ケイレイの手慰み 暴走 大北方戦争 弓射小隊 4

黒騎士のルキアニスふたたび (4)

 骨格だけで作ったアイデアなので、いろいろと強引なのだ。
 その強引さを解消するアイデアが浮かばなかったので、そもそも解消済みのアルファルデス、ディアニキウス、コルネリアをちらっと書いてみたら、やっぱそっちの方が楽だった、とw
 生やした後の方が楽なのは楽。

 これも、時系列がいきなり飛んで、生やした後、かつ、なんと、ゴーラ事案にリンクさせるっつー強引さ。
 やり方も、結果も、オススメできない。結果に付随するもろもろをコントロールするのが難しい。

 このあいだ、ずっと弓射小隊があったわけではなく、一旦解散というか、そもそも編成が一時的というか、そんなものだったはず。


 教訓:とりあえず書くより、1個1個を解決するアイデアの方が大事みたい。


 夜の非常呼集が、騎士のそれぞれの扉を叩いて行われるというのはめずらしい。
 ルキアニスにとっては、まだ13連隊にいたころくらいだ。
 それを思い起こせば、扉を開くにも慎重になる。その先の当番従士長は言った。幹部格は大会議室へ集合願います、と。あの非常呼集を呼び起こした出来事は、長く長く帝國を揺さぶり、多くの人の命運を変えた。
 今は、何を運んでくるのだろう。急ぎ軍装の身支度をする。廊下ではヒュド中隊長と行き合った。
 早いな、はい、でおおよその今夜のこれまでの話が通じる。北であるほうがいいが、はい、で今夜のこれからの話が通じる。他に言いようもない。西方辺境周辺国や、ペネロポセス海周辺国にいきなり近衛騎士団が送り込まれることはまず無い。あとは東部、魔族大公領か、あるいはゴーラ帝国なのだが、帝國中央から送り出しても、間に合うとも思えない。それだけ状況が悪くなっているのかもしれない。その場合は、いきなりクルル=カリルの派遣もあり得る。その場合は第二中隊要員が主幹になるだろう。
 もっと悪い想定もある。国内に何か大きな事案が起きたばあいだ。その時には、それまでとは違う枠組みで動くことになる。北であるほうがいい。ルキアニスもそう思っていた。
 会議室の前には小銃で武装した警護兵がいた。以前の101、つまりはクルル=カリルに関わる会議の時にそうしていたことがあった。今では大隊のほぼすべての騎士がクルル=カリルの搭乗資格を満たしており、大隊内部で区画措置を取る必要が無くなった。にもかかわらず武装した警護兵がいるということは、何か大きなことが起きている。
 もちろん警護兵は何も知らない。ただ従士長がヒュド中隊長とルキアニスの入室を確認し、入室票に署名を求める。次にやってきたのはフォン・ベルリヒンゲン大隊長だった。ヒュド中隊長の問いに、俺もまだ何も知らされていない、とむっつり応じ、大隊長は会議室の前の方に、どっかりと席を占める。そのあとにやがてやや慌てた幹部が集まってくる。集まりは遅かった。呼集から四半時はかかった気がする。そうなることも判っていた。旅団は即応待機態勢に置かれていない。それでも素早く集まるのは、この大隊が一つの建屋に集まっているからだ。
 さすがに軍装が乱れているものはいないけれど、髪が乱れているものはいる。アリシアのように、本当に急いでいたから、髪をいつものように結う暇も無かった者ももちろんいる。
「旅団長入室」
 旅団高級副官のダハウ騎士隊長が入室し、言った。会議室のものらは一斉に立ち上がる。いつものゲルトリクス旅団長と、メトポロニア旅団参謀長が姿を見せる。それにもう一人見慣れぬ軍人が入ってくる。
 皆がかすかにざわめく。ルキアニスにもすぐにわかった。マグヌス元帥だ。かつて帝都の護りとたたえられた騎兵将軍、今は参謀本部次長だ。帝國軍と近衛騎士団は、本来は別の物だ。近衛騎士団が帝國軍の指揮下に入ることはあるが、それも近衛騎士団長にその命令が下されなければならない。実際には近衛騎士団長にその判断が預けられているけれど。それに参謀本部は部隊を直接指揮することはない。
 にもかかわらずマグヌス参謀本部次長がこの近衛騎士団に直接、しかもこの深夜に訪れるのはただ事ではない。帝國を揺さぶるような何かが起きている。
「皆、ご苦労。会議室を閉鎖してくれ。これより先は覚書を禁じる。着席してよろしい」
 ゲルトリクス旅団長がいつもと変わらぬ風に言う。続けてこの会議が高い機密格であることを伝える。
「まずは状況説明を、参謀本部次長、お願いします」
 踏み出す浅黒い肌の元帥は、不敵な笑みを浮かべながら面々を見渡す。
「久しい顔もあるな。ここまで立派になったことを俺も喜んでいる」
 苦笑とも不満ともつかない気が漂い、消える。マグヌス参謀本部次長は言う。
