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嘘吐き巫女：8スレ373 - (2013/04/02 (火) 09:09:18) のソース
「霊夢さん、腋から毛が生えてますよ」
「うそっ！？」
桜咲く春の季節。毎年恒例白玉楼花見イベントでとんでもない発言が飛び出した。
「どこよっ！？今日ははっちゃけるからいつもより念入りに手入れしてきたのよ！」
「あはははは、嘘ですよー。やったー、引っかかったー」
大勢いる中で痴態を晒した霊夢、そして公然と嘘を吐いた早苗に視線が集まる。
「嘘？どういう事かしら、あなた巫女の分際で嘘なんかついていいと思ってんの？」
恥部を晒された霊夢が食ってかかる。ところが当の早苗は涼しい顔だ。
「うふふー、霊夢さん。今日は四月一日ですよ、エイプリルフールです」
そう、今日は四月一日。年度境界線の走るこの日は文屋以外は嘘が許されるのだ。
「えいぷりるふーる？なにそれ」
幻想郷の外では。
「え？ほんとに知らないんですか？しょうがありませんねー、教えてあげます。エイプリルフールってのは嘘をついてもいい日なんです」
「はぁ？」
霊夢が素っ頓狂な声を上げる。
いや、霊夢だけでなくその場にいたもの全員が怪訝な顔をする。
「馬鹿いってんじゃないわよ、何で嘘が許されるのよ」
「そういう日なんです。四月バカと言うんですよ」
「そういう日なんですで納得できるわけ無いでしょ、どういった理由があって嘘つきが許されるのよ」
「いやそういう風習なんですって」
「そんな風習無いわ」
霊夢の一言に早苗以外の全員が頷く。なんだそれ、聞いたこと無い。そんな言葉が飛び交う。
この雰囲気にようやく早苗は幻想郷にエイプリルフールなんて風習が無いのだと気付く。
「あの、すいません。ちょっとまずかったですね」
空気に耐えられずに早苗が日和る。しかし遅かった。
「嘘つき」
「え？」
冷たい声で言われる。
「この嘘つき、最低ね」
「山の神社の巫女は嘘つきなのね、フラン、あんな嘘つきになっちゃダメよ」
「妖夢、今夜から戸締まりはしっかりなさい、泥棒に入られるわよ」
「偽証です偽証、山の巫女偽証罪で書類送検！明日の一面もらいですよ！！」
「文様、修飾が行き過ぎです！」
「黙れオオカミ！」
四方から飛んでくる中傷の数々。
「ごめんなさい、ちょっと調子に乗ってました」
早苗が頭を下げて必死に謝るものの冷ややかな視線は変わらなかった。
と、そこへ現れる者が居る。
「おや？せっかく花見に来たってのに随分と剣呑な空気だねえ」
「全くね、せっかくのお祭りなのにもったいない」
早苗の御祭神、さらに御先祖様。
保護者を見つけた早苗はホッとする。
もう大丈夫。そんな思いが胸をよぎる。
「おー、神奈子に諏訪子じゃない。ちょうどいいところに来たわね。この嘘吐き巫女を引き取ってくれないかしら」
「嘘吐き巫女？…早苗、あんた一体何を言ったんだい？」
「あ、あのっ。つ、つい…」
きつめの口調で問い詰められどもる早苗。それでも何とか続ける。
「え、エイプリルフールなので、ちょっと嘘をついてしまいました。ごめんなさい…」
最後の方は声が小さくなり聞こえなくなってしまう。
早苗は泣きそうだった。肩がぷるぷる震え縮こまっている。
「えいぷりるふーるぅー？なんだいそれ？諏訪子は知ってる？」
「いーや、知らないね。早苗、どんな理由があるのかは知らないけどそんなに安易に嘘をついてはいけないよ？」
神奈子に続いて諏訪子まで否定する。
早苗は信じられないといった顔を二柱に向ける。
「そんな！去年神奈子様は神社廃業のお知らせとか分社に配って遊んでらしたじゃないですか！！」
「そんなバカな。早苗、あんた私をバカにしてるのかい？そんな事するわけ無いだろう」
冷たく突き放され絶句する。ふるえながら味方はいないかと早苗は周りを見渡す。
だが、周りにあるのは嘘吐きを見る冷たい目だけだった。
早苗は目尻に涙を溜め、嫌々をするように耳をふさいでしゃがみ込む。
なーんだ、やっぱり嘘なんじゃない。
嘘吐きでも羞恥心って持ち合わせているのねー
紫は知ってるー？えいぷりるふーるってやつ
いやーん、ゆかりんわっかんなーい
ごめんねぇ、後で早苗にはきちんと言っておくからさー
耳をふさいでいても聞こえてしまう罵詈雑言。もう早苗には耐えられなかった。
と、そこへ
「東風谷早苗」
優しく語りかけ、肩に手を置いてくる者が居た。
その感触に驚き、早苗はおそるおそる振り返る。
「東風谷早苗、あなたは少し軽薄すぎる」
四季映姫が立っていた。茫然と何も言わない早苗に構うことなく続ける。
「風習とは周りのものすべてが認知して初めて成立するもの
あなた一人が知っているからと言って安易に行ってしまうのは
その土地の風習を顧みない愚かな行為と言わざるを得ません。
あなたが幻想郷でその風習を認めてもらいたいと思うのなら
まずはあなたが幻想郷の風習を尊重すべきです。」
