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フランちゃんネタ:27スレ163(前編) - (2016/01/15 (金) 19:49:44) の編集履歴(バックアップ)


「妹様、お茶にしましょう。図書館に来て下さい」

もうすぐ優雅なお茶会の時間だ。
それにフランを誘うため、咲夜が地下室にやってきた。


「ねぇ咲夜、これ見て? 私が描いたんだよ」

咲夜が部屋に入るなり、フランは手にしたスケッチブックを見せた。
それにフランは何枚かの絵を描いていた。

例えば自分が姉と遊んでいる絵、紅魔館の中庭、花や小動物など。
いかにも純粋無垢な子供が描きそうな絵ばかりが並んでいる。


「頑張って描いたんだけど、どうかな? あまり上手くないかも・・・」

「そんなことありませんよ? とってもお上手です」

そう言う咲夜は実に嬉しそうだ。


実際、フランの絵は見た目の年齢の割には上手かった。
しかしそんなことよりもフランが自分に絵を見せてくれたのが嬉しかったのだ。



己の主人の妹に初めて会った時、彼女は全く心を開いてくれなかった。
自分のことを新しい玩具にしたいなどと言われて度肝を抜かれた。
主も妹は手に負えない暴れ者だと言っていた。


そんな出会いから少しずつ距離を縮めていき、今ではこうして普通に会話が出来るようになった。
それどころか、彼女と一緒にいる時間が最も長いのは、その世話をしている自分なのかも知れない。

今の二人の関係は単なる主の妹と館のメイドではなく、もっと重たいものになった。



「まぁ! これ・・・私ですか?」

「そうだよ、咲夜だよ。」

「ありがとうございます。私・・・この絵が一番好きです」


1ページ丸々使って咲夜が描かれていた。
気のせいかも知れないが、咲夜はこの絵が一番丁寧に描かれているような気がした。









「あー・・・気分悪い・・・体だるいよ」
「昨日、飲みすぎたんじゃないの?」
「いや、二日酔いじゃない。と言うか、ここんとこずっとこんな感じよ」
「珍しいこともあるものね・・・」


