提督たちの憂鬱 支援SSほか@ まとめウィキ内検索 / 「ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「偽預言者はかく語りき」」で検索した結果

検索 :
  • ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「偽預言者はかく語りき」
    799 :ひゅうが:2016/07/29(金) 15 30 16 神崎島ネタSS――幕間「偽預言者はかく語りき」 ――西暦1937(昭和12)年4月15日 神崎島 「お世話になります。皆さん。」 にこやかに挨拶する白髪の老人。彼とにこやかに握手しつつ、神崎はこんな時期にこんな厄介ごとを持ち込んできた目の前の老人の老獪さに辟易していた。 男の名をアルバート・アインシュタイン。 プリンストン高等研究所の所長にして、相対性理論の生みの親である物理学の天才である。 ナチスドイツの迫害から逃れてアメリカ市民権を取得していた彼は、特に希望してこの神崎島に立っていた。 数名の記者――と思われる人物――や助手たちと共に。 「この島の謎は、世界中の科学者をワクワクさせることでしょう。」 「我々には自明のことなのですけれどもね。」 ...
  • 艦これ 神崎島
    ...」その1 改訂版 ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「偽預言者はかく語りき」 ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「日はまた…」 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「三匹がゆく! in Britain」その2 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「三匹がゆく! in Britain」その3 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「三匹がゆく! in Britain」その4 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「わが祖国」 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「帝国と人種偏見のもたらす化学反応についての一例」 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「三匹がゆく! in Britain」その5 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「大英帝国の選択」 ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「三...
  • ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「わが祖国」
    403 :ひゅうが:2016/07/31(日) 21 38 49 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「わが祖国」 ――1937(昭和12)年5月1日 大英帝国 帝都ロンドン 祖国…祖国… 言葉が幾度も頭の中をリフレインする。 敗戦…廃墟からの出発…理想…逆コース… 歴史は時の流れを遡り、あるいは下り、出来事は相互の関係をもってまるで伏流水のようにあらわれては消える。 傾斜生産、経済再編成、そして日米安保条約… あのトイレットロールというのは傑作だった。意気込みすぎて長文を書きすぎたのだろう。 当時の烙印をおされた我が国は、後ろ指を所与のものとして再出発を図らざるを得なかった。 そしてそれに乗り国家の再建を果たすために、国民の力を結集することに「戦後日本」は成功した。 新体制運動や国民的運動というやつが、結局は近衛公や軍部の...
  • ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「いざ生きめやも」
    240 :ひゅうが:2016/07/25(月) 23 49 24   神崎島ネタSS――幕間「いざ生きめやも」 ――1937(昭和12)年3月29日 三菱飛行機 「おい、本庄。二郎は?」 「あいつなら…ほら。」 三菱飛行機設計課の黒川圭介係長は、「ああ」とあきれたように溜息をついた。 帰り際に通りかかった本庄季郎技師が肩をすくめる。 彼の一期後輩にあたる設計技師 堀越二郎は、一心不乱に製図台に向かい、何かを書き続けていた。 「あいつ…」 黒川は、またはじまったかと頭を抱えた。 「そんなにすごかったのか?例の島の機体は。」 「すごいなんてものじゃないですよ。」 「全金属単葉戦闘機や爆撃機なのは知っているが、引き込み脚か?」 「いやそれが…何キロでていたと思います?」 本庄は深刻そうな顔でいう。...
  • ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「日はまた…」
    972 :ひゅうが:2016/07/30(土) 12 55 34 神崎島ネタSS――幕間「日はまた…」 「あの二人は?」 「記録をむさぼり読んでいます。さすがは好奇心の信徒。」 「そう邪険にするものでもないかと。大淀さん。ああいうタイプでもなければ計算も苦手なのに物理学を一新したりはできませんよ。」 「これは失礼しました霧島さん。」 「まぁ、好奇心を満たすために進んで米国政府に利用されたりして司令を苦慮させたから怒っているのはわかりますよ。ふふ。」 「き、霧島さん!…もう。」 「ずっとみてますもんねー。」 「あうう…はい。」 「ごほん。」 「そう妬くな大和。…で。霧島。金剛先輩とゆかいな仲間たちは?」 「シンガポール、マリーナ・ベイにて帝国海軍の手配した油槽船『富士山丸』と会同。給油を行ったのち...
  • ネタ88_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「調査」
    390 :ひゅうが:2016/10/19(水) 17 35 25 神崎島ネタSS――幕間「調査」 ――1937(昭和12)年7月12日 「天一号のとき?ああ、あれはひどい戦だったねぇ。」 うんうんと頷く色素の薄い髪をした少女の言葉には妙な実感がこもっていた。 「マリアナやレイテの話は?ああ聞いてるか。」 「はい。すでに不知火さんに。」 「ぬいぬいにか。それなら話が早い。清霜とか島風の分も話してくれるだろーし。」 駆逐艦朝霜は、ニヒルに見せようとしているらしい表情できしし、と笑った。 ギザギザのサメの歯が見えたような気がした。 「艦本さんも知ってると思うけど」 トン、と指で机を打つ。 「うちらの対空火器じゃアメさんの飛行機を落とすのはかなり無理があった。25ミリ機銃は威力はあるけど照準がまるでダメだっ...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「ファウストゥス」
    793 :ひゅうが:2016/07/19(火) 15 59 57 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「ファウストゥス」 ――1937(昭和12)年3月12日 アメリカ合衆国 ニュージャージー州 「みてください博士。この年輪を。」 ある学生がそれを持ってきたとき、老人は当初つまらなそうにそれを見るだけだった。 「こんなに年輪がすっきりしていないスギの木はあるでしょうか。」 「しかし君。淡くではあるがこのようにはっきり年輪はあるではないかね。」 「ところが博士。この顕微鏡写真をみてください。」 老人は二枚の写真を見比べた。 開発中の電子顕微鏡写真だった。 「ごらんのように、これは…年輪ではありません。いうなれば日輪です。 それが疎になるか密になるかは、一日の長さに対応しています。」 「こんな速度で成長する木があっ...
