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2スレ411 - (2007/08/04 (土) 18:11:07) の編集履歴(バックアップ)


古手川唯は真っ暗な午後7時の放課後の教室で一人泣いていた。

‐‐‐‐‐‐
「古手川さん最近ちょっとウザくない?」
「ホントホント、愛読書は生徒手帳です、みたいなぁ。いちいちうるさいんだよ
ね。」
「キャハハ、それウケるぅ!」
風紀委員の仕事を終えて教室に戻ると、明かりのついた教室で女子生徒達がお喋
りをしながらお菓子を食べ散らかしているのを目撃したので、風紀委員として注
意を促そうとした矢先のことである。
唯はその会話にショックを受け、ドアを開けようと手を伸ばしたまま固まってし
まった。
ガサゴソと女子生徒達が帰る準備をして教室から出てこようてしたので、唯は逃
げるように隣の教室に走りだした。ぺちゃくちゃと喋りながら歩き去っていく女
子生徒達をやりすごし、唯はとぼとぼと真っ暗な自分の教室に戻った。
彼女達の食べ散らかしたゴミを片づけ、自分の席についた唯は涙が堪えきれなく
なった。
どうして?他人のために一生懸命やってる自分がどうしてあんな風に言われなき
ゃならないの?
唯は机に突っ伏してこぼれる涙をせき止めた。悔しさで胸をぎゅっと締めつけら
れ、唯は独り悲しみに沈んでいた。

――ガラガラ

突然教室のドアが開き、電気がつけられた。

「ふぃー、疲れたぁ」

結城リトが部活の自主練から戻ってきたのである。そして、目を赤く腫らした美
少女と目があった。
「どわぁぁぁっ!古手川っ!なんで真っ暗な教室に………って古手川、泣いてん
のか!?」

「ううん、なんでもない。今から帰るところなの。」
唯は慌てて涙を拭い、そそくさとカバンを手に教室を出ようとした。

「ちょっと待てよ古手川!なんかあったのか?」

「なんでもない、大丈夫だから。」

「なんでもないって……ならどうして真っ暗な教室で一人で泣いてたんだよ…」
「なんでもないって言ってるでしょ!結城君には関係ないんだから!」

心配そうに見つめるリトの視線を背に、唯は走り出した。

(私……なんてこと……)

家に着くなり唯は制服のままベッドに倒れこんだ。布団を引き寄せ、また涙を拭
う。
今日は何もかもが最悪だ。
(明日結城君に謝ろう……)
最後の涙の一粒を拭い、唯は眠りに落ちた。


(はぁ……)

唯は心の中で溜め息をついた。今日返却されたテストが、また唯の成績が後退し
ていることを表していたからだ。
風紀委員という恨まれ役をかって出て以来、何かと他の生徒達に叩かれることの
多くなった唯は少なからずストレスを抱え、勉強への意欲も萎えてしまったので
ある。
(結局結城君にも謝れなかった……私…ホントに何やってるんだろう…)

唯は今、真夜中の学校のプールにいる。毎日に嫌気がさして、何か吹っ切れたこ
とをしたいと思ってたどりついた答えがこれである。最初は、鏡のように静かな
プールに映る月に見とれているだけだったが、ふと、ここに入ればどれだけ心地
いいだろうと思うようになったのである。
美しい肢体の裸の美少女が、さながら水の妖精のように月と一体となっている構
図は、まるで有名な絵画を見ているかのようである。
(…って、風紀委員の私がこんなことしてちゃダメじゃない)

もう上がろうと、プールサイドに泳ぎ始めた時、ぺたぺたと誰かの足音が聞こえ
てきた…。

―――――――

結城リトは軽い足取りでプールサイドを歩いていた。ララの発明品の犠牲になる
こともなく、また、さながら水の妖精のごとく月と一体になるべく、リトは真夜
中のプールに忍び込んできたのである。

リトは深呼吸して空を見上げた。
「おおっ、満月!今日は最高の日だな!」
と、あと2、3分で今日が終わるという事にも気づかずリトは感嘆の声をあげた

手早く服を脱ぎ去り、「よっ」と静かにプールに入り込む。リトは満月を見上げ
ながら背泳ぎをした。

「ふぅ……」

空に浮かぶまんまるの月に見とれながら、ゆっくりプールの中央へ泳いだ。
頭にぽんっという感触がしたので、見上げてみると少女と目があった。

「………………。」

「………………。」

「………………ぎゃあぁっごぼごぼごぼ……」

驚きのあまり水をおもいっきり吸い込んだリトはプールの底へと沈んでいったが
、すぐに引き上げられて一命をとりとめた。

「げほっ、げほっ……古手川!?なんでこんなとこに!?」

「何でって……何となく……。それより溺れたけど大丈夫?…」

「あ、ああ…ちょっと驚いただけだから大丈……」

言いかけてリトは急に固まった。頭に「?」を浮かべていた唯だったが、リトの
視線をたどるとその答えが分かった。
唯の、高校生のわりに豊かな胸が無防備に晒されていたのだった。
「きゃあぁぁっ!」

胸をかばうようにしながら背を向ける唯。頭がのぼせて爆発したリトは、二度び
プールの底へ沈んでいった。

――――――――

あれからリトはなんとか自力でプールから這上がり、バスタオルで体を拭いて服
を着た。唯の姿を探してあたりを見渡すと、当の本人はまだプールの隅の方で縮
こまっていた。

「ちょっ、古手川!まだ上がってなかったのか!?」
極力唯を見ないようにしながら、真っ赤な顔でリトは問いかけた。
「タオル…持ってきてないの…」
「はぁ!?タオルもないのにプールに飛込んだのか!?ちょっとバスタオル持っ
てくるから待ってろ!」

「う、うん……」

そうして、リトが自販機までジュースを買いに行ってる間に唯が着替を済ませる
ということにした。
(このタオル……結城君が使ったんだよね…)

リトが使ったことにより若干湿ったタオルを体に当てると、唯の胸は高鳴った。

(なんか…ドキドキしちゃう……)
タオルから漂ってくるリトの香りに、唯は胸がきゅっとなった。


(何だろ…この気持ち……。私…結城君のこと……)