「全くよ。何てことだ、このレミリアが・・気分が悪いだと・・・」



元来、吸血鬼は極めて頑丈な種族。
そのレミリアが体調不良を訴えるなんて、まずありえない筈だった。

最も、24時間365日、ほぼ常に体調の優れないパチュリーはあまり心配する気にならなかったが。






「お嬢様、パチュリー様、お茶の時間ですよ」
そこに咲夜とフランがやってきた。


「あ、咲夜。悪いけど今日は・・・」
「お姉様、パチェ! ねぇ見て? 私、絵を描いたのよ」

フランが早速、手に持ったスケッチブックを見せてきた。


「・・・あんたもよく飽きないよね」
「まぁ、上手いんじゃないの?」

レミリアもパチュリーも、あまりそれに興味を示してはくれなかった。


「ちょっと、もっとちゃんと見てよ! これがパチェで、これがお姉様だよ」

フランにとっては、二人の反応が咲夜のそれよりも大分薄いのが不満だったらしい。
しつこく自分の作品を見せ付ける。

「・・・これはね、皆でお食事しているところ。それでこっちはね・・・」

しかし、それでも二人は真面目に見ようとはしない。
レミリアはぼんやりと宙を見ているし、パチュリーは本から一瞬だけ目線を移すだけだ。


「ねぇ、だからちゃんと見てってば! これなんて結構上手く出来て・・・」



「うるさい! フラン! 私は今、気分が悪いのよ!! 静かにしてくれる!?」

「お姉様・・・?」


体調が悪い時に周りで騒がれたのではたまったものではない。
レミリアはつい、妹を怒鳴りつけてしまった。


「お嬢様、お体の調子が優れないのですか?」
「まあ、そうね。悪いけど、やっぱり紅茶はいいよ。しばらく部屋で休んでるから」

「お医者様をお呼び致しましょうか?」
「いや、そんなに大げさなものじゃないよ。ちょっと疲れてるだけだと思う」

「レミィ、それならいい薬があるんだけど・・・凄いのが。それこそ死人だって・・・」
「・・・遠慮しとく」



「それじゃ咲夜、ゆっくり休ませてね」
「はい、分かりました。お大事に」

こうしてレミリアは紅茶を楽しむことなく図書館を後にしてしまった。






「・・・何よ、お姉様ったら。怒鳴ることないじゃないの」
「まぁまぁ、妹様。お嬢様も少し虫の居所が悪かっただけですから・・・」


「それより、早くお茶にして欲しいんだけど・・・」
「あ、そうでしたね。すみません」

パチュリーの一言で、咲夜はやっと紅茶の存在を思い出した。


「ねぇ、咲夜。今日のお菓子は何?」
「今日は妹様の大好きなクリームレモンタルトですよ」
「本当!?」
「ええ、お嬢様の分も食べていいですよ」

先程の不満はどこへやら。フランは再び満面の笑みを浮かべた。


「ありがとう! 私、咲夜のこと、大好きだよ!!」

「ふふ、私も妹様のこと、大好きですよ」









その日の夜・・・
「お嬢様、気分は良くなりましたか? もうすぐお夕食の時間ですが・・・」

「・・・・・・・・・」


 ・・・ドア越しに話しかけてみたが、反応がない。
恐らく主はまだ眠っているのだろう。

ゆっくり休ませろとも言われていたし、自分も無理はしない方がいいと思う。
そういった理由で、咲夜はレミリアを放っておくことにした。


しかし、この時の咲夜には知る由もない事だったが・・・彼女の主は、既にもう死んでいたのだ。






『どく・・・んっ・・・』
「ひ・・・ひぃっ!?」

少し時間は遡り、レミリアが眠りに就いてから1時間ほど経った頃。
突然やってきた『どくん』に彼女は叩き起こされた。


「・・・何よ? なんか今・・・」

何やら嫌な振動を感じて飛び起きたものの、その正体を特定するまでには至らない。
しかしそれが外からではなく、己の体の内側から来たものだということは分かっていた。

すっかり眼の覚めた彼女は、取り合えず水でも飲もうかと上体を起こしたが・・・


『どく・・・んっ・・・』
「あが・・・ぁっ!!!」

また来た。
今度は分かる。・・・これは心臓の鼓動だ。
心臓がぎゅぅぅっと搾られる感覚。

(私の心臓・・・どうなってるのよ!?)


背中から生暖かい汗が噴出す。奥歯から苦い唾液が分泌される。


『どく・・・んっ・・・どく・どく・どく・・・どっ・・くん』

例の大きな脈だけではない。心臓の鼓動そのものが不規則になっていく。


「嫌・・・! 嫌・・・! 来るな・・・来ないで・・・!!」
レミリアは暴れる心臓を何とか落ち着かせようとして、大きく深呼吸する。

『どくっ・・・・・んっ』
「やだ! やだ! やだぁぁぁぁぁぁ!!!」

それでも心臓はレミリアの懇願を無視して異常な動きを続ける。
『どくん』の度に彼女の体は大きく痙攣していった。



「嘘・・・嘘だよね・・・? こんなのって・・・」
『どくっ・・・・・んっ!!』
「嘘よっ・・・!」

「だって吸血鬼の私が・・・不死身の私が・・・」
『どくっ・・・・・・! んっ!!!』
「がぁぁっ・・・!!」

「静まれ・・・静まれ・・・私の心ぞ・・・」
『どくっっ・・・・・・・・・!! んっ!!!』
「何で・・・どうしてよ・・・!!!?」


いつまで経っても彼女の心臓は落ち着きを取り戻さない。
それどころか時間が経つにつれてますますおかしくなっていく。


「そうだ・・・! 咲夜を呼べば・・・!」

いよいよ困り果てたレミリアは咲夜に助けて貰うことにした。
机の上にある呼び鈴目指して立ち上がる。

その時・・・




『どくっっっ・・・・・・・・・・・・・・・』


「・・・・・・・・・っっっ!!!」


今までで一番大きな波が来た。
いや、大きいだけではない。



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


 ・・・心臓が動かないのだ。
ぎゅぅぅっと搾られるところまでは同じだが、そこから一向に解放されない。
まるで固まってしまったような・・・

これが決定打。



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
(嘘・・・? これで終わり・・・? 本当にこんなのが私の最後・・・?)