閻魔様に説教をされる早苗。
確かにその通りだ、確かにちょっと軽率だったと早苗は反省する。
その様子を見た映姫は満足そうに微笑む。
「理解していただけたようで何より。
これからは自戒し、慎重に行動するように」
ありがとうございます。早苗は映姫に頭を下げる。
今日は疲れた。帰って頭を冷やそう。
そう思って歩き出す早苗。
そこに四季映姫の言葉が飛ぶ。
「どこへ行くのですか東風谷早苗。まだ裁きが終わっていませんよ」
驚き、振り返る。
まだ何かあるのだろうか。そう怯える早苗に四季映姫が笑顔で言い放つ。
『舌を出しなさい。』
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- ナイスなオチだ -- 名無しさん (2008-12-02 00:39:04)
- 実はみんなエイプリルフール知ってて、知らないと嘘ついてるオチだと思った &br()だがここでそんな考えは甘かった・・・ -- 名無しさん (2008-12-02 14:51:41)
- ↑確かに最初そう思ったｗｗ東方のキャラがこんな単純な理由で冷たい仕打ちって普通に想像できなかったからむしろ全員で知らないふりだと思ったｗ &br() -- 名無しさん (2008-12-04 05:49:19)
- KOEEEEEE -- 名無しさん (2008-12-04 16:22:58)
- 紫だけは知らないフリしてるなｗ -- 名無しさん (2008-12-04 20:00:16)
- 紅魔館勢も知ってそうだな。 &br()きっと腋巫女の腋は &br()絶対に触れてはいけない何かだったのだろうと推測。 -- 名無しさん (2008-12-05 17:18:55)
- 因みにこれは気休めのつもりだが、あＱの本だと閻魔が舌を抜くのは脅しという設定。 &br()というのも閻魔は執行官ではなくあくまでも裁判官。 &br()ただし、問題点は公式に忠実ならという話が１つとそもそも著者の知識すらあいまいという設定 &br()でも阿求は転生するたびに閻魔のお世話になるわけだから間違ってはいないと思うけどね -- 名無しさん (2008-12-07 06:30:11)
- 嘘吐きは閻魔様に抜かれるからなぁ -- 名無しさん (2008-12-13 21:36:07)
- 「ゆかりんわっかんなーい」がツボったｗ -- 名無しさん (2009-02-14 20:43:16)
- ＞去年神奈子様は神社廃業のお知らせとか分社に配って遊んでらしたじゃないですか！！ &br()ひょっとして神奈子様、超鬼畜？ｗ -- 名無しさん (2009-03-15 04:30:34)
- てゐがいたら確実に突っかかってたな、早苗 -- 名無しさん (2009-05-30 20:02:13)
- え！？本当に知らないんですか？wwwしょうがありませんねーwwwww -- 名無しさん (2009-05-30 20:35:35)
- 少なくとも神奈子と紫は本当は知ってそうだｗ &br()そしてこの後、さすがに見かねた神奈子が止めてなんとかハッピーエンドになる…のかな -- 名無しさん (2009-05-31 02:24:22)
- 残念ながら舌を抜かれた後日談がある -- 名無しさん (2009-05-31 15:29:07)
- 霊夢にケンカ売ったのがまずかった -- 名無しさん (2009-06-01 23:24:08)
- 関係ないけど、サなえも腋巫女だろ -- 名無しさん (2009-06-15 00:28:47)
- ゆかりんわっかんなーい -- 名無しさん (2010-01-09 14:12:18)
- うーん、やな展開。でも確かにいじめとしては悪くない。 &br()どうせなら霊夢にやってやればよかったが、ショートストーリーならまあしゃあないか。 &br() -- Ｊ (2010-01-10 01:09:06)
- さりげない文の暴言に吹いた -- 名無しさん (2010-04-01 13:41:31)
- これ続編あるんだぜ！ -- 外道 (2010-04-01 13:46:58)
- ↑え、今更？ -- 名無しさん (2010-04-01 13:57:18)
- 読んだ読んだ。凄かった -- 名無しさん (2010-04-01 16:31:19)
- ゆかりんわっかんなーい -- 名無しさん (2010-05-16 12:50:54)
- ｗｗｗｗ -- 名無しさん (2011-07-31 02:08:19)
- 黙れオオカミ！ -- 名無しさん (2011-07-31 08:05:10)
- なんかドッキリ臭しかしない(^_^;) -- 腐れ女子 (2013-04-02 09:09:18)
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