  • ネタ81_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「あとしまつ」
    315 :ひゅうが:2016/08/26(金) 11 07 03 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「あとしまつ」 ――1937(昭和12)年7月2日 上海 バンド(外灘) 「押さないでください!船は十分あります!」 「一列に並んでください!手荷物はひとりひとつまで!それ以外は別便で送ります!」 「香港銀行およびフランス銀行の臨時窓口はあちらです!それ以外はフィリピン到着後のお手続きとなります! 通帳がなくとも結構です!身分証だけは必ず携帯していてください!」 「ケガをされた方や急病の方は必ず申し出て下さい!これから長旅です。皆さんの健康が第一です!」 修羅場において拡声器が鳴り響く。 それに混じって、遠雷のように砲撃と発砲音が続く。 すでに戦場はこのバンド――上海随一のハイカラで西欧的なエリアから10キロ以上も離れていた...
  • ネタ82_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「未来への脱出」
    382 :ひゅうが:2016/09/03(土) 22 27 25   艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「未来への脱出」 ――1937(昭和12)年7月3日 神崎島 「それでは、よろしくお願いします。」 「いえいえ!こういった機械を作ることができるのはとても楽しかったです。」 今をときめく神崎島工廠。 その実態は基本的に官営企業である。 明治時代の官営工場や史実における国有企業体の体質として不採算や怠業が横行する――と思われるかもしれないが、この工廠では話は別だった。 単純に、人員が足りないのである。 神崎島の生活水準は21世紀現在のそれである。 それを維持する生産力を曲がりなりにもこの島は有している。 流通・運用するための人員に加えて、巨大な海軍力をこの島は維持しなければならない。 対して、この島における「人間」の数は極めて...
  • ネタ94_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「台風一過」
    316: ひゅうが :2017/01/08(日) 07 19 14 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「台風一過」 ――昭和12(1937)年8月15日 太平洋 海上 うねりがある。 海上は一昨日までこの海域を通過していた大型台風の影響が残っているが、空はからりと晴れ上がっていた。 今頃本土では大きな被害を受けているのだろうが、事前の警告もあって気象庁はほぼ正確なルート予測に従って各地に警報を発令している。 何もしなかった場合に比べれば被害は少なくなるだろう。 これまでは気象観測船や各地の気圧計頼りであったこうした気象観測は、今年に入って急速に正確さを増していた。 理由は簡単。 あの島の存在である。 台風が北上する針路は、だいたいのところでフィリピン海から大東諸島方面を「逆つの字」のように日本列島へ迫るルートがほとんどだ。 そのど真ん中に、巨大な島...
  • ネタ78_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「自家中毒」
    861 :ひゅうが:2016/08/09(火) 01 02 57 神崎島ネタSS――幕間「自家中毒」 ――1937(昭和12)年5月15日 ドイツ国 帝都大ベルリン 「はじめまして閣下。」 独逸語で語りかけると、相手は少し驚いたようだった。 しかしすぐに満面の人懐っこい笑みを浮かべて固い握手をかわした。 「ドイツ語が御上手で驚きました。殿下。」 「わが軍は明治維新――これは復古というよりある種の革命ですが――以来、法制度と陸軍についてはドイツに学んでおりますからね。 お国のネッケル大佐は、日露戦争で活躍した我が国の将帥をよく育て上げてくださいました。」 「ネッケル?」 「大モルトケの弟子でありますよ。」 「おお大モルトケ!彼の偉大さが日本陸軍をも啓蒙したとは、その言葉はうれしいかぎりです。」 ドイツ国の...
  • ネタ75_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「転換期 1937年前半」
    503 :ひゅうが:2016/07/23(土) 16 16 28 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「転換期 1937年前半」 ――1937(昭和12)年3月から4月にかけて、大日本帝国はのちに「逆コース」といわれる政策転換と立法措置をとった。 第二次2.26事件により、こともあろうに外地から帝国へ合流しに来た国家元首を右翼団体が襲うという大失態を演じていた帝国を、天皇はもとより廣田首相も許しはしなかったのだ。 まずは、著名な大アジア主義者であった頭山満が動いた。 くだんの「さくら会」は一部陰謀団の所業でアジア主義の思考に反する軍部独裁を企図する軍国主義者なり。 それが公式発表となった。 続いて、内閣情報局総裁が、1月半ばの逮捕以来沈黙を守っていた「ゾルゲ事件」の内容を公表する。 満州事変前後より、ソビエトの意に沿うように国策が操られていた可能性に言及した下村総裁は...
  • ネタ107_第三帝国さま_銀河連合日本×神崎島ネタSS――——「来訪者」
    179: 第三帝国 :2017/09/04(月) 01 39 46 銀河連合日本×神崎島ネタSS――——「来訪者」 『初めまして、アドミラル・カンザキ。  そして私を受け入れてくださって感謝します』 車いすに座る人物から肉声ではなコンピューターによる合成音声が出る。 神崎は前世で知る夢幻会の面々と同じ水準で知的好奇心が強い目の前の人物に呆れを覚えた。 「こちらこそ。  しかしまさか貴方がこの島に来るとは正直思いませんでした――――スティーヴン・ホーキング博士」 車いすに座る人物の名はスティーヴン・ホーキング博士。 ブラックホールの特異点定理を理論化させたのを始め、現代宇宙理論に多大な影響を与え続けている現役の物理学者である。 そんな彼が助手や付添人、さらに記者(にしては全員妙に体格が良く右肩が発達した)と共にこの神崎島へ来訪した。 ...
