型月×リリカルなのはクロスまとめwiki内検索 / 「慰安旅行―一日目B」で検索した結果

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  • クロス式・意外と壮絶な機動6課の慰安旅行
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  • 慰安旅行―一日目B
    CHAPTER 1-2 雷迅を穿ちし双眸 ――― 「けほっ、ごほっ……」 洗面所に突っ伏して咳き込むか細い肢体――― それは今さっき教導を終えたばかりの高町なのはのものだった。 彼女に心配そうに付き添うフェイト。 その背中を優しく摩ってやると 「ふええ……」 という力無い呻きが返ってくる。 「大丈夫?」 「大丈夫、じゃない…………」 「流石だね凛は……初日でなのはからクリーンヒットを奪うなんて」 遠坂凛という魔術師はセイバーと同様、局に最も名を知られている者の一人だ。 故になのは、フェイト、はやてとも交流が深く、時には助け、助けられてここまで来た。 だから今日、なのはは日頃の感謝と友情の表れとして凛の全力を正面から受け止めるつもりで望んだのだ。 そしてご覧の通り……物の見事に受け損なったというわけであ...
  • 慰安旅行―一日目C
    CHAPTER 1-4 湯煙の中で ――― 「一番風呂ーー!!」 祭のスポンサー。 右の御大、月村忍が大浴場へ飛び込んだ。 「正確には一番風呂ではありませんが」 「…………そうね」 主人の喜色に満ちた顔が一瞬、曇る。 浴室中に充満する香を炊いたような甘い香り――― 桶攫いの中にある数10枚の薔薇の花びら――― 準備中に押しかけ、ファリンを拘束して風呂焚きをさせ 浴室を独占していた誰かさんは、ついさっき反省室に連行された所だ。  後に道中での悪質な車両改造も発覚したらしい。 「まったく皇帝だが何だか知らないけど……公共のマナーくらい守って欲しいわ」 ともあれ改めて新湯となった湯船。 漬かるのは忍を筆頭にメイドのノエル・K・エーアリヒカイト。 医療班のシャマル、キャロ。 警備課のシャッ...
  • 慰安旅行―一日目A
    「ティアナ。 さっきのあの通信は何だ?」 温泉街へ皆が散っていく中、シグナムがティアナランスターを呼び止める。 先ほどの不振な通信を言及するためだろう。 だが呆……と、どこか夢見心地のティアナには声が届いていないようだ。 無理やり呼び止めて事情を聞き咎めようとする騎士。 だが彼女に近寄ろうとした将を遮るように立つ――― ――― 和装束に身を包んだ少女が凄まじい形相でこちらを睨んで来る ――― 「………む」 「あ……あ、シグナム副隊長……さっきは、その……」 「ささ、行きましょうご主人様! あちらに美味しい甘味所がございます!  ここら一帯は私の庭のようなもの……数々の穴場スポットに案内しちゃいますよ!」 腕にしがみ付くようにして少女はティアナをズリズリと引き摺っていってしまう。 まるで外敵から大切なも...
  • 慰安旅行―二日目B
    「――――あれ? ………あれあれあれあれ!?」 今まさに戦闘開始という、その時――― アルクェイドが素っ頓狂な声をあげた。 「…………」 突如現れた少女を前に目を白黒させる真祖。 口を開こうとするも言葉らしきものが出てこない様子だ。 何せばったりと出会ったのだ――――――ソレとコレが…… 衝撃に流石の姫君も驚きを隠せない。 「驚いたな……白面の狐だろ、アレ?」 「天照と月読が場末の温泉でバッタリ会っちゃいました、みたいな感じですか。  神話に残るレベルの邂逅ですが、さて……」 共に「神」という、人の作りし座に置かれた者同士の邂逅。 暫く無言で見詰め合う2人だったが――― 「―――――何も言わずに、ここは私に譲ってくれませんか?」 「―――――お好きなように。 私も乗り気じゃなかっ...
  • 慰安旅行―二日目祭D
    ……………… ……………… ……………… 「アサシンさん……凄いよ……ゾクゾクする」 「むう………」 スバルの羨望と憧憬の吐息は、ここに集った皆の心を代弁したものだ。 怒声と、絶叫と、沈黙と、いずれを口に発したかは人それぞれだが――― 彼らの目前には雲すら突き抜ける火柱が上がっていた。 2者の立会いによって生じた竜巻の如き力の奔流。 土俵を飲み込む赤と七色の魔力光は成層圏にまで届き ひしめき合い、マーブルのように混ざり合い、周囲の土俵を巻き込んで崩壊させていく破壊の渦。 紛う事なき奉納祭。 善きも悪しきも偏に天に帰する意味ではまさにそう。 渦から漏れ出る力が火の玉のように会場中に降り注ぎ 大地を穿ち、次々とクレーターを形成していく。 ここに集う者達がいずれも常人離れしていたのが幸いだ。  一般...
  • 慰安旅行―二日目A
    二日目序章 深夜 ――― 丑の刻。 古来より禍々しき者が跋扈するに最も相応しいとされる時間帯。 草むらを飛び交う虫すら寝静まる帳。 其に這いずる凶兆が今、旅館に迫りつつあった。 「サイ姉~! そろそろ到着だよ~!」 「分かっている。 さて、少しは殺りがいのある連中だといいな」 否、彼らは凶鳥――― 現世より崇められし英霊も法の守護者も纏めて犯し尽くさんと嘲笑う、世界を殺す猛毒だ。 「……………リアクト」 飛翔戦艇エスクアッドを根城とする凶悪犯罪組織フッケバイン。 少女の紡がれた言霊に従い、旗艦がその能力を解放、完全戦闘形態となる。 もはや止められない。 休暇を楽しみ寝静まる皆の頭上に彼らの凶刃が迫る。 ――――――だがその時……!    私の管轄に毒を蒔こうだなんて―――― ―...
