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使えないメイド:24スレ50 - (2013/05/03 (金) 02:16:37) のソース

【使えないメイド】


「なにこれ。こんな中途半端な掃除で仕事したつもり?やり直しなさい。」
「す、すみません…。」
「やっぱり人間て使えないわね。このグズが!」
「……すみ…ません…でした…。」
 いつの頃だっただろうか。
 私は紅魔館の皆からいじめられるようになった。
 始まりはパチュリー様が遊び半分で使った『妖精の能力を大幅に上昇させる魔法』だった。
 この屋敷には妖精メイドが多くいるが、それはほとんど飾りみたいなものでまったく役に立っていなかった。
 そんななかパチュリー様が、
「せっかくだから、妖精メイドがしっかり仕事ができるようにしてみない?」
 と仰った。
 私としても仕事が楽になるのなら、と思ったしどうせ大した成果はないだろうと思い承諾した。
 実際、その魔法はうまくいった。
 いや、上手く行き過ぎた。
 妖精メイドたちの仕事の能力は格段に上がった。
 それは私の能力を格段に上回ったのだ。
 するとメイドたちは、今までの腹いせなのか、私に対して様々な嫌がらせを行ってきた。
 片つけたところを散らかされたり、掃除した場所を汚されたり、食事を運んでるときに足を掛けられたりした。
 今まで自分よりしただったものにこれほどの仕打ちを受けるのは非常に苦しかった。
 しかし彼女らは狡猾で、私が癇癪を起こせば口をそろえて
「メイド長が嫌がらせをするんです。」
 とお嬢様に行った。
 私は反論したが、私の意見が聞いてもらえることはなかった。
 最初はお嬢様も優しかったが、次第に使えない私に嫌気が差してきたのか、お嬢様も私をいじめるようになった。
 掃除ができていない、振る舞いが下品でが駄目だ、などと適当な理由を作っては私をいじめた。
 最近では、理由すらなく暴力が振るわれることもある。
 私が優遇されてきたのは単にメイドとして有能だったから。
 それを失った今、お嬢様にとって私はただの使えない人間というわけだ。
 そして私はついにメイド長の立場を降ろされた。
 私は泣いて懇願したがやはりそれも聞き入れてもらえず、ただのメイドになってしまった。
 アイデンティティーを失った私は自殺も考えたが、臆病な私にはそれができなかった。
 その日は喉が潰れ涙が枯れるまで泣いた。
 小悪魔とパチュリー様は無関心だった。
 私がいくら頼んでも魔法を解除しようとしてくれなかった。
 逆に彼女は私以外の者が得をするような、言い換えれば私がより苦しむような状況になるように魔法を使った。
 マジックアイテムを使って私の能力を封じたのだ。
 能力が使えずただの人間となった私を、彼女は実に楽しそうな笑顔で見ていた。
 簡単な話だ。
 パチュリー様は私が嫌いだったのだ。
 だからあんな提案をして、私が苦しむように仕掛けたのだ。
 そんなパチュリー様が憎い。
 できるなら彼女の喉にナイフを捻りこんでやりたいが、つまらない自制心が私をつなぎとめた。
 もう紅魔館にいることは、私にとって苦痛でしかなかった。

 ただ、彼女だけは、紅美鈴だけは私の味方だった。
「大丈夫ですか咲夜さん。」
「ええ…大丈夫……。」
「もしよければ、今夜も私の部屋で一緒に寝ませんか?」
「うん……お願い…。」
 彼女だけは私をいじめなかった。
 今まで散々いじめてきたというのに、彼女は私に嫌がらせをしなかったし、暴力も振るわなかった。
 私はそんな彼女に甘え、いつの間にか一緒に寝るのが習慣となっていた。
「ごめんなさい美鈴、いつもいつも…。」
「いいですよ別に。私気にしてませんから。」
 ああ、なんて優しいんだろう。
 いままで彼女にしていた仕打ちが恥ずかしい。
 私は彼女のおかげで自分が保っていられた。
「そうだ咲夜さん。後ろを向いて目を瞑ってくれませんか。」
「?ええいいけど。」
 私は何かと思ったが特に疑わず彼女の言う通りにした。
「それでは…。」
 ガチャリ
「……え………?」
 いつの間にか私の首には首輪がはめられていた。
「こ、これは一体…?」
「ふふ、やっとお嬢様からあなたを私の玩具にしていいという許可が出たんですよ。」
「う、嘘…」
「嘘じゃないですよ。咲夜さん、私はあなたが大嫌いでした。人間の癖に、立場が上ってだけでいつも偉そうにして。自分がいかに弱い存在か分かってるんですか?だから同じことを思っていたパチュリー様と共謀して、今回の件を仕組ませていただきました。」
 美鈴が…仕組んだ…?そんな、馬鹿な…。
「ふふふ、皆からいじめられて苦しんでるあなたは実に面白かったですよ。特に私を味方だと思い込んでいるところが滑稽で滑稽で!誰がお前なんかの味方になるかよばぁか!!あっははははははははははははははは!!!」
「嫌…いやぁ…。」
 そんな…彼女までもが、そんな…。
 メイドから嫌がらせを受けるのが苦しかった。
 お嬢様からいじめられて心がバラバラになるかと思った。
 小悪魔に無視されて寂しかった。
 パチュリー様にはめられて憎かった。
 もう嫌だ…こんなの耐えられない…こんな気持ちになるんだったら…いっそ……。
「最高だよ!今のそのあんたの顔マジで最高だよ!ひゃははははははははは!!」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


