城に通じる細い橋“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/82.html"  title="アマレルイ (6073d)">アマレルイ</a>”の上で、自分の壮大な思惑を予言したデクネウンの言葉に導かれた戦士の一行と戦うこととなる。
<br />
　“アウバスの瞳”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/141.html"  title="ナウエルフュラード (6073d)">ナウエルフュラード</a>は千年の時を超えて再び鞘から放たれる。アウバスの現前する裂溝の上で、その“瞳”は闇色に輝き、“光の樹”ジ･エルムに対峙する。カロアの湖の暗黒のなかに忘れ去られていた聖剣ジ･エルムは、イフジェスの手により再び地上へ帰り、闇を克服して帰還した英雄、アージェン･アストールの手に握られる。
<br />
　“光の樹”、暗黒王、アージェン･アストール。克服者たちの物語は、鬩ぎ合う。
<br />
　そしてバスノンを壊滅し、はるかアザリアにまで到達して予言の旅人の手に握られて世界中をめぐり、ついに暗黒の中枢へたどりついた聖剣エグネウン。エグネウンは、その完全な姿に到達する。二振りの聖剣と、“深淵の剣”は相克する。

</div>
<br />
<br />
<div>
11.
<br />
　暗黒王は滅ぼされる。
<br />
　底知れぬ虚無の深淵の上で。
<br />
　しかし、その滅亡それ自体は冥王への最後の寄与となるだろう。自身の消滅は、冥王自らがこの人間たちを葬り去るであろう未来の布石にすぎない。それは単に、冥王の物語をより強固で崇高なものとする彩りとして機能するのだ。
<br />
　語りの支配者への、最後の贈り物。消え行く暗黒王に、敗北の念は感じられなかった。
<br />
　アマレルイは道を開けた。その先に、氷の城の城門が浮かび上がる。
<br />
　「そこから先が」アストールは言う。彼は、同様に闇の思索の場であったバスノンを思い出していた。
<br />
　「冥王そのものと思ったほうがいい。氷の城は、冥王の思念それ自体である。われわれは、これから冥王そのものの中に入ることになるのだ」

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
　アルド･バルンの魔法階層を解いて先に進んでいくことは、冥王の思念の道具を少しずつ解明していくことでもあった。やがて明らかになる“胎動”の全容。
<br />
　もはや冥王の思念は、“闇のもの”たちの思惑は、完全に明らかになった。暗黒王により始められた遠大な計画が、いままさに、結実しようとしていることが、明白となった。闇の勢力が展開している世界の動きが、手に取るようにわかった。
<br />
　アルド･バルンは、過去を、現在を、さらに未来を、完全に記述していた。“軍勢”ソウルヴランドはもうそこまで迫っており、まもなく発動する。世界は根幹から崩され、再構成される。“闇のもの”の世界へと。人間の世界は、終わる。その未来は、明確に記述されていた。
<br />
　だがソウルヴランドのもたらす終焉のその先を見ることは、できなかった。“闇のもの”たちの世界はどのようなものになるのか、それは記されていなかった。世界がつくりかえられてしまうから、その未来が見えないのだろうか？　それがすべての終わりであるから？　それとも、別の未来があり、それをアルド･バルンはまだ見通すことができないのだろうか？
<br />
　いずれにせよ、見通せない未来があるならば、自らの手で切り拓くものであろう。一行はその余地を疑うことはなかった。厳格な終焉の光景を見てしまったにもかかわらず。
<br />
　どのような予言も、世界を根幹からつくりかえるその先を見通すことなどできない。予言が現在の世界側に所属しているものだからである。だから、いかなる未来も予知しうる至上の知性であろうと、ソウルヴランド招来のその先を読むことはできない。これは原理的な問題である。予言の旅人に希望があるとすれば、この原理的問題の間隙を突くことだけだ。

</div>
<br />
<div>
　一行は最上層へ到達。
<br />
　このとき、終焉の招来者である“軍勢”は発動した。“幽玄にして悠久なる真の暗黒”を力源として。冥王の命により。“白い死”あるいは“死の軍勢”と呼ばれる無数の魔霊が降臨し、世界を飛び交った。天空を乱し、星空を地に墜とし、中空に間隙を穿ち。
<br />
　いまや、世界の魔力はその流れを統轄されようとしていた。
<br />
　魔力とは、世界を構成する作動そのものである。すなわち、ソウルヴランドは、世界そのものを、世界のうちにあってなお書き換え得る魔法。文字通り、世界を超越する魔法なのだ。
<br />
　あらゆるものは流れのなかに分解され、別の流れに乗り、違うものへ移り変わろうとしていた。海は沸き立ち蒸発し、森は風とともに塵となり、山は幻のように揺らめき儚いものとなった。世界は粉々に砕かれ、さらに融かされ、別のものへと変異するのだ。
<br />
　これを止めるには、もはやたったひとつの方法しかなかった。
<br />
　確定された破滅の未来を前にして、一行は、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/165.html"  title="滅びのことば (6073d)">滅びのことば</a>”を駆動させることを決断する。
<br />
　アストールは冥王の玉座へ向かうことに。予言に導かれる旅人たちは、“滅びのことば”を発現させ得る最果ての地へ。見通せぬ未来の果てを目指して。
<br />
　一行は別れる。