目を閉じれば、リトの姿が浮かんでくる。
リトの事を考えるだけで、唯のまだ薄くしか生えてない秘所からとろりと蜜が溢
れてきた。それを恐る恐るリトのタオルで拭き取ってみる。

「あっ………」

「お~い、着替え終わったか~?」

少し離れた所からリトの声がした。暗いので見えないからか、躊躇することなく
リトが歩いてくる。唯はまだ裸のままであった。

「ジュース買って来たぞ……ってなんで古手川まだ裸なんだよ!?」

顔を真っ赤にしながら背を向けるリト。唯はその背中にそっと寄り添った。リト
の背中がびくっと震えた。

「ちょっ、待って、そんな!………」

「結城君………好き…」

「ええっ!?」
驚きのあまりリトは唯を振り返る。
ふいに、リトの唇に唯の唇が触れた。ただ唇を合わせるだけの簡単なキスだった

「んっ…んくっ、んんっ……」

唯に流されるようにして、リトは座りこむ。裸のままの唯は、リトを地面に押し
倒し、覆い被さるようにしてキスを続けた。

「んっ、んん!………」

体がこわばり、しばし唯の舌を拒んでいたリトであったが、やがてそれを受け入
れた。唯の舌はほのかに甘く、その柔らかさにリトからそれを求めるようになっ
た。

「んちゅ、んちゅ、ちゅるる…」
「んっ、はぁ、はぁ…気持ちいいよ結城君……」

唯の潤んだ瞳を見つめると、リトは股間が熱くなるのを感じた。興奮のままに唯
を押し返し、逆にリトが唯の上にくる形になった。

「結城君?……」

(古手川って……こんなに可愛かったんだ…)
普段から風紀委員として気丈に振るまっている唯が、目を潤ませてキスを求めて
くる。そのギャップがよりリトを興奮させた。
見つめ合いながら、リトはそっと唯の胸に手を下ろす。

「あっ……」

手で乳房を包みこみ、優しく揉みしだく。指先でぷにぷにとしたり、手のひらで
平たく押すようにしたりしながら乳房全体を刺激するうちに、ピンク色の綺麗な
乳首が固くなり始めた。

「んっ、はぁ…あんっ!…」

リトは勃起した乳首など見たこともなかったので、単なる興味から固くなった乳
首を摘んでみた。

「あぁんっ!そこは…ダメぇ…!」

唯は突如の快感にビクンと体をのけぞらせた。見たこともない女性の反応にリト
は興奮を覚え、さらに刺激を加速させていった。

乳首を口に含み、舌で転がすように刺激する。
片方の乳房を右手で揉み、乳首を摘みながら快感を与える。

「はぁっ、あんっ、あぁん……ゆ、結城君…あんっ…ずるいよ……」

「えっ?」

乳首を責める手は休めず、リトは聞き返した。

「私だけ…あんっ、裸に…なって…あっ…結城君も……脱いで…」
「そ、そっか…ごめんな!」

そう言ってリトは愛撫を止めて立ち上がった。少し名残惜しそうにする唯をよそ
に、そそくさと服を脱ぎ捨てる。

「あの……見ても驚くなよ?…」
リトがパンツを脱ぐと、血がたぎって天をも貫く勢いでそそり立つ剛直が露にな
った。

「これが…大きい…」

瞳を潤ませながら唯は起き上がり、膝立ちになってそれを握ってみた。

「うぁっ!……」唯の柔らかな手の感触に反応して、先走りの汁が先端から出て
くる。

「すごく熱い……あ、なんか出てきたよ?…」

唯は、絞ればもっと出てくるだろうかと思い、しゅっしゅ、と肉棒をしごき始め
た。

「うっ…あっ!…気持ちいい!…気持ちいいよ唯!」

自然と唯の名前が口に出た。

「リト…もっとしてあげる!」唯は、リトが唯の乳首にしたように、リトの肉棒
を口に含んだ。
「んく、んちゅ、むちゅ……」
手で根元をしごきながら、舌を肉棒に絡ませる。 顔を前後に動かし、唇も使って
カリを刺激する。「うぅっ、あっ、気持ち良すぎて……変になる!…」
ちゅぷちゅぷと、いやらしい音をたてながら唾液を絡ませ、より滑りを良くして
愛撫を激しくする。「んちゅ、むちゅっ、むちゅるるる……」
自分の呼吸が荒くなるほどに手の動きを加速させ、一気に射精感を高めた。
「うっ!もう……やばい……うわぁぁぁ!?」

じゃっぱぁぁん

快感のあまり一歩後ろに後退したリトは、プールサイドから足を踏み外してプー
ルに転落した。

「ちょ、リト!!」
すぐに唯もプールに飛込んだ。さほど深くもないプールなので、溺れ死ぬことは
ないだろうが唯は心配だった。暗がりで水面下の様子が見えにくかったので、唯
は潜ってリトを探すことにした。
(リト………どこ?…)
すると突然、どこからか手が伸びてきて唯は引き寄せられた。
(リト!!……)
すぐそばに、リトの笑顔があった。安心して、唯はまた涙が出そうになった。
唯は逆にリトを引き寄せ、その唇に自分のを重ねた。冷たいプールの中でも、リ
トとのキスは暖かかった。
「ぷはぁっ!大丈夫リト!?」

「あ、ああ…唯のキスが長すぎて死ぬかと思ったけど」

「もうっ…心配だったのに」
唯はぎゅっとリトに抱きついた。その下腹部に、リトの剛直が当たる。
「あのさ…唯、さっき途中で終わっちゃって………その………我慢できないんだ
…」

「……いいよ、挿れて?……」
お互い顔を赤らめながらも、唯はすんなり承諾した。
「だって………我慢できないならしょうがないでしょ?……………」

「唯……」
リトは唯に近づくと、そっと抱き上げた。プールの水の浮力の助けもあって、唯
の体は片手で軽々と持ち上がった。
「唯……脚開いて?…………」

「うん……」
片手で抱きかかえられながら、唯はゆっくり脚をM字に開いた。
リトはそっと唯の秘所に手を伸ばした。
「あんっ………」
割れ目をなぞっていると、乳首に似た感触の突起があることにリトは気づいた。
それをこりっと摘んでみる。
「ひゃぁぁっ!?はぅん!!」

