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星条旗はためく下に Global Crisis 第1章


2020年1月1日
東京
「あれ、おっかしいな…。」
パソコンの前でそうつぶやき彼はマウスを何度かクリックする。
1月1日だからといって特にすることのない彼は元旦の日をネットサーフィンですごしていた。だが、CoogleもVahoo!もつながらなかった。2ちゃんねるの掲示板を見てみたところ、どうやら同じ症状の人間がたくさんいるらしい。
「新年早々から…。まあ、俺も同類だけどな。」
そうつぶやきながらニュース速報+にあるスレッドを眺める。そこには、
【国際】ロシア政府、欧州向けパイプライン全面停止
【国際】印パ国境緊迫「挑発を受ければ我々は答える」パキスタン国防相
【社会】インターネットが接続不能、中国から大規模な攻撃
【社会】衛星放送、国際電話の一部で通信不能
といったタイトルが、並んでいた。

2020年1月1日
ワシントンDC
ワシントンは2019年最後の夜を迎えていた。家族との食事を終えたイーストウッド大統領は大統領執務室の窓際にたたずみワシントンの夜を眺めていた。2018年に民主党から政権を奪還してから2年、任期の半ばを迎えることになる。
「世界はこの2年で変わった…」
18年には北朝鮮の指導者金正日が病死、カリブ海での原潜沈没事故。19年にはウクライナをNATOに加盟させることに成功したものの、その代わりに欧州、アジアに駐留するアメリカ軍を全面撤退させられることになってしまった。さらに数時間前にロシア政府が欧州向け天然ガスパイプラインの全面停止を発表していた。
「来年は…」
そう言いかけたとき、執務室の時計が午前0時を告げる鐘を鳴らし始めた。しばし目を閉じ、12回の鐘の音に耳を傾ける。12回目の鐘が響き終わろうとしているとき、机の上の電話機が無愛想なベルを鳴らした。
よい知らせは時と場所を選んでやってくるが、悪い知らせは選ばない。そんなフレーズを思い浮かべながら受話器をとった。
「私だ。悪い知らせかね?」
「申し訳ありません。大統領閣下。」

2020年1月1日
各国の政府がクリスマス・新年休暇の間隙を縫って、ロシア政府のパイプライン停止宣言は全世界を震撼させた。中国からとみられるインターネットへの継続的な攻撃も依然続いていた。東ヨーロッパや南アジア地域では携帯電話や衛星通信が使用不能に陥った。1月2日になると無線通信と海底ケーブルの一部が沈黙した。1月6日(月)になっても混乱は収まらず、その日に大発会を迎える東京市場は500円を超える下げ幅を記録した。そして2020年1月9日、ロシア軍がポーランドに侵攻した。

2020年1月9日
ポーランド・ワルシャワ
2019年末のロシアによる対欧天然ガス供給禁止宣言にあわせるように、ポーランド全域で大規模な通信障害が発生した。2020年1月1日にはテレビやラジオ放送が不可能になり、翌日には航空管制の停止によりポーランド全土の航空機発着が不可能になった。電話や無線もほぼ不通となり、経済に重大な影響を及ぼしていた。インターネットに対しても攻撃が行われ、中枢システムをのっとられた企業が続出、電力や水道などライフラインの供給に関しても混乱が発生し始めていた。ポーランド政府は妨害電波の発信源と推定されるロシアに対し、何度も厳重な抗議を行ったが、ロシア政府からの反応は一切なかった。
アメリカ政府はロシア政府に対し事態の説明を求めたが、ロシアからの反応はなく、逆に米ロ欧駐留軍協定(*1)に基づきアメリカ軍の欧州展開を行わないよう強く勧告される結果となった。