「帝國とゴーラ帝国との戦争は、ヴィスマリアン条約によって決着を見た。しかしゴーラ帝国の統治体制には緩みがある。今宵、重大な報告が寄せられた」
 マグヌス参謀本部次長は明日の天気でも言うように平静に続ける。
「ゴーラ帝国内部に、ヨルマ陛下廃位の動きがある。これはすでに起き、事態はすでに顕現して、ゴーラ帝国内部で大きな動きとなっている」
 さすがに会議室に声にならないざわめきが広がり、消える。それを待ってマグヌス参謀本部次長は続ける。
「すでに帝國より、情勢把握のための探索が送り込まれているが、帝國はゴーラ内部の体制転覆の動きに関与していない。俺の知らされているかぎり、あらゆる形で、だ。帝國はヴィスマリアン条約体制を堅持する。このためにゴーラ帝国そのものの崩壊は、望んでいない」
 マグヌス参謀本部次長は言った。
「尻切れではあるが、俺の口から言えることはここまでだ。以上」
「ありがとうございます、閣下」
 ゲルトリクス旅団長は引き取って、皆へと向き直る。
「ここより先は、近衛騎士団の関わりになる」
 それから言った。
「我が皇帝陛下は、ヴィスマリアン条約を共に認める間柄として、ヨルマ陛下の御身に差し障りがあるならば、ヨルマ陛下の仮の御座所が、帝國にあったとしても構わぬと示された」
 けれどその意を図りかねて、会議室に別の静けさが満ちる。旅団長はいつものように静かに続ける。
「これはゴーラ帝国情勢に介入し、ヨルマ陛下を御救いせよとの御下知ではない。ヨルマ陛下がゴーラを逃れざるを得なくなったとき、帝國はヨルマ陛下の御身を害することはない、ということである」
 かすかなざわめきが再び起きる。それでもまだ回りくどすぎて意味が通じにくい。
「これに関わる細部については、我らが一任された。近衛騎士団は、皇帝陛下の御下知に沿うため、近衛騎士団の一部をゴーラ帝国近傍に前進させることとした。ただし一部であり、かつこの行動はヴィスマリアン条約の信義にもとるものであってはならない。私はこの上限を一個小隊程度と考えている」
 前席のフォン・ベルリヒンゲン大隊長が背を伸ばし、立ち上がろうとする。けれどゲルトリクス旅団長は軽く制する。
「志願を求める前にもう少し続きがある。ゴーラ帝国情勢の進展によっては再びの戦争となることもありえる。この場合、近衛騎士団も参謀本部計画通りに動員される。したがって近衛騎士団のこの動きは、ゴーラ帝国との将来にありえる戦争に備えつつでなければならない。このため大隊長、中隊長格の志願は受け入れられない。また幹部のみからなる小隊の編成と派遣も受け入れられない。これに基づき、諸君の志願と意見具申を求める」
「「自分が」」
 声が重なるのも判っていた。ルキアニスと同時に立ち上がったのはルナマリアだ。
「「志願いたします」」
 ゴーラとの戦争を考えるなら、クルル=カリルの基幹要員は派遣できない。経験と実行を考えれば黒騎士組が志願すべきことだ。
「だが幹部二人は派遣しえない」
「自分が派遣されるべきだと考えます」
 ルナマリアが言う。第一中隊先任小隊長であること。ヒュド中隊長に黒騎士としての経験が長いこと。小隊長としては非正規任務の経験をもっとも持っていることを上げる。
「自分が派遣されるべきだと考えます」
 ルキアニスも言った。張りあったわけではない。もう少し考えていたからだ。己には二度の隠密上陸経験があること。また引率する小隊編成についても腹案があること。弓射技能のある要員を小隊と成せば、少数でも多数を阻止し、離脱できる公算が高いこと。要員として考えているアイデシアとニコラは、平騎士の中では経験が浅い方ではあるが、技能的にも不安は無い、と。
 うん、とうなずき、ゲルトリクス旅団長はヒュド中隊長へ向いた。
「第一中隊長、意見を聞きたい」
「具体性についてはアモニス小隊長にいちおうの説得力はあります」
「いちおう、というのはどういうことか」
「我々に示された情勢はごく抽象的であり、求められる達成要件は極めて高度なものです。通常の非正規任務よりさらに困難な判断を要求されます。我々に知らされた範囲から、達成要件を勘案した判断を、現場で行うことに一定の困難さがあります。小隊長としての二人の能力とは別にです」
「それは承知している」
 旅団長は応じる。
「この派遣には特別に、旅団参謀長が随行し、後見する。必要に応じて相談、提言することになる。参謀長には黒の二を携行してもらう」
 メトポロニア旅団参謀長は言いようのない渋い顔をしている。ルキアニスは安堵していた。つまりは事実上の指揮はメトポロニア参謀長が行う。彼女でなければ高位の要請を満たすことはできないのだろう。彼女の渋い顔を、面白げとまでは言わないが見ているのがマグヌス参謀本部次長だった。そしてゲルトリクス旅団長は続ける。
