602: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:04:08 大陸ガンダムSEED支援ネタSS 短編集3 Part.9 南米戦線異状なし3 メリル・オクトーバーの南米戦線での最初の2週間は、とても濃度の濃いものであった。 最初の3日で南米戦線の情勢を叩きこまれ、並行してMSの訓練、特に対MS戦闘訓練を行い、さらに行軍の仕方を教え込まれた。その後には生身での行軍やサバイバル技術を4日かけて覚えさせられた。 残りの7日はひたすらに反復訓練。必要な技術を体へとしみこませ、反射的に行動に移せるようにした。 元々コーディネーターということもあって、習得自体は問題はなかった。だが、その反復と休みの無さは、流石に堪えた。 それを苦言したこともあるが、隊長であるヴィルターも、他のパイロットも、パイロットでないメカニック班などの非戦闘要員も口をそろえて諦めろと返してきた。最初こそ憤慨していたが、南米戦線の情勢を知るに従い、理解できてしまった。いや、理解せざるを得なかった。 ザフトの兵力に余裕はなく、兵力を短い期間で戦力化し、前線に送り出すしかないのだと。 それを察することが出来ないほど、メリルは疎いわけではない。だからこそ、ノンストップで訓練をつまされたのを、必要なことと割り切って必死にくらいつくしかなかった。 連携を行うことで戦果を挙げる一方で、ヴィルター隊では個人の能力についても徹底した強化を行っていた。 下地もなしにできることなどない、というのもヴィルターの持論であった。 そして、現在。着任から既に1カ月近く。 現地での付け焼刃に近い訓練を頭の中で反芻しながらも、メリルは操縦桿を握りしめていた。 既にこの南米戦線の一端の兵士として働くメリルだが、どうしても緊張というものがある。 今日は特に重要度の高い任務、即ち、降下してきた物資の確保という仕事があるのだ。 最近、メリルが着任する少し前から大西洋連邦のものと思われるMSが散見されるようになっている。 これまで襲撃を繰り返していると思われる大洋連合のMSと似通いながらも、しかし違うMS。 ザフトの南米戦線司令部はついに連合がMSを本格導入してきたと判断し、各基地に対して情報の収集と注意を促していた。 大規模な運用ではないのは、まだ大西洋連邦がMSの運用に足踏みしている証拠ともされているが、定かではない。 だが、少なくともヴィルター隊は楽観視はしていない。いよいよ危険な時期になって来たと、警戒しているほど。 そして、それに備えて準備は重ねられてきた。 現在ヴィルター隊のMSはないよりはましな程度だが対ビームコーティングがされたシールドを標準装備し、先行配備されているMSのパーツを組み込むことによって限定的ながらもビーム兵器を装備できる状態にしてある。 また、隊長のヴィルターは歩兵で言うところのラジオマン、通信中継および管制用の装備を載せたジンを擁する小隊を率い、シグー・ロングアームズを乗りこなすメリルは護衛機とともに他の小隊の支援に回ることになっている。 なすべきことは物資降下地点の確保である。 当初こそ開けた、広い空間を目がけて降下させるのが一般的だったが、逆に網を張られて逆襲されることもあり、時には劣悪なポイントに降下せざるを得ないときもあった。そもそも大気圏突入ポッドはある程度のコントロールこそできても、突入後の細かな制御や誘導は厳しい。少しのずれが、地上にたどり着くまでに大きく拡大し、思わぬところにという可能性もある。 そして、大西洋連邦もこの物資降下をつけ狙っている可能性があるということ。 当然の帰結として、ザフトと大西洋連邦軍は激突することになるのだ。 603: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:05:18 『非常に危険だ。だが、この部隊は何度となく切り抜けてきた。 その力を信じる。各員、全力を尽くせ』 いつも通りのヴィルターの言葉に、通信回線に了解の言葉が飽和した。 それに自分も返答し、改めて操縦桿を握り直す。 いよいよ作戦。敵と遭遇する可能性が夜間パトロールなどよりも高く、危険度も高い。 大西洋連邦が相手だからといって何も油断はできない。鹵獲したジンを使っての襲撃を繰り返し、既存兵器と地形をうまく組み合わせて戦ってきたのが、大西洋連邦なのだから。 その手強さは、ヴィルター隊を始め、南米戦線の消耗が物語っている。 プロパガンダ通りにMSを用いる圧倒しているならば、このようなことは発生すらしていない。 それどころか、地球全土を支配してのけているだろう。そして現状において、その内一カ所のアフリカからは叩き出され、今もなんとか南米にしがみ付いているのだ。 『オクトーバー、緊張しているのか?』 個人の回線でヴィルターの顔がサブモニターに映る。 