</div>
<br />
<div>
　アストールは玉座の手前で、“死鬼王”クインゾームとまみえる。冥王の守護者であり、“逃れることなき死”を司る超越者。しかし“光の樹”は至上の闇のなかでも、その輝きを失うことはなかった。カロアの深淵を生き延びたこの聖剣が伴う限り、アストールもまた超越者に列する。その物語は苛烈に疾走し、“逃れることなき死”であろうと、もはや止めることはできない。
<br />
　クインゾームは破滅する。
<br />
　アストールは最後の魔法階層を突破する。
<br />
　冥王の玉座へ。この世界で唯一の、そして最初にして最後の“神”に到達した存在に、アストールは対面した。

</div>
<br />
<br />
<div>
　アストールは冥王の名を知る。
<br />
　エルザエンド。
<br />
　これにより彼は冥王と対等の位置に立つこととなった。

</div>
<br />
<br />
<div>
　至上の戦いが始まる。そこではもはや時間も空間も概念として意味を成さず、超越者同士が繰り広げる、世界の絶対的視点をめぐる応酬があるだけだ。

</div>
<br />
<div>
　はかりしれぬ時の経過ののち、両者はほぼ同時に、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/164.html"  title="破壊のことば (4016d)">破壊のことば</a>”の使用を決断するに至る。

</div>
<br />
<div>
　“破壊のことば”は発動する。完全な状態で。
<br />
　両者が同時に放ったこの最強の魔法は、全世界の魔力を瞬時に収束させる。本来、術者を完全に防護するはずの効果は、ふたつの術が同時に発動するという異例な事態によって、崩される。重なり合う結界は、融合する。その先、両者がどうなったのかを知る者はいない。決して他者が知りえぬ領域へと飛ばされたからである。
<br />
　あまねく魔力は、影の玉座に収束。世界を揺るがす魔法･ソウルヴランドもまた例外ではない。互いに超越を指向するソウルヴランドと“破壊のことば”は相克するが...しかし“破壊のことば”が冥王とアストールという両者により同時に放たれたことが、ソウルヴランドによる終焉を凌駕する。“軍勢”はわずかに世界を超えることができず、“破壊のことば”に呼び戻された。
<br />
　そして世界から完全に魔力が消える。それらが玉座の一点に集中してできた極限の特異点だけを除いて。世界はその“要因”を失い、一瞬、揺らめく。次の瞬間、極限に収束した魔力は、その斥力のもと再び飛散し、戻っていった。世界をふたたび媒体で満たすために。激しい力動を伴って。世界そのものによる、津波のように。まさに最強の魔法の名にふさわしく。
<br />
　氷の城は消え去る。はるかカロアの湖近くにまで至る巨大な範囲が、空も地も瞬時に吹き飛ばされる。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/128.html"  title="ダロア･ディルロス (6073d)">ダロア･ディルロス</a>は鳴動する。マイエルヴァーンは蒸発し、水平線の彼方まで、潮は退いた。巨大な水壁となって。
<br />
　暗黒帝国は崩壊し、そして、世界の裂け目“ユイエンル”は、消滅した。

</div>
<br />
<br />
<div>
　予言に導かれる旅人たちは、ついに、終局の地にたどりつく。
<br />
　“輝きの岸辺”に。
<br />
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/49.html"  title="バルバドの魔法 (6074d)">バルバド魔法</a>の最大の謎とされた“英雄の魔法”の封印は解き明かされた。
<br />
　一行は、魔法のもう一方の極致である“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/165.html"  title="滅びのことば (6073d)">滅びのことば</a>”を発動させる。
<br />
　“死の軍勢”に蹂躙され、“破壊のことば”によってその足場を外された世界を、回復させるために。
<br />
　それは、世界を終わらせ、再び創世させる魔法だった。
<br />
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/67.html"  title="黄泉 (6074d)">黄泉</a>より見据えられる、儚くもまた揺るぎなきこの世界の、黄泉との門を、ひとたび、完全に閉じるのだ。そしてふたたび門を開く。

</div>
<br />
<div>
　こうして、魔法の究極、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/50.html"  title="バルバドの禍い (6074d)">バルバドの禍い</a>”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/78.html"  title="アウバス (6074d)">アウバス</a>は消し去られた。

</div>
<br />
<div>
　一行は、故郷へ。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]>    </description>
    <dc:date>2015-03-28T01:28:52+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/stillwater/pages/25.html">
    <title>人名</title>
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    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><h3 id="id_6d6b8a8c">人名</h3>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
アージェン･アストール 
<br />
　　聖剣<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/92.html"  title="エグネウン (6074d)">エグネウン</a>の所持者。諸国をめぐり数々の武勲を残しながら、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/40.html"  title="バスノンの地下城砦 (6074d)">バスノンの地下城砦</a>に挑み、その主に敗れ去った。

</div>
<br />
<br />
<div>
アグリス･シャーナムン 
<br />
　　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/160.html"  title="ハーデバウ (6074d)">ハーデバウ</a>の滅びの予言をした<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/21.html"  title="魔法使い (6956d)">魔法使い</a>。 

</div>
<br />
<br />
<div>
アルローナル 
<br />
　　カイオルの滅びのもととなった、シルカインの王女。“白き王女”と呼ばれた。 

</div>
<br />
<br />
<div>
イヴナシュール 
<br />
　　魔国ザカニラ=<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/53.html"  title="プロミシア (6068d)">プロミシア</a>の主を倒した英雄で、魔剣<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/46.html"  title="バルグルアイオ (6071d)">バルグルアイオ</a>の所持者。 

</div>
<br />
<br />
<div>
イウルデュレス 
<br />
　　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/93.html"  title="エンゼスメキア (6074d)">エンゼスメキア</a>生まれの剣士。“灰色の聖者”とよばれる。 