「ファルコニア小隊長、君の具申に付け加えることは」
「ありません」
 ルナマリアはしれっと応じる。ゲルトリクス旅団長はうなずき返す。
「了解した。ではアモニス小隊長、君の志願を受理する。君の具申に沿って小隊を編成し、出発準備を整えるように。機密格は現行のままとする」
 旅団長の注意がいくつか続く、そういう時は、学校の先生の前歴そのままに見える。
「以上、参謀長、付け加えることはあるか」
「小隊の編成その他には、自分も参画、意見します。小隊長、そのように」
「了解しました」
 他に言いようも無い。
「では、会議を解散する」
 旅団長は言った。
「大隊長、各中隊長は私と共に別室へ。旅団参謀長とアモニス小隊長は派遣準備作業を。深夜にご苦労だった。会議室の閉鎖を解除せよ。解散」
 起立と敬礼、答礼が交わされる。旅団長は大隊長と二人の中隊長を招きよせる。開かれた扉から、大隊幹部はぞろぞろと部屋を出てゆく。あるものはあくびを噛み殺しながら、あるものは寝るぞと言わんばかりに大きく伸びをしながら、あるものはやや不安げに振り返りながら。
「まず換気するわ」
 ややうんざりした様子で、メトポロニア参謀長は窓際へと歩み寄る。掛金を開き窓を押し開ける。涼しい夜風が、こもった気をゆっくりと押し流してゆく。
「お前も貧乏くじだな」
 からかうように言う声は、マグヌス参謀本部次長だった。それはもうにやにやと楽しげな悪童みたいな笑みを浮かべている。彼は不意に面を引き締め、ルキアニスを見る。
「どの程度できる」
「アモニス騎士長の言った通り、隠密上陸経験が二度、うち一度は黒騎士として、ペネロポセス海においてです。その時の計画立案と実施関与が評価され、叙勲と近衛騎士団推薦の根拠となっています。それ以前は13連隊の前衛でした。トイトブルグ戦役にも出征」
 メトポロニア旅団参謀長は、マグヌス参謀本部次長に負けぬ悪い笑みを浮かべて見せる。
「確かめますか?」
「それも悪くはないが、また今度にしておこう」
 マグヌス参謀本部次長もにやにやと応じる。ルキアニスがマグヌス参謀本部次長の顔を覚えていたのは、参謀本部次長がかつてトイトブルグ王国に大使として赴任していたことがあったからだ。あの時の政略面の統裁だったのだと、今は思う。
「それでは、もう少し細部について、状況説明をしよう。今、ゴーラで何が起きているか、だ」
 先と変わらぬ簡潔な口ぶりではあったけれど、それはルキアニスを驚かせるには十分なものだった。
 つまり帝國はゴーラで既に浸透任務を行っているということであり、この帝國の非正規部隊への、ある種の包括支援こそが、本当の任務なのだ、と。
 ちらとルキアニスはメトポロニアを見やった。ルキアニスたちの小隊は、本当の非常時に備えた即応戦力に過ぎない。本当に重要なのはメトポロニア参謀長のほうだ。メトポロニアは、そうなのよ、と言わんばかりに肩を落として見せる。帝國軍を動かすことは、まだ危ういのだ。
「・・・・・・」
 メトポロニアはは、近衛騎士団には高速船が二隻貸与されたという。皇帝陛下の御印を戴いて、帝都からヴィルミヘ河を使って、直接フィンマルク湾に出る。が、船は大きくヴェルガ河への運河も通れない。けれどフィンマルク湾、ゴーラ湾に入れば、他の船を寄せ付けない早さで西へ進める。
 それでも、バルタスへ、あるいはゴーラへたどり着くのはいつごろになるだろうか。日程は厳しい。
「・・・・・・」
 いまから送り出されても、ゴーラに着くころには、また全く情勢が変わっていることもありえる。あるいは何もできないかもしれない。そうである公算の方が高いだろうに。
「何かあるのか」
「いいえ。日程的にはかなり厳しいと感じました。それでも投入されるのだと考えていただけです」
「その通りだ」
 マグヌス参謀本部次長は、己の掌握の任務のように言う。これほど詳しく状況を認知しているということは、すでに何者かから、かなり詳しい報告を受けているはずだ。
「投入することそのものより、情勢変化に対応できる部隊を投入可能にしておくことが重要だ。ヴェストラはヨルマについたと見られているが、スカニアの宿将格との戦闘は充分にあり得る。どうか」
「問題ありません」
「言うじゃないか。覚えておこう」
 正直に言えば、ヴェストラは考えなくてもよいと言われて安堵はしていた。マグヌス参謀本部次長は続ける。
「貴様の考えている小隊についてだが、どの程度できる」
 アイデシアやニコラのことは信頼していた。アスランやコルネリア、その他にも組んだ子らと同じくらいに。
 思っていたよりずっと大きな、重い任務になりそうだった。何もしないでいいなら、それでよいけれど、何もできないこともありえる。


