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銃の系譜 - (2007/06/05 (火) 13:48:50) の編集履歴(バックアップ)
銃の系譜
「……クォヴレー・ゴードン、か」
つい数時間前に知り合った男の名前を呟いて、イングラムは目を伏せる。
何故だろうか。あの男と出会ってから、妙に気持ちが落ち着かない。
会った事など無いはずだ。少なくとも、クォヴレーの名前に聞き覚えは無い。
だが、何故なのか。あの男に、自分は既知感を覚えていた。
クォヴレー・ゴードンと言う存在を、自分は確かに知っていた。
それは、何故か?
……分からない。だが、これだけは断言出来る。
この既知感は、決して自分の勘違いや思い込みなどではない。
「ユーゼス……奴は知っているのか? クォヴレー・ゴードンが、俺にとって何者なのか……」
昔のよしみだ、君の為にわざわざ用意した人物もいる――
ユーゼスの言葉を思い出す。
今まで自分は、それをリュウセイの事だと思っていた。だが、それは間違っていたのかもしれない。
いや、リュウセイもまた自分にとって重い存在である事は、疑いようの無い事実であるのだ。
しかし、クォヴレーの存在は、そのリュウセイと肩を並べるほどに……いや、もしかしたらそれ以上に、イングラムの中で大きな物となっていた。
これまで一度も、会った事など無いはずなのに。
「そういえば……奴も、俺には何かを感じているようだったな……」
思い出す。自分の名前を訊ねてきた、あの必死な声と表情を。あの男もまた、自分に何かを感じていたのだ。
――偶然ではない。自分達の間には、何か深い因縁がある。
『さあ、お待ちかねの第二回放送だ……』
「ッ…………!」
そうした事を考えていると、いつのまにか放送の時間が訪れていた。
聞き覚えのある、不快な声。それに嫌悪を覚えながらも、聞き逃すまいと放送に耳を傾ける。
リュウセイ・ダテ、セレーナ・レシタール、そして……クォヴレー・ゴードン。
この殺し合いの中で出会った、生き延びてほしい人間たち。その名前が呼ばれなかった事に、イングラムは安堵する。
だが、忘れてはならない。生き延びた者が居る影で、命を落とした者が居る事を。
そして、その命を奪った元凶は、ユーゼス・ゴッツォだと言う事を。
「……させる、ものか」
激しい怒りを瞳に宿し、イングラムは虚空を睨む。
ユーゼス・ゴッツォが何を企みこの殺し合いを始めたのか、それは自分にも分からない。
だが、奴が何を企んでいようと、それはどうでもいい事だ。
奴が居て、自分が居る。ならば、為すべき事は決まっている。
ユーゼス・ゴッツォの企みを打ち破り、そして今度こそ完全な死を与えてやる。
「貴様を倒すのは、俺の役目だ……」
そう呟いて、イングラムは拳を握った。
【イングラム・プリスケン 搭乗機体:メガデウス(ビッグオー)(登場作品 THE BIG・O)
パイロット状態:健康
機体状態:装甲に無数の傷。左腕装甲を損傷、反応がやや鈍っている。
額から頬にかけて右目を横断する傷。右目からのアーク・ライン発射不可
現在位置:D-8
第1行動方針:空間操作装置の発見及び破壊
第2行動方針:出来うる限り争いを止める
第3行動方針:クォヴレー・ゴードンと再び会って、自分との因縁を解き明かす
最終行動方針:ユーゼスを殺す】
【時刻:二日目:6:15】