(*1)米ロ欧駐留軍協定2019年締結
ロシア政府がウクライナのNATO加入、ポーランド軍の近代化を認め、
欧州への天然ガス供給を約束する代わりに、EU域内におけるアメリカ軍の
駐留を行わない事を定めた条約。
欧州連合内に潜在的に存在する反米機運、
とくに、経済危機のしわ寄せを多く受ける若者・移民層の持つ不満感を
露・中政府がたくみに扇動。
大々的な運動に発展させることで、欧州からの米軍の撤退を行わせることに成功した。

ゲーム開始時にはアメリカ合衆国欧州派遣軍が存在しない為の補完です。
同条約により、現状で欧州に展開できるアメリカ軍は航空部隊のみとなります。


Edyta Kupiec(エディタ・クピェツ)首相は新年を迎えたことの感慨に浸る暇なく、危機への対応に忙殺されていた。東西冷戦の最中ならいざ知らず、2020年の現代に、電話や無線、ラジオ、テレビはおろか、インターネットまでもが大々的な攻撃にさらされることはポーランドにとっても全世界にとっても想定外の事態であった。混乱する各地の状況の把握と治安維持のため、ポーランド軍に治安出動命令を伝え、ようやく一息ついたところであった。
「そういえば、米ソ激突の第一撃として想定されていたのは、大気圏外の核爆発で発生する電磁パルスで電子機器と通信機器破壊することだったわね。」
そう補佐官に話しかけた刹那、テレビ放送に使用する周波数だけ妨害電波が解除されたとの報告が入った。
補佐官がテレビのスイッチを入れた。
「!」
部屋にいたすべての人が画面を見たとたんに凍りついた。画面に映っているのはIgor Ovechkin(イゴール・オベーチキン)ロシア大統領であった。
「・・・先ほど、我が隣国のポーランドが大規模な軍の動員を行っていることが確認された。現在行われている通信妨害も、ポーランド軍によるECMであると推定される。この蛮行に対し、わがロシア連邦は国家の安全と国際平和を守る為、必要とされる自衛行動を行う。・・・」
何度か放送された後、通信妨害が再開され、再び受信は不可能になった。


2020年1月7日
ワシントン ホワイトハウス

「クレムリンは何といってきた?」
イーストウッド大統領が疲れた顔で尋ねる。
ロシア軍のポーランド侵攻に対応するための会議はすでに3時間に及んでいた。アメリカ政府はロシア政府の侵略行為に対し強い抗議を示したものの、ロシアから帰ってきた返答は政府関係者を驚かせた。
若い補佐官がレポートを片手に立ち上がった。彼もまた疲労の色が濃い。
「わが国の抗議声明に対しロシアは、その回答として、我が国のモスクワ大使館を封鎖すると言ってきております・・・。および1週間以内に大使館員はもとより、すべてのアメリカ国民並びに企業を退去させるよう要求してきています。並びに、アメリカ国籍を有する個人並びに企業が国外へ持ち出せる資産は一人当たり100ドルとのことです。」
執務室にどよめきが走る。
出席者が口々に喋りだす。
「クレムリンの連中は第3次世界大戦をおこしたいつもりなのか。」
「我々が暴発すれば間違いなく世界大戦か・・・」
「世界人類すべてを人質にとられているようなものだ。我が軍は動けない・・・。」
大統領が尋ねる。「世論はどうなっている?」
補佐官が答える。「はっ。拮抗しているといったところです。メディアのかなり深い部分までロシア人脈が築かれているようで、『ロシアの行動をアメリカが阻止したら世界大戦が起きる。アメリカは動いてはならない。』という趣旨の報道をしております。しかしながら、ロシアのポーランド侵攻は明白な侵略行為であるので、メディア内部でもロシア人脈の要望をどこまで受け入れるか苦慮しているようです。」
「仮に・・・・。強攻策をとった場合、どのようなオプションが考えられるか?」
わずかな沈黙があった。
「オプションはそう多くありません。ロシア政府は我が国に対しては国外退去を要求しましたが、他のNATO諸国に対しては、我が国に組しない限り、ガスの供給を含め、現在の状況を保証すると通告しております。そのためEU、NATO内の足並みは完全に乱れております。また、世論操縦については彼らのほうが上手のようです。欧州の反戦市民団体の矛先はロシアでなく、我が国です。大統領閣下。勝つには核による先制攻撃しか・・・。」
大統領が片手を上げ補佐官の発言をさえぎった。
「少し頭を休ませよう。2時間後に再開する。」
大統領は力なくそう宣言した。

