俺は・・・そうだ、俺は・・・夢を・・夢を見たんだ、とても激しく、荒々しく、そして雄雄しい夢を。 夢の俺は、強大な敵と戦っていた。誇れるであろう仲間達と。そして愛していたであろう人と共に。 でも、その顔を思い出せない。思い出そうとするとノイズが走る。まるで何かが邪魔をしているように。 そしてまた、途中で途切れる。「あの時」と同じように。 『わたしのこえを・・・だれか・・・きいて』 頭の中で声が響く。またあの声だ。何度目だろうか。 『わたしはただ・・・を・・・のに』 重要な部分が掠れて聞こえない。お前は誰だ!どこにいる!答えろ!お前は一体、何者なんだ! 『わたしは・・・』 お前の名は何だ!答えろ! 「・・・い・・きろ・・い」 その時、俺は現実に引き戻された。 「さっさと起きないか大尉!もう到着したぞ!」 「ぅわぁ!?」 バッ・・・ガァン! 「あぐぁ!?」 俺は坂本少佐に叩き起こされ、その反動で天井に思い切り頭をぶつけた。 「大尉!?大丈夫?」 ミーナ隊長がすぐさま様子を見てくれた。この人は聖女様ですか? 「ぐあぁ・・・な、何とか大丈夫です、ハイ・・・。少佐も、すいませんでした」 俺は少佐に向き直り頭を下げた。こういうときは素直に己の非を認め謝罪するべきだと直感したからだ。 「全く・・・どうしてそこまでリラックスして熟睡できたのか知りたいくらいだ」 「うぇ、そんなにでしたか?」 「ああ、そうだ」 軽くへこむ。 「さぁ、行くぞ。このままだと時間に遅れるからな」 「そうね。では大尉、ついて来てください」 「了解!」 俺は姿勢を正し、二人の後をついて行った。 俺はあの後、検査だの何だので色々手間を食って何時間も拘束された。 それから輸送機に乗り込み、俺は坂本少佐とミーナ隊長と共にアドリア海に位置する『501部隊基地』へと向かった。