それは不意のこと。先程の返答に自分の恐怖が出てしまったのかと、さらに怯えが走る。 「あ、いえ、その……」 『隠さなくていい。いくらやっても誰も慣れはしないからな』 「……すいません隊長。やはり、私…力が出なくて…」 弱音がポロリと漏れる。 それは、メリルの口から予想以上にするりと出てきた。 口にして、それは震えとなって全身を包んだ。 ---怖い、です それが、これまでの、短いながらも南米戦線で戦ってきたメリルが抱いた感情だ。 理性はそれを抑えきれない、どうしようもなく、怖い。 次の瞬間に自分や味方が撃墜されてもおかしくない。その瞬間が一体いつ来るのか。 こうしてMSのコクピットで、MSの装甲や防御区画に囲まれてもなお、怖い。 連合のMSでビーム兵器が標準化されている公算大という報告も、これに追い打ちをかけている。 この戦線に着任した時の意気など、とうに消し飛んでいた。 訓練を行い、実際に戦闘に参加して、ようやく理解できた。戦争とは、恐ろしいものなんだと。 プロパガンダはプロパガンダ、と思っていたが、知らず知らずのうちに影響を受けて、甘く見ていたのだろう。 『人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある』 「誇り……?」 不意に、ヴィルターの言葉が耳に届いた。 それは詩を吟じるようであり、何か重要な法則を説明するときの学者のようにも思えた。 朗々と、それでいて粛々と。相反するかのような、そんな奇妙な感想を抱く。 『そう。プルタルコスという学者の遺した言葉だ。人間は恐怖に打ち勝てる、ということだ。 どうにも恐ろしく、身動きが取れなくても、まだ『恐怖できている』。耐えることができる。 その姿こそ、最も人間らしい、尊いものだ…その域に達して、諦めを踏破し、その先へと突き進むことができるのが人間だ』 「恐怖を、超えられるのですか…?」 『勿論。 偉大だから、優れているから偉業がなせるのではない。 むしろ弱く、恐れているからこそ、そんな弱い自分を知っているからこそ、一歩が踏み出せる。 結果としてそれが偉業とされ、それをなした人間が偉大とされるだけだ』 ふぅ、と息を入れたヴィルターは、柔らかく笑って言う。 『怖がるな、とは言わん。だが、貴様はここから一歩踏み出すのだ。 どこへとは、教えてやることはできない。だが、それがあることは教えてやれる。 恐怖を自分のものとして、飲み込んでしまえ。大丈夫だ、貴様一人程度、助けてやる余裕はある』 「……はい、ありがとう、ございます」 気にするな、と隊長は笑う。 『いけるな?』 「はい!」 少なくとも、自分は一人ではない。 恐怖ですくんでも、誰かが支えてくれる。 それが分かるだけでも、大きな励ましだった。 『よし、ヴィルター隊、出撃する!』 隊長の声に、メリルは今度こそ力強い応答を返した。 604: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:06:03 Part.10 作られし孔雀は揺蕩う ウィリアム・“オールド”・ハンターの階級は大尉である。 尉官階級では基本的には最上位であり、元々は空軍にいたため航空機の操縦士を務める階級である。 現在のところは空軍から引き抜かれ、MS部隊の「隊長」を務めている。 さりとて、彼は所詮は大尉である。 彼はあくまでもMS隊の隊長でしかなく、その作戦行動などの指示は上位階級から伝達される立場にある。 編成上では、MSを含んだ大部隊の一翼にして主力がMS部隊であり、他の科の兵たちからも頼りにされているが。 ハンターは他の科の兵に要請することは出来ても命令する権限を持ち合わせていない。 彼が尉官から佐官になるためには専門教育を受けねばならず、然れども士官学校などに通う時間の余裕はないし、現場ではハンターのようなMSパイロットとして経験が長い人材はとても重要である。 そんなわけで、彼は大尉のまま前線に赴いている。案外、軍隊とは階級と規律に面倒なほどに縛られているのである。 命じられればそこに赴き、命じられるままに行動することが求められる。 そして、である。目下の問題が目の前にいる。 『…?如何なさったのですか、大尉』 そう、今ハンターの乗るストライクの隣に立つ、もう一機のストライクに乗る「彼女」だ。 透き通るような、と形容できる彼女の声は、非常に聞き心地が良いと評判なのだが、ハンターにとってはいっそバンシィの叫びの方がマシであった。 決して嫌いなわけでも、自分の耳に深刻な障害があるわけでもない。 ただ、人間としては少し距離をとっておきたいというか、軍人としてどこか敬遠したい気持ちが湧いてしまうのだ。 そんなことを思うハンターをよそに、彼女、クラーラ・ユノーは大きく頷いていた。 『このユノー、不覚でした』 何を言い出すんだ、という視線をカメラ越しに送るが、ユノーは全く動じない。 