■グローエンガート/首都ランスタウト


帝国で最も広大な土地と、最も多い人口を擁する首都ランスタウトは、大きく三つの地域に分けられます。
「曙光城砦」の周辺に発達した中心部、それを囲むように広がる近郊部、そして都の辺縁から、近郊部・中心部の路地裏へと入り込む貧民街。
帝国の領地は、機械の動力でもある「熱量」の結界で守られていますが、ランスタウトは更にもう一層の結界が張り巡らされた都市の一つです。

●中流階級の人々が住まう近郊部

近郊部に住む人々は、都の中でも平均的な水準の暮らしを送っていますが、それでも水道や光熱はほぼ全ての家庭に導入されています。
中心部より住民が多いため商業も発達しており、幅広い種類の品を手ごろな値段で揃えることができます。
人混みにまぎれたスリなどが発生することはありますが、基本的に治安は安定しています。あえて夜に出歩いたりしなければ、大きな犯罪に巻き込まれることはありません。

また、「探索者ギルド」「傭兵ギルド」「請負人ギルド」の支店が構えられており、帝国領地内でそれらの活動をする際には、いずれかのギルドへの登録が必要となります。
「探索者」として登録した場合は、資源の採掘や未開の土地の開拓が主な任務となり、自由に立ち入ることのできる範囲が多くなります。
「傭兵」として登録した場合、要人や輸送隊の警護(戦闘)が主な任務となり、三つのギルドの中では最も報酬が高くなります。
「請負人」として登録した場合は、人探しや商品の輸送に加え、探索者や傭兵のような任務もこなすこととなり、様々な経験を積むことができます。


●富と闇を抱えた中心部

ランスタウトの中心は、機械文明が興った歴史的な地点でもあり、それを記念するかのように「曙光城砦」が建設されています。これは都の辺縁からもその影を見ることができるという巨大かつ高層の建築物であり、帝国のあらゆる中枢機能が集約されています。
中心部に住む人々は、帝国全土の中でも特に生活に余裕があり、多くは行政府、帝国軍で働く人間の血縁者です。
そのためこの地域で売買される商品は、どれも質が高く、高額であることが特徴です。また、近郊部にはない調合、鑑定など専門店の類が多く軒を連ね、収入が安定してきた冒険者に利用されています。
三つのギルドの本部も中心部に位置しており、充分な経験と評価を得た冒険者は、より困難で報酬の高い依頼を受けることができます。
帝国軍の膝元だけあり、昼間こそ滅多に犯罪が起きませんが、夜になれば裕福な住民を狙った窃盗や強盗、違法な取引を持ち掛ける者などが暗躍します。
警備隊も目を光らせてはいますが、戦いに自信がなければ、夜間は出歩かないのが賢明です。


●絢爛なる帝都の暗部・貧民街

ランスタウトの外周から、路地裏を通して近郊部、そして中心部の程近くにまで食い込んでいるのが、第三の地域である貧民街です。
ここはランスタウトの一部でありながら、水道や光熱の普及が十全でなく、見通しが悪くなっています。たとえ昼間であっても、犯罪集団に目を付けられ、身包みを剥がされる危険があります。
この貧民街は、犯罪を犯した人間の家族を中心部から追放したことで形成され始めたと言われています。この地域に住まわされること自体が見せしめの意味もあるため、帝国軍もあえて治安を守ろうとはしません。
しかし当然ながら、帝国への反感を持つ人間がこの環境を利用しようとするために、軍から派遣された密偵が潜んでいることもあるようです。
貧民街にも商店はありますが、いわくつきのものしか売られていないため、よほど事情が無ければ手を出すのは避けたほうが良いでしょう。
最終更新:2020年08月11日 23:40