</div>
<br />
<br />
<div>
イェルダオン 
<br />
　　暗黒騎士。神聖<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/156.html"  title="ルア帝国 (6048d)">ルア帝国</a>の最精鋭たる神聖親衛軍“ヴォルグ･ムー”の最後の首領。 

</div>
<br />
<br />
<div>
イフジェス 
<br />
　　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/166.html"  title="ララン (6074d)">ララン</a>の大賢者。 

</div>
<br />
<br />
<div>
インガッド 
<br />
　　銀龍。シーザの大神官デクネウンの成した“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/5.html"  title="影の予言 (6074d)">影の予言</a>”を、ラランの大賢者ラカウォーンへと伝えた。

</div>
<br />
<br />
<div>
ヴァザルダウア 
<br />
　　“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/86.html"  title="暗黒王 (6073d)">暗黒王</a>”。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/8.html"  title="暗黒帝国 (6073d)">暗黒帝国</a>の発動以前に南大陸で覚醒し、闇の軍勢を率いて光を駆逐しようとした最強の<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/6.html"  title="ドルウィー･デュナル (5153d)">ドルウィー･デュナル</a>。フュダーインたちの抵抗にあい、やがてエレフ･ギアノと相まみえ、その秘技“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/77.html"  title="アイオフュラード (6071d)">アイオフュラード</a>（太陽の剣）”によって塵となった。しかし、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/87.html"  title="暗黒の胎動 (6074d)">暗黒の胎動</a>に同調しながら一千年の時を経て再生を果たし、発動した暗黒帝国のもと、暗黒帝国軍の総大将として復活する。

</div>
<br />
<br />
<div>
ウズニー 
<br />
　　かつて<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/153.html"  title="ボズノール (6074d)">ボズノール</a>に災いを振りまいた大龍。ボズノールの王、ケルデン･ベレスクによって倒された。

</div>
<br />
<br />
<div>
エイレキ 
<br />
　　暗黒帝国の<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/138.html"  title="ドルアゾーン (6073d)">ドルアゾーン</a>の一人で、ララン攻略の<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/139.html"  title="ドルドラン (6073d)">ドルドラン</a>を司る。“闇のもの”でありながら魔術を極めた。

</div>
<br />
<br />
<div>
エルス･ドリキア 
<br />
　　ラダカーンの守護将軍。“バルファーナの守り手”。

</div>
<br />
<br />
<div>
エレフ･ギアノ 
<br />
　　“暗黒王”ヴァザルダウアを倒した英雄。〈イン〉の使い手で、フュダーインが見出し、闇との戦いに駆り出された。

</div>
<br />
<br />
<div>
カイオル･セード 
<br />
　　最後の<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/172.html"  title="ソルダーガイン (6073d)">ソルダーガイン</a>であり、その波乱に満ちた生涯はまさに英雄と呼ぶにふさわしいものだった。冒険者として旅を続け、人々に魔法を施したその一生は“カイオルの武勲”として語り継がれ、今も人々に広く謡われている。 

</div>
<br />
<br />
<div>
カイラオ 
<br />
　　暗黒帝国のドルアゾーンの一人で、シルカイン侵攻のドルドランを司る。

</div>
<br />
<br />
<div>
クランズエル 
<br />
　　ルア帝国の<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/105.html"  title="軍団守護 (6073d)">軍団守護</a>のひとり。

</div>
<br />
<br />
<div>
サイド･ジャクリアル 
<br />
　　クロメキル大公。アズン･クロメキル神殿の神殿長。

</div>
<br />
<br />
<div>
ザウノン･シェイア 
<br />
　　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/175.html"  title="ウイリア (6068d)">ウイリア</a>最大の英雄にして最大の魔法使い。何処よりか来たりて風の如く世をめぐり、ついには“魔王の混沌”をしずめ、ウイリア全土を治める最初の王となる。バルバド魔法を一つの体系にまとめ、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/47.html"  title="バルバドの書 (6073d)">バルバドの書</a>”をつくった。 
<br />
　　“真王”とも呼ばれた偉大なソルダーガインだったが、彼が玉座についていた期間は長くなく、あるとき東の海へ一人船出し、その後彼の姿を見た者はいない。 
<br />
　　“シリエルはかくいいけり。かれは風のもの、星のもの、そして龍のもの。 
<br />
　　　いかなるものにもしばられず、さすらうもの。”　　‥‥‥『ザウノン･シェィアの武勲』

</div>
<br />
<br />
<div>
ザシミオン 
<br />
　　暗黒帝国のドルアゾーンの一人で、オリエント制圧のドルドランを司る。“尊厳の冒涜者”といわれる。

</div>
<br />
<br />
<div>
ザシルディオン 
<br />
　　ハーデバウの大魔術師で、究極兵器たるナヴァルフュス・ラデュラフォールをつくった。

</div>
<br />
<br />
<div>
ザファルカス 
<br />
　　“赤い魔神”と呼ばれた伝説的な魔物。魔国ザカニラ=プロミシアの守護である<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/140.html"  title="ナヴァルフュス (6067d)">ナヴァルフュス</a>。

</div>
<br />
<br />
<div>
ザフルハード 
<br />
　　“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/69.html"  title="夜の主 (6074d)">夜の主</a>”。バスノンの王である強大な<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/59.html"  title="メルグアズール (6073d)">メルグアズール</a>。暗黒帝国が征服した南大陸の半分、すなわちその“夜”を統轄するために暗黒帝国が送り込んだ。