  • 慰安旅行―二日目C
    CHAPTER 2-4 ――― 「セイバーさん! 食中毒というのは本当ですか!?」 場所は翠屋。  高町士郎が体調不良で倒れたというセイバーに詰め寄った。 士郎の顔色は真っ青だ。 食に携わるものとして、これは死活問題に他ならない。 「面目ない……不覚を取りました」 「まさかうちの生菓子が……」 「この剣に誓ってそれだけはありません。 私とて騎士の端くれ……  自身を討ち果たした者を見誤るほど愚かではない」 何が直撃したのか、おおよその見当はついている。 そもそもあれは食中毒などと生易しいものではない。 毒殺だ……内蔵を抉り取られたような感触が今でも残っている。 「そうですか……美由希。 念のため厨房のチェックを」 とはいえ台所を預かる身としては、お得意さんの言葉だけで安堵できるわけもない。 ...
  • 慰安旅行―二日目祭A
    リゾートリリブラとはここら一帯のリゾート施設全般の総称である。 そしてこの三日間、旅館を初めとした温泉街のほぼ全てを、月村・遠野両家が大っぴらに貸し切っていた。 まさにマネー・イズ・パワー。  しかし当然、一般人が皆無というわけではない。 物流などで莫大な物資と資材が動く以上、全てを内々の者で賄う事など出来ないし 大口の顧客ともなれば地元の行商の稼ぎ時でもある。 自慢の産物や土産品を持参して商売に勤しむ者も多い。 今日も今日とて行商人達は客の集まる箇所に群がるように商売に精を出す。 夕刻――― かなり大掛かりな祭が開催されると聞いた彼らが会場である神社に赴いた。 「きゃあああああああああっ!? むぎゅっ!!」 ――― ズドン、ドシャ、ズシャアァァァァ!!!!!! ――― そんな彼らを待ち受けていた光景がコレである...
  • 慰安旅行―二日目祭B
    「アインス、しっかり! スピードで掻き回すですっ!」 局の本命の1人であるザフィーラの敗北。 そして今、この土俵では6課要する横綱の登場だ。 影すら踏ませずに疾る黒い疾風。  漆黒のイメージと懸け離れた純白のバトルスーツが、彼女のアンバランスな魅力を醸し出す。 此度はルール上、地上での戦いを余儀なくされていた。 しかし無敵の翼を封印され、それでも祝福の風は強かった。 「1度は言ってみたかった台詞を言うわよ!  じじじ、実況が追いつかなーーーーーーーーーーい!!!  闇雑誌(四股名です)! 土俵内に言葉通りの暴風を巻き起こすーー!!」 「お前も私を闇の書と呼ぶのだな……」 「アインス! 余所見しないで! 危ないですぅ!」 そんなリィンフォースの胴を―――ゴォウ!と、丸太のような腕がかすめた! 地に沈むほど...
  • 慰安旅行―プロローグA
    「えー、本日はお日柄もよく、と……我ながらお約束の挨拶やなぁ」 「な、なんでやねーん」 「ヴィータ~、そこ突っ込むトコちゃうよー」 独特の柔らかいイントネーションの関西弁。 機動6課部隊長、八神はやてと守護騎士ヴィータの漫談に、バス内にてドっと笑いが込み上げる。  些か拙いやり取りと赤面するヴィータの様子からも、二人がこういう事に慣れていないのは明白だった。 「凄いお歴々が集まってくれたからなぁ……柄にもなく緊張してますー。  ほら手汗で壁に張り付きそうや! スパイダーマンや!」 「な、なんでやねーん」 「ヴィータちゃん頑張れー!」 「う、うるせえよっ!! そこ!」 だが稚拙の中に見る愛嬌とでもいうのか苦戦するヴィータがやけに愛らしい。 こうして八神はやての開式の挨拶は比較的、温かい雰囲気で迎え...
  • 慰安旅行―二日目祭C
    「何やってんだ遠坂は……?  ちゃんとイリヤにも声援が行くよう扇動しなきゃ駄目だろ」 「纏まりとか団結とか皆無ですからね。 私達」 流れは明らかに向こうだ。 上座から見るとよく分かる。 アウェイに晒された妹(実は姉だが)を心配そうに見つめる士郎こと現アヴェンジャー。 何がやばいかって、遠巻きから見て分かるほどイリヤがキレてるのがやば過ぎる…… 「■■■■ーーーーーーーーーッッ!!!!」 山岳を思わせる太古の巨人が迫る。 その巨体が凄まじく速い。 「……………!!!!」 蝶のように舞い滑る美貌の王。 その痩躯が驚くほどに力強い。 立ち合いの瞬間、掻き消える巨人と拳士。 今度は彼女も一切の小細工無し。 出だしからトップギアの刺し合いに移行する。 100の魔手を100の裁きで打ち返し、サークル内に描き出され...
  • 慰安旅行―プロローグB
    1-H ――― 「ぶえっくしょい!」 先行する1号車で盛大なくしゃみが響く。 「風邪? 暖房、効かせようか?」 「んにゃ……大丈夫。 多分、どっかのバカが悪口言ってるだけだから」 ズズッと鼻を啜ったのは魔法使い、蒼崎青子。 その仕草を心配そうに見つめる黒衣の魔導士は――― 「良いから話の続き続き! だからさあ、ねえ? バルバロッサ」 「テスタロッサです」 執務官フェイトテスタロッサハラオウン。 異色の組み合わせだが、同じ射撃・砲撃を嗜む者としてこの魔法使いは高町なのはと親交がある。 その経由でフェイトともちょっとした知り合いの間柄となっていた。 「貴方は家族ってモンに対して重く見すぎっていうか……神聖視してるのよ。   家族なんて実際、面倒臭い事のが多いし、ロクなもんじゃないわよ?」 ...
