■ロウハン
●機械文明と伝統が折衷する交易都市
ロウハンは、帝国から見て東に位置しており、「風雷山脈」の裾野に広がる大きな都です。
元々は、帝国とは異なる生活様式を持つ地域でしたが、帝国の文化を積極的に受け入れたことにより、両方の特徴が融合して独自の発展を遂げるに至りました。
都心では、見た目こそ古い建物でも、帝国と同じように光熱や水道が完備されていることもあります。
この都は遥か昔、精霊によって開かれ、その精霊が立ち去る際に数名の人間を選び、彼らに統治を任せたとされています。
現在、この都の統治を行っているのはその末裔に当たる人々であり、政治の中枢である「青龍宮」はロウハンのシンボルとなっています。
●帝国をも凌ぐ「万象市場」
ロウハンは、山を越えてきた人間、或いはこれから越える旅人の宿と、それに付随する商売・交易の場として発展してきました。今日では、その規模は帝国をも上回るとされ、「万象市場」の異名を与えられています。
それというのも、ロウハンでは売買される商品の規制が帝国よりかなり弱く、手に入る品が帝国よりも単純に多いためです。この市場にしか集まらない珍しい品を求めて、西はカシュニヤード、東は海に閉ざされたミサラギの人々までもが訪れるため、より広い地域から品物がもたらされるようになっています。
しかし、店によっては表だって売ることのできない、「訳あり」の商品も取り扱っています。帝国に管理されている地域から無断で採掘した鉱産資源、精霊の体から採取された装飾品、果ては人間や精霊そのもの、それらは多く、一見関係のない建物の中や地下に隠され、商人が信用した人間だけが売買できるようになっています。
●混沌に潜む者たち
このように、一見すると整備された区画に新旧の建物が立ち並び、清潔で洗練されているロウハンの街並みですが、その路地裏や地下、また都の中心を離れた市場などは、何かを隠すための絶好の場所となっています。そして、この都のどこかに存在するとされ、一般の人間からは都市伝説のように扱われているのが「地下娼館」です。
ここでは、理由あって通常の生活に戻ることができなかったり、身を隠さねばならない人間、精霊、妖魔が集められ、生活を保護される代わりに、客に対して奉仕をするとされています。
立ち入りはおろかその位置さえも、娼館の関係者に紹介されなければ知ることはできません。
最終更新:2020年08月10日 00:17