</div>
<br />
<br />
<div>
ザワール 
<br />
　　ファルアー王国を暴れ回った巨大な火龍。“黒の王”に仕える。

</div>
<br />
<br />
<div>
ジェルエント 
<br />
　　ホープの街に住む白魔術師。

</div>
<br />
<br />
<div>
ジスリークス 
<br />
　　“銀色の魔法使い”。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/48.html"  title="バルバドの神殿 (6074d)">バルバドの神殿</a>の最後の守護者で、“夕星の杖”の所持者。

</div>
<br />
<br />
<div>
ズイルル 
<br />
　　“霊王”。 

</div>
<br />
<br />
<div>
ゼウネス 
<br />
　　神聖ルア皇帝。 

</div>
<br />
<br />
<div>
ディデイラ 
<br />
　　暗黒帝国のドルアゾーンの一人で、混沌の使い手。

</div>
<br />
<br />
<div>
デュア･ゲルダーン 
<br />
　　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/157.html"  title="ケンザロス (5155d)">ケンザロス</a>辺境守備軍軍団長。ナウルデュノン公。

</div>
<br />
<br />
<div>
トゥルグルア 
<br />
　　“黒の塔”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/101.html"  title="カルド･エスネメノール (6074d)">カルド･エスネメノール</a>の主である幽鬼の王クルデュアに戦いを挑んだ英雄。“一つの剣”なる剣を持ち、黒の塔でクルデュアと戦ったが敗れ、幽鬼に支配される。 
<br />
　　“‥‥‥これなる巨石はトゥルグルアの最期に彼のためにつくりしもの。 
<br />
　　　英雄トゥルグルアは今や闇を解かれてここに眠る。”　　‥‥‥トゥルグルアの墓石

</div>
<br />
<br />
<div>
デクネウン 
<br />
　　一千年前、“影の予言”を残したシーザの大神官。

</div>
<br />
<br />
<div>
ドルカノン 
<br />
　　シーザの大神官。

</div>
<br />
<br />
<div>
バイオロス･テュガーン 
<br />
　　ラダカーンの戦陣師。

</div>
<br />
<br />
<div>
パイルファード 
<br />
　　ラダカーンの守護将軍、“エンティミスの炎”。

</div>
<br />
<br />
<div>
バルギ･ジャクリアル 
<br />
　　クロメキル大公・サイド･ジャクリアルの実弟で、ラズール･アズン大祭司。

</div>
<br />
<br />
<div>
バレノール 
<br />
　　ボズノールの騎士。“魔剣”ガラド･ヴレナの所持者。

</div>
<br />
<br />
<div>
バレンドック 
<br />
　　バジネア公。

</div>
<br />
<br />
<div>
ファーヴァルルニット 
<br />
　　ラダカーンの守護将軍、“ラウェンデアの槍”。

</div>
<br />
<br />
<div>
ブラウフニス･レク 
<br />
　　ドルウィー･デュナルの研究者。 
<br />
　　“‥‥‥あるときは古文書を求めて禁断の‘滅びの都’に立ち入り、またあるときにはドルウィー･デュナルの‘実物’を見にこの世の底の底まで降りて行きもした‥‥‥ 
<br />
　　いつの日にか、暗黒の勢力は津波の如く押し寄せてくるだろう。そのとき、この書が、闇のものに敢然と立ち向かう戦士たちの、貴重な助けとならんことを‥‥‥” 
<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　‥‥‥『<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/173.html"  title="デュナルの書 (6073d)">デュナルの書</a>』

</div>
<br />
<br />
<div>
ユーガル･ラブロン 
<br />
　　伝説的な大魔術師。

</div>
<br />
<br />
<div>
ユレゼット 
<br />
　　“闇猫”“暗黒色の魔法使い”。現在、世界最高峰に位置するフュダーインで、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/108.html"  title="光輝の杖 (6074d)">光輝の杖</a>”の所持者。 
<br />
　　大魔術師ユーガル･ラブロンのたった一人の弟子だった魔女で、イフジェスやドルカノンの師である。その力はユーガル･ラブロンを彷彿とさせるほどに洗練され、その術は変幻自在。“黒き星の猫”の姿を好み、ほとんど常に猫の姿をしている。 

</div>
<br />
<br />
<div>
ライシェルネス 
<br />
　　ルア帝国の皇女。

</div>
<br />
<br />
<div>
ラヴュランシア 
<br />
　　“星王”。

</div>
<br />
<br />
<div>
ラオジン 
<br />
　　ルア帝国の皇子。

</div>
<br />
<br />
<div>
ラガウス･アステルタイン 
<br />
　　ケンザロス親衛将軍。

</div>
<br />
<br />
<div>
リルシャーダ 
<br />
　　“魔剣の巫女”リルシャーダは、世界で最も恐るべき魔剣<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/120.html"  title="ジュナ (6074d)">ジュナ</a>に、傷を受けることなく触れることのできる唯一の者である。彼女は魔剣ジュナの主ゆえに、世界の命運を握る人物とされる。

