続・御神楽少女探偵団~完結編~

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<p><strong>続・御神楽少女探偵団~完結編~</strong></p> <p>part31-203~207,223~224,318~310、part32-69~71,81~84,210~218,68~74,104~108</p> <hr> <dl> <dt>203 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:41:09 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>続・御神楽少女探偵団<br> <br> 『御神楽少女探偵団』の続編、主要登場人物を一応再掲。<br> <br> ☆主要登場人物<br> ・御神楽時人(以下時人)・・・御神楽探偵事務所所長で、天才的な推理能力を持つ駄目人間。男。<br> ・鹿瀬巴(以下巴)・・・探偵事務所助手。女。どちらかというと考えることより動くことの方が得意。<br> ・久御山滋乃(以下滋乃)・・・探偵事務所助手。女。華族のお嬢様。<br> ・桧垣千鶴(以下千鶴)・・・探偵事務所経理。女。作家志望の眼鏡っ娘。<br> ・ランドルフ丸山(以下蘭丸)・・・探偵事務所助手。男。混血の少年。 あだ名は蘭丸。<br> ・守山美和・・・探偵事務所のあるビルのオーナーで美術商。女。時人憧れの未亡人。<br> ・諸星・・・時人を信頼する警視庁警部。<br> ・栗山・・・諸星の部下。頼りない<br> <br></dd> <dt>204 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:54:25 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>☆第六話『続・猟奇同盟』登場人物<br> 注:この話は前作『御神楽少女探偵団』収録『猟奇同盟』の続きです。<br> <br> ・常盤省吾・・・大学教授。時人の旧友らしい。<br> ・志田庄太・・・新聞記者。『猟奇同盟』を告発しようとしたところ殺害される。<br> ・旭日斎蓮花・・・女奇術師。40歳以上なのに、20代にしか見えない。<br> ・伊勢真由美・・・志田庄太の隣人。<br> ・伊勢公夫・・・真由美の弟。先ごろ原因不明の失踪を遂げた。<br> ・工藤めぐみ・・・蓮花の助手。<br> ・花柳宗司・・・蓮花のマジックホールの従業員。<br> ・小谷内万次郎・・・蓮花のマジックホールの道具係。<br> ・中田熊子・・・日の出食堂の女主人。<br> ・増田伸次・・・志田の同僚記者。<br> ・河村須美子・・・以前『太白星』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で出会ったオペラスター。気さくな美人。<br> ・平田権六・・・以前『幽鬼郎』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で出会った興行主。<br> ・相馬銀次郎・・・常盤省吾の書生。原因不明の失踪を遂げた。<br> ・真下五月・・・乾物屋の娘。原因不明の失踪を遂げた。<br> ・真下毅・・・真下五月の父。<br> ・相模陣兵衛・・・隅田川の船頭。<br> <br></dd> <dt>205 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:57:04 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>☆第六話『続・猟奇同盟』前編<br> <br> 催眠術に操られた巴に銃撃された時人は、面会謝絶の重体となった。<br> 巴は術から開放されたものの、自責の念に苛まれる。<br> そんな巴を、諸星は半ば強引に捜査へ連れて行く。<br> <br> 志田の遺したチケットを手がかりに、旭日斎蓮花のマジックホールへ向かう。<br> そこで、ホール関係者の花柳宗司に話を聞くと、もうすぐ舞台が始まるという。<br> そこで諸星と巴は、舞台でマジックショーを見物することにする。<br> <br> この日の舞台の見世物は、ギロチンを使ったマジックだ。<br> 助手が蓮花をギロチンにかけても彼女は無事、という趣向のものらしい。<br> しかしいざ本番、助手がギロチンの刃を下ろすと蓮花の首は無残にも刎ねられてしまった。<br> <br> 時人銃撃に続き、再びショッキングな出来事に遭遇してしまった巴は心が折れかけてしまう。<br> しかし諸星は彼女を叱咤激励し、立ち直らせるのだった。<br> <br> ギロチンを操作した蓮花の助手、工藤めぐみに話を聞く二人。<br> どうやらギロチンに仕掛けてあったマジック用の仕組みが、壊れていたようだ。<br> しかし本番直前に蓮花本人が確認した際には、ギロチンに異常は無かったという。<br> 蓮花の確認後、ギロチンに触れたのは道具部の連中だけ。<br> そこで、二人は今度は道具部に話を聞くことにする。<br> <br> 道具部の小谷内万次郎によると、ギロチンの運び込みを行った<br> 篠原浩介という男の行方がわからないらしい。<br> <br> 次に二人が蓮花の楽屋へ向かうと、楽屋は既に荒らされた後だった。<br> どうやらこの惨劇も「猟奇同盟」の仕業で、彼らに出し抜かれたようだ。<br> しかし花柳に確認したところ、蓮花は貴重品を道具部の金庫に預けており、<br> 彼女の楽屋に重要と思えるものは元から何も無かったらしい。<br> <br> 道具部で小谷内に金庫について聞いたところ、一月ほど前に蓮花から妙なものを預かったらしい。<br> それは、風呂敷に包まれたスクラップブックだった。<br> スクラップブックを見ていた巴は、そこに行方不明となった伊達公夫の写真があることに気づく。<br> 巴と諸星は、篠原が故郷だと語っていたという、広島へ調査に向かう。<br> <br> 一方、滋乃と千鶴はマジックホールで聞き込みを行っていた。<br> 小谷内によると、篠原は一月ほど前、蓮花の紹介でホールに勤め始めたらしい。<br> <br> 捜査本部の遊郭・花月楼で栗山刑事と話し合う二人。<br> スクラップブックには、ここ数年で失踪した子供たちの写真ばかりが載っていたらしい。<br> 現時点では写真のうち2枚が、既に失踪届けの出されている<br> 相馬銀次郎と真下五月のものだということが判明している。<br> <br> 二人は、相馬銀次郎が書生として起居していた常盤邸へと向かう。<br> 主の常盤省吾に迎えられる二人。<br> 常盤は大学教授で、時人の旧友で、かつては一緒に素人探偵をやっていたという。<br> 常盤の許可を得て相馬の部屋を調べると、彼が英語を熱心に勉強していたことがわかった。<br> <br></dd> <dt>206 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:58:15 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>次に、真下五月の実家である乾物屋、「鍵屋」に向かう二人。<br> 五月の父、毅から許可を得て五月の部屋を調べると、彼女も英語を熱心に勉強していたことがわかる。<br> そして、相馬と真下は同じ英語学校「築地ハリソン英語学校」に通っていたようだ。<br> <br> さっそく、英語学校のあるというハリソン邸に移動する。<br> しかし屋敷に人の気配は無い。<br> そこで、屋敷の向かいにある日の出食堂で女主人の中田熊子から話を聞いてみる。<br> 屋敷には五人の外国人女性が住んでいたのだが、一週間前に急に引っ越したらしい。<br> 一週間前といえば、ちょうど志田が殺害された日のことだ。<br> <br> 第二倉島荘で伊勢真由美に公夫のことについて聞く。<br> すると、公夫もハリソン英語学校に通っていたことがわかる。<br> やはり、英語学校にはなにかあるようだ。<br> <br> 事務所で改めて操作の方針を栗山と確認する二人。<br> 猟奇同盟という組織が美形の少年少女を多数誘拐しており、そこに英会話学校がからんでいるらしい。<br> また、その猟奇同盟によって志田と蓮花は殺されたらしい。<br> そこに常盤が現れ、時人の友人として操作に同行・協力させて欲しいという。<br> その申し出を、二人は快諾した。<br> <br> マジックホールで花柳から話を聞く三人。<br> 蓮花は、一週間ほど前に新聞記者の取材を受けてから急に落ち着きをなくしたらしい。<br> 取材に来たのは、東京日報の志田と増田という記者だという。<br> <br> 東京日報本社で志田の同僚、増田伸次に聞き込みを行う。<br> 増田によると、志田は伊達公夫の捜索を始めてから様子が変わり、英語学校に通いだしたらしい。<br> 志田はハリソン英語学校に生徒として潜入し何かを掴んだのだが、そのために殺されたようだ。<br> <br> 日の出食堂の熊子によると、英語学校には有名な政治家や社長の他、蓮花も通っていたという。<br> <br> 花月楼で栗山と話しをする。<br> 殺された志田は、殺害される前日あたりに大きな背中に引っかき傷を付けていたようだ。<br> そのことが、千鶴はどうも気になるという。<br> <br> 浅草の見世物小屋では、平田権六が相変わらず怪しい興行を開いている。<br> 平田によると、蓮花には色々と良くない噂があったようだ。<br> <br> 事務所に戻った三人は、美和と蘭丸に迎えられる。<br> 美和は、みんなのためにシチューを用意したという。<br> 美和と蘭丸は、すでにシチューを食べたようだ。<br> 常盤がお茶を淹れ、一同揃って夕食となる。<br> しかし夕食後、滋乃と千鶴、常盤は次々に意識を失っていく。<br> どうやら夕食と一緒に、睡眠薬を飲まされてしまったようだ。<br> <br> 『続・猟奇同盟』前編END<br> <br> <br></dd> <dt>223 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/29(金) 06:06:52 ID:WSAwRHwc0</dt> <dd>☆第六話『続・猟奇同盟』後編<br> <br> 一同が眠りから醒めると、蘭丸(ランドルフ丸山)の姿が事務所から消えていた。<br> 昨晩自室に戻った蘭丸は、一同が眠っている間に猟奇同盟に誘拐されてしまったのだ。<br> 常盤と千鶴、滋乃は操作を再開する。<br> マジックホールで工藤めぐみから、蓮花が篠原を気味悪がっていたという情報を得る。<br> 篠原は蓮花の口利きでホールに勤め始めたはずなのに、何故なのだろうか。<br> <br> 花月楼で栗山から、シチューに睡眠薬の反応が出たことを聞かされる。<br> シチューを作ったのは美和だ。<br> それに彼女は、昨晩一同と一緒にはシチューを食べず、一足先に事務所を出て行った。<br> 親しい間柄の彼女が、猟奇同盟とつながっているのだろうか?<br> また、蘭丸の部屋の鍵が壊されていたこともわかった。<br> <br> 日の出食堂の中田熊子によると、蓮花が殺される前、花柳宗司が蓮花のことを聞きに訪れたという。<br> どうやら彼はその時、ハリソン邸に向かう蓮花を尾行していたようだ。<br> <br> 勝鬨の渡しの船頭、相模陣兵衛によると、ハリソン邸では英語学校を隠れ蓑に売春が行われていたそうだ。<br> <br> 日本館で、河村須美子から花柳の噂を聞くことができた。<br> 彼は女好きで有名で、いまも工藤めぐみと30前後の女性と二股をかけているらしい。<br> その女性とは、美和のことなのだろうか?<br> 須美子の話は、増田伸次の証言によっても裏付けられた。<br> 志田は猟奇同盟調査の為、30前後の女性と面会していたらしい。<br> <br> ここで常盤は、美和が猟奇同盟の一員で花柳はその協力者、<br> そして彼らは蓮花を監視していたのではないか、との推理を組み立てる。<br> また、志田が接触したのも美和で、彼女は危険を感じ志田を始末したのでは、と予想する。<br> <br> 美和を猟奇同盟の一員とする常盤の推理を、心情的に受け入れられない二人。<br> また美和は現在旅行中とのことで、本人の話を聞くことも出来ない。<br> そんな二人に、常盤はもう遅いし自宅に帰る、またいつでも連絡して欲しいといい別れを告げた。<br> <br> 翌日、広島から帰ってきた巴と諸星は美和犯人説を受け入れる前に、独自に調査を開始する。<br> マジックホールでは、工藤と花柳が痴話喧嘩を繰り広げていた。<br> 工藤の話によると、花柳が二股をかけていた三十前後の女性とは、蓮花のことだったようだ。<br> <br> 次に花柳に話を聞くと、蓮花が遺したスクラップブックを<br> 彼女の生前金庫に納めたのは、彼と小谷内だという。<br> 花柳はブックの他に多くの書類を同時に蓮花から受け取ったという。<br> しかし以前小谷内から金庫の中身として受け取ったのは、ブックだけだった。<br> この事実を知った巴は、一つの結論に達する。<br> <br> 小谷内は、蓮花をかばって本当は金庫の中にあった書類を隠していた。<br> それら書類は、蓮花が猟奇同盟の一員であることを示すスキャンダラスなものだった。<br> また、書類には同盟のメンバーとして、著名な政治家・財界人・芸能人の名が多く記されていた。<br> 蓮花が殺された際楽屋が荒らされたのは、犯人がこの書類を探したためだ。<br> <br> また巴は、花柳と小谷内は同盟のメンバーではないと断言する。<br> 二人が同盟のメンバーなら、すでにコレを処分しているはずだからだ。<br> 蓮花は志田殺しに絡み御神楽探偵事務所に目を付けられた為、<br> 同盟に派遣された監視者である篠原に殺されたのだった。<br> 花柳が以前蓮花を尾行したのは、彼女の身を案じた小谷内の依頼によるものだった。<br> <br> 次に二人は、東京日報へ増田を訪ねる。<br> 増田は、二人に志田の遺した写真を見せてくれた。<br> 写真にはハリソン邸の窓が写っており、その中には巴に催眠術をかけた仮面の男の姿があった。<br> ハリソン邸が同盟の本拠地だと確信した諸星は、屋敷の強行調査を決意する<br> <br></dd> <dt>224 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/29(金) 06:09:13 ID:WSAwRHwc0</dt> <dd>ハリソン邸に踏み込んだ二人は、相模の協力もあり、隠し部屋を発見する。<br> しかし諸星は、二人で突入するのは危険だとして本庁へ応援要請のため戻っていった。<br> その後巴は一時諸星からの連絡を待つが、蘭丸の身を案じ、単身突入を決意する。<br> そこに、諸星から連絡を受けた千鶴と滋乃が合流し、三人はハリソン邸へと突入する。<br> <br> 隠し部屋から地下に降りると、そこには広大な洞窟に作られた地下施設が広がっていた。<br> かつて巴が拉致された際、監禁されたのもこの場所だった<br> やはり、ここが猟奇同盟本拠地のようだ。<br> <br> 迷路のような洞窟を進んでいくと、誘拐された少年少女達が全裸で監禁されている牢屋があった。<br> そこには、以前行方不明となった伊勢真由美の弟、伊勢公夫の姿があった。<br> 公夫の無事を確認した三人は、更に洞窟の奥へと進んでいく。<br> <br> 三人は洞窟の最奥、享楽の島と名づけられた施設の中枢へとたどり着く。<br> しかしそこで、武装した猟奇同盟員たちに包囲されてしまう。<br> 三人は連行され、ばらばらの部屋に監禁された。<br> <br> 監禁部屋の中で、巴は推理をめぐらせる。<br> そして、美和は猟奇同盟の協力者ではない、との結論に達する。<br> 彼女に嫌疑がかかったのは、作ったシチューに睡眠薬の反応があったことと、<br> 花柳や志田が彼女と同じ年頃の女性と面会していた、という2つの理由からだった。<br> しかし、花柳たちがあっていたのは蓮花だということがすでに証明されている。<br> また、美和がもし蘭丸を攫ったのなら、彼女は事務所のメンバーと親しいのだから、<br> 蘭丸の部屋の鍵を壊したりなどせず、蘭丸自身に空けてもらって部屋に侵入すればいい。<br> 以上の理由から、美和が猟奇同盟員で蘭丸誘拐の犯人とは考えられない。<br> <br> おそらく、睡眠薬はシチューと一緒に飲んだお茶に入っていたのだろう。<br> 犯人は自分だけ普通のお茶を飲み、他の人間が寝ている間にシチューに薬を混入、蘭丸を誘拐したのだ。<br> つまり犯人は、千鶴たちに「捜査に協力する」といって近づき、問題のお茶を淹れた人物・・・。<br> ここまで巴が考えをまとめた時、猟奇同盟員が彼女を部屋から連れ出す。<br> <br> 向かった先は、享楽の島だった。<br> そこは極彩色のスポットライトで彩られ、<br> 誘拐した多くの少年少女たちを殺して作られた「人間剥製」により飾られていた。<br> 今牢屋に閉じ込められている少年少女たちも、いずれは剥製にされてしまう予定だったのだ。<br> 享楽の島中央に位置する玉座に、仮面を付けた猟奇同盟の主宰が居た。<br> 彼こそが猟奇同盟を組織し、数々の犯罪を指揮し、またかつて巴に催眠術をかけた人物であった。<br> 巴は、同盟主宰の正体を喝破する。<br> <br> 猟奇同盟主宰の正体、それは常盤省吾だった。<br> 常盤を激しく非難する巴に対し、彼は「悪こそが人間の本質」と演説をぶつ。<br> そして、巴にも人間剥製になってもらうと言うのだった。<br> <br> その時、巴を拘束していた同盟員の一人が仮面を外す。<br> それは、入院しているはずの時人だった。<br> そこに時人に導かれた警官隊が現れ、常盤以下猟奇同盟は壊滅したのだった。<br> <br> 時人が重態というのは、猟奇同盟を油断させる為の芝居だった。<br> 敵をだますにはまず味方から、でこのことを知っているのは時人と諸星だけだった。<br> 巴は時人に怒りつつも嬉しさを隠せず、事件を解決した一同は事務所へと帰っていくのだった。<br> <br> ☆第六話『続・猟奇同盟』END<br> <br></dd> <dt>318 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/11(水) 06:42:10 ID:3lGt4jgq0</dt> <dd>間が空いてしまいましたが、続・御神楽少女探偵団~完結編~です。<br> <br> ☆第七話『蜃気楼の一族』登場人物<br> <br> ・久御山多聞・・・滋乃の父。子爵。<br> ・伊庭浩三・・・かつて『太白星』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で知り合ったオペラ座の館長。</dd> <dd>・河村須美子・・・これまでの事件を通じ、御神楽事務所のメンバーとも親しくなっているオペラスター。<br> ・小野寺守衛・・・小野寺家当主。子爵。<br> ・小野寺喜久子・・・守衛の妻。<br> ・小野寺一郎太・・・小野寺家の子息。好青年。<br> ・木原シゲ・・・小野寺家の女中頭。厳格だが使用人の鑑のような人物。<br> ・野上糸・・・小野寺家の女中。<br> ・鏡進一・・・劇場『桔梗館』館長。<br> ・片岡芳郎・・・桔梗館所属の脚本家。<br> ・日向まき・・・桔梗館所属の踊り子。<br> ・本庄晋太郎・・・劇場『銀星館』館長。<br> ・丸木戸貞蔵・・・劇場『三角館』館長。<br> <br></dd> <dt>319 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/11(水) 06:43:13 ID:3lGt4jgq0</dt> <dd>☆第七話『蜃気楼の一族』前編<br> <br> ある日滋乃は父、多聞に呼び出された。<br> そこにはかつて事件を通じ知己を得た、「日本館」館長伊庭浩三が居た。<br> なんでもこれから二人は、演劇関係者が集う会合に出席するらしい。<br> 同行を薦められた滋乃は、二人と共に会合場所の小野寺子爵家へ向かった。<br> <br> 小野寺家には、滋乃は八年前訪れたことがあった。<br> 当時のことはほとんど何も覚えていなかったが、一つだけ鮮明に覚えていることがあった。<br> <br> まだ幼かった滋乃は、屋敷の中庭にあるバラ園で手に怪我をしてしまった。<br> そのとき、居合わせた青年が滋乃を優しく手当てしてくれたのだ。<br> その青年こそが、滋乃の初恋の相手だった。<br> しかし、彼女は結局その青年の名前すら知ることが出来なかった。<br> <br> 屋敷を伊庭と共に散歩していた滋乃は、鏡進一、片岡芳郎、日向まき、本庄晋太郎と出会う。<br> 彼らも会合に出席する為、今日は小野寺邸に宿泊するらしい。<br> 宿泊客は全員、小野寺邸の別館にそれぞれ部屋を用意してもらい、泊まることになった。<br> <br> その夜、滋乃は父に突然起こされる。<br> 「人が死んでいる」という言葉を聞いた滋乃が急いで別館の外に向かうと、<br> そこには槍のような鋭い鉄柵に串刺しになった、日向まきの死体があった。<br> <br> 翌日、巴・千鶴と合流した滋乃は諸星・栗山両刑事と捜査を開始する。<br> 時人は、相変わらず別の事件で忙しいらしい。<br> 日向の死因は絞殺で、死後二階の泊まっていた部屋の窓から投げ落とされ、その際鉄柵に串刺しになったようだ。<br> 服装は昨日滋乃が会った時のままで、誰か知り合いと会ったところ、その知り合いに殺されたらしい。<br> <br> 一同が屋敷の会議室に向かうと、そこでは本庄ともう一人の男が言い争っていた。<br> 相手の男は丸木戸貞蔵という名前で、演劇について激論を交わしていたという。<br> <br> 片岡に話を聞くと、彼は昨晩脚本を執筆しているうちに眠ってしまい、何も気づかなかったらしい。<br> <br> 玄関先で伊庭に出会う。<br> なんでも掃除を理由に、女中頭のシゲに部屋を追い出されたという。<br> <br> 202号室でシゲに会い、御神楽探偵事務所と名乗ると、シゲはなぜか御神楽の名に過剰な反応を示した。<br> シゲによると、別館は夕食の七時以降玄関の鍵が閉まってしまうため、外部の人間の侵入は不可能だという。<br> また宿泊客は、それぞれの部屋の鍵と玄関の鍵を渡されている為、出入りが自由だったという。<br> <br> 殺害場所と思われる日向まきの部屋、206号室では奇妙な事実がわかった。<br> 日向まきの部屋の扉には鍵がかかっており、鍵は被害者のポケットから見つかった。<br> そしてスペアキーは無い。<br> つまり、密室殺人だ。<br> 日向まきが読んでいたと思われる芝居、『蜃気楼の一族』の台本がベッドの上にあった。<br> 豊臣秀吉をモチーフにした芝居らしい。<br> <br></dd> <dt>320 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/11(水) 06:43:57 ID:3lGt4jgq0</dt> <dd>屋敷の廊下では片岡、丸木戸、本庄が何か言い争いをしていたが、一同が近づくと気まずそうに立ち去った。<br> <br> 201号室に止まっている本庄に話を聞くと、片岡と丸木戸は犬猿の仲で、本庄は二人の喧嘩を仲裁していたらしい。<br> 二人は、この屋敷で行われるはずだった会合の方針を巡って喧嘩をしていたという。<br> それは、劇場はもっと高尚な劇を上演すべきか否か、という議題の会合で、<br> 賛成派の片岡と反対派の丸木戸の意見はまるで合わない、という。<br> そして、本庄は中立らしい。<br> <br> 202号室で伊庭に話を聞くと、鏡と片岡は、丸木戸への嫉妬から彼と対立しているという。<br> 鏡たちの劇場よりも、丸木戸の劇場の方がずっと客の入りがいいのだそうだ。<br> <br> 諸星警部の調べで、日向は片岡の愛人だったことが判明した。<br> <br> 207号室に泊まっている丸木戸に話を聞く一同。<br> 昨晩、隣の206号室、つまり日向の部屋から争っている声が聞こえたという。<br> 日向の声ははっきりと聞こえたが、争っていた相手の声までは判別できなかったらしい。<br> <br> 翌日、このまま宿泊客達を屋敷に留めておいてもしょうがない、ということで屋敷の出入りが自由になった。<br> そして、一同は本館のバラ園で小野寺家の子息、一郎太と出会う。<br> 彼は何故か御神楽探偵事務所のことについて詳しく、巴たちの捜査には協力的だ。<br> 彼は女中の野上糸を捜しているらしい。<br> <br> 中庭の小道で、糸を見つける一同。<br> 彼女の話によると、日向が生前、この小道で喜久子と話している姿を見たらしい。<br> 華族の夫人が、屋敷から離れた場所で踊り子と話していた、という証言に一同は戸惑う。<br> <br> まだ別館の203号室に滞在している鏡進一に、日向と喜久子の関係について、心当たりを聞く。<br> すると、日向は生前「『蜃気楼の一族』で喜久子様の役をやる」と言っていた、との証言を得る。<br> 日向の役は、秀吉の側室、淀君だったらしい。<br> <br> 205号室に行くと、片岡が帽子を探していた。<br> もしかしたら、206号室に帽子があるかもしれないと言う片岡に不審を覚える一同。<br> すると片岡は、事件当夜片岡と日向が部屋を替わった事実を明かした。<br> なんでも、本来は日向が205、片岡が206に泊まる予定だったところ、日向に頼まれ部屋を入れ替えたらしい。<br> シゲに確認を取り、片岡の話は真実であることが判明した。<br> 犯人は当初、もしかしたら日向ではなく片岡を狙っていたのだろうか。<br> <br></dd> <dt>69 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/30(月) 07:14:18 ID:id9IYkUK0</dt> <dd>☆第七話『蜃気楼の一族』中編<br> <br> 時人は、別途関わっていた事件が後味の悪い結末に終わってしまったらしく、<br> 半ば自室警備員化しており捜査に協力はしてくれないようだ。<br> 三人は、時人が立ち直るまでに出来るだけ事件を調べておこうとする。<br> <br> 小野寺家中庭で、野上糸から片岡が有力容疑者なのか、と質問される。<br> どうやら栗山刑事が、捜査情報を喋ってしまった様だ。<br> そして糸から、片岡がこの屋敷にちょくちょく来て、喜久子夫人と会っていることを聞かされる。<br> どうやら片岡は、喜久子から資金援助を受けているようだ。<br> <br> 別館の203号室では、鏡が帰り支度をしていた。<br> 鏡の話によると、日向は死の直前、大金が入ると周囲に吹聴していたらしい。<br> 犯罪の匂いを感じる三人。<br> <br> 207号室で丸木戸に聞いたところによると、喜久子は演劇に全く興味が無いらしい。<br> 演劇に興味が無いのに、喜久子が片岡を援助しているのはどうしてなのだろうか。<br> <br> 本館で喜久子に事情を聞こうとするが、玄関口でシゲに入館を拒まれてしまう。<br> どうやらシゲは、事務所のメンバーが喜久子と会うのを防ぎたいらしい。<br> しかし、通りかかった一郎太の計らいで、無事本館に入れることになった。<br> <br> 喜久子に会いに夫人室へ向かうと、中から彼女とシゲの会話が聞こえてきた。<br> どうやら喜久子は、体調を崩しているようだ。<br> 喜久子は、この事件のせいでまた「悪魔の子」と関わることになってしまった、と嘆いている。<br> そして、「悪魔の子」は小野寺家を恨んでいるだろう、とも言う。<br> 「悪魔の子」とは、いったい誰のことなのだろうか。<br> <br> 使用人室でシゲから話しを聞く。<br> 喜久子が片岡に援助をしているのは、かつて片岡が小野寺家に書生として住み込んでいた縁から、らしい。<br> 小野寺家と片岡は、20年以上の付き合いがあるという。<br> <br> 小道で一郎太と出会う。<br> 彼によると、シゲは喜久子が小野寺家に嫁いで来る前から彼女に仕えていたらしく、やや狂信的な忠誠心を持っているという。<br> <br> これまで得た情報を元に、三人は推理を巡らせる。<br> 「悪魔の子」が小野寺家への恨みから、邸内で無差別殺人を犯したのだろうか。<br> <br> 演劇界について調べる為、浅草の劇場街を訪れた三人。