だが彼らは2時間も休むことは出来なかった。
15分後。中国政府からもロシア政府と同様の要求が彼らに伝えられたのである。


2020年1月の世界情勢は混沌といっても良い状況を演出していた。そもそものきっかけは2008年のアメリカ金融危機までさかのぼる。グリーンスパン元FRB議長に「百年に一度あるかないかの金融危機」(*2)と言わしめた金融危機は2009年から2010年にかけて「資本主義始まって依頼の危機」に変化した。アメリカ金融帝国とも言うべき新自由主義と投資銀行型ビジネスモデルは終焉を迎え、「最後の買い手」をうしなった世界経済は失速、世界帝国アメリカもまた過去の存在となった。「工業化」という近代資本主義が終焉を迎えたのである。

2009年には、アメリカ大手自動車メーカビック3のうち1社が消滅し、残り2社は事実上国有化された。シティ、バンクオブアメリカといった大手金融機関も株式の大半を政府が保有することとなった。20世紀中盤から21世紀初頭にかけて世界を牽引してきたアメリカ合衆国の権威、「パックスアメリカーナ」は消滅し、世界は無極化の時代を迎えた。

2009年に政権を引き継いだ、バラク・フセイン・オバマ大統領(*3)は、アメリカ経済の再建とアメリカの精神の再建に奔走するも、GDPの伸び率は在任中一度も上向くことはなかった。財政出動に伴う巨額の財政赤字は、世界経済を揺るがしかねない不安要素となっていた。巨額の財政赤字は、アメリカの通貨であるドルの信用を失わせた。しかし、ユーロや円といった他の通貨も基軸通貨たるには力不足であり、軸のない状態が続いていた。2015年にはいると、BRICs諸国が経済危機の傷跡から徐々に回復。国内に生まれてきた中産階級が徐々に景気を先導し始めていた。
中国、インド、ブラジル、アルゼンチンといった国々が徐々に台頭。上昇に転じた資源価格を背景にロシアや中東諸国の存在感も増していた。無極化の時代から多極化の時代へ歴史は再び動き出そうとしていた。

次の時代を支配する超大国を狙うロシアと中国は、ユーラシア大陸とアフリカ大陸からアメリカの影響力を排除するという目的で手を組んだ。2018年。中国政府は日本、韓国の政府、メディアに圧力をかけ、在日、在韓米軍の撤退を是とする世論を作り出すことに成功。続く2019年には米ロ欧駐留軍協定の締結に成功した。

二度の悲惨な大戦を経験した人類は、再び大規模な戦火を交わすことのないようさまざまな国際システムを整えてきた。その成果かどうかは不明であるが、局地的な戦争、地域紛争、テロを除き、大国間の全面戦争といった事態はこのおよそ1世紀の間、交わされずにすんだ。しかし、まもなくそのことは過去形で語られるときが間近に迫ってきていた。

(*2)21世紀最大の「お前が言うな」だとおもいますよ。(筆者)
(*3)現在アメリカ経済は少なくとも5年分の需要を先取りしてしまっていると言われています。
このころからイラクやアフガニスタンなどからアメリカ軍は段階的に撤収し始めている設定です。


2020年1月7日
中国政府からの通告の数時間後、南米において戦火があがった。反米を国是とするベネズエラが、南米の大国ブラジルに侵攻。16日にはアルゼンチンがブラジルの背後を突いた。同日、パキスタンがインドへ侵攻。17日には中国がヒマラヤを超えインドへ侵攻した。