『既に隊長は30代も半ば、既に全盛期は通り越しそうになっているのですね。 そんな隊長にはうら若き乙女の肌はまぶしすぎてしまうでしょうか?眉間にしわが寄っていますよ』 『違う、そうじゃない』 『違いませんよ、私はまだ19です。まさに乙女も盛りでしょう?これでも美しさに自信はあります』 『……ユノー少尉、上官にその物言いはないだろう』 『これは失礼を』 少し語気を強めると、ひょい、と引いていく。 これだ、とハンターはため息をつく。煽っているというか、軽くこちらを弄って来る。 そこがどうしても苦手だ。自分で言うのもなんであるが、ハンターは自身を堅苦しい人間だととらえている。 だから、こんなに肩の力が抜けているというか、猫のような彼女が苦手だ。調子がくるってしまう。 ハンターに限らないが、男ばかりのこの舞台において、女性の彼女はどことなく浮いている。 部下たちが無言のうちに彼女を自分に押し付けてくるのも、そうした苦手に意識のなせるものなのだろうか。 (……上の決定、か) 彼女はいわゆるコーディネーター。遺伝子治療の領域を超えたコーディネートを施され、代理母の子宮に納まり、その後にこの世に生まれてきた命。 I was Born.(私は生まれさせられた)。その言葉こそ、彼女が最も相応しいモノとなってしまっている。 その為か、彼女の外見と能力は非常に優れている。飛び級で大学入学を誘われる程度には、彼女は優秀だ。 しかし、彼女はそれを蹴り、軍人となることを選んだ。そして、コーディネーターということでMSを割り当てられた。 案外自分と近い立場なのかもしれない、とハンターは思う。初期の、鹵獲したジンを動かしていたころは、動かせるかもしれないという理由でコーディネーターをかき集めて対応していたのだ。 MSについての知識が不足してたので、藁にもすがる思いだったのだろうが、その中に彼女がいた。 自分とて、MSを動かせそうだから、と引き抜かれた。 その時に彼女が何を思い、何を考え、こうしているのか。 今のところ書類以上のことは分からない。 彼女自身が言及を避けているような節があるので、恐らく込み入った事情なのかもしれない。 605: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:06:57 そして現在。「ナチュラルのエースに従うコーディネーター」というプロパガンダのために派遣されてきたが、かなり扱いに困る。 勿論、真面目に軍人としては働いているし、しっかりとした訓練を受けたことが伺える。所作一つ一つが付け焼刃でないと教えてくるのだ。 彼女の物言いにしても、まったく棘が無い。悪意など微塵もない。なまじ優秀だけに、だ。 副官として置いているが、仕事の呑み込みはかなり早い。コーディネートしたからではなく、努力しているのが窺える。 普段のおちゃらけた、あるいは、ともすれば不真面目とも取れる態度の裏で、彼女は根本的に真面目、だと思う。 『今は待機中とはいえ、作戦中だ。そういうのは控えておけ』 一応釘をさすべく、ため息交じりに言うと、良い返事が返って来る。 そう、今は作戦中。ザフトの北米侵攻を食い止めるための、大規模な防衛線だ。 既に最前線では激突が繰り返されており、敵味方が激しく入り乱れての戦闘が繰り広げられている。 現在、ハンターたちがいるのはそこから十数キロほど北西。 流動することが多い戦闘においては、十分に前線の領域に含まれる。 状況に応じて友軍を収容するか、ザフトに対して攻勢を仕掛けるか、それともこの地点を維持し続けるか。 その判断のいずれかが下るのかは分からないが、それらすべてに対応できるようにしなければならない。 現状、ザフトの持ち込んだNJと電波妨害などで情報伝達にはかなり時間がかかっている。 おまけにザフトは南アメリカ軍と合同で電撃的な突破を試みているので、各部隊が偵察や警戒を行いながらも待機しなければならないのだ。 とはいえ、四六時中警戒を維持というわけにもいかない。 張りつめすぎると逆に疲労してしまうし、電源車両なども有限だからMSの稼働状態をいつまでも保てるわけではない。 故にこそ、交代での警戒が求められている。 今ハンターとユノーが同時に警戒態勢にいるのも、ある種のプロパガンダ撮影のためだ。 最前線で、同じ最新鋭機を操るナチュラルのエースとコーディネーターの部下が共に戦う。 腕章や非戦闘員を示す衣服をまとった撮影班は色々な角度から撮影を繰り返している。 『お客さんへの対応も慣れたものだな』 少なからず浮ついた様子を見せる部下たちが多いが、それは彼女には当てはまらない。 『幸か不幸か、私も目をかけていただいておりますし、もともと連合に協力的なコーディネーターとして、色々と”人気”で”有名”でしたので』 そんなユノーの物言いに、ハンターは少し呆れた表情を浮かべるしかない。 