  • ネタ78_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「海峡」
    293 :ひゅうが:2016/08/05(金) 15 04 36 神崎島ネタSS――幕間「海峡」 ええ。 私が現場に入ったのは37年の5月でした。 その頃にはもう作業基地ができていましてね。 そんなに前からはじめていたのかと驚いた覚えがあります。 え?接触時にはすでに計画が動いていた?あの機材は神崎島の本土と補陀落島の… ははぁなるほど。それであれだけの機材が即座に調達できたんですな。 いや納得しました。 現場にいたのは、陸軍の工兵から転出してきた人たちや国鉄のトンネル屋、帝大からきた地質学者の先生方、そして土方の…ああ今でいう建設会社の親方衆でした。 大湊からは海軍の士官さんたちが何人も来ていましたね。 あとで聞いた話ですが、あれは水中音響探査だの、海峡要塞地帯の地質調査を転用したのだとか。 はぁ。海底定置ソナーの? なるほど。あの頃はもうロス...
  • ネタ81_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「あとしまつ」その2
    517 :ひゅうが:2016/08/27(土) 17 40 06 神崎島ネタSS――幕間「あとしまつ」その2 ――西暦1937(昭和12)年7月3日 アメリカ合衆国 ホワイトハウス 「私は見誤っていた、ということだな。」 フランクリン・D・ルーズベルト大統領は静かに緊急電を手元においた。 発信源は神崎島。 親書に対する返礼としてなされたそれは、アメリカ滞在中である宋美齢よりも二歩ほど早く彼の手元に届いている。 日本大使館に向けて放たれた無線通信であり、送信時間はわずか3.6秒。 本来ならバースト通信で0.4秒もあれば送信を完了するものだ。 だが、太平洋を越えた遠距離通信であるためにそれは9度繰り返された。相互に文章を参照し、それらが互いに正しいことを確認してから駐米大使の手によってルーズベルト大統領の手に渡っていた。 もっともこのシステ...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「帝国政府の憂鬱」
    89 :ひゅうが:2016/07/10(日) 00 19 12 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「帝国政府の憂鬱」 ――1937(昭和12)年1月9日 午後4時 閣議は、重い沈黙をたゆたわせていた。 紫煙は最盛期ロンドンの「霧」のように閣議室の空気を見たしている。 実際、シャアロック・ホウムズが見つめていたあの霧の主成分がのちにスモッグといわれるものであるから、大した違いはないのだが。 それを示すかのように、大日本帝国政府の中枢である内閣を構成する人々の顔色は一様に悪い。 「陛下は…」 首相 廣田弘毅は重苦しい口を開いた。 当年とって58歳。ひと月後には59になるあたり、政治家として脂の乗り切った時期にあたる。 彼の顔色が悪いのは、つい数日前まで帝国議会で続けられていた見苦しい二大政党の上げ足の取り合いだけが原因ではなかった。 ...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「幕間(反転)」
    429 :ひゅうが:2016/07/11(月) 21 19 12 神崎島ネタSS――「幕間(反転)」 「本日、帝国は喜びをもって発表いたします。 はるか2000年以上の昔、朝廷よりわかれた日本の一部が再びわが皇土へと合流したことを。 歓迎しましょう。分れし皇国の民の帰還を。」 ――1937(昭和12)年1月21日 内閣情報局総裁発表 「かの島はファシズムに反対するか。問題はエンペラーがそれに何と返答するかだな。」 「相互不可侵協定はあくまで現地軍によるもの。我々の対処はこの後により変わります。」 ――1937(昭和12)年1月21日 ワシントンD.C 「尊王討奸」 ――1937(昭和12)年1月23日 少壮集団「さくら会」橋本欣五郎 「産業の統制こそ帝国の重工業化に不可欠。そのためにはあの島の資源がどうしても...
  • ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「大英帝国の選択」
    536 :ひゅうが:2016/08/01(月) 14 13 34  神崎島ネタSS――幕間「大英帝国の選択」 ――その報告を受けたとき、大英帝国政府は混乱状態に陥った。 ただでさえ、翌々日に戴冠式を控えている中で起こった事件である。 さらに、犯人と目される人物の素性も彼らを困惑させた。 彼らは25歳程度。 いずれもケンブリッジ大学出身の上流階級に属する人間であり、報道機関勤務である。 これだけでも対処には慎重になる。 ただでさえこの年代は、自身の正義に盲目的になりやすい。さらには世論のバックアップを得やすい彼らを簡単に処断することははばかられる。 起こったことは限られている。 第一に、現場で確保されたリーダー格はイギリス・ファシスト同盟に関係のあるごろつきであった。ただし他殺死体として。なお、口径からいって被害者側の持つ拳銃から発射されたものではない。...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「大統領の憂鬱」
    333 :ひゅうが:2016/07/11(月) 02 22 53 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「大統領の憂鬱」 ――1937(昭和12)年1月12日 アメリカ合衆国 ワシントンD.C 「どうもジャパニーズに先を越されたようだね。」 フランクリン・D・ルーズベルト大統領は苦笑とともにコーヒーを飲んだ。 彼は珍しくホワイトハウスで朝食をとっていた。 いつもは、控えめに言って革新的な妻のエレノアと共に公邸で朝食をとるのが彼の日課だったが、今日は違ったようだった。 「マップルームで徹夜ですか?」 「すまないね。どうも海軍が動くとなるとこういうところに籠りたくなるのだ。」 彼は本当にすまなさそうに、海軍作戦本部長ウィリアム・リーヒ大将に頭を下げた。 ここはマップルーム。 ルーズベルトの趣味と実益を兼ねて、世界各地の地図が集積さ...
  • ネタ86_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「死の跳躍について」
    708 :ひゅうが:2016/10/04(火) 05 16 29 神崎島ネタSS――幕間「死の跳躍について」 2月中に閣議決定された日本列島改造計画の推進部局の決定は、閣議決定と同様に強権によるものであった。 というのも、この計画につぎ込まれる予算は単年度で30億円。 前年度の国家歳出の合計が21億7000万円超であったことから、国家予算が一気に2.5倍に膨れ上がったのと同様であるといってもよい。 この巨額の予算を一手に握る部局は、当然ながら極めて巨大な利権を手にするに等しかった。 大蔵省は自ら統制したがったし、陸海軍は薬がききすぎたのかやや控えめながらも参与を要求。変わり種では、拓務省や厚生省までもがあれこれ理由をつけて利権の争奪に加わった。 だがそこに、予算の出元から雷が落ちた。 巨大な皇室予算を借金のカタにするように今回の予算を組ませたのがさるやんご...