<br> 鏡と片岡の居る桔梗館に向かう。<br> 片岡によると、日向は本庄の経営する銀星館から移籍してきたらしい。<br> <br> 伊庭の経営する日本館に向かう三人。<br> 親しくしている河村須美子の楽屋を訪れると、河村と本庄が歓談していた。<br> 本庄いわく、日向はかなり金に汚い性格だったらしい。<br> 生前日向が言い残した「もうすぐ金が入る」という言葉にはどういう意味がこめられていたのだろうか?<br> <br></dd> <dt>70 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/30(月) 07:15:16 ID:id9IYkUK0</dt> <dd>警察署に向かうと、栗山刑事から日向まきの部屋に残されていた『蜃気楼の一族』の台本を片岡に届けるよう頼まれる。<br> 片岡から毎日返還の催促が来て、うるさいらしい。<br> <br> 桔梗館に行くと、鏡がいた。<br> 彼によると、『蜃気楼の一族』は日向の代役を立てて上演するらしい。<br> すでに台本も出来上がっている、という。<br> 台本が出来上がっているのに、なぜ片岡は警察署に返却をしつこく請求したのだろうか。<br> <br> 桔梗館に片岡の姿は無かったので、丸木戸の三角館へ向かう。<br> 丸木戸によると、日向は部屋を205から206に移ることを嫌がっていたらしい。<br> 片岡とシゲの話では、日向は自ら望んで206号室に部屋を移ったはずなのだが。<br> どうやら片岡は嘘をついていたようだ。<br> <br> 小野寺家では、糸が大量の新聞を処分していた。<br> なんでも、全てシゲが読んだものらしい。<br> 続いてシゲと出会う三人。<br> シゲは三人に、瓢箪池という場所はどこにあるのか、と突然尋ねてきた。<br> 三人が浅草にあると教えると、シゲは何故か憂いの表情を浮かべ考え込んでしまった。<br> <br> 瓢箪池では、守衛と一郎太が口論をしていた。<br> 盗み聞きしてみると、どうやら兄に会いに出かけて一郎太を、守衛が咎めているらしい。<br> 一郎太は小野寺家の長男だと思っていたのだが、もしかして兄が居るのだろうか?<br> <br> 夜、桔梗館を訪れ片岡を詰問する。<br> 片岡はなぜ日向と部屋を替えたことについて、嘘をついたのか確かめる為に。<br> 三人を前に、片岡はひどく動揺し煙草を吸いだした。<br> すると突然苦しみだし激しく喀血、そして事切れてしまった。<br> 一言「金庫」と言い残して。<br> <br> 翌日、諸星警部に片岡の死の詳細を聞く三人。<br> どうやら、煙草に毒が仕込まれていたらしい。<br> <br> 鏡に、片岡の言い残した「金庫」について訪ねる。<br> すると、桔梗館文芸部に片岡の使っていたダイヤルロック式の大型金庫があるという。<br> しかし、ロックの解除番号は亡き片岡しか知らないらしい。<br> <br> 三角館で丸木戸に金庫の中身について心当たりを聞く。<br> すると彼は、片岡が喜久子から貢いでもらった金でも入っているのではないか、と言う。<br> 片岡は喜久子の愛人だったのだろうか?<br> <br></dd> <dt>71 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/30(月) 07:15:52 ID:id9IYkUK0</dt> <dd>しかし久御山家で多聞に話を聞いてみると、喜久子が浮気なんて考えられない、という。<br> 彼女は本当に夫を愛しているらしい。<br> <br> 小野寺家で糸に話を聞くと、彼女は半年前、守衛が浮気をしている証拠を見つけていたらしい。<br> なんでも倉庫の中に、ときという女性から守衛に宛てられた恋文がしまってあったそうだ。<br> もしかして、一郎太がいう「兄さん」とは、守衛と浮気相手との間の子供なのだろうか。<br> しかし事情を良く聞いてみると、どうやらその恋文が書かれたのは今から30年近く昔のことだったことがわかった。<br> <br> さらにその後一郎太から事情を聞くと、守衛と喜久子が結婚したのは問題の恋文が書かれたよりも、<br> はるか後のことだということが判明した。<br> <br> 喜久子からも事情を聞くも、有益な情報は得られなかった。<br> しかし窓から中庭を見つめていた喜久子が、突然顔をこわばらせ「悪魔の子」と呟く。<br> 中庭に悪魔の子が居るのだろうか?<br> 三人は急いで中庭に行くが、そこには諸星警部の姿があった。<br> なんでも時人が復調したらしく、ついさっきまで彼と二人で中庭に居たらしい。<br> 三人は警部から、片岡の遺留品として『蜃気楼の一族』の台本を受け取った。<br> <br> 事務所に戻り、片岡が遺した台本を読む三人。<br> すると台本には、謎の記号がびっしりと書き込まれていた。<br> この記号が片岡のダイイングメッセージかもしれない、と考えた三人は調査を試みる。<br> <br> 日本館で伊庭に、記号について心当たりが無いか聞く。<br> すると彼はあっさり、記号は演出記号だと指摘した。<br> なんでも、演劇の演出について台本に略記する為の記号らしい。<br> 三人は落胆する。<br> <br> ☆第七話『蜃気楼の一族』中編END<br> <br></dd> <dt>81 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:15:59 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>☆第七話『蜃気楼の一族』後編<br> <br> 注: 『蜃気楼の一族』中編で重大なミスがあります。<br> 演出記号が書き込まれていた台本は、片岡の遺品ではなく日向まきの遺品でした。<br> すみません。<br> <br> 三人は、喜久子の言う「悪魔の子」に焦点を絞り捜査を行うことにした。<br> これまでの情報を整理し、「悪魔の子」とは一郎太の兄と予想できること、<br> 一郎太の年齢や糸の見つけた恋文が書かれた時期を考えると年齢は20代後半から30代前半とよそうできること、<br> などの推理を行う。<br> しかし、事件の関係者に推理した条件に合致する人間は居なかった。<br> 『蜃気楼の一族』の台本を読み込んでみるという千鶴を残し、巴と滋乃は捜査に出かける。<br> <br> 桔梗館では、踊り子と脚本家を立て続けに失った鏡が落ち込んでいた。<br> 彼の話によると、『蜃気楼の一族』の台本には、モデルが居たらしい。<br> ただ、片岡が具体的に誰をモデルにしていたのかまでは知らない、という。<br> <br> 片岡の殺された部屋では、栗山刑事が検分を行っていた。<br> 彼によると、片岡は呼吸器系に病を抱えていた為、煙草は一日二本と決めていた、という。<br> 片岡は普段一箱20本入りの煙草を吸っており、遺留品となった煙草入れには12本の煙草が残っていた。<br> 片岡の喫煙行動を知る人間が、まだ彼が小野寺子爵邸に居る間に煙草に毒を仕込んだ可能性が出てきた。<br> つまり、日向まき殺害当時子爵邸に居た人間全員が、片岡芳郎殺害の容疑者にもなるのだ。<br> <br> すっかり捜査に行き詰った二人が日本館に行くと、河村須美子と出会う。<br> 彼女は二人に気分転換をさせようと、ある暗号をパズル感覚で出題する。<br> 暗号には<br> ・C+○<br> ・N×△<br> ・◇÷Z<br> ・□-V<br> と記されている。<br> <br> 須美子いわく、この四つの式はある日付について表しており、CやNは英語でなくただの図形らしい。<br> また、+や×は単純に数学記号と考えていいそうだ。<br> 日付ということは、この暗号は0101から1231までの4桁の数字のうちどれかを表していることになる。<br> そのため、最初のC+○は0か1かのどちらかの数字を表していることになる。<br> 同様に、◇÷Zは1か2か3のうちのいずれかだ。<br> ここでCと○には図中に折れ曲がりが一切存在しないが、その他Nや◇には折れ曲がりが存在することに注目する。<br> すると上記の4式は<br> <br> ・C+○=0+0=0 (折れ曲がり数がそれぞれ0の為)<br> ・N×△=2×3=6 (Nの折れ曲がり数は2、三角の折れ曲がり数は3)<br> ・◇÷Z=4÷2=2 (◇の折れ曲がり数は2、Zの折れ曲がり数は2)<br> ・□-V=4-1=3 (□の折れ曲がり数は4、Vの折れ曲がり数は1)<br> <br> となり、暗号は0623、つまり6月23日を表していることがわかる。<br> <br> 二人が見事暗号を解くと、この暗号は彼女が後輩と一緒に遊びで考え付いたもので、<br> 今では浅草の演劇関係者間で広くブームになっていると須美子は教えてくれた。<br> 殺された片岡も、この暗号遊びを大変気に入っていたという。<br> 二人は、片岡の遺した台本に記されていた演出記号もこの暗号だったのではないか、と気づく。<br> <br> 二人は伊庭から演出記号について教えてもらった後、事務所で千鶴と共に暗号解読を行う。<br> 片岡の台本に記されていた演出記号は、やはり暗号になっていた。<br> 演出記号が記されている場面に登場する人物の名前にはそれぞれ数字が入っており、<br> 劇の進行と矛盾した演出記号が記されている人物の名前に入っている数字を並べると、5桁の数字になる暗号だった。<br> それは、桔梗館にある金庫のロック解除番号だった。<br> <br></dd> <dt>82 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:17:17 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>金庫の中には、片岡のアイデアノートがあった。<br> そこには、『蜃気楼の一族』のモデルとなった人々の名が記されていた。<br> 『蜃気楼の一族』は豊臣秀吉の晩年について描いた芝居で、秀吉のモデルは小野寺守衛、淀君のモデルは小野寺喜久子、<br> 秀頼のモデルは小野寺一郎太、英次のモデルは小野寺佐次となっていた。<br> この芝居は、小野寺一族をモデルとして描かれたものだったのだ。<br> そして巴と滋乃は、小野寺家に今までであったことの無い「佐次」という人間が居ることを知る。<br> この佐次こそが、一郎太の兄で、喜久子から「悪魔の子」と呼ばれていた人物なのだろう。<br> <br> 事務所に戻った二人は、千鶴に『蜃気楼の一族』の粗筋を教えてもらう。<br> 晩年の秀吉と淀君の間には、なかなか子供が生まれなかった。<br> そこで秀吉は遠縁の秀次を養子に迎える。<br> 自分の血を引かない人物が豊臣家の跡継ぎになることに焦った淀君は、自分の小姓と密通して子を出産。<br> その子を秀吉の子、と偽り豊臣家の跡継ぎにしようと画策する。<br> そして、秀次は邪魔者扱いされるようになり、最後には切腹させられてしまう。<br> 以上が『蜃気楼の一族』の粗筋だった。<br> <br> 物語の粗筋を小野寺家に当てはめてみると、小野寺佐次は小野寺家に切り捨てられた存在になる。<br> 自らの境遇を恨んだ佐次が、復讐の為小野寺家で殺人を起こし、自分の正体を知る片岡までも殺したのでは、と三人は推理する。<br> <br> 巴と滋乃は居合わせた諸星警部と共に、父である多聞に小野寺守衛の過去と、佐次について尋ねる。<br> しかし、多聞は佐次のことについては何も知らない、という。<br> ただ、多聞と守衛とは学生時代に留学中のロンドンで知り合って以来の仲で、留学中守衛が高熱で腎臓を患ったことを教えてくれた。<br> <br> 久御山家を出ると、諸星警部は気になることがある、という。<br> 高熱で腎臓を患うと、同時に精巣の機能も失われてしまう、つまり生殖能力を失ってしまうことがあるらしい。<br> 晩年の秀吉が子供を作れなくなっていたのと同様に、守衛も子供が作れない体である可能性があるのだ。<br> もしかすると、一郎太は芝居の中の秀頼と同様に、守衛と喜久子の間の子供ではないのかもしれない。<br> <br> 探偵事務所に帰ると、蘭丸からつい先ほどまで一郎太が訪ねてきていたことを教えられる。<br> 時人に直接捜査をしてもらうよう、依頼に来たらしい。<br> その後事務所が入っているビルの一階にある、美和の経営する古美術屋に行く二人。<br> そこで二人は美和から、驚くべき事実を教えられる。<br> <br> 美和曰く、時人と一郎太は兄弟だという。<br> 御神楽探偵事務所開設のため、美和に不動産賃貸の契約を申し込む際、時人は一郎太と二人で契約に来たのだ、という。<br> つまり「悪魔の子」、小野寺佐次とは、他ならぬ御神楽時人のことだったのだ。<br> <br> 愕然とする二人の所に、諸星警部がやってくる。<br> やはり小野寺守衛は無精子症だったらしい。<br> つまり一郎太は、守衛と喜久子との間の子供ではないのだ。<br> ただ、そのことを守衛本人は知らないのだという。<br> <br> <br> 滋乃は自宅で多聞を問い詰める。<br> すると、多聞は自分の知ること全てを話す決意をした。<br> 多聞は、昔から御神楽時人が小野寺佐次であることを知っていた。<br> かつて多聞と小野寺佐次を名乗っていた頃の時人とは、何回か出会っていたのだ。<br> ただ、ときは平民であったため、周囲の邪魔が激しく守衛とときは結婚することが出来なかった。<br> そして、佐次はときの実家に引き取られ育てられることとなった。<br> その後守衛は名家の息女、喜久子と結婚するのだが、守衛と喜久子の間には子供が生まれない。<br> そのため、小野寺家の血を引く佐次を再び小野寺家に迎え入れるのだが、そのことに喜久子は深く傷ついた。<br> 彼女は夫を深く愛しており、夫が婚前に他の女性に生ませた子供と共に暮らすことに耐えられなかったのだ。<br> しかし、やがて喜久子が一郎太を生んだ為今度は佐次が「用済み」となってつらい立場に立たされた。<br> そして佐次は20を越えたあたりで屋敷を飛び出し、御神楽時人と名を変えたのだった。<br> ちなみに御神楽の姓は、佐次の実母ときの実家の姓であり、時人の名も、御神楽家にいる間にときから呼ばれていた名だそうだ。<br> 多聞は時人が華族の出であり、誠実な人柄であることを知っていた為、娘の滋乃が御神楽探偵事務所で働くことを許したのだった。<br> <br></dd> <dt>83 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:18:14 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>衝撃を受けた滋乃は、初恋の人との思い出が眠る小野寺家の中庭に佇んでいた。<br> そして、八年前と同じようにバラで手に怪我をしてしまう。<br> そこに、偶然時人がやってきて滋乃の心配をする。<br> ここで滋乃は、八年前の初恋の記憶を詳細に思い出す。<br> そして自分の初恋の相手、八年前自分を手当てしてくれた青年は小野寺佐次、つまり現在の御神楽時人であることに気づく。<br> <br> 一方事務所では、巴と千鶴が事件の真相について推理を行っていた。<br> この事件の動機は小野寺家を守るためであること。<br> そのため、小野寺家の秘密である一郎太の出生を知る片岡と日向を殺害した。<br> これまでは、片岡が秘密を守る代わりに喜久子が資金援助を行う紳士協定が成立していた。<br> 片岡はかつて小野寺家の書生だった関係で秘密について知っていた。<br> そしてその秘密をアイデアノートに記し金庫に隠し、暗証番号を台本に暗号で記録した。<br> だが日向は暗号の記された台本を入手し暗号を解読、金庫を開けアイデアノートを読み、秘密を知った。<br> そして秘密を知った日向まきが喜久子を脅迫したことをきっかけに、紳士協定が崩れたのだろう。<br> しかし殺害の動機については推理が出来たが、密室殺人である日向まき殺害のトリックまではまだ解明できない。<br> 二人は調査の為、事件現場に再び向かう。<br> <br> この時間、小野寺家の別館入り口は施錠されているはずなのだが、なぜか鍵はかかっていなかった。<br> 事件当夜丸木戸が泊まっていた207号室には、糸がいた。<br> なんでもこの時間まで掃除をしているらしい。<br> その後片岡が使っていた205号室に移動すると、間に206号室を挟んでいるにもかかわらず、207に居る糸の鼻歌が聞こえてきた。<br> どうやら205号室と207号室は通風孔で繋がっているらしく、そのため207の人の声が205まで聞こえるようだ。<br> 急いで207号室に戻ってみると、糸が大量の丸められた新聞紙を手にしていた。<br> なんでも、通風孔にぎっしりと詰め込まれていたらしい。<br> 糸がこの新聞を取った為通風孔が通るようになり、彼女の鼻歌が205まで聞こえてきたのだ。<br> そして詰め込まれていた新聞の日付は、日向まき殺害翌日の朝刊だった。<br> そこに、時人と滋乃が突然現れる。<br> <br> 時人と三人は、事件について推理を行う。<br> これまで日向まきの殺害現場は、彼女が泊まっていた206号室だと思われていた。<br> それは、207に泊まっていた丸木戸が、隣室から日向と何者かが争う声が聞こえてきたと証言した為だ。<br> また、彼女の死体が206号室の窓下にあったことも重要な理由となった。<br> しかし通風孔の存在が明らかになった今、丸木戸の聞いた声は205から聞こえていた可能性が出てきた。<br> 205号室は事件当夜、片岡が宿泊していた部屋だ。<br> 片岡が日向まきと部屋を替わった理由を隠していたこと、日向まきの台本を必死に取り返そうとしていたことなどから、<br> 彼が日向まき殺害に関与していた可能性は十分にある。<br> 片岡が、日向を自室に呼び出し殺害。<br> その準備として普段は声が伝わってしまう問題を防ぐ為新聞紙で塞いでいる通風孔を、事件当夜だけ開放したと考えられるのだ。<br> しかし、つい先ほどの糸の証言によると、通風孔は事件翌朝の朝刊で塞がれていた。<br> 通風孔を塞ぎなおしたのは誰なのだろうか。<br> <br></dd> <dt>84 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:19:33 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>事件翌日を思い出すと、シゲが何故か207号室から丸木戸を締め出し、部屋の鍵を閉めて掃除をしていた。<br> また、丸木戸と違いシゲには小野寺喜久子を守るという、殺人の動機を持っている。<br> つまり、シゲと片岡が共謀して日向まきを殺害した、と推理できる。<br> また、日向の死体が206の窓下から見つかった理由は、205の窓から死体を投げ出すと下にせり出している屋敷玄関口の屋根に死体が落ち、<br> 屋根は傾斜している為に死体が自然に斜め下方向へ滑り落ち、206の窓下に落下する、という単純なトリックがあったためだ。<br> <br> 事件は日向まきが小野寺喜久子を脅迫したことに始まり、それを知った木原シゲが殺害を計画。<br> 片岡と共謀して日向を殺害したのが真相と思われる。<br> 時人がそう語った瞬間、一同の居る205号室ににシゲ本人が入ってくる。<br> そして、あっさりと自らの罪を認めた。<br> 喜久子を脅迫した日向を、彼女の扱いに困っていた片岡と共に殺害した。<br> そして、日向まき殺害と同時に、最早邪魔者でしかない片岡も殺害することを決めたと言う。<br> すると時人は、巴たちを205号室から退去させた。<br> <br> 二人きりの部屋で、激しく対峙する時人とシゲ。<br> 日向まきは、やはり一郎太の出生について喜久子を脅迫していた。<br> そして、一郎太の本当の父親は、他ならぬ片岡芳郎だった。<br> かつて守衛の隠し子である佐次の登場にひどく傷ついた喜久子のため、シゲが手引きし片岡と喜久子の間に子を生ませ、<br> それを守衛と喜久子の間の子として偽ったのだった。<br> シゲの行いを糾弾する時人に対し、彼女は憎悪をむき出しにして、お前さえ現れなければ子は無くとも喜久子は幸せだったという。<br> その後冷静さを取り戻したシゲは自首を決意、ただし動機については真実を喋らないという。<br> 時人も一郎太出生の秘密については隠しておくことを約束し、小野寺家での事件は解決した。<br> <br> 事件解決から二日後、瓢箪池のほとりを時人と一郎太が並んで歩いていた。<br> 一郎太は自分の出生の秘密を知らないで居るし、時人もそのことを教える気はない。<br> 一郎太が、時人に小野寺家に戻るよう誘いをかけるが、時人は自分はもう小野寺家の人間でないとして誘いを断る。<br> それぞれ別の道を歩むことになった二人だが、兄弟としてお互いを大切に思う気持ちは共通のものだった。<br> <br> ☆第七話『蜃気楼の一族』END<br> <br></dd> <dt>210 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 04:58:29 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』登場人物<br> <br> *今回は時人、蘭丸、美和が旅先で遭遇した事件という設定なので、いつもの三人娘は事件に絡みません。<br>  この事件での「三人」とは、時人、蘭丸、美和のことです。<br> <br> ・幣原作次・・・事件の被害者。酒乱で博打狂い、児童虐待が日常だった鬼畜親父。<br> ・幣原恒子・・・幣原家長女。なかなかの美人。<br> ・幣原みのる・・・幣原家長男。漁師。高校生ぐらいの年齢。<br> ・幣原郁・・・幣原家次女。小学校高学年ぐらい。盲目。<br> ・須賀五一・・・恒子の幼馴染。漁師で船長。<br> ・広瀬忠治・・・五一とみのるの同僚。<br> ・坂東五郎左衛門・・・地元の有力土建屋。半ば極道。<br> ・米井京子・・・恒子の同僚。<br> ・野呂田みつ・・・幣原家の隣人。<br> ・無明住職・・・塚原浄光寺の住職。『夢男』、『甦る夢男』事件で時人と知り合う。<br> ・多岐川刑事・・・『夢男』、『甦る夢男』事件で捜査を共に行った、新潟県警刑事。<br> ・森弥一・・・多岐川の部下。警官。<br> <br></dd> <dt>211 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 04:59:22 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』前編<br> <br> 時人と蘭丸は、かつて『甦る夢男』事件で自殺した阿部譲太郎・正夫兄弟の墓参りの為、<br> 事件の舞台となった新潟へ旅に出ていた。<br> たまたま同時期に美和が新潟へ商品の買い付けに出かけていたため、現地で彼女と合流し、三人旅となった。<br> <br> 阿部兄弟と父親の倉賀が埋葬されている塚原浄光寺で、無明住職に案内され墓参りを済ませる三人。<br> そこに、かつて捜査を共にした多岐川刑事がやってくる。<br> 多岐川に、美和と夫婦であると間違えられ、舞い上がってしまう時人。<br> 多岐川は、近頃発生した妙な殺人事件の解決を時人に依頼に来たという。<br> 美和も、観光を中止して捜査に協力してくれるという。<br> <br> 事件は、郊外にある木造二階建ての民家で起こった。<br> この家の主人である幣原作次が、昨晩何者かに殺されたのだ。<br> 多岐川は、部下の警官森を三人に紹介する。<br> <br> 作次の遺体は、家の中庭にあった。<br> 美和と蘭丸に死体を見せないよう、一人で検分を行う時人。<br> 昨日は夕方から夜まで豪雨だったので遺体は風雨で洗われたのだが、それでも血の匂いが垂れ込めていた。<br> 遺体の腹部は鉈で滅多切りにされており、内臓までもがミンチのようになっていた。<br> このひどい殺され方を見た時人は、犯人が被害者に強い恨みを持つ人物だと推理する。<br> 凶器の鉈は、遺体のそばに落ちていた。<br> 犯人は、この鉈で中庭にあった何度の戸を壊そうとしていたらしい。<br> 実際、何度の戸が昨晩何者かによって半壊させられていた。<br> 妙なことに、作次は中庭で殺されたにもかかわらず、遺体は履物を履いていなかった。<br> さらに多岐川によると、死亡推定時刻は昨日18時の前後1時間。<br> 豪雨の真っ只中に、作次は殺されたようだ。<br> <br> 家の居間で、長女の恒子から事情を聞く三人。<br> 彼女は普段家を離れ新潟の市内で働いている為、昨晩はここに居なかったという。<br> 森によると、彼女は市内の古町というところで芸者をしているらしい。<br> 殺された作次は「飲む・打つ・買う」三拍子揃ったDQNで、家計を支える為仕方なく芸者として働いているらしい。<br> <br> 次女、郁の部屋には布団に寝かされた郁と、それに付き添う長男、みのるがいた。<br> みのるは現在漁師をやっており、昨日は嵐に備え舟の陸揚げを手伝った後、漁業組合の建物に泊まった為やはりここには居なかった、という。<br> 陸揚げは昼頃から始め、終わったのは20時ごろだったらしい。<br> 次に郁に事情を聞こうとした三人は、彼女が盲目であることに気づく。<br> みのるによると、昨晩彼女は市内の恒子の家に遊びに行っており、今朝事件の報せを聞き姉妹で帰ってきたそうだ。<br> <br></dd> <dt>212 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 04:59:58 ID:OvTjfM610</dt> <dd>多岐川によると、事件の前日、少し離れた別の民家で泥棒被害が出ていたらしい。<br> なんでも、非常に高価な仏像が盗まれたのだという。<br> 多岐川は、この泥棒が幣原家に盗みに入り、作次に発見されたため彼を殺害した、と考えているようだ。<br> <br> 外が騒がしくなったので行ってみると、幣原家への立ち入りを求める漁師風の男と森警官が揉めていた。<br> 彼は恒子の幼馴染、須賀五一で、恒子が身元を確認した為、幣原家への立ち入りが許された。<br> <br> 森警官によると、かつて幣原家は漁業の網元として権勢を振るっていたが、<br> 作次の道楽が祟り今は落ちぶれ、網本の権利は須賀家が引き継いだという。<br> 作次は、地元の漁師連中の間では鼻つまみ者だったようだ。<br> <br> 五一は、家の寝室で落ち込む恒子を慰めていた。<br> その様子を中庭からみのるが見つめ、五一のことを睨み付けているようだ。<br> みのるは、自分が三人見られていることに気づくと不機嫌そうに立ち去った。<br> <br> 五一は、今朝漁業組合の事務所に居たところ、家へ帰ったはずのみのるが戻ってきて、事件を知らされたという。<br> どうやら昨晩は、彼とみのるは一緒に組合事務所に泊まったようだ。<br> みのるが家に帰ったのが今朝6時半で、事件を知らせに戻ってきたのが7時過ぎだったという。<br> その後、五一は事件を市内に居る恒子に知らせる為、自動車で彼女の家へ向かったという。<br> なぜ事件を知らせる為に電話を使わなかったのか、と美和が訪ねると、<br> 昨日の豪雨で電話線がやられ、今朝の時点ではこの一帯の電話が使えなくなってたという。<br> そして市内から恒子と郁を連れ、三人で汽車に乗って帰ってきたらしい。<br> <br> 納戸の前に行くと、みのるが半壊した戸から納戸の中を覗き込んでいた。<br> なんでも郁が居なくなってしまったらいく、ここにいないかと探しに来たらしい。<br> 郁は、嫌なことがあると納戸にこもる癖があるそうだ。<br> さらにみのるによると、納戸にはろくなものがしまってなく、戸には鍵すらかけていなかったという。<br> <br> 幣原家唯一の隣家、野呂田家に行く三人。<br> 住人の野呂田みつによると、殺された作次のDQN振りは有名だったらしい。<br> みつるや郁は、作次に度々暴力を振るわれていたそうだ。<br> <br> 蘭丸は時人に、作次の顔見知りを犯人として疑っているのか、と訊ねる。<br> 捜査の主眼を、顔見知りのアリバイ確認においているように感じたからだ。<br> 時人はそうだと答え、仏像泥棒が犯人ではない、それは作次の死体が必要以上に壊されていたからだ、と答える。