望まず生まれたかどうかなど、周囲は知る筈もない。いや、それを超えてなお協力せざるを得なかったか。 まあ、情報戦は重要だ。士気にかかわるし、世論のある程度の納得もなしに戦争などできるはずもない。 総力戦である以上、そちらでも戦う必要があるのだが。生憎と自分にはこれまで縁が無かったので、何となくしか理解できない。 何と声をかけるべきか、少しばかりハンターは迷う。 だが、ユノーは既に別なことに意識が向いているのか、こちらを気にしていない。 気を使われたか、と少しもやもやしてしまう。 そして、気分を変えるか、と思った次の瞬間。 アラート音が、MSコクピット内部と、陣地と、全てに飽和した。 606: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:07:52 『聞こえたな?』 『はい。どうやら前線を抜けてきたようですね』 コクピット内でヘルメットを素早くかぶるユノーの声は、いつもの通り平常だ。 機体を戦闘モードに切り替える動きにもよどみが無く、緊張が無い。 あれだけの凄惨な戦いを、パナマ攻防戦でのおぞましい戦闘を経ても、彼女は何も変わっていない。 他のパイロット達も、すぐさま集中を高めていく。突破できるだけの技量か、幸運か。 いずれにせよ、自分達で食い止めるか、迎撃して撃破しなければならない。 待機状態にあったMSも次々と戦闘態勢に入り始め、メカニック班が作業を終わらせて退避していく。 俄かに陣地の方が賑やかになり始め、MSの駆動音がとどろき始めた。 向こうもこちらの動きを補足したか、と予想を立てつつ、機体のチェックを再度行う。 武装が多い分だけ、面倒だ。信頼性が高いとはいえ、不具合が起こる可能性はある。 その可能性が存在する限り、それを踏み抜くのはいずれ発生する。 (問題なし……メカニック班は良い腕です) 以前の戦闘では照準に微妙なずれがあり、駆動系にゆるみのようなものがあった。 勿論、全面的なメンテを行えるわけでもないので、仕方がないといえば仕方がない。 今日のような日には起こってほしくない。念を押した甲斐があったというもの。 『ユノー少尉。今回の戦闘は貴様の能力のテストでもある。 俺達の動きについてこいとは言わん。だが、その価値があると示してみろ』 『承知しました。受領したこのMSの性能、生かしてみせましょう』 EXストライク。 それが、ユノーの愛機だ。 ストライクの持つ戦闘能力をさらに向上させるため、既存装備を詰め込んだ改造機。 武装が増えた分、扱いにくさや煩雑さは増しているが、火力や継戦能力には秀でている。 そんな機体を任せられるほど、彼女の腕前は良いとされている。 だが、それが本当であるか、証明してもらわねばならない。 これまで、パナマ攻防戦後から連携訓練を行っていたが、実戦で発揮できるかどうか。 特にハンターの率いるMS部隊は、ナチュラルの比率が高いながらも、陸戦型ダガーや鹵獲型ジンの頃から戦い続けている歴戦の部隊だ。 ナチュラルだから、コーディネーターだから、というよりも自らの腕前のみが物を言うのだと理解している。 ほどなく、上空のスピアヘッド隊から敵部隊を光学でも捕捉したと連絡が入った。 かなりの突破速度だ。どうやらうまく地形を利用して前線を支えていた部隊を撃破したようだ。 手練れだな、という言葉がハンターの口から無意識に漏れる。 既に戦争もかなりの期間続いている。よって、今前線に出ているのは補充兵か、生き残って来たパイロットということになる。 だが、それはこちらも同じこと。どちらが強いかなど、戦えばわかるのだ。 そして次に届くのは戦闘とMSの進撃の音。 それが聞こえたころには、既にMS部隊は迎撃の態勢に入っていた。 前衛と後衛に分かれ、支援砲撃の役目を負うリニアガンタンクも展開している。 MSの支援役という意味で、まだまだ彼らの役目はあるのだ。 607: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:08:25 『敵機を捉えました!新型が1機混ざっています!』 ユノーのEXストライクの隣に立つバスターダガーの内部でファルドが叫ぶ。 捉えたのは、改装が施されていると思われるジンとシグー、そしてそれらに似た新型。 ビーム兵器を主兵装とし、ダガーなどを上回る性能を持つと思われるMS。 ジンと紛らわしいのだが、紛れもない新型だ。少数しかいないのはまだ配備が追いついていないためか。 その為、ザフトはどうやら手練れのパイロットを乗せているようで、その戦闘力は高い傾向にある。 舐めてかかったMS部隊が大損害を出したという噂もあるほどに。 それを見たハンターは、表情をさらに引き締める。 コーディネーターに勝るMSを配備したとて、結局はパイロットの能力も勝敗に関わって来る。 