広さはロサンゼルスの3倍、火星で巨大な地下氷河が発見

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【Technobahn 2008/11/21 19:02】NASAの火星探査衛星「マーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter)」を使った調査により、火星の地表近くの地下には巨大な地下氷河の層が存在していることが20日、米科学雑誌「サイエンス(journal Science, Nov. 21 issue)」に掲載された論文により明らかとなった。
この研究を行ったのは米テキサス大学のジョン・ホルト博士(John W. Holt)を中心とする研究グループ。
研究グループはMROに搭載されているレーダーを使って火星の南半球にあるヘラス盆地(Hellas Basin region)東部の地下構造の分析調査を実施。その結果、ヘラス盆地には広さはロサンゼルスの3倍、厚さは最大で800メートルにも及ぶ巨大な地下氷河層の存在を確認することに成功した。
研究グループでは火星上の中緯度地域は、切り立った稜線から離れた、傾斜の緩やかな丸みを帯びた地形が多数、存在することが判っており、こうした地形は表面を岩石や土壌などのデブリによって覆われた巨大な氷河である可能性が高いと分析している。
これまでの調査では火星には太古に海洋が存在していたことが判っていたが、海洋を形成していた水がどこに消えてしまったのかに付いては太陽風の影響で吹き飛ばされた、地下にまだ存在しているなど、様々な説がでていた。しかし、今回、中緯度地域の地下にも巨大な地下氷河の層があることが判明したことを受けて、太古に海洋を形成していた水はまだ、火星の地下に埋もれている可能性がでてきたことになる。


ロッキードマーチン社が公開、NASAの新火星探査機

【Technobahn 2008/10/20 11:39】画像はロッキードマーチン社で現在開発中のNASAの新火星探査機「マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory)」を収容するための宇宙船「バックシェル」の最新映像。

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 宇宙船のこれまでの火星着陸船の3倍となる1トン近くもあるため、火星の大気圏突入における減速方法を巡って開発は難航。このため、開発費用は当初予想を大幅に上回る18億ドル(約1800億円)にも達してしまった。

 火星の場合、大気圧は地球の0.75%しかなく大気圏が希薄なところに特徴を持つ。この極めて希薄は大気のため着陸船は地球のように大気圏を使った減速を十分に行うことが難しいという技術的障壁を持つ。

向かって下側が火星の大気圏突入用の耐熱シールドとなるが、この耐熱シールド、直径は15フィート(約4.5メートル)もあり、カプセル型宇宙船としてはアポロ司令船の12.8フィート(約3.9メートル)を20%近くも上回って史上最大の面積を持つものともなる。

 アポロ司令船は重量5.8トンに対して、耐熱シールドの直径は3.9メートル、マーズ・サイエンス・ラボラトリーの場合、重量1トンに対して、耐熱シールドの直径は4.5メートル。
 このことからも火星へのこうした1トン近い重量物を軟着陸させることがいかに困難かが判るだろう。
 想定されている火星有人探査計画では火星着陸船の重量は10~20トンになることが予想されている。10トン以上の宇宙船を火星大気圏で減速させるためには理論上は50メートル近い耐熱シールドが必要ということになるが、今のところこうした超大型の宇宙船をどうやって開発するかについては、まったくの未知数ともなっている。
マーズ・サイエンス・ラボラトリー計画は、開発費用の高騰のため、計画の存続さえも危ぶまれる状況となったが、NASA側の強い要望もあり、現在のところは当初の予定通り、来年10月の打ち上げに向けて宇宙船の最終調整作業が続けられている。
重量がこれまでの火星着陸船の3倍なら、予算も3倍という最近のNASAの科学探査計画では珍しい超大型プロジェクトとなる見通しだ。


ロッキードマーチン



ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin、NYSE:LMT)はアメリカ合衆国の航空機・宇宙船の開発製造会社である。1995年に米ロッキード社と米マーチン・マリエッタ社が合併して現在のロッキード・マーティン社が生まれた。

本社をメリーランド州のベセスダ (Bethesda, Maryland) に置き、世界中の総従業員数は14万人になる。2006年の総収益は396.2億ドル、軍事部門だけでも342.25億ドルの収益であり、世界の軍需産業の売り上げランキングでは2位の米ボーイング社の292億ドル(軍事部門のみ)を上回り、1999年以来これら2社の軍需産業での順位は一度も変わっていない[1]。

