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冥宮のプリズナー - (2008/06/02 (月) 20:24:49) の1つ前との変更点

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*&color(red){冥宮のプリズナー} 木原マサキの視界が白一色になった。 シュウとの会話が終わり、そしてその後に訪れたのは何故か眩しくもない光に包まれる不可思議な事態。 今更、何が起ころうと慌てることはしない。 認めるのは癪だが、この世界には自分に理解できぬほどのテクノロジーが見本市のように無数に存在する。 自分に何かできることがあるのならともかく、そうでないのなら慌てるだけ無駄というものだ。 それよりも、そこから一つでも多くの情報を収集するために、観察に集中するべきである。 己の感情をコントロールして、心を平静に保つ。 これが現在の自分にできることだ。 光の先に何かが見えたのはその時だった。 光に包まれえる前の光景とは、明らかに違う。 どこへ飛ばされるのか。 これはシュウの意思か、それとも完全にランダムなのか。 だが空間転移を明確な座標も設定せずに行うなど、無謀どころの話ではない。 シュウは自分にユーゼスを滅ぼせといった。 ならばその為に「あそこ」へ送り届けようとしているのか。 もしかして何か他のものの意思が介在しているのか――今はこの可能性について考えたところでどうしようもない、一時除外だ。 そこまで考えたところで白い光の世界は終わる。 そしてマサキの視界が認識した新しい世界はグランゾンが楽に入るほどの、数十kmはあろうかという巨大なドーム状の空間だった。 ◆  ◆  ◆ 「……何だ、ここは」 この殺し合いの為に呼び出されてからというもの、あのフィールドの中で森や草原、都市部や軍事基地に山岳地帯など色々な場所を見てきた。 だが、この光景は他と比べて明らかに異質だ。 木の一本一本まで規則的に並んだ、ゲームか何かのような現実味に乏しい空間ではない。 この施設には明らかに意味がある。 誰かが何かの目的のために造ったという明確な意図が見える。 ドームの壁面に無数の光の管がうっすらと映っている。皮膚の上から見える太い静脈のようだ。 それが正に血液を循環させるように、どこからかやってきた光の流れをどこかへと運んでいく。 「高エネルギーに反応するレーダーがまるで役に立たんか」 レーダーは全て光で塗りつぶされている。 つまりこのあたりの全てに莫大なエネルギーが集中しており、グランゾンは今、そのど真ん中にいるのだ。 そしてドームの中心に位置する、いかにも重要といった印象の巨大な装置が、今マサキの目の前にある。 それはドームの天井まで達する巨大な一本の柱だった。 その柱を取り囲むようにして、ボックス型の装置がドームの床部分に隙間無く林立している。 よく見るとそのボックスの一つ一つは透明なケースになっていた。 ドームの壁面が発するぼんやりとした光によって、その中身の影がうっすらと見える。 マサキはグランゾンのカメラをクローズアップさせて確認をとろうとするが、計器類のダメージはここにも及んでいるようだ。 ノイズがひどく、映りも悪いなど、どうもうまくいかない。 やむを得ず機体を降下させて近づき、改めてカメラを向ける。 「…………人間だな。生体ユニットというわけか」 ケースの中に見えるのは人間の脳髄そのもの。 そこから下方に向かって垂れ下がる、脳幹、延髄、脊椎、そして主要な神経網。 そしてそれらを繋ぎ、外部へと伸びていく無数のコード。 機械につながれ、おそらく己の意思など存在しないであろう哀れな生体ユニットだ。 それは他の装置も同様で、見渡す限りのケースの中身がそうなのだろう。 普通の人間ならば吐き気を催すほどの嫌悪感を感じるだろうが、マサキは最初から自分以外の人間をクズと考えている。 だからこのコードに繋がれた脳みそ自体については、何も特に思うことは無かった。 それよりもこれらの装置が意味するものについて思考するべきだと結論を出す。 ここがどこなのか――おそらくここはフィールドの外だ。 だがマサキ達が殺し合いのさなか、その頭上で威容を誇っていた巨大戦艦とも違う気がする。 あの戦艦の動力炉だと考えれば、このエネルギーも納得がいく。 だが、この大空洞は戦艦というものの構造としては少しそぐわない。 この生体ユニットもただの動力炉としては不自然だ。 近づいて初めて確認できたが、エネルギー反応は壁と柱のみであり、この無数のボックスからは探知できない。 無論それはマサキの常識であり、これを造った者達にはマサキの文明とは違う常識があるのかもしれないが。 ――まあいい。最終結論は保留だ。 次、ユーゼスがこの装置を作ったと仮定すれば、ここにある桁外れのエネルギーを一体、何のために使っているのか。 当然、この殺し合いを進行する為に必要なことに使っているのだろう。 あそこまでの手間と労力を注いでおいて、その他のことに使う理由が見当たらない。 そしてそう考えれば、それは空間閉鎖か、もしくは自分達の念を集める為の――いや両方か。 そのときグランゾンのレーダーが反応を示した。 あまりに巨大なエネルギーがカモフラージュになっていて気づけなかったのだ。 周りを見ると、ユーゼスと対決したときに見かけた無数の機械虫――メギロート――がマサキとグランゾンを取り囲んでいた。 人工知能による自動警備ロボットである。 飛びついてきた虫の一匹をかわし、マサキは宙空へとグランゾンを上昇させる。 それを追って群がってくる数十体のメギロート。 だがマサキはそれをかわそうとも逃げようともしない。 「ワームスマッシャー!!」 ただ一声。 グランゾンの胸部装甲から発射口を展開。 ワームホールを展開し、そこに無数の光弾を発射。 そして襲い来るメギロートのその全ての眼前の空間に暗い穴が開く。 次の瞬間そこから飛び出した光弾が、それぞれのメギロート全てを正確に撃ち抜いていた。 その全てを終えるのに僅か数秒。 「あの虫どもの形状から察するにやはりユーゼス……だな」 やはりここにグランゾンを転移させたのは、ユーゼスを滅ぼすためにシュウ・シラカワが仕向けた結果か。 奴の言うなりになるのは気に食わないが、所詮死人だ。 ならばさっさと望みをかなえて、あの世に消えてもらおう。 その代わりに、グランゾンは頂くつもりだが。 さっきの攻撃で試してみたが、マサキは徐々にカバラシステムを使いこなせてきていると実感していた。 使い方にくせはあるものの、このマシンは自分が作り上げたゼオライマーに匹敵するスペックを有している。 この冥王の新たな機体として及第点の評価は与えてもよいと言えるだろう。 「む……?」 目の前の巨大な柱、その天井近くの部分に窓のようなものが見える。 ここに転移したばかりの時の初見では、グランゾンの位置が柱に近すぎて見つけられなかった。 やや離れて見て、それがわかったというわけだ。 早速、その窓に向けて機体を上昇させる。 やや暗い緑色の光を発するその窓を覗き込んだマサキが見つけたのは、他の装置と同じくそこに標本のように埋め込まれた人間だった。 だがその体は脳髄と神経のみではなく、一目で人間とわかる人間の女性の姿があった。 後頭部から脊髄にかけて繋がれた無数のコードがまるで髪の毛のように思えてしまう。 いや、もっとふさわしいものに例えるとするなら――、 まるで寄生虫のように見えるコード類にその身体を内側から食い破られた虫、といったところか。 おそらくこれも生体ユニットのうちのひとつなのだろう。 だが、このような場所に設置されていると言う事は、この女は特殊な役割を与えられているに違いない。 ならば、そもそも何のためにこんな真似をしているのか。 『魔力』、もしくは『念動力』のエネルギーをこの生体ユニットから搾り取って利用する為か。 マサキはこの装置をじっくり吟味するべく、目の前の女を中心にしてあちこちに視線を走らせる。 その時だった。 「お前は…………」 女の声がした。 マサキは反射的に目の前の女に視線を向けて、その瞬間に目が合った。 その女の目の奥は真っ暗で、何もうつさない奈落のような色をして、吸い込まれそうなくらいに何も無かった。 「侵入者……排除……ダイダルゲート及び閉鎖空間の制御……一時停止……ODEシステム……一時停止……」 感情など欠片もこもっていない無機質な声が響くと同時に隔壁が降りて、マサキの眼前にあった「窓」が閉じられる。 すでに下方では、こちらに無数の無人機が向かってきているのが確認できた。 だがこの冥王を止めるには役者不足もいいところだ。 先刻のように、いや今度は秒とかからず叩き落してくれる。 「ふん、今更そんなもので止められるとは――――」 「……思ってはいない。だから私が相手をしよう」 ドームの端に見える巨大な隔壁が地響きとともに開いていく。 その向こう、薄暗闇の中から巨大なロボットのシルエットが徐々に姿を現す。 いつのまにか無人機の動きは止まっていたが、そのようなことはすでにマサキの眼中の外であった。 黒い炎を宿したその眼で、先程の声を発した存在を、そのまま燃やし尽さんばかりに睨みつける。 「なぜ、お前がここにいるのか……まあそれはどうでもいいことだ……いずれにせよ障害は排除する」 「…………ユーゼス……ゴッツォッ!」 木原マサキを生み出した男。 それゆえに必ず殺すと誓った男。 