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 嫌だ・・・咲・・・夜・・・パチェ・・・助けてよ・・・嫌・・・こん・・なのって・・・・









翌朝。
「お嬢様、お体の調子はどうですか?」

結局、昨日丸一日レミリアは起きてこなかった。
いくら不死身の彼女でも流石に心配になってくる。

この朝、咲夜はお粥と特製の体にいい紅茶を持って主の寝室へ向かった。
ショウガ、長ネギ、ニンニク、朝鮮人参、スッポンの生血、高僧の胆、エリクサー・・・
館中から精のつきそうなものを掻き集めて作った、咲夜のとっておきだ。

恐らくはとんでもない味に仕上がったのだろうが・・・
昨日の夕食を口にしていない主なら、きっと飲んでくれる筈。
もしくは無理やりにでも飲ませよう。

暢気にも、彼女はそう考えいた。



ガチャリ
「お嬢様・・・? 入りますよ?」

やはり何の反応も返って来なかったが、流石にもう起きているだろう。
咲夜は構わず部屋に入った。
そこで彼女が見たものは・・・



「お嬢様・・・! そんな・・・!!!」

レミリアの体は半分ベッドから飛び出し、その頭が床に付いている。



「まだ寝てらしたなんて・・・!!」

咲夜は非常に驚いた。
あれから優に半日は超えている。
なのに、まだ眠っているなんて・・・

第一、あの寝相の悪さは何だろうか・・・と。



「お嬢様・・・唯でさえ体調が悪いのに、この上風邪でもひいたら・・・」

咲夜はレミリアを抱きかかえ、ベッドへ戻そうとした。
しかしその顔を見て、咲夜はドキリとした。


レミリアの顔は恐怖と苦痛に支配されたまま固まっていた。
眼はカッと見開き、口は半開きで、舌がだらしなく飛び出している。



「なんだ・・・起きていらしたなら返事くら・・・・・・お嬢様・・・?」

一瞬、主は起きているのだと思った咲夜だが・・・様子がおかしい。
全く動かないのだ。


「お嬢様・・・!? お嬢様・・・!? 返事をしてください!! お嬢様!!!」

しかしどれだけ呼んでも、レミリアは反応しない。
視線は宙を漂ったまま、瞼さえ動かさない。

どうやら起きてはいないが、眠っている訳でもないようだ。
世の中には眼を開けたまま寝る人もいるらしいが、それにしてもこれほど見開きはしないだろう。



「そんな・・・朝っぱらから性質の悪い冗談はやめてくださいよ」
勿論、これは冗談ではない。

咲夜はやがて、レミリアの体が酷く冷たくなっていることに気が付いた。



「そんな訳・・・無いわよね・・・?」
咲夜はレミリアをベッドに寝かせ、恐る恐るその心臓に耳を付けた。



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・ぅぁぁ
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」