<br> 実は多岐川も仏像泥棒が犯人だとは思っておらず、犯人を油断させ捜査をやりやすくする為にあえて惚けているらしい。<br> <br> 『暗闇の手触り』前編END<br> <br></dd> <dt>213 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 05:00:44 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』中編<br> <br> 翌日、塚原浄光寺で美和と合流する時人と蘭丸。<br> 今度は作次の交友関係を洗い、また幣原家の人々のアリバイ確認をより精密に行うことにする。<br> <br> 漁業組合事務所に行くと、漁師の広瀬忠治がいた。<br> 彼によると、昨日みのるは間違いなく20時ごろまで舟の陸揚げをやっていたという。<br> また、みのるは普段五一の舟に乗って漁をしているらしい。<br> しかし、昨日三人は恒子と親しくする五一を睨むみのるの姿を見ているのだが・・・。<br> 五一は、DQN作次の代わりに自分がみのるを一人前にしようと思っているようだ。<br> ただ、最近みのるは五一に対してなにかと反抗的だとも言う。<br> 事件当日の作次の行動について心当たりを聞くと、どうせ賭場に入り浸っていたのではないか、と返された。<br> このあたりの顔役で坂東の親分という土建屋がおり、彼が週二回ほど賭場を開催するらしい。<br> <br> 幣原家に行き、多岐川刑事に進展を聞く。<br> 解剖の結果、遺体腹部の鉈による損傷は、作次の死後に付けられたことが判明したという。<br> しかも犯人は、最低でも作次の死後5分以上たってから鉈で腹部を滅多切りにしたらしい。<br> なぜ犯人は殺人現場に5分以上とどまり、死体を損壊したのだろうか。<br> <br> 郁の部屋で布団を取り替えていた恒子に話を聞く。<br> 以前五一が恒子に結婚を申し込んできたことがあるのだが、作次が恒子の意思も聞かずに断ってしまったという。<br> どうやら家の稼ぎ手を失うことを嫌った作次が、強引に行動したらしい。<br> ただ、二人は恋仲ではあるようだ。<br> <br> 汽車に乗り、新潟市内へ向かう三人。<br> 恒子の働いている島源という店に脚を運ぶと、彼女の同僚である米井京子に話を聞くことが出来た。<br> 京子によると、事件当夜恒子は島源で働いており、翌朝間違いなく恒子と郁の姿を見たという。<br> また事件翌朝になるまで、豪雨の影響で鉄道が止まっていたらしい。<br> <br> 郊外に戻ってきた三人は、そのまま作次の入り浸っていた賭場のある、坂東組へ向かう。<br> 坂東の親分、五郎左衛門に面会することにあっさり成功する。<br> 五郎左衛門によると、事件当日作次は間違いなくこの賭場に来ていたという。<br> どうやら17時30ごろまで賭場にいたらしい。<br> ちなみに、坂東組から幣原家までは片道30分ほどかかる。<br> さらに、その夜作次は有り金を全部摺ってしまい、娘の郁をカタに入れるから金を貸せ、と暴れたそうだ。<br> 郁が盲目だということは五郎左衛門も知っていたらしく作次の要求を突っぱねると、<br> 作次はしまいには、鉄砲を持って乗り込んでやる、と喚くまでの大暴れをしたという。<br> どうやら作次は、以前護身用のためにこっそり鉄砲を買っていたらしい。<br> <br></dd> <dt>214 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 05:02:22 ID:OvTjfM610</dt> <dd>翌日、再び塚原浄光寺で集合する三人。<br> 幣原家に行くと、やはり親しげにしている恒子と五一を睨みつけるみのるの姿があった。<br> みのるによると、作次の鉄砲は納戸の中の飾り箪笥に隠したという。<br> 作次は酔うと鉄砲を振り回したり、面白がって郁に撃たせたりしていたため、恒子と相談して隠したそうだ。<br> 三年前、まだ目が見えていた頃の郁は、作次に強要されて何回か鉄砲を撃っていたらしい。<br> <br> 多岐川に鉄砲のことを話し、鉄砲の所在を確認したいと申し出る。<br> 三人は森警官と一緒に、鉄砲を探すことになった。<br> 最初に、みのるが鉄砲を隠したという納戸の飾り箪笥を調べると、案の定そこに鉄砲は無かった。<br> 次にみのるの部屋を調べると、彼の机の上には五一からのプレゼントらしい詩集が置いてあった。<br> みのるは、この詩集をとても大切にしているようだ。<br> そのあと屋敷中を探してみても、やはり鉄砲は見つからなかった。<br> <br> その後島源で改めて米井京子に事件当時の状況を聞く。<br> すると事件翌日、恒子は事件の報せを電話で受けていた、という。<br> 五一は、事件翌日は電話が不通だったため車で直接市内に向かった、と証言していたのだが・・・。<br> <br> 郊外の野呂田家へ行くと、みつから事件当夜、みつの夫が作次を目撃したことを聞かされる。<br> だが、作次の姿は停電が発生した為すぐに見えなくなってしまったそうだ。<br> なんでも事件当日の18時ごろ、幣原家の電気がつき作次の姿を観ることが出来たのだがその後すぐに停電が発生、<br> 豪雨という天候もあり外は真っ暗で幣原家のほうも、なにもみえなくなってしまったという。<br> <br> みつの証言を聞いた時人は、どうやら作次殺害の犯人を特定したようだ。<br> しかしその後時人は、多岐川に犯人はおそらく仏像泥棒だと告げる。<br> 蘭丸、美和、そして多岐川も意外な結論に驚くが、その後三人は新潟を離れるのだった。<br> <br> 『暗闇の手触り』中編END<br> <br></dd> <dt>216 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 05:41:40 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』後編<br> <br> 新潟からの帰りの汽車の中。<br> 蘭丸は時人に対して、仏像泥棒が犯人だという結論は間違っているのでは、という。<br> すると時人は、あっさりそれを認めた。<br> そして本当の犯人は、三人が捜査の中で出会った人々の中に居るという。<br> <br> 時人は、順を追って推理を話し出す。<br> まず、作次の遺体の腹部が死後5分以上もたってから不自然に損壊された理由は、腹部に出来たほかの傷を隠す為だった。<br> つまり、作次殺害の凶器は鉈ではなく、かつて作次自身が買った鉄砲だったのだ。<br> 凶器が鉄砲であることを隠す為、犯人は鉈で銃創のある腹部を徹底的に損壊したのだった。<br> <br> では、なぜ犯人は凶器が鉄砲であることを隠す必要があったのだろうか。<br> それは、作次が殺害された時間に停電が発生していたからだった。<br> 事件当時、幣原家はは停電による真っ暗闇だった。<br> 鉄砲で人を狙うにはとことん向かない環境の中、犯人は作次を射殺したのだ。<br> そんな芸当が出来るのは、普段から闇の中で暮らしている人間、つまり盲目の郁しかいない。<br> 郁は以前作次に鉄砲を撃たされていたため銃の扱いを知っており、また落ち込むと納戸にこもる癖から納戸に隠された鉄砲のことも知っていた。<br> <br> しかし、郁は事件当夜市内の恒子の家へ行っていたはず。<br> それは恒子と五一の、アリバイ工作によるものだった。<br> 作次殺害の犯人が郁だと知った五一は自動車で彼女を市内の恒子の所に送り届けた。<br> その際、市内から恒子のところに電話をして今後の行動を指示したため、<br> 事件翌朝郊外は電話が普通だったという五一の証言と、恒子が事件の報せを電話で受けていたという証言の矛盾が発生したのだ。<br> 事件当夜現場に居た郁を翌朝すぐに市内のところに送り届ける。<br> そして鉄壁のアリバイを持つ恒子に、郁と一緒に居たという証言をさせることで、郁にアリバイを与えたのだ。<br> <br> 事件当夜、作次は博打に負けて怒り、坂東組に鉄砲を持って乗り込もうとした。<br> しかし鉄砲は隠されていて見つからない。<br> このことが更に作次の怒りを増幅させ、郁に普段以上の酷い暴力を振るった。<br> 郁は作次から逃げ、納戸の中に閉じこもった。<br> 彼女を追った作次は、納戸の戸が郁によって外から開けられないようにされていることに気づき、鉈で戸を壊し始める。<br> 「このままでは殺される」、そう感じた郁は、納戸に隠してあった鉄砲で作次を撃ち殺したのだった。<br> <br> 事件当夜、みのるが漁業組合に泊まったというのも嘘だろう、とも時人は言う。<br> みのるは妹思いで、盲目の彼女を一人にして豪雨の夜を過ごさせるようなことはしないはずだ。<br> 家に帰った彼は、妹が身を守るために作次を撃ち殺したことを察知した。<br> そこで郁を連れて五一のところに行き相談し、以降の工作について打ち合わせたのだ。<br> 郁をかばう為に恒子、みのる、そして五一が協力してアリバイ工作をしていたのだった。<br> ちなみにみのるは五一のことを嫌っているのではなくむしろ尊敬しているのだが、<br> 美人の姉を取られたくなくて、彼女と親しくする五一を睨んでいたのだった。<br> <br> 時人は作次殺害が正当防衛によることなどを考慮し、仏像泥棒に悪いと思いつつも真相を告げずに新潟を立ち去ったのだった。<br> <br> 第8話『暗闇の手触り』END<br> <br></dd> <dt>68 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:01:12 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>1ヶ月程間が空いてしまいましたが、続・御神楽です。<br> <br> ☆第9話『生き人形』登場人物<br> <br> *生き人形とは、見世物に使われる本物の人間そっくりに作られた人形のことです。<br> <br> ・大城大輔・・・事務所に「母親を探して欲しい」と依頼に来た少年。<br> ・大城暢・・・大輔の祖父。大城家当主。<br> ・大城時江・・・大城家長女。<br> ・大城直己・・・大城家次男。<br> ・大城千賀子・・・直己の妻。<br> ・後藤緒羽子・・・隅田川沿いで発見された遺体その1、岸部音楽院生徒で不良。<br> ・森崎アキ・・・隅田川沿いで発見された遺体その2、同学院生徒でこいつも不良。<br> ・北田枝里・・・隅田川沿いで発見された遺体その3、同学院生徒でやっぱり不良。<br> ・内倉貴子・・・後藤、森崎、北田のルームメイトで、後藤たちと違いまじめな性格。<br> ・河村須美子・・・これまで何度も登場してきたオペラスター。やっぱりいい人。<br> ・葉山紀夫・・・かつて時人が解決した事件で逮捕された、職業的殺人者。<br> ・葉山志保美・・・葉山紀夫の妻。隅田川で入水自殺したと報道される。<br> ・藤堂弥八郎・・・美和が営む美術商の店員。<br> <br></dd> <dt>69 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:02:16 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part1<br> <br> *混乱を避けるため、巴・滋乃・千鶴の三人はこの事件中「三人娘」と表記します。<br> 「三人」という表記はこの事件の被害者後藤緒羽子・森崎アキ・北田枝里を示しています。<br> *この第9話と次の最終話はこれまでの事件の3倍近いのボリュームがあり非常に複雑なため、<br> 全体がかなり長くなっています。すみません。<br> <br> ある日の昼、新聞を読んでいた時人は気になる記事を発見する。<br> 隅田川で心中を図った、若い親子についての記事だ。<br> 子供は助かったのだが、親は死んでしまったらしい。<br> 自殺した女性の名前は葉山志保美。<br> かつて巴が事務所入りする以前に時人が解決した事件の犯人とされた人物、葉山紀夫の妻だ。<br> 彼女は夫が逮捕されたことを苦にして、死を選んだのだろうか?<br> 重苦しい空気が流れる事務所に、依頼者が現れる。<br> <br> 依頼者は、まだ年端もいかない少年だった。<br> 少年は、父のせいで家を出て行った母親を探して欲しい、という。<br> だが次の瞬間、少年は千鶴を見るや否や「お母ちゃんだ!」と彼女に抱きつくのだった。<br> <br> 少年の名は大城大輔。<br> 現在は父も既に他界している為、祖父と一緒に住んでいるという。<br> もちろん千鶴は彼女の母親ではないのだが、少年の為に事務所メンバーは母親探しをすることにする。<br> <br> 大輔の話によると、彼の母親は写真家の助手で千鶴にそっくりな顔立ちらしい。<br> 大輔も写真機の扱いを覚えており、事務所メンバーの顔写真を撮ってみせる。<br> 母親は家を出て行く際に何枚かの写真を残していた。<br> 写真の内一枚に、隅田川の辺に生えている桜と思われる木が写されていたことから、三人娘はその場所に向かうことにする。<br> <br> 三人娘の出かけた事務所に、血相を変えた諸星警部が飛び込んで来る。<br> 時人と蘭丸が事情を聞くと、先ほど隅田川沿いの堤で、三人娘の遺体が発見されたという。<br> 時人が諸星に連れられ現場に向かうと、そこは例の写真に写っていた場所だった。<br> そして、現場にある桜の気の根元にある三体の死体の顔は、確かに三人娘のものだった。<br> 遺体の服装も、普段三人娘が好んで身に付けているものだ。<br> 呆然とする時人の後ろから、聞き覚えのある声がする。<br> そこには、大輔を連れた三人娘の姿があった。<br> <br> 生きている三人娘と死んでいる三人娘、どちらが本物なんだと混乱する諸星を横目に、時人は遺体を調べ始める。<br> すると、彼はすぐに遺体が仮面を付けていることに気づいた。<br> 仮面を剥がして見ると、そこには三人娘のものとは似ても似つかぬ顔があった。<br> <br></dd> <dt>70 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:05:16 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>彼女たちは音楽学校『岸部音楽院』の生徒で、そこの女子寮のルームメイトだったらしい。<br> <br> 岸部音楽院に向かう三人娘。<br> 学院はお嬢様学校として有名だそうだ。<br> 事務局員に調査の為三人の部屋を調べさせて欲しいと頼むが、部外者は立ち入り禁止と断られる。<br> ただその局員は、死んだ三人のことは良く知っているので情報を教えてくれるという。<br> 学院の女子寮は四人一部屋になっており、三人は15号室で一緒に寝起きしていた。<br> また、三人はいわゆる落ちこぼれ立ったという。<br> 女子寮は四人一部屋ということは、もう一人ルームメイトが居るはず。<br> 千鶴がそういうと、局員はそのルームメイト、内倉貴子を紹介してくれた。<br> <br> 貴子に事情を聞きたい旨申し出ると、彼女は承諾し女子寮の15号室に招待してくれた。<br> 彼女によると、三人は入学当初から寮を抜け出しての夜遊びをしており、最近は特にその頻度が上がっていたという。<br> 生真面目な貴子は彼女たちとあまり深く付き合わずにいたので、夜遊びの行き先までは知らないそうだ。<br> ただ、彼女たちが出かける時は決まって変なバッジを身に着けていたことは貴子の印象に残っていた。<br> <br> 三人のうちの一人、緒方のバッグを調べてみると、そのバッジの他に奇妙な形の伊達眼鏡が入っていた。<br> その眼鏡を見た滋乃は、これは仮面舞踏会用の眼鏡ではないか、と指摘する。<br> 他の二人のバッグにも同じような仮面が入っていたことから、三人が夜遊びに通っていたのは仮面舞踏会とあたりがつけられた。<br> また、問題のバッジは悪趣味だがとても精巧に作られており、女学生の買える代物ではなさそうだ。<br> <br> 事務所に戻ってみると、そこには猫と戯れる大輔と、それを見守る美和、蘭丸の姿があった。<br> 美和によると、大輔がどうしても事務所にいたい、と駄々をこねたらしい。<br> 事務所は子供にとってそんなに楽しい場所なのだろうか、と三人娘は首を傾げる。<br> <br> 再び岸部音楽院女子寮に向かうと、貴子が三人娘を待っていた。<br> 三人が通っていた仮面舞踏会の開催場所に、心当たりがあるという。<br> 貴子に連れられて向かった場所は、隅田川傍にある廃墟となった繊維工場跡だった。<br> 三人娘を案内した貴子は、潜入しやすいようにと持ってきた、三人の使っていた仮装道具を渡し、寮へ帰っていった。<br> 三人娘が工場跡に足を踏み入れた瞬間、そとから貴子の悲鳴が聞こえてくる。<br> あわてて飛び出してみると、へたり込んでいる貴子と、逃げ去る怪しい人影が見えた。<br> 貴子に事情を聞こうとするも、彼女は気が動転しておりまともに会話も出来ない状態だ。<br> そこで彼女を寮に送り届け、三人娘は再び工場跡へ向かう。<br> <br></dd> <dt>71 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:08:26 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>ごめん、<a href="http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1188972695/70" target="_blank">&gt;&gt;70</a>はミスで前半が欠けています。<br> これが正しい内容です。<br> メモ帳からのコピペも出来ない自分に鬱。<br> <br> ☆第9話『生き人形』part2<br> <br> 事務所に帰った一同は、遺体の仮面と服装は犯人による事務所へのメッセージだと受け止め、捜査を開始する。<br> しかし、このままでは大輔の母親探しは後回しにせざるを得ない。<br> 困惑する一同のところに、美和が訪ねてくる。<br> 事情を聞いた美和は、大輔の面倒と母親探しを引き受けることを申し出た。<br> <br> 検死報告を聞きに浅草署へ向かう三人娘。<br> 報告によると遺体には、外傷や注射の跡は全く無かったそうだ。<br> ただ、仮面を固定する為の強力な接着剤により、顔の皮膚が炎症を起こしていたという。<br> 死体は皮膚炎を起こさない、つまり被害者三人は殺される前から仮面を着けていたと考えられる。<br> さらに遺体に外傷などが無いことから、被害者達が自分の意思で仮面を着けた可能性もある。<br> <br> 死んだ三人の名前はそれぞれ、後藤緒羽子、森崎アキ、北田枝里ということが判明した。<br> 所持品が荒らされておらず、その中に学生証が合ったため身元が簡単に割れたのだ。<br> 彼女たちは音楽学校『岸部音楽院』の生徒で、そこの女子寮のルームメイトだったらしい。<br> <br> 岸部音楽院に向かう三人娘。<br> 学院はお嬢様学校として有名だそうだ。<br> 事務局員に調査の為三人の部屋を調べさせて欲しいと頼むが、部外者は立ち入り禁止と断られる。<br> ただその局員は、死んだ三人のことは良く知っているので情報を教えてくれるという。<br> 学院の女子寮は四人一部屋になっており、三人は15号室で一緒に寝起きしていた。<br> また、三人はいわゆる落ちこぼれ立ったという。<br> 女子寮は四人一部屋ということは、もう一人ルームメイトが居るはず。<br> 千鶴がそういうと、局員はそのルームメイト、内倉貴子を紹介してくれた。<br> <br> 貴子に事情を聞きたい旨申し出ると、彼女は承諾し女子寮の15号室に招待してくれた。<br> 彼女によると、三人は入学当初から寮を抜け出しての夜遊びをしており、最近は特にその頻度が上がっていたという。<br> 生真面目な貴子は彼女たちとあまり深く付き合わずにいたので、夜遊びの行き先までは知らないそうだ。<br> ただ、彼女たちが出かける時は決まって変なバッジを身に着けていたことは貴子の印象に残っていた。<br> <br> 三人のうちの一人、緒方のバッグを調べてみると、そのバッジの他に奇妙な形の伊達眼鏡が入っていた。<br> その眼鏡を見た滋乃は、これは仮面舞踏会用の眼鏡ではないか、と指摘する。<br> 他の二人のバッグにも同じような仮面が入っていたことから、三人が夜遊びに通っていたのは仮面舞踏会とあたりがつけられた。<br> また、問題のバッジは悪趣味だがとても精巧に作られており、女学生の買える代物ではなさそうだ。<br> <br> 事務所に戻ってみると、そこには猫と戯れる大輔と、それを見守る美和、蘭丸の姿があった。<br> 美和によると、大輔がどうしても事務所にいたい、と駄々をこねたらしい。<br> 事務所は子供にとってそんなに楽しい場所なのだろうか、と三人娘は首を傾げる。<br> <br> 再び岸部音楽院女子寮に向かうと、貴子が三人娘を待っていた。<br> 三人が通っていた仮面舞踏会の開催場所に、心当たりがあるという。<br> 貴子に連れられて向かった場所は、隅田川傍にある廃墟となった繊維工場跡だった。<br> 三人娘を案内した貴子は、潜入しやすいようにと持ってきた、三人の使っていた仮装道具を渡し、寮へ帰っていった。<br> 三人娘が工場跡に足を踏み入れた瞬間、そとから貴子の悲鳴が聞こえてくる。<br> あわてて飛び出してみると、へたり込んでいる貴子と、逃げ去る怪しい人影が見えた。<br> 貴子に事情を聞こうとするも、彼女は気が動転しておりまともに会話も出来ない状態だ。<br> そこで彼女を寮に送り届け、三人娘は再び工場跡へ向かう。<br> <br></dd> <dt>72 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:10:34 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part3<br> <br> 三人娘は、貴子からもらった仮装道具を身に付け工場跡に足を踏み入れる。<br> すると、地下から微かにクラシック音楽が流れてくることに気づいた。<br> 地下にあった重たい金属の扉を開くと、そこには豪華絢爛な仮面舞踏会の光景が広がっていた。<br> 仮面舞踏会参加者の様子を観察していると、中に仮面を着けていない女性参加者がいることに気づく。<br> 不審に思う三人娘に、他の参加者が、彼女は人肌そっくりに作られた生き人形の仮面を身に着けているのだと教えてくれる。<br> 殺された三人が着けていたのも、この生き人形仮面に違いない。<br> <br> さらに観察してみると、参加者の中になんと美和の生き人形仮面を着けた女性がいた。<br> 彼女に事情を聞こうと近寄ってみると、その参加者は突然倒れ、事切れてしまった。<br> 遺体の仮面を剥がすと、そこにあったのはやはり見知らぬ顔だった。<br> <br> 三人娘の周囲を、他の舞踏会参加者が取り囲む。<br> どうやらここで仮面を剥がすことはタブーだったらしく、三人娘を部外者と見破り捕まえようとしてくる。<br> なんとかその場は逃れたものの、やがて三人娘は工場内の行き止まりに追い詰められてしまう。<br> すると突然行き止まりの壁が開き、その奥にいた仮面の女性が三人娘を匿ってくれた。<br> 女性は、「私の舞踏会には二度と来ないでください」と言い、脱出路を教えた後舞踏会会場の方へ向かっていった。<br> 三人は、なんとか工場跡から抜けることが出来たのだった。<br> <br> 翌日三人娘は、工場跡での出来事を時人に報告する。<br> やはり、犯人は御神楽探偵事務所に対して何らかの悪意を持っているようだ。<br> しかし、なぜ事務所に縁もゆかりも無い人々が殺されるのだろうか。<br> <br> 考えを纏めた時人は、大輔を祖父の家に帰す決断をする。<br> 隅田川沿いの堤で三人の遺体が発見された際には、三人娘が大輔の面倒を見ていた。<br> そして昨日、仮面舞踏会会場での事件の際には、美和が大輔の面倒を見ていた。<br> このように、それぞれの犠牲者は、その時大輔の面倒を見ていた人物の生き人形仮面を身に着けて死んでいるのだ。<br> 巴は時人の考えすぎではないか、と主張するが時人は、何かが起こってからでは遅い、と譲らない。<br> また、大輔を事務所から離すことで、犯人の行動に変化が出るか観察したい、との思惑もある。<br> 大輔の祖父の家は、美和が前もって調べてくれていた。<br> <br> 探偵事務所がある守山ビルの一階に、美和が営む美術商「守山美術商」がある。<br> そこで大輔は、美和に面倒を見てもらっていた。<br> 大輔は家に帰りたくない、と駄々をこねたが千鶴が上手く説得し、美和に教えてもらった家まで彼を送り届ける。<br> <br> 大城家の前では、大城千賀子という女性が掃除をしていた。<br> 千賀子に駆け寄り、帰宅を報告する大輔。<br> 千賀子は大城家長男の嫁だと自己紹介し、大輔がこれまで事務所に世話になった礼を述べる。<br> 千賀子に案内され、三人娘は大城邸内に立ち入る。<br> <br> 大城家当主は、大城暢という老人だ。<br> 暢は「大輔は父の紀夫と同じで面倒を起こす」と不満を口にする。<br> どうやら、探偵を家に連れてきてしまったことが気に食わないらしい。<br> また、大輔の父の名前は紀夫、母の名前は志保美というようだ。<br> 長女の大城時江、次男の大城直己も大輔に対して冷淡な態度を取る。<br> ただ、殺人事件の解決までは大輔とその周辺には注意を払ってくれるそうだ。<br> <br></dd> <dt>73 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:13:20 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part4<br> <br> 千賀子の話によると、暢が家に人を入れることを好まない為、この家の家事は一切彼女が引き受けているという。<br> ただ、千賀子自身はそのことに対して不満は無いようだ。<br> 豪邸の家事一切をを一人に任せるのは不合理であり、何か人を家に入れたくない理由でもあるのだろうか、と三人娘は考える。<br> <br> 時江によると、千賀子の実家は化粧品店だという。<br> また暢に話を聞くと、長男の大城紀夫は大城家を出て、結婚相手の家の婿養子になったことがわかる。<br> 当然紀夫と、その息子の大輔の姓は変わっているはずなのだが、大輔は自分を「大城大輔」と名乗った。<br> 大輔が自分の姓を「大城」としたことには、何か理由があるのだろうか。<br> <br> 大城家を出た三人娘は、岸部音楽院に向かう。<br> 学院事務局には、事務局員と歓談する河村須美子の姿があった。<br> 須美子はここの学長と知り合いで、時々施設を利用させてもらっているらしい。<br> そして事務局員から、三人の死体が見つかった場所にある桜の木は赤桜という呪いの桜として有名で、<br> 今朝も首吊り死体が見つかったという事実を知らされる。<br> <br> 浅草署で、三人の詳しい検視報告を諸星警部に尋ねる。<br> 警察も、三人の死を他殺として扱っているらしい。<br> だが三人の循環器系からは、毒物は一切検出されなかったという。<br> 三人は循環障害なども起こしていたものの、直接の死因は急性肺水腫による、呼吸不全ということが判明したのだ。<br> 胃からは睡眠薬が検出されたものの、致死量ではなかったともいう。<br> ちなみに肺水腫とは、肺に水が溜まり呼吸が出来なくなる病気だ。<br> <br> 栗山刑事に、三人の遺品についての捜査状況を尋ねる。<br> 三人の所持品は、どれもが一流のメーカーで作られた高級品だった。<br> しかし、なぜか三人の服だけは無名メーカーによって作られたものだった。<br> なぜ、彼女たちの服だけが無名メーカー製だったのだろうか。<br> <br> 三人娘が工場跡へ向かうと、そこには昨日彼女たちを救ってくれた仮面の女性がいた。<br> 二度とここへ来るな、という警告を無視した三人娘を女性は怒るが、三人娘が探偵の身分を明かすと、捜査に協力してくれることになる。<br> ただ、その条件として舞踏会のことを決して外部に洩らさないことを約束させられる。<br> 女性は、舞踏会内では吉和泉佳世と名乗る会の主催者だ。