  • 慰安旅行―プロローグC
    3-F ――― 恐慌と混濁と、得体の知れない快楽の狭間に落ちていった親友ティアナランスター ―――― と…………そう感じていたのは恐らく本人だけだっただろう。 スバルが全く動かなかったのが良い証拠である。 これが微塵でも友達に危害を加えるような事態であったなら彼女が悠長に構えている筈がない。 「んしょ……よいしょっ……」 何より、少女のこの顔が―――印象的だったのだ。 ティアナの体の不調。 コリや張った筋を丹念にほぐしていく時の彼女の一生懸命な掛け声と、顔。 額に汗して「ご主人様」に奉仕する姿はあまりにも嬉しそうで、眩いばかりの笑顔に邪な物など一切、感じられない。 言動こそ物騒だが、少女のティアナに対する好意は本物だった。 確かに最近の相棒は執務官になるための勉強と日々の激務に苛まれ、相当の無理をしていた。 後で分か...
  • リリカルブラッドの作者氏
    リリカルブラッド クロス式・意外と壮絶な機動6課の慰安旅行 長編へ
  • 休日―釣りバトル中編A
    てんやわんやの大騒ぎ――というには、それは聊か度が過ぎていただろう。 ともあれ時空管理局の一流魔道士と英霊の心温まるやり取り。 それも一時の落ち着きを見せ―― ――― ぐちゅ、ぐちゅ、――― 今は各々、自身の竿と水面の動きに没頭している最中であった。 ――― ぐちゅ、ぐちゅ ――― そう、ここは釣堀。 釣竿に身を委ね、水と会話し、魚と格闘するアングラー達の戦場。 どのような理由があれど手に持つ竿による戦い以外の競り合いなど些事以外の何ものでもない。 ――― ぐちゅぐちゅ ――― ここに集いし四名。生い立ち性格は違えども志高き戦士である。 各自、その誇りに基づいて今はただ目の前の聖戦に勝利すべし。 ――― ぶちゅッ、! ――― それはそうと……先ほどからスプラッターな音響が辺りに響きまくっているこの音は何事か?...
  • クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日―プロローグ
    注:  この空間は非情に不安定で移ろい易い泡沫の夢のようなもの 登場人物の記憶や人格、人間関係など、何一つ確かなものはありません そして明日には消え去ってしまうであろう そんな休日の一日の出来事である事を、先ずはご了承下さい―――― ―――プロローグ 「ハッ! どうした端女!!? また偉く大人しいではないか!?  我を前に散々に吼え千切ったあの気勢はどこぞへと忘れてきたのか!?」 バチバチと、バチバチと――― 男達と魔道士の女性との間に火花が散っては消える――― 「ふむ――確かに……我らに勝負を挑むには聊か足りんな  空の英雄の異名も水中までは届かぬと言う事か」 「…………」 魔道士は終始、無言 男達の挑発に対し安っぽく言い返したりはしない だが……その脇で彼女の様...
  • 休日―プロローグ
    注:  この空間は非情に不安定で移ろい易い泡沫の夢のようなもの。 登場人物の記憶や人格、人間関係など何一つ確かなものはありません。 そして明日には消え去ってしまうであろう そんな休日の一日の出来事である事をまずはご了承下さい―――― ―――プロローグ 「ハッ! どうした端女!!? また偉く大人しいではないか!?  我を前に散々に吼え千切ったあの気勢はどこぞへと忘れてきたのか!?」 バチバチと、バチバチと――― 男達と魔道士の女性との間に火花が散っては消える。 「ふむ――確かに……我らに勝負を挑むには聊か足りんな。  空の英雄の異名も水中までは届かぬと言う事か。」 「…………」 魔導士は終始無言 。 男達の挑発に対し安っぽく言い返したりはしない。 だが……その脇で彼女の様子を見...
  • クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日―昼休み編
    ―――――― 注: この空間は非情に不安定で移ろい易い泡沫の夢のようなもの 登場人物の記憶や人格、人間関係など、そんなあやふやな、様々な世界の影響を常に受け続ける 狭間の世界にて紡がれる出来事である事を 先ずはご了承下さい―――― 平時は戦いに勤しむ彼ら彼女らですが 今日は春の日差しに恵まれたポカポカ日和 その中でまったりと行楽を楽しむ彼らを見てあげて下さい ―――――― 舞台は三月の上旬―― 若者がにわかに活気立つイベントが目白押しのこの時期 春の訪れを祝し、初花粉に悩まされる そんなとある一日だった 多忙を極めた職務から一時解放され 休日を満喫する筈だった時空管理局の魔道士二人 高町なのはとフェイトテスタロッサハラオウン 謎の疲労困憊に陥った友人のために...
  • 休日―昼休み編
    注: この空間は非情に不安定で移ろい易い泡沫の夢のようなもの。 登場人物の記憶や人格、人間関係など あやふやな様々な世界の影響を常に受け続ける 狭間の世界にて紡がれる出来事である事を――― 先ずはご了承下さい。 平時は戦いに勤しむ彼ら彼女らですが 今日は春の日差しに恵まれたポカポカ日和。 その中でまったりと行楽を楽しむ彼らを見てあげて下さい。 ―――――― 舞台は三月の上旬―― 若者がにわかに活気立つイベントが目白押しのこの時期。 春の訪れを祝し、初花粉に悩まされる―――そんなとある一日の出来事であった。 多忙を極めた職務から一時解放されて休日を満喫する筈だった時空管理局の魔導士二人。 高町なのはとフェイトテスタロッサハラオウン。 謎の疲労困憊に陥った友人のために力技と裏技を...