己のエゴの為に全ての命を躊躇いなく踏みにじる、自分ととてもよく似た男。 ユーゼス・ゴッツォと木原マサキは、今ここで相対することとなった。 【木原マサキ 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)  機体状況:内部機器類、(レーダーやバリアなど)に加え通信機も異常。照準のズレ修正済み(精密射撃に僅かな支障)。       右腕に損傷、左足の動きが悪い。EN半分ほど消費(徐々に回復中)。グラビトロンカノン残弾1/2       シュウの魂とカバラシステムを併用することで一度だけネオグランゾンの力を使うことができます。  パイロット状態:疲労、睡眠不足 、胸部と左腕打撲 、右腕出血(操縦には支障なし)  現在位置:D-6 アースクレイドル内  第一行動方針:ユーゼスを殺す。だが状況次第で一時撤退もあり。  最終行動方針:ユーゼスを殺す  備考:グランゾンのブラックボックスを解析(特異点についてはまだ把握していません)。     首輪を取り外しました。     首輪3つ保有。首輪100%解析済み。 クォヴレーの失われた記憶に興味を抱いています。     機体と首輪のGPS機能が念動力によって作動していると知りました     ユーゼスの目的を知りました。】 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:ヴァルシオン(CPS強化)  パイロット状況:良好  機体状況:良好  現在位置:D-6 アースクレイドル内  第一行動方針:マサキの排除  第二行動方針:アースクレイドル内で、ゼストの調整  最終行動方針:ゼストの完成】 ※アースクレイドルの中心部にダイダルゲートの制御システム(ODEシステム)が設置されています。 ※ODEシステムの中心制御ユニットが誰かは次の書き手さんにお任せ。 ※迎撃システムを作動させた為、空間閉鎖及び負の情念収集は一時停止状態です。 【三日目 9:00】
*&color(red){冥宮のプリズナー} 木原マサキの視界が白一色になった。 シュウとの会話が終わり、そしてその後に訪れたのは何故か眩しくもない光に包まれる不可思議な事態。 今更、何が起ころうと慌てることはしない。 認めるのは癪だが、この世界には自分に理解できぬほどのテクノロジーが見本市のように無数に存在する。 自分に何かできることがあるのならともかく、そうでないのなら慌てるだけ無駄というものだ。 それよりも、そこから一つでも多くの情報を収集するために、観察に集中するべきである。 己の感情をコントロールして、心を平静に保つ。 これが現在の自分にできることだ。 光の先に何かが見えたのはその時だった。 光に包まれえる前の光景とは、明らかに違う。 どこへ飛ばされるのか。 これはシュウの意思か、それとも完全にランダムなのか。 だが空間転移を明確な座標も設定せずに行うなど、無謀どころの話ではない。 シュウは自分にユーゼスを滅ぼせといった。 ならばその為に「あそこ」へ送り届けようとしているのか。 もしかして何か他のものの意思が介在しているのか――今はこの可能性について考えたところでどうしようもない、一時除外だ。 そこまで考えたところで白い光の世界は終わる。 そしてマサキの視界が認識した新しい世界はグランゾンが楽に入るほどの、数十kmはあろうかという巨大なドーム状の空間だった。 ◆  ◆  ◆ 「……何だ、ここは」 この殺し合いの為に呼び出されてからというもの、あのフィールドの中で森や草原、都市部や軍事基地に山岳地帯など色々な場所を見てきた。 だが、この光景は他と比べて明らかに異質だ。 木の一本一本まで規則的に並んだ、ゲームか何かのような現実味に乏しい空間ではない。 この施設には明らかに意味がある。 誰かが何かの目的のために造ったという明確な意図が見える。 ドームの壁面に無数の光の管がうっすらと映っている。皮膚の上から見える太い静脈のようだ。 それが正に血液を循環させるように、どこからかやってきた光の流れをどこかへと運んでいく。 「高エネルギーに反応するレーダーがまるで役に立たんか」 レーダーは全て光で塗りつぶされている。 つまりこのあたりの全てに莫大なエネルギーが集中しており、グランゾンは今、そのど真ん中にいるのだ。 そしてドームの中心に位置する、いかにも重要といった印象の巨大な装置が、今マサキの目の前にある。 それはドームの天井まで達する巨大な一本の柱だった。 その柱を取り囲むようにして、ボックス型の装置がドームの床部分に隙間無く林立している。 よく見るとそのボックスの一つ一つは透明なケースになっていた。 ドームの壁面が発するぼんやりとした光によって、その中身の影がうっすらと見える。 マサキはグランゾンのカメラをクローズアップさせて確認をとろうとするが、計器類のダメージはここにも及んでいるようだ。 ノイズがひどく、映りも悪いなど、どうもうまくいかない。 やむを得ず機体を降下させて近づき、改めてカメラを向ける。 「…………人間だな。生体ユニットというわけか」 ケースの中に見えるのは人間の脳髄そのもの。 そこから下方に向かって垂れ下がる、脳幹、延髄、脊椎、そして主要な神経網。 そしてそれらを繋ぎ、外部へと伸びていく無数のコード。 機械につながれ、おそらく己の意思など存在しないであろう哀れな生体ユニットだ。 それは他の装置も同様で、見渡す限りのケースの中身がそうなのだろう。 普通の人間ならば吐き気を催すほどの嫌悪感を感じるだろうが、マサキは最初から自分以外の人間をクズと考えている。 だからこのコードに繋がれた脳みそ自体については、何も特に思うことは無かった。 それよりもこれらの装置が意味するものについて思考するべきだと結論を出す。 ここがどこなのか――おそらくここはフィールドの外だ。 だがマサキ達が殺し合いのさなか、その頭上で威容を誇っていた巨大戦艦とも違う気がする。 あの戦艦の動力炉だと考えれば、このエネルギーも納得がいく。 だが、この大空洞は戦艦というものの構造としては少しそぐわない。 この生体ユニットもただの動力炉としては不自然だ。 近づいて初めて確認できたが、エネルギー反応は壁と柱のみであり、この無数のボックスからは探知できない。 無論それはマサキの常識であり、これを造った者達にはマサキの文明とは違う常識があるのかもしれないが。 ――まあいい。最終結論は保留だ。 次、ユーゼスがこの装置を作ったと仮定すれば、ここにある桁外れのエネルギーを一体、何のために使っているのか。 当然、この殺し合いを進行する為に必要なことに使っているのだろう。 あそこまでの手間と労力を注いでおいて、その他のことに使う理由が見当たらない。 そしてそう考えれば、それは空間閉鎖か、もしくは自分達の念を集める為の――いや両方か。 そのときグランゾンのレーダーが反応を示した。 あまりに巨大なエネルギーがカモフラージュになっていて気づけなかったのだ。 周りを見ると、ユーゼスと対決したときに見かけた無数の機械虫――メギロート――がマサキとグランゾンを取り囲んでいた。 人工知能による自動警備ロボットである。 飛びついてきた虫の一匹をかわし、マサキは宙空へとグランゾンを上昇させる。 それを追って群がってくる数十体のメギロート。 だがマサキはそれをかわそうとも逃げようともしない。 「ワームスマッシャー!!」 ただ一声。 グランゾンの胸部装甲から発射口を展開。 ワームホールを展開し、そこに無数の光弾を発射。 そして襲い来るメギロートのその全ての眼前の空間に暗い穴が開く。 次の瞬間そこから飛び出した光弾が、それぞれのメギロート全てを正確に撃ち抜いていた。 その全てを終えるのに僅か数秒。 「あの虫どもの形状から察するにやはりユーゼス……だな」 やはりここにグランゾンを転移させたのは、ユーゼスを滅ぼすためにシュウ・シラカワが仕向けた結果か。 奴の言うなりになるのは気に食わないが、所詮死人だ。 ならばさっさと望みをかなえて、あの世に消えてもらおう。 その代わりに、グランゾンは頂くつもりだが。 さっきの攻撃で試してみたが、マサキは徐々にカバラシステムを使いこなせてきていると実感していた。 使い方にくせはあるものの、このマシンは自分が作り上げたゼオライマーに匹敵するスペックを有している。 この冥王の新たな機体として及第点の評価は与えてもよいと言えるだろう。 「む……?」 目の前の巨大な柱、その天井近くの部分に窓のようなものが見える。 ここに転移したばかりの時の初見では、グランゾンの位置が柱に近すぎて見つけられなかった。 やや離れて見て、それがわかったというわけだ。 早速、その窓に向けて機体を上昇させる。 やや暗い緑色の光を発するその窓を覗き込んだマサキが見つけたのは、他の装置と同じくそこに標本のように埋め込まれた人間だった。 だがその体は脳髄と神経のみではなく、一目で人間とわかる人間の女性の姿があった。 後頭部から脊髄にかけて繋がれた無数のコードがまるで髪の毛のように思えてしまう。 いや、もっとふさわしいものに例えるとするなら――、 まるで寄生虫のように見えるコード類にその身体を内側から食い破られた虫、といったところか。 おそらくこれも生体ユニットのうちのひとつなのだろう。 だが、このような場所に設置されていると言う事は、この女は特殊な役割を与えられているに違いない。 ならば、そもそも何のためにこんな真似をしているのか。 『魔力』、もしくは『念動力』のエネルギーをこの生体ユニットから搾り取って利用する為か。 マサキはこの装置をじっくり吟味するべく、目の前の女を中心にしてあちこちに視線を走らせる。 その時だった。 「お前は…………」 女の声がした。 マサキは反射的に目の前の女に視線を向けて、その瞬間に目が合った。 その女の目の奥は真っ暗で、何もうつさない奈落のような色をして、吸い込まれそうなくらいに何も無かった。 「侵入者……排除……ダイダルゲート及び閉鎖空間の制御……一時停止……ODEシステム……一時停止……」 感情など欠片もこもっていない無機質な声が響くと同時に隔壁が降りて、マサキの眼前にあった「窓」が閉じられる。 すでに下方では、こちらに無数の無人機が向かってきているのが確認できた。 だがこの冥王を止めるには役者不足もいいところだ。 先刻のように、いや今度は秒とかからず叩き落してくれる。 「ふん、今更そんなもので止められるとは――――」 「……思ってはいない。だから私が相手をしよう」 ドームの端に見える巨大な隔壁が地響きとともに開いていく。 その向こう、薄暗闇の中から巨大なロボットのシルエットが徐々に姿を現す。 いつのまにか無人機の動きは止まっていたが、そのようなことはすでにマサキの眼中の外であった。 黒い炎を宿したその眼で、先程の声を発した存在を、そのまま燃やし尽さんばかりに睨みつける。 「なぜ、お前がここにいるのか……まあそれはどうでもいいことだ……いずれにせよ障害は排除する」 「…………ユーゼス……ゴッツォッ!」 木原マサキを生み出した男。 それゆえに必ず殺すと誓った男。 己のエゴの為に全ての命を躊躇いなく踏みにじる、自分ととてもよく似た男。 ユーゼス・ゴッツォと木原マサキは、今ここで相対することとなった。 【木原マサキ 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)  機体状況:内部機器類、(レーダーやバリアなど)に加え通信機も異常。照準のズレ修正済み(精密射撃に僅かな支障)。       右腕に損傷、左足の動きが悪い。EN半分ほど消費(徐々に回復中)。グラビトロンカノン残弾1/2       シュウの魂とカバラシステムを併用することで一度だけネオグランゾンの力を使うことができます。  パイロット状態:疲労、睡眠不足 、胸部と左腕打撲 、右腕出血(操縦には支障なし)  現在位置:D-6 アースクレイドル内  第一行動方針:ユーゼスを殺す。だが状況次第で一時撤退もあり。  最終行動方針:ユーゼスを殺す  備考:グランゾンのブラックボックスを解析(特異点についてはまだ把握していません)。     首輪を取り外しました。     首輪3つ保有。首輪100%解析済み。 クォヴレーの失われた記憶に興味を抱いています。     機体と首輪のGPS機能が念動力によって作動していると知りました     ユーゼスの目的を知りました。】 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:ヴァルシオン(CPS強化)  パイロット状況:良好  機体状況:良好  現在位置:D-6 アースクレイドル内  第一行動方針:マサキの排除  第二行動方針:アースクレイドル内で、ゼストの調整  最終行動方針:ゼストの完成】 ※アースクレイドルの中心部にダイダルゲートの制御システム(ODEシステム)が設置されています。 ※ODEシステムの中心制御ユニットが誰かは次の書き手さんにお任せ。 ※迎撃システムを作動させた為、空間閉鎖及び負の情念収集は一時停止状態です。 【三日目 9:00】 ---- | 前回| 第253話「冥宮のプリズナー」| 次回| | 第252話「[[命あるもの、命なきもの>命あるもの、命なきもの(1)]]」| 投下順| 第254話「[[それぞれの『意思』>それぞれの『意思』(1)]]」| | 第251話「[[闘鬼が呼んだか、蛇神が呼んだか]]」| 時系列順| 第252話「[[命あるもの、命なきもの>命あるもの、命なきもの(1)]]」| | 前回| 登場人物追跡| 次回| | 第249話「[[マサキとシュウ]]」| 木原マサキ| 第255話「[[辿り着けばすでにそこは終わりの始まり]]」| | 第252話「[[命あるもの、命なきもの>命あるもの、命なきもの(1)]]」| ユーゼス・ゴッツォ| 第255話「[[辿り着けばすでにそこは終わりの始まり]]」| ----

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