<br> 彼女に昨晩の犠牲者について尋ねると、彼女については穏便な処理をし、死体は警察に渡っていると話す。<br> だが、それ以上の情報を引き出すことは出来ない。<br> <br> 三人娘は、首吊り死体が発見された赤桜へと向かう。<br> すると、そこで発見された遺体は他でもない、昨晩舞踏会場で殺された女性のものだった。<br> 舞踏会関係者が、会の存在を知られず、なおかつ警察に遺体を引き渡す為に取った苦肉の手段だろう、と三人娘は考える。<br> <br></dd> <dt>74 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:20:57 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part5<br> <br> 三人娘は事務所で時人に、赤桜の話を聞かせながら、諸星から新しく見つかった遺体についての報告を待つ。<br> すると諸星が現れ、やはり死因は急性肺水腫であること、遺体に外傷は無く毒物も検出されなかったことを告げる。<br> また、顔はやはり三人の死体と同様の皮膚炎を起こしていたようだ。<br> さらに昨晩、大城時江が暴漢に襲われ、犯人が逮捕された事実が伝えられる。<br> 幸いにも、時江はかすり傷ですんだようだ。<br> <br> 大城家に脚を運ぶ三人娘。<br> 当主暢の部屋の前に行くと、中から彼と時江の話し声が聞こえてくる。<br> どうやら暢は、大城家の人間が警察の世話になることは許されない、と時江を叱っているらしい。<br> 被害者の娘の心配をするよりも先に、警察沙汰になったことで娘を叱る暢の姿に違和感を覚える三人娘。<br> <br> 大城直己の部屋に行くと、そこには大量の玩具が並べられていた。<br> 直己は、玩具の輸入業を営んでいるようだ。<br> <br> 大城家の台所では、時江が千賀子に文句をぶつけていた。<br> 時江が警察の厄介になったことを暢に伝えたのは千賀子で、時江は千賀子の行為が不満らしい。<br> 時江が去った後千賀子から、時江に結婚を前提に付き合っている恋人がいること、<br> その恋人の家は本所区にあり、庭にはリンゴの木があることを聞き出す。<br> また、その恋人の庭には常に桧の材木が積んであるらしく、三人娘は恋人が大工か職人なのでは、とあたりをつける。<br> <br> 浅草署で諸星警部に、大城時江襲撃事件の資料を見せてもらうよう頼む。<br> 諸星に時江との関係を聞かれた三人娘は、大輔の母親探しの過程で知り合ったことを伝える。<br> すると諸星は、大輔の苗字は大城でなくて葉山ではないかと指摘するが巴は、大城大輔と自分で名乗った、と否定する。<br> 一方の千鶴は、葉山大輔、葉山紀夫、葉山志保美という名前について考え込んでしまう。<br> 時江襲撃の詳細を聞くと、彼女は帰宅途中いきなり背後から出刃包丁で襲われたのだという。<br> 今までの事件と手口が全く違うことから、時江襲撃と現在調査中の事件とは無関係ではないか、と考える。<br> <br> 舞踏会会場で佳世から、生き人形仮面の作り方を聞く三人娘。<br> 仮面には桧以外の材木は使われないと聞いた彼女たちは、時江の恋人が仮面職人である可能性を考える。<br> だが佳世は、生き人形仮面の職人が誰か、ということまでは知らないという。<br> <br> ここで改めて大輔の母親が残した写真を調べてみると、そのうち一枚に材木の詰まれた民家の庭先が写されていることに気づく。<br> さらにその写真に写された庭には、リンゴの木も植えてある。<br> 写真には家の表札まで写っており、そこには「国井」と記されている。<br> 三人娘は、本所区で国井という家が無いかどうか探してみることにする。<br> <br> 本所区で聞き込みを行い、国井の家を発見することに成功した。<br> どうやら住人は留守のようなので、その隙に庭の様子を伺ってみる。<br> すると滋乃が、縁側に時人そっくりの生き人形仮面が置いてあることに気づく。<br> どうやら、国井が問題の生き人形仮面の職人で間違いないようだ。<br> さらに時人の生き人形仮面の傍には手紙が置いてあり、そこには<br> 「今度の仮面は剥がれない。なぜなら御神楽時人が殺されるからだ。」<br> と記されていた。<br> <br></dd> <dt>104 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:28:33 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part6<br> <br> 三人娘は事務所で、国井の家で見つけた仮面と手紙を見せる。<br> 報告を聞いた時人は犯人の狙いがわかってきたというが、一人で頭の中の整理をする、と所長室に篭ってしまう。<br> 三人娘は犯人の狙いが時人なのでは、と考えるが、それならなぜ犯人は無関係の人間を4人も巻き込んだのだろうか。<br> そんな彼女たちの横を、時人にお茶を持っていく、と蘭丸が通り過ぎる。<br> しかし蘭丸の様子がどこかおかしいことに気づいた三人娘は、急いで彼の後を追ってみる。<br> すると、蘭丸は時人の眼前で突然倒れてしまう。<br> そして蘭丸のポケットから、一枚の写真が舞い落ちた。<br> <br> その写真には、眼鏡を取った千鶴にそっくりの女性が写されていた。<br> その女性が、大輔の母、葉山志保美であることに時人は気づく。<br> そして三人娘に、病院への連絡など蘭丸の手当てを支持する。<br> 彼女たちが支持を実行する為に所長室から出ると、時人は倒れた蘭丸の顔を探る。<br> やがて蘭丸そっくりの生き人形仮面が剥がされ、大輔の顔が現れた。<br> <br> 倒れた大輔は、病院に運び込まれた。<br> 医者の話だと、2,3日安静にしていれば退院できるという。<br> だが、もう少し処置が遅れていれば、手遅れになっていたかもしれないらしい。<br> つまり大輔は、今回の事件の犯人に殺されかけたということだ。<br> そして、先ほど事務所にいた蘭丸が、仮面を着けた大輔だったとすると、本物の蘭丸は今一体何処にいるのだろうか。<br> 時人によると、蘭丸は昼頃大輔に誘われ外出したきりだという。<br> 今回も、大輔の傍にいた人間の生き人形仮面が作られ、被害者に被せられたのだ。<br> また、時江襲撃の犯人が昨日既に逮捕されていることから、時江襲撃と仮面を巡る事件は無関係であると判断する。<br> <br> そこに、大輔の看病をしに大城家から千賀子がやってくる。<br> 暢や直己達は、仕事を理由に病院へは来ないらしい。<br> 大輔を千賀子に任せ、一同は急ぎ事務所へと戻る。<br> <br> 事務所に戻っても、そこに蘭丸の姿は無かった。<br> 三人娘はそれぞれ蘭丸を探しに行こうとするが、この状況下で所員がばらばらに行動するのは危険、との理由で時人に止められる。<br> 三人は指示に従い、翌日を待つことにする。<br> <br></dd> <dt>105 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:29:06 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part7<br> <br> 翌朝三人娘は、蘭丸捜索のため、昨日彼と行動を共にしていたと思われる大輔に事情を聞くことにする。<br> 大輔の病室では、千賀子が付きっ切りで看病をしていた。<br> ただ、大輔は現在薬で眠っており事情を聞くのは無理なようだ。<br> 千賀子は医者が大輔に飲ませるよう置いていった薬が栄養剤なので、大輔の健康に問題は無いと話す。<br> なぜ薬が栄養剤とわかるのか、と訝しがる巴に千賀子は、実家にいた頃薬剤師の勉強をしていたことを教える。<br> 千賀子の実家は化粧品と一緒に薬も取り扱っており、そのために彼女も薬剤師の勉強をしたそうだ。<br> <br> 病院の待合室では、看護婦達が大輔の噂話をしていた。<br> 彼女たちに話を聞いてみると、大輔が以前にもこの病院に入院したことがわかった。<br> さらに看護婦は、その際彼は母親と一緒に入院し、母親は死んでしまったことを話す。<br> 大輔と母親は親子で入水自殺を図り、大輔だけが助かったという。<br> <br> 三人娘は岸部音楽院へと向かい、事務局で再び河村須美子に出会う。<br> 須美子によると、学院関係者の間でいま、謎の美人秘書が話題になっているらしい。<br> その秘書は理事長付きにもかかわらず、学園関係者でその姿を見たことがあるものはほとんどおらず<br> その美貌で学園理事長の地位を手に入れた、とも噂されているという。<br> 秘書の名前は三井というそうだ。<br> <br> 国井の家では、警察が捜査を行っている。<br> 栗山によると、国井はすでに逃走したと思われるが、仮面作りの資料とした顔写真が多数残されていたという。<br> その中には、御神楽探偵事務所内で取られた巴達の顔写真もあった<br> その写真が、おそらく大輔が初めて事務所に来た際、彼が取った写真であることに千鶴が気づく。<br> どうやら大輔と国井との間には、何らかの繋がりがあったようだ。<br> また、大輔の傍にいる人間の生き人形仮面が作られた理由も明らかになった。<br> しかし、なぜ大輔は国井に写真を提供したのだろうか。<br> <br> 浅草署で諸星警部に捜査状況を聞く。<br> 国井の行方はつかめず、恋人の時江も彼の行き先をしらないという。<br> また、時人が訪れ緑茶とゼリー状の液体の毒物鑑定を依頼していったこと、<br> そしてその鑑定結果がつい先ほど出たことを知らされる。<br> 緑茶は大輔が所長室に運んでいったもので、中からは猛毒が発見された。<br> 大輔は、時人を殺そうとしていたのだろうか。<br> <br></dd> <dt>106 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:29:43 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part8<br> <br> 舞踏会場では、佳世と数人の女性参加者が談笑をしていた。<br> その参加者が生き人形仮面を持っているとのことで、実際に仮面を見せてもらう。<br> するとこの仮面はとても薄く軽く作られているが、これまで犠牲者が身に着けていた仮面はどれも非常に重かった事に気づく。<br> 普通の生き人形仮面と犠牲者が被っていた生き人形仮面に、何らかの違いがあるのだろうか。<br> <br> 大城家の暢の部屋の前へ行くと、中から彼と時江の話し声が聞こえてくる。<br> 時江が再び警察に呼び出されたこと、彼女と国井の関係が捜査陣に知られたことが問題になっているようだ。<br> そして暢は時江に国井と付き合うのをやめるよう言い、<br> 「お前には紀夫と同じ失敗をして欲しくない。失敗は我々の命取りになる。」<br> と忠告する。<br> その大時代的な会話に、三人娘はやはり違和感を覚える。<br> また、紀夫の犯した失敗と何かについて、後で調べてみることにする。<br> <br> 直己の部屋に行くと彼から、接着剤の中には人体に有害で、肌に長時間付着すると最後は命まで奪うようなものがあることを教えられる。<br> <br> これまでの調査を元に、三人娘は以下のような推理を立てる。<br> ・人体に有害な接着剤がある、との直己の証言<br> ・舞踏会参加者に見せてもらった生き人形仮面は軽かったが、犠牲者の被っていたものは重かったという事実<br> ・時人が警察に、ゼリー状の液体の毒物鑑定を頼んでいた事実<br> これらの事実から、犠牲者の被っていた仮面の裏には多量の人体に有害な接着剤が塗られており、<br> この毒により隅田川で発見された三人と、舞踏会場で倒れた女性は死んだのではないか、と考えられるのだ。<br> <br> その後岸部音楽院女子寮で、内山貴子と歓談していると部屋の窓から大城暢の姿が見える。<br> 貴子の話によると、暢は学院の理事長だという。<br> 岸部音楽院と大城家に、妙な繋がりが出てきたことになる。<br> <br> 大輔の病室に行くと、眠る大輔を時人が見守っていた。<br> 時人にこれまでの捜査報告を行い、仮面の裏についていた接着剤が有毒だったとの確証を得る。<br> その時、大輔が目を覚まし、傍にいたとき人の顔を見るや否や<br> 「どうして生きているんだ!お前は僕が殺したはずなのに!お前なんか死んじゃえ!」<br> と叫ぶ。<br> <br> 暴れる大輔をなだめ、時人は生き人形仮面の裏に有毒な接着剤が塗られていたことを教え、<br> 大輔が「この事件の本当の犯人」に利用され、殺されかけたのだとと伝える。<br> そして三人娘には、大輔の本名が葉山大輔であり、彼の父親葉山紀夫はかつて時人に殺人犯として告発され現在服役中であること、<br> 彼女の母親は事件の冒頭で新聞記事に載っていた、隅田川で入水自殺した女性、葉山志保美であることを伝える。<br> <br></dd> <dt>107 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:30:25 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part9<br> <br> 結局大輔は頑なに口を閉ざし、彼から話を引き出すことは出来なかった。<br> 一同は、一度事務所に戻ることにする。<br> 三人娘は時人に、大輔と両親のことについて訪ねる。<br> <br> 大輔の父葉山紀夫は2年前、巴と滋乃が入所しておらず、<br> 千鶴も捜査には携わっていなかった頃に時人が解決した事件で犯人として逮捕された。<br> 彼はプロの殺人者で、現在は服役中だ。<br> そして、大輔の母志保美は先述の通り入水自殺を図り、死んでしまった。<br> 大輔は子供らしい感情に判断を任せ、時人を逆恨みして彼を殺そうとしたのだ。<br> ただ今回の一連の事件は、小さな子供である大輔に計画できるような代物ではない。<br> 大輔に自分を協力者と思い込ませ、彼を利用して時人を殺そうとした真犯人が他にいるのだ。<br> ただ、それが生き人形師の国井なのかどうかはまだわからない。<br> また時人は、志保美が赤桜や国井の家の写真を遺していた事から、彼女の死は自殺ではなく他殺かもしれないと考える。<br> <br> 三人娘は、刑務所で葉山紀夫に面会をする。<br> 紀夫によると、彼は既に自らの罪を認めているのだが、志保美は夫の有罪が信じられずにいたらしい。<br> 彼女が遺した写真も、夫の葉山紀夫が無罪であることの証拠を集める活動の一環として撮影したようだ。<br> 紀夫に志保美が遺した国井の家の写真を見せると、紀夫は過剰な反応を示し、志保美が死んだ理由がわかったと言う。<br> ただ、その理由を聞き出すことは出来なかった。<br> <br> 浅草署で諸星に、葉山紀夫の事件について尋ねてみる。<br> すると、その事件に赤桜や国井皓といった要素は全く絡んでいなかったらしい。<br> それではなぜ、葉山紀夫は志保子の残した赤桜や国井の家の写真に反応したのだろうか。<br> さらに、葉山は件の仮面舞踏会場で殺人を行おうとしたところを、現行犯で取り押さえられたという。<br> 当時の時人が佳世と交渉し、舞踏会場でおとり捜査を仕掛けたようだ。<br> <br> 国井の家で栗山刑事から、大城時江襲撃事件の詳しい資料を見せてもらう。<br> なんでも犯人は、「時江に生活を潰された」と凶行に及んだらしい。<br> だが時江には、詐欺を働いたという前科も形跡も無いという。<br> <br> 大城家の暢の部屋前で、再び彼と時江の会話を盗み聞きする。<br> 彼らはどうやら、岸部音楽院についての話をしているようだ。<br> 理事長である暢はともかく、なぜ時江もが学院の話をしているのだろうか。<br> <br></dd> <dt>108 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:31:36 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part10<br> <br> 直己の部屋では、部屋の主が伝票を前に悪戦苦闘している。<br> なんでも事業拡大の為、普段部下に任せている伝票処理を自分で行っているという。<br> <br> 大輔の病室では、眠る大輔を千賀子が看病していた。<br> 千賀子の話によると、大城家の遺産は暢の死後全て時江のものになるらしい。<br> ただ直己は、これまでに会社の設立費用などで多額の資金を暢に融通してもらっているのだという。<br> また暢は、直己に遺産を残さない代わりに彼の事業拡大を生きているうちに全面支援する考えのようだ。<br> <br> 病院の待合室では、また看護婦達が大輔の噂をしていた。<br> どうやら、志保美は自殺ではなく殺されたという噂が広がっているようだ。<br> 詳しい話を聞くと、志保美が死んだ翌朝、大輔のもとに志保美が現れ彼を連れて行ったというのだ。<br> そこで看護婦達は、殺された志保美が幽霊となって現れたと考えているという。<br> また応ただその志保美は幽霊にしては生活臭のある姿をしており、なぜか大きな本を抱えていたそうだ。<br> <br> 仮面舞踏会場で佳世に話を聞く。<br> 新たに舞踏会のメンバーになるにはまず、既存メンバーからの招待を受けなければならないそうだ。(*要はmixiみたいなシステム)<br> 内倉貴子はなぜ舞踏会場の場所を知っていたのか、という疑問が三人娘の頭にこびりついていたのだが、<br> もしかしたら殺された三人から誘いを受けていたのではないか、と推測する。<br> また佳代によると、三人を舞踏会に招待したのは三人を普段良く世話していた人物だという。<br> ただ、個人名までは教えられないそうだ。<br> <br> 音楽院女子寮で、内倉貴子に仮面舞踏会についての事情を聞く。<br> 貴子によると、彼女は殺された三人ではない、他の人物に舞踏会を紹介されたという。<br> だが、貴子はその人物の名前を教えることは出来ないという。<br> 三人娘の帰り際に、貴子は意味深な表情と共に、一冊の楽譜を手渡してくれた。<br> <br> 三人娘は以下のような推理を立てる。<br> 殺された三人と貴子を舞踏会に招待した人物は、同一人物である。<br> またその人物は、貴子が三人娘を工場跡地に案内した際、彼女を襲った人物でもある。<br> その人物は何らかの理由で女子寮15号室の住人を皆殺しにしようと考え、仮面舞踏会を利用することを考えた。<br> 三人は舞踏会に誘い出し毒を仕込んだ仮面で殺すことが出来たが、真面目な貴子は舞踏会に参加しなかったので殺せなかった。<br> 舞踏会で美和の仮面を被って死んだ女性は、貴子の身代わりに死んだのだ。<br> 貴子は現在その人物に脅され口止めされているが、早く脅迫者が逮捕されて欲しいと思っており、<br> 口には出せないものの楽譜の中に人物特定のヒントをこめて三人娘に渡したのだ。<br> しかし、それではなぜ犯人は御神楽時人を殺害したい大輔の手助けをしたのだろうか。<br> <br> 学院の事務局員によると、事務局の人間は局長から下っ端まで、<br> 誰もが理事長の美人秘書「三井」の姿を見たことが無い、という。<br> 三人娘は三井という存在について、不信感を覚える。<br> <br></dd> </dl>
<p><strong>続・御神楽少女探偵団~完結編~</strong></p> <p> part31-203~207,223~224,318~310、part32-69~71,81~84,210~218、part33-68~74,104~108,146~151</p> <hr> <dl> <dt>203 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:41:09 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>続・御神楽少女探偵団<br> <br> 『御神楽少女探偵団』の続編、主要登場人物を一応再掲。<br> <br> ☆主要登場人物<br> ・御神楽時人(以下時人)・・・御神楽探偵事務所所長で、天才的な推理能力を持つ駄目人間。男。<br> ・鹿瀬巴(以下巴)・・・探偵事務所助手。女。どちらかというと考えることより動くことの方が得意。<br> ・久御山滋乃(以下滋乃)・・・探偵事務所助手。女。華族のお嬢様。<br> ・桧垣千鶴(以下千鶴)・・・探偵事務所経理。女。作家志望の眼鏡っ娘。<br> ・ランドルフ丸山(以下蘭丸)・・・探偵事務所助手。男。混血の少年。 あだ名は蘭丸。<br> ・守山美和・・・探偵事務所のあるビルのオーナーで美術商。女。時人憧れの未亡人。<br> ・諸星・・・時人を信頼する警視庁警部。<br> ・栗山・・・諸星の部下。頼りない<br> <br></dd> <dt>204 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:54:25 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>☆第六話『続・猟奇同盟』登場人物<br> 注:この話は前作『御神楽少女探偵団』収録『猟奇同盟』の続きです。<br> <br> ・常盤省吾・・・大学教授。時人の旧友らしい。<br> ・志田庄太・・・新聞記者。『猟奇同盟』を告発しようとしたところ殺害される。<br> ・旭日斎蓮花・・・女奇術師。40歳以上なのに、20代にしか見えない。<br> ・伊勢真由美・・・志田庄太の隣人。<br> ・伊勢公夫・・・真由美の弟。先ごろ原因不明の失踪を遂げた。<br> ・工藤めぐみ・・・蓮花の助手。<br> ・花柳宗司・・・蓮花のマジックホールの従業員。<br> ・小谷内万次郎・・・蓮花のマジックホールの道具係。<br> ・中田熊子・・・日の出食堂の女主人。<br> ・増田伸次・・・志田の同僚記者。<br> ・河村須美子・・・以前『太白星』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で出会ったオペラスター。気さくな美人。<br> ・平田権六・・・以前『幽鬼郎』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で出会った興行主。<br> ・相馬銀次郎・・・常盤省吾の書生。原因不明の失踪を遂げた。<br> ・真下五月・・・乾物屋の娘。原因不明の失踪を遂げた。<br> ・真下毅・・・真下五月の父。<br> ・相模陣兵衛・・・隅田川の船頭。<br> <br></dd> <dt>205 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:57:04 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>☆第六話『続・猟奇同盟』前編<br> <br> 催眠術に操られた巴に銃撃された時人は、面会謝絶の重体となった。<br> 巴は術から開放されたものの、自責の念に苛まれる。<br> そんな巴を、諸星は半ば強引に捜査へ連れて行く。<br> <br> 志田の遺したチケットを手がかりに、旭日斎蓮花のマジックホールへ向かう。<br> そこで、ホール関係者の花柳宗司に話を聞くと、もうすぐ舞台が始まるという。<br> そこで諸星と巴は、舞台でマジックショーを見物することにする。<br> <br> この日の舞台の見世物は、ギロチンを使ったマジックだ。<br> 助手が蓮花をギロチンにかけても彼女は無事、という趣向のものらしい。<br> しかしいざ本番、助手がギロチンの刃を下ろすと蓮花の首は無残にも刎ねられてしまった。<br> <br> 時人銃撃に続き、再びショッキングな出来事に遭遇してしまった巴は心が折れかけてしまう。<br> しかし諸星は彼女を叱咤激励し、立ち直らせるのだった。<br> <br> ギロチンを操作した蓮花の助手、工藤めぐみに話を聞く二人。<br> どうやらギロチンに仕掛けてあったマジック用の仕組みが、壊れていたようだ。<br> しかし本番直前に蓮花本人が確認した際には、ギロチンに異常は無かったという。<br> 蓮花の確認後、ギロチンに触れたのは道具部の連中だけ。<br> そこで、二人は今度は道具部に話を聞くことにする。<br> <br> 道具部の小谷内万次郎によると、ギロチンの運び込みを行った<br> 篠原浩介という男の行方がわからないらしい。<br> <br> 次に二人が蓮花の楽屋へ向かうと、楽屋は既に荒らされた後だった。<br> どうやらこの惨劇も「猟奇同盟」の仕業で、彼らに出し抜かれたようだ。<br> しかし花柳に確認したところ、蓮花は貴重品を道具部の金庫に預けており、<br> 彼女の楽屋に重要と思えるものは元から何も無かったらしい。<br> <br> 道具部で小谷内に金庫について聞いたところ、一月ほど前に蓮花から妙なものを預かったらしい。<br> それは、風呂敷に包まれたスクラップブックだった。<br> スクラップブックを見ていた巴は、そこに行方不明となった伊達公夫の写真があることに気づく。<br> 巴と諸星は、篠原が故郷だと語っていたという、広島へ調査に向かう。<br> <br> 一方、滋乃と千鶴はマジックホールで聞き込みを行っていた。<br> 小谷内によると、篠原は一月ほど前、蓮花の紹介でホールに勤め始めたらしい。<br> <br> 捜査本部の遊郭・花月楼で栗山刑事と話し合う二人。<br> スクラップブックには、ここ数年で失踪した子供たちの写真ばかりが載っていたらしい。<br> 現時点では写真のうち2枚が、既に失踪届けの出されている<br> 相馬銀次郎と真下五月のものだということが判明している。<br> <br> 二人は、相馬銀次郎が書生として起居していた常盤邸へと向かう。<br> 主の常盤省吾に迎えられる二人。<br> 常盤は大学教授で、時人の旧友で、かつては一緒に素人探偵をやっていたという。<br> 常盤の許可を得て相馬の部屋を調べると、彼が英語を熱心に勉強していたことがわかった。<br> <br></dd> <dt>206 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/22(金) 22:58:15 ID:is5DM7n+0</dt> <dd>次に、真下五月の実家である乾物屋、「鍵屋」に向かう二人。<br> 五月の父、毅から許可を得て五月の部屋を調べると、彼女も英語を熱心に勉強していたことがわかる。<br> そして、相馬と真下は同じ英語学校「築地ハリソン英語学校」に通っていたようだ。<br> <br> さっそく、英語学校のあるというハリソン邸に移動する。<br> しかし屋敷に人の気配は無い。<br> そこで、屋敷の向かいにある日の出食堂で女主人の中田熊子から話を聞いてみる。<br> 屋敷には五人の外国人女性が住んでいたのだが、一週間前に急に引っ越したらしい。<br> 一週間前といえば、ちょうど志田が殺害された日のことだ。<br> <br> 第二倉島荘で伊勢真由美に公夫のことについて聞く。<br> すると、公夫もハリソン英語学校に通っていたことがわかる。<br> やはり、英語学校にはなにかあるようだ。<br> <br> 事務所で改めて操作の方針を栗山と確認する二人。<br> 猟奇同盟という組織が美形の少年少女を多数誘拐しており、そこに英会話学校がからんでいるらしい。<br> また、その猟奇同盟によって志田と蓮花は殺されたらしい。<br> そこに常盤が現れ、時人の友人として操作に同行・協力させて欲しいという。<br> その申し出を、二人は快諾した。<br> <br> マジックホールで花柳から話を聞く三人。<br> 蓮花は、一週間ほど前に新聞記者の取材を受けてから急に落ち着きをなくしたらしい。<br> 取材に来たのは、東京日報の志田と増田という記者だという。<br> <br> 東京日報本社で志田の同僚、増田伸次に聞き込みを行う。<br> 増田によると、志田は伊達公夫の捜索を始めてから様子が変わり、英語学校に通いだしたらしい。<br> 志田はハリソン英語学校に生徒として潜入し何かを掴んだのだが、そのために殺されたようだ。<br> <br> 日の出食堂の熊子によると、英語学校には有名な政治家や社長の他、蓮花も通っていたという。<br> <br> 花月楼で栗山と話しをする。