というわけで、キャラ力に頼って強行突破。
おかげでキャラをどんどん動員しなければならなくて、話がどんどん大きくなってw 困った困ったw
これが結果のアンコントローラブル性というやつで。おかげでマグヌス元帥がどんどん力を増して困った困った。
こんな風に、あるキャラに権威や権力が集中してしまって、このキャラが否応を決めるとか、このキャラの好意で全部が動くとか、仕方ないんだけど、やるときにはエレガンティスにやりたかったのに><

本当は小隊編成を自由にできる前提で、特殊部隊運用をしてみようの試編に過ぎなかったw
というわけで、メモ表題が黒騎士のルキアニスふたたび、であったんだけど例によって、メモとるときの考えと、書きあげて見ての俯瞰とでは違って感じる。

というわけで、何もできない、あるいは間に合わない結果もコミでw
「激しくこれはこれ」で一つw

この後、快速船二隻に分乗して、帝都出発、トゥール・レギス以降はバルタスまで寄港地なしの強行軍。とはいっても船なので待つばかり。バルタスの港で情報更新と補給を行い、必要があればゴーラへ進出する。
どうかんがえて1週間とか10日とか、かかりそうなんでw
下手するとトゥールレギスあたりで「帰ってこい」って話になりえるw

むしろ「何か出来ちゃう」情勢のほうを危惧してるので、何もすることがなかったほうが、政治的には良いはず。
せいぜい離脱援護じゃないかとは思っていた。

装備的にはフル装備。メトポロニアは砲撃屋っぽくないから、砲撃杖じゃないかも。
ルキ、アイデシア、ニコラ、すべてが大盾に杭を着けて、地に突き立てるモード+通常の矢玉の3倍定数くらい持ってゆく。船に搭載だから重量上の規制は小さいだろうし。

ニコラ、この時点だとたぶん、弓を使わず風魔術でランサーダートを射出、それ自体も雷撃を帯びてるんじゃないかと。雷撃のみの放出もあるだろう、と。
つまり、ガチでブリッツガンダム、とw
やっぱ左手には同じく風魔術で射出するアンカーとかあるだろうしw

って、何だこの「ほんとに劇中通りに死にます」的な臭いはw 無い無いw 生かすからねw(宣言


というわけで、こうやって任意にジョイントしても上手くゆく感触、かなりある。
第二中隊の小隊長はまだちょっと難しげなんだけど、アルファルデスができるなら、エウセピアも無名もできそうだし。
無名小隊にシャルルとイサクリウスとか考えただけで笑いがこみあげてくるんだけどw
無名に正座説教される二人w でも無名の突撃に追従するくらいの能力は認められてるんだろうなあ、とか。つまり無名小隊パンツァーカイル。無名に側面防御なんか要らないんだけどw 
イサクリウスはスラッシュザクファントムモードで、
シャルルは本当はガリルと一緒の方がいいんだけど、そういうのを俺の小隊に持ち込むなって叱られるのw

拡張しすぎだけどまあ、脳がどんどん、くぱぁしてゆくんだからしかたないw

クルル=カリル運用でも、たとえば初期にはニクシアかマリエルのどちらかを含む(というのは比較的初期からの運用員だから諸々慣れてる)形ってのもありそうだし。
ルキはニクシアみたいなおとなしい子でほっとしてるんだけど、マリエル曰く「あの子の方が怖い子だと思うにゃ」だったりw
ルナマリアんとこはダブル真綾状態でこれまた面白そうだしw

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最終更新:2014年05月29日 23:19