2020年1月18日
ワシントンDC ホワイトハウス
「欧州、南米、アジア。これらの事象はそれぞれ単独のものなのか?」
いつの時代もアメリカ合衆国大統領は孤独である。常に周辺に人間はいるが、決断を下すときは自身の責任において下すしかなく、周りにいる誰にもその責任を分かち合うことは出来ない。
ポーランドに侵攻したロシア軍は首都ワルシャワに迫っていた。欧州連合もNATOもロシアとの本格的対決を恐れるあまりにポーランドに軍を送ることはしなかった。
イーストウッド大統領はEU諸国に対しアメリカ軍の展開を打診したが「欧州にアメリカの介入は不要」との回答しかえられなかった。しかし、粘り強い交渉の結果ドイツの空軍基地にいくつかの飛行隊の配備を認めるとの譲歩を勝ち取れた。(*4)

(*4)
現実の世界と同様、同盟国でも勝手に領土に入って展開してしまうのは気が引ける行為なので
このような脳内補完をしています。ゲームシステム上の同盟国は序章で記載したとおりです。
今回、ヨーロッパに派遣した部隊はF-22制空戦闘機5個編隊、A-10攻撃機5個編隊のほか、
空中早期警戒機3個編隊、電子戦機2個編隊。給油機、輸送機も随伴しています。
いずれもドイツ南部の空軍基地に展開。
偵察機と電子戦機はポーランド上空の警戒任務についています。

アメリカ欧州派遣軍がアメリカを発した翌日、アジアで新たな火の手が上がった。

2020年1月19日
東京 旭日新聞社本社
「え?なに?もう一度よく言ってくれ」
「韓国軍が38度線を突破! いいかもう一度言うぞ。韓 国 軍 が38度線を突破だ! いい間違いじゃない。朝鮮中央放送の発表でもないぞ。韓国政府の発表だ。」

「韓国軍38度線を突破」そのニュースは世界中を驚かせた。北朝鮮は2018年に金正日が死亡した後、熾烈な後継者争いが行われ、新たな指導者が決まったものの、その後継者は誰なのか不明な状態が長らく続いていた。対する韓国は2008年の金融危機で大きな痛手を負ってはいたが依然東アジアの中堅国としての地位を維持していた。しかしながら経済危機は韓国国内を大きく消耗させた。年長者重視の文化を持つ同国では、経済危機のしわ寄せを若い世代に寄せることで社会の建て直しと安定化を図った。その結果発生した世代間格差は韓国社会を一つに纏めることを不可能にしていた。
内側にこもる不平不満を以下に解消するか、国民の不満が政府に向かうのをそらすにはどうしたらよいか。韓国の指導者たちが選んだのは、安易で簡単な、そして危険な方法であった。

ワシントンDC ホワイトハウス
「背後にいるのは中国とロシアでしょう。現に同盟国北朝鮮の危機に際して、中ロ両国とも支援を開始していません。おそらく両国は韓国政府に対して、北朝鮮に侵攻しても参戦しないとの約束をしているものを思われます。」
補佐官の説明に出席者がうなづく。国務長官が口を開く。
「しかし、同盟国であるわが国に一言もなく戦端を開くとは・・・。」
副大統領が続ける。
「仮に事前承認を求められたら断っていますよ。」
列席者から力のない笑いが漏れる。
一体全体この数日間は何が起きているのだ、この部屋にいるすべての、否全世界の人々の大半がそう感じているに違いない。「1夜にして世界が変わった」という現象は、人類史上多々あった。21世紀になってからだけでも、経済危機のきっかけとなったリーマン・ブラザーズ証券の破綻、9.15ショックやアメリカ中枢が攻撃されるという9.11テロなど、いくつかの大事件があった。しかし、今回は格が違う。
「失礼します!」
ノックもなく執務室に補佐官が入り込んでくる。よほどの重大事なのだろう。
「どうした?もう私たちは並大抵のことでは驚かないよ。」
血相を変えて飛び込んできた補佐官を気遣うように大統領が応じる。
「こ、国防総省からの緊急連絡です。CIAからも同様の報告が。キューバが、キューバ軍が臨戦態勢に入っています。」
大統領の手からコープーカップが滑り落ちた。

