「…もうやめてよ、いやぁ…」 「『やめて』?こうなったのはあなたの泥棒癖でしょう?自業自得よ。かわいいかわいいゴミクズの魔理沙さん。」 「あら?急に大人しくなったわね。喚くほどの体力もないのかしら?」 思えば、命乞いを何回しただろう…紅魔館で潰されたときも、硫酸で溶けたときも、 妖怪化したときも、八卦炉を持っていかれたときも、数え切れないくらい言ったような気がする… いまさらこんな事を思い出すなんて…私霧雨魔理沙は何度も同じ時代を過ごしている。 合計でそこの吸血鬼よりも長く生きてるかもしれない。 なぜいつも悪夢として思い出すのだろう―そのせいですぐに忘れてしまう。 なぜいつも悲惨な最期をとげるのだろう―もう死ぬ際の痛みに慣れた。今なら蓬莱人とどの死に方が痛かったか討論すらできる。 なぜまたこうなったのだろうか―泥棒癖か、パチュリーも今言ってたじゃないか。 ならなぜ忌まわしき泥棒癖が治らないのだろうか―それは・・・ そして、いつまでの私は川の向こう側に行けないのだろうか・・・もうコンティニューは嫌だよ… あ、そろそろ意識が朦朧としてきた…そろそろだなぁ。・・・解ってしまう自分が怖い。 次こそは成仏できるといいなぁ・・・ 「っ!?・・・やけにリアルな悪夢・・・もしかして今のは夢じゃない?」 「真理沙ーもうご飯できてるわよー」 「あ、はーい、着替えたら行きますー」 ・・・さっきのが私の未来だというの!?嘘よね!? 信じたくないけど、髪の色は違えど私だわ・・・どうしよう。 にしても、見たこともない人達に怯えるなんて・・・そうだ、あの人達に会わなければ・・・。 その夜、人里では事件が発生した。道具屋の一人娘が姿を消したのだ。 慧音・妹紅等を含む捜索隊が組まれたが、手がかりを得ることはできず、後日捜索は打ち切りとなる。 道具屋では身内のみで葬儀が行われた。 人々の間では、妖怪に喰われた、攫われた、神隠しにあった、等の噂が絶えなかった。 「ふぅ…やっと、魔導書が書き終わった。これでしばらくは休憩できるわね。」 この辺境の地に引っ越してから10年間、私は誰とも会わずに生きてきた。 この土地は魔力が濃く、大気や地面に毒素を含んでいて、日が照らずだれも寄ってこない。 そこに私は目を着けた。ただ単に引きこもっているだけでは耐えれずに親友を作ってしまうから…。 今の私は死んでいることになっている。食べ物を買いに里に出てと顔を覚えられてしまうわけにもいかない。 そこで魔法で畑の毒素を除去し自給自足の生活を送った。幸い魔力に困らず、住み始めの頃の10歳でも高度な魔法を発動できたのが幸いか。 「…ゴホッ、ゴホッ…やっぱり魔法時に毒を取り込んでしまうか…どうやら内臓、特に肺が毒に侵されてるみたい。」 「まぁ…魔導書もできて魔法使いとしての願望である自分流の魔法も出来たし、悔いはないかな…」 「……あるとしたら、この目では見たことのない皆と宴会がしてみたかったなぁ…寂しいよぉ…会いたいよぉ…」 そろそろ眠たくなってきたな…これで、あの世にはいけるのかな? やけに騒音、特に人工物の音がする… 「え?…今度は外の世界!?…これは初めてのパターンだわ…」 えっと、両親は既に他界してて、明後日から高校生、と…。私寺子屋中退なんですけど…大丈夫? 前世でなんとか結界を通過して見れたインターネットによると、独身いぢめ、就活いぢめ、上司による理不尽ないぢめ、などがあるんだとか…いやだなぁ… おまけ 「で、ここらへんは100年前の大雨異変で土砂崩れで谷が完璧に埋まって平原になったらしいのよね」 「ほうほう」 「その谷は高濃度の魔力で溢れてたらしいから魔石がぼろぼろ採れそうなのよ。」 「で、私になんの利益が?」 「この本によると、貴重な鉱石がとれたらしいわよ。だから手伝う価値はあるわよ、にとり。」 「なら、発掘せざるを得ないね。」 「ん、変な反応があるよ…空洞みたい。」 「幾何学的な構造からして遺跡かしら」 「こんなところに家?」 「生命反応はないわよ、死体反応はあるけど」 「開けてみる?」 「この墓荒らし」 「すごい、この魔導書…全部我流だけど内容は役立つものが多い…一人暮らしに便利な魔法…」 「見て、この魔石、人工物よ」 「にしても、この死体なんで腐ってないの?」 「細胞間の結合が魔力によって補強された結果ね、あと、200年くらいすれば全身魔石化してるんじゃない?」 「高校でメリー、蓮子という友達ができて、一緒の大学に行けたのはいいんだけど、メリーと蓮子がいちゃついて、私だけ仲間はずれというか、周りから目立たないというか…新手のいぢめですか?」 #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)