「お姉様!! 眼を開けてよ! 私、こんなの嫌だよ!!!」
2階のホールにフランの叫びが木霊した。


紅魔館当主、レミリア=スカーレットが死んだ。
その報告を受けて、館中の者が集まった。

姉の遺体の傍で泣き崩れるフランを中心に、パチュリーや咲夜、その他の従者達が円を作っている。
泣いているのもフランだけではない。誰もが沈痛な面持ちだった。

パチュリーはレミリアの亡骸を見た瞬間、貧血で倒れそうになった。
咲夜は誰が何を話しかけても上の空だ。



「これは多分・・・呪いの一種ね」

溢れ出しそうな涙を堪えて、パチュリーが説明した。

「呪い・・・?」
「そうよ・・・それも相当強い呪いよ。そのせいでレミィの心臓は・・・」

「誰が呪ったの・・・?」
「分からない。下手をしたら術師はもう死んでいるのかも・・・」

「パチェなら呪いを解くことが・・・出来る?」

パチュリーは首を小さく横に振った。


「悪いけど・・・呪いを解けるとか、解けないとか・・・そういう問題ではないの・・・


 ・・・レミィはもう、死んでいるから・・・」


「嫌、嫌・・・お姉さまぁぁぁぁ!!! 死んじゃ駄目っっ!!!!」

フランは再び泣き出してしまった。






「でも・・・レミィを生き返らせる方法なら・・・無い訳じゃないけど・・・」


「え・・・?」

思いも寄らぬパチュリーの一言にその場の全員がどよめいた。



「パチェ!? 本当なの?」


「本当だけど・・・
 ・・・何を犠牲にしてもレミィを生き返らせる覚悟はある?」

「犠牲・・・?」


「ねぇ、あなた達はどうかしら?
 どんなことをしてでも・・・レミィに生き返って欲しい?」

パチュリーは周りの者達にもそう聞いた。




「はい・・・! お嬢様を救うためなら・・・何だってします!!」

張りのある、凛とした声が挙がった。
誰よりも早く、咲夜がその覚悟があることを宣言したのだ。


「私も! 私もお姉様を助けたい!! お願い、パチェ!!」
続いてフランも宣言した。


「パチュリー様! 私も協力します!!」
「私も!!!」
「私だって!!」

美鈴、小悪魔、妖精メイド達・・・と、次々と名乗りを挙げる者が出てきた。


「・・・そう。あなた達の気持ちは分かったわ」



「・・・それじゃ、フラン・・・」

「・・・何?」



「あなた、レミィの代わりに死んで」



「え・・・?」


「あなたの心臓をレミィの死体に移植するの。
 実の姉妹の心臓、きっと生き返らせることが出来る・・・」

「で、でも・・・それじゃ私は・・・」
「死ぬ。でもレミィは生き返る。」

「お姉様が・・・生き返って・・・でも、私は・・・死ぬ・・・?」
「他にレミィを生き返らせる方法は無いわ」


「誰か他の吸血鬼から移植するとか・・・」
「駄目ね。あなたの心臓で無ければ意味が無い」


「・・・分身は?」
「何?」

「私の分身から心臓を取り出して、それをお姉様に・・・
 そうすれば私もお姉様も・・・」

「・・・話にならない」

フランの命乞いにも似た提案はあっけなく却下された。


「これは単なる心臓の移植手術じゃないわ。
 言うなら命の移植。
 レミィの命に釣り合うものと言えば、それはもう妹であるあなたの命しかない」


「そんな・・・本当に、それしか道は・・・」


「もうこれしかないのよ。
 いい?そもそもレミィに呪いをかけた奴はかなり高度な魔法使い。
 それこそ私より上かもし@'ない。
 そして、恐らく呪いを%#"$時に~;ヌ*を捨てている。
 つまり本来$#、どんなことをしても、*\+"ることは絶対+::"ない。
 でも、$}#_シネ"+>>>タ"$~|=)(は等価交換\応''"$?">ポ<`-れるもの。
 そ!"..レミィ@`死/ニテ/\###%フラン$死==カェ^と*;!変更し=}ヌヌヌ}?*"いい。
 *?++@$アオ%フランでないと{::;"#。
 スキマ[]["%$%鬼=#*//?"%命}+=^吸血鬼~*ト@`}{">,,/<違う。
 どカカする? &&ヒ%!}*?>死``*@"!!$>>>>*+デ;$$死ね]??%",+,.」