2020年1月20日
キューバ
キューバのカリスマであったフィデル・カストロ亡き後、国家指導者の座についたのはレアル・フェルナンデスという人物であった。フィデル・カストロは2008年に議長職を弟のラウス・カストロに譲ってはいたが、依然として国家の精神的支柱であった。2015年にフィデルがこの世を去ると、支えを失ったキューバに政治的空白が生じた。若干の混乱の後に彗星のごとく現れたレアル・フェルナンデス。しかし、彼の経歴についてアメリカを始めとする西側諸国はまったくといってよいほど情報を持っていなかった。就任式の映像が配信されるまで、アメリカの誰も彼の姿を見たことがなかったのである。まったく無名の青年がなぜキューバの国家元首に就任できたのか、その背景にはロシアと中国の支援があったと見られている。
ロシアのポーランド侵攻、中国のインド侵攻、アルゼンチン・ベネズエラのブラジル侵攻、そして第二次朝鮮戦争にアメリカを介入させない為にロシアが放った布石。それがキューバの対米宣戦布告であった。しかし、アメリカとキューバでは国力の違いは圧倒的であり、キューバの対米宣戦布告は自殺行為と誰の目にも明らかであった。しかし、ロシアの軍事顧問の助言を真に受けたレアル・フェルナンデス議長はロシアの求めるままに対米戦に突入していくことになる。
「キューバ軍臨戦態勢に入る」の知らせは直ちにホワイトハウスに届けられた。一見キューバとアメリカは海によって隔てられており、海上封鎖を行えば不必要な流血は避けられると思ってしまうが、実はアメリカ領とキューバ本国はある意味地続きであった。9・11テロの後、ブッシュ(息子)大統領がテロリスト容疑者を収監し、国際的に非難を浴びたグアンタナモ米軍基地。「敵国の中に堂々と居座るアメリカの飛び地」存在していたからである。グアンタナモ基地はブッシュ大統領の後を告いだオバマ大統領によって収容所としては閉鎖されたが、軍事基地としてはそのまま残された。2020年1月20日当時、グアンタナモ基地に駐留しているアメリカ軍は警備隊のほかは輸送機や輸送ヘリコプターで戦闘機能を有していなかった。
1月21日
アメリカ軍は全米各地に展開する特殊部隊をかき集め、空輸による支援作戦を実施。同時に非戦闘要員の退避を行った。

1月22日
キューバ グアンタナモ米軍基地
「―こちらグアンタナモ管制塔、着陸を許可する」
「了解」
南側の海上からグリーンベレーを載せた輸送機が着陸態勢に入ろうとしていた。
すでに基地には全米各地からかき集められた特殊部隊4個連体が展開し、防衛の準備に取り掛かっている。今回到着するのはカリフォルニアから駆けつけた猛者たちであった。
滑走路へと滑り込む輸送機。
その輸送機をめがけて一本の白い線が地上から延びていった。
白い線が輸送機に達したとき、空が赤く染まった。
それを合図に基地を包囲しているキューバ軍の砲列が一斉に火を噴いた。