「唯、ここが感じるんだね?……もっとするよ?」
指で弾いたり、くりくりといじったりして愛撫を続けるうちに、唯の痙攣が速く
なってきた。
「いやん、あぁん、あんっ……なんか来ちゃう…なんか来ちゃうよぉ!」
ビクンと体を震わせ、唯は達した。秘所から暖かいものがとめどなく溢れてくる
のが分かった。
「はぁ、はぁ…ごめん唯!俺もう限界!!」
そう言ってリトは、自分の欲望を唯の秘所に当てがうと、一気にそれを突き入れ
た。
「ひゃぁん!?リトぉ…私今イッたばかりで敏感に…」

溢れでた蜜が円滑油となって、初めてとは思えない滑らかさで唯の膣内を進んで
いく。しかし、処女膜のところにたどり着くと唯の表情が変わった。
「あぁん!?いたっ!……」

「唯!?大丈夫か!?」
唯の表情に、リトは欲望のままにした行為を後悔し始めた。
「大丈夫……お願い…そのまま続けて?……」

「唯…でも……」

「お願い……続けて……」
唯に痛い思いをさせることにリトは苦渋の思いだったが、少しでも痛みが和らぐ
ようにクリトリスを刺激しながら、一気に突き上げた。
「ふわぁ、あぁぁんっ!」
リトの肉棒が、唯の最奥を突く。結合部から、唯の血液がプールに流れだした。
「唯、大丈夫だった!?」

「うん……リトのおかげであんまり痛くなかったょ……もう動いても大丈夫だよ
……」
まだ多少痛がっているように見えたが、リトは唯の言葉に甘えた。「それなら…
…動くな?…」
リトはゆっくりピストン運動を始めた。まだ痛みがあるかもしれない唯を気遣い
、クリトリスをいじる手を休めずに続けた。
「んあっ!そんな…同時に…あぁん!」
一突きするごとに唯の媚声が漏れる。それによって次第にリトの腰が速まってい
った。
(唯の膣内…なんて気持ちいいんだろう……)
媚声に合わせてきゅっ、きゅっ、と肉壁が縮み、リトの肉棒を締めつける。
腰を突き入れれば膣内のヒダが肉棒に絡みつき、腰を引けば離しはしまいと肉棒
をぎゅっと締めつけ、その感覚にリトは酔いしれた。唯の腰をしっかり掴み、全
力でリトは腰を振った。
激しい運動でプールの水面がちゃぷちゃぷと波打つ。
「ああっ……リトっ…なんか…またイキそう!…」

「うっ、…俺も…もうすぐ出そう!…」

限界を感じたリトは、唯の最奥に向かって一気に突き上げた。
「うぁぁっ!!!」

「ああっ、あぁぁんっ!!」
どぴゅっ、どぴゅっぴゅるる
リトは勢いよく唯の膣内に精液を吐き出し、唯は二度目の絶頂に気を失った。

「ん………」

「お、やっと目覚めた!俺心配してたんだからな!」
唯は歩くリトにおんぶされていた。見ると、お互いすでに服を着ていた。
「あれ?私なんで服を……」

「あぁ、唯が気失ってる間に全部着せておいたんだ、風邪ひいちゃわないように
。」

「あぅ……ありがとう…」
寝てる間に全部済まされていることに、唯は申し訳なさと恥ずかしさで顔をうず
めた。

――――――――
唯の家の前で二人は別れた。リトの姿が見えなくなるまで見送ったあと、唯はこ
っそり自室に戻った。
(もうこんな日は二度とこないんだろうな……それでも…幸せな日だったなぁ……)
そうして、幸せそうに微笑みを浮かべながら、唯は穏やかな眠りについた。

――――――――
その日から、唯は明るい表情で学校にやって来るようになった。それから、唯と
リトの仲も前よりずっと深まった。よく一緒に帰るようになったし、学校でも二
人はよく話した。
「おはよー、唯!」

「おはよう。結城君、シャツはちゃんとしまって。」
それはいつも通り、風紀委員の唯だった。
その日は、唯がララの尻尾をアクセサリーだと思って引き抜こうと掴み、そのお
かげでちょっとしたハブニングとなったが、それ以外は何もない穏やかな一日だ
った。帰りのホームルームで担任いくつか連絡事項を述べたあと、最後に唯の名
前を呼んだ。
「えー本当に突然のことですが、古手川さんの父の仕事の関係で、古手川さんは
アメリカに転校することになりました。」

(えっ?……)
突然の告知に教室がざわめく。そのあとに教壇に立つ唯から詳しい事情の説明が
あったのだが、リトは全く聞いていなかった。ただ彼女の顔を見つめていた。
しかし、淡々と説明を続ける唯は、決してリトと目を合わせようとはしなかった

放課後、リトは教室の窓から外を眺めていた。未だに唯の言ったことが信じられ
ない。今までそんなこと一言も………
「びっくりした……よね?…」
ふいに後ろから唯が話しかけてきた。
「せっかく結城君と…その…仲良くなれたのに……すごい寂しい…」
「なんで……」  「えっ?」

「なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ!!」そう叫んで、唯を残して走
りだした。

翌日から夏休みに入ったのだが、リトは唯に会わなかった。唯が毎日明るく振る
まっていたのは、転校のことがあったからだと思うと、単純にそれを喜んでた自
分に腹がたった。
それでも、唯からの電話に出る気になれなかった。
ベッドの上で悶々と、さっき来た猿山からの電話を思い返す。
《「おい、古手川が出発する日、今日みたいじゃん!お前、見送りに行かなくて
いいのかよ!?」》(うるせー、もう遅いんだよ…)
リトは気分転換に、自転車で散歩することにした。何となく学校のプールに向か
ってみる。唯と体を重ねた、最初で最後の場所。
「んっ?」
見ると、プールの中央にペットボトルが浮かんでいた。服のままプールに飛び込
み、それをとってみると中に手紙が入っていた。唯からリトへの手紙だった。
そこには、唯の几帳面な丸文字で、リトと一緒にいられた日常のことなどが綴ら
れていた。読みながら、リトは唯に会わなかったことや、唯からの電話を拒否し
たことを後悔して胸が痛んだ。
(唯………)
そして最後に一行

