「ねェリト、エッチしよ」<br> <br> その言葉にリトは危うく飲んでいたジュースを噴き出しそうになってしまう<br> <br> 「お、おま…ちょっと待てなに言ってんだよ！？」<br> <br> 顔を真っ赤にしながらもリトは慌てて自分にくっ付こうといているララを引き離す<br> <br> 「え～だって、好きな人同士みんなエッチしてるってリサ達が言ってたよ？」<br> 「そ…そりゃそうかもしれないけど……」<br> <br> なおも体を密着させてくるララから距離を取りながら<br> リトは心の中でリサ達に悪態をつく<br> <br> （あいつらララにいったいなに教えたんだよ！）<br> 「ねェ～リト～」<br> <br> 再び距離をつめてくるララを手で制止ながらリトは声を大きくする<br> <br> 「ちょ、ちょっと待ておまえ！エッチとかそんなこと人前でいうなっ！<br> だ…だいたいオレとおまえはそんな仲じゃ…」<br> 「ん？だって私リトが好きだもん！だからリトなら<br> 私の初めてをあげてもいいかなって□□□□」<br> 「は…初めてって……□□□□」<br> <br> 言葉を最後まで理解することなくリトの頭の中は沸騰してしまう<br> そんなクラクラとする頭をなんとか元に戻すとリトは改めてララに向き直る<br> <br> 「あのなララ、そんなこと簡単に言うんじゃねえよ！だって一生モノのことなんだぞ？<br> わかってんのかおまえ？」<br> 「うんわかってる…わかってるつもりだよ！私だっていつまでも子供じゃないもん！」<br> <br> リトはララを怪訝な顔で見つめる<br> 確かにデビルーク王が来てからララは以前と違って少しずつではあるが変化を見せていた<br> あの時屋上で見せたララの誓いともとれる本気の思いがウソなんかじゃないってことは<br> リトにもわかっていた<br> わかっているのだが、ララは相変わらず裸で人のベッドに潜り込むし、風呂上がりに<br> バスタオル一枚で平気で抱きついてくるしで<br> その辺の行動はあまり以前とかわりなく、むしろより積極性を増している節すらあった<br> だからリトは今回のララにも一定の距離を守っていた<br> ララの気持ちが心の内がわからないでいたから<br> それにリト自身にも大事な思いがあった。中学の時から思いを寄せていた相手<br> <br> （春菜ちゃん…）<br> 「ねェリト、どうするの？私はしたいなリトと」<br> <br> 正直こんなカワイイ子に詰め寄られて、好きだのエッチしようだの言われて断ってしまう<br> 自分はどうかしてるんじゃないかと思いはしたが<br> それでもリトは理性を保っていた<br> <br> 「どうするもこうするもそんなコトできるわけないだろっ！いいからおまえはさっさと<br> 制服から着替えろよ！」<br> <br> ララに背中を向けたリトは着替えの邪魔にならないようにと部屋から出ようとする<br> <br> 「私……本気なんだよ！リトのことが好きで大好きで……だから…」<br> <br> それはいつもの明るい声とは違う、落ち着いていてそして熱のこもった声<br> <br> 「だ、だからって……オレはおまえのこと別に…それにオレ達付き合ってるわけでも<br> なんでもないのにそんなコトできるわけないだろ？おまえ言ったじゃんエッチは好きな人<br> 同士がって！それに…それにオレには好きな人が他に……」<br> <br> リトは背中を向けたままでララに告げる<br> <br> 「……うん知ってるよ！リトが私以外の誰かを好きだってこと」<br> 「え……？」<br> <br> リトはララに顔を向ける。ララは笑っていた、けれどその目には今にもこぼれ落ちそうな<br> ほどの涙が溢れていた<br> <br> 「知ってる…知ってるよみんな！だけど…だけど私、私はそれでもリトが好きだから！<br> ずっとずっと大好きだから！リトがその人とくっついても私はずっとリトが好き」<br> <br> ララの目からすーっと涙がこぼれる。そこにはララ自身の思いが詰まってるかの様で<br> 後から後から溢れてきては止まらない<br> <br> 「だってリトが好きだもん！大好きだもん！離れたくない……<br> ずっとずっとそばにいたい！そばにいさせてお願い…リト……」<br> 「ララ…おまえ……」<br> 「ご、ごめんねリト！こ、こんな泣くつもりなんかなかったんだよだけど…だ…けど……」<br> <br> らしくなくオロオロとしているララのそばまで寄るとリトはそっとララの頭を自分の胸に当てる<br> <br> 「リ…ト…？」