キューバ軍は開戦と同時にグアンタナモ基地に総攻撃をかけるが、決死の覚悟で基地に篭るアメリカ軍特殊部隊を制圧することは出来なかった。また、海軍は開戦と同時にキューバ全島を包囲し、全ての港湾を封鎖。ロシアや中国、ヴェネズエラからの支援物資の搬入を拒否した。空軍はフロリダやテキサスから連日攻撃機を発進させ、キューバ上空の制空権を確保した。開戦から1ヵ月後の2月20日。全米各地から動員された陸軍部隊がフロリダ半島に集結した。機械化歩兵を中心(*4)とした総数200個連隊。輸送には大西洋側に配備されている輸送艦の半数が投入された。キューバ侵攻部隊はグアンタナモ基地を橋頭堡にキューバ南東部に上陸。キューバ軍を掃討しながら西進し、首都ハバナを目指した。

(*4)戦車をのっけると輸送船の容量がパンクするので、
攻撃ヘリ部隊や空軍の支援を頼りに戦車なしで侵攻しました。


ハバナ
レアル・フェルナンデス議長は焦っていた。何もかも計算と違う。ロシアの軍事顧問は開戦前に約束していた軍事支援を行うどころか、その姿を何処かにくらましてしまった。キューバとて、勝算の無いまま戦争に突入したわけではない。緒戦においてアメリカ軍の橋頭堡たるグアンタナモ基地さえ落としてしまえば、アメリカ軍はキューバに上陸する際には大規模な上陸作戦を実施しなければならず、上陸作戦というものは得てして血みどろの戦いになりやすい。アメリカの若者が星条旗に包まれ帰国する姿にアメリカの世論は耐えられない。こう着状態に持ち込み時間を稼ぐ。そう見越して緒戦のグアンタナモ基地攻略作戦にキューバ軍は全力を傾けた。
しかし、計算が狂った。グアンタナモに篭るアメリカ軍は強固でほころびを見せず、フロリダから来襲する攻撃機がキューバ軍の戦力を殺いでいった。そして、グアンタナモ沖合にアメリカの一大輸送艦隊が押し寄せてきたのであった。
キューバ軍は各地で敗退。2020年3月には首都ハバナがアメリカ軍に包囲された。


2020年3月20日
ハバナ
首都に篭るキューバ軍に対し、アメリカ軍は陸空から断続的な攻撃を実施した。首都以外のすべての地域を失っているキューバ軍にこれを押しとどめる力はなかった。3月20日昼。キューバ議長レアル・フェルナンデスがピストル自殺。キューバはアメリカ軍の降伏勧告を受け入れた。
イラク戦争・アフガニスタン戦争で占領政策の困難さを学んでいたアメリカ政府は、キューバの治安安定、民生安定に全力を尽くす。銃による統治ではなく、パンによる統治をスローガンにキューバ占領政策を実施した。幸運にも2009年の大恐慌以後、社会主義的政策を政府が取ることに対する抵抗感がアメリカ社会にさほど存在しなかったこともあげられる。2020年5月5日、アメリカ合衆国大統領アーノールド・イーストウッド大統領がアメリカ大統領として始めて、キューバ革命の指導者カストロ議長の墓に顕花を行う。
1959年のキューバ革命以来、約半世紀続いた反米の島の闘争の歴史はここに終わりを告げた。

キューバ戦争に動員されたアメリカ軍、陸軍210大隊 艦艇195隻(輸送艦除く)空軍53編隊(陸軍ヘリコプター部隊含む)


アメリカがキューバと戦火を交えているころ、世界各地でも新たな戦いが始まっていた。2月24日にイランがトルコに宣戦布告。シーア派イスラームの教えにもっとも忠実な神権国家であるイランに対し、ロシア、中国から大規模な軍事援助が行われた。矛盾するこの友好関係は中東に新たな火種を提供した。西欧諸国から見るとイスラーム的でありすぎるトルコはイスラームの教えに忠実な国々からみれば西欧的過ぎる国家であった。アメリカ軍の中東撤退によって、押さえを失った宗教的情熱は、聖戦、その一言に集約されていった。