  • Lyrical Night1話
    第1話 「黄金の輝き」  ―― 一日目 AM00 05 ――  ミッドチルダに夜の帳が下りた。  沿岸部に設けられた、遺失物対策部隊 機動六課隊舎。  その窓から漏れる明かりも既にまばらで、隊自体も眠りに就こうとしているかのようだ。  先ほどまで聞こえていた訓練の声もしなくなった。  都市部の喧騒もここでは遠い。  ただ潮騒だけが、規則的な満ち引きのリズムを闇夜に響かせていた。 「もうこんな時間かぁ」  スバル=ナカジマは枕元の時計を見て、小さく呟いた。  就寝時間はとうに過ぎていた。日付も少し前に変わってしまっている。  もう一時間は眠ろうと努力しているのに、その成果が表れる気配は一向になかった。  疲労した身体とは裏腹に、不思議と目が冴えてしまっているのだ。  明日も早朝から訓練が待っている。  夜更かしをして、今日の...
  • Lyrical Night2話
    「第2話 静かな始動」  ―― -3742日 PM11 05 ――  街は静かな戦場と化していた。  駆け抜けるは、伝説に謳われる兵達。  交わるは、神話の域に至った剣戟の極地。  住民達の知らない世界の裏側で、彼らはたった一つの勝者の座を巡り、己の全てをぶつけ合っていた。  褒賞は唯一無二。  全てが秘密裏に遂行される。  故に、闖入者は決して望まれない。  街を二分する川がある。  それに架けられた、全長六〇〇メートルに達する大きな橋。  名を冬木大橋という。  橋の支柱、行きかう車を見下ろす高所に長身の騎士が立っている。  身に貼り付くような薄い黒衣に、琥珀色の双眸。  余りにも美しすぎるその貌は、しかし苦渋に歪んでいた。  騎士が右腕で突き出すは赤き長槍。  その切っ先には、余りにも幼すぎる少女がいた。 ...
  • 休日―釣りバトル後編C
    ざわざわ――― 周囲から狼狽と焦燥の色を称えた言葉が耳に入ってくる。 (……あ、あぅ、) 頭を抱える教導官。 正規の作戦行動中においても、未だかつてここまでのピンチがあったであろうか? 現戦況をいかにして沈静化しつつ、あの雷池の中で踊り狂う親友を回収しこの場から立ち去るか―― それを限られた時間の中で考えなくてはならない。 「姉ちゃん。」 思慮に耽るなのはの肩を常連さんがポンと叩く。 ビクッと体を振るわせるなのは。 「ぁ………す、すいません。  連れの者がご迷惑をかけて…すぐに対処しますから。」 「いや別に俺たちはいいんだよ。  なかなか面白い勝負だったからな。」 快活な表情でそう言われる。ほんの少し罪の意識が軽くなる魔道士。 「だが………確かにそうした方がいいな。」 だがしかしその後、妙に声を潜め...
  • Lyrical Night4話
    第4話「魔槍Ⅰ」  ――三日目 AM4 00――  ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。  手足に力が入らない。  ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。  視界が霞む。  ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。  耳鳴りは止むことがなく。  ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。  頭が今にも割れそうだった。  もう数年は人が通っていないであろう裏路地。  男はここで、一人死に掛けている。  頭から被ったローブは薄汚れ、その下の衣服は傷だらけ。  まるで何日も絶え間なく這いずり回ったかのよう。  そんな見てくれなど気にする余裕もないのか、男は空を仰ぎ、無心に呼吸を繰り返している。  東の空が不気味に明らみ始める。  廃墟の街を焼き尽くさんばかりに、白い光が染み込んでくる。  男はビルの上に立つ影を、呆と見ていた。  何と形容すれば良いのだろうか。  ヒ...
  • ash氏
    魔法少女リリカルなのはシリーズ×Fate/staynight クロスオーバー Ash/staynight ※注意事項 ○本作品は本編抜き出し型の中編SSです。回想モードみたいな感じ。 ○英霊タカマチナノハ物です。 ○一応最低限のことは説明していますが、不足なのは否めません。自己補完必須です。 ○独自解釈・独自設定及び捏造、多々あります。 ○なのはさんが強いです。黒いです。 ○召喚されたサーヴァントは以下の通り。 セイバー=アルトリア・ペンドラゴン アーチャー=タカマチナノハ キャスター=エミヤシロウ 10日目 Ash-『Prolog1』 Ash-『Prolog2』 Ash-(4).『Ash like snow』 Ash-(5).『Golden starlight1』 Ash-(5).『Golden starlight2』
  • Lyrical Night8話
    第8話「ジャハンナムの天使 Ⅰ」  ―― 一日目 AM0 00―― 「突入!」  部隊長・八神はやての号令一下、4人の騎士と魔導師は一気にトップスピードまで加速した。  一切の光源が排された暗闇の中を風切り音が駆け抜ける。 「フォトンランサー……!」  先陣を切る白い外套の魔導師が槍状の魔力弾を放つ。  それは暗闇に閉ざされた地下道を直線的に飛翔し、唐突に弾けた。  消失の瞬間、二色の魔力光が微かに散った。  後を追う騎士が口の端を上げる。 「バリアか。やはり簡単には通してくれないようだな」  フォトンランサーがバリアに阻まれた瞬間は、後方で待機するはやてにも見えていた。 「なのはちゃん、お願い!」 「オッケー!」  はやての位置から遥か後方に、桃色の魔力光が輝く。  部隊の最後方でデバイスを構えるは、エース・オブ・エース高町なのは。  シュー...