</div>
<br />
<br />
<div>
ルハナ･シャウト 
<br />
　　“リュシアスの瞳”。イヴナシュールとともにザカニラの魔を滅ぼした。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
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<br />
<br />
<br />
<br />]]>    </description>
    <dc:date>2013-10-06T20:47:42+09:00</dc:date>
    <utime>1381060062</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/stillwater/pages/4.html">
    <title>世界概要</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/stillwater/pages/4.html</link>
    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><br />
<h3 id="id_a828ecd8">世界について</h3>
<div>
　<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/175.html"  title="ウイリア (6068d)">ウイリア</a>とよばれるこの世界は、南と北のふたつの巨大大陸からおもに構成されている。ふたつの大陸の西には、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/58.html"  title="ミスラティクス (6073d)">龍</a>たちの棲む島があり、またはるか東には、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/80.html"  title="アザリア (6074d)">アザリア</a>という小さな島国がある。

</div>
<br />
<br />
<br />
<h3 id="id_2d038c13">歴史について</h3>
<div>
<b>第一紀</b>
<br />
　物語が展開する時代は、統一された暦の上では、第二紀とよばれている。第二紀の前には第一紀という時代があり、この時代は、第二紀におけるふたつの大陸をさらに凌ぐ大きさの古大陸を舞台としている。
<br />
　人類が魔法という能力を獲得したのは第一紀においてである。その能力は洗練を続け、やがてその集大成といえる体系「<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/49.html"  title="バルバドの魔法 (6074d)">バルバドの魔法</a>」が完成する。魔法文明を極限まで発展させた人類は、全世界を巻き込んだ巨大な戦乱を起こすことになる。魔法使いたちによるこの戦争は、“滅びの宴”とよばれている。長い戦争のなかで人類はさらに強大な魔法を追求し、あげく、「魔法の究極」とよばれる境地に到達する。この「魔法の究極」は“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/167.html"  title="魔王 (6074d)">魔王</a>”<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/78.html"  title="アウバス (6074d)">アウバス</a>とも“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/50.html"  title="バルバドの禍い (6074d)">バルバドの禍い</a>”ともよばれ、その名は第二紀にも伝わっているが、それが実際どのような存在だったのかは知られていない。いずれにせよこの謎の存在の出現により人類の戦争は終結し、全世界はアウバスの暗黒の支配下に置かれることとなった。“魔王”による恐怖の統治は一千年ほど続くが、あるときアウバスは突然その姿を消す。なぜアウバスが消え去ったのかは一切不明だが、いずれにせよ突然その絶対的支配者をうしなった世界は、巨大な混沌として放り出されることとなった。
<br />
　この混乱の世界を平定し、世界に再び秩序をもたらしたのが、ザウノン･シェイアというひとりの英雄である。ザウノン･シェイアは大陸全土を統一しその王となった。そして再びバルバドの禍いがおこらぬように、バルバドの魔法をひとつの書にまとめ、限られた者のみがこの書を読めるようにした。しかし彼が王の座についていたのはわずかの間だけで、ウイリア全域から混沌を一掃し<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/175.html"  title="ウイリア (6068d)">統一王国</a>の基盤を築くと、それ以上長く玉座につくことなく、ひとり東へ船出し、そのまま帰ることはなかった。
<br />
　そののち世界は500年にわたって平和が続くが、やがて世界は大変動を迎えることとなる。大陸の崩壊である。これは魔法使いたちには、世界に満ちる魔力が7000年という周期で巨大な変動を繰り返すからだと説明されている。この時期すべての魔法はその効力を失った。天空は妖しく幻のように狂い、大地は引き裂かれことごとくその姿を変えた。そしてウイリアは大混乱のまま、第二紀を迎える。

</div>
<br />
<br />
<div>
<b>第二紀</b>
<br />
　大陸変動のあと、ひとつの大陸はふたつの大陸に分かれて再び正常な時を刻み始めた。この混沌の時期を経て、第一紀のあらゆる文明はほとんど完全に失われたのだが、大変動を越えて伝わった第一紀の遺産がわずかにあり、そのひとつが<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/47.html"  title="バルバドの書 (6073d)">バルバドの書</a>であった。このバルバドの書をもとに人類は今一度魔法という力を手に入れ、第一紀の壮麗な魔法文明には到底およばないものの、再び発展の道をたどり始めたのだった。
<br />
　ウイリア世界は広大な世界であり、第一紀のような巨大文明に到達していない第二紀においては、世界の歴史は各地域ごとに独立して進行していくだけだった。もはや全世界規模で影響を及ぼすような大きな事件もほとんど起こることなく、世界のそれぞれで同じように人が争い、国を築き、子を成し、そして死んでいく繰り返しが続いた。しかし、そんな停滞した世界も、第二紀後半になって大きな変動を体験することとなる。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/8.html"  title="暗黒帝国 (6073d)">暗黒帝国</a>の発動である。
<br />
　第二紀の4000年頃、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/112.html"  title="シーザの神殿 (6074d)">シーザ</a>の大神官デクネウンという賢者が、ひとつの<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/5.html"  title="影の予言 (6074d)">予言</a>をした。いわく、一千年の後に、“影”が興り、最強の種族を従えて世界を破滅に導くと。
<br />
　一千年の後、予言は果たされた。北大陸のほぼ中央、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/102.html"  title="カロア (6074d)">カロア</a>という呪われた地に、闇の力が凝集し、暗黒の領域が誕生した。巨大な城砦が、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/123.html"  title="深淵龍 (6073d)">海龍</a>の棲まうという禁断の海岸から浮かび上がった。暗黒の玉座、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/85.html"  title="アルド･バルン (6073d)">アルド･バルン</a>（“氷の城”）である。長い年月をかけてこの地に降り注いでいた闇の力は、ひとつのかたちを成した。氷の城の主であり、闇の帝国の王、そして暗黒の種族の神、すなわち“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/7.html"  title="冥王 (6072d)">冥王</a>”である。
<br />
　冥王を頂点に抱く<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/8.html"  title="暗黒帝国 (6073d)">暗黒帝国</a>は、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/6.html"  title="ドルウィー･デュナル (5153d)">闇のもの</a>”という無敵の種族を中心として全世界へ侵攻を始めた。世界はあまねく蹂躙され、立ち向かう勢力はことごとく粉砕された。そして誰ひとりとして、冥王の玉座はおろか、闇の国に足を踏み入れることすらできなかった。
<br />
　しかし、大神官デクネウンは、ただ闇の侵略のみを予言していたわけではなかった。彼の予言によれば、闇は世界を覆い尽くすが、それに対抗しうる勇者たちがやがて現れるという。予言はそのどちらが最終的な勝利を収めるかについては触れていない。それは、ただその勇者たちに呼びかけているのみである。
<br />
　戦え、と。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]>    </description>
    <dc:date>2013-04-14T11:33:16+09:00</dc:date>
    <utime>1365906796</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/stillwater/pages/6.html">
    <title>ドルウィー･デュナル</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/stillwater/pages/6.html</link>
    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><br />
<br />
<div>
<b>ドルウィー･デュナル</b><span class="smallertext">　　【アーエン語】 Deicidal
Darkness</span>