2007年現在は最新鋭ステルス戦闘機であるF-22 ラプターやF-35 ライトニングIIの開発・製造を行っていることで有名である。極秘先進技術設計チーム「スカンクワークス」が多数の傑作軍用機を生み出したことでも有名である。「ロッキード・マーチン」と言われることもある。
合併前のロッキード時代には、旅客機の開発も行っていたが、現在は戦闘機・軍用輸送機・人工衛星・ミサイル・スペースシャトルの部品などを主に製造している。売り上げの95%は国防総省をはじめとするアメリカ政府機関によるものである。合併後も、F-22ラプターやF-35ライトニングIIが各国軍により採用されている。20世紀後半以降は海軍の装備開発にも積極的に乗りだしており、イージスシステムや各種艦載ミサイル及びそのVLS等を提供している。 日本のスカパー!e2などが利用している通信衛星のN-SAT-110も、ロッキード・マーティンが製造した。


カナダ西部でナゾの火球が観測、突然 夜空が昼間のように光り輝く

カナダ西部にあるアルバータ州で、現地時間で20日午後5時半頃、夕刻の夜空に太陽のように明るく輝く「火球(Fireball)」が通過するとうナゾの現象が起きていたことが判った。
火球が通過した夜空は一瞬、昼間のように明るく照らされるなど、その異常な光景は住民の間では驚きをもって迎えられた。
火球がアルバータ州に上空を通過する模様は複数の住民によってビデオに撮影。それらの映像の分析結果から今のところ火球はアルバータ州に上空を秒速60キロという極めて高速で通過、地上に落下することなしに数秒で燃え尽きてしまった模様だ。
今のところ、この火球の正体に付いては専門家の間でも隕石やロシアのロケットの残骸などと見方が分かれており、正体不明の状態が続いている。

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太陽系の近くで暗黒物質の対消滅現象? 南極上空でナゾの高エネルギー宇宙線


【Technobahn 2008/11/21 15:04】
南極における観測気球を使ったデータ収集により、太陽系の近くが発生源とみられる高エネルギーの宇宙線が地球まで多数飛来してきていることが19日、英科学雑誌「ネイチャー(Nature vol.456)」に掲載された論文により明らかとなった。

 この研究を行ったのは米ルイジアナ州立大学のジョン・ウィーフェル(John Wefel)教授(物理学)を中心とするNASAの研究グループ。

 ウィーフェル教授を中心とする研究グループは南極でNASAが開発を行った宇宙線電子観測装置「Advanced Thin Ionization Calorimeter(ATIC)」を観測気球に搭載することで、南極上空高度35キロ以上の成層圏に到達する宇宙線の精密観測を実施。

 その結果、35キロ以上の上空には300~800GeV(ギガ電子ボルト)の高エネルギーの銀河起源宇宙線が多く存在することを突き止めた。

 研究グループでは観測結果からこれらの銀河起源宇宙線の発生源は太陽系の直ぐ近く分析しているが、太陽系の近くにはこれだけの宇宙線の発生源となるような天体は発見されておらず、この宇宙線の発生源はナゾに包まれている。

 研究グループでは、これらの宇宙線は未知の天体、もしくは、カルーツァ=クライン理論に基づく暗黒物質(ダークマター)の対消滅によって生じている可能性もあるとして、研究を継続している。
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“暗黒流動”を観測、宇宙論を覆す?

最新の研究によると、私たちの住む宇宙の外側に、未知の見えない“なにか”が存在しており、磁石のようにこの宇宙を強く引き寄せているという。この研究は大きな論争を巻き起こしている。

 既知の宇宙に存在するあらゆるものが、この巨大な物質の塊に向かって時速320万キロ以上の速度で疾走しているという。研究チームはこの動きのことを「暗黒流動(ダークフロー)」と名付けている。

 研究チームのリーダーで、アメリカのメリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの天体物理学者アレクサンダー・カシリンスキー氏は、「宇宙外物質が存在するとすれば、私たちの宇宙は“もっと大きな存在”、多世界宇宙(multiverse)の一部ということになる。宇宙の外部は、それがどんなものであったとしても、私たちの知っている宇宙とは大きく異なるだろう」と話す。

 この学説が正しければ、今日の物理法則は書き換えを迫られる可能性がある。現在の物理学モデルでは、既知つまり観測可能な宇宙は、ビッグバン以降に光が到達できる距離まで広がったもので、残りの4次元時空(空間の3次元プラス時間)と本質的に同じ性質を持つと考えられている。

 暗黒流動(ダークフロー)という名称は、まだ説明されていない天体物理現象の暗黒エネルギー(ダークエネルギー)や暗黒物質(ダークマター)をふまえて付けられた。新しく発見された流動は、宇宙の膨張では説明が付かず、直接の関係を持たないという。ただし、研究チームでは、暗黒流動と宇宙の膨張という2つのタイプの運動は同時に発生したものだと考えている。

 頭の痛くなるような概念を分かりやすく理解するために、カシリンスキー氏は次のように説明する。「まず、広大な海原の真ん中に浮いて漂っている状況をイメージする。視界の及ぶ範囲では、海は波もなく穏やかで、どの方向を向いても同じに見える。この時、人は水平線を越えた先も同じ状態が続いていると想像するだろう。天文学者も宇宙についてそのように考えている」。