  • ネタ78_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「海峡」2
    425 :ひゅうが:2016/08/06(土) 00 49 39 おかげで一本追加できました。感謝いたしますw  神崎島ネタSS――閑話「海峡」その2 はい。 もともと計画自体はすでに持ち上がっていたんです。 有名な「弾丸鉄道構想」が「新幹線」として結実したように。 津軽海峡は知っての通り、すこぶる荒い海です。 おまけに北海道側の港湾となる函館は…まぁ見た目にはペリー提督が東洋のジブラルタル呼ばわりしたように良港ですが、西風には極めて弱かった。 おまけに冬の間、この土地に吹く風はあまりに強すぎる。 箱館戦争として知られる御一新最後のおおいくさで旧幕府軍が強力な艦隊を活かしきれなかったのも、これが理由です。 実際、明治に入って以来10年おきに函館は大火災に見舞われているでしょう? だから、瀬戸内海で架橋計画が持ち上がったのと同様に津軽では海底トンネル...
  • ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「帝国と人種偏見のもたらす化学反応についての一例」
    434 :ひゅうが:2016/07/31(日) 23 13 05 神崎島ネタSS――幕間「帝国と人種偏見のもたらす化学反応についての一例」 ――某所にて 「新国王は日本人に手を差し伸べるつもりらしい」 「なんということだ。もはや統一された強力な中華が存在するというのに!」 「宥和政策は、時間稼ぎにしかならないぞ。」 「かといって、国民は先の大戦のトラウマから戦争に消極的だ。」 「おまけにあのナチどもも最近トーンダウンしているらしい。ラインラント進駐一周年を機に、国境兵力の近隣への通知と相互連絡体制を整備するといってきたそうだ。」 「あのワイン業者ががなりたてていたのと違ってやけにやわらかい対応だな。」 「そのかわりポーランド軍のドイツ国境への前進配置を静かに周知しつつある。 手を切りつつあった日本人のやり口をま...
  • ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間
    383 :ひゅうが:2016/07/26(火) 21 16 09 ――「神崎島鎮守府最新鋭重巡 帝都へ来訪!大英帝国訪問のため」 1937(昭和12)年4月2日 朝○新聞朝刊 ――「日本列島改造計画始動! 帝国を10年で欧州なみにと首相。野党は批判。」 同 4月2日 経済欄 ――「すげぇ…新品の工作機械なんてはじめてみた!」 東京市のとある町工場にて ――「専用機械ばかりじゃないか。贅沢すぎやしないか?」 同 ベテラン作業員 ――「こいつが…機械のモグラ、TBMか。こんなので黒部の山を掘り抜けるのか?」 1937(昭和12)年4月10日 黒部川総合開発計画起工式にて ――「試験車両速度、時速200キロメートルを突破!!」 1937(昭和12)年4月12日 神崎島車両試験線にて 国鉄技師 ...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「風に乗る」
    410 :ひゅうが:2016/07/17(日) 19 18 57 神崎島ネタSS―――「風に乗る」 日本経済は、1931年以降回復基調にあった。 言うまでもなく満州事変に伴う経済圏の拡大が景気(文字通りの「気分」として)を上向かせたことに加え、軍拡に伴って重工業需要が増大したことによるものである。 もともと日本経済は昭和初期の金融恐慌以来どん底にあえいでいた。 その間に財閥の寡占化という名の不良債権処理が進んでおり、世界恐慌による被害が相対的に少なかったという事情もある。 だが、傷は深い。 中産階級として勃興しつつあった農家は小作貧民に転落しつつあり、都市生活者は失業者という名の貧困層へと移行しつつあった。 このような時代、経済再編に成功した財閥への恨みつらみと、政争を繰り返す政党政治への幻滅が世情を支配しても不思議ではない。 かくて、軍部の台頭と...
  • ネタ86_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「人間の限界」
    616 :ひゅうが:2016/10/03(月) 21 17 26 神崎島ネタSS――「人間の限界」 ――同 神崎島 南波照間諸島沖 神崎島鎮守府 第2水雷戦隊 「陽炎、同期が落ちていますよ。」 『り、了解…』 「神通さん。連続『3日目』、しかもこのうねりの中では――」 「…そうですね。無理はしすぎない方がいいですか。荒天下演習は――」 「ですです!」 軽巡「神通」の艦橋の空気が緩む。 演習に参加していた帝国海軍の中堅士官たちもほっとした表情を見せている。 ここ数か月、神崎島鎮守府所属艦隊はフィリピン海上や西太平洋上でこうした艦隊演習を繰り返しており、それに帝国海軍から観戦武官が必ず派遣されるのもまた常となっていた。 今回やってきたのは、有賀幸作や木村昌福といったいわゆる「史実」で実戦派として知られた士官たち。 そして...