  • ネコ歩く02
    ===== 一日目 ====== ひたすらに長い蒼が広がっていた。 雲ひとつない空とはこのことか。遮るものがなく我が物顔で太陽が燦然と輝く。 日差しがやや強いが気温が低くなってきてるこの季節には丁度いい。 まさに絶好の行楽日和。今すぐにでも友人や部下にもまとめて休暇に出して羽を伸ばしたい位だが、仕事柄そうもいってはいられない。 そうやって人々が何の不安も感じずに平和な一日を過ごせるようにするのも自分達の仕事だ。 そんな思いを馳せながら、私八神はやては今日も今日とて雑務に追われるのでした。まる。 ネコ歩く ep02:名前を呼んで ってもう最終話かよっ!?  ◇―――――――――――――――――――――――――――― 「――――はい、そうですか。やはりそんな子は見ていないですか...
  • セイバーからアヴェンジャーまで、英霊タカマチナノハによる嫁議論
    なのセイバー 剣技追加 防御アップ 砲撃 クロスファイアが最大 なのーチャー アニメ後 なのライダー 執務官になったなのは アルカンシェル搭乗 砲撃 スターライトブレイカー不可 なのキャスター アニメ後からバッドエンド なのランサー 貫け!私のサンライトブレイカー! なのサーカー 半裸で暴走 なのハサン 言わずとしれたなのハサン。 番外編 なのヴェンジャー ヴィヴィオと旅行中に次元震に巻き込まれ、型月世界に流されたIF。 ヴィヴィオは聖杯に取り込まれ、なのは自身もゾウケンに擬似サーヴァンととして改造される。 神秘付加、殺傷設定、砲撃特化。バインドやプロテクションは使えない。 バリアジャケットは黒。視覚を失う代わりに、敵のみを感知する事が出来る。 ...
  • 1-213
    なのは「何で私を殺そうとするのですか?」 シエル「決まっているじゃないですか・・・神の摂理に逆らう愚かな魔法使いを殺す     これはバチカンに勤めるものの義務ですよ」 なのは「(ど、どうしよう・・・レイハはないし・・・そうだアルクェイドさんに教わった)     シ、シエルさん、これ」 シエル「カレーパンですか・・・ふん市販のカレーパンごときで買収される私では・・・」 なのは「違います、これは海鳴の某カレー店の一日10個限定のカレーパンなんです!」 シエル「・・・・」 なのは「とりあえず(投げる)」 シエル「ああ!もったいない!!!というか体が反応して!」 なのは「た、助かった」 小ネタへ
  • 休日-オマケC
    omake 3 ――― ――― prologue ――休日 ビームと閃光飛び交う苛烈な余暇を過ごす者もいれば何も起こらない他愛の無い一日を送る者もいる。 休日の過ごし方は人によって様々だ。 今回は前者とは打って変わるような、ゆるーい休日を過ごした者のお話である。 ―――――― 降って湧いたような休日というのはその実、消化に困るもの。 普段、休みなどとは無縁の環境にいる者には尚更その傾向が強い。 彼の場合もそう――― 主の命があるまでひたすら待機し、不定期に担ぎ出されて使役される。 そんな生活に長い事、従事していた身の上に対し「今日一日は好きに使って良い」などと 臨時休暇を出されても正直、どうして良いか分からない。 もっとも最近では世間もだいぶサーヴァントに優しい世の中になっているようだ。 暇な...
  • 3-296
    ヴィヴィオに仕えるハサンの一日 なんとか説明し事なきを得て行動を共にしている、しかし魔導師殿は私の姿に苦手意識を持っているおられる。 この容姿に問題があるのかもしれない、六課の方々に挨拶した際も多少驚かれた(叫ぶまたは攻撃された) この身は魔導師殿にとって奴隷や道具といった都合良きもの、何ら心配はないと説明はしたものの・・・ ヴィヴィオ「やっぱりこわいよぉ」 私のほうを一瞥してすぐさまそう断じて物陰へと隠れられてしまった。 主の役に立つどころか不快感を与えていたのでは仕える者としては悔やんでも悔やみきれん。 魔導師殿の周囲の方々に理解して頂いただけでも得るものはあった、暫くは霊体化して側に控えているのが最良の策だろう。 …魔導師殿のお側にいる番犬、いやザフィーラ殿だが獣の容姿ながら恐れられる事無い様子、何故? いや別に不満はない、単純な疑問であっ...
  • 3-571
    ヴィヴィオに仕えるハサンの一日 いつも通りの朝だった、魔導師殿の寝込みを襲う不逞の輩も居なかった 母君殿に朝の挨拶をし、何かと不穏な地上本部を探ろうと方針を定めていた所に魔導師殿が起床なされて 「ハサンおじちゃん、おはよ~」 「・・・おはようございます、魔導師殿」 私に挨拶をしてくださった、・・・今日は爽やかな朝だった。 地上本部に探りを入れる件だが何処からいくかはもう決めてあった、防衛長官だ。 はやて殿に今の六課は何かと危うい立場である、だからおとなしくしていてほしいと頼まれた 私は了承し、存在を感じとられる要素の全てを消し“おとなしく”調査をした所、防衛長官がキナ臭いと分かった。 組織のいざこざなど何処にでもある事は理解している、本来なら私にはそれがどうなろうと関係ない。 だが魔導師殿に害をなすならば話は別、そのような輩にはそれ相応の報いを受...