にんげんのこころなんて、いらない。

























 



~数日後

紅美鈴は門番の仕事を終え、自室に戻ってきた。
「只今咲夜。いい子にしてましたか?」
「はっはっはっはっ。」
 そこには、服すら着ず首輪だけつけた十六夜咲夜だったものがいた。
「そうですかそうですか、いい子にしてましたか。じゃあご褒美あげましょうね。」
「わん!わん!」
「ふふ、うれしいですか?ちょっとまってくださいね。」
 そういって美鈴は部屋の隅にある棚から鞭を取り出してきた。
「じゃあ今日はこれで思いっきり叩いてあげますよ、ふふふふ。」
 そして美鈴の腕が振り上げられる。
 完全で瀟洒な従者はもういない。
 いるのは、一匹の犬だけである。
 




- おっきした  -- 名無しさん  (2009-05-01 21:16:14)
- いぬさくや  -- 名無しさん  (2009-05-14 14:05:17)
- 犬作や  -- 名無しさん  (2009-08-31 12:19:04)
- 犬咲夜やべぇ! &br()一家に一匹! &br()  -- 名無しさん  (2009-10-25 09:57:43)
- けらけらけら  -- 名無しさん  (2009-10-27 19:59:49)
- 美鈴は外道な役がよく似合うなぁ  -- 名無しさん  (2009-10-29 15:20:15)
- なんか美鈴が悪役のものばっか最近よく見るな  -- 名無しさん  (2009-11-18 00:50:54)
- でもそんな美鈴も俺は好きだぜ。  -- 外道  (2009-11-18 08:51:43)
- 最後まさかの犬さくやWWWW  -- 名無しさん  (2009-12-29 23:06:59)
- 本当に美鈴は可愛いなぁ。ナイス美鈴b 精神崩壊って美しい!ご馳走様でした^^  -- 名無しさん  (2010-01-01 03:07:10)
- 美鈴は外道なキャラが良く似合ってると思う。ごちそうさまでした  -- 名無しさん  (2010-03-29 09:51:33)
- いぬさくやか  -- 名無しさん  (2010-09-28 21:20:08)
- 紅魔館なう  -- 名無しさん  (2010-12-14 21:48:49)
- 大作や。  -- 名無しさん  (2011-02-22 21:28:25)
- 美鈴は悪役も良い役も似合うな  -- 名無しさん  (2011-02-27 20:53:45)
- 分かってないな。 &br()いぬさくやって聞いたらあのロリ咲夜を思い浮かべるかもしれない。 &br()しかしこのいぬさくやは、ロリでは無い。おとないぬさくやなんだ! &br()そこに惹かれるのが分からないのかッ!?  -- 名無しさん  (2011-03-01 01:09:11)
- 攻め手に回った美鈴うつくしい &br()  -- 名無しさん  (2011-07-20 17:13:46)
- ベアトリーチェみたいな美鈴だなww  -- 名無しさん  (2011-07-23 23:48:01)
- 私、美鈴 &br()嫌いだったけど、これ見て好きになったww  -- ポケダンズ  (2012-07-14 15:24:48)
- いぬさくやは大好物  -- 年中無休変人  (2012-07-30 14:21:58)
- コメント欄がきれいになってるwwww  -- 名無しさん  (2012-07-31 17:34:51)
- 美鈴 &br()頭いいなwww  -- \(^o^)/  (2012-08-05 10:58:36)
- 美鈴かわいいね  -- 名無しさん  (2013-04-25 21:42:24)
- 美鈴は外道だがそこがまたいいのかも・・・  -- 名無しさん1  (2013-05-03 02:16:37)
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