</div>
<br />
<br />
<br />
<div>
1.
<br />
　“闇のもの”。<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/175.html"  title="ウイリア (6068d)">ウイリア</a>最強の生物。その強固な肉体は、無限に再生する不老不死。闇そのものを喰らい、巨大な力の糧とする。全知全能の種族。唯一、そして決定的な弱点は、その肉体が光に耐えられないことである。ドルウィー･デュナルのほとんどは地中はるか深くに眠っているが、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/5.html"  title="影の予言 (6074d)">影の予言</a>”によれば“闇のもの”たちは<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/8.html"  title="暗黒帝国 (6073d)">暗黒帝国</a>の発動とともに目覚め地上を席巻するという。
<br />
　複雑に織り込まれた仮面のような頭部と角が外見上の特徴とされる。その身は鋼をも超える硬質な装甲に覆われているが、通常は“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/64.html"  title="闇の衣 (6074d)">闇の衣</a>”に包まれ隠されている。 

</div>
<br />
<br />
<div>
2.
<br />
　この最強の種族は、しかし人間たちには永いことその存在が知られていなかった。というのもドルウィー･デュナルのほとんどは地中はるか深くに眠っているからである。だが時折、人間にはわからないなんらかの理由で、彼らのなかに、その眠りより目覚め地上へ姿を現す者が出てくる。かつてそのようにして太陽のもとに現れたドルウィー･デュナルは、ほとんどがすぐに闇の底へ再び戻っていき、たまたま人間と遭遇した者もその破壊的な力を表すことなく静かに消え、人類とドルウィー･デュナルが争いまみえることは絶えてなかった。ブラウフニス･レクによれば、それはその頃人間がまだ魔法に成熟していない未熟な種族だったからであるという。人類とドルウィー･デュナルがはじめて戦ったのは、というより人類がドルウィー･デュナルの恐ろしさをはじめて知るのは、第一紀後半、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/21.html"  title="魔法使い (6956d)">魔法使い</a>たちの間に巻き起こった巨大な戦乱が世界を覆った時代である。この頃、地上に出てきたドルウィー･デュナルと遭遇した魔法使いとの間に戦いが起こったという記録がいくつか残されている。魔法使いたちによってドルウィー･デュナル“闇のもの”という名が付されたのは、この時期である。第一紀の強大な魔法使いたちは、ドルウィー･デュナルという地の底に潜む脅威をできうるかぎり調べあげ、後に伝えようとした。だが彼らは彼ら自身の戦いに忙しく、ドルウィー･デュナルが地上に現れることもほとんどなかったので、その存在はあまり重く見られてはいなかった。しかし、世界をことごとく支配下におくほどに栄華を極めた第一紀の魔法使いたちも、ドルウィー･デュナルの本当の恐ろしさはまだ知らなかったのである。
<br />
　やがて第二紀になるとそれらの記録も失われ、ドルウィー･デュナルの存在は再び人々から忘れ去られることになった。第二紀にも地上にドルウィー･デュナルが現れたことはなくはないが、それは広大なウイリアの各地で散発して起こったことなので、各地でそれぞれ「恐るべき魔物」として伝承に残った以上の知識を人類にはもたらさなかった。第二紀に再びドルウィー･デュナルの名が知られるようになるのは、ブラウフニス･レクというひとりの学者が「<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/173.html"  title="デュナルの書 (6073d)">デュナルの書</a>」という本を著してからである。
<br />
　ブラウフニス･レクは南大陸北部に生まれ、その一生は学者として、旅行家として、魔法使いとして送られた。ドルウィー･デュナルを知るために、太古の遺跡を巡り、あらゆる古文書をひもとき、果ては<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/58.html"  title="ミスラティクス (6073d)">龍</a>の深遠な知恵に助けを求めたりもした。その人生のいわば集大成が「デュナルの書」である。彼がなぜ“闇のもの”に興味をもつようになったのかは定かではない。「デュナルの書」によれば、第一紀に記された多くの書はそのほとんどが失われたのだが、第二紀にも伝わったものはいくつか存在し、そのなかの一冊に“闇のもの”についてたった一箇所言及しているものが存在するという。
<br />
　ブラウフニス･レクがそのたった一箇所の記述に目を留め、それが人類全体を危機に追いやる脅威であることを見抜いたとすれば、驚嘆すべき慧眼であると言えよう。いずれにせよ、彼が生涯をかけて調べあげ完成させた「デュナルの書」によって、人類はドルウィー･デュナルの存在をあらためて知ることができたのである。
<br />
　しかし、「デュナルの書」はその破滅的な予言性ゆえに禁忌とされた。これを排撃しようとする者たちと、そして他ならぬ“闇のもの”からこの知識を守るため、ブラウフニス･レクはさまざまな手を尽くしてこの書を守ろうとした。しかしその努力も空しく、あるいは彼がそれが真に必要とされるときがくるまで封印したからなのか、「デュナルの書」はこの世から姿を消し、以後その実物を見たものはいない。
<br />
　だが、一度人々に知られたその知識は、たとえ禁忌とされても、失われることはなかった。その警告は幾人かの魔法使いたちを中心に受け継がれ、その研究は断続的にではあるが積み重ねられていった。
<br />
　その最大の成果は、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/112.html"  title="シーザの神殿 (6074d)">シーザ</a>の大神官デクネウンによって為された、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/5.html"  title="影の予言 (6074d)">影の予言</a>”であろう。“影の予言”によれば“闇のもの”たちは暗黒の帝国の発動とともに目覚め地上を席巻するという。デクネウンの言葉をまもり続ける大神官ドルカノンによれば、ドルウィー･デュナルが完全に覚醒し一斉に地上に現れた場合、その力はかつての比ではなく、人間の世界はことごとく滅び、彼らに戦いを挑む戦士はことごとく闇に葬り去られることになるという。

