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大陸クロス119_弥次郎さま_大陸SRWネタ支援 未来編 鉄血世界SS 短編集12 - (2020/11/30 (月) 11:15:11) のソース

763: 弥次郎 :2020/11/24(火) 22:29:47 HOST:p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp

憂鬱SRW 未来編鉄血世界SS 短編集12




Part.25 ドルト攻防戦 -三日月の場合-


 300㎜滑空砲が火を噴き、MSを打ち抜いていく。直撃でなくとも、牽制や敵機の動きの妨害になる。
 三日月個人としては、あまり好きではないことだ。チマチマやるよりもっと早くやる方法がある。
 けれど、今回それは封じている。使い慣れたメイスではなく、太刀を装備し、300㎜滑空砲による支援攻撃を行っている。
これもまた実戦での訓練だ、と聞かされ、それを実施している。

(これが大人数での戦いってやつか…)

 シミュレーションで何度も何度もやったことだ。数で有利ならば、それを生かした戦い方があるのだと。
 決して個人の力だけではなく、集団であることの力もあるのだと。個人としての技量が十分とみなされた三日月は、そこを補う訓練も受けていたのだ。
 前面に立って戦うことが多かった、というか、そういう盾として使われていた自分たちにとっては新鮮だった。
同時に、これが案外大事な仕事であるかも知ることにもなった。安全な位置にいるからと言って胡坐をかいてはいけない。
最前線で激突している友軍をいかに支援するかを考え、さらには広範囲に意識を配って敵の増援に対処しないといけないのだ。

「そこかな」

 動き回るグレイズ、ACから逃れるようにでたらめな回避を続けているが感覚としてその動きが読める。
 そして、放たれた一撃はクリーンヒットはしないものの、うまく敵機をバランスを崩すように当たる。
 当然の帰結として、その機体はバランスを崩したところを一気に迫られ、ブレードの一撃を以て切り裂かれて沈黙する。

『ナイスだ!』
「ありがとう、ございます」

 援護したACからの通信に返信しつつ、三日月は次の標的を探す。
 と、その目は、バルバトスのセンサー系は新たに接近する集団を補足した。

「増援…?」

 それは、ウィンター艦隊のMS隊が鉄板の上で解けるバターのようになったことで追加で放たれたリッカルド艦隊のMS隊。
おそらく次々に打ち取られていく様子が見ていられなくなったのだろう。それにここで引いてもおびえて逃げ出した、という誹りは免れない。
 軍事というのはただ戦うことだけではなく、戦闘に意味があることを理解し、ふるまうことも含まれるのだということ。それを三日月は思い出す。
自分もまた、火星連合の、そして鉄華団という組織の面子を背負い戦場に出ているのだ。

(同じことを考えているのか…)

 思うところがないわけではない。そのくらいの情緒は三日月の中にあった。
 けれど、自分の考えも---オルガや仲間たちのために何かをなすのだという思いも譲れない。

(ま、いいか)

 考えすぎもよくない、と三日月は割り切る。
 そして、指揮を執るセントールからの指示に従い、新たなMS隊への対処のために動き出す。
 今度は近接格闘戦が主となる。明星に散々つけられた立体空間での剣術のための稽古の成果を見せるタイミングは、今まさに来たのだ。

(?俺は…面白がっている?)

 自然と口角が吊り上がり、興奮が沸き上がってきた。いったいどれほどの力を発揮できるのかを、自分は楽しんでいるのかもしれない。
 まあ、無理もない。そういう少年兵の負の面もまた、三日月を構成する要素なのだから。
 一先ず三日月は滑空砲から太刀へと装備を変えると、一気に加速した。

765: 弥次郎 :2020/11/24(火) 22:30:17 HOST:p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp

Part.26 ドルト攻防戦 -リグの場合-



 リグの搭乗するネクスト「バクティ」の特徴とは何か、と言われれば、尖り切った近接格闘能力にある。
 むき出しになった両脚部の大型のパイルバンカーにKPカタールというともすればアンバランスな武装構成は、しかし合理性を持っていた。
ともかく難しいことは考えず、接近して、格闘武器でたたき伏せるという戦術ができるのだ。まして、ネクストの機動性は他のMSと隔絶している。
それらが戦闘において激突した際に起こることはたった一つ、圧倒的な蹂躙に他ならない。
 QBを連発してスピードに乗るバクティは、

ガシャン!