  • 「英霊スバル~その軌跡~」中編Ⅰ
    「英霊スバル~その軌跡~」中編Ⅰ ――新暦80年代……ミッドチルダ <大戦>初期 滅んでしまえばいい、と何処かの戯け者が呟いた。 数日後、世界は馬鹿が呟いた通りに灰燼へ帰した。 誰もが馬鹿な戯れ言だと思っていたこと――のどかな平和が続くという日常はあっけないと云うことを、誰もが忘れていた。 でもそれは、時空管理局の予測を遙かに上回る大軍勢によって覆されて、旧暦に発達した質量兵器の群れが雲霞のように世界を塗り込めて。 スバル・ナカジマの生まれ故郷である、次元世界有数の繁栄を誇ったミッドチルダは、火の中で踊り狂う罪人のように死に絶えた。 大きな、大きながらんどう、朽ち果てた都市の残骸だけが―――残されたモノだった。 絶望しかないように見えた。それでも人は抗う、運命という呪縛に…… ―――身体は鋼で出来ている。 その頃はまだ戦況は...
  • クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日―道中編
    注:  この空間は非情に不安定で移ろい易い泡沫の夢のようなもの 登場人物の記憶や人格、人間関係など、既存の彼ら彼女らには持ち得ないものが生じているかもしれません それは多分に同空間に意識を委ねている方々でないとあるいは理解が困難でしょう 平時は戦いに従事する彼ら彼女らですが此度は過激な振舞いは一切致しません 心温まるハートフルな行楽風景をどうか見守ってあげて下さい―――― ―――――― 道中――― 三月某日―― 昼下がりの日光が燦々と照りつける中 見晴らしの良い海沿いの二車線道路を メタリックブラックの大きなクルマが軽快に走行する セダンにしては車高の低い、しかしクーペにしては大きすぎる車体 それは日本のどの既存メーカーの規格とも合わない仕様であり 対抗車線にて通り過ぎた者が「珍しい車種だな...
  • 改変ネタ――王様の夢は…
     それは、五年前の冬の話。  月の綺麗な夜だった。  私は何をするでもなく、父、というか王様の、ギルガメッシュと月見をしている。  冬だというのに、気温はそう低くはなかった。  庭先はわずかに肌寒いだけで、月を肴にするにはいい夜だった。  この頃、王様は外出が少なくなっていた。  あまり外に出ないで、家にこもってのんびりとしていることが多くなった。  ……今でも、思い出したら後悔する。  それが死期を悟った動物に似ていたんだと、どうして気がつかなかったんだろう。 「かつて、我はこの世全てを手にした王だった」  ふと。  私から見たら王様そのもののギルガメッシュは、懐かしむように、そんな事を呟いた。 「なに、それ? だったって、今はもう違うの?」  気になって問い返す。  王様は少しだけ悔しそうに、遠い月を仰いだ。 「全...
  • 休日―道中編
    注:  この空間は非情に不安定で移ろい易い泡沫の夢のようなもの。 登場人物の記憶や人格、人間関係など既存の彼ら彼女らには持ち得ないものが生じているかもしれません。 それは多分に同空間に意識を委ねている方々でないとあるいは理解が困難でしょう。 平時は戦いに従事する彼ら彼女らですが此度は過激な振舞いは一切致しません。 心温まるハートフルな行楽風景をどうか見守ってあげて下さい―――― ―――――― 道中――― 三月某日―― 昼下がりの日光が燦々と照りつける中 見晴らしの良い海沿いの二車線道路をメタリックブラックの大きなクルマが軽快に走行する。 セダンにしては車高の低い、しかしクーペにしては大きすぎるその車体。 それは日本のどの既存メーカーの規格とも合わない仕様であった。 対抗車線にて通り過ぎた者が「珍しい...
  • 小ネタ
    小ネタ 小ネタ1スレ目 2スレ目 3スレ目 4スレ目 5スレ目~ 10スレ目~ 16スレ目~ 21スレ目~ 31スレ目~ 1スレ目 1-205氏 1-213氏 1-245氏 1-270氏 1-432氏 1-625氏 1-737氏 1-748氏 1-838氏 1-982氏 上へ 2スレ目 2-26氏 リリカルブラッドの作者氏 ギル×スカ バーバー藁気屋 言峰VSなのは 2-234氏 2-234 2-321 2-829 3-581 2-295氏 2-336氏 2-372氏 2-810氏 上へ 3スレ目 ヴィヴィオに仕えるハサンの一日氏 3-296 3-571 3-309氏 3-472氏 キャロ、バーサーカー召喚 3-490氏 夢 3-565氏 fateはやてルート外伝:英霊なのは 3-5...
  • 第三話:First contact
    『Fate/EXTRA  白い魔導師 第三話:First contact』  ――夢を見た。  周りは全ては焼け野原。  空も、家も、人も。  全てが等しく燃えていた。  これは原初の景色。あたしはここで―――。 「起きて。マスター、そろそろ起きて」 「んん……」  ゆさゆさと体を揺すられて目をぼんやり開けると、 白いスカートとジャケット、ツインテールにした栗色の髪をした女の人。名前は確か……。 「ええと、アーチャー、さんだっけ?」 「それ、昨日と同じ流れだよね?」  傍らに正座していたアーチャーのツッコミをスルーして体を起こした。 壁にかかった時計を見ると、時刻は七時半ちょうど。 「まだ七時半じゃん。起きるには早いって……」 「もう七時半だよ。これでも、昨日は遅かったから寝坊させた方だよ」 「寝る」 ...
