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-DeLeTe- 霊夢の隣には萃香。 境内にはあの三匹の妖精の姿が時折見える。 部屋の中ではレミリアが紅茶を啜っている。 午後には天子がやってくるらしい。 そんな平穏な日。幻想郷のいつもの毎日。 皆がいて、茫洋とした時が流れ、たまに異変がある。 そんな、毎日。 ・ でも、何か違う。 霊夢はその日、何か違和感を感じていた。 大事なものが足りないような、何か、そんな感覚を、覚えていた。 「よ」 気づくと、目の前に、古風な魔女の格好をした、少女がいた。 金髪に、白い肌。綺麗、そう評するに足る外貌を持った、少女が。 顔は穏やかにはにかんでいて、いかにも快活そうな性格がにじみ出ている。 「あ、――」 霊夢はその少女を前に、どこか違和感を感じていた。 大事な誰かなのに思い出せないような、そんな感覚に、やきもきしていた。 「いいな、霊夢。賑やかで」 少女は、そのままの表情で、綺麗な琥珀色の瞳を細めて、問いかけた。 「あ、うん。皆、居るし。――も」 そこまで言ったところで、すこしだけ、違和感の正体に近づいた気がした。 ――この子、誰だっけ? 解っているのに、解っていない。 知っているのに、覚えていない。 少女は、その大きな帽子の鍔に手をやり、少し顔を隠す。 すると、周囲の喧騒が、その瞬間だけ、消えた気がした。 「幸せそうでよかった」 「幸せ?」 霊夢は焦った。眼前の少女の名前が、思い出せないことに。 この少女は、霊夢にとって大事な誰かであったはずなのだ。 はず、なのに。 「昔のお前からじゃ、考えられない」 「どういうこと?」 直感した。何が起こるのか。 「だから」 「待って」 はにかみながらも、哀しそうな色を浮かべるその表情から。 「私はもう必要なさそうだ」 「そんなことない」 解っている。自分はこの少女を知っている。 なのに、名前が出ない。喉から出てこない。 嘘だ。そんなことあるわけがない。だって、――は、私の。 「大丈夫だよ。霊夢は強いんだから」 「やめて、行かないで!」 私の大事な…… 「さよなら、霊夢」 ・ 喧騒が戻ってきたとき、目の前にいたはずの少女は、どこにもいなかった。 「……ねぇ」 「?」 「みんな、ここに今、誰か」 ・ 紅い館。悪魔の館。 そこに住まう一人だけの人間。 メイドの長にしてメイド長。瀟洒で完全な従者。 「あら、――」 いつもの、自分が大事にしていた客人の気配がした気が、確かにあった。 でも、振り向いた先には、何もないし、それに、そんな客人がいたことも、思い出せなかった。 ・ みんなわかってた。 あんな都合のいい人間なんて、いるわけがないことくらい。 例えば、神社。 孤独な巫女のところへ、友達であるかのように足しげく通う人間など、いるわけがない。 まして、妖怪幽霊の出没する危険な回廊を通ってこれる、それも少女なんて。 けして巫女が退屈しないよう、毎回勝負を挑んで、負けて、それでも努力して向かってくる少女なんて。 妖怪の中に紛れて過ごすことのできる少女なんて。 あるいは、悪魔の館。 退屈な門番の相手を、迂回もせずに真正面から戦ってくれる少女なんて。 最悪の場所にわざわざ侵入して、傷ついた少女の話し相手になってくれる少女なんて。 読まれもしない、紙くずのような価値しかない書物を、奪いだしてまで読んでくれる少女なんて。 悪魔の姉妹の前でも、けして怖気づかない少女なんて。 それに、冥界。 もしかすると、竹林の屋敷。 または、太陽の畑とか、無縁塚。 数え上げればきりがない。 少女はいつでも皆と共にあった。 少女はどこでも皆と共にあった。 みんな薄々、気づいていた。 彼女が『都合のよい存在』であることに。 でも、誰も気づかなかった。 彼女がその枠を踏み越えてしまったことに。 都合が良すぎたんだ。 ・ 少女はどこへ行ったのだろう? 「ねぇ、紫」 「なにかしら?」 少女はなんという名前だったのだろう? 「私、大事な友達が居た気がするの」 「みんな、ここにいるじゃない」 少女は私にとっての何だったのだろう? 「そうじゃないの。誰か、忘れてる気が――」 「気のせいよ」 霊夢は、なぜか釈然としなかった。 ただ、あの少女には、もう会えないのだろうと、そんな漠然とした確信があるだけだった。 なぜだろう、すごく寂しいのは。 「あの子は、私の、大切な」 さよなら、――。 fin - 愛されてるな -- 名無しさん (2010-04-30 00:49:04) - 紫はわかっていながらもはぐらかしたのかな -- 名無しさん (2010-04-30 16:42:43) - なんかしんみりした -- 名無しさん (2010-05-01 01:05:38) - 皆の望みから産まれ、皆の望みが叶ったからいなくなった幻ということなのでしょうか…? &br()紫は気づいていたし知っていたからはぐらかしたのかな? -- 名無しさん (2010-05-01 14:09:48) - その理屈から考えると、俺らが望めば魔理沙が目の前に現れて・・・ &br()おいお前ら!