<br> 「……いいから！大丈夫になるまでオレがそばにいてやるから」<br> 「…う…ん」<br> <br> その言葉にララはリトの胸を掴むと顔をうずめて声に出して泣いた<br> それはリトが初めて見るララの姿だった<br> ララの涙が胸に染みを作っていく。それはゆっくりと少しずつ広がっていった<br> まるでリト自身の心に染み込んでいくかの様に<br> リトは泣きじゃくるララの髪をそっと撫でる<br> いつも体を密着させる時に感じるシャンプーの匂いとは違う、ララ自身の匂い<br> やさしくてあったかくて、そしてリトが好きな匂い<br> いつも誰よりもそばにいてくれたララ<br> 楽しい時も、辛い時もいつもそばにあったララのやさしい匂い<br> いつのまにか当たり前だと思っていたそれにリトはようやく気づく<br> <br> （そっか…オレの隣にいつもいてくれたのはララなんだ。だからオレこの匂いが……）<br> <br> ずっと髪を撫でているリトにララは上目遣いで見つめる<br> 涙で赤くなっている目を人差し指で軽く拭いてやると、リトはそのままキスをした<br> 思いがけないリトの行動にララは慌てて口を離す<br> <br> 「リ、リト！？」<br> <br> びっくりしているのか目をぱちぱちさせているララにリトは笑いかける<br> <br> 「なんだよオレのキス嫌か？」<br> <br> ララは全力で首を振って否定する<br> <br> ――――やっぱりリトは誰よりもやさしい<br> <br> ララはそう思った。怒ったりもするけれど最後はいつもやさしく笑ってくれる<br> そんなリトの笑顔が好きだったから、大好きだから<br> <br> ――――甘えてもいいのかな？リトのやさしさに……<br> <br> 思いが体を突き動かす。胸に熱い思いが込み上げてくる<br> <br> 「リト…私……」<br> <br> 涙で濡れた瞳で見つめながらララはリトの首に腕を回す<br> <br> 「私リトが好き！大好きだから……」<br> ――――だから今だけこの瞬間だけは私だけのリトに<br> <br> ララは思いの全てを込めるとリトの唇に自分のを重ねる<br> それは数秒にも満たない一瞬の触れ合いだったが、今の二人にはそれだけで十分だった<br> お互いのやわらかくて甘い唇の感触に触れたくて、もっと感じたくて<br> 二人はどちらからともなく再び唇に吸い付く<br> 今度は長く、さっきとは違って舌を絡めながら<br> 稚拙な動きで舌を動かすララにリトは一生懸命リードしていく<br> 中々外に出てこないララの舌に自分のを絡めて唾液を送り込む<br> 慣れない感触に戸惑いながらもそれでもララはリトの唾液を一滴残らず喉の奥に入れた<br> 初めてのキスは不器用でいて、それでいて愛情たっぷりのモノだった<br> <br> 「……ぷはぁ…はァ、はあリトの口すごくおいしい…」<br> <br> 口元から唾液の糸を引かせながらララは屈託なく笑う<br> そんなララの頬を撫でるとリトはベッドへとララを誘う<br> ベッドに寝かされたララはこれから始まるコトに複雑な思いを抱いていた<br> 好きな人に抱かれる喜びと、初めての経験が生む不安<br> ララからいつもの明るさが消え、体はそれに少し震えだす<br> そしてそれはリトも同じだった<br> ララのおかげで以前と比べて多少の免疫が付いたとはいえ、まだまだ女の子が苦手なリト<br> しかもこれから初めてのエッチをしようというのだ<br> いろいろと不安が大きくなる<br> なにをしてどうするのか、頭の中に思い描く妄想と現実がうまく噛み合わない<br> けれどララの前で、ましてララの泣き顔を見た後ではそんなことも言ってられない<br> リトは唾を飲み込むとララの制服に手をかける<br> いつも見慣れている制服が今日はやけに新鮮に映った<br> ボタンを一つ一つ外す度に心臓は高鳴り、指が震える<br> <br> 「リト？」<br> <br> 心配げなララにリトは無理やりつくった笑みを返すと、ブレザーを脱がしていく<br> ブラウス一枚になったララの胸は呼吸にあわせ小さく上下に動き、ブラウスの下にある<br> ブラジャーが薄く透けて見えた<br> <br> （こ、この下にララの……）<br> <br> 逸る自分を落ちかせるように深呼吸すると、リトはブラウスのボタンを外していく<br> ララの少し火照った白い肢体に顔が熱くなる<br> ボタンを全て外す頃にはリトは顔といわず体中真っ赤になっていた<br> それでも目はララの体から離れることはない。リトは自分が別の意味で<br> 興奮していることに気づいた