<br> 殺された志田は、殺害される前日あたりに大きな背中に引っかき傷を付けていたようだ。<br> そのことが、千鶴はどうも気になるという。<br> <br> 浅草の見世物小屋では、平田権六が相変わらず怪しい興行を開いている。<br> 平田によると、蓮花には色々と良くない噂があったようだ。<br> <br> 事務所に戻った三人は、美和と蘭丸に迎えられる。<br> 美和は、みんなのためにシチューを用意したという。<br> 美和と蘭丸は、すでにシチューを食べたようだ。<br> 常盤がお茶を淹れ、一同揃って夕食となる。<br> しかし夕食後、滋乃と千鶴、常盤は次々に意識を失っていく。<br> どうやら夕食と一緒に、睡眠薬を飲まされてしまったようだ。<br> <br> 『続・猟奇同盟』前編END<br> <br> <br></dd> <dt>223 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/29(金) 06:06:52 ID:WSAwRHwc0</dt> <dd>☆第六話『続・猟奇同盟』後編<br> <br> 一同が眠りから醒めると、蘭丸(ランドルフ丸山)の姿が事務所から消えていた。<br> 昨晩自室に戻った蘭丸は、一同が眠っている間に猟奇同盟に誘拐されてしまったのだ。<br> 常盤と千鶴、滋乃は操作を再開する。<br> マジックホールで工藤めぐみから、蓮花が篠原を気味悪がっていたという情報を得る。<br> 篠原は蓮花の口利きでホールに勤め始めたはずなのに、何故なのだろうか。<br> <br> 花月楼で栗山から、シチューに睡眠薬の反応が出たことを聞かされる。<br> シチューを作ったのは美和だ。<br> それに彼女は、昨晩一同と一緒にはシチューを食べず、一足先に事務所を出て行った。<br> 親しい間柄の彼女が、猟奇同盟とつながっているのだろうか?<br> また、蘭丸の部屋の鍵が壊されていたこともわかった。<br> <br> 日の出食堂の中田熊子によると、蓮花が殺される前、花柳宗司が蓮花のことを聞きに訪れたという。<br> どうやら彼はその時、ハリソン邸に向かう蓮花を尾行していたようだ。<br> <br> 勝鬨の渡しの船頭、相模陣兵衛によると、ハリソン邸では英語学校を隠れ蓑に売春が行われていたそうだ。<br> <br> 日本館で、河村須美子から花柳の噂を聞くことができた。<br> 彼は女好きで有名で、いまも工藤めぐみと30前後の女性と二股をかけているらしい。<br> その女性とは、美和のことなのだろうか?<br> 須美子の話は、増田伸次の証言によっても裏付けられた。<br> 志田は猟奇同盟調査の為、30前後の女性と面会していたらしい。<br> <br> ここで常盤は、美和が猟奇同盟の一員で花柳はその協力者、<br> そして彼らは蓮花を監視していたのではないか、との推理を組み立てる。<br> また、志田が接触したのも美和で、彼女は危険を感じ志田を始末したのでは、と予想する。<br> <br> 美和を猟奇同盟の一員とする常盤の推理を、心情的に受け入れられない二人。<br> また美和は現在旅行中とのことで、本人の話を聞くことも出来ない。<br> そんな二人に、常盤はもう遅いし自宅に帰る、またいつでも連絡して欲しいといい別れを告げた。<br> <br> 翌日、広島から帰ってきた巴と諸星は美和犯人説を受け入れる前に、独自に調査を開始する。<br> マジックホールでは、工藤と花柳が痴話喧嘩を繰り広げていた。<br> 工藤の話によると、花柳が二股をかけていた三十前後の女性とは、蓮花のことだったようだ。<br> <br> 次に花柳に話を聞くと、蓮花が遺したスクラップブックを<br> 彼女の生前金庫に納めたのは、彼と小谷内だという。<br> 花柳はブックの他に多くの書類を同時に蓮花から受け取ったという。<br> しかし以前小谷内から金庫の中身として受け取ったのは、ブックだけだった。<br> この事実を知った巴は、一つの結論に達する。<br> <br> 小谷内は、蓮花をかばって本当は金庫の中にあった書類を隠していた。<br> それら書類は、蓮花が猟奇同盟の一員であることを示すスキャンダラスなものだった。<br> また、書類には同盟のメンバーとして、著名な政治家・財界人・芸能人の名が多く記されていた。<br> 蓮花が殺された際楽屋が荒らされたのは、犯人がこの書類を探したためだ。<br> <br> また巴は、花柳と小谷内は同盟のメンバーではないと断言する。<br> 二人が同盟のメンバーなら、すでにコレを処分しているはずだからだ。<br> 蓮花は志田殺しに絡み御神楽探偵事務所に目を付けられた為、<br> 同盟に派遣された監視者である篠原に殺されたのだった。<br> 花柳が以前蓮花を尾行したのは、彼女の身を案じた小谷内の依頼によるものだった。<br> <br> 次に二人は、東京日報へ増田を訪ねる。<br> 増田は、二人に志田の遺した写真を見せてくれた。<br> 写真にはハリソン邸の窓が写っており、その中には巴に催眠術をかけた仮面の男の姿があった。<br> ハリソン邸が同盟の本拠地だと確信した諸星は、屋敷の強行調査を決意する<br> <br></dd> <dt>224 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/06/29(金) 06:09:13 ID:WSAwRHwc0</dt> <dd>ハリソン邸に踏み込んだ二人は、相模の協力もあり、隠し部屋を発見する。<br> しかし諸星は、二人で突入するのは危険だとして本庁へ応援要請のため戻っていった。<br> その後巴は一時諸星からの連絡を待つが、蘭丸の身を案じ、単身突入を決意する。<br> そこに、諸星から連絡を受けた千鶴と滋乃が合流し、三人はハリソン邸へと突入する。<br> <br> 隠し部屋から地下に降りると、そこには広大な洞窟に作られた地下施設が広がっていた。<br> かつて巴が拉致された際、監禁されたのもこの場所だった<br> やはり、ここが猟奇同盟本拠地のようだ。<br> <br> 迷路のような洞窟を進んでいくと、誘拐された少年少女達が全裸で監禁されている牢屋があった。<br> そこには、以前行方不明となった伊勢真由美の弟、伊勢公夫の姿があった。<br> 公夫の無事を確認した三人は、更に洞窟の奥へと進んでいく。<br> <br> 三人は洞窟の最奥、享楽の島と名づけられた施設の中枢へとたどり着く。<br> しかしそこで、武装した猟奇同盟員たちに包囲されてしまう。<br> 三人は連行され、ばらばらの部屋に監禁された。<br> <br> 監禁部屋の中で、巴は推理をめぐらせる。<br> そして、美和は猟奇同盟の協力者ではない、との結論に達する。<br> 彼女に嫌疑がかかったのは、作ったシチューに睡眠薬の反応があったことと、<br> 花柳や志田が彼女と同じ年頃の女性と面会していた、という2つの理由からだった。<br> しかし、花柳たちがあっていたのは蓮花だということがすでに証明されている。<br> また、美和がもし蘭丸を攫ったのなら、彼女は事務所のメンバーと親しいのだから、<br> 蘭丸の部屋の鍵を壊したりなどせず、蘭丸自身に空けてもらって部屋に侵入すればいい。<br> 以上の理由から、美和が猟奇同盟員で蘭丸誘拐の犯人とは考えられない。<br> <br> おそらく、睡眠薬はシチューと一緒に飲んだお茶に入っていたのだろう。<br> 犯人は自分だけ普通のお茶を飲み、他の人間が寝ている間にシチューに薬を混入、蘭丸を誘拐したのだ。<br> つまり犯人は、千鶴たちに「捜査に協力する」といって近づき、問題のお茶を淹れた人物・・・。<br> ここまで巴が考えをまとめた時、猟奇同盟員が彼女を部屋から連れ出す。<br> <br> 向かった先は、享楽の島だった。<br> そこは極彩色のスポットライトで彩られ、<br> 誘拐した多くの少年少女たちを殺して作られた「人間剥製」により飾られていた。<br> 今牢屋に閉じ込められている少年少女たちも、いずれは剥製にされてしまう予定だったのだ。<br> 享楽の島中央に位置する玉座に、仮面を付けた猟奇同盟の主宰が居た。<br> 彼こそが猟奇同盟を組織し、数々の犯罪を指揮し、またかつて巴に催眠術をかけた人物であった。<br> 巴は、同盟主宰の正体を喝破する。<br> <br> 猟奇同盟主宰の正体、それは常盤省吾だった。<br> 常盤を激しく非難する巴に対し、彼は「悪こそが人間の本質」と演説をぶつ。<br> そして、巴にも人間剥製になってもらうと言うのだった。<br> <br> その時、巴を拘束していた同盟員の一人が仮面を外す。<br> それは、入院しているはずの時人だった。<br> そこに時人に導かれた警官隊が現れ、常盤以下猟奇同盟は壊滅したのだった。<br> <br> 時人が重態というのは、猟奇同盟を油断させる為の芝居だった。<br> 敵をだますにはまず味方から、でこのことを知っているのは時人と諸星だけだった。<br> 巴は時人に怒りつつも嬉しさを隠せず、事件を解決した一同は事務所へと帰っていくのだった。<br> <br> ☆第六話『続・猟奇同盟』END<br> <br></dd> <dt>318 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/11(水) 06:42:10 ID:3lGt4jgq0</dt> <dd>間が空いてしまいましたが、続・御神楽少女探偵団~完結編~です。<br> <br> ☆第七話『蜃気楼の一族』登場人物<br> <br> ・久御山多聞・・・滋乃の父。子爵。<br> ・伊庭浩三・・・かつて『太白星』事件(『御神楽少女探偵団』収録)で知り合ったオペラ座の館長。</dd> <dd>・河村須美子・・・これまでの事件を通じ、御神楽事務所のメンバーとも親しくなっているオペラスター。<br> ・小野寺守衛・・・小野寺家当主。子爵。<br> ・小野寺喜久子・・・守衛の妻。<br> ・小野寺一郎太・・・小野寺家の子息。好青年。<br> ・木原シゲ・・・小野寺家の女中頭。厳格だが使用人の鑑のような人物。<br> ・野上糸・・・小野寺家の女中。<br> ・鏡進一・・・劇場『桔梗館』館長。<br> ・片岡芳郎・・・桔梗館所属の脚本家。<br> ・日向まき・・・桔梗館所属の踊り子。<br> ・本庄晋太郎・・・劇場『銀星館』館長。<br> ・丸木戸貞蔵・・・劇場『三角館』館長。<br> <br></dd> <dt>319 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/11(水) 06:43:13 ID:3lGt4jgq0</dt> <dd>☆第七話『蜃気楼の一族』前編<br> <br> ある日滋乃は父、多聞に呼び出された。<br> そこにはかつて事件を通じ知己を得た、「日本館」館長伊庭浩三が居た。<br> なんでもこれから二人は、演劇関係者が集う会合に出席するらしい。<br> 同行を薦められた滋乃は、二人と共に会合場所の小野寺子爵家へ向かった。<br> <br> 小野寺家には、滋乃は八年前訪れたことがあった。<br> 当時のことはほとんど何も覚えていなかったが、一つだけ鮮明に覚えていることがあった。<br> <br> まだ幼かった滋乃は、屋敷の中庭にあるバラ園で手に怪我をしてしまった。<br> そのとき、居合わせた青年が滋乃を優しく手当てしてくれたのだ。<br> その青年こそが、滋乃の初恋の相手だった。<br> しかし、彼女は結局その青年の名前すら知ることが出来なかった。<br> <br> 屋敷を伊庭と共に散歩していた滋乃は、鏡進一、片岡芳郎、日向まき、本庄晋太郎と出会う。<br> 彼らも会合に出席する為、今日は小野寺邸に宿泊するらしい。<br> 宿泊客は全員、小野寺邸の別館にそれぞれ部屋を用意してもらい、泊まることになった。<br> <br> その夜、滋乃は父に突然起こされる。<br> 「人が死んでいる」という言葉を聞いた滋乃が急いで別館の外に向かうと、<br> そこには槍のような鋭い鉄柵に串刺しになった、日向まきの死体があった。<br> <br> 翌日、巴・千鶴と合流した滋乃は諸星・栗山両刑事と捜査を開始する。<br> 時人は、相変わらず別の事件で忙しいらしい。<br> 日向の死因は絞殺で、死後二階の泊まっていた部屋の窓から投げ落とされ、その際鉄柵に串刺しになったようだ。<br> 服装は昨日滋乃が会った時のままで、誰か知り合いと会ったところ、その知り合いに殺されたらしい。<br> <br> 一同が屋敷の会議室に向かうと、そこでは本庄ともう一人の男が言い争っていた。<br> 相手の男は丸木戸貞蔵という名前で、演劇について激論を交わしていたという。<br> <br> 片岡に話を聞くと、彼は昨晩脚本を執筆しているうちに眠ってしまい、何も気づかなかったらしい。<br> <br> 玄関先で伊庭に出会う。<br> なんでも掃除を理由に、女中頭のシゲに部屋を追い出されたという。<br> <br> 202号室でシゲに会い、御神楽探偵事務所と名乗ると、シゲはなぜか御神楽の名に過剰な反応を示した。<br> シゲによると、別館は夕食の七時以降玄関の鍵が閉まってしまうため、外部の人間の侵入は不可能だという。<br> また宿泊客は、それぞれの部屋の鍵と玄関の鍵を渡されている為、出入りが自由だったという。<br> <br> 殺害場所と思われる日向まきの部屋、206号室では奇妙な事実がわかった。<br> 日向まきの部屋の扉には鍵がかかっており、鍵は被害者のポケットから見つかった。<br> そしてスペアキーは無い。<br> つまり、密室殺人だ。<br> 日向まきが読んでいたと思われる芝居、『蜃気楼の一族』の台本がベッドの上にあった。<br> 豊臣秀吉をモチーフにした芝居らしい。<br> <br></dd> <dt>320 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/11(水) 06:43:57 ID:3lGt4jgq0</dt> <dd>屋敷の廊下では片岡、丸木戸、本庄が何か言い争いをしていたが、一同が近づくと気まずそうに立ち去った。<br> <br> 201号室に止まっている本庄に話を聞くと、片岡と丸木戸は犬猿の仲で、本庄は二人の喧嘩を仲裁していたらしい。<br> 二人は、この屋敷で行われるはずだった会合の方針を巡って喧嘩をしていたという。<br> それは、劇場はもっと高尚な劇を上演すべきか否か、という議題の会合で、<br> 賛成派の片岡と反対派の丸木戸の意見はまるで合わない、という。<br> そして、本庄は中立らしい。<br> <br> 202号室で伊庭に話を聞くと、鏡と片岡は、丸木戸への嫉妬から彼と対立しているという。<br> 鏡たちの劇場よりも、丸木戸の劇場の方がずっと客の入りがいいのだそうだ。<br> <br> 諸星警部の調べで、日向は片岡の愛人だったことが判明した。<br> <br> 207号室に泊まっている丸木戸に話を聞く一同。<br> 昨晩、隣の206号室、つまり日向の部屋から争っている声が聞こえたという。<br> 日向の声ははっきりと聞こえたが、争っていた相手の声までは判別できなかったらしい。<br> <br> 翌日、このまま宿泊客達を屋敷に留めておいてもしょうがない、ということで屋敷の出入りが自由になった。<br> そして、一同は本館のバラ園で小野寺家の子息、一郎太と出会う。<br> 彼は何故か御神楽探偵事務所のことについて詳しく、巴たちの捜査には協力的だ。<br> 彼は女中の野上糸を捜しているらしい。<br> <br> 中庭の小道で、糸を見つける一同。<br> 彼女の話によると、日向が生前、この小道で喜久子と話している姿を見たらしい。<br> 華族の夫人が、屋敷から離れた場所で踊り子と話していた、という証言に一同は戸惑う。<br> <br> まだ別館の203号室に滞在している鏡進一に、日向と喜久子の関係について、心当たりを聞く。<br> すると、日向は生前「『蜃気楼の一族』で喜久子様の役をやる」と言っていた、との証言を得る。<br> 日向の役は、秀吉の側室、淀君だったらしい。<br> <br> 205号室に行くと、片岡が帽子を探していた。<br> もしかしたら、206号室に帽子があるかもしれないと言う片岡に不審を覚える一同。<br> すると片岡は、事件当夜片岡と日向が部屋を替わった事実を明かした。<br> なんでも、本来は日向が205、片岡が206に泊まる予定だったところ、日向に頼まれ部屋を入れ替えたらしい。<br> シゲに確認を取り、片岡の話は真実であることが判明した。<br> 犯人は当初、もしかしたら日向ではなく片岡を狙っていたのだろうか。<br> <br></dd> <dt>69 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/30(月) 07:14:18 ID:id9IYkUK0</dt> <dd>☆第七話『蜃気楼の一族』中編<br> <br> 時人は、別途関わっていた事件が後味の悪い結末に終わってしまったらしく、<br> 半ば自室警備員化しており捜査に協力はしてくれないようだ。<br> 三人は、時人が立ち直るまでに出来るだけ事件を調べておこうとする。<br> <br> 小野寺家中庭で、野上糸から片岡が有力容疑者なのか、と質問される。<br> どうやら栗山刑事が、捜査情報を喋ってしまった様だ。<br> そして糸から、片岡がこの屋敷にちょくちょく来て、喜久子夫人と会っていることを聞かされる。<br> どうやら片岡は、喜久子から資金援助を受けているようだ。<br> <br> 別館の203号室では、鏡が帰り支度をしていた。<br> 鏡の話によると、日向は死の直前、大金が入ると周囲に吹聴していたらしい。<br> 犯罪の匂いを感じる三人。<br> <br> 207号室で丸木戸に聞いたところによると、喜久子は演劇に全く興味が無いらしい。<br> 演劇に興味が無いのに、喜久子が片岡を援助しているのはどうしてなのだろうか。<br> <br> 本館で喜久子に事情を聞こうとするが、玄関口でシゲに入館を拒まれてしまう。<br> どうやらシゲは、事務所のメンバーが喜久子と会うのを防ぎたいらしい。<br> しかし、通りかかった一郎太の計らいで、無事本館に入れることになった。<br> <br> 喜久子に会いに夫人室へ向かうと、中から彼女とシゲの会話が聞こえてきた。<br> どうやら喜久子は、体調を崩しているようだ。<br> 喜久子は、この事件のせいでまた「悪魔の子」と関わることになってしまった、と嘆いている。<br> そして、「悪魔の子」は小野寺家を恨んでいるだろう、とも言う。<br> 「悪魔の子」とは、いったい誰のことなのだろうか。<br> <br> 使用人室でシゲから話しを聞く。<br> 喜久子が片岡に援助をしているのは、かつて片岡が小野寺家に書生として住み込んでいた縁から、らしい。<br> 小野寺家と片岡は、20年以上の付き合いがあるという。<br> <br> 小道で一郎太と出会う。<br> 彼によると、シゲは喜久子が小野寺家に嫁いで来る前から彼女に仕えていたらしく、やや狂信的な忠誠心を持っているという。<br> <br> これまで得た情報を元に、三人は推理を巡らせる。<br> 「悪魔の子」が小野寺家への恨みから、邸内で無差別殺人を犯したのだろうか。<br> <br> 演劇界について調べる為、浅草の劇場街を訪れた三人。<br> 鏡と片岡の居る桔梗館に向かう。<br> 片岡によると、日向は本庄の経営する銀星館から移籍してきたらしい。<br> <br> 伊庭の経営する日本館に向かう三人。<br> 親しくしている河村須美子の楽屋を訪れると、河村と本庄が歓談していた。<br> 本庄いわく、日向はかなり金に汚い性格だったらしい。<br> 生前日向が言い残した「もうすぐ金が入る」という言葉にはどういう意味がこめられていたのだろうか?<br> <br></dd> <dt>70 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/30(月) 07:15:16 ID:id9IYkUK0</dt> <dd>警察署に向かうと、栗山刑事から日向まきの部屋に残されていた『蜃気楼の一族』の台本を片岡に届けるよう頼まれる。<br> 片岡から毎日返還の催促が来て、うるさいらしい。<br> <br> 桔梗館に行くと、鏡がいた。<br> 彼によると、『蜃気楼の一族』は日向の代役を立てて上演するらしい。<br> すでに台本も出来上がっている、という。<br> 台本が出来上がっているのに、なぜ片岡は警察署に返却をしつこく請求したのだろうか。<br> <br> 桔梗館に片岡の姿は無かったので、丸木戸の三角館へ向かう。<br> 丸木戸によると、日向は部屋を205から206に移ることを嫌がっていたらしい。<br> 片岡とシゲの話では、日向は自ら望んで206号室に部屋を移ったはずなのだが。<br> どうやら片岡は嘘をついていたようだ。<br> <br> 小野寺家では、糸が大量の新聞を処分していた。<br> なんでも、全てシゲが読んだものらしい。<br> 続いてシゲと出会う三人。<br> シゲは三人に、瓢箪池という場所はどこにあるのか、と突然尋ねてきた。<br> 三人が浅草にあると教えると、シゲは何故か憂いの表情を浮かべ考え込んでしまった。<br> <br> 瓢箪池では、守衛と一郎太が口論をしていた。<br> 盗み聞きしてみると、どうやら兄に会いに出かけて一郎太を、守衛が咎めているらしい。<br> 一郎太は小野寺家の長男だと思っていたのだが、もしかして兄が居るのだろうか?<br> <br> 夜、桔梗館を訪れ片岡を詰問する。<br> 片岡はなぜ日向と部屋を替えたことについて、嘘をついたのか確かめる為に。<br> 三人を前に、片岡はひどく動揺し煙草を吸いだした。<br> すると突然苦しみだし激しく喀血、そして事切れてしまった。<br> 一言「金庫」と言い残して。<br> <br> 翌日、諸星警部に片岡の死の詳細を聞く三人。<br> どうやら、煙草に毒が仕込まれていたらしい。<br> <br> 鏡に、片岡の言い残した「金庫」について訪ねる。<br> すると、桔梗館文芸部に片岡の使っていたダイヤルロック式の大型金庫があるという。<br> しかし、ロックの解除番号は亡き片岡しか知らないらしい。<br> <br> 三角館で丸木戸に金庫の中身について心当たりを聞く。<br> すると彼は、片岡が喜久子から貢いでもらった金でも入っているのではないか、と言う。<br> 片岡は喜久子の愛人だったのだろうか?<br> <br></dd> <dt>71 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/30(月) 07:15:52 ID:id9IYkUK0</dt> <dd>しかし久御山家で多聞に話を聞いてみると、喜久子が浮気なんて考えられない、という。<br> 彼女は本当に夫を愛しているらしい。<br> <br> 小野寺家で糸に話を聞くと、彼女は半年前、守衛が浮気をしている証拠を見つけていたらしい。<br> なんでも倉庫の中に、ときという女性から守衛に宛てられた恋文がしまってあったそうだ。<br> もしかして、一郎太がいう「兄さん」とは、守衛と浮気相手との間の子供なのだろうか。<br> しかし事情を良く聞いてみると、どうやらその恋文が書かれたのは今から30年近く昔のことだったことがわかった。<br> <br> さらにその後一郎太から事情を聞くと、守衛と喜久子が結婚したのは問題の恋文が書かれたよりも、<br> はるか後のことだということが判明した。<br> <br> 喜久子からも事情を聞くも、有益な情報は得られなかった。<br> しかし窓から中庭を見つめていた喜久子が、突然顔をこわばらせ「悪魔の子」と呟く。<br> 中庭に悪魔の子が居るのだろうか?<br> 三人は急いで中庭に行くが、そこには諸星警部の姿があった。<br> なんでも時人が復調したらしく、ついさっきまで彼と二人で中庭に居たらしい。<br> 三人は警部から、片岡の遺留品として『蜃気楼の一族』の台本を受け取った。<br> <br> 事務所に戻り、片岡が遺した台本を読む三人。<br> すると台本には、謎の記号がびっしりと書き込まれていた。<br> この記号が片岡のダイイングメッセージかもしれない、と考えた三人は調査を試みる。<br> <br> 日本館で伊庭に、記号について心当たりが無いか聞く。<br> すると彼はあっさり、記号は演出記号だと指摘した。<br> なんでも、演劇の演出について台本に略記する為の記号らしい。<br> 三人は落胆する。<br> <br> ☆第七話『蜃気楼の一族』中編END<br> <br></dd> <dt>81 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:15:59 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>☆第七話『蜃気楼の一族』後編<br> <br> 注: 『蜃気楼の一族』中編で重大なミスがあります。<br> 演出記号が書き込まれていた台本は、片岡の遺品ではなく日向まきの遺品でした。<br> すみません。<br> <br> 三人は、喜久子の言う「悪魔の子」に焦点を絞り捜査を行うことにした。<br> これまでの情報を整理し、「悪魔の子」とは一郎太の兄と予想できること、<br> 一郎太の年齢や糸の見つけた恋文が書かれた時期を考えると年齢は20代後半から30代前半とよそうできること、<br> などの推理を行う。<br> しかし、事件の関係者に推理した条件に合致する人間は居なかった。<br> 『蜃気楼の一族』の台本を読み込んでみるという千鶴を残し、巴と滋乃は捜査に出かける。<br> <br> 桔梗館では、踊り子と脚本家を立て続けに失った鏡が落ち込んでいた。<br> 彼の話によると、『蜃気楼の一族』の台本には、モデルが居たらしい。<br> ただ、片岡が具体的に誰をモデルにしていたのかまでは知らない、という。<br> <br> 片岡の殺された部屋では、栗山刑事が検分を行っていた。<br> 彼によると、片岡は呼吸器系に病を抱えていた為、煙草は一日二本と決めていた、という。<br> 片岡は普段一箱20本入りの煙草を吸っており、遺留品となった煙草入れには12本の煙草が残っていた。<br> 片岡の喫煙行動を知る人間が、まだ彼が小野寺子爵邸に居る間に煙草に毒を仕込んだ可能性が出てきた。<br> つまり、日向まき殺害当時子爵邸に居た人間全員が、片岡芳郎殺害の容疑者にもなるのだ。<br> <br> すっかり捜査に行き詰った二人が日本館に行くと、河村須美子と出会う。<br> 彼女は二人に気分転換をさせようと、ある暗号をパズル感覚で出題する。<br> 暗号には<br> ・C+○<br> ・N×△<br> ・◇÷Z<br> ・□-V<br> と記されている。<br> <br> 須美子いわく、この四つの式はある日付について表しており、CやNは英語でなくただの図形らしい。<br> また、+や×は単純に数学記号と考えていいそうだ。<br> 日付ということは、この暗号は0101から1231までの4桁の数字のうちどれかを表していることになる。<br> そのため、最初のC+○は0か1かのどちらかの数字を表していることになる。<br> 同様に、◇÷Zは1か2か3のうちのいずれかだ。<br> ここでCと○には図中に折れ曲がりが一切存在しないが、その他Nや◇には折れ曲がりが存在することに注目する。<br> すると上記の4式は<br> <br> ・C+○=0+0=0 (折れ曲がり数がそれぞれ0の為)<br> ・N×△=2×3=6 (Nの折れ曲がり数は2、三角の折れ曲がり数は3)<br> ・◇÷Z=4÷2=2 (◇の折れ曲がり数は2、Zの折れ曲がり数は2)<br> ・□-V=4-1=3 (□の折れ曲がり数は4、Vの折れ曲がり数は1)<br> <br> となり、暗号は0623、つまり6月23日を表していることがわかる。<br> <br> 二人が見事暗号を解くと、この暗号は彼女が後輩と一緒に遊びで考え付いたもので、<br> 今では浅草の演劇関係者間で広くブームになっていると須美子は教えてくれた。<br> 殺された片岡も、この暗号遊びを大変気に入っていたという。<br> 二人は、片岡の遺した台本に記されていた演出記号もこの暗号だったのではないか、と気づく。<br> <br> 二人は伊庭から演出記号について教えてもらった後、事務所で千鶴と共に暗号解読を行う。<br> 片岡の台本に記されていた演出記号は、やはり暗号になっていた。