  • 2-787氏3話
    それはえらいやったなぁ。せっかくの休日やったのに。 もう帰るんか?……そうかヴィヴィオは楽しんでんか。ほな付きおうてやり 友人との通話を終えなのはは今日あった少年に悪態を突きつつ 脇で眠るヴィヴィオを抱きしめて眠った。 翌日、なのは近くの公園の噴水ではしゃぐヴィヴィオを眺めていた。 もう昔ほど若く○いせいで日々の疲れが溜まったのかベンチに座りつつ いつしか日溜まりの中船を漕ぎ始めた。 次になのはが目を覚ましたのは娘と娘と同じ髪の色をした 少年に顔をのぞき込まれていた時だった。 娘だけならまだしも見知らぬ少年を前にしてなのはは背筋を伸ばした。 「ママ~疲れてるの~?」 「ううん、暖かくて気持ちよかったんでちょっと眠っちゃった、ごめんねヴィヴィオ」 「ですよね~いい日差しです」 屈託のない笑顔で相槌を打つ少年。 「で、君は誰なのか...
  • Lyrical Night9話
    第9話「ジャハンナムの天使 Ⅱ」  ―― 三日目 PM3 30―― 「やれやれ……人の親切な忠告を無視するなんてね。黙ってれば長生きできたのに」  機動六課隊舎の裏、水色の髪の少女は独りきりで空を仰いだ。  天頂を過ぎた太陽は、次第に西へと傾きかけていた。  空は青く、千切れ雲が幾つか漂っている。  ゆっくりと休息を取るには絶好の天気だろう。 「それにしても、よく出来てるなぁ、この服」  水色の髪の少女――セインは自分が着ている服を摘んだ。  濃いブラウンを基調とした落ち着いた配色で、全体的にシンプルなデザインの制服。  それは、機動六課の制服だった。  細部に多少の差異こそあるが、遠目に見るだけでは本物と判別できない。  これならば、下手な行動を取らない限り、見咎められることはないだろう。  腰に下げたポーチも違和感なく馴染んでいる。  セインは...
  • Lyrical Night15話
    第15話「凪の日、そして」  ――五日目 AM4 20―― 早朝。 沿岸の朝霧が消えきらない時刻。 コンクリートで護岸された波打ち際を、ティアナは一人走り続けていた。 シャツの襟元は汗でじっとりと湿り、荒い呼吸が無人の沿岸にこだまする。 今日は不思議と早く目が覚めてしまった。 二度寝するには遅過ぎるが、起きているには早過ぎる。 そんな中途半端な時間を、ティアナは自主的な訓練に充てることにしたのだった。 埠頭の先端までたどり着き、そこでUターン。 進んできたルートを逆向きに走っていく。 特別なことなど何もない、単純な走り込みである。 「強く、ならなきゃ……」 ティアナは波の砕ける音を右手に聞きながら、地を蹴る力を強めた。 本当は自分でも分かっている。 こんなに早く目を覚ましてしまった理由も。 人目につか...
  • Lyrical Night16話
    第16話 「暴君の剣Ⅰ -Tyrant Sword the First-」  ――八日目 PM13 10―― 「……以上が事件の概要です」 説明を終え、はやてはブリーフィングルームに集まった隊員達を見渡した。 スターズ。ライトニング。ロングアーチ。 そして機動六課以外の関係部隊の隊長格達。 ブリーフィングルームを埋め尽くすほどの視線が、壇上のはやてに注がれている。 「不明な点があれば仰ってください。解答できる範囲でお答えします」 発言を促すも、聴衆達は口を閉ざしたままだ。 無理もないだろう。 先ほどの説明で伝えた状況は、歴戦の士官達を黙らせるには充分だった。 数日前に高官達へ報告した内容よりも情報は削られていたが、あえて伏せた部分を差し引いても異常過ぎる。 "聖杯"と"サーヴァント...
  • Lyrical Night3話
    第3話「戸惑い」  ―― 二日目 AM10 00 ――  忙殺とはこのような状況を言うのだろう。  八神はやては椅子の背もたれに体重を任せて、天井を仰いだ。  目蓋は重く、視線が宙を泳ぐ。  髪や衣服が少々乱れていることを気にする余裕もない。  一歩踏み外せば底なしの眠りに落ちてしまう――そんな境にはやては浮かんでいた。 「はやてちゃん……少しは寝ないと身体壊しちゃいますよぉ」  小さな曹長がデスクに降り立つ。  怒っているような口調だが、その表情は心配そうだ。  はやては隈のできかけた目を擦り、リインに微笑みかけた。 「心配せんでええって。お客さんとの話し合いが終わったらちゃんと寝るから」  そう約束されても、リインの顔から不安の色は消えなかった。  責務が普段の2倍にも3倍にも増えたような疲労のしようなのだ。  本音...
  • はやてルート4話
    少女がスカートの裾を持ち優雅な仕草で挨拶をする。 銀の髪と赤い瞳が特徴的なその少女はヴィータよりも少し年長に見えた。 大男とは存在自体が異質なこの少女の出現にはやての足は止まる。 「はやて妹いたのか?」 「いやぁーあれは近所のお姉ちゃんとかそういう意味やと思うなー多分」 大男の威容に顔を強ばらせていたはやてはぎこちない苦笑いで答える。 「違うわはやて、近所のお姉ちゃんなんかに 殺意が沸くほど私は節操なしじゃないもの」 「…そこのでかいのがサーヴァントとかいうやつだな!! はやてのことはあたしがぜってーやらせねーからな!! ガキはガキらしく家で寝てやがれってんだ」 並々ならぬ決意をもってヴィータはデバイスを構える。 ヴィータの言葉に銀髪の少女は口端を釣り上げヴィータを睨み付けた。 「…あなたがサーヴァントもどきね…生意気、 私の知らな...