ならば、質的に不利ならば数と戦術で勝るのみ。 『迎撃する。頭を抑えろ!』 まだロングレンジ。 そして相手は互いにカバーがしあえる距離を維持し、それでいてランダムの回避を交えて接近してくる。 こちらへも無反動砲やミサイルが飛んできている。当然迎撃や防御がされているが、まだ距離があるからこそ安全なだけ。 迎撃のために動きが小さいこちらは、乱戦に入れば不利になるのは明らか。 前衛機たちが前進しながら反撃を開始し、同時に後方の支援機たちが、 『了解!FOX2!FOX2!』 『FOX2!』 声と共に、EXストライクの脚部に備えられたミサイルポッドからミサイルが発射され始めた。 バスターダガー隊と共に放たれたミサイルは、前進して来るMS隊を上空から襲う。 誘導がNJで妨害されると言っても、弾幕形成という目的は果たせる。後期に開発されたミサイルは、誘導よりも破片効果や炸裂を重視してバージョンアップしており、誘導が効かない分至近弾でもかなりの効果が見込めた。 ジンとシグーの、一部にはバクゥとゲイツを交えた混成のザフト軍は、すぐさまそれの迎撃を開始した。 そこそこ対策をしてきたのか、対空射撃はかなりのミサイルを破壊していく。 だが、確実に足は遅くなったし、パイロット達の注意と視界は降り注ぐミサイルに奪われた。 --カッ! 遅れて発射されたミサイルの中に混ぜられた閃光・音響弾がさく裂し、戦場の一角が真昼だというのに白く染まる。 爆炎と煙の中から抜けて視界がクリアになった瞬間に、これだ。遮光など間に合うはずもない。 今度こそ、ザフトのMS隊の動きは、一部が止まってしまった。 『敵機補足。穿ちます』 ユノーの声がノイズ交じりにハンターの耳に届いた次の瞬間、「アグニMod.2」が火を噴いた。 薙ぐように照射された高出力ビームは、迂闊にも足を止めてしまったジンをまとめて消し飛ばした。 ついで、足止めを重ねるようにバスターダガー隊の対装甲散弾砲がまとめて放たれた。 集中的に狙うのは、ジンとシグー以外のMSだ。 ビーム兵器の普及によってザフトのMSの脅威度は大きく入れ替わっている。 新型のMSと、バクゥ、そしてビーム兵器を限定的でも装備したジンというようになり、 旧来のジンとシグーは脅威ではないとみなされている。それだけダガー系MSの性能がよく、 ビーム兵器の標準化によるアドバンテージが大きいということでもある。 『躱しましたか……』 ユノーは、砲撃が着弾する前にザフトのMSが散開したのを目視した。 どうやら指揮官がかなり優秀なようだ。だが、焦りはない。 元より支援砲撃を担当する部隊の役目は、敵MS隊をアウトレンジ攻撃によって分断し、各個撃破につなげること。 一連の砲撃が収まり、いよいよロングレンジからミドルレンジに切り替わる。 608: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:09:07 『報告!』 『撃破確実1、損傷3機と視認。損傷機は止まるも継戦能力はある模様!』 『了解だ。マイルズ、ウィルキンス、囲んで叩くぞ。分断させたまま、確実に仕留めろ!』 『ラジャー』 『おら、喰らえ!』 そして、前衛機たちが互いの攻撃範囲に敵機を収める。 先頭を行くのは推力に特化するエールストライカー装備のストライク。ハンターだ。 若干遅れながらも続くダガー隊が、ビームライフルやシールド内蔵兵器によって弾幕を張りながら、分散したザフトのMS隊を囲んでいくのが見える。ハンターのストライクの動きは、まるで絡まる糸を切り裂く刃のよう。 ビームサーベルを抜き放ち、果敢に距離を詰めていく。 被弾を恐れない前進が、ザフトのパイロット達の動きを抑制する。 勿論反撃のビームや銃弾は放たれているが、ハンターたちはそれを上手く回避するか、シールドで防いでいる。 『そこです』 そして、動きと視線がハンターに集中してしまうと、後方のユノーに隙を晒してしまう。 放たれたビームが、ハンターの動きに食らい付き、良い動きを見せていたゲイツに迫る。 必殺。それを確信したユノーだが、それは次の瞬間裏切られた。 モニターに映るゲイツは、左腕を躊躇なく犠牲にしたのだ。 強引にシールドと左腕を割り込ませ、倒れることも恐れずに機体のバランスを失わせた。 命中。 破壊されたのは左腕と左足の一部。ウィークポイントを、相手の動きも考慮の上で狙ったが、それを即座に見破られた。 そして、ゲイツのモノアイと目が合った。 『---!』 遅滞なく、ユノーは操縦桿を倒した。 機体を倒しながらも正確にこちらを捉えたビームライフルから、ビームの弾丸がこちらへと飛び出してきたのだ。 アグニMod.2は、そのサイズから射撃の反動というか、発射に若干の硬直がある。精密に狙う分、動きが止まるのだ。 危ういところで、コクピットを狙ったと思われるそれを回避する。 