<br> 演出記号が記されている場面に登場する人物の名前にはそれぞれ数字が入っており、<br> 劇の進行と矛盾した演出記号が記されている人物の名前に入っている数字を並べると、5桁の数字になる暗号だった。<br> それは、桔梗館にある金庫のロック解除番号だった。<br> <br></dd> <dt>82 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:17:17 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>金庫の中には、片岡のアイデアノートがあった。<br> そこには、『蜃気楼の一族』のモデルとなった人々の名が記されていた。<br> 『蜃気楼の一族』は豊臣秀吉の晩年について描いた芝居で、秀吉のモデルは小野寺守衛、淀君のモデルは小野寺喜久子、<br> 秀頼のモデルは小野寺一郎太、英次のモデルは小野寺佐次となっていた。<br> この芝居は、小野寺一族をモデルとして描かれたものだったのだ。<br> そして巴と滋乃は、小野寺家に今までであったことの無い「佐次」という人間が居ることを知る。<br> この佐次こそが、一郎太の兄で、喜久子から「悪魔の子」と呼ばれていた人物なのだろう。<br> <br> 事務所に戻った二人は、千鶴に『蜃気楼の一族』の粗筋を教えてもらう。<br> 晩年の秀吉と淀君の間には、なかなか子供が生まれなかった。<br> そこで秀吉は遠縁の秀次を養子に迎える。<br> 自分の血を引かない人物が豊臣家の跡継ぎになることに焦った淀君は、自分の小姓と密通して子を出産。<br> その子を秀吉の子、と偽り豊臣家の跡継ぎにしようと画策する。<br> そして、秀次は邪魔者扱いされるようになり、最後には切腹させられてしまう。<br> 以上が『蜃気楼の一族』の粗筋だった。<br> <br> 物語の粗筋を小野寺家に当てはめてみると、小野寺佐次は小野寺家に切り捨てられた存在になる。<br> 自らの境遇を恨んだ佐次が、復讐の為小野寺家で殺人を起こし、自分の正体を知る片岡までも殺したのでは、と三人は推理する。<br> <br> 巴と滋乃は居合わせた諸星警部と共に、父である多聞に小野寺守衛の過去と、佐次について尋ねる。<br> しかし、多聞は佐次のことについては何も知らない、という。<br> ただ、多聞と守衛とは学生時代に留学中のロンドンで知り合って以来の仲で、留学中守衛が高熱で腎臓を患ったことを教えてくれた。<br> <br> 久御山家を出ると、諸星警部は気になることがある、という。<br> 高熱で腎臓を患うと、同時に精巣の機能も失われてしまう、つまり生殖能力を失ってしまうことがあるらしい。<br> 晩年の秀吉が子供を作れなくなっていたのと同様に、守衛も子供が作れない体である可能性があるのだ。<br> もしかすると、一郎太は芝居の中の秀頼と同様に、守衛と喜久子の間の子供ではないのかもしれない。<br> <br> 探偵事務所に帰ると、蘭丸からつい先ほどまで一郎太が訪ねてきていたことを教えられる。<br> 時人に直接捜査をしてもらうよう、依頼に来たらしい。<br> その後事務所が入っているビルの一階にある、美和の経営する古美術屋に行く二人。<br> そこで二人は美和から、驚くべき事実を教えられる。<br> <br> 美和曰く、時人と一郎太は兄弟だという。<br> 御神楽探偵事務所開設のため、美和に不動産賃貸の契約を申し込む際、時人は一郎太と二人で契約に来たのだ、という。<br> つまり「悪魔の子」、小野寺佐次とは、他ならぬ御神楽時人のことだったのだ。<br> <br> 愕然とする二人の所に、諸星警部がやってくる。<br> やはり小野寺守衛は無精子症だったらしい。<br> つまり一郎太は、守衛と喜久子との間の子供ではないのだ。<br> ただ、そのことを守衛本人は知らないのだという。<br> <br> <br> 滋乃は自宅で多聞を問い詰める。<br> すると、多聞は自分の知ること全てを話す決意をした。<br> 多聞は、昔から御神楽時人が小野寺佐次であることを知っていた。<br> かつて多聞と小野寺佐次を名乗っていた頃の時人とは、何回か出会っていたのだ。<br> ただ、ときは平民であったため、周囲の邪魔が激しく守衛とときは結婚することが出来なかった。<br> そして、佐次はときの実家に引き取られ育てられることとなった。<br> その後守衛は名家の息女、喜久子と結婚するのだが、守衛と喜久子の間には子供が生まれない。<br> そのため、小野寺家の血を引く佐次を再び小野寺家に迎え入れるのだが、そのことに喜久子は深く傷ついた。<br> 彼女は夫を深く愛しており、夫が婚前に他の女性に生ませた子供と共に暮らすことに耐えられなかったのだ。<br> しかし、やがて喜久子が一郎太を生んだ為今度は佐次が「用済み」となってつらい立場に立たされた。<br> そして佐次は20を越えたあたりで屋敷を飛び出し、御神楽時人と名を変えたのだった。<br> ちなみに御神楽の姓は、佐次の実母ときの実家の姓であり、時人の名も、御神楽家にいる間にときから呼ばれていた名だそうだ。<br> 多聞は時人が華族の出であり、誠実な人柄であることを知っていた為、娘の滋乃が御神楽探偵事務所で働くことを許したのだった。<br> <br></dd> <dt>83 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:18:14 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>衝撃を受けた滋乃は、初恋の人との思い出が眠る小野寺家の中庭に佇んでいた。<br> そして、八年前と同じようにバラで手に怪我をしてしまう。<br> そこに、偶然時人がやってきて滋乃の心配をする。<br> ここで滋乃は、八年前の初恋の記憶を詳細に思い出す。<br> そして自分の初恋の相手、八年前自分を手当てしてくれた青年は小野寺佐次、つまり現在の御神楽時人であることに気づく。<br> <br> 一方事務所では、巴と千鶴が事件の真相について推理を行っていた。<br> この事件の動機は小野寺家を守るためであること。<br> そのため、小野寺家の秘密である一郎太の出生を知る片岡と日向を殺害した。<br> これまでは、片岡が秘密を守る代わりに喜久子が資金援助を行う紳士協定が成立していた。<br> 片岡はかつて小野寺家の書生だった関係で秘密について知っていた。<br> そしてその秘密をアイデアノートに記し金庫に隠し、暗証番号を台本に暗号で記録した。<br> だが日向は暗号の記された台本を入手し暗号を解読、金庫を開けアイデアノートを読み、秘密を知った。<br> そして秘密を知った日向まきが喜久子を脅迫したことをきっかけに、紳士協定が崩れたのだろう。<br> しかし殺害の動機については推理が出来たが、密室殺人である日向まき殺害のトリックまではまだ解明できない。<br> 二人は調査の為、事件現場に再び向かう。<br> <br> この時間、小野寺家の別館入り口は施錠されているはずなのだが、なぜか鍵はかかっていなかった。<br> 事件当夜丸木戸が泊まっていた207号室には、糸がいた。<br> なんでもこの時間まで掃除をしているらしい。<br> その後片岡が使っていた205号室に移動すると、間に206号室を挟んでいるにもかかわらず、207に居る糸の鼻歌が聞こえてきた。<br> どうやら205号室と207号室は通風孔で繋がっているらしく、そのため207の人の声が205まで聞こえるようだ。<br> 急いで207号室に戻ってみると、糸が大量の丸められた新聞紙を手にしていた。<br> なんでも、通風孔にぎっしりと詰め込まれていたらしい。<br> 糸がこの新聞を取った為通風孔が通るようになり、彼女の鼻歌が205まで聞こえてきたのだ。<br> そして詰め込まれていた新聞の日付は、日向まき殺害翌日の朝刊だった。<br> そこに、時人と滋乃が突然現れる。<br> <br> 時人と三人は、事件について推理を行う。<br> これまで日向まきの殺害現場は、彼女が泊まっていた206号室だと思われていた。<br> それは、207に泊まっていた丸木戸が、隣室から日向と何者かが争う声が聞こえてきたと証言した為だ。<br> また、彼女の死体が206号室の窓下にあったことも重要な理由となった。<br> しかし通風孔の存在が明らかになった今、丸木戸の聞いた声は205から聞こえていた可能性が出てきた。<br> 205号室は事件当夜、片岡が宿泊していた部屋だ。<br> 片岡が日向まきと部屋を替わった理由を隠していたこと、日向まきの台本を必死に取り返そうとしていたことなどから、<br> 彼が日向まき殺害に関与していた可能性は十分にある。<br> 片岡が、日向を自室に呼び出し殺害。<br> その準備として普段は声が伝わってしまう問題を防ぐ為新聞紙で塞いでいる通風孔を、事件当夜だけ開放したと考えられるのだ。<br> しかし、つい先ほどの糸の証言によると、通風孔は事件翌朝の朝刊で塞がれていた。<br> 通風孔を塞ぎなおしたのは誰なのだろうか。<br> <br></dd> <dt>84 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/07/31(火) 00:19:33 ID:kEIeYffN0</dt> <dd>事件翌日を思い出すと、シゲが何故か207号室から丸木戸を締め出し、部屋の鍵を閉めて掃除をしていた。<br> また、丸木戸と違いシゲには小野寺喜久子を守るという、殺人の動機を持っている。<br> つまり、シゲと片岡が共謀して日向まきを殺害した、と推理できる。<br> また、日向の死体が206の窓下から見つかった理由は、205の窓から死体を投げ出すと下にせり出している屋敷玄関口の屋根に死体が落ち、<br> 屋根は傾斜している為に死体が自然に斜め下方向へ滑り落ち、206の窓下に落下する、という単純なトリックがあったためだ。<br> <br> 事件は日向まきが小野寺喜久子を脅迫したことに始まり、それを知った木原シゲが殺害を計画。<br> 片岡と共謀して日向を殺害したのが真相と思われる。<br> 時人がそう語った瞬間、一同の居る205号室ににシゲ本人が入ってくる。<br> そして、あっさりと自らの罪を認めた。<br> 喜久子を脅迫した日向を、彼女の扱いに困っていた片岡と共に殺害した。<br> そして、日向まき殺害と同時に、最早邪魔者でしかない片岡も殺害することを決めたと言う。<br> すると時人は、巴たちを205号室から退去させた。<br> <br> 二人きりの部屋で、激しく対峙する時人とシゲ。<br> 日向まきは、やはり一郎太の出生について喜久子を脅迫していた。<br> そして、一郎太の本当の父親は、他ならぬ片岡芳郎だった。<br> かつて守衛の隠し子である佐次の登場にひどく傷ついた喜久子のため、シゲが手引きし片岡と喜久子の間に子を生ませ、<br> それを守衛と喜久子の間の子として偽ったのだった。<br> シゲの行いを糾弾する時人に対し、彼女は憎悪をむき出しにして、お前さえ現れなければ子は無くとも喜久子は幸せだったという。<br> その後冷静さを取り戻したシゲは自首を決意、ただし動機については真実を喋らないという。<br> 時人も一郎太出生の秘密については隠しておくことを約束し、小野寺家での事件は解決した。<br> <br> 事件解決から二日後、瓢箪池のほとりを時人と一郎太が並んで歩いていた。<br> 一郎太は自分の出生の秘密を知らないで居るし、時人もそのことを教える気はない。<br> 一郎太が、時人に小野寺家に戻るよう誘いをかけるが、時人は自分はもう小野寺家の人間でないとして誘いを断る。<br> それぞれ別の道を歩むことになった二人だが、兄弟としてお互いを大切に思う気持ちは共通のものだった。<br> <br> ☆第七話『蜃気楼の一族』END<br> <br></dd> <dt>210 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 04:58:29 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』登場人物<br> <br> *今回は時人、蘭丸、美和が旅先で遭遇した事件という設定なので、いつもの三人娘は事件に絡みません。<br>  この事件での「三人」とは、時人、蘭丸、美和のことです。<br> <br> ・幣原作次・・・事件の被害者。酒乱で博打狂い、児童虐待が日常だった鬼畜親父。<br> ・幣原恒子・・・幣原家長女。なかなかの美人。<br> ・幣原みのる・・・幣原家長男。漁師。高校生ぐらいの年齢。<br> ・幣原郁・・・幣原家次女。小学校高学年ぐらい。盲目。<br> ・須賀五一・・・恒子の幼馴染。漁師で船長。<br> ・広瀬忠治・・・五一とみのるの同僚。<br> ・坂東五郎左衛門・・・地元の有力土建屋。半ば極道。<br> ・米井京子・・・恒子の同僚。<br> ・野呂田みつ・・・幣原家の隣人。<br> ・無明住職・・・塚原浄光寺の住職。『夢男』、『甦る夢男』事件で時人と知り合う。<br> ・多岐川刑事・・・『夢男』、『甦る夢男』事件で捜査を共に行った、新潟県警刑事。<br> ・森弥一・・・多岐川の部下。警官。<br> <br></dd> <dt>211 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 04:59:22 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』前編<br> <br> 時人と蘭丸は、かつて『甦る夢男』事件で自殺した阿部譲太郎・正夫兄弟の墓参りの為、<br> 事件の舞台となった新潟へ旅に出ていた。<br> たまたま同時期に美和が新潟へ商品の買い付けに出かけていたため、現地で彼女と合流し、三人旅となった。<br> <br> 阿部兄弟と父親の倉賀が埋葬されている塚原浄光寺で、無明住職に案内され墓参りを済ませる三人。<br> そこに、かつて捜査を共にした多岐川刑事がやってくる。<br> 多岐川に、美和と夫婦であると間違えられ、舞い上がってしまう時人。<br> 多岐川は、近頃発生した妙な殺人事件の解決を時人に依頼に来たという。<br> 美和も、観光を中止して捜査に協力してくれるという。<br> <br> 事件は、郊外にある木造二階建ての民家で起こった。<br> この家の主人である幣原作次が、昨晩何者かに殺されたのだ。<br> 多岐川は、部下の警官森を三人に紹介する。<br> <br> 作次の遺体は、家の中庭にあった。<br> 美和と蘭丸に死体を見せないよう、一人で検分を行う時人。<br> 昨日は夕方から夜まで豪雨だったので遺体は風雨で洗われたのだが、それでも血の匂いが垂れ込めていた。<br> 遺体の腹部は鉈で滅多切りにされており、内臓までもがミンチのようになっていた。<br> このひどい殺され方を見た時人は、犯人が被害者に強い恨みを持つ人物だと推理する。<br> 凶器の鉈は、遺体のそばに落ちていた。<br> 犯人は、この鉈で中庭にあった何度の戸を壊そうとしていたらしい。<br> 実際、何度の戸が昨晩何者かによって半壊させられていた。<br> 妙なことに、作次は中庭で殺されたにもかかわらず、遺体は履物を履いていなかった。<br> さらに多岐川によると、死亡推定時刻は昨日18時の前後1時間。<br> 豪雨の真っ只中に、作次は殺されたようだ。<br> <br> 家の居間で、長女の恒子から事情を聞く三人。<br> 彼女は普段家を離れ新潟の市内で働いている為、昨晩はここに居なかったという。<br> 森によると、彼女は市内の古町というところで芸者をしているらしい。<br> 殺された作次は「飲む・打つ・買う」三拍子揃ったDQNで、家計を支える為仕方なく芸者として働いているらしい。<br> <br> 次女、郁の部屋には布団に寝かされた郁と、それに付き添う長男、みのるがいた。<br> みのるは現在漁師をやっており、昨日は嵐に備え舟の陸揚げを手伝った後、漁業組合の建物に泊まった為やはりここには居なかった、という。<br> 陸揚げは昼頃から始め、終わったのは20時ごろだったらしい。<br> 次に郁に事情を聞こうとした三人は、彼女が盲目であることに気づく。<br> みのるによると、昨晩彼女は市内の恒子の家に遊びに行っており、今朝事件の報せを聞き姉妹で帰ってきたそうだ。<br> <br></dd> <dt>212 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 04:59:58 ID:OvTjfM610</dt> <dd>多岐川によると、事件の前日、少し離れた別の民家で泥棒被害が出ていたらしい。<br> なんでも、非常に高価な仏像が盗まれたのだという。<br> 多岐川は、この泥棒が幣原家に盗みに入り、作次に発見されたため彼を殺害した、と考えているようだ。<br> <br> 外が騒がしくなったので行ってみると、幣原家への立ち入りを求める漁師風の男と森警官が揉めていた。<br> 彼は恒子の幼馴染、須賀五一で、恒子が身元を確認した為、幣原家への立ち入りが許された。<br> <br> 森警官によると、かつて幣原家は漁業の網元として権勢を振るっていたが、<br> 作次の道楽が祟り今は落ちぶれ、網本の権利は須賀家が引き継いだという。<br> 作次は、地元の漁師連中の間では鼻つまみ者だったようだ。<br> <br> 五一は、家の寝室で落ち込む恒子を慰めていた。<br> その様子を中庭からみのるが見つめ、五一のことを睨み付けているようだ。<br> みのるは、自分が三人見られていることに気づくと不機嫌そうに立ち去った。<br> <br> 五一は、今朝漁業組合の事務所に居たところ、家へ帰ったはずのみのるが戻ってきて、事件を知らされたという。<br> どうやら昨晩は、彼とみのるは一緒に組合事務所に泊まったようだ。<br> みのるが家に帰ったのが今朝6時半で、事件を知らせに戻ってきたのが7時過ぎだったという。<br> その後、五一は事件を市内に居る恒子に知らせる為、自動車で彼女の家へ向かったという。<br> なぜ事件を知らせる為に電話を使わなかったのか、と美和が訪ねると、<br> 昨日の豪雨で電話線がやられ、今朝の時点ではこの一帯の電話が使えなくなってたという。<br> そして市内から恒子と郁を連れ、三人で汽車に乗って帰ってきたらしい。<br> <br> 納戸の前に行くと、みのるが半壊した戸から納戸の中を覗き込んでいた。<br> なんでも郁が居なくなってしまったらいく、ここにいないかと探しに来たらしい。<br> 郁は、嫌なことがあると納戸にこもる癖があるそうだ。<br> さらにみのるによると、納戸にはろくなものがしまってなく、戸には鍵すらかけていなかったという。<br> <br> 幣原家唯一の隣家、野呂田家に行く三人。<br> 住人の野呂田みつによると、殺された作次のDQN振りは有名だったらしい。<br> みつるや郁は、作次に度々暴力を振るわれていたそうだ。<br> <br> 蘭丸は時人に、作次の顔見知りを犯人として疑っているのか、と訊ねる。<br> 捜査の主眼を、顔見知りのアリバイ確認においているように感じたからだ。<br> 時人はそうだと答え、仏像泥棒が犯人ではない、それは作次の死体が必要以上に壊されていたからだ、と答える。<br> 実は多岐川も仏像泥棒が犯人だとは思っておらず、犯人を油断させ捜査をやりやすくする為にあえて惚けているらしい。<br> <br> 『暗闇の手触り』前編END<br> <br></dd> <dt>213 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 05:00:44 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』中編<br> <br> 翌日、塚原浄光寺で美和と合流する時人と蘭丸。<br> 今度は作次の交友関係を洗い、また幣原家の人々のアリバイ確認をより精密に行うことにする。<br> <br> 漁業組合事務所に行くと、漁師の広瀬忠治がいた。<br> 彼によると、昨日みのるは間違いなく20時ごろまで舟の陸揚げをやっていたという。<br> また、みのるは普段五一の舟に乗って漁をしているらしい。<br> しかし、昨日三人は恒子と親しくする五一を睨むみのるの姿を見ているのだが・・・。<br> 五一は、DQN作次の代わりに自分がみのるを一人前にしようと思っているようだ。<br> ただ、最近みのるは五一に対してなにかと反抗的だとも言う。<br> 事件当日の作次の行動について心当たりを聞くと、どうせ賭場に入り浸っていたのではないか、と返された。<br> このあたりの顔役で坂東の親分という土建屋がおり、彼が週二回ほど賭場を開催するらしい。<br> <br> 幣原家に行き、多岐川刑事に進展を聞く。<br> 解剖の結果、遺体腹部の鉈による損傷は、作次の死後に付けられたことが判明したという。<br> しかも犯人は、最低でも作次の死後5分以上たってから鉈で腹部を滅多切りにしたらしい。<br> なぜ犯人は殺人現場に5分以上とどまり、死体を損壊したのだろうか。<br> <br> 郁の部屋で布団を取り替えていた恒子に話を聞く。<br> 以前五一が恒子に結婚を申し込んできたことがあるのだが、作次が恒子の意思も聞かずに断ってしまったという。<br> どうやら家の稼ぎ手を失うことを嫌った作次が、強引に行動したらしい。<br> ただ、二人は恋仲ではあるようだ。<br> <br> 汽車に乗り、新潟市内へ向かう三人。<br> 恒子の働いている島源という店に脚を運ぶと、彼女の同僚である米井京子に話を聞くことが出来た。<br> 京子によると、事件当夜恒子は島源で働いており、翌朝間違いなく恒子と郁の姿を見たという。<br> また事件翌朝になるまで、豪雨の影響で鉄道が止まっていたらしい。<br> <br> 郊外に戻ってきた三人は、そのまま作次の入り浸っていた賭場のある、坂東組へ向かう。<br> 坂東の親分、五郎左衛門に面会することにあっさり成功する。<br> 五郎左衛門によると、事件当日作次は間違いなくこの賭場に来ていたという。<br> どうやら17時30ごろまで賭場にいたらしい。<br> ちなみに、坂東組から幣原家までは片道30分ほどかかる。<br> さらに、その夜作次は有り金を全部摺ってしまい、娘の郁をカタに入れるから金を貸せ、と暴れたそうだ。<br> 郁が盲目だということは五郎左衛門も知っていたらしく作次の要求を突っぱねると、<br> 作次はしまいには、鉄砲を持って乗り込んでやる、と喚くまでの大暴れをしたという。<br> どうやら作次は、以前護身用のためにこっそり鉄砲を買っていたらしい。<br> <br></dd> <dt>214 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 05:02:22 ID:OvTjfM610</dt> <dd>翌日、再び塚原浄光寺で集合する三人。<br> 幣原家に行くと、やはり親しげにしている恒子と五一を睨みつけるみのるの姿があった。<br> みのるによると、作次の鉄砲は納戸の中の飾り箪笥に隠したという。<br> 作次は酔うと鉄砲を振り回したり、面白がって郁に撃たせたりしていたため、恒子と相談して隠したそうだ。<br> 三年前、まだ目が見えていた頃の郁は、作次に強要されて何回か鉄砲を撃っていたらしい。<br> <br> 多岐川に鉄砲のことを話し、鉄砲の所在を確認したいと申し出る。<br> 三人は森警官と一緒に、鉄砲を探すことになった。<br> 最初に、みのるが鉄砲を隠したという納戸の飾り箪笥を調べると、案の定そこに鉄砲は無かった。<br> 次にみのるの部屋を調べると、彼の机の上には五一からのプレゼントらしい詩集が置いてあった。<br> みのるは、この詩集をとても大切にしているようだ。<br> そのあと屋敷中を探してみても、やはり鉄砲は見つからなかった。<br> <br> その後島源で改めて米井京子に事件当時の状況を聞く。<br> すると事件翌日、恒子は事件の報せを電話で受けていた、という。<br> 五一は、事件翌日は電話が不通だったため車で直接市内に向かった、と証言していたのだが・・・。<br> <br> 郊外の野呂田家へ行くと、みつから事件当夜、みつの夫が作次を目撃したことを聞かされる。<br> だが、作次の姿は停電が発生した為すぐに見えなくなってしまったそうだ。<br> なんでも事件当日の18時ごろ、幣原家の電気がつき作次の姿を観ることが出来たのだがその後すぐに停電が発生、<br> 豪雨という天候もあり外は真っ暗で幣原家のほうも、なにもみえなくなってしまったという。<br> <br> みつの証言を聞いた時人は、どうやら作次殺害の犯人を特定したようだ。<br> しかしその後時人は、多岐川に犯人はおそらく仏像泥棒だと告げる。<br> 蘭丸、美和、そして多岐川も意外な結論に驚くが、その後三人は新潟を離れるのだった。<br> <br> 『暗闇の手触り』中編END<br> <br></dd> <dt>216 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/08/12(日) 05:41:40 ID:OvTjfM610</dt> <dd>☆第8話『暗闇の手触り』後編<br> <br> 新潟からの帰りの汽車の中。<br> 蘭丸は時人に対して、仏像泥棒が犯人だという結論は間違っているのでは、という。<br> すると時人は、あっさりそれを認めた。<br> そして本当の犯人は、三人が捜査の中で出会った人々の中に居るという。<br> <br> 時人は、順を追って推理を話し出す。<br> まず、作次の遺体の腹部が死後5分以上もたってから不自然に損壊された理由は、腹部に出来たほかの傷を隠す為だった。<br> つまり、作次殺害の凶器は鉈ではなく、かつて作次自身が買った鉄砲だったのだ。<br> 凶器が鉄砲であることを隠す為、犯人は鉈で銃創のある腹部を徹底的に損壊したのだった。<br> <br> では、なぜ犯人は凶器が鉄砲であることを隠す必要があったのだろうか。<br> それは、作次が殺害された時間に停電が発生していたからだった。<br> 事件当時、幣原家はは停電による真っ暗闇だった。<br> 鉄砲で人を狙うにはとことん向かない環境の中、犯人は作次を射殺したのだ。<br> そんな芸当が出来るのは、普段から闇の中で暮らしている人間、つまり盲目の郁しかいない。<br> 郁は以前作次に鉄砲を撃たされていたため銃の扱いを知っており、また落ち込むと納戸にこもる癖から納戸に隠された鉄砲のことも知っていた。<br> <br> しかし、郁は事件当夜市内の恒子の家へ行っていたはず。<br> それは恒子と五一の、アリバイ工作によるものだった。<br> 作次殺害の犯人が郁だと知った五一は自動車で彼女を市内の恒子の所に送り届けた。<br> その際、市内から恒子のところに電話をして今後の行動を指示したため、<br> 事件翌朝郊外は電話が普通だったという五一の証言と、恒子が事件の報せを電話で受けていたという証言の矛盾が発生したのだ。<br> 事件当夜現場に居た郁を翌朝すぐに市内のところに送り届ける。<br> そして鉄壁のアリバイを持つ恒子に、郁と一緒に居たという証言をさせることで、郁にアリバイを与えたのだ。<br> <br> 事件当夜、作次は博打に負けて怒り、坂東組に鉄砲を持って乗り込もうとした。<br> しかし鉄砲は隠されていて見つからない。<br> このことが更に作次の怒りを増幅させ、郁に普段以上の酷い暴力を振るった。<br> 郁は作次から逃げ、納戸の中に閉じこもった。<br> 彼女を追った作次は、納戸の戸が郁によって外から開けられないようにされていることに気づき、鉈で戸を壊し始める。<br> 「このままでは殺される」、そう感じた郁は、納戸に隠してあった鉄砲で作次を撃ち殺したのだった。<br> <br> 事件当夜、みのるが漁業組合に泊まったというのも嘘だろう、とも時人は言う。<br> みのるは妹思いで、盲目の彼女を一人にして豪雨の夜を過ごさせるようなことはしないはずだ。<br> 家に帰った彼は、妹が身を守るために作次を撃ち殺したことを察知した。<br> そこで郁を連れて五一のところに行き相談し、以降の工作について打ち合わせたのだ。<br> 郁をかばう為に恒子、みのる、そして五一が協力してアリバイ工作をしていたのだった。<br> ちなみにみのるは五一のことを嫌っているのではなくむしろ尊敬しているのだが、<br> 美人の姉を取られたくなくて、彼女と親しくする五一を睨んでいたのだった。<br> <br> 時人は作次殺害が正当防衛によることなどを考慮し、仏像泥棒に悪いと思いつつも真相を告げずに新潟を立ち去ったのだった。