 カシリンスキー氏は続ける。「しかし、海の中で微かだが一貫している流れを発見したとする。すると、視界に入るものとは別のものが水平線の先に存在すると推論するはずだ。そこには、山から流れる川や峡谷があり、水を押したり引いたりしているに違いない。宇宙の話に戻れば、今回発見された運動は、140億光年以上先にある現在の宇宙の地平線をはるかに越えた場所に位置するなんらかの“構造”によって引き起こされていると考えられる」。

 研究チームは、物理学を打ち壊すために今回の調査を行ったのではなく、昔からある「遠く離れた銀河ほど運動速度が遅く見える」という考えを確認しようとしただけであった。

 この運動は、NASAのウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(WMAP)から得られるデータによって検出可能だ。NASAによると、WMAPは全天に存在する宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度などの特質を計測することにより、初期宇宙の状態を明らかにする。宇宙マイクロ波背景放射は、この宇宙の誕生からおよそ38万年後に放出されたと考えられている。

 宇宙マイクロ波背景放射は、銀河団の高温ガスの影響を受け、さらに宇宙マイクロ波背景放射と銀河団の移動速度にずれがある場合には電子散乱の“摩擦”により温度が上がる。この温度変動は非常に微妙なため、研究チームは700以上の銀河団を調査した。

 結果は驚くべきもので、すべての銀河団が一様に時速約320万キロで同一方向に移動していたことが判明した。カシリンスキー氏は「この暗黒流動が検出されたのは銀河団だけであったが、既知の宇宙のあらゆる構造に当てはまると考えられる」と話す。

 説明のつかない流動を説明するため、研究チームは昔からある「ビッグバン直後の急速なインフレーションにより、物質の塊が既知の宇宙を越えて押し飛ばされた」という学説に依拠することにした。

「宇宙外物質が巨大な質量を持つなら、私たちの宇宙にある物質はそれに引き寄せられる。観測可能な宇宙の地平線全体にわたって検出された銀河団の流動は、そのために起きているのだろう」とカシリンスキー氏は話す。今回の最新研究は、10月20日発行の「Astrophysical Journal Letters」誌に掲載されている。

 ただし、今回の研究に対しては、プリンストン大学のデイビッド・スパーゲル氏をはじめさまざまな専門家が疑問を呈しており、カシリンスキー氏も研究継続の必要性を認めている。


「多次元理論」を証明する電子・陽電子対の観測に成功?


新しい実験において、暗黒物質の粒子の存在を証明する初めての直接証拠が見つかった可能性がある。物理学における最大の謎の1つを解明する鍵となるかもしれない発見だ。

理論物理学者たちは、WIMP(Weakly Interacting Massive Particle)でできている暗黒物質が宇宙の23%を構成していると考えているが、これまでWIMPの粒子のいずれかを直接観測した人はいなかった。[WIMPとは、電磁気的な相互作用をほとんど起こさず、電磁波では検出できない粒子からできている「冷たい暗黒物質」のこと]

物理学者たちは今回、ある種のWIMPが可視的な世界に入ることによって生じると予想されるものとほぼ同量のエネルギーを持つ電子を計測したと発表した。

ルイジアナ州立大学のJohn Wefel氏を含む研究チームは、気球式の粒子収集装置『ATIC』(Advanced Thin Ionization Calorimeter)を南極大陸の上空に飛ばし、電子を捕獲して電荷やエネルギーを測定した。[過去記事「反陽子を観測する実験、日米チームが南極で実施」では、文部省高エネルギー加速器研究機構・東京大学・神戸大学・文部省宇宙科学研究所・米国航空宇宙局(NASA)・メリーランド大学などのチームによる南極での研究について紹介している]

この結果として研究チームは、WIMPの対消滅[粒子と反粒子が衝突し、エネルギーや他の粒子に変換される現象]によって生成される、『カルツァ=クライン』的な電子・陽電子対を発見した可能性があるとする研究論文を、11月20日付で『Nature』誌に発表した。

カルツァ=クライン粒子(KK粒子)は、宇宙の多次元理論によって[第5の次元方向に運動量を持つ重量子として]存在が予測されている粒子で、長い間、暗黒物質の構成要素として有力候補の座にある。

今回の新しい発見が確認されれば、時空の構成には、人間が知覚できる4次元だけでなく、多数の「コンパクトな」次元があるという証拠になるだろう。

「カルツァ=クライン理論における対消滅の説明が正しいと証明されれば、こうした多次元宇宙に関するより徹底的な調査が必要になるだろう。これは、われわれの宇宙の理解に重要な意味をもたらす可能性がある」と、研究論文の執筆陣は結論付けている。


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最終更新:2008年11月23日 12:42