《リト……あなたのことが大好き》

ふと、このプールで出会った日のことが蘇ってきた。その日唯は、リトに初めて
《好き》と言った。(でも俺は……一度も唯に好きって言ってない…)
プールから飛び出し、濡れた服のまま自転車を走らせる。空港まで決して近くは
ないが、リトは無我夢中で自転車をこいだ。
(神さま……もう少しだけ時間をくれ!!)
空港に着くやいなや、自転車を乗り捨て、全速力で搭乗口に向かった。
「ゆい!!」
ちょうど唯の一家が、搭乗口にチケットを入れるところだった。
「リト!」
唯の目の前に来ると、ゼエゼエと息を整えてリトは言った。
「唯、ずっと好きだった!なのにずっと言わないで…だからそれを伝えたくて…
……唯、大好きだ!」
唯は何も言わずにリトに口づけた。そして、微笑みながら言った。「私も…リト
が大好き」

空に向かって遠ざかる飛行機を、リトはいつまでも眺めていた。涙が一粒、リト
の頬を伝った。それを拭って、唯のいる空に笑いかけた。
「それじゃ、またな……唯」
リトの短い夏が終わった。

「それじゃあ……いくよ!!」
「ええ……」
リトのいつにもまして真剣な目に唯は吸い込まれそうになってしまう
(あァ…私…私……)
胸においた手から激しい鼓動が伝わってくる
ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ
両肩に置かれたリトの手に導かれる様に、唯の体はリトに引き寄せられる
「唯…」
「あっ////」
互いの息が掛かる距離まで二人は縮まり、その唇がふれる瞬間――――
「やっ…」
「え?」
「やっぱりハレンチすぎるわこんなことッ!!」
リトの体は後ろに吹っ飛んだ

「あははははっ」
「笑いごとじゃねーよ……」
うなだれるリトの横を笑いながらララが並んで歩く
「だってリトこれで何回目なの?」
リトは頭の中で過去の唯との成績を思う浮かべその惨々な結果に溜め息をもらす
古手川唯とリトが付き合って数週間、二人の間はまったく進歩がなかった
だけどリトだって男だ、これまで唯にアプローチしようと色々やってきた
体の関係なんて絶対無理。だからせめてキスぐらいはとがんばってみたはものの
……
一緒にいる時ぐらいは大丈夫だろうと手を握ろうとしては叩かれ、抓られ、怒ら
れること数知れず
「リトも大変だねェ~」
にこにこ顔で楽しそうにしているララをリトは横目で睨みつける
「おまえなー人事だと思って……」
夕方の帰り道、なんだかんだと楽しそうに歩いている二人を見つめる者がいた
電柱の影に隠れて唯は校門からずっと二人の後を付けていたのだ
「ララ=サタリン=デビルーク…」
結城くんの家の同居人にして、宇宙人なんてとんでも設定の子
しかもスカートをあんなに短くして!!
ララの見えそうな丈のスカートに唯の目がきびしくなってくる
「ゆ、結城くんの同居人だっていうから大目に見てきたけれど…」隣を歩くリト
の楽しそうな顔を見ると、むかむかしてくる
リトの腕にべたべたと腕を絡めてくるララに唯の顔付きが変わる
「結城くんに限って大丈夫だと思うけど……」
リトの唯への思い、唯のリトへの思い
これはまちがいなく確かなものだと唯自身もわかっていた。
わかってはいるのだが……実際リトの周りにはカワイイ女の子が多いのも事実
同じクラスの西連寺さんに、違うクラスのルンって子、それに3年の天条院セン
パイも怪しいそして―――
「ララさん!同居人だっていうけどちょっと仲がよすぎない?」
唯の中のもやもやはつのるばかり唯は気付かれないように二人の後をそっと付け
ていく

ぐぅ~~ぐぅ~~~
「やだっ!こんな時に////」
夕方も廻った7時過ぎ、結城家の夕食の団欒を窓から見ていた唯のお腹がなって
しまう
「ん~~だけどお腹空いたし…」唯は物陰の大きな植物の影に隠れるとかばんの
中から用意していたお菓子の数々を取り出す
「それにしても…なんなのこの大きな植物」
カロリー○イトを口に咥えながら唯は見上げるほどの大きな植物を見て呟く
「こんなの見たことないわ…まさかこれも宇宙の…?」
その時、植物に気をとられていた唯の後ろからガサゴソと音がなった
植木の陰から現れたそれは唯に飛び掛るとそのまま押し倒し口を封じようとする
「キャ…な、なんなの!?結んんッ…むぅぅ!!」
口を塞がれながらも唯は自分を襲った者を確かめようと、暗がりの中懸命に目を
凝らす
雲の間から月の光がその者を照らし出すと唯の目が大きく見開かれる
(ウソ!?…結城くんじゃ…ない…)
月明かりが照らし出したその男は全身黒尽くめの服装に、頭には顔をすっぽり覆
うほどの黒の穴あき帽子を着けていた
(こ、この人もしかして!?)
「ああそうだよ!この家ガキしかいねえじゃねえか。俺達みたいな連中にとっち
ゃあ
絶好のターゲットになるんだぜ!!」
(た、大変だわ!早く結城くんに知らせないと!!)
唯は体を動かそうとするがびくともしない。それに男は下卑た笑みで応える
「まあ見つかったとあっちゃあ…お前もただでは済まないってわかるよな?」
男の自分を品定めするかの様な目つきに、唯の背中に怖気が走る
「へへへ、あんた彩南高の生徒だろ?あそこはなかなかカワイイ子が多いからな
俺も前々から狙ってたんだが…」唯の体がびくっと震える、男の手が制服に伸び
スカートに伸ばされる
「こんなところで会えるとはな、しかもかなりの美人ときた!待ってろよ今から
俺が男を教えてやるよ!」
屈強な男の力の前では唯の力なんてないに等しい
逃げたくても逃げれない、助けを呼びたくても呼べない
恐怖が唯を包み目から涙を溢れさす
「あんたみたいなきつめな感じの子が涙を流すなんてそそるな~」顔にかかる男
の荒い息、無遠慮に触られる太もも
(結城くんにも触られたことないのに…こんな…)
リトの顔が声が浮かんでくる
結城くん…結城くん助けて!…助けて!!
「へへ、それじゃあ女子高生のあそこを見てみるとするか」
男の手が唯のスカートの中にもぐりこみ下着に伸ばされた、その時「グェェェェ
っっ」
聞いたこともない様な奇声があたりにこだまする
それはシュルシュルと鞭の様な蔦を伸ばすと男の手を足を絡めとる「へ?」
男の間抜けな声といっしょに男を天高くまで放り投げてしまった
それをぼーぜんと見上げる唯の前に断末魔と共に10mの高さから落とされた男
の哀れな姿が降ってくる
「いったいなんなの……?」
乱れた服を整える唯の呟きと異変に気付いた結城家の面々が庭に飛び出してきた
のは同時だった