フランは遂に、パチュリーが何を言っているのかが理解出来なくなっていた。



「分からない・・・私はどうすればいいの・・・?」

「それを決めるのはフラン、あなた自身よ。私はただ、道を示すだけ」

「分からない・・・分からないよ・・・」






「咲夜さん・・・?」
「メイド長・・・!!」

その時、それまで唖然として見守るだけだった周りが急にどよめき立った。
その声に反応したフランが顔を上げる。

そこには、先程のパチュリーの宣告に匹敵するほど衝撃的な光景があった。



 ・・・見知らぬ女が・・・こちらにやってくる。

そしてそいつは多分、自分の味方ではない。



「来ないで!!」
フランは恐怖のあまり、声を挙げてしまった。


「どうしたんですか、妹様? そんなに声を荒げて・・・」

女がニコリと笑った。
不思議なことに・・・その笑顔は、あの優しい咲夜と同じものなのだ。
 ・・・でも、その女が咲夜である筈が無い。


「待って! 待ってよ! こっちに来ないで!!」

「嫌ですわ、妹様。どうしてそんなに怖いお顔をなさるのですか?」

「来ないでって言ってるじゃない! 私はあなたが怖いよ!」

「まぁ! 私は怖くなんかありませんよ? ほら、妹様? いい子ですから・・・」


咲夜の口調はいつも通り、とても優しいものだった。

しかし、彼女の後ろに陣取るメイド達には見えていた。
咲夜が後ろ手に・・・ナイフを握っているのを。


「妹様、一緒に遊びましょうよ。
 お歌を歌いましょうか? それとも、また私の絵を描いて下さいますか?」

「嫌だ! 嫌だ! 来るな! 来るなぁぁぁ!!!」

逃げまとうフランを、咲夜は追い詰めていく。




「・・・いい加減にしてよ!!!」

とうとう逃げ道が無くなったフランが、その拳をグッと前に押し出した。


「妹様・・・何をするおつもりで・・・?」

「これ以上近付いたら・・・いくら咲夜でも・・・殺すよ・・・?」

「本気ですか・・・? 妹様?」

「本気だよ。それが嫌なら・・・」


彼女にとってはこうするしかなかった。
今の感情は、最近めっきり少なくなったあの発作に似ている。


しかし、そんな脅しも咲夜には通じない。

「パチュリー様・・・私の心臓で代用することは?」

「出来る訳が無いでしょ? 代わりになるのはフランの心臓だけよ」



「・・・残念ながら、私ごときの命ではお嬢様を救えないらしいです。
 ですから妹様? 私を殺しても無駄ですよ?」

「何言ってるの? 私は別にそんなことを言ってる訳じゃ・・・」


「やはり、お嬢様を救うには妹様の心臓でないと・・・」

咲夜が隠し持っていたナイフを頭上に掲げた。
それがギラリと冷たい光を放つ。


「な、何する気なのよ!? 咲夜!!」


「そんなの決まっているじゃないですか。

 ・・・妹様を殺すんですよ

 妹様の心臓を抜き出して、お嬢様に差し上げるんです。
 そうすれば・・・嗚呼・・・お嬢様が生き返ります」


「嘘だ・・・咲夜はそんなこと・・・」


「では少しチクリとしますが、我慢してくださいね」

咲夜がフランの胸元へ、そのナイフを宛がった。




「・・・こんなのおかしいよ」
「妹様・・・? 何がですか?」


「こんなの絶対におかしい。
 いくらお姉様を生き返らせる為だからって、殺すとか・・・おかしいよ。」

「妹様。申し訳ございませんが、これもお嬢様のた・・・」


「だって、私達・・・家族じゃないの!!」


「・・・・・・家族・・・?」


「どうして家族なのに、殺すとか言えるのよ!? 酷いよ!!
 もしも私が咲夜で、咲夜が私だったら・・・
 私は絶対そんなこと言わないよ!!!」


そのフランの言葉を聞いた途端、咲夜の顔は青ざめていった。

「そうよ・・・私にとって妹様はとても大事な・・・家族・・・
 なのに私、何てことを・・・
 ・・・・・・・・・
 お恥ずかしゅうございます。妹様・・・
 これではお嬢様に合わせる顔がありません・・・」