</div>
<br />
<br />
<div>
3.
<br />
　ドルウィー･デュナルは無敵、不老不死、全知全能。その肉体はあらゆる攻撃をよせつけぬほどに強固で、たとえ聖剣によって傷を負ったとしても、無限の再生力を持つその体は、全身が粉々になったとしてもまたよみがえる。彼らは決して年老いることなく、殺されない限り死ぬことはない。あらゆる言葉を解し、あらゆる知識を知り尽くし、あらゆる智者より速く思念を巡らし、あらゆる聖者をはるかに越えてこの世の神秘に通じている。
<br />
　彼らは純粋なる光の輝きのもとではその超常性が弱められ、光を永遠に浴び続ければ滅び去る。また、人類がその英知を集めてつくった至上の武器「<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/163.html"  title="聖剣 (6074d)">聖剣</a>」もドルウィー･デュナルの闇の衣を打ち破って傷を与えることができる。
<br />
　しかし、ドルウィー･デュナルの冷静沈着で狡猾な知謀と強力な肉体を駆使して繰り出される超常の武技の前に、そのような数少ない対抗手段を与える隙があるかどうかは疑問であるが。

</div>
<br />
<br />
<div>
4.
<br />
　暗黒帝国の発動とともに一斉に覚醒する前に目覚め地上に姿を現したドルウィー･デュナルのなかで、もっとも地上世界に波乱を巻き起こしたのは、“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/86.html"  title="暗黒王 (6073d)">暗黒王</a>”とよばれたヴァザルダウアである。ヴァザルダウアは南大陸で覚醒したが、それまでのドルウィー･デュナルのようにすぐに地の底へ戻ることなく、地上にとどまり、やがて闇の軍勢を率いて光を駆逐しようとした。
<br />
　ヴァザルダウアはドルウィー･デュナルのなかでも最強とされる。“闇のもの”のなかでももっとも暗黒の力に通じ、魔界の門を操る魔術をもって闇の軍勢をつくりあげ、光満ちる地上世界を一掃しようとした。“暗黒王”の軍勢は南大陸を恐怖に陥れ、いくつもの王国を滅ぼしたが、やがて<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/171.html"  title="フュダーイン (5454d)">フュダーイン</a>たちの抵抗にあい、人間との本格的な戦いがはじまることになる。そしてついにはその闇の宮殿で“赤き戦士”エレフ･ギアノと戦い、その秘技“<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/77.html"  title="アイオフュラード (6071d)">アイオフュラード</a>（太陽の剣）”によって塵となったのだった。
<br />
　しかし、“赤き戦士”の過ちは、塵となって消え去ったかに見えたヴァザルダウアの肉体を、深き闇の宮殿に放置したままにしたことであった。彼は、その深淵の奥底に至るまで徹底的に破壊して太陽のもとにさらすべきだったのである。最も濃い闇に身を包むドルウィー･デュナルであるヴァザルダウアは、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/87.html"  title="暗黒の胎動 (6074d)">暗黒の胎動</a>に同調しながら一千年の時を経て再生を果たし、発動した暗黒帝国のもと、軍団指揮官として復活することになる。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
<span style="font-weight: bold;"><!--@@@@@-->再帰魔法</span>   <span class="smallertext">Reflexive Sorcery</span>