「お前いったいなに考えてんだよっ!!!」
唯から事の顛末を聞き終えたリトの怒鳴り声が家に響き渡る
「モルボルが助けてくれたからよかったけど、お前あのままだと…ああもうくそ
っ!!」
擦り傷が出来ていた唯は美柑から手当てをされながらだまってリトの話を聞いて
いた
その顔は後悔、自責の念、悲しみ、そして恐怖が色濃く刻まれている
そんな唯の顔を見ていると怒っていいのか慰めていいのかリトはわからなくなっ
てしまう
「とにかくだな、お前…」
「リト~~!唯大丈夫になった?」
扉を開けて元気に声を掛けるのは警察への連絡や事後処理を色々やってくれたラ
ラだ
そんなララへみんなの視線が集まる
「あれ?どうしたのみんな?」
「…ララさんちょっと!」
気を使った美柑に無理矢理部屋から連れ出されるララ
部屋にはリトと唯だけが残される「…まぁその…ホントに平気そうでよかったよ
…」
「…うん…」
「……」
「……」
沈黙が続く。リトは唯にどうしていいのかわからなかった
今までの唯との経験上抱きしめてもいいのか、怒っていいのか、ただそばにいて
やるだけでいいのかリトはどうしていいのかわからないもどかしさと唯に何もし
てやれない悔しさでいっぱいだった。その手が赤くなるほど強く握り締められる
「ごめん…オレ下に下りてるから」
リトの背中越しに閉じられる扉の音が胸に響く
(はァ~…結城くん怒ってる…)自分がしたことを考えると当然だと感じた。そ
して心のどこかでリトを信じれなかった
罰があたった。
擦り傷ができた手を擦りながら唯はリトがもたれていた壁をじっと見つめる
(私結城くんにどうしてほしいの?……したいことされたいこと沢山あるのに…

二人きりの時は手をつなぎたいし、デートだって買い物にだってたくさん行きた

今日だって本当だったら抱きしめてほしいし、頭を撫でながら「唯大丈夫か?」
って言ってほしい
――――それに…それに結城くんが望むなら私…なんでも……
そこまで考えると唯の顔は真っ赤に染まる
(そんなのダメ!ダメよ唯!!ハレンチすぎるわ////)
唯は膝を抱えると自分の体を抱きしめる様にギュッと小さくなる
――――だけど…だけど私…私だって……
と、そこで扉をノックする音に唯は顔をあげる
ガチャリとドアを開けて入ってきたのは美柑だった。手にはトレイを持っている
「唯さん大丈夫?これ簡単なものだけど…お腹空いてるんじゃないかと思って」
トレイの上にはおにぎりと、みそ汁そして肉と野菜の炒め物が乗っている
そのおいいそうな匂いに唯のお腹もぐぅ~っとなりだす
「あ、ありがとう////」

よほどお腹が空いていたのか唯はパクパクと料理を口に運んでいく「おいしい…
すごくおいしい!!」
味に感心しきりの唯をニコニコしながら見ている美柑
「でしょ?作ってる人の腕がいいから!」
微笑む美柑をじっと見つめ返す唯(すごい!こんなに小さいのに…私こんなこと
できない……)
「えっと、ところでリトのヤツから伝言があるんだけど。唯さんこれからどうす
るの?」
「えっ?…これから?」
全然考えていなかった。唯はどうするのか考え込む
「…えっとリトが『よかったら今日うちに泊まっていけ』だってさ。ほらもう遅
いし」
時刻はもう10時近くになっていた
「え?と、泊まる?ここに?」
「ソ!で部屋はオレの部屋使えだってさ」
「で、でもそれだと私結城くんと、そのいっしょの…」
「ああ、リトはどうせリビングででも寝るから心配しないで。とりあえずそれ食
べたら先にお風呂入っちゃって」
それだけ言うと美柑は一階に降りていった
「と、泊まるってそんなこと…」付き合ってるといっても彼氏の家に泊まるなん
て唯の中ではありえなかった
「どうしたらいいの……だけどもう遅いしそれに…」
唯の脳裏にさっきの光景がよみがえる
ギュッと目をつむり頭の光景を追い出そうとする
(大丈夫、大丈夫よ唯、きっと結城くんが守ってくれるわ)
唯は落ち着くまでリトの顔を思い浮かべていた

結局落ち着きを取り戻した唯はリトのうちに泊まることにした
「今日はしょうがないわ。だってこれは仕方がないことなの!」
脱衣所で服を脱ぎながら唯は誰に言っているのかぶつぶつ言い訳を繰り返してい

「それになにも結城くんと一緒に寝るわけじゃないし!そうよ…結城くんのベッ
ドを使わせてもらうだけよ!ベッドを…結城の使っているベッド……」
「あれ誰か入ってる?…あっ唯!」
「ラ、ララさんっ!?////」
ノックもなしに扉を開けたララに、唯は慌てて制服で体を隠す
「ちょ、ちょっと!あなた入ってくる時はノックぐらいしないとダメじゃない!
!」
「ごめんね唯。それよりさ唯が入るんなら私も入る」
唯の返事も待たずにペケの機能を解除したララは、唯の手を引っ張って風呂場に
連れて行く
「ほら唯も早く!早く!」
「ちょっと私は…」

唯は湯船に浸かりながら溜め息を吐く
(まったくどうしてこんなことになるのよ!)
「ん?なにか言った唯?」
ララの言葉にも顔をふいっとそむける唯。そんな唯の腕を取るとララは湯船から
出ようとする
「ちょっとなんなの!?」
「唯体の洗いっこしようよ」
「な!そ、そんなのイヤよ自分でするわ////」
「いいからいいから」
ララは唯を鏡の前に座らせると背中にまわってタオルにボディーソープをつけ始
める