  • Lyrical Night12話
    第12話「聖剣の騎士Ⅲ」  ――四日目 PM4 00―― 「刻印ナンバーⅩⅢか……残念、ⅩⅠじゃなかったみたいです」  通信を終えるなり、セインは肩を竦めた。  言葉の行き先は紫の髪をした幼い少女。  少女はセインの報告を聞きながら、窓の外に視線を投げている。  空港から一キロほど離れたビルの十五階。  セイン達はその一室から、空港で繰り広げられる戦闘を傍観していた。  建設途中で放棄されたという経緯からか、このビルには人の気配というものがまるでない。  がらんとした部屋には内装すら施されておらず、天井から床に至るまでコンクリートがむき出しになっている。  少女――ルーテシアは窓枠に手を掛け、軽く身を乗り出した。  無論、窓枠といっても金属の枠組など設けられておらず、コンクリートの壁に四角い穴が空いているだけだ。 「もうひとつは...
  • 休日―釣りバトル後編A
    とある早朝――― 「…………」 宛がわれた宿舎の一室。 備え付けられた簡易パソコンのモニターの前で盛大に突っ伏し、悔恨に苛まれている影があった。 その人物。彼女は決して朝に弱いというわけではない。 激務に次ぐ激務をこなすその脳は長年の経験によって気だるい眠気から意図的に覚醒する術を存分に心得ている。 だからこそ今の彼女の様相は決して寝起きのローテンションによるものではなく―― 「何やってるんだろ……私」 その視線の先にある画面上、既に送信済みフォルダに写された 他ならぬ自身の送ったメールによるものである事―――想像に難くなかった。 いや……これをメールと呼んで良いのだろうか? 送信者である高町なのはは朝っぱらから終始、渋い顔でそんな疑問に苛まれ続ける。 ―――『from フェイトちゃん』と銘打たれたそのメール 送信先はいわずもが...
  • Lyrical Night6話
    第6話「夕焼けの記憶」  ――三日目 AM9 25――  空を仰ぐ。  地下だというのに、澄み渡る青空がよく見える。  天井には幅数十メートルはあろうかという大穴が開いていた。  陽光は燦々と降り注ぎ、涼やかな風が吹き下りる。  ややもするとここが地下であることを忘れそうになってしまう。  そう、ここは廃棄都市区画を横切る、巨大な地下道の中だ。  見えるのは天井ではなく、地上の裏側。  遥か上方の地表から、道路の断面が垂直に切り立っている。  周囲を見渡せば、崩落した地上の構造物が瓦礫の平野を築いていた。  砕けたビルが丘を成し、横たわるハイウェイは大河のよう。  無機質な水面には亀裂の細波が広がっていた。 「ずいぶん派手にやってくれたな……」  自然に擬態した瓦礫の上で、ヴィータは憎々しげに呟いた。  バリアジャケットは砂埃に汚れてはいたが、損傷らしい...
  • Lyrical Night13話
    第13話「Heavens Feel Ⅳ」 ―― -3742日 PM5 32 ――  新都へ向かうバスの中は興奮醒め止まぬ空気に満ちていた。  貸し切られた車内に乗り合わせているのは、三、四十人ほどの幼い子供達。  年齢は十歳にも満たない程度だろう。  学年で言えば小学校の中学年といった程度だ。  誰もが『幼い』という形容詞から逃れられてはいない。  しかし、白を貴重とした揃いの制服は、彼らの通う学校が普通ではないことを暗に示している。  私立聖祥大学付属小学校。  某県鳴海市に居を構える私立学校であり、その仰々しい名称に恥じない実態の学校である。  小学校から大学までのエスカレーター式進学制度。  公立校のそれを優に上回る水準の学力と学費。  世間でいう名門校の条件を見事なまでに満たした私立校といえるだろう。  そんな彼らが...
  • Lyrical Night10話
    第10話「聖剣の騎士Ⅰ」 ――四日目 AM5 15――  機動六課に出撃要請が下ったのは、太陽が昇り切らないほどの早朝のことだった。  はやては執務室のデスクに腰掛けるなり、画面に要請の内容を表示させた。  ぼうっとした眼といい、頭の横で跳ねた髪の束といい、明らかに寝起きの出で立ちだ。  イスト・アベンシスの一件が発生したのが昨日の午後三時半。  すぐさま報告書を作成し、地上本部に容疑者暗殺の一部始終を報告。  同時に上層部に捜査体制の強化を具申。  更に捜査上で連携することになるであろう部隊への挨拶も行った。  そうして、一連の事務処理を済ませた頃には既に午後十一時を回っていた。  後は機動六課の残務を片付けて、就寝できたのは今日の午前一時過ぎ。  連日の激務も相成って、たった四時間の睡眠では疲労が抜け切らないでいる。 「もぅ、昨日の今日で任務なんて...
  • 第四話「式、機動六課と接触」
    スバルとティアナは唖然としてその光景を見つめていた。 悪い意味……自分達が間に合わず、民間人を助けられなかったと言う事では無い。 全て終わった後だったのだ。 ガジェットの残骸の中心に立つナイフを持った一人の女性。それが全てを物語っていた。 ティアナは有り得ないと言った表情でそれを見ていた。 本来、ガジェットはその性能から管理局所属の魔導師もてこずる相手なのだ。 それがリンカーコアはあるとしても、デバイスを持たないただの一般人が魔法も無しに倒せる代物では無い。 最初は手に持っているナイフが何かしらの魔力を宿しているかと思ったが、自分のデバイスである「クロスミラージュ」がそれを否定した。 あれは何の変哲も無い唯のナイフだ。 それじゃあ一体どうやって倒したのか……。謎は深まるばかりだ。 「誰だ……そこのオマエ等?」 ティアナが考えに耽っていると、その...
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