この距離で狙い撃ってくるとは、かなりのベテランか。 しかし。 『隊長!』 その隙を逃すほど、ユノーの上司であるハンターは甘くない。 ゲイツは動きを止め、意図的に崩した姿勢のリカバリーに入っていた。 それを終えて、新たな動きを作る頃には、すでに攻撃を受けている。 『もらったぞ!』 迫るハンターのストライクは、既に必殺の距離。 左腕を破壊され、脚部にも損傷を抱えるゲイツの動きは明らかに遅い。 身を守るシールドをロストしていることに加え、随伴機も他のMSと交戦中。 片腕が無い状態でビームライフルを構えれば、もはや止める動作は取れない。 ゲイツの左側に飛び、大地を蹴って刺突を繰り出されれば、それでおしまい---と、なるはずだった。 609: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:09:44 『く!?』 ハンターは、反射的に飛び込む動作をキャンセル。 両足を咄嗟に地面に着地させ、シールドを構えた。 直後に、炸裂。ハンターのストライクは、吹っ飛ばされかけた。 『……!まだ武装が!?』 よく見れば、腰には見慣れぬ武器がついていた。 外見からすると、実弾砲だろうか。折り畳まれていたそれがしっかりとハンターのストライクを捉え、 そして至近距離から砲撃を浴びせて無理矢理動きを止めたのだ。 稼がれたわずかな時間で、ビームライフルの銃口はすっとストライクの方向へと向いていく。 ハンターのストライクはシールドをひどく損傷させられた状態。この至近距離で受ければ、貫通されてしまうかもしれない。 発射まで1秒とない。まずい。 『大尉!』 隊の誰か、たしか、ケイの声が回線で届く。 それを聞きながらも、ユノーの指は「コンボウェポンポッド」の照準を合わせていた。 だが、搭載されているガンランチャーもガトリングも間に合わない。数瞬、向こうが発射が速い。 今のユノーの位置からでは着弾まで時間もかかる。ビームライフルを構えようとしたウィルキンスの動きは、再びジンによって阻止されてしまう。 万事休す、か。 知らず歯を食いしばりながらも、ユノーは引き金を引こうとする。 『舐めるんじゃねぇ…!』 しかし、ハンターは諦めていなかった。 シールドから手を放し、大腿部のホルダーから武器を最小限の動きで抜いていた。 倒れ込むシールドの影からビームライフルの銃口に対して真っ向から繰り出されたのは、アーマーシュナイダー。 アンチビームコーティングもなされているそれを、ハンターは抜き放ち、突き出したのだ。 そして、発射と激突がタイムラグなく発生した。 結果は、ストライクの左腕が弾かれたビームでいくらか損傷するというもの。 直撃ではない。しかし、損傷もある。事実左腕は使えないだろう。 そのまま構えられたアーマーシュナイダーはビームライフルへと食い込み、銃身を切り裂いていく。 ゲイツの動きは、驚愕の為か止まっていた。辛うじてビームライフルの破壊に対応し、続いて繰り出されたビームサーベルを回避する。 今度こそ武器を失ったゲイツは、そのまま跳躍を選んだ。 当然、それは撤退のものだ。見れば、他のジンやシグーも撤退を選んでいる。 追撃の砲火が放たれるが、それらは器用にかわされてしまい、頭部のバルカン砲を放っていく。 『無理に追撃するな、こちらも損傷が大きい』 煙幕と閃光グレネードがばら撒かれ、見事に撤退された。 互いに実力が拮抗したためか、消耗はどっこいどっこい。 ここで消耗して命を落とすよりも、出直すことを選んだのだろう。 激しい戦闘で、こちらも消費が激しい。まさか最初の戦闘でここまで消耗するとは、予想外も良いところだ。 610: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:10:19 『大尉、御無事ですか?』 『なんとか、な』 ハンターたちは追撃を選ばない。 ここまで練度の高い部隊とかちあうとは、運が悪い。 いや、被撃墜が2機で損傷が多いだけというのはある意味幸運なのだろうか? その判断は、ユノーには難しいものだった。 迷うユノーと違い、ハンターはすぐさま損害を確認し、指示を飛ばす。 『損傷機を先に戻すぞ!弾薬補給も急いでおけ!』 了解の返答が回線に満ちた。 覇気はあるが、疲れのある声。 比較的損害軽微なMSが殿となり、後方のメンテナンスベッドに損傷の大きなMSが下がっていく。 次にいつ襲撃があるのかわからない状況。最低でも弾薬とバッテリーの補給は必須だ。 支援だったために損傷も損耗も小さいEXストライクは、必然的に最後まで残ることになった。。 『ユノー少尉』 『はっ』 一部がPSダウンしているストライクから、EXストライク宛に個人で回線が開く。 疲労の色が濃いハンターは、しかししっかりした口調で言葉を紡いだ。 『貴様の動きは見事だった。特に、射撃の腕は確かだ』 断言。 