<br> <br> 第8話『暗闇の手触り』END<br> <br></dd> <dt>68 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:01:12 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>1ヶ月程間が空いてしまいましたが、続・御神楽です。<br> <br> ☆第9話『生き人形』登場人物<br> <br> *生き人形とは、見世物に使われる本物の人間そっくりに作られた人形のことです。<br> <br> ・大城大輔・・・事務所に「母親を探して欲しい」と依頼に来た少年。<br> ・大城暢・・・大輔の祖父。大城家当主。<br> ・大城時江・・・大城家長女。<br> ・大城直己・・・大城家次男。<br> ・大城千賀子・・・直己の妻。<br> ・後藤緒羽子・・・隅田川沿いで発見された遺体その1、岸部音楽院生徒で不良。<br> ・森崎アキ・・・隅田川沿いで発見された遺体その2、同学院生徒でこいつも不良。<br> ・北田枝里・・・隅田川沿いで発見された遺体その3、同学院生徒でやっぱり不良。<br> ・内倉貴子・・・後藤、森崎、北田のルームメイトで、後藤たちと違いまじめな性格。<br> ・河村須美子・・・これまで何度も登場してきたオペラスター。やっぱりいい人。<br> ・葉山紀夫・・・かつて時人が解決した事件で逮捕された、職業的殺人者。<br> ・葉山志保美・・・葉山紀夫の妻。隅田川で入水自殺したと報道される。<br> ・藤堂弥八郎・・・美和が営む美術商の店員。<br> <br></dd> <dt>69 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:02:16 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part1<br> <br> *混乱を避けるため、巴・滋乃・千鶴の三人はこの事件中「三人娘」と表記します。<br> 「三人」という表記はこの事件の被害者後藤緒羽子・森崎アキ・北田枝里を示しています。<br> *この第9話と次の最終話はこれまでの事件の3倍近いのボリュームがあり非常に複雑なため、<br> 全体がかなり長くなっています。すみません。<br> <br> ある日の昼、新聞を読んでいた時人は気になる記事を発見する。<br> 隅田川で心中を図った、若い親子についての記事だ。<br> 子供は助かったのだが、親は死んでしまったらしい。<br> 自殺した女性の名前は葉山志保美。<br> かつて巴が事務所入りする以前に時人が解決した事件の犯人とされた人物、葉山紀夫の妻だ。<br> 彼女は夫が逮捕されたことを苦にして、死を選んだのだろうか?<br> 重苦しい空気が流れる事務所に、依頼者が現れる。<br> <br> 依頼者は、まだ年端もいかない少年だった。<br> 少年は、父のせいで家を出て行った母親を探して欲しい、という。<br> だが次の瞬間、少年は千鶴を見るや否や「お母ちゃんだ!」と彼女に抱きつくのだった。<br> <br> 少年の名は大城大輔。<br> 現在は父も既に他界している為、祖父と一緒に住んでいるという。<br> もちろん千鶴は彼女の母親ではないのだが、少年の為に事務所メンバーは母親探しをすることにする。<br> <br> 大輔の話によると、彼の母親は写真家の助手で千鶴にそっくりな顔立ちらしい。<br> 大輔も写真機の扱いを覚えており、事務所メンバーの顔写真を撮ってみせる。<br> 母親は家を出て行く際に何枚かの写真を残していた。<br> 写真の内一枚に、隅田川の辺に生えている桜と思われる木が写されていたことから、三人娘はその場所に向かうことにする。<br> <br> 三人娘の出かけた事務所に、血相を変えた諸星警部が飛び込んで来る。<br> 時人と蘭丸が事情を聞くと、先ほど隅田川沿いの堤で、三人娘の遺体が発見されたという。<br> 時人が諸星に連れられ現場に向かうと、そこは例の写真に写っていた場所だった。<br> そして、現場にある桜の気の根元にある三体の死体の顔は、確かに三人娘のものだった。<br> 遺体の服装も、普段三人娘が好んで身に付けているものだ。<br> 呆然とする時人の後ろから、聞き覚えのある声がする。<br> そこには、大輔を連れた三人娘の姿があった。<br> <br> 生きている三人娘と死んでいる三人娘、どちらが本物なんだと混乱する諸星を横目に、時人は遺体を調べ始める。<br> すると、彼はすぐに遺体が仮面を付けていることに気づいた。<br> 仮面を剥がして見ると、そこには三人娘のものとは似ても似つかぬ顔があった。<br> <br></dd> <dt>70 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:05:16 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>彼女たちは音楽学校『岸部音楽院』の生徒で、そこの女子寮のルームメイトだったらしい。<br> <br> 岸部音楽院に向かう三人娘。<br> 学院はお嬢様学校として有名だそうだ。<br> 事務局員に調査の為三人の部屋を調べさせて欲しいと頼むが、部外者は立ち入り禁止と断られる。<br> ただその局員は、死んだ三人のことは良く知っているので情報を教えてくれるという。<br> 学院の女子寮は四人一部屋になっており、三人は15号室で一緒に寝起きしていた。<br> また、三人はいわゆる落ちこぼれ立ったという。<br> 女子寮は四人一部屋ということは、もう一人ルームメイトが居るはず。<br> 千鶴がそういうと、局員はそのルームメイト、内倉貴子を紹介してくれた。<br> <br> 貴子に事情を聞きたい旨申し出ると、彼女は承諾し女子寮の15号室に招待してくれた。<br> 彼女によると、三人は入学当初から寮を抜け出しての夜遊びをしており、最近は特にその頻度が上がっていたという。<br> 生真面目な貴子は彼女たちとあまり深く付き合わずにいたので、夜遊びの行き先までは知らないそうだ。<br> ただ、彼女たちが出かける時は決まって変なバッジを身に着けていたことは貴子の印象に残っていた。<br> <br> 三人のうちの一人、緒方のバッグを調べてみると、そのバッジの他に奇妙な形の伊達眼鏡が入っていた。<br> その眼鏡を見た滋乃は、これは仮面舞踏会用の眼鏡ではないか、と指摘する。<br> 他の二人のバッグにも同じような仮面が入っていたことから、三人が夜遊びに通っていたのは仮面舞踏会とあたりがつけられた。<br> また、問題のバッジは悪趣味だがとても精巧に作られており、女学生の買える代物ではなさそうだ。<br> <br> 事務所に戻ってみると、そこには猫と戯れる大輔と、それを見守る美和、蘭丸の姿があった。<br> 美和によると、大輔がどうしても事務所にいたい、と駄々をこねたらしい。<br> 事務所は子供にとってそんなに楽しい場所なのだろうか、と三人娘は首を傾げる。<br> <br> 再び岸部音楽院女子寮に向かうと、貴子が三人娘を待っていた。<br> 三人が通っていた仮面舞踏会の開催場所に、心当たりがあるという。<br> 貴子に連れられて向かった場所は、隅田川傍にある廃墟となった繊維工場跡だった。<br> 三人娘を案内した貴子は、潜入しやすいようにと持ってきた、三人の使っていた仮装道具を渡し、寮へ帰っていった。<br> 三人娘が工場跡に足を踏み入れた瞬間、そとから貴子の悲鳴が聞こえてくる。<br> あわてて飛び出してみると、へたり込んでいる貴子と、逃げ去る怪しい人影が見えた。<br> 貴子に事情を聞こうとするも、彼女は気が動転しておりまともに会話も出来ない状態だ。<br> そこで彼女を寮に送り届け、三人娘は再び工場跡へ向かう。<br> <br></dd> <dt>71 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:08:26 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>ごめん、<a href="http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1188972695/70" target="_blank">&gt;&gt;70</a>はミスで前半が欠けています。<br> これが正しい内容です。<br> メモ帳からのコピペも出来ない自分に鬱。<br> <br> ☆第9話『生き人形』part2<br> <br> 事務所に帰った一同は、遺体の仮面と服装は犯人による事務所へのメッセージだと受け止め、捜査を開始する。<br> しかし、このままでは大輔の母親探しは後回しにせざるを得ない。<br> 困惑する一同のところに、美和が訪ねてくる。<br> 事情を聞いた美和は、大輔の面倒と母親探しを引き受けることを申し出た。<br> <br> 検死報告を聞きに浅草署へ向かう三人娘。<br> 報告によると遺体には、外傷や注射の跡は全く無かったそうだ。<br> ただ、仮面を固定する為の強力な接着剤により、顔の皮膚が炎症を起こしていたという。<br> 死体は皮膚炎を起こさない、つまり被害者三人は殺される前から仮面を着けていたと考えられる。<br> さらに遺体に外傷などが無いことから、被害者達が自分の意思で仮面を着けた可能性もある。<br> <br> 死んだ三人の名前はそれぞれ、後藤緒羽子、森崎アキ、北田枝里ということが判明した。<br> 所持品が荒らされておらず、その中に学生証が合ったため身元が簡単に割れたのだ。<br> 彼女たちは音楽学校『岸部音楽院』の生徒で、そこの女子寮のルームメイトだったらしい。<br> <br> 岸部音楽院に向かう三人娘。<br> 学院はお嬢様学校として有名だそうだ。<br> 事務局員に調査の為三人の部屋を調べさせて欲しいと頼むが、部外者は立ち入り禁止と断られる。<br> ただその局員は、死んだ三人のことは良く知っているので情報を教えてくれるという。<br> 学院の女子寮は四人一部屋になっており、三人は15号室で一緒に寝起きしていた。<br> また、三人はいわゆる落ちこぼれ立ったという。<br> 女子寮は四人一部屋ということは、もう一人ルームメイトが居るはず。<br> 千鶴がそういうと、局員はそのルームメイト、内倉貴子を紹介してくれた。<br> <br> 貴子に事情を聞きたい旨申し出ると、彼女は承諾し女子寮の15号室に招待してくれた。<br> 彼女によると、三人は入学当初から寮を抜け出しての夜遊びをしており、最近は特にその頻度が上がっていたという。<br> 生真面目な貴子は彼女たちとあまり深く付き合わずにいたので、夜遊びの行き先までは知らないそうだ。<br> ただ、彼女たちが出かける時は決まって変なバッジを身に着けていたことは貴子の印象に残っていた。<br> <br> 三人のうちの一人、緒方のバッグを調べてみると、そのバッジの他に奇妙な形の伊達眼鏡が入っていた。<br> その眼鏡を見た滋乃は、これは仮面舞踏会用の眼鏡ではないか、と指摘する。<br> 他の二人のバッグにも同じような仮面が入っていたことから、三人が夜遊びに通っていたのは仮面舞踏会とあたりがつけられた。<br> また、問題のバッジは悪趣味だがとても精巧に作られており、女学生の買える代物ではなさそうだ。<br> <br> 事務所に戻ってみると、そこには猫と戯れる大輔と、それを見守る美和、蘭丸の姿があった。<br> 美和によると、大輔がどうしても事務所にいたい、と駄々をこねたらしい。<br> 事務所は子供にとってそんなに楽しい場所なのだろうか、と三人娘は首を傾げる。<br> <br> 再び岸部音楽院女子寮に向かうと、貴子が三人娘を待っていた。<br> 三人が通っていた仮面舞踏会の開催場所に、心当たりがあるという。<br> 貴子に連れられて向かった場所は、隅田川傍にある廃墟となった繊維工場跡だった。<br> 三人娘を案内した貴子は、潜入しやすいようにと持ってきた、三人の使っていた仮装道具を渡し、寮へ帰っていった。<br> 三人娘が工場跡に足を踏み入れた瞬間、そとから貴子の悲鳴が聞こえてくる。<br> あわてて飛び出してみると、へたり込んでいる貴子と、逃げ去る怪しい人影が見えた。<br> 貴子に事情を聞こうとするも、彼女は気が動転しておりまともに会話も出来ない状態だ。<br> そこで彼女を寮に送り届け、三人娘は再び工場跡へ向かう。<br> <br></dd> <dt>72 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:10:34 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part3<br> <br> 三人娘は、貴子からもらった仮装道具を身に付け工場跡に足を踏み入れる。<br> すると、地下から微かにクラシック音楽が流れてくることに気づいた。<br> 地下にあった重たい金属の扉を開くと、そこには豪華絢爛な仮面舞踏会の光景が広がっていた。<br> 仮面舞踏会参加者の様子を観察していると、中に仮面を着けていない女性参加者がいることに気づく。<br> 不審に思う三人娘に、他の参加者が、彼女は人肌そっくりに作られた生き人形の仮面を身に着けているのだと教えてくれる。<br> 殺された三人が着けていたのも、この生き人形仮面に違いない。<br> <br> さらに観察してみると、参加者の中になんと美和の生き人形仮面を着けた女性がいた。<br> 彼女に事情を聞こうと近寄ってみると、その参加者は突然倒れ、事切れてしまった。<br> 遺体の仮面を剥がすと、そこにあったのはやはり見知らぬ顔だった。<br> <br> 三人娘の周囲を、他の舞踏会参加者が取り囲む。<br> どうやらここで仮面を剥がすことはタブーだったらしく、三人娘を部外者と見破り捕まえようとしてくる。<br> なんとかその場は逃れたものの、やがて三人娘は工場内の行き止まりに追い詰められてしまう。<br> すると突然行き止まりの壁が開き、その奥にいた仮面の女性が三人娘を匿ってくれた。<br> 女性は、「私の舞踏会には二度と来ないでください」と言い、脱出路を教えた後舞踏会会場の方へ向かっていった。<br> 三人は、なんとか工場跡から抜けることが出来たのだった。<br> <br> 翌日三人娘は、工場跡での出来事を時人に報告する。<br> やはり、犯人は御神楽探偵事務所に対して何らかの悪意を持っているようだ。<br> しかし、なぜ事務所に縁もゆかりも無い人々が殺されるのだろうか。<br> <br> 考えを纏めた時人は、大輔を祖父の家に帰す決断をする。<br> 隅田川沿いの堤で三人の遺体が発見された際には、三人娘が大輔の面倒を見ていた。<br> そして昨日、仮面舞踏会会場での事件の際には、美和が大輔の面倒を見ていた。<br> このように、それぞれの犠牲者は、その時大輔の面倒を見ていた人物の生き人形仮面を身に着けて死んでいるのだ。<br> 巴は時人の考えすぎではないか、と主張するが時人は、何かが起こってからでは遅い、と譲らない。<br> また、大輔を事務所から離すことで、犯人の行動に変化が出るか観察したい、との思惑もある。<br> 大輔の祖父の家は、美和が前もって調べてくれていた。<br> <br> 探偵事務所がある守山ビルの一階に、美和が営む美術商「守山美術商」がある。<br> そこで大輔は、美和に面倒を見てもらっていた。<br> 大輔は家に帰りたくない、と駄々をこねたが千鶴が上手く説得し、美和に教えてもらった家まで彼を送り届ける。<br> <br> 大城家の前では、大城千賀子という女性が掃除をしていた。<br> 千賀子に駆け寄り、帰宅を報告する大輔。<br> 千賀子は大城家長男の嫁だと自己紹介し、大輔がこれまで事務所に世話になった礼を述べる。<br> 千賀子に案内され、三人娘は大城邸内に立ち入る。<br> <br> 大城家当主は、大城暢という老人だ。<br> 暢は「大輔は父の紀夫と同じで面倒を起こす」と不満を口にする。<br> どうやら、探偵を家に連れてきてしまったことが気に食わないらしい。<br> また、大輔の父の名前は紀夫、母の名前は志保美というようだ。<br> 長女の大城時江、次男の大城直己も大輔に対して冷淡な態度を取る。<br> ただ、殺人事件の解決までは大輔とその周辺には注意を払ってくれるそうだ。<br> <br></dd> <dt>73 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:13:20 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part4<br> <br> 千賀子の話によると、暢が家に人を入れることを好まない為、この家の家事は一切彼女が引き受けているという。<br> ただ、千賀子自身はそのことに対して不満は無いようだ。<br> 豪邸の家事一切をを一人に任せるのは不合理であり、何か人を家に入れたくない理由でもあるのだろうか、と三人娘は考える。<br> <br> 時江によると、千賀子の実家は化粧品店だという。<br> また暢に話を聞くと、長男の大城紀夫は大城家を出て、結婚相手の家の婿養子になったことがわかる。<br> 当然紀夫と、その息子の大輔の姓は変わっているはずなのだが、大輔は自分を「大城大輔」と名乗った。<br> 大輔が自分の姓を「大城」としたことには、何か理由があるのだろうか。<br> <br> 大城家を出た三人娘は、岸部音楽院に向かう。<br> 学院事務局には、事務局員と歓談する河村須美子の姿があった。<br> 須美子はここの学長と知り合いで、時々施設を利用させてもらっているらしい。<br> そして事務局員から、三人の死体が見つかった場所にある桜の木は赤桜という呪いの桜として有名で、<br> 今朝も首吊り死体が見つかったという事実を知らされる。<br> <br> 浅草署で、三人の詳しい検視報告を諸星警部に尋ねる。<br> 警察も、三人の死を他殺として扱っているらしい。<br> だが三人の循環器系からは、毒物は一切検出されなかったという。<br> 三人は循環障害なども起こしていたものの、直接の死因は急性肺水腫による、呼吸不全ということが判明したのだ。<br> 胃からは睡眠薬が検出されたものの、致死量ではなかったともいう。<br> ちなみに肺水腫とは、肺に水が溜まり呼吸が出来なくなる病気だ。<br> <br> 栗山刑事に、三人の遺品についての捜査状況を尋ねる。<br> 三人の所持品は、どれもが一流のメーカーで作られた高級品だった。<br> しかし、なぜか三人の服だけは無名メーカーによって作られたものだった。<br> なぜ、彼女たちの服だけが無名メーカー製だったのだろうか。<br> <br> 三人娘が工場跡へ向かうと、そこには昨日彼女たちを救ってくれた仮面の女性がいた。<br> 二度とここへ来るな、という警告を無視した三人娘を女性は怒るが、三人娘が探偵の身分を明かすと、捜査に協力してくれることになる。<br> ただ、その条件として舞踏会のことを決して外部に洩らさないことを約束させられる。<br> 女性は、舞踏会内では吉和泉佳世と名乗る会の主催者だ。<br> 彼女に昨晩の犠牲者について尋ねると、彼女については穏便な処理をし、死体は警察に渡っていると話す。<br> だが、それ以上の情報を引き出すことは出来ない。<br> <br> 三人娘は、首吊り死体が発見された赤桜へと向かう。<br> すると、そこで発見された遺体は他でもない、昨晩舞踏会場で殺された女性のものだった。<br> 舞踏会関係者が、会の存在を知られず、なおかつ警察に遺体を引き渡す為に取った苦肉の手段だろう、と三人娘は考える。<br> <br></dd> <dt>74 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/11(火) 03:20:57 ID:sF6mgAzk0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part5<br> <br> 三人娘は事務所で時人に、赤桜の話を聞かせながら、諸星から新しく見つかった遺体についての報告を待つ。<br> すると諸星が現れ、やはり死因は急性肺水腫であること、遺体に外傷は無く毒物も検出されなかったことを告げる。<br> また、顔はやはり三人の死体と同様の皮膚炎を起こしていたようだ。<br> さらに昨晩、大城時江が暴漢に襲われ、犯人が逮捕された事実が伝えられる。<br> 幸いにも、時江はかすり傷ですんだようだ。<br> <br> 大城家に脚を運ぶ三人娘。<br> 当主暢の部屋の前に行くと、中から彼と時江の話し声が聞こえてくる。<br> どうやら暢は、大城家の人間が警察の世話になることは許されない、と時江を叱っているらしい。<br> 被害者の娘の心配をするよりも先に、警察沙汰になったことで娘を叱る暢の姿に違和感を覚える三人娘。<br> <br> 大城直己の部屋に行くと、そこには大量の玩具が並べられていた。<br> 直己は、玩具の輸入業を営んでいるようだ。<br> <br> 大城家の台所では、時江が千賀子に文句をぶつけていた。<br> 時江が警察の厄介になったことを暢に伝えたのは千賀子で、時江は千賀子の行為が不満らしい。<br> 時江が去った後千賀子から、時江に結婚を前提に付き合っている恋人がいること、<br> その恋人の家は本所区にあり、庭にはリンゴの木があることを聞き出す。<br> また、その恋人の庭には常に桧の材木が積んであるらしく、三人娘は恋人が大工か職人なのでは、とあたりをつける。<br> <br> 浅草署で諸星警部に、大城時江襲撃事件の資料を見せてもらうよう頼む。<br> 諸星に時江との関係を聞かれた三人娘は、大輔の母親探しの過程で知り合ったことを伝える。<br> すると諸星は、大輔の苗字は大城でなくて葉山ではないかと指摘するが巴は、大城大輔と自分で名乗った、と否定する。<br> 一方の千鶴は、葉山大輔、葉山紀夫、葉山志保美という名前について考え込んでしまう。<br> 時江襲撃の詳細を聞くと、彼女は帰宅途中いきなり背後から出刃包丁で襲われたのだという。<br> 今までの事件と手口が全く違うことから、時江襲撃と現在調査中の事件とは無関係ではないか、と考える。<br> <br> 舞踏会会場で佳世から、生き人形仮面の作り方を聞く三人娘。<br> 仮面には桧以外の材木は使われないと聞いた彼女たちは、時江の恋人が仮面職人である可能性を考える。<br> だが佳世は、生き人形仮面の職人が誰か、ということまでは知らないという。<br> <br> ここで改めて大輔の母親が残した写真を調べてみると、そのうち一枚に材木の詰まれた民家の庭先が写されていることに気づく。<br> さらにその写真に写された庭には、リンゴの木も植えてある。<br> 写真には家の表札まで写っており、そこには「国井」と記されている。<br> 三人娘は、本所区で国井という家が無いかどうか探してみることにする。<br> <br> 本所区で聞き込みを行い、国井の家を発見することに成功した。<br> どうやら住人は留守のようなので、その隙に庭の様子を伺ってみる。<br> すると滋乃が、縁側に時人そっくりの生き人形仮面が置いてあることに気づく。<br> どうやら、国井が問題の生き人形仮面の職人で間違いないようだ。<br> さらに時人の生き人形仮面の傍には手紙が置いてあり、そこには<br> 「今度の仮面は剥がれない。なぜなら御神楽時人が殺されるからだ。」<br> と記されていた。<br> <br></dd> <dt>104 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:28:33 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part6<br> <br> 三人娘は事務所で、国井の家で見つけた仮面と手紙を見せる。<br> 報告を聞いた時人は犯人の狙いがわかってきたというが、一人で頭の中の整理をする、と所長室に篭ってしまう。<br> 三人娘は犯人の狙いが時人なのでは、と考えるが、それならなぜ犯人は無関係の人間を4人も巻き込んだのだろうか。<br> そんな彼女たちの横を、時人にお茶を持っていく、と蘭丸が通り過ぎる。<br> しかし蘭丸の様子がどこかおかしいことに気づいた三人娘は、急いで彼の後を追ってみる。<br> すると、蘭丸は時人の眼前で突然倒れてしまう。<br> そして蘭丸のポケットから、一枚の写真が舞い落ちた。<br> <br> その写真には、眼鏡を取った千鶴にそっくりの女性が写されていた。<br> その女性が、大輔の母、葉山志保美であることに時人は気づく。<br> そして三人娘に、病院への連絡など蘭丸の手当てを支持する。<br> 彼女たちが支持を実行する為に所長室から出ると、時人は倒れた蘭丸の顔を探る。<br> やがて蘭丸そっくりの生き人形仮面が剥がされ、大輔の顔が現れた。<br> <br> 倒れた大輔は、病院に運び込まれた。<br> 医者の話だと、2,3日安静にしていれば退院できるという。<br> だが、もう少し処置が遅れていれば、手遅れになっていたかもしれないらしい。<br> つまり大輔は、今回の事件の犯人に殺されかけたということだ。<br> そして、先ほど事務所にいた蘭丸が、仮面を着けた大輔だったとすると、本物の蘭丸は今一体何処にいるのだろうか。<br> 時人によると、蘭丸は昼頃大輔に誘われ外出したきりだという。<br> 今回も、大輔の傍にいた人間の生き人形仮面が作られ、被害者に被せられたのだ。<br> また、時江襲撃の犯人が昨日既に逮捕されていることから、時江襲撃と仮面を巡る事件は無関係であると判断する。<br> <br> そこに、大輔の看病をしに大城家から千賀子がやってくる。<br> 暢や直己達は、仕事を理由に病院へは来ないらしい。<br> 大輔を千賀子に任せ、一同は急ぎ事務所へと戻る。<br> <br> 事務所に戻っても、そこに蘭丸の姿は無かった。<br> 三人娘はそれぞれ蘭丸を探しに行こうとするが、この状況下で所員がばらばらに行動するのは危険、との理由で時人に止められる。<br> 三人は指示に従い、翌日を待つことにする。<br> <br></dd> <dt>105 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:29:06 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part7<br> <br> 翌朝三人娘は、蘭丸捜索のため、昨日彼と行動を共にしていたと思われる大輔に事情を聞くことにする。<br> 大輔の病室では、千賀子が付きっ切りで看病をしていた。<br> ただ、大輔は現在薬で眠っており事情を聞くのは無理なようだ。<br> 千賀子は医者が大輔に飲ませるよう置いていった薬が栄養剤なので、大輔の健康に問題は無いと話す。<br> なぜ薬が栄養剤とわかるのか、と訝しがる巴に千賀子は、実家にいた頃薬剤師の勉強をしていたことを教える。<br> 千賀子の実家は化粧品と一緒に薬も取り扱っており、そのために彼女も薬剤師の勉強をしたそうだ。<br> <br> 病院の待合室では、看護婦達が大輔の噂話をしていた。<br> 彼女たちに話を聞いてみると、大輔が以前にもこの病院に入院したことがわかった。<br> さらに看護婦は、その際彼は母親と一緒に入院し、母親は死んでしまったことを話す。<br> 大輔と母親は親子で入水自殺を図り、大輔だけが助かったという。<br> <br> 三人娘は岸部音楽院へと向かい、事務局で再び河村須美子に出会う。<br> 須美子によると、学院関係者の間でいま、謎の美人秘書が話題になっているらしい。<br> その秘書は理事長付きにもかかわらず、学園関係者でその姿を見たことがあるものはほとんどおらず<br> その美貌で学園理事長の地位を手に入れた、とも噂されているという。<br> 秘書の名前は三井というそうだ。<br> <br> 国井の家では、警察が捜査を行っている。<br> 栗山によると、国井はすでに逃走したと思われるが、仮面作りの資料とした顔写真が多数残されていたという。<br> その中には、御神楽探偵事務所内で取られた巴達の顔写真もあった<br> その写真が、おそらく大輔が初めて事務所に来た際、彼が取った写真であることに千鶴が気づく。<br> どうやら大輔と国井との間には、何らかの繋がりがあったようだ。