  • ネタ83_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――閑話「悪夢」
    275 :ひゅうが:2016/09/10(土) 16 39 37 ※ 実験作兼メタ話。グロ注意です。  神崎島ネタSS――閑話 「悪夢」 こんな夢をみた ――西暦1945(昭和20)年8月6日 午前8時15分 ゆるさない。 「どうしたんですか?何があったんですか?!」 私は、周囲を走り出す人々に次々に声をかけたが、返答はなかった。 頭を奇妙な頭巾のようなもので覆い、(奇妙なことに)都会であると思われる場所にもんぺ姿の女性しかいない状況。 男性も、着ているものはやたらとカーキ色であったり質の悪そうなものが多い。 背広姿の人間など数えるほどだ。 遠くから、消防車のサイレンのような音が響いてくる。 「空襲警報は解除になったはずじゃなかったのか?」 「知らんよ!1機や2機の偵察機の侵入は日常茶飯事だ。」 ...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「接触」その6
    398 :ひゅうが:2016/07/11(月) 19 20 34 艦こ○ 神崎島ネタSS――「接触」その6 ――西暦1937(昭和12)年1月20日 「この協定が、西太平洋上における平和を意味するものとなること、そして『四か国』がともに友好を深めあうことを願ってやみません。」 生真面目そうなクイーンズイングリッシュで述べられたスピーチに、拍手が響いた。 記者だという「青葉」や、急きょ艦隊から報道班経験を有する士官を記者にしたてた連中がフラッシュをたき、四人の提督が握手を交わす。 南方の太陽が提督たちを照らし、続いて「鎮守府」本庁舎の尖塔に島の旗である海色羅針旗とともに日の丸が掲げられた。 本庁舎前に急きょ設置された旗竿にはためく英国や米国海軍旗、そして帝国海軍の軍艦旗を見下ろすようにはためく姿に、式典に招かれた連合艦隊の士官や兵士たちが万歳三唱...
  • ネタ86_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「官僚たち」
    705 :ひゅうが:2016/10/04(火) 02 44 32 神崎島ネタSS――「官僚たち」 ――同 日本帝国 帝都東京 内務省 日本列島改造計画本部 「黒部発電所建設は、これで軌道に乗ったといってもいいですな。」 「うむ。第3発電所だけで8万kW、第4発電所で33万kW。先日着工したばかりの有峰ダム系列で20万kW。 これだけで我が国の発電能力は3割増しに向上する。か。話を聞かされたときは笑い飛ばすようなことだよ。剛毅、だな。」 「湾岸の多段階式(コンバインド)火力発電所群とあわせれば100万kWだ。5割増しだよ。 熱効率6割に達する新型発電所の完成は、わが帝国の慢性的な電力不足を電力余りといえる状態にまで改善することになる。」 「本音をいえば、あの資料にあった加圧水型原子炉による商用発電が使えれば便利だがね。 138万...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「海軍次官の憂鬱」
    912 :ひゅうが:2016/07/14(木) 20 50 22 艦こ○ 神崎島ネタSS――「海軍次官の憂鬱」 ――1937(昭和12)年2月27日 海軍省(赤煉瓦) 『本日、天皇陛下御自ら神崎博之提督に対し元帥号が授与。あわせて神崎島鎮守府設置の御裁可を得ました。 帝国の海洋領土は一気に拡大し、西太平洋のほぼ全域が――』 河西三省アナウンサーの声がラジオから響く。 昨年のベルリン五輪で日本中を熱狂させた実況放送の担い手は、昨日の襲撃未遂事件(早くも第二次2.26事件と呼ばれている)以来一睡もしていない疲労を感じさせない調子で新たな帝国領土の誕生を告げていた。 それを少しばかり不機嫌な風に聞きながら、山本五十六海軍次官は鼻を鳴らした。 ここは海軍省の次官室。 相手にしているのは、徹夜明けにも関わらず涼しい顔を崩さぬ黒いブレザー型軍服の「女性...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「その天命これ新たなり」
    516 :ひゅうが:2016/07/18(月) 00 00 48  艦こ○ 神崎島ネタSS――「その天命これ新たなり」 ――1937(昭和12)年3月7日 竹芝桟橋 「ばんざーい!ばんざーい!!」 この方は、なんとおっかないのだ。 歓呼の声が響く中、神崎博之は笑顔であの御方と歓談していた。 「御苦労だったな。」 「もったいのうございます。」 すべてが前代未聞だった。 10日に及んだ帝国本土滞在は、「日神基本条規」と呼ばれる帝国と神崎島の関係の確認書類への署名によって終結した。 多々ある条文をその都度語ることはできないが、要約すれば以下のようになる。 神崎島には道府県制は敷かず、暫定的に皇室御料地として扱う。 あまりに多くの資源を有し、軍備を有するために手の届かぬところにおいたという扱いだが、実態は多くの秘密を有する彼...
  • ネタ79_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「1937年6月」その5
    533 :ひゅうが:2016/08/12(金) 23 11 46 神崎島ネタSS――「1937年6月」その5 ――1937(昭和12)年6月29日 神崎島鎮守府「中央即応集団」基地 「提督より命が下った!」 妖精さんこと温水逸雄大佐は、指揮台の上から声を張り上げた。 「わが隊は、これより長躯太平洋から東シナ海を抜け、上海へ向けて長距離飛行を断行する。 途中、詫間空および佐世保空から同任務にかかる帝国海軍航空隊と会同。 以後か彼の指揮下にて上海を目指す!」 言葉を切る。 彼らの機体は大型である。乗員の数も、小さなものでも14名。 大きなものだと25名を数えるのだからその責任は極めて大きい。 「第一戦略爆撃隊は即応できない!上海の特殊な地勢が理由であり、それこそがわが中央即応集団がゆく理由である!」 温水は、か...
  • ネタ86_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「黒部」
    568 :ひゅうが:2016/10/03(月) 16 53 50 神崎島ネタSS――「黒部」 ――1937(昭和12)年7月8日 日本帝国 富山県 黒部渓谷 「はー…すごいでっかいの。」 「おう。これがてぃーびーえむっていうものなんだと。」 「海カゲロウ(ふなくいむし)みたいやな。」 「これで掘りぬいたんけ。」 「氷かき機みたいにまわって岩盤を粉にしながら掘ったんだと。」 精一杯のおめかしをした人々が、口々に巨大な機械を見上げていた。 彼らが暮らす宇奈月温泉に「どうやら貫通したらしい」というしらせが入ったのは3日ほど前のこと。 それと前後して、町の酒屋に大量の酒樽の注文が入ったことで噂は確信へと変わった。 はるか上流、黒部川の奥において進められていた工事の第一段階は成功裏にそれを終えることができたのだ。 ...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「来島者」
    752 :ひゅうが:2016/07/19(火) 04 44 38 艦こ○ 神崎島ネタSS――「来島者」 ――「天皇ハ帝國ノ統治ニ当リ 其ノ権能ヲ代行セル者トシテ帝国議会並ニ重臣会議ノ協賛ヲ得 内閣総理大臣ヲ任命ス」      日本帝国憲法(昭和第一次改正)第四条第二項 ――「内閣総理大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ権能ヲ代行ス」      同 第五五条第二項 ――西暦1937(昭和12)年3月8日 神崎島 神崎島鎮守府本庁舎 「本日付をもって、大日本帝国高等弁務官として着任した山下奉文中将であります。」 「同じく堀悌吉中将であります。」 「神崎です。お二方の着任を歓迎いたします。」 敬礼をささげられた神崎は緊張していた。 よりにもよってこの二人が着任されるとは…と。 山下奉文については言わずもがな。 ...
  • ネタ77_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「三匹がゆく! in Britain」その6
    659 :ひゅうが:2016/08/01(月) 21 18 57 神崎島ネタSS――「三匹がゆく! in Britain」その6 ――1937(昭和12)年5月10日 ロンドン 日本大使館 「テートクぅ!!」 跳んだ。いや飛んだ。 全員が一致した感想を抱く。 空中で一回転した金剛は、ようやくのことで、秩父宮殿下とともに神崎島から飛来することができた神崎提督に飛び込んだ。 「あ!ずるい!…じゃなかった。何をやってるの!」 足柄の一喝に、いわゆる大好きホールドで固まっていた金剛はすたっと床に降り立ち、ものすごい勢いで壁際に後ずさった後、軽く腰を折り来客に向けて淑女の礼をとった。 「よい細君を選ばれましたな。」 ウィンストン・チャーチル卿が顔をくしゃっと丸めて揶揄するかのようにいった。 「いえ閣下。」 金剛が(...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「臨時戦訓検討会議」
    143 :ひゅうが:2016/07/16(土) 17 19 48 艦こ○ 神崎島ネタSS――「臨時戦訓検討会議」 ――西暦1937(昭和12)年2月28日 海軍軍令部 臨時戦訓検討会議 「貴君らの敢闘に敬意を。」 伏見宮元帥海軍軍令部総長が静かに口を開いた。 それを神崎は「ありがとうございます」と受け取った。 対面には、軍令部を構成するエリートたちがずらりとならぶ。 いずれも、海兵という帝国大学を上回る狭き門を突破し、さらにその上で海軍大学校を出たハンモックナンバー(成績)上位者である。 対するこちらといえば、軍装に参謀飾緒をあしらった大淀。 同じく参謀として付き従う霧島。 機動部隊の参謀という役向きでやってきた瑞鶴(当初は赤城だったが、戦訓検討のため最後の機動部隊戦を戦い抜いた彼女を加賀が推薦した)。 ほか、水雷戦隊からは神通。技術部か...
  • ネタ94_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「御指名」
    445: ひゅうが :2017/01/08(日) 22 13 43 艦こ○ 神崎島ネタSS――「御指名」 ――1937(昭和12)年8月20日 帝都東京 本所 「ああ面白かったよ。」 喜色満面で笑う米内光政大将の姿に、山本五十六中将は愛想もこめて苦笑いをしてみせた。 ぷくぷくと沸き立つ鉄鍋の上では、軍鶏の身が躍り、ややしなびてきた牛蒡が少しずつ震えるようになっている。 「私が司令長官の間は戦争は起こるまいというから思い切りやらせてもらったが、やはり相手がいるのはいいね。」 からりと笑う。 暑い盛りであるのに鍋を囲んでいるから二人とも背広の上着は脱いでいた。 先ほどまで、第3艦隊参謀であった小沢治三郎大佐となにがしか話し込んでいたらしいが、山本がきてからすぐに彼は去ったために何を話していたかはわからない。 だが、今のような陽性の雰囲...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「国防は軍人の専有物に…」
    274 :ひゅうが:2016/07/17(日) 00 56 47 神崎島ネタSS――「国防は軍人の専有物に…」 ――西暦1937(昭和12)年3月4日 帝国陸軍 富士裾野演習場 「撃てぇ!」 統制官天幕からの号令に従い、巨大な鉄の猛獣が脈動した。 刹那も置かずに砲口から巨大な火炎がほとばしり、砲口制退器から左右に砲煙が噴出した。 発砲可能を示す赤い小旗が爆風と衝撃波にたなびき、数秒遅れて天幕に轟音が響いた。 「まるで重砲だ。」 「その通りです。主砲は122ミリ。もとは軍団砲兵のカノン砲です。」 「ロスマン中佐。ドイツは、こんな怪物を運用するのか。」 「いいえ。これはWW2後期のソ連軍の重戦車の系譜に属するものですね。前線突破用にソヴィエトはこれを8000両ほど生産しています。」 「は・・・」 戦車第8連隊...
  • ネタ86_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――閑話「亡国の選択肢」
    366 :ひゅうが:2016/10/02(日) 08 36 36 神崎島ネタSS――閑話「亡国の選択肢」 ――1937(昭和12)年7月8日 神崎島 観音崎航空基地 機関士兼航法士は上機嫌だった。 「重整備から燃料まで。やはりひと月のオーバーホールを経た機体は調子がいいですね。」 「そうねー。」 「どうしたんです?」 やる気のなさそうな声を出したアメリア・イアハートは苦い表情で笑みを作った。 「完全に誰かの掌の上だったなーと、それだけかしら。」 「確かに。」 ならしの暖気運転の合間、チェックリストをこなし終えた間の一瞬の話題としてそれを選んだのは必然だった。 アメリア・イアハートが二式大艇改、愛称「エミリー」によって輸送したものによって、米本土はもとより世界中が驚倒し憤激した。 迅速な避難と退避勧告を受け...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「艦政本部の憂鬱」
    943 :ひゅうが:2016/07/14(木) 22 54 08  艦こ○ 神崎島ネタSS――「艦政本部の憂鬱」 「これは…反則だろう…」 「なんだ…これは…戦艦だけで数十?」 「あの優男と女学生みたいなのは…こんな修羅場を潜り抜けてきたのか…」 新戦艦検討会議で、思わず漏らされた少壮佐官たちの声。 室内にはカラカラというフィルムを巻き取る音以外に、そんな声と映写機の映像だけが流れていた。 『オノレェ!』 『敵中枢棲姫に命中多数!』 『全艦に打電!「天佑を確信し全艦突撃せよ。われに続け!」』 『さすが提督ネ!Follow me!!』 映像の中はハワイによく似た幻の島、タイヤキ・ヘッド岬砲台は沈黙。 パルフェ・ハーバーに陣取る巨大な水上要塞がすさまじい砲火を吐き出す中、空を圧する超重爆撃機の大軍が必殺の2...
  • ネタ78_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「ある朝」
    848 :ひゅうが:2016/08/08(月) 23 00 00 艦こ○ 神崎島ネタSS――「ある朝」 ――1937(昭和12)年6月12日 神崎島 海軍中将堀悌吉の朝は早い。 元来が健康に気を使い、酒もタバコも控えている彼の夜は早かった。 その上、ここ最近は新たな日課が加わっている。 「おはようございます堀提督。」 「おう。おはよう。」 ジャージという動きやすい服装に着替えた彼は、いつもの通りの待ち合わせの場所、神崎島戦史博物館前に6時25分ぴったりに到着する。 緯度としては沖縄や小笠原とほぼ同じ神崎島であるから、6月にも関わらず気温は高い。 待ち合わせ先では、彼と同じ習慣を身に着けた随員のいくらかだけでなく、島民たちが待っていた。 それに、いくらかの艦娘たちも。 中でも、彼のなじみの艦――言い方に誤解が混じるかもしれないが...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「2月26日」その1
    532 :ひゅうが:2016/07/12(火) 17 22 57 艦こ○ 神崎島ネタSS――「2月26日」その1 「わざわざ2月26にしなくともよかったのではないですか?」 「いえ、先方がこの日にちが空いているといっていましたからね。」 「提督を囮にするようで気が進まないのは私も同じよ。」 「私たちの中で交渉ごとが得意なのは、元外交官の妖精さんのほかはお前くらいしかいないからな。 私はご覧の通りだし…大和は、なんというか箱入り娘だ。」 「むぅ!」 「それに、守り切れるだろう?大淀。お前なら。」 「ええ。もちろん。」 「うわぁ…なんてドヤ顔…わ、私だって!初期艦の誇りにかけてお守りします!」 「私の決め台詞をとらないでください!」 ――1937(昭和12)年某日 神崎島にて ――19...
  • ネタ83_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「去る者、来る者」
    976 :ひゅうが:2016/09/15(木) 00 32 18 神崎島ネタSS――「去る者、来る者」 ――1937(昭和12)年7月4日 上海 「では、我々はこれで失礼いたします。大川内司令。」 「うん。御苦労だった。バウアー中尉。停戦協定発効に伴い我々も撤収するが、今度は本土で会いたいものだ。」 踵を打ち鳴らして敬礼する眼帯姿の女性――というより少女に見える人物に、大川内伝七少将も同様に答礼。表情を緩めた。 実のところ、彼女らはマッカーサー率いる米比軍から残留を強く要請されていたが、本国…というか本島の命令ないし、国際法に従うという名目で可能な限り撤収が急がれた経緯があった。 75ミリ砲を搭載し高速で戦場をかけ、そして下手な中戦車の主砲を弾き返す戦車をマッカーサーは手元に置きたがったのだ。 一度など、言い値で代金を払うからと強引に持って行か...
  • ネタ73_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「2月26日」その2
    565 :ひゅうが:2016/07/12(火) 20 31 57 艦こ○ 神崎島ネタSS――「2月26日」その2 竹芝埠頭からは長い桟橋が伸びている。 そこには出迎えの軍楽隊や見物の民衆が並び、希にみる巨人飛行艇の着水を見守った。 今や国民的な娯楽となったラジヲのアナウンサーも中継マイクロフォンに上ずった声で実況を続けている。 軍楽隊の手により流されるのは、1月に作曲されたばかりの古典風軍楽曲「吉志舞」だ。 新進の天才作曲家として知られる伊福部昭の作成した主題を陸海軍が翻案したというこの曲は、作曲者が明らかにされてはいない。 静かな第一部を演奏し始めたのは、水上を埠頭へ向かう飛行艇の到着時に第二部がくるように配慮した結果だった。 プロペラの回転数を変えつつ埠頭へ向かってきた全幅75メートルに達する巨人機は、たっぷり1分半ほどで耳慣れない甲高い金...
  • ネタ72_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「接触」その4
    740 :ひゅうが:2016/07/07(木) 17 25 53 艦こ○ 神崎島ネタSS――「接触」その4 「こんなものを見せて、我々に何をさせる気なのかね?我々はこんなものを見せられてはいそうですかと返す程度の無能ではないぞ。」 「さすがは俊英をうたわれた米内提督だ。話が早い。」 「というよりは君らが露骨すぎるのだ。君らが我が帝国に単純ならざる感情を持っていることは理解したよ。いやというほどね。」 米内光政は肩をすくめた。 ここで腹の探り合いをする気がないのは理解した。 映像の持つ魔術的な作用も。 「わが鎮守府は、今後約70年間の医学的・科学的成果を大日本帝国に提供する用意があります。 加えてわが鎮守府が実効支配する島嶼のうちいくつかを防衛目的で提供し、さらには本島から採掘される豊富な資源も。」 「具体的には?」 掛け...
  • ネタ93_第三帝国さま_神崎島ネタSS――閑話「証言」
    463: 第三帝国 :2016/12/23(金) 10 48 15 艦これ×神崎島ネタSS――――閑話「証言」 「潜水艦を見つけることは本当に難しかったですね。  聴音の性能もハッキリ言って悪いから、先手を取られるばかりでした」 語り部の名は不知火。 かつて魚雷を受けて船体を切断した状態で帰還。 となかなかない経験をした不知火の言葉に誰もが耳を傾けていた。 「対潜訓練の頻度は?」 「それはここと同じであったと述べましょう。  駆逐艦の役割として夜戦を重視して訓練する一方で、対潜訓練は後回しになっていましたからノウハウの蓄積が非常に不足していました」 その言葉にバツが悪そうにする将校達。 特に水雷屋は漸減するはずが逆に漸減された「史実」を知るだけに余計にであった。 加えて戦争初期では魚雷の早期起爆による戦果誤認。 戦争...
  • ネタ74_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「狂愛」
    68 :ひゅうが:2016/07/16(土) 00 38 48 艦こ○ 神崎島ネタSS――「狂愛」 ――西暦1937(昭和12)年2月27日 「楽しかったかい?」 「はい!思いっきり体を動かすのは楽しいです! でも…外に出られないのはちょっと気が滅入りますね。司令官。」 吹雪がほほ笑んだ。 背後では、なんとか笑みらしきものを作っている陸海軍の若手士官や警護官たち。 死屍累々――もちろん比喩的表現として――という有様だった。 おおかた、首相官邸での会話の間暇をしていた吹雪をちょっと遊んでやるくらいの気持ちだったのだろう。それが、思いのほか熱が入ってしまったのだろう。 若い士官にとっては、見た目子供な相手に手もなく投げ飛ばされては黙ってはいられまい。 ふと、神崎はこの場に島風や長良あたりを連れてこなくてよかったと思った。 彼女たちは...
  • ネタ72_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「接触」その3
    524 :ひゅうが:2016/07/05(火) 22 50 01   艦こ○ 神崎島ネタSS――「接触」その3 「先導艦より信号。『前方ノ将旗ヲ掲ゲタル艦ガ旗艦「やまと」ナリ。』」 「返信。『先導ニ感謝ス。』」 駆逐艦「時雨」は、わずかに速度を緩めた。 が、前方を先導する謎の艦隊の駆逐艦「吹雪」は巧みに速度を上げつつ針路を変更した。 「いい腕だ。」 米内は思わずそう漏らした。 艦という巨大な物体は、針路を変更すると当然それまで進行していた方向向きの運動量が減少する。 学校の数学でよく習う運動ベクトルだけでなく、要は水の抵抗の問題だ。 そのために後続艦はわずかに速度を緩めるかして追突を防ぐのであるが、前をゆく「吹雪」はそれを見越して速度を上げながら針路を「時雨」に譲ったのだった。 しかも見苦しくない程度で。 これができる...
  • ネタ80_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「第2次上海事変」その1
    136 :ひゅうが:2016/08/19(金) 18 09 55 艦こ○ 神崎島ネタSS――「第二次上海事変」その1 ――同 7月1日午前3時 上海 黄浦江岸 観音開きの扉が開き、跳ね橋のようになっている通行板が埠頭におりた。 大陸の河川らしく、「埠頭」があるこの「河港」は下手な漁港のそれよりも規模が大きかった。 停泊している船舶は、普段よりもやや少ない。 現地に生きる人々は、国民党軍の槍先はもっぱら日本人に向いていることを知っていたし、彼らとつながりのある人々は早々と脱出していた。 欧米人は関わり合いにならぬようにしており、日本総領事がどれだけ要請しても舟を出そうとはしなかった。 つまりは、ここにいたのは親国民党か中立勢力ばかりということになる。 そのため、陸戦隊も無茶を通せた。 出港用意を調えながらも日本人だけ乗船を拒否する船を退去させ...
  • ネタ112_第三帝国さま_銀河連合日本×神崎島ネタSS――——―幕間「記録の断片Ⅴ」
    262: 第三帝国 :2018/01/24(水) 20 55 38 銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――幕間「記録の断片Ⅴ」 「ペンネーム、ひゅうが様からのお便りがきました。  『陽炎型の至高にして至上で在らされる親潮様。   どうか自分を罵ってください、そう例えばこの土豚とか泥亀!など』です!」 「え、えーと・・・・・・罵るんですか?」 「大丈夫だと思いますよ親潮さん(笑)」 「い、いちゃいますよ。  本当にいっちゃいますよ、せーの、この土豚!泥亀ぇ!」 ―――――親潮、中の人である本〇楓とのラジオ番組にて。 「はい、視聴者からのコメントですが『素でしゃべってみてください』とのことです」 「これが素なんですけど!?」 ―――――阿武隈、わくわく動画のインタビューにて。 マルキューサンマル...
  • ネタ75_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――「陸軍機械化ことはじめ」
    105 :ひゅうが:2016/07/21(木) 07 48 40 艦こ○ 神崎島ネタSS――「陸軍機械化ことはじめ」 ――1937(昭和12)年3月20日 帝都東京 北の丸 「いや、問題があるわけじゃないんだが…」 近衛師団に所属するある大尉は引きつった顔で目の前にならぶ物体の群れを見つめていた。 「昨日の今日でこれだけの数がくるというのは正直引くぞ…」 「しかたがありませんよ大尉殿。」 隊つきの軍曹がこちらも苦笑しつつ応じた。 「何しろ皆運転なんぞしたことはありません。この間の三長官会議でぶち上げられた陸軍総機械化構想なんてものを実現するにはこの車両が必要になるんです。」 まぁ、そりゃそうかなぁ。と少尉は思った。 彼の目の前でエンジンの音をたてているのは、はるかな未来で「軽トラック」といわれることになるはずの車...
  • @wiki全体から「ネタ76_ひゅうがさま_神崎島ネタSS――幕間「偽預言者はかく語りき」」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索