「じゃあ最初は私が洗う番」
(結局こうなるのね……)
鏡に映る自分を見ながら唯は憂鬱な顔をする
(私は今日なにしてるの……)
唯の背中をゴシゴシと泡だらけにしていくララ
(結城くんを怒らせて、妹さんには気を遣わせて、ララさんには今こうして……
ッ!?///)
唯は異変に気付き自分の体を見下ろす
「あれ?唯って胸おっきいんだね!ぷにゅぷにゅしててやわらかァい」
いつの間にか背中を洗い終えたララは、手を前に回し唯の胸を触っていた
「な、な、な、なにやってるのよあなたはーーーーッ!!?///」風呂場に唯の叫
び声が響き渡る
「え!?だって唯の胸すごくやわらかいんだもん」
「だ、だからってあなた…ちょ、ちょっとやめッ!///」
ララは唯の胸の感触が気に入ったのか両手に泡をつけて揉んでいく「ちょっとや
めなさっ!…あァダメ、ララさんお願いだから…んッ///」
「あはは、唯嫌がってるわりには先っちょ硬くなってきてるよ?」「ちが、違う
のこれは…とにかくもうやめてっ!////」
胸を押さえて椅子から立ち上がる唯を残念そうに見つめるララ
「こ、こんなハレンチなこと…////」
「え~でもリトは唯の胸いっぱい触ってるんでしょ?私も触りたいよ~」
「ゆ、結城くんはこんなハレンチなことしないわ!!」
唯の言葉にララはきょとんとする「え?ウソ!?だってリトすごくエッチだよ」
「そんなはずはないわ!結城くんはその…エッ…は、はしたないことなんてしな
いわ!!」
「そうかな~だってリトの部屋エッチな本とかビデオとかいっぱいあるよ」
ララの言葉に今度は唯がきょとんとなる
「一人でごそごそ見てたり、夜中にはぁはぁしてたり、あと……」ララの言葉一
つ一つに頭がクラクラしてくる。唯は頭を抱えて椅子に座り込んでしまう
(そんな…結城くんがそんなこと……だってだって私の前じゃ…)「ねえ唯大丈
夫?」
心配そうに唯を見つめるララ
「唯ってホントにリトと何もないんだね」
「あたりまえよそんなこと!そんなハレンチなこと高校生がするなんてダメに決
まってるじゃないっ!!」
唯の言葉にララは少し考え込む
「ん~でもそれだとリトは唯になにもできないの?唯にしたいこととか、唯にし
てほしいこととかきっといっぱいあると思うのに。
リト唯になにをしたらいいのかわからなくなっちゃうよ?」
さっきの事を思い出す
本当は結城くんに抱きしめられたかったこと、頭を撫でてほしかったこと
リトのつらそうな顔が甦る
――――私……私は……

――――私だって本当は結城くんと…色々したい…だけど…だけど…
「だけど…そんなハレンチはこと私は許せないわ!」
ララは少し考え込むといきなり唯に後ろから抱き着いた
「ちょ、ちょっとあなたなにするのよ!?」
「ねえ唯もっと自分の気持ちに素直になろうよ」
「ええっ?」
「私風紀のこととかよくわかんないけどそれって、リトよりも大事なことなの?

「それは……」
「自分の気持ちよりも大切なものなの?」
唯は言葉をつまらせる、ララの一言一言に胸の中心がチクリと痛む――――そん
なこと比べられるわけないじゃない
「唯?」
俯いたままなにも話さない唯にララが心配して顔を覗き込む
――――だって、だって
唯はララの腕を振りほどくと立ち上がってララを見下ろす
「あなたに関係ないでしょう?…私のことは私が一番よくわかってるもの!!あ
なたに心配されることなんてなにもないわよっ!!」唯はララに顔を背けるとそ
のまま背を向けて風呂場から出て行った
唯が部屋に入ろうと扉を開けると、部屋に戻ってマンガを読んでいたリトと目が
合う
すぐに目をそらすリトの態度が唯の胸を締め付ける
唯は床に置いてある丸いクッションに座るとリトの顔を横目でちらちら盗み見る
さっきの風呂場での出来事が、唯の胸にどんどん不安を広げる

『なあそろそろキスぐらいしてもいいだろ?』
『なっ!そんなにダメに決まってるじゃない!そういう考えが風紀の乱れにつな
がるの』

『唯、ケータイでおまえの写メ撮らせてくれよ』
『コラっ!学校に不必要な物を持ってきちゃいけません!』

――――結城くん……

『あのさ…手繋がないか?』
『えっ!?そ、そんなこと……できるわけ…』
『やっぱ無理だよなァ…そのごめんな唯…』

――――私本当にこのままでいいの……

『ん~でもそれだとリトは唯になにもできないの?唯にしたいこととか、唯にし
てほしいこととかきっといっぱいあると思うのに。リト唯になにをしたらいいの
かわからなくなっちゃうよ?』

――――結城くんが望むなら私がんばって……

そこまで考えて唯は自分の考えに頭を振って否定する
(ダメよ唯!そんなこと考えちゃ!私はなにも間違ってはいないわ)
一人悩み考え込む唯の姿にリトは目を向ける
「なあ唯、その…ケガはもう平気なのかよ?」
思いがけないリトの言葉に唯は伏せていた顔を上げ目を丸くさせる「え、ええ…
もう平気!妹さんがちゃんとしてくれたから」
手を擦りながら応える唯の手の甲には擦り傷ができていた
白い肌に滲む赤い傷跡がよりいっそう傷を痛く見せる