ハヤク望ムンダ!!! -- 名無しさん (2010-05-01 18:28:28) - アリスか私の婿になる予定なら望んでやってもいいよ -- 名無しさん (2010-05-01 20:59:36) - 婿ってあんた -- 名無しさん (2010-05-01 22:34:38) - ふたなりかよ -- 名無しさん (2010-05-12 19:43:00) - ふたなりくたばれナリ -- 名無しさん (2010-05-14 11:06:19) - こんな所にもショタマリ派の魔の手が… -- 名無しさん (2010-09-03 20:58:49) - 望んで、「それ」が現実になったとしても、「それ」は貴方を必要としていると断言できますか? -- 名無しさん (2010-09-03 21:21:14) - 別に嫌われてようが好いてくれようが構わんぜよ -- 名無しさん (2010-09-04 20:14:29) - おいアリスは俺の嫁だ!!!! -- 名無しさん (2010-09-05 14:34:57) - ハァ?何言ってんだアリスは俺の婿だっつってんだろ!!! &br() -- 名無しさん (2010-09-05 22:02:26) - いじめネタなのかこれ? &br()魔理沙はみんなから愛されてますよっていいたいの? -- 名無しさん (2010-09-06 01:05:05) - ヒント…このSSは霊夢いぢめの項目 -- 名無しさん (2010-10-17 02:38:35) - 待て、投下時のコメントは「一番困るのはスレ住人」だったぞ -- 名無しさん (2010-10-18 01:59:18) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
-DeLeTe- 霊夢の隣には萃香。 境内にはあの三匹の妖精の姿が時折見える。 部屋の中ではレミリアが紅茶を啜っている。 午後には天子がやってくるらしい。 そんな平穏な日。幻想郷のいつもの毎日。 皆がいて、茫洋とした時が流れ、たまに異変がある。 そんな、毎日。 ・ でも、何か違う。 霊夢はその日、何か違和感を感じていた。 大事なものが足りないような、何か、そんな感覚を、覚えていた。 「よ」 気づくと、目の前に、古風な魔女の格好をした、少女がいた。 金髪に、白い肌。綺麗、そう評するに足る外貌を持った、少女が。 顔は穏やかにはにかんでいて、いかにも快活そうな性格がにじみ出ている。 「あ、――」 霊夢はその少女を前に、どこか違和感を感じていた。 大事な誰かなのに思い出せないような、そんな感覚に、やきもきしていた。 「いいな、霊夢。賑やかで」 少女は、そのままの表情で、綺麗な琥珀色の瞳を細めて、問いかけた。 「あ、うん。皆、居るし。――も」 そこまで言ったところで、すこしだけ、違和感の正体に近づいた気がした。 ――この子、誰だっけ? 解っているのに、解っていない。 知っているのに、覚えていない。 少女は、その大きな帽子の鍔に手をやり、少し顔を隠す。 すると、周囲の喧騒が、その瞬間だけ、消えた気がした。 「幸せそうでよかった」 「幸せ?」 霊夢は焦った。眼前の少女の名前が、思い出せないことに。 この少女は、霊夢にとって大事な誰かであったはずなのだ。 はず、なのに。 「昔のお前からじゃ、考えられない」 「どういうこと?」 直感した。何が起こるのか。 「だから」 「待って」 はにかみながらも、哀しそうな色を浮かべるその表情から。 「私はもう必要なさそうだ」 「そんなことない」 解っている。自分はこの少女を知っている。 なのに、名前が出ない。喉から出てこない。 嘘だ。そんなことあるわけがない。だって、――は、私の。 「大丈夫だよ。霊夢は強いんだから」 「やめて、行かないで!」 私の大事な…… 「さよなら、霊夢」 ・ 喧騒が戻ってきたとき、目の前にいたはずの少女は、どこにもいなかった。 「……ねぇ」 「?」 「みんな、ここに今、誰か」 ・ 紅い館。悪魔の館。 そこに住まう一人だけの人間。 メイドの長にしてメイド長。瀟洒で完全な従者。 「あら、――」 いつもの、自分が大事にしていた客人の気配がした気が、確かにあった。 でも、振り向いた先には、何もないし、それに、そんな客人がいたことも、思い出せなかった。 ・ みんなわかってた。 あんな都合のいい人間なんて、いるわけがないことくらい。 例えば、神社。 孤独な巫女のところへ、友達であるかのように足しげく通う人間など、いるわけがない。 