7話

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ここは、どこだ。
『まだ、眼を醒まさぬか』
だれだ、おまえは。
『ふむ、まだ「因子」とやらが足りていないのか・・・』
なんのことだ。なにをいっている。
『脆弱だな、我がヨリシロよ。それでは再び舞い戻ることはまだ無理か』
おまえは・・・

「・・・はっ!」
目を覚ました時、悠斗はベッドに横たわっていた。
「俺は・・・」
その時「あの惨状」を思い出し、頭を抱える。
「なんで・・・俺はあんなことを・・・」
あの声の主は誰なのだろうか。最後に言っていた事が気になる。
『お前が使命を忘れているのであれば仕方ない。貴様は「記憶の欠片」でも探せばよい』
(記憶の欠片・・・それが俺に必要なものなのか?)
「大尉、入ってもいいか?」
坂本少佐の声が聞こえた。あの姿を見られたのが、少し苦しい。
「あ、はい・・・どうぞ・・・」
「大丈夫か、大尉。時々魘されていたが・・・」
その心配すら、悠斗には心苦しかった。
「・・・それで、俺はどうすればいいんですか」
「無理をするな、大尉。今は休養を・・・」
坂本を手で制止し、悠斗は立ち上がった。
「俺は、戦わなきゃいけないんです。もしかしたら、戦うことで何かが分かるかも知れないんです」
真剣な眼差しの悠斗に対し、坂本は、
「・・・わかった、ついて来い」
と振り返り部屋を出た。
「・・・ありがとうございます」
小さく、悠斗は呟いた。

ブリーフィングルーム―――

「・・・みんな、ごめん」
入っていきなり悠斗は頭を下げた。悠斗の性格上、ここは謝らなければと感じたのだろう。
「なぜ謝る必要がある?」
最初に発言したのはバルクホルンだった。
「しかし、あのときのアレは」
「いーじゃん、もう終わった事なんだからさ」
そう遮ったのはフラウだった。
「でもっ」
「はいこの話おしまーい!それよりさ、コウヅキ博士からお仕事の話だってさ」
「・・・俺たちに?確かに、リオンが配備されてたし・・・何かあるのか・・・?」
その時モニターに通信が入った。
「おっはようおっはようボンジュール♪」
マラカスを振りながら踊っているアマガツがそこにいた。現時刻、午前7時である。
「・・・そ、それで、お話とは・・・」
ミーナ隊長が切り出した。流石に引いている。
「ああ、そうだね。実は、タクラマカン砂漠へ偵察に行って欲しいのだよ」
「・・・なぜ今そこへ?」
坂本少佐が疑問を投げかけた。
「ほら、例のアンノウンだよ。戦力だけ削っておさらばとは、置いてかれたパイロット達が可哀想だよねぇ」
「・・・博士、あいつの正体は分からないのか?」
シャーリーは机に突っ伏しながら言った。
「特機・・・としかなぁ・・・。岩投げたりしてきたって報告がまわってきたから武器は無いと考えてもいいかな。拳だけみたいだよ」
(拳だけの・・・特機・・・)
悠斗は聞き覚えのあるような気がした。
「それと、連邦の部隊が付近で展開しているようだから、発見されないように。では、幸運を祈る」
「了解!」
通信が切断されそして坂本少佐が号令を出す。
「さて、聞いての通りだ。すぐに出撃するぞ!」
「はい!」
そして一斉に準備にかかるメンバー。そしてその中、悠斗は「ある言葉」を思い出す。
(記憶の欠片・・・そこにあるのか・・・?)

一週間前、月・マオインダストリー
「草加君、新造したゲシュペンストのテストによく志願してくれたな」
「いえ、僕もグレイブヤードですし。それに、これは僕の役目ですから」
目の前のゲシュペンストを前にし、リン・マオと草加雅人は話していた。
(陽菜、これで君を守る。どんな敵が相手でも・・・そう、全ては)
「・・・夢のため、か?」
靴音と共に、一人の男が現れた。その服装は連邦の制服ではなかった。
「おまえは・・・キバ!?生きて・・いたのか・・・!?」
「ああ、おかげさまでな」
この時、リン・マオはある違和感に気づいた。
「お前・・・どうやってここに入った?」
キバが不敵な笑みを浮かべた瞬間キバは二人の視界から消えた。そして、
「・・ぐがッ」

キバはサーベルを逆手持ちにし、草加の心臓を貫いた。
「キ・・バ・・・ッ・・・お前・・・」
「・・・知ってるかな・・・夢っていうのは呪いと同じなんだ・・・途中で挫折した者は呪われたまま・・・らしい」
そのままキバは草加の首を掴んだ。
「草加少佐!」
乾いた音と共に、キバは草加の首をへし折った。
「他の奴等は片付けた、この機体は貰うぞ」
「ま、待て!」
ズガァァァン!
と、衝撃と共にリンは吹き飛ばされた。
「くっ・・・な、何が・・・」
「海堂達か・・・怨むなら、ラーズグリーズを怨め」
「何?お前は・・・」
キバが搭乗したゲシュペンストは、エアロックを破壊し、ムーンクレイドルを脱出した。
リン・マオは、ただ見てることしかできなかった。

時は戻り、タクラマカン砂漠―――連邦軍実験部隊「グレイブヤード」駐屯地
「・・・はぁ~」
乾陽菜はテーブルに突っ伏しため息をついた。
「あらあら、乾さんどうしたの?」
そこへ、巴マミがやってきた。
「先輩・・・いえ、特には・・・」
「どうせ草加さんのことでぶはぁっ!!」
ウェイン・三原は思い切りプレートを投げつけられた。
「うっさい!黙ってろヘタレ!前のテストでも迷惑かけてばっかだったし!」
「あわわわ、ケンカはダメですよ~」
そこへ珠瀬壬姫があわあわと駆けつけた。
「大丈夫よたま。こんなアホヘタレの相手なんて、いつものことでしょ?」
「ひでぇ。ヘタレとはよく言われるけど、アホヘタレはひでぇ・・・」
「もう、乾さん、女の子なんだからそういうこと言っちゃ駄目でしょう?」
見かねたのか、マミも仲裁に入った。
「草加君は乾さんの幼馴染なんでしょう?確か今・・・」
「ええ、宇宙です。なんでもテスト用のゲシュペンストが新造されたらしくて。張り切っちゃってさ」
「・・・」
ウェインは陽菜の顔をじっと見ていた。
「・・・何」
「いや、顔にやけてるな、と」
「ッ!!」
ばこーーん!と気の抜けた音と共にウェインは吹っ飛んだ。

タクラマカン砂漠上空―――
501部隊は、グレイブヤード駐屯地とは正反対の位置にいた。
「各機、異常は無いか?」
坂本少佐は他のリオンに対し通信を入れた。
「ストライカー3問題はない」
「ストライカー4、だいじょーぶだよー」
次々と正常であることが報告される。
「ここから二機分隊で偵察任務にはいります。緊急時には通信を入れるように。では、任務開始!」
『了解!』
ミーナ隊長の号令で、501部隊は偵察任務に入った。

「・・・あたり一面砂だらけ、動体反応なし・・・この方向にいるのかな・・・」
悠斗は芳佳とペアとなり、北西方面を進んでいた。少し気だるそうだ。
「もし本当に出てきたら・・・」
「その時には逃げるしかないな。俺が陽動するから芳佳ちゃんは先に逃げて応援を呼んでよ」
突拍子もない発言に芳佳は驚いた。
「そんな・・・二人なら」
「無理だ」
悠斗は断言した。
「こっちは新米と記憶喪失、状況は圧倒的に不利。地形を利用されたら全滅は目に見えてる」
「そ、それは・・・」
「ならこの戦術が正しい。俺は戦い方だけは覚えてるから、時間稼ぎはできるから」
真剣な声色に芳佳は反論できなかった。その時である。
「!高速で接近する反応・・・!?アンノウンか・・・?」
「そ、そんな・・・!」
「・・・補足した!・・・あれ、は・・・?」
そこに現れたのは、漆黒に染まった、PTともAMともつかない機体がそこにいた。
「な、なんだ、こいつ・・・。データベースに無い機体・・・?」
黒い機体は芳佳機の周りを飛び回っている。
「え?え?な、なんなの?」
まるで無邪気な子供が興味を示すような動きをしている。
「・・・まさか、この機体が・・・『X-11』?」
「え!?この子が?」
悠斗達は、X-11について、ある程度のことは聞いていた。
『あの機体は危険だ。交戦する事態は避けてくれ。数でおして捕獲できるようなら、そうしてくれ』
その言葉が何を意味するか、この時二人は知る由も無かった。

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