「その…ごめんな唯!オレおまえが危ない時に何もできなくてさ」「えっ!?結
城…くん?」
「オレ唯に何もしてやれないししてこなかったし…おまえが不安になるのも無理
ねェって思った。怖くて泣いてる唯を見てもどうしていいのかわかんなくて…オ
レ情けないよな」
――――違うのに!そうじゃないのに…
そう思ってもリトになにも言えない自分がもどかしい
「好きって気持ちだけじゃダメだってわかってんのに…。それだけじゃ足りねえ
のに、オレ何やってんだよ」
ゴンッとリトが床を殴りつける音が唯の胸にも響き握り締めた手にも力が入る
「くやしくて、どうしていいのかわかんなくて、唯にどんな顔向けていいのかわ
かんなくてそれでオレ…ごめんな唯」
「・・・・・ッ!!」
「オレ唯のことすげー大事に思ってる!それにずっと一緒にいれたらなって……
だからオレ…そのアア!何言いたいのかわかんなくなってきた!つまりオレは…
ってあれ?唯?」
リトは慌てて唯のそばまで駆け寄る
「おまえ…どうしたんだよ?オレなにか気に障るようなこと言ったのか?」
唯は無言で首をふりふりと横に振って否定する
「じゃあなんで泣いてるんだよ?」
リトの言葉に安心した?不安になった?うれしかった?悲しかった?
自分でもわからない気持ちが後から後から溢れてきて、唯の目から涙がぽろぽろ
こぼれる
「ちょ、ちょっと待て唯!おまえ泣きすぎだ…えっとティッシュ…ティッシュは
?」
女の子の涙を始めて間近で見たせいで
それも普段絶対に弱気なところを見せない唯の涙、リトの頭はパニックになる
唯はそんなおろおろとするリトの手を取るとキュッと握り締める
「ええッ!!?」
その手を自分の頬に当てる唯にリトの頭はパニックを超えて沸騰しそうになって
しまう
「ゆ、唯?え、えっと…おまえオレの手今…」
「…いいの!こうしていたい」
「ほ、ホントにいい…のか?」
リトの手を頬に寄せる唯は相変わらず涙をこぼしていたが、その顔は落ち着きを
取り戻していた
その様子にリトはなにも言わず唯の頬をそのまま両手で包み込むようにして撫で

――――あったかい結城くんの手それに…やさしい匂いがする
唯は目を閉じるとその手をリトの手と合わせるように握り締める
――――こんな、こんな近くに結城くんがいるのに私何してるんだろ……
『ねえ唯もっと自分の気持ちに素直になろうよ』
ララの言葉が浮かぶ。その言葉に唯はクスっと笑ってしまう
(とりあえずお礼は言っておかなきゃね…)
そんな唯の様子にリトは一人困惑している
「なあ…ホントに大丈夫なのかよ?」
「本当に平気よ!それに…それにあなたが私を守ってくれるんでしょ?」
涙を目にためながら見つめる唯にリトは力強く頷いた

それからしばらく二人は隣通しに座りながらぼ~っとしていた
ただその手はギュッと握り締められたままで
「…あのさ…そのこれからもこうやって手繋ぎたいんだけどダメかな?」
しどろもどろに言うリトに唯は顔を背けながら返す
「別に…いいわよ。だけど…二人きりの時だけだからね∕∕∕∕

「ホントか!!?」
身を乗り出して聞き返すリトに唯の顔が赤くなる
「だ、だからといって調子にのったりしないで!手だけだからね!」
「それでも全然うれしいよ!ありがとー唯!!」
そう言いながら思わず唯に抱きついてしまったリトの体がとまってしまう
「ちょ、ちょっとドサクサになにしてんの!?∕∕∕∕」
「あッ!?」
「あ、あなたねえ…さっき言ったばかりじゃない!」
腕を振り上げた唯と、思わず目をつぶりそうになるリトの二人の体がふいに止ま

目いっぱに映るお互いの顔と鼻にかかる甘い吐息
数センチしか離れていない至近距離で見つめあうリトと唯
どちらかの喉がゴクリと鳴る
「なあ…キスしてもいいか?∕∕∕∕」
唯は答えることができず唇を噛締める
リトはその身をさらに唯に寄せると、唯の細い腰に手を回して体を引き寄せる
唯は思わず抗議の声を出そうとリトの胸に手を置いてしまう
「イヤならこのまま突き飛ばしてもいいんだぞ?」
答えることのできない唯は体を硬くする。リトの手に唯のぬくもりと小さな震え
が伝わってくる
「唯?」
リトのやさしい声、いつもと変わらない匂いが唯を包んでいく
ドクン、ドクン、ドクン、ドクンお互いの鼓動が聞こえ伝わってくる
「…結城くん、私…こんな私でも本当にいいの?」
不安そうな顔を向ける唯にリトは笑いかける
「なに言ってんだよ!そりゃあ色々きびしいし融通が利かないところもあるけど
な」
リトの言葉に唯はムッとしてしまう
「けど、けどオレ唯が好きだ!怒ったところも笑ってるところも、拗ねてるとこ
ろも
照れてるところもみんなみんな大事で大好きだ!」
リトの顔を見てるだけで心がくすぐられる
体の芯からあったかくなる
唯はそんな自分にクスリと笑う、それはリトにとったら極上の笑顔であり、リト
の心の全てを鷲掴むには十分すぎた
リトの手に力が入る
――――結城くん、私あなたで良かった。結城くんを好きになって本当に良かっ

「結城くん、好きよ大好き」
それはリトには聞こえない唯だけの呟き
長くて短い、甘くてとろけるような時間が二人を包んでいく
その感触に唯はそっと目を閉じて愛しい人を待つ
お互いの気持ちをのせて二人は初めてのキスを交わす