まして、妖怪幽霊の出没する危険な回廊を通ってこれる、それも少女なんて。 けして巫女が退屈しないよう、毎回勝負を挑んで、負けて、それでも努力して向かってくる少女なんて。 妖怪の中に紛れて過ごすことのできる少女なんて。 あるいは、悪魔の館。 退屈な門番の相手を、迂回もせずに真正面から戦ってくれる少女なんて。 最悪の場所にわざわざ侵入して、傷ついた少女の話し相手になってくれる少女なんて。 読まれもしない、紙くずのような価値しかない書物を、奪いだしてまで読んでくれる少女なんて。 悪魔の姉妹の前でも、けして怖気づかない少女なんて。 それに、冥界。 もしかすると、竹林の屋敷。 または、太陽の畑とか、無縁塚。 数え上げればきりがない。 少女はいつでも皆と共にあった。 少女はどこでも皆と共にあった。 みんな薄々、気づいていた。 彼女が『都合のよい存在』であることに。 でも、誰も気づかなかった。 彼女がその枠を踏み越えてしまったことに。 都合が良すぎたんだ。 ・ 少女はどこへ行ったのだろう? 「ねぇ、紫」 「なにかしら?」 少女はなんという名前だったのだろう? 「私、大事な友達が居た気がするの」 「みんな、ここにいるじゃない」 少女は私にとっての何だったのだろう? 「そうじゃないの。誰か、忘れてる気が――」 「気のせいよ」 霊夢は、なぜか釈然としなかった。 ただ、あの少女には、もう会えないのだろうと、そんな漠然とした確信があるだけだった。 なぜだろう、すごく寂しいのは。 「あの子は、私の、大切な」 さよなら、――。 fin - 愛されてるな -- 名無しさん (2010-04-30 00:49:04) - 紫はわかっていながらもはぐらかしたのかな -- 名無しさん (2010-04-30 16:42:43) - なんかしんみりした -- 名無しさん (2010-05-01 01:05:38) - 皆の望みから産まれ、皆の望みが叶ったからいなくなった幻ということなのでしょうか…? &br()紫は気づいていたし知っていたからはぐらかしたのかな? -- 名無しさん (2010-05-01 14:09:48) - その理屈から考えると、俺らが望めば魔理沙が目の前に現れて・・・ &br()おいお前ら!ハヤク望ムンダ!!! -- 名無しさん (2010-05-01 18:28:28) - アリスか私の婿になる予定なら望んでやってもいいよ -- 名無しさん (2010-05-01 20:59:36) - 婿ってあんた -- 名無しさん (2010-05-01 22:34:38) - ふたなりかよ -- 名無しさん (2010-05-12 19:43:00) - ふたなりくたばれナリ -- 名無しさん (2010-05-14 11:06:19) - こんな所にもショタマリ派の魔の手が… -- 名無しさん (2010-09-03 20:58:49) - 望んで、「それ」が現実になったとしても、「それ」は貴方を必要としていると断言できますか? -- 名無しさん (2010-09-03 21:21:14) - 別に嫌われてようが好いてくれようが構わんぜよ -- 名無しさん (2010-09-04 20:14:29) - おいアリスは俺の嫁だ!!!! -- 名無しさん (2010-09-05 14:34:57) - ハァ?何言ってんだアリスは俺の婿だっつってんだろ!!! &br() -- 名無しさん (2010-09-05 22:02:26) - いじめネタなのかこれ? &br()魔理沙はみんなから愛されてますよっていいたいの? -- 名無しさん (2010-09-06 01:05:05) - ヒント…このSSは霊夢いぢめの項目 -- 名無しさん (2010-10-17 02:38:35) - 待て、投下時のコメントは「一番困るのはスレ住人」だったぞ -- 名無しさん (2010-10-18 01:59:18) - なんか霊夢が可哀想になったのはおいどんだけでごわすか? -- キング クズ (2016-06-27 04:45:17) - でれて -- 名無しさん (2018-02-24 17:48:01) - 紫が魔理沙を消した? -- 名無しさん (2018-05-05 20:38:49) - 『本当は大切な友達の筈なのに、それを忘れさせるような不埒なことをやらかしたのは誰なんでしょうか?』 &br()足を引っ張ったウィーケストリンクを書きなさい。 -- 名無しさん (2018-08-31 16:25:20) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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