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独裁者はその尻尾を隠し - (2007/05/18 (金) 14:08:23) の編集履歴(バックアップ)


独裁者はその尻尾を隠し


要は勝てば良い。ギレンはそう思った。
その相手が同じ参加者か、それともユーゼスという仮面の男かは今のところ決めかねているが。
「(どちらにしても、元の世界に戻りジオン公国を再興しなければならん)」
自分を殺したキシリアだけでは、あの戦局を乗り切れないとギレンは読んでいた。
ジオンは恐らく地球連邦に敗北しただろう、と。
残党をまとめ上げ、機を見て再び戦うためにも、ギレンはなんとしても生き残るつもりでいた。

支給された機体…RX-7ナウシカの操縦方法は難解だった。
「マシーンの操縦は6つのバランサーと共に手足のフィードバックを気をつけていればOK…か」
しかしギレンの才能は、
「む、モニターの操作は見て、考える…と」
難しいマシーン兵器の操縦法を、
「レバーを前に押しながら、レバーにある複数のボタンを順番に押す、だと」
短時間で飲み込んでいった。

「固定武装はトライアングルパンチ。手持ち武器としてプラズマビアンキ…格闘武器のみか」
1時間後、ギレンは背部に装備されたフライトユニットでの低空飛行も終え、基本操縦をほぼマスターしていた。
今すぐ敵に襲われたとしても、逃げ延びる程度はできるだろう。
「(だが、逃げていてはどうにもならん。ユーゼスという男を倒すか、あるいはゲームを勝ち残るか…さて、どうする)」
その時、レーダーから警告音が鳴った。
何物かが接近している。
ギレンはプラズマビアンキを持つと、敵が来る方向を向いて構えた。

森の中から、その巨大なロボットは現れた。
無骨なデザインに、巨大な鉄球を装備している。
こちらに気づいたらしく、大きな音を立てて排気するとそのロボットは足を止めた。
『おい、そこのアンタ。イキマというヤツに会わなかったか?』
「…話し合うつもりなら、まず姿を見せるのだな。ロボットに乗ったままで信用してもらおうなど、虫のいい話だ」
ギレンはコックピットを開けながらそう言った。
相手は少し黙っていたが、やがてコックピットを開けて現われた。
「確かにあんたの言うとおりだぜ。俺は司馬宙だ。アンタの名前も聞かせてくれ」
「ギレン・ザビだ。生憎だが、君が初めて会った人間だよ」
「そうか…じゃあ失礼させてもらうぜ。俺はこんな馬鹿げたゲームに乗るつもりはないが、イキマだけは倒さなけりゃならないんでな」
「…待て、話がある」
ギレンは立ち去ろうとする宙を呼び止める。
「そのイキマを倒したとして、その後はどうするつもりなのだ?」
「なに?」
鉄球ロボに乗ろうとしていた宙は、ギレンの言葉に振り返る。
そして、しばらく考えていた様子だったが、やがて口を開いた。
「そうだ…ユーゼスとかいう野郎を倒せば元の世界に戻れるのか…? もしそうなら、人を集めてどうにかすれば…」
なにやら呟いている宙を見て、ギレンは考える。
ゲームに勝ち残るにも、ユーゼスを倒すにも、どちらにしても一人では難しい。
ならば、この司馬宙という男をどうにか言いくるめて、自分と行動を共にさせるのが得策ではないか。
その後のことはその時考えればよい。
邪魔になれば…隙を見つけて倒せば良い。
「司馬宙といったな…私と行動を共にしないか?」
「…なに?アンタと一緒にだって?俺はイキマのやつを…」
「そのイキマを倒すのを手伝っても良いと言っている」
相手に有利な条件を提示すれば、とりあえずは興味を持ってくれる。
そして敵意のないことを示せば、仲間に引き込むことは簡単だ。
「『ゲームに乗るつもりがない』という君がどうしても倒さねばならないと言うからには、よほどの理由があるのだろう。
 私はユーゼスとかいう男に踊らされるつもりは毛頭ないし、できれば生きて帰りたいと思っている。
 そのためには君という仲間が必要だ。仲間のためになら、多少の回り道は望む所だ」
我ながら嘘臭いセリフだと思ったが、仲間を手駒という単語に置き換えれば話の内容に嘘はなかった。
「……わかったぜ。アンタの力を借りさせてもらうよ。よろしくな!」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」

【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX-7ナウシカ(フライトユニット装備) (トップをねらえ!) 
 現在位置:C-6の森の側
 第一行動方針:司馬宙と行動をともにしながら手駒を集める
 第二行動方針:ゲームに乗るか、主催者を倒すか考え中
 最終行動方針:まだ決めてない】

【司馬宙 搭乗機体:ベミドバン (第3次スーパーロボット大戦α) 
 現在位置:C-6の森の側
 第一行動方針:イキマを倒す
 第二行動方針:ギレンと行動を共にする
 最終行動方針:主催者打倒】