3月1日にはインド軍がバングラデッシュに侵攻する。すでにインドは北の中国、西のパキスタンと戦火を交えているがついにバングラデッシュとも戦端を開いた。事の発端は中国軍の侵攻により分断されたバングラデッシュの背面にあるインド領を防衛する為にバングラデッシュを通過して援軍を向かわせようといたところ、バングラデッシュ政府の強い抵抗にあった。しかし、インド軍も引き下がることは出来ず、バングラデッシュに対し宣戦布告。南アジア情勢は混乱の中にあった。


2020年3月3日
日本政府は、韓国領内にいる日本人の安全確保と、日本海、黄海のシーレーン防衛の為、初の防衛出動命令が下される。日本国憲法第9条は国の交戦権は認めていないが自衛戦争は可であるとの解釈の下、北朝鮮に対し開戦を宣言。北九州にある自衛隊基地からF15戦闘機が韓国と北朝鮮の国境地帯に向け飛び立っていった。


2020年4月
アメリカ政府は混乱する世界情勢を受けて、航空部隊を極東に派遣する。キューバ戦争を受けてアメリカ国民の世論の風向きが変化してきたのを受けた結果である。内向きなアメリカから外向きなアメリカへ・・・。世論の風向きは少しであるが変化し始めていた。
極東派遣部隊はハワイを経由し、沖縄の那覇空港へ展開した。沖縄に展開したアメリカ軍を待っていたのは中国と沖縄県からの度重なる抗議であった。

注:嘉手納基地はアメリカ軍の撤退後、自衛隊の基地として運用されています。
そのため、今回の派遣ではかつての航空自衛隊と同様に,
那覇空港をアメリカ軍が間借りする形となっていますと脳内で修正してください。
現在  : 嘉手納:米軍 那覇:民間・自衛隊
2020の世界:嘉手納;自衛隊 那覇:民間・米軍(間借り)
ゲーム内では沖縄には空港が一つしかないですがそこはご愛嬌ということで。


2020年12月26日
朝鮮半島
第二次朝鮮戦争の帰趨はもはや誰の目に明らかであった。ピョンアンを制圧した韓国軍は北朝鮮残存兵力を蹴散らし、12月中旬には中朝国境に迫っていた。第一次朝鮮戦争と同様に、いつ人民解放軍が国境を越えてくるか、誰もが固唾を呑んで見守った。嘉手納から飛び立ったAWACSや偵察機も中国軍の動向を探った。だが中国軍は動かなかった。2020年12月26日、朝鮮民主主義人民共和国は大韓民国にたいして無条件降伏を受託。かくして朝鮮半島の統一が成し遂げられた。・・・・・・かに見えた。

2021年1月
2021年1月1日、ピョンアンにて大韓民国による朝鮮半島の統一が宣言された。韓国軍が現地の治安維持のため旧北朝鮮領の各地に展開し、占領政策が開始された。韓国産業界にとって北朝鮮の発展途上国並の生活水準の人々はのどから手が出るほどほしい労働力であった。戦乱に乗じて資源産出地を手に入れたい人々の欲望もあいまって、韓国のみならず、韓国と同盟関係を有する近隣諸国の企業も殺到した。
2021年1月29日。あらたな中韓国境となった黒竜江に布陣する中国軍から突如砲火が放たれる。「中国人民は、同胞である北朝鮮の人民を見捨てない」との宣言とともに、人民解放軍が韓国軍占領地になだれ込んだ。
「何をいまさら」と関係者の多くが感じたが、中国にとってはお荷物となった北朝鮮首脳を韓国軍に一掃してもらった後に、朝鮮半島を制圧したほうが効率が良いということなのだろう。韓国政府の参戦要請を対北朝鮮戦争をともに戦った日本政府は拒否。しかし、台湾とともにデフコン2を維持し中国軍に備えた。

