*&color(red){水面下の情景Ⅳ} 「クク……面白くなってきたな……」 憎悪、絶望、悔恨、殺意。 悪意渦巻く大地を見下ろし、ユーゼス・ゴッツォは悦に浸る。 首輪に仕掛けた盗聴機能、ヘルモーズのモニター、エルマから送られてくる情報、 ラミア・ラヴレスによる報告、リミピッドチャンネル受信装置、etc。 複数の手段を通じて入って来る情報により、ユーゼスはゲームの進行状況をほぼ正確に把握していた。 自分に反抗を企てる者が存在する事も、首輪の解析が現在行われている事も、全て彼は承知していた。 そして全てを知った上で、彼は全てを見逃していた。 ……いや、彼は期待していたのだ。この絶望的な状況を跳ね除けて、自らの前に強者達が立ちはだかる事を。 普通に考えるのならば、参加者達の反逆など認めるわけにはいかないはずだ。 だが、彼は違っていた。 このバトルロワイアルが参加者達によって破壊される事を、むしろ彼は待ち望んでいたのだ。 そう……“超神”の力を振るうに相応しい、強大な敵の存在を……! 「……残念だよ、イングラム。きっと君ならば、また私の前に立ちはだかってくれると思っていたのだがな」 ほんの僅かな悲しみが、仮面の下に浮かび上がる。 だが、それも刹那の事だ。次の瞬間には冷徹の空気を纏い直し、ユーゼス・ゴッツォは低く笑う。 そうだ。今の自分にとって、イングラム・プリスケンの存在など所詮は路傍に転がる石のようなものだ。 このバトルロワイアルを生き抜いた戦士達。きっと彼等は強大な力をもって、自分の前に立ちはだかってくれる事だろう。 そして偉大なる我が力を、更なる高次へと押し上げてくれる事だろう。 それを思うと――なんとも、愉快で堪らない! 「せいぜい踊るがいい、哀れな生贄の羊たちよ。所詮、貴様等に逃げ場など無いのだからな……!」 我が身の絶対を疑う事無く、仮面の男は独り佇む。 そう、我こそは“人を超えし者”――ウルトラマンなのだ!! 【二日目 18:30】 ---- | 前回| 第196話「水面下の情景Ⅳ」| 次回| | 第195話「[[反乱軍]]」| 投下順| 第197話「[[復讐の闇]]」| | 第197話「[[復讐の闇]]」| 時系列順| 第200話「[[謀-Project-]]」| | 前回| 登場人物追跡| 次回| | 第192話「[[放送(第三回)]]」| ユーゼス・ゴッツォ| 第200話「[[謀-Project-]]」| ----