飾らない言葉には好感が持てた。 『いえ。隊長に救われてしまいました。まだ未熟です』 隊長の動きに比べれば、と素直にユノーはハンターの反応に感嘆していた。 航空機パイロットという経歴だが、ハンターの方が優れていると理解せざるを得ない。 自分が諦めてしまいそうになった状況で、なおもハンターは諦めていなかった。 なにがなんでも生き残るという意志と、それを現実化させるだけの能力がある。 エース、あるいは、大黒柱というか。ハンターの上司、ヨハン・M・オーギュスト大佐が目をかけるのも、理解できてしまう。 そして自分にこの部隊への転属を進めたのも、そういった理由もあってのことなのだろうか。 だから、喜ぶより前に自分の気を引き締める。次にあの新型と当たった時に勝たねばならない。 ああ、この気持ちを誘うのが、カリスマというものか。 自然と、獰猛な笑みが浮かんでしまう。 『次は、仕留めてみせます』 『その意気だ』 そして、今度こそハンターは立ち止まらずに戻っていく。 戦闘はまだ続く。だというのに、満ちる満足感は普段の戦闘後よりも、いくらか上回っていた。 611: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:10:57 【人物紹介】 〇クラーラ・“プライベート”・ユノー 性別:女性 年齢:19歳 人種:コーディネーター(第一世代) 役職:大西洋連邦軍 MSパイロット 階級:少尉 概要: 大西洋連邦軍に所属するMSパイロット。 イタリア系のコーディネーターで、年齢の通りコーディネート禁止の決定後に「製造」された。 出産は事情を知らない代理母が行い、その代理母が違和感を覚えて通報したことで「密造」が発覚。 そのため、彼女が誕生する前に両親が蒸発し、以後は生まれながらの孤児といて施設で育てられた。 ”プライベート”というあだ名もそこに由来している。 孤児院で成長後、軍人となることを選ぶ。 開戦後にはコーディネーターだからという理由でMSをあてがわれ、MSの実証試験部隊に配属となる。 分かりやすく言えば、ジャン・キャリーと同じようなポジションである。 その後はコーディネーター向けのロングダガーを割り当てられて各地で試験運用や作戦に従事した。 パナマ攻防戦で所属するMS部隊が壊滅的な打撃を受けてしまい、 その後パナマでの痛手を糊塗するためのプロパガンダの一環でハンターの部下として配属された。 パナマ攻防ではロングダガー、その後はストライクを受領して終戦まで戦い抜く。 パーソナルマークは孔雀。パーソナルカラーは深い緑色で、愛機となるストライクも、 PS装甲のカラーリングも燃費を優先してのことであるが深い緑色に染められている。 〇ヨハン・M・アウグスト 役職:大西洋連邦軍 指揮官 階級:大佐 年齢:44歳 人種:ナチュラル 概要: ハンターたちの属する大隊の指揮官。 ユノーの出自について知っているらしいが…? 612: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:11:48 【メカニック紹介】 〇EXストライク 形式番号:GAT-X105EX 全高など:ストライクに準ずる 動力源:バッテリー(パワーエクステンダー内蔵) 基本武装: 75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン×2 57mm高エネルギービームライフル/M703k ビームカービン ES-01 ビームサーベル×1 ハンドグレネード 特殊兵装: 複合兵装ユニット「コンボウェポンポッド」×2 (120mm対艦バルカン砲 350mmガンランチャー×2) 脚部6連装ミサイルポッド 320mm超高インパルス砲「アグニ」mod.2 追加装甲 プロペラントタンク エールストライカー(Mod.1およびMod.2) 概要: 来たるべき決戦に向けて検討されていたストライクの強化形態。 名称のEXは「エクストラ」で、本形態が決戦に向けて追加されたものであることを示している。 武器弾薬・バッテリー・推進剤などの搭載量を増やすことで継戦能力を底上げし、 エースパイロットがいかんなく戦闘能力を発揮できるようにと設計がされた。 本機はエース向けであると同時に、MS開発がひと段落し、順調に配備が進んだことで他国のMSと比較する余裕を ようやく得ることが出来た得た大西洋連邦が、戦後を見据えて既存のMSの強化を模索するためという側面を持っている。 プランの一つとしては、後期GAT-Xシリーズで採用されたTPS装甲の採用や武装などを盛り込むなどの案も検討されていた。 しかし、設計を大きく変えて製造しなければならないことで、時間的にプラント争乱中には間に合う保証が無く、 また、無理に設計を大きく変える必要があるというのは信頼性の欠如につながり、例え完成したとしても無理に間に合わせた結果、 パナマ攻防戦のストライクダガーのように何らかの弱点抱えてしまうことを大西洋連邦軍は恐れた。 よって、IWSPのように新規設計武装を盛り込むのではなく、既存のMSのパーツなどを組み合わせることによる性能向上を図った。 劇的な性能向上は果たしていないが、その分信頼性に優れており、前線にいきわたっているパーツとの組み合わせがたやすい。 主兵装と固定の武装に関しては概ねストライクと同じである。 一方で、ストライクの欠点と言えた継戦能力や手数の少なさを補うべく、既存のMSから武装を取り寄せて追加している。 両肩部にはランチャーパックの複合兵装ユニット「コンボウェポンポッド」を装備しているため、単純な火力を増強した。 さらにランチャーパックからは主兵装となる「アグニ」の改良系が取り寄せられ、より扱いやすいモデルに改装した上で、 主として対艦・対要塞攻撃用にオプション兵装と搭載された。これらは基本的にストライクおよびダガー系MSでの運用実績があり、 搭載した際のバランスとOSの調整を済ませればすぐさま実戦投入可能だったことも影響している。 613: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:13:05 さらに機体にはプロペラントタンクやPS装甲の上から被せる追加装甲、マガジンケース、バッテリーパックなどが搭載された。 当然のように重量が増大し、さらに電力消費が増えているのだが、機動力を増加させたエールストライカーMod.2を標準化することでカバーしている。 バランス自体も追加装甲によって整えられており、使えるパイロットであるならば問題なく戦闘できるとシミュレーションされていた。 内装面においては、バッテリーの更新とPS装甲技術の更新によって、防御性を抑えることと引き換えに燃費を向上させたPS装甲が採用。 よって、本機はPS装甲が緑色と黒を中心とした低燃費なカラーリングに染まっており、ある意味ではVPS装甲の先駆けと言えるかもしれない。 総合的に見て、パイロットを選ぶことを差し引きすれば何かと使い勝手は良いと言えるMSとなった。 〇320mm超高インパルス砲「アグニ」mod.2 ランチャーストライカーに装備されていた「アグニ」をストライカーパック無しでも運用できるようにしたもの。 元々ストライクでの運用において、このような長大な砲塔を抱えたMSは対艦攻撃を除けば対MS戦闘に不向きであり、 より扱いやすい兵装が求められていたことが判明していた。地上での私見運用でも多大な電力消費量のアグニは敬遠されていた。 そこで開発されたのが、MS戦闘にも投入できる支援砲撃用武装として完成されたmod.2となる。 まず長い砲身は大きく切り詰められ、14mほどまで縮められた。 その影響で収束率が低下し、射程とコロニーにすら影響を与える威力は発揮できないが、MSや艦艇に対しては十分な威力が発揮でき、 再発射までの充填時間が短縮されたことで速射性が向上した。 また、本体からの電力供給に依存してた運用形態を改め、使い捨てのバッテリーパックを装着することで本体への影響を小さくした。 これによりストライカーパックに対応していないMSにも十分な火力を持たせることができるようになったことで評価され、 少数生産であったがオーブ攻略戦及び宇宙での戦闘で使用された。 戦後は核動力の標準化と技術進歩によってビームライフルでもアグニを超える威力が発揮できるようになり、 より長射程化を図った本家のアグニと異なり中途半端な武器となってしまったことで、姿を消すことになった。 〇エールストライカーMod.2 エールストライカーを宇宙向けにマイナーチェンジしたモデル。 ラジエーターを兼ねる飛行翼の大型化、採用されている機器や機構の更新、OS関係の見直しなどで、 発揮できる推力を向上させている。また、プロペラントタンクの接続部や予備兵装のラッチスペースを設けている。 地上圏での運用については推力などに不足はないのだが、重力をあまり考慮せずに設計されたためにバランスが不安定である。 614: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:13:38 以上、wiki転載はご自由に。 ようやく送り出せた短編ですねー。 書いているうちにどんどん膨らんだのは内緒です… 615: 弥次郎 :2018/02/09(金) 22:16:39 修正ぃ! >605 ×少なからず浮ついた様子を見せる部下たちが多いが、 〇少なからず浮ついた様子を見せる部下たちが多いが、それは彼女には当てはまらない。 >610 ×ハンターの上司、ヨハン・M・オーギュスト大佐が目をかけるのも、 〇ハンターの上司、ヨハン・M・オーギュスト大佐が目をかけるのも、理解できてしまう。