2021年年末
アメリカの4年に一度のお祭、民主主義の祭典である大統領選挙が行われ、イーストウッド政権が2期目(任期2022~2025)に入ることが確定した。イーストウッド大統領は外交面においては、弱腰と非難されるものの、キューバ戦を戦いぬいた功績と、内政面での着実な政策が国民から、消極的ではあるが、一定の評価を得た結果であった。弱腰とされる外交面ではあるが、ロシア、中国との全面戦争を避ける一方で、ポーランド、韓国、トルコに旧式となったM60戦車やF16戦闘機などを譲渡し、戦線の維持を助けることに成功していた。しかし、諸外国のアメリカを見る目は依然として厳しく、ロシアや中国よりも危険視される状態となっており、アメリカ人のフラストレーションを高める結果となった。また、2020年にロシア、中国からアメリカ企業が強制退去させられたことへの反発やそれによる損害賠償問題も世論に暗い影を投げかけていた。

GCでは外交画面で予備役の部隊を他国に譲ることが出来ます。
輸送の手間も無く、そのまま相手国首都に配備されますが、
輸送中に3割程度のダメージを受ける仕様になっています。

2022年2月1日
ネパールでは一度は和平が成立した政府とネパール共産党との間の内戦が再発。インドと中国の間にある両国は中印戦争の影響を避けることができるはすも無く、ネパール政府はインドに支援を要請、反乱軍であるネパール共産党は中国に支援を求める。中国政府は直ちに人民解放軍をネパール全土に派遣し、16日にはネパール全土制圧した。

2023年
イーストウッド政権は失った中国、ロシア市場の穴を埋めるべく、内需拡大政策、国内整備計画を着実に進めていた。そんな中、2023年の12月、メキシコ国境にて緊張状態が発生する。メキシコ政府がロシア、中国と同盟を締結し、全軍にデフコン2を発令したのである。アメリカ政府は直ちにメキシコに隣接する州に非常事態を発令し警戒態勢に入った。国境沿いの町に部隊を展開し万一に備える一方で外交交渉による開戦回避の道を探ることになった。

隣国がデフコンレベルを上げてきて、部隊を国境に展開してくるとビビります。

2024年
外交交渉の結果、メキシコとの戦争は間一髪で回避された。アメリカ、メキシコ政府間で自由貿易協定(自由貿易&国民の往来自由化の協定 なんて訳すのがいいですかね)が締結された。それにあわせて、領土・領海・領空の相互解放が行われ緊張の緩和に努めることになった。しかしながら、この妥協は、メキシコからの不法移民に悩まされ続けるメキシコ隣接の各州から強い非難を浴びることになった。開戦は回避できたものの、メキシコ軍はデフコン2を維持したまま国境沿いに展開し続けた。


この後のあらすじ

2024/1/30
ロシア-韓国 開戦
2024/6/1
メキシコ政府と交渉の結果開戦回避
(自由貿易協定、労働力受入協定、航空機・艦船の領内通過協定締結成功)
2024/8/17
ロシア-グルジア 開戦
2024/8/31
グルジア降伏
2024/8/31
エストニア・ノルウェーデフコン2発令
2024/9/8
ロシア-ノルウェー 開戦
2024/9/9
リトアニア-ロシア 開戦
2024/11/29
フィンランド-ロシア 開戦

こんな感じになっています。
なぜかアメリカは国際社会の嫌われ者になっているらしく、
ロシア中国連合に組する国だけではなく、西側隣国との関係もはなはだ悪くなっています。
同盟国の日本などはロシアとも同盟を結んでしまう有様です。
ロシアに蹴散らされそうになっているポーランドを英仏独の西側欧州諸国は完全に見捨てているようですが、ここにきてフィンランドやバルト三国が参戦したことでポーランドにおけるミリタリーバランスが逆転して来ました。旧ソビエト勢力圏であるここらへんの地域にアメリカが介入していいものか悩み中です。第二次大戦の戦後処理と同様、バルト3国やポーランド、フィンランドを見捨てるべきか、世界大戦覚悟で米軍を派遣するか、考えどころです。
ここまでプレイ
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