 巨大なパイルバンカーの切っ先が、グレイズをえぐる。
 対艦攻撃や対大型兵器も考慮したそれがMSにあたれば、当然のことであるが壊れるどころではない。もはや消し飛ばすに近い。
はた目には蹴りを食らっただけでグレイズが消し飛ぶようにも見えるからとんでもないホラーである。
加えて、それを行っているであろう敵機の姿がまともに視認できないのもさらにホラーと呼べるかもしれない。

『敵機が見えないぞ、どうなっている!』
『とてつもなく速いんだ、よく見て対処を…』
『見えない相手にどうしろっていうんだ!センサーも振り切っているぞ!』

 ギャラルホルン側の混乱は著しい、でたらめな方向へとライフルを放って近づけまいとするが、ライフルの旋回速度よりもネクストのほうが早い。
そも、センサーさえも振り切っているのだからそれも当然。センサーやOSに頼る操縦でしかないパイロットがそれに対処するのは不可能だ。
 だが、彼らはそれ以上に周囲に目を配るべきだった。突出してきた機体に気を取られて近視になりすぎたのだ。
わざとリグはアサルトライフルをばらまきながら彼らの周囲を適度に旋回していた。そうすれば、相手を釘付けにできると知っていたから。
 そして、それを見抜けなかったギャラルホルンへのツケは、遠方からの射撃という形で襲ってきた。

『ガッ!?』
『ど、どこから!?』

 その射撃は、対艦攻撃部隊に配備されているフラウロスのもの。そして、それに続く鉄華団のMS隊のものだった。
300㎜滑空砲やドライバーキャノンの一撃は、あてなくとも脅威となるし、特型AMSによる補正を受けて信じがたい精度で飛んでくる。
そのプレッシャーに負けて、迂闊にも足を止めて彼らはいいように撃たれるしかなかった。
 そして、防空を担うMSが足止めされるということは、それの意味するところは一つ、致命的なまでの隙を生むということ。

『ミサイル弾種選択完了…各リグターゲット割り当ておよびKPキャノンチャージ…』
『目標ロック!目標ロック!』
『っしゃ!サンキューハロ!とらえたぜ!』

 艦隊にとって死角となる俯角90度の角度、ほぼ直角に飛び込んでいくのはユージンの操るファンタズマだ。
コクピット内で一気に操作をし終え、ユージンは一気にファンタズマを加速させ、ファンタズマ・リグと共に複雑な軌道で反撃の対空射撃を潜り抜ける。

766: 弥次郎 :2020/11/24(火) 22:31:08 HOST:p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp

 最も、ユージンが訓練の中で経験した弾幕よりもはるかに生ぬるいものだったことは否めない。
殊更、大型兵器は頑丈ではあっても被弾しやすいからこそ回避が重要なのだ。だから二層式洗濯機やふぐ刺しを経験済みであった。
それに比べれば、直掩のMSと対空砲のまばらな弾幕しかないとは、なんと生ぬるいことか。おかげで落ち着いて火器管制を行える。ハロもいるのだし。
 そして、彼我の距離が迫った時点で一気にミサイルをばらまく。当然のように迎撃されるが、それは狙ったもの。

『な、チャフ!?』
『スモーク弾だと!』

 そう、通常の炸薬を用いたミサイルでは艦艇のナノラミネート装甲を抜けない。
 もちろん貫通させることができるKPミサイルもあるが、今回はそれを使わない。代わりに防御側にとっては重要な目を奪うのだった。
事前の観測情報に基づいて通常炸薬の詰め込まれたミサイルも散布発射しており、なによりも、メインウェポンを落ち着いて放てる。

「食らっとけ!」

 そして、必殺の間合いで次々とファンタズマとファンタズマ・リグは主砲たるKPキャノンを放つ。
 その結果は、言うまでもなかった。だが、そんな状況下で浮かれるほどぬるい訓練をユージンは受けていない。
すぐにチャフを追加で焚きながらも急速に離脱、置き土産のミサイルをばらまいていく。

(合格、かな)

 ユージンの訓練を見ていたリグとしても、短い期間でもよく身につけたものだと評価できた。
 KPカタールでコクピットごとグレイズを切り飛ばし、泣き別れになった上半身を引っ掴んで接近してきたグレイズに投げつけてやる。
怒りの声が通信に乗るが、あいにくとそんなのは常套手段だ。むしろ、そこに意識を割いてしまった相手との間合いを瞬時に詰め、パイルで穿ってやる。

「と、前に出すぎたかも」

 出番を奪いすぎてはいけない。その気になればこの程度の艦隊など片手間だが、この戦場は火星連合や企業連の力を見せつける場。
ついつい前に出ていつものように狩っていってしまったがこれはいけない。すぐにいったん引き、対艦攻撃に移行したグループの援護に回る。
見に行くのはフラウロス、シノのところだ。ドライバーキャノンという破格の武装にKP兵器を搭載したガンダム。
浮かれすぎていたら釘を刺したうえで、あとから慢心を抜かなければならない。まあ、そういう失敗をするのも特権だろうとは思う。
そういう積み重ねこそが、人間を成長させるのだから。自分もそうだったように。
 一先ず、リグは指揮に専念しつつ、かわいい傭兵の雛達の戦いを見守ることにしたのだった。

767: 弥次郎 :2020/11/24(火) 22:32:19 HOST:p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp

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戦闘シーンがうまく書けぬ…