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水面下の情景Ⅳ - (2008/06/02 (月) 03:39:36) のソース

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「クク……面白くなってきたな……」 
 憎悪、絶望、悔恨、殺意。 
 悪意渦巻く大地を見下ろし、ユーゼス・ゴッツォは悦に浸る。 
 首輪に仕掛けた盗聴機能、ヘルモーズのモニター、エルマから送られてくる情報、
 ラミア・ラヴレスによる報告、リミピッドチャンネル受信装置、etc。 
 複数の手段を通じて入って来る情報により、ユーゼスはゲームの進行状況をほぼ正確に把握していた。 
 自分に反抗を企てる者が存在する事も、首輪の解析が現在行われている事も、全て彼は承知していた。 
 そして全てを知った上で、彼は全てを見逃していた。 
 ……いや、彼は期待していたのだ。この絶望的な状況を跳ね除けて、自らの前に強者達が立ちはだかる事を。 
 普通に考えるのならば、参加者達の反逆など認めるわけにはいかないはずだ。 
 だが、彼は違っていた。 
 このバトルロワイアルが参加者達によって破壊される事を、むしろ彼は待ち望んでいたのだ。 
 そう……“超神”の力を振るうに相応しい、強大な敵の存在を……! 

「……残念だよ、イングラム。きっと君ならば、また私の前に立ちはだかってくれると思っていたのだがな」 
 ほんの僅かな悲しみが、仮面の下に浮かび上がる。 
 だが、それも刹那の事だ。次の瞬間には冷徹の空気を纏い直し、ユーゼス・ゴッツォは低く笑う。 
 そうだ。今の自分にとって、イングラム・プリスケンの存在など所詮は路傍に転がる石のようなものだ。 
 このバトルロワイアルを生き抜いた戦士達。きっと彼等は強大な力をもって、自分の前に立ちはだかってくれる事だろう。 
 そして偉大なる我が力を、更なる高次へと押し上げてくれる事だろう。 
 それを思うと――なんとも、愉快で堪らない! 

「せいぜい踊るがいい、哀れな生贄の羊たちよ。所詮、貴様等に逃げ場など無いのだからな……!」 
 我が身の絶対を疑う事無く、仮面の男は独り佇む。 
 そう、我こそは“人を超えし者”――ウルトラマンなのだ!! 



【二日目 18:30】 


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