授業も終わり、人気のない放課後の教室で唯は一人黒板をきれいに拭いていた
委員長選挙で敗れたとはいえ唯の風紀への考えは何一つとして変わらなかった
唯曰く
『委員長だとかそうじゃないとか関係なく、気づいた人がどんどん風紀活動をす
るべきだわ!そうじゃないとこの学校の秩序が守れなくなるし―――……』
頭の痛くなる唯の力説を頭の中から追い出すと、リトは教室の後ろの壁にもたれ
ながら何回目かになる欠伸を噛殺していた
(ダルい……みんなとっくに帰ったっていうのにオレ達は教室でなにやってんだ
?)
けれどそんな気持ちとは裏腹に今も一生懸命黒板を拭いている唯を見ていると自
然と笑みがこぼれてくる
リトと唯二人の出会いは最悪といっても過言ではなかった。ララのせいで唯には
変な誤解を与えるし、おかしな発明のせいでボコられ散々だった
けれど今となってはいい思い出?だった。少なくともリトの中ではリトが思い出
に浸っていると唯が黒板の上の淵を拭こうと一所懸命腕を伸ばしていた
身長が平均的な唯にとって黒板の上の方は届きにくく、いつも困っていた
「ほら、雑巾貸してみろよ」
だからいつも最後はリトの役目になっていた
「ありがとう」
なんだかんだで付き合ってから色々あった二人の距離はずっと縮まり、唯も素直
にリトへ自分の気持ちを言うようになってきていた
そんな微妙な距離が心地いいのかリトは二人きりになれるこの時間帯が好きにな
っていた
「……よし終わったぜ!こんなもんでいいだろ?」
唯は一通り黒板を見回すと満足げに頷きリトの手から雑巾を取ろうと手を伸ばす
リトはその手を逆に掴み返すと唯の体を自分に引き寄せる
「ちょ、ちょっと!なんなの?」「唯、ご褒美は?」
リトは少しいじわるく笑うと顔を近づける
「ご褒美っていったいどういうつも…んんっ!∕∕∕∕」
リトの熱い抱擁とキス。誰もいない教室の中で二人の影は一つになっていく
唯にとってキスはいまだに抵抗があった、まして人がいないといっても学校の中
嫌でも頭の中にいつものハレンチなっと風紀の乱れという言葉が横切る
(だけど…だけど私結城くんのキスに勝てないな……)
リトとのキス、甘い時間とぬくもりにこの時ばかりは唯も一人の女の子になって
しまう
目を閉じてもわかるリトの顔と息遣い。唯の胸はどんどん高鳴っていく
リトは一度唯から離れると息を整える。間近にある好きな人の顔に二人の頬も自
然と赤くなっていくなにも言わずに照れている唯を見ているとリトの中の理性が
動き出す
リトは唯の腰に手を回すとぐいっと引き寄せ体を密着させる
制服越しに伝わる唯のやわらかい胸の感触があったかい体温がリトの男の部分を
刺激する
リトは再び唇を重ねる。今度はさっきよりも激しくさらにもう一歩進めて
「ん、んんッ…うん!」
口の中に進入してくる異変に気づくと唯はどんっとリトを突き飛ばした
荒い息を吐いてむっと睨み付ける唯

初めてのキスから2週間あまり、それから二人は何度もキスを重ねてきた
だけど日に日にエスカレートしていくリトの行動に唯は少し困惑していた
リトのしたいこと考えていること、教科書程度の知識しかない唯でも本能的にわ
かってしまうこと、つまり大人の関係になりたい
唯だって女の子だ、そりゃ好きな人から求められたり思ってくれたりされるとう
れしい
リトと手を繋ぎキスをするだけで幸せに包まれる、だからそれ以上のことを求め
るのは唯にだってすごくわかる、わかるのだが……
「……私帰るわ」
くるりと背を向けて帰り支度を始める唯の後を、ばつが悪そうにリトが追いかけ

並んで歩く二人は無言。リトもさすがに言葉が出てこない
居心地の悪そうなリトの手に唯は何も言わずにそっと手を伸ばす
絡み合う指と手が二人の中心でギュッと重なり合う
唯なりの「さっきはごめんね」の気持ちなのか唯はリトから赤くなっている顔を
隠す様にそっぽを向いていた
そんな唯にリトはくすくす笑ってしまう。唯の顔はますます赤くなっていた

家に帰ると唯はすぐにベッドに横になった
唇に残るリトの感触に指を這わせる
唯にとってリトのしたいことは痛いほどわかっていた。わかっているからこそ拒
絶も大きくなる
「だってそんなこと…できるわけが……」
だけどそれと同時にリトを求めている自分もいることに唯はとまどってもいた
最初はぎこちなかったキスも今は多少の照れと抵抗だけでできる
なによりリトのキスを待っている望んでいる自分がいること
「結城くん……」
最近はリトを思うだけで体が勝手に熱くなる
今だってじんじんと熱くなっていく下腹部
「私結城くんを求めてるの?……ダメよそんなこと!…そんなハレンチなこと…

体の素直な反応を頭で拒絶すると唯は汗ばむ手をギュッと握り締めた

翌日の学校
今日も相変わらずなクラスの面々が帰った後、二人は授業に使った道具を直すた
め体育倉庫を整理していた
「なんでここはいつもこんなに散らかってんだよ!」
ぶつぶつ文句を言うリトだったが唯以上に汗と埃にまみれながらも動いていた
唯はそんなリトのやさしさが誰よりも好きだった。自然と顔もほころんでくる
「よし!終わったー!!」
最後の道具を片付けるとさすがに疲れてのか二人はマットの上に座り休憩する
少し砂埃のついた体操服を気にする唯に、リトは手で砂を払い落としていく
なにげないリトのやさしさが胸に響く
唯はそんなリトを見つめると昨日から思い悩んでいた事を打ち明けようと口を開

「あの結城……」
「あっ!リトこんなとこにいたんだ」
唯の言葉を割いていつもの声が体育倉庫にこだます
入り口に制服に着替えたララが立っていた

「ララ?なんかあったのか?」
「やっと見つけたー!こんな所にかくれちゃってもーっ!!」
ララはリトのところまで駆け寄るといつもと同じ調子で腕に抱きつく
その様子に唯の表情が変わる
「へへへ、実は美柑から買い物頼まれてるの。だからリトもいっしょに行こ!」
「お、おいちょっと待て!誰も行くだなんて言ってねえだろ?痛いっひっぱるな
よ!」
リトの腕を取るとそのまま連れて行こうとするララに唯が立ち上がる
「あなたちょっと待ちなさい!」「なーんだ唯か~、いたんだ」
「なんだとは何よ!気やすく呼ばないでっ!!だいたい結城くんは今私を手伝っ
てくれているの!あなたの用事はそれからでもいいでしょ?」
「え~でも唯の用事ってもう終わってるんでしょ?」
ララの返しに言葉をつまらせる唯。確かに作業は終わって休憩していたのだが…

「…だ、だからといって勝手に結城くんを連れて行かないで!」
「そんなこと言っても私もリトに用事があるし……ん~というか唯、今日はなん
だかