454 :ひゅうが:2016/08/10(水) 06:35:21 防空重巡洋艦「伊吹」 【要目(天1号作戦時点)】 全長:208.6m 全幅:21.5m(両舷側バルジ装着) 喫水:6.1m(喫水0.1m程度増加) 基準排水量:1万4100トン 満載排水量:1万5760トン 機関:艦本式呂号缶8機 艦本式タービン4基4軸 出力:15万2000馬力 速力:36ノット(公試時) 同型艦:「伊吹」「鞍馬(建造中止)」 武装: 三年式2号62.1径15.5センチ砲 3連装4基(B型砲塔搭載 発射速度7.5発/分) 五式12.7センチ(軽)高角砲 連装6基 三式12センチ三十連装噴進砲 4基 五式40ミリ機関砲 連装4基 25ミリ三連装機銃 10基 61センチ五連装魚雷発射管2基 特記事項:三式射撃指揮装置10基 五式射撃指揮装置「雷神」1基搭載 【概略】 改鈴谷型重巡洋艦として計画され、大戦後期に就役した旧帝国海軍最後の重巡洋艦。 大和型戦艦を守る防空輪形陣の中核としての改設計を経ているため、しばしば「隠れた大和型の姉妹艦」とも 称される。 なお、主砲が15.5センチ砲であるにも関わらず重巡洋艦とされているが、これは書類種別上での問題や改鈴谷型 という立ち位置を理由としている。 【艦歴】 昭和16年度予算により2隻が計上されたものの、ミッドウェー海戦の敗北に伴い建造が停止。一時は空母化が構想されたものの、かなり工事が進んでいた1番艦「伊吹」のみが設計を変更して完成した。 しかし、完成時点の昭和19年2月において投入目標とされていたマリアナ沖海戦には間に合わないのが確定的であり、 初陣は11月のレイテ沖海戦となった。 レイテ沖海戦において、本艦はその優れた防空能力を発揮して主力の宇垣艦隊とともに奮戦。 レイテ湾突入にも参加するなど大きな働きを示している。 しかしこのときすでに「本艦2隻あらば、武蔵を救うこと叶うにもかかわらず中止を命じたるは海軍の不覚なり」と 宇垣長官は戦藻録に記すことになるほど戦況は逼迫。 続く沖縄沖海戦においては第2艦隊所属として宜野湾への突入に同行し、宜野湾へ突入するのが最後の任務となった。 戦後は、比較的乗り上げやすい海岸上に位置していたために簡易修理後離礁。 昭和23年、横須賀において調査の末解体された。 平成27年現在は主砲塔がお台場に陸揚げされているほか、生まれ故郷の呉は江田島の国防海軍大学院(旧海軍大学校に相当)に後部マストが保存されている。 455 :ひゅうが:2016/08/10(水) 06:36:18 【解説】 当初は、鈴谷型重巡洋艦の改良型として設計され、それまでの運用で明らかになった諸問題を解決した発展型 といっていい存在であった。 しかし、ミッドウェー海戦において南雲機動部隊が壊滅すると状況は一変。 海軍は空母の急速建造とともに防空艦の量産へと舵を切り、建造中であった「信濃」とともに本艦も建造停止が命令 されそうになった。 すでに船体のかなりの部分が構築されていた本艦の扱いは微妙であり、すでに主要防御区画が完成状態となっていた ことから空母化しても戦力としては軽空母に劣るものでしかないと考えられたのである。 しかし、ここひとつの偶然が本艦を救う。 砲塔運搬艦「樫野」撃沈。 これに伴い、戦艦化か空母化かでもめにもめていた「信濃」の重装甲空母化が決定。 そのため、彼女とその妹の111号艦のために製造されていた副砲が余剰となったのである。 この62.1口径2号15.5センチ砲は、大和型の2番艦までのために使用されていた砲の改良型であり、砲塔も本格的な 対空射撃能力を付与されていた(尾栓と薬室を改設計し、高射装置との連動と旋回追尾速度の上昇が図られていた)。 さらには最上型とは違い、砲塔も自由装填式となっている(砲塔バーベット径が思い切って増大されたことで中央砲の 運用における難もなくなっていた)。 これに加え、防空駆逐艦(秋月型)6隻分の防空能力を有する巡洋艦としての改設計が艦隊側の支持を得たことから、 工事は再開。 昭和18年5月に進水、昭和19年2月に就役し艦隊に配備された。 本艦の特徴は、魚雷発射管を最低限におさえて対空火器を大幅強化したことである。 主砲は、対空砲弾の使用を前提に電気駆動併用により旋回速度と発射速度を上昇させた15.5センチ砲。 15.5センチ砲としては非常に大重量であるが上記の改良のために、単位時間あたりの弾薬投射量は砲塔1基減少にも関わらず互角以上の重量を投射できる。 このため本艦は「最上型『軽巡洋艦』の正当発展型」ということもできるだろう。 射程も米海軍の6インチMk.16砲の3割増しの31.3kmであり、その分の初速も高速であるために同クラスの米巡洋艦相手に対等以上に打撃戦を敢行可能である。 対空砲は、当時開発中であった長8センチ砲が候補に挙げられていたものの船体規模の余裕から最新の12.7センチ(軽)砲の採用を前提に改設計。 (余談ながら、本砲は陸軍の五式戦車の主砲のもととなった優秀な軽量高角砲である) 1基あたり三式射撃指揮装置1基を搭載し、これらを航空艤装と前部第3砲塔を撤去したことにより得た区画に搭載した五式射撃指揮装置「雷神」により管制させるという「扶桑」型「伊勢」型「大和」型と同様の方式で管制した。 これにより、同時に10機の目標を追尾し対空射撃を行うことが可能となった。 当然ながらこれは、本艦が沖縄沖海戦第二夜戦において同時複数目標の砲撃を可能とし、主力部隊の突入を掩護することになった。 456 :ひゅうが:2016/08/10(水) 06:36:48 魚雷発射管は発射機を半減させるも島風型の零式五連装とすることで最低限確保することとなったものの、天一号作戦以外では搭載されることがほとんどなかった模様である。 機関はオーソドックスなものとなったが、小改良に加えてスクリュー形状の改設計(直径増大など)によって速力は重巡洋艦の中で最速となる36ノットを誇る。 しかしこれも安全とともに電子機器のための発電能力を確保すべく9割程度に運転を制限した数字であり、対空戦闘中には40ノット近い(38ノット以上)速度を発揮したとの証言もある。 ただしこれは日本の大型艦艇に共通する特徴である。 この点から「最後にして最良の水上砲戦重巡洋艦」との評価があるのは防空巡洋艦として大きな皮肉というべきだろう。 船体は、速力上昇に伴う整波と区画整理のために元設計より3メートルあまり延長され、またトップヘビー対策のためにバルジとスタビライザが装着されている。 また艦首にバルバスバウを採用した旧海軍で最初で最後の重巡洋艦であるが、その目的は艦首に聴音器を装備することと航行時の経済性向上(機関出力上昇による航続距離低下を嫌った)を目的としたものであり、高速発揮にあたっては補助的な役割だったようである。 【備考】 海上警備隊の組織とともに、本艦の復帰が検討されたことがある。 これは機関が稼働するなど航行能力が比較的高かったためであるが、上部構造物や砲塔などの兵装の破損状況から復帰は断念。 一時、捕鯨母船への転用や復員船としての使用も考えられたが、費用対高価面から断念されることとなった。 これにより、旧横須賀海軍工廠において米軍の調査後解体されることとなった本艦は、一時横須賀軍港の防備用としての使用を検討されるもこれも断念。 最終的に、第1・第3主砲塔が鉄材として使用予定の中でお台場に放置され、朝鮮戦争後に保存されるという奇妙な経過をたどった。 なお一部には、これが首都東京においてクーデターが発生した時や東京港でのテロに備えた要塞砲台であるという都市伝説(廃棄物13号伝説)があるが、単にコンクリート製の台座にのっているだけであり、事実ではない。 989 : テツ:2015/12/28(月) 01:14:01 廃棄物13号 押し犬が食いつきそうなネタをwww 994 :ひゅうが:2015/12/28(月) 02:03:00 「はいきぶつじゅうさんごう」でなく「はいきぶつイチ・サンゴウ」が正式(?)ですが、あまり関係ありませんねw 転用計画がぽしゃった後に、取り外した主砲塔だけがとりあえずお台場に放置され、その後東京タワー建築の資材などに使われるも1番(1号)砲塔と3番(3号)砲塔が残っていた形になります。 また、砲台化も一応検討されたりしたみたいですが自然消滅という形ですね。 後藤隊長が、砲塔の旋回と駆動にレイバーを使って、怪獣を直接砲撃で牽制、仕留めるなんて面白いかもしれませんねw (コンクリート台座は実は要塞化前提に着工されており云々なんて漫画の中でウソをついたりして) 995 :ひゅうが:2015/12/28(月) 02:44:13 こんな感じかな? 「かつて、警察予備隊が保有した大型砲。そのなれの果てがこの『廃棄物』だ。」 「なんでそんなもんをうちが持ってるんです?練馬か市ヶ谷あたりがスイッチ持っとけばいいじゃないですか」 「考えてもみろ。目標は何だ?横須賀や館山は海軍が固めている。そんなときに射程30キロの固定砲台が首都の玄関に浮かんでいる理由は?」 「…まさか。長門のアレ、ですか?」 「そうさ。こいつが送り込まれた48年は共産主義華やかなりし時代。公然と革命なんて単語が一人歩きしていた時代だ。 この大砲は国民様に占拠された永田町か市ヶ谷か、はたまたどこぞの広場に向けて砲弾を放つ目的で作られたんだ。」 「でもそれじゃ、なんでなおさら警察が?」 「ニブいねぇ。戦後すぐと言ったろ?目標には練馬も市ヶ谷も入ってたのさ。そんなものをあの時代風当たりの強い国防軍に渡せるか? 48年の保安庁設置後は再度の国家警察化を悲願にする連中に管理権が移され、そして葬り去られた。 …忘れたかったのさ。市民を守るおまわりさんが大砲で首都や軍隊を威圧したなんてことを。」 改訂版が架空戦記版その75に載せられたため設定部分を差し替え