<br> また、大輔の傍にいる人間の生き人形仮面が作られた理由も明らかになった。<br> しかし、なぜ大輔は国井に写真を提供したのだろうか。<br> <br> 浅草署で諸星警部に捜査状況を聞く。<br> 国井の行方はつかめず、恋人の時江も彼の行き先をしらないという。<br> また、時人が訪れ緑茶とゼリー状の液体の毒物鑑定を依頼していったこと、<br> そしてその鑑定結果がつい先ほど出たことを知らされる。<br> 緑茶は大輔が所長室に運んでいったもので、中からは猛毒が発見された。<br> 大輔は、時人を殺そうとしていたのだろうか。<br> <br></dd> <dt>106 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:29:43 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part8<br> <br> 舞踏会場では、佳世と数人の女性参加者が談笑をしていた。<br> その参加者が生き人形仮面を持っているとのことで、実際に仮面を見せてもらう。<br> するとこの仮面はとても薄く軽く作られているが、これまで犠牲者が身に着けていた仮面はどれも非常に重かった事に気づく。<br> 普通の生き人形仮面と犠牲者が被っていた生き人形仮面に、何らかの違いがあるのだろうか。<br> <br> 大城家の暢の部屋の前へ行くと、中から彼と時江の話し声が聞こえてくる。<br> 時江が再び警察に呼び出されたこと、彼女と国井の関係が捜査陣に知られたことが問題になっているようだ。<br> そして暢は時江に国井と付き合うのをやめるよう言い、<br> 「お前には紀夫と同じ失敗をして欲しくない。失敗は我々の命取りになる。」<br> と忠告する。<br> その大時代的な会話に、三人娘はやはり違和感を覚える。<br> また、紀夫の犯した失敗と何かについて、後で調べてみることにする。<br> <br> 直己の部屋に行くと彼から、接着剤の中には人体に有害で、肌に長時間付着すると最後は命まで奪うようなものがあることを教えられる。<br> <br> これまでの調査を元に、三人娘は以下のような推理を立てる。<br> ・人体に有害な接着剤がある、との直己の証言<br> ・舞踏会参加者に見せてもらった生き人形仮面は軽かったが、犠牲者の被っていたものは重かったという事実<br> ・時人が警察に、ゼリー状の液体の毒物鑑定を頼んでいた事実<br> これらの事実から、犠牲者の被っていた仮面の裏には多量の人体に有害な接着剤が塗られており、<br> この毒により隅田川で発見された三人と、舞踏会場で倒れた女性は死んだのではないか、と考えられるのだ。<br> <br> その後岸部音楽院女子寮で、内山貴子と歓談していると部屋の窓から大城暢の姿が見える。<br> 貴子の話によると、暢は学院の理事長だという。<br> 岸部音楽院と大城家に、妙な繋がりが出てきたことになる。<br> <br> 大輔の病室に行くと、眠る大輔を時人が見守っていた。<br> 時人にこれまでの捜査報告を行い、仮面の裏についていた接着剤が有毒だったとの確証を得る。<br> その時、大輔が目を覚まし、傍にいたとき人の顔を見るや否や<br> 「どうして生きているんだ!お前は僕が殺したはずなのに!お前なんか死んじゃえ!」<br> と叫ぶ。<br> <br> 暴れる大輔をなだめ、時人は生き人形仮面の裏に有毒な接着剤が塗られていたことを教え、<br> 大輔が「この事件の本当の犯人」に利用され、殺されかけたのだとと伝える。<br> そして三人娘には、大輔の本名が葉山大輔であり、彼の父親葉山紀夫はかつて時人に殺人犯として告発され現在服役中であること、<br> 彼女の母親は事件の冒頭で新聞記事に載っていた、隅田川で入水自殺した女性、葉山志保美であることを伝える。<br> <br></dd> <dt>107 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:30:25 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part9<br> <br> 結局大輔は頑なに口を閉ざし、彼から話を引き出すことは出来なかった。<br> 一同は、一度事務所に戻ることにする。<br> 三人娘は時人に、大輔と両親のことについて訪ねる。<br> <br> 大輔の父葉山紀夫は2年前、巴と滋乃が入所しておらず、<br> 千鶴も捜査には携わっていなかった頃に時人が解決した事件で犯人として逮捕された。<br> 彼はプロの殺人者で、現在は服役中だ。<br> そして、大輔の母志保美は先述の通り入水自殺を図り、死んでしまった。<br> 大輔は子供らしい感情に判断を任せ、時人を逆恨みして彼を殺そうとしたのだ。<br> ただ今回の一連の事件は、小さな子供である大輔に計画できるような代物ではない。<br> 大輔に自分を協力者と思い込ませ、彼を利用して時人を殺そうとした真犯人が他にいるのだ。<br> ただ、それが生き人形師の国井なのかどうかはまだわからない。<br> また時人は、志保美が赤桜や国井の家の写真を遺していた事から、彼女の死は自殺ではなく他殺かもしれないと考える。<br> <br> 三人娘は、刑務所で葉山紀夫に面会をする。<br> 紀夫によると、彼は既に自らの罪を認めているのだが、志保美は夫の有罪が信じられずにいたらしい。<br> 彼女が遺した写真も、夫の葉山紀夫が無罪であることの証拠を集める活動の一環として撮影したようだ。<br> 紀夫に志保美が遺した国井の家の写真を見せると、紀夫は過剰な反応を示し、志保美が死んだ理由がわかったと言う。<br> ただ、その理由を聞き出すことは出来なかった。<br> <br> 浅草署で諸星に、葉山紀夫の事件について尋ねてみる。<br> すると、その事件に赤桜や国井皓といった要素は全く絡んでいなかったらしい。<br> それではなぜ、葉山紀夫は志保子の残した赤桜や国井の家の写真に反応したのだろうか。<br> さらに、葉山は件の仮面舞踏会場で殺人を行おうとしたところを、現行犯で取り押さえられたという。<br> 当時の時人が佳世と交渉し、舞踏会場でおとり捜査を仕掛けたようだ。<br> <br> 国井の家で栗山刑事から、大城時江襲撃事件の詳しい資料を見せてもらう。<br> なんでも犯人は、「時江に生活を潰された」と凶行に及んだらしい。<br> だが時江には、詐欺を働いたという前科も形跡も無いという。<br> <br> 大城家の暢の部屋前で、再び彼と時江の会話を盗み聞きする。<br> 彼らはどうやら、岸部音楽院についての話をしているようだ。<br> 理事長である暢はともかく、なぜ時江もが学院の話をしているのだろうか。<br> <br></dd> <dt>108 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/13(木) 06:31:36 ID:kYPQzanU0</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part10<br> <br> 直己の部屋では、部屋の主が伝票を前に悪戦苦闘している。<br> なんでも事業拡大の為、普段部下に任せている伝票処理を自分で行っているという。<br> <br> 大輔の病室では、眠る大輔を千賀子が看病していた。<br> 千賀子の話によると、大城家の遺産は暢の死後全て時江のものになるらしい。<br> ただ直己は、これまでに会社の設立費用などで多額の資金を暢に融通してもらっているのだという。<br> また暢は、直己に遺産を残さない代わりに彼の事業拡大を生きているうちに全面支援する考えのようだ。<br> <br> 病院の待合室では、また看護婦達が大輔の噂をしていた。<br> どうやら、志保美は自殺ではなく殺されたという噂が広がっているようだ。<br> 詳しい話を聞くと、志保美が死んだ翌朝、大輔のもとに志保美が現れ彼を連れて行ったというのだ。<br> そこで看護婦達は、殺された志保美が幽霊となって現れたと考えているという。<br> また応ただその志保美は幽霊にしては生活臭のある姿をしており、なぜか大きな本を抱えていたそうだ。<br> <br> 仮面舞踏会場で佳世に話を聞く。<br> 新たに舞踏会のメンバーになるにはまず、既存メンバーからの招待を受けなければならないそうだ。(*要はmixiみたいなシステム)<br> 内倉貴子はなぜ舞踏会場の場所を知っていたのか、という疑問が三人娘の頭にこびりついていたのだが、<br> もしかしたら殺された三人から誘いを受けていたのではないか、と推測する。<br> また佳代によると、三人を舞踏会に招待したのは三人を普段良く世話していた人物だという。<br> ただ、個人名までは教えられないそうだ。<br> <br> 音楽院女子寮で、内倉貴子に仮面舞踏会についての事情を聞く。<br> 貴子によると、彼女は殺された三人ではない、他の人物に舞踏会を紹介されたという。<br> だが、貴子はその人物の名前を教えることは出来ないという。<br> 三人娘の帰り際に、貴子は意味深な表情と共に、一冊の楽譜を手渡してくれた。<br> <br> 三人娘は以下のような推理を立てる。<br> 殺された三人と貴子を舞踏会に招待した人物は、同一人物である。<br> またその人物は、貴子が三人娘を工場跡地に案内した際、彼女を襲った人物でもある。<br> その人物は何らかの理由で女子寮15号室の住人を皆殺しにしようと考え、仮面舞踏会を利用することを考えた。<br> 三人は舞踏会に誘い出し毒を仕込んだ仮面で殺すことが出来たが、真面目な貴子は舞踏会に参加しなかったので殺せなかった。<br> 舞踏会で美和の仮面を被って死んだ女性は、貴子の身代わりに死んだのだ。<br> 貴子は現在その人物に脅され口止めされているが、早く脅迫者が逮捕されて欲しいと思っており、<br> 口には出せないものの楽譜の中に人物特定のヒントをこめて三人娘に渡したのだ。<br> しかし、それではなぜ犯人は御神楽時人を殺害したい大輔の手助けをしたのだろうか。<br> <br> 学院の事務局員によると、事務局の人間は局長から下っ端まで、<br> 誰もが理事長の美人秘書「三井」の姿を見たことが無い、という。<br> 三人娘は三井という存在について、不信感を覚える。<br> <br></dd> <dt>146 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/21(金) 03:10:29 ID:1pjqXCK10</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part11<br> <br> 事務所に戻った三人娘は美和から、時人が蘭丸を発見したことを伝えられる。<br> そこに、時人と共に蘭丸が無事な姿で現れる。<br> 蘭丸は、国井の家の地下に閉じ込められていたのだという。<br> <br> 三人娘は時人に、捜査状況を報告する。<br> 岸部音楽院女子寮15号室の4人に仮面舞踏会を紹介した人物こそが、一連の事件の真犯人ではないか、と自分達の推理を話す。<br> すると時人は、その人物と大輔はそれぞれ別の目的を持ちながら協力していたのではないか、と推理する。<br> 大輔は時人に復讐することを目的とし、真犯人は何らかの理由で女子寮15号室の4人を殺すことを目的としていた。<br> 同じ殺人を目的とする者同士が、ターゲットこそ違えど手を組んだ可能性がある。<br> これで事務所に無関係の人間が殺されたのか、という疑問に対し、一つの回答が示された。<br> 事務所に対して恨みを持っていたのはあくまで大輔であり、真犯人の目的は事務所とは無関係のところにあったのだ。<br> <br> 翌日三人娘は大輔から話を聞きだすために、志保身そっくりな姿をしている千鶴一人で大輔に面会することを考える。<br> 千鶴が病院に行くと、回復した大輔がちょうど退院するところだった。<br> 大輔は千鶴に対しこれまでの自らの行為を侘び、事務所メンバー皆に謝りたいという。<br> そんな大輔を、千鶴は優しく大城家へと連れて行く。<br> <br> 大城家には、先に巴と滋乃が到着していた。<br> 千鶴がやってくるまでの間、巴と滋乃は時江と国井のことで話し込んでいたようだ。<br> 巴達に対し時江は、話し相手になってくれたお礼にとレモネードを勧めてくる。<br> そして時江は千賀子に、レモネードを作り紅茶を淹れるよう指示する。<br> 巴達はレモネードを、体調を悪くしているという時江は紅茶を飲みながら歓談を続けることにする。<br> <br> 巴と滋乃を置いて、千鶴と大輔は大城家の2階に在る書斎に入ってみる。<br> これまで書斎には内側から鍵がかかっており入れなかったのだが、大輔がロープを使って1階から書斎の窓にのぼり部屋に侵入、鍵を開けたのだ。<br> そこの書斎に立ち込める古い本の匂いが、病院にやってきた本を抱えた幽霊志保美の匂いと同じだと大輔は言う。<br> だが、大輔によると志保美は写真機一筋で本に興味が無かったらしい。<br> そこで二人は、その幽霊志保美が何者かの変装だったのではないかと考える。<br> <br> 相変わらず話し続けている巴と滋乃を置いて、二人は岸部音楽院に向かう。<br> 事務局員によると、秘書三井は生徒に『アードゥア』というあだ名で呼ばれているそうだ。<br> たまたま居合わせた河村須美子に、『アードゥア』の意味を知らないかと訪ねると、イ長調を表す音楽用語だと教えてくれる。<br> そして、昨日貴子からもらった楽譜を見てみると、それはイ長調の音楽だった。<br> つまり、15号室の4人を舞踏会に招待した人物は、岸部音楽院理事長秘書の三井だったのだ。<br> (*三井のあだ名が『アードゥア』、イ長調である理由は、イ長調の曲の譜面には♯が3つ付くから。<br> つまり♯を音楽記号の井に見立て、井が三つで三井。)<br> <br></dd> <dt>147 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/21(金) 03:12:45 ID:1pjqXCK10</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part12<br> <br> 女子寮の15号室に行ってみると、貴子は授業中らしく不在だった。<br> そこで勝手に部屋に入って窓の外を眺めてみると、そこから理事長室に向かう暢と、それに付き添う帽子を被った女性の姿が見えた。<br> 彼女が三井なのではないかと考え、もっとよく見ようと窓から身を乗り出そうとしたところを、帰ってきた貴子に止められる。<br> 貴子は三井のことを恐ろしい人間と言い、彼女と理事長は金の亡者だと断言する。<br> そして、岸部音楽院では不正入試や単位の売買といった悪事がまかり通っていることを暴露する。<br> <br> 殺された三人は成績が良くなかった。<br> そんな三人に三井が単位の売買を持ちかけている場面を、貴子は目撃していたのだ。<br> だがその三人は口が軽く、単位の売買という不正を行ったことすらぺらぺら喋ってしまう性格だった。<br> 貴子は自分の想像だと前置きした上で、三人は舞踏会会場で単位の売買を他の参加者に喋ってしまい、そのために三井に殺されたのではないかと話す。<br> また、三人のルームメイトである自分も三井に監視されていると感じており、怯えていたのだ。<br> この話を聞いた千鶴は、舞踏会場で美和の仮面を被って死んだ女性は貴子の身代わりに死んだのではなく、<br> 三人から単位の売買を聞いてしまっていたために殺されたのだ、と確信する。<br> <br> 次に二人は浅草署へと向かう。<br> 諸星から、生き人形仮面は変装用として裏社会でよく使われていることを聞かされる。<br> おそらく国井も、裏社会からの仕事を引き受けていたのだろう。<br> また2年前、葉山紀夫が逮捕された際も、犯人の紀夫が行き人形仮面を身に着けていたことを教えられる。<br> また栗山によると、国井の家はまるで迷路のように入り組んだつくりになっていたそうだ。<br> <br> 二人は更に、葉山紀夫が服役している刑務所へ脚を運ぶ。<br> 紀夫との面会を喜ぶ大輔を見守りながら、千鶴は紀夫に話しを聞く。<br> どうやら暢は紀夫に岸部音楽院理事長の座を継がせたかったらしく、<br> 彼が志保美と結婚する為に家を出たことに激怒したという。<br> ただ、紀夫は現在の暢の秘書、三井という人物については何も知らないらしい。<br> <br> その後二人は、事務所へと帰る。<br> 大輔は蘭丸と時人に会うと、これまでの自分の行いを率直に謝罪する。<br> そして、自分が時人を殺そうと決意した理由は、志保美が死んだ翌朝彼を迎えに来たという偽志保美に、<br> 「お父さんの敵を取りましょう」と何度も言われているうちに殺意が沸いてきたのだという。<br> だがその志保美の顔がどんな時でもピクリとも変わらなかったので、<br> 大輔は会った当初からこの志保美が偽者なのではないか、と内心で思っていたようだ。<br> 時人と千鶴は、真犯人が志保美の生き人形仮面を被り大輔を煽動したのではないか、と考える。<br> <br> 千鶴が大輔を連れ大城家へ行くと、巴と滋乃、時江、千賀子がソファーに倒れこんでいた。<br> どうやら何者かによって睡眠薬を飲まされてしまったようだ。<br> 四人を病院に連れて行き大事無いとの診断を受けたあと、大城家の警備を諸星に頼み、この日の捜査は終了することにする。<br> <br></dd> <dt>148 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/21(金) 03:13:13 ID:1pjqXCK10</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part13<br> <br> 三人娘は事務所でこれまでの調査の結果を整理する。<br> そして、大城家で起こった睡眠薬騒動は、<br> 時江が引き起こした自作自演だったのではないかと推理する。<br> 睡眠薬が入っていたレモネードを勧めたのが時江であること、<br> 薬はレモネードの原液にあらかじめ仕込んでおけばいいこと、<br> 時江だけ事件発生当時違う飲み物を飲んでいたことなどがその根拠だ。<br> <br> 時江は、自分も被害者であるように立ち回ることで自らに疑いが向けられることを避け、<br> さらに巴たちが眠っている間に音楽院へ脚を運んでいたのではないか、と千鶴は言う。<br> また、音楽院の理事長が暢であり、三井はその後継者である女性ということから、<br> 三井=時江、つまり大城時江こそが一連の事件の真犯人なのではないか、と予想する。<br> <br> 事務所の入っている「守山ビル」の1階に在る、美和の経営する「守山美術」。<br> そこに行くと、川沿い桜を描いた絵が飾ってあった。<br> 従業員の藤堂弥八郎とその絵について話すうち、件の赤桜の話になった。<br> 藤堂は、赤桜は自殺が多い呪いの桜などではなく、人間の潜在意識を利用した殺人の名所なのではないかと話す。<br> 自殺の名所とされる所に他殺体を置けば、世間にはそれも自殺体であると考えさせることが出来るのだ。<br> 藤堂の話を聞いた千鶴は、赤桜は葉山紀夫ら裏社会の人間が利用している死体置き場なのではないか、と考える。<br> <br> 大城家で諸星に、睡眠薬騒動についての調査結果を聞く。<br> レモネードの原液からは、睡眠薬は検出されなかったらしい。<br> つまり、レモネードが作られた段階で睡眠薬が混入されたと考えれられるのだ。<br> 睡眠薬を仕込んだのは、時江ではなく千賀子なのだろうか?<br> それに、千鶴は巴たちが眠っている間、音楽院で三井の姿を目撃していた。<br> つまり、時江も睡眠薬を飲んでいたとなると、三井=時江という推理は成り立たなくなる。<br> <br> 書斎では、栗山刑事が書斎の検分を行っていた。<br> 書斎にあったロープを、睡眠薬事件の犯人が使ったものではないかと栗山は推理する。<br> しかし、それは大輔と千鶴が書斎に侵入する際に用いたものだった。<br> そして、栗山から書斎にはありとあらゆる指紋が残されていなかったと聞かされる。<br> 在るべきはずの大輔の指紋まで消えていることに、千鶴は不信感を覚える。<br> <br></dd> <dt>149 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/21(金) 03:15:03 ID:1pjqXCK10</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part14<br> <br> 指紋が消えた理由を探る為、大輔に書斎の掃除をしたかどうか訪ねる。<br> しかし大輔は書斎の掃除なんてしていない、と答える。<br> そのまま大輔と話すうち、大城家の屋上には上水道の水をためておく貯水タンクが在ることを聞かされる。<br> <br> 千鶴は諸星に、屋上の貯水タンクを調べるよう進言する。<br> すると、彼女の予想通りタンクの中から睡眠薬の反応が出た。<br> 睡眠薬は、貯水タンクの中に仕込まれていたのだ。<br> しかし、そうすると時江の飲んだ紅茶も貯水タンクの水を沸かして淹れられたものであるため、<br> 必然的に彼女も睡眠薬を飲んでいたことになる。<br> <br> かつて薬剤師の勉強をしていたという千賀子に、睡眠薬について訪ねる。<br> 彼女によると、睡眠薬の中には熱が加わることでその性質を失うものが在るらしい。<br> そして睡眠薬騒動の時、巴と滋乃と千賀子は冷たいレモネードを、時江は熱い紅茶を飲んでいた・・・。<br> <br> 病院で看護婦達に、偽志保美が持っていたという分厚い本について尋ねる。<br> どうやらその本は、英語の辞典らしきものだったらしい。<br> <br> 音楽院の事務局に行くと、河村須美子がいる。<br> 彼女によると、学院の理事長が引退し、後継者に道を譲ることが正式に決まったという。<br> そしてその後継者は、三井ではない別の女性だという。<br> その女性が時江という名前ではないか、と尋ねるも、須美子もそこまでの情報は持っていなかった。<br> <br> 刑務所で、葉山紀夫と面会する。<br> 彼は2年前の逮捕されるきっかけとなった事件の際、国井皓の造った生き人形仮面を着けていたようだ。<br> <br> 大城家で、警察から睡眠薬についての検査結果を聞かされる。<br> やはり貯水タンクの中にあった睡眠薬は、熱でその効果を失う種類のものだった。<br> ここまで来て、ついに三人娘は事件の真相に辿り着く。<br> <br></dd> <dt>150 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/21(金) 03:19:39 ID:1pjqXCK10</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part15<br> <br> 事務所に行くと、時人から偽志保美を捕まえに行く、と聞かされる。<br> どうやら彼も、真相に辿り着いていたようだ。<br> 一同は大城家の書斎へ向かう。<br> <br> 書斎の本棚から、時人は一冊の英語の辞典を取り出す。<br> そして、辞典を開いてみると中が繰り抜かれており、志保美の生き人形仮面が隠されていた。<br> これまで捜査の中で浮かび上がってきた志保美像は、紀夫の無実を証明しようと奮闘する女性であって、<br> 「自殺する」ようなタイプの女性ではなかった。<br> そして、今回の事件の真犯人は志保美の生き人形仮面を利用して大輔を煽動していた。<br> つまり、志保美は自殺ではなく今回の事件の真犯人によって殺されたと考えられる。<br> また、その際犯人は大輔も一緒に始末しようとしたのだが、幸いにも大輔については未遂に終わったのだ。<br> 志保美は紀夫の無実を証明しようとする調査の中で、生き人形師国井皓の存在を発見してしまった。<br> それ故、国井の存在を世間や警察の目から隠しておきたい真犯人によって、彼女は殺されてしまったのだ。<br> <br> 志保美殺害についての推理を披露した後、時人は真犯人を逮捕する為、といい一同を仮面舞踏会場へと引き連れていく。<br> 会場で、時人は美和をパートナーにダンスを披露する。<br> その時、仮面を着けた女がナイフを振りかざし時人に向かって突進する!<br> しかし、会場には時人の指示により大勢の警官が潜伏していた。<br> 仮面の女はあっさりと取り押さえられる。<br> そして、その女は大城時江だった。<br> <br> 時人は、大城時江を現行犯逮捕するために仮面舞踏会を利用したのだ。<br> そして、一連の事件についての推理を披露し始める。<br> 大城暢は、かつては息子の大城紀夫、つまり葉山紀夫に学院理事長の座を譲るつもりだった。<br> 彼としては理事長の座を早く降り、直己の事業拡大支援に専念したかったのだ。<br> しかし紀夫が家を出た上逮捕されてしまった為、別の人間を後継者にする必要が出てきた。<br> そこで浮上してきたのが三井という存在だった。<br> これまで大城暢は学園で単位の売買など様々な不正を重ねてきており、不正の実行役となっていたのが三井だった。<br> しかし、三井を後継者にするにあたり、問題が発生した。<br> それは、三井が架空の存在だということだった。<br> 万が一学院の不正が公になった際、時江に累が及ばないよう、暢は彼女に三井という架空の人物を演じさせていたのだ。<br> やはり、時江=三井であるという、三人娘の推理は正しかった。<br> ちなみに、繊維工場跡で貴子を襲ったのも、やはり不正の発覚を恐れた時江だった。<br> <br></dd> <dt>151 :<a href="mailto:sage"><b>続・御神楽少女探偵団~完結編~</b></a>:2007/09/21(金) 03:22:17 ID:1pjqXCK10</dt> <dd>☆第9話『生き人形』part16<br> <br> この事件の発端は、紀夫が逮捕され、志保美が事件の調査を始めたことだった。<br> 調査の過程で、志保美は生き人形仮面と、国井皓という存在に辿り着く。<br> 彼女は国井の家を突き止め、家の写真まで撮ってしまったのだ。<br> 国井は、紀夫以外にも多くの犯罪者に対して変装用の仮面を提供する、裏社会の人間だった。<br> 裏社会の人間が、素性を表の人間に知られてはならない。<br> そこで、自分の素性が志保美に知られたことを悟った国井は時江に、葉山志保美・大輔親子殺害を頼んだ。<br> 国井の恋人である時江は彼を守るため、二人を隅田川に誘い出し、川へと突き落としたのだった。<br> <br> しかし、時江と国井にとっては不運なことに、大輔は一命を取り留めた。<br> さらに、国井の家を撮った写真は大輔が持っている上、大輔は自殺未遂者として警察に保護されている。<br> さらに、紀夫の事件の際、時人は国井皓の素性を薄々察知していた。<br> 大輔の持つ写真が万が一名探偵である時人の手に渡ったら、国井は破滅だ。<br> そこで、時江は大輔を利用し、時人と大輔を共に抹殺する方法を考えた。<br> <br> まず手始めに、志保美の生き人形仮面を利用し時人に復讐するよう大輔を煽動する。<br> 次に後藤緒羽子ら4人を殺害し、死体に事務所メンバーの生き人形仮面を着けることで、<br> 事務所に恨みを持つものによる無差別殺人の可能性へとミスリードする。<br> ちなみに、後藤緒羽子らが「被害者」として選ばれた理由は、やはり学院の不正を隠蔽する為、<br> 不正に関わっていた緒羽子ら3人と、仮面舞踏会で3人と接触していた女性を殺害するよう、暢から依頼されていたためだった。<br> 本来は3人のルームメイトである貴子も殺す予定だったのだが、貴子は真面目で舞踏会にも全く来なかったため、殺害するチャンスが無かったという。<br> その後、大輔に時人を殺害させ、同時に接着剤の毒で大輔を始末しようとしたのだった。<br> そして時江は一連の犯行を認め、警察に連行されていった。<br> 後日、大城暢は贈収賄の罪で逮捕されたものの、逃亡した国井皓の行方については杳として掴めなかった。<br> <br> 第9話『生き人形』END<br> <br></dd> </dl>

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