</div>
<br />
<br />
<div>
1.
<br />
　“デュナルの書”では、魔法学の観点から見た場合にドルウィー･デュナルを人間と区別する最大の特徴は、彼らが〈魂〉を持たない点にあると示唆されている。ここでの魂という語は<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/166.html"  title="ララン (6074d)">ララン</a>における中枢概念に準拠しており、換言すれば<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/67.html"  title="黄泉 (6074d)">黄泉</a>に基盤を持ち現世を観察する「視点」を意味するのだが、ドルウィー･デュナルはそのような別の世界との繋がりを持たず、完全に現世の理のなかで閉じた存在であるとされている。
<br />
　このことは魔法の行使という面において大きな影響を及ぼす。ラランによれば、魔法を駆動させるには必ず〈外界〉との何らかの繋がりが必要とされている。乱暴に説明するならば魔法とは外界と相関することによって現世を超越する事象を生み出すことであり、たとえば人間が黄泉につながり、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/20.html"  title="アリアス (6073d)">妖精</a>が精霊界に、<a href="http://w.atwiki.jp/stillwater/pages/81.html"  title="アズウュール (6072d)">魔族</a>が魔界にそれぞれ接続することで魔法の源泉を確保しているのに対して、他の世界との関連を持たないドルウィー･デュナルは、魔法という超常の効果を招来することはできない。
<br />
　これは全知全能であるドルウィー･デュナルにとっての唯一の能力的限界であるとも考えられるが、彼ら自身もそれを自覚しており、これを克服するために独特の魔法体系が編み出された。超常の事象を発生させるための源泉を持たずして魔法効果を生じさせる、「再帰魔法」という体系がそれである。

</div>
<br />
<br />
<div>
2.
<br />
　魔法使いたちには、高度な魔術技法として「魔法によって魔法を発生させる」という魔法構文が知られている。これは、ある単純な魔法を要素としてより複雑な機構を組成する場合に用いられる技術であり、それぞれの魔法要素は一つの完結した事象として世に放たれるのではなく、別の魔法を生み出す機能を持つ。同時に、それら他の魔法との関係が定められ、他の魔法がどのように発動しているかを観察しそれに応じて自己の更なる駆動を決定する、という構造のものとして記述される。すなわち、きっかけとなる最初の魔法を除いて、後続する魔法は「魔法使い」という駆動要因を必要とせず、他の魔法のみを参照して連関を持続するということを特徴とする。
<br />
　魔法が魔法を再帰的に生産し、その結果生まれる上位構造がまたひとつの魔法として後続する魔法を生成する、という循環構造。ひとたび最初の魔法が発動すれば、あとは自動的に魔法同士が効果を及ぼし合って組み上がる仕組みである。　
<br />
　ドルウィー･デュナルは、「最初の魔法」なしでこのような回帰的な連関構造を発生させることを企図している。
<br />
　ラランの魔法使いたちは、魔法を「意図に沿う偶然である」と描写することがあるが、魔法とは、魔法使い以外の者から見れば、偶然的なあるいは奇跡的な事象としか見えないものでもある。事実、魔法は神の起こす奇跡であり、神に祈ることで奇跡を起こしてもらうのだ、と考える説明体系も存在する。
<br />
　日常における奇跡とも言える事象、たとえば目の前にあった木の枝に林檎がちょうど落下して突き刺さったとき、あるいはたまたま開いた書物がそのときの気分に関連する語句を示していたとき、それらは単なる偶然なのか、誰かの意志によるものなのか、魔法使いでなければ区別することはできない。
<br />
　そのように日常で見られる些細な偶然の数々を「魔法」と等価であるとみなし、その集合が再帰的魔法構造を有している、と仮定しよう。ドルウィー･デュナルの魔術はここから始まる。
<br />
　もちろんそこには何らかの論理的連関がなければならない。ドルウィー･デュナルは、本来何の意図も介在していないはずのそのような偶然的事象の間に、強引に成立するような論理構造を打ち立てる。それは単なるこじつけかもしれない。しかしそれでも成り立つような論理構造があるならば、そしてその論理構造が再帰的なものであるならば、恣意的に関連付けられた些細な事象の集合が、恣意的な再帰構造に従って後続する事象を生み出すことを阻む理由はないのだ。
<br />
　そもそも、正統なる魔法使いが行使する魔法において、その駆動要因はこの世界にはなく黄泉などの「外界」に存するが、しかしそのような「外界」とはこの世界自体からは説明できない領域のものである。この世の理に従う世界ではないのだから。この世界自体から見た場合、駆動要因は単なる偶然に過ぎない、と言うこともできる。だから少なくとも現世から見た場合に、魔法使いの魔法とドルウィー･デュナルの魔法とは区別が付けられない。原理的に。

</div>
<br />
<br />
<div>
　これらはあくまで人間から見た仮説であり、具体的な行使手順は不明ではあるが、魔法学的に為される説明は以下の通りである。ドルウィー･デュナルが何らかの魔法事象を望んだとき、その高度な解析能力を用いて、眼前で生じる自然現象を解釈し、自分の望む効果をもたらしてくれるような論理構造を導き得るように体系化する。このとき観察と同時に一瞬で理論化･体系化が為される。高度な知覚能力と高速の思考能力があるがために、観察と体系化の間の時間差は極小のものとなる。つまり、いつどのように始まったかは知らないがとにかくそのような再帰的魔法構造が既に始まっており、自分はそれを途中から観察しているに過ぎない、というわけだ。
<br />
　このようにしてドルウィー･デュナルは起源の問題を回避する。既成事実が起源に先行するというのは逆説的に聞こえるが、魔法論理とは常にそのように矛盾を孕んだものである。

</div>
<br />
<br />
<br />
<div>
cf. 
<br />
再帰形式については、自己準拠構造 autopoiesis（Maturana, Varela）
<br />
論理の駆動とその起源の関係については塵理論（G. Egan）を参照のこと。
</div>]]>    </description>
    <dc:date>2012-05-02T23:00:24+09:00</dc:date>
    <utime>1335967224</utime>
  </item>
  </rdf:RDF>