「・・・もういいよ。
 怖かったけど、咲夜もお姉様のこと思ってやったことだから・・・」

フランは項垂れる咲夜にそう言った。


「申し訳ございません・・・申し訳ございません・・・妹様」

咲夜はフランのあまりの優しさに、感極まって泣き出してしまった。


「泣かないで、咲夜。
 だけど、もうやめようよ。殺すとか、そういうのは」

「勿論です。二度と妹様を殺すなどとは言いません」

「うん、お姉様を生き返らせる方法だってきっと・・・」




「嬉しいです。妹様がお嬢様のため・・・自分から死んで下さるなんて・・・」



「えええっ・・・!?」

咲夜がそう言った瞬間、フランにナイフが手渡されていた。



「待ってよ!! 何でそうなるのよ!?」

「え? 当然じゃないですか?」

「何が!? 別に私は死ぬなんて一言も・・・」



「だって、妹様が死ぬ以外にお嬢様が助かる道は無いんですよ?
 その上で妹様を殺しちゃいけないとなったら、もう自分で死ぬということではないですか?」

見知らぬ女はそう言った。


「そんな・・・違う・・・私は・・・」




カーン カーン カーン カーン
「あら? もうこんな時間?」

その時、紅魔館の大時計が10時の鐘を鳴らした。
いつもならとっくに朝食が終わっている時間だ。

「それでは私は急いでお食事の準備をしますね」
瀟洒なメイドはそう言うと、他の従者達を掻き分け出て行ってしまった。




「パチェ・・・私はどうすればいいの?
 死ななきゃ・・・いけないのかな・・・?」

今のフランにはパチュリーだけが救いだ。


「私は道を示すだけ。全てを決めるのはあなたよ」

なのに、パチュリーはそう言って突き放した。





  • 咲夜wwwwww -- 名無しさん (2012-03-19 13:10:58)
  • うわぁ… お姉さま死んだん?
    吸血鬼だよ?フランかわいそ…
    さくやうぜー -- フラン (2013-11-10 19:34:17)
  • 面白い -- 名無し (2014-05-24 17:05:06)
  • URWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWW -- さくや (2014-05-24 17:09:43)
  • フランたん(´・ω・`)カワイソス -- エリ姫焼肉 (2014-12-07 18:47:04)
  • 咲夜最悪 -- 名無しさん (2015-02-06 17:41:42)
  • あの…
    吸血鬼ってニンニク入りの紅茶
    飲んでいいの?ダメだよね


    すみません(/´△`\) -- 場違いさん (2015-03-20 19:25:40)
  • レミィ生き返れ―。 -- 名無しさん (2015-08-14 14:03:10)
  • ↑やる気ねぇなww -- 名無しさん (2015-08-14 14:03:52)
  • パチェは魔法使いのくせにザオリクも覚えてないのか… -- 名無しさん (2015-08-14 15:41:33)
  • 冥界から魂を持ってきて何かを依り代にお嬢様復活すればいいんじゃ、又はサーヴァント的なもので召喚! -- 名無し (2015-08-26 02:45:12)
  • よし、
    フランなんてどうでもいい
    レミたんを早く生き返らすんだ -- レミたん廚 (2015-12-29 21:39:38)
  • ↑おま…俺はともかく、全国のフランファン敵に回すぞ。
    それはともかく、途中でパッチェさんが「レミィ、それならいい薬があるんだけど・・・凄いのが。それこそ死人だって・・・」って言ってた奴は効かないのかな。術に効果ないのか? -- ひっそり暮らすフラン廃 (2015-12-30 09:20:28)
  • ↑フランファンとフランはクズだから大丈夫。 -- 名無しさん (2016-01-05 14:40:51)
  • ↑つまり血が繋がってるレミリアもクズ -- 名無しさん (2016-01-06 09:50:21)
  • は?レミリアの方が能力的にも(全面から見て)強いし
    クズでないw -- 名無しさん (2016-01-13 23:37:29)
  • そういえばフランちゃんとレミちゃんってどっちが人気ランキング高かったっけ


    今この状況をスカーレット姉妹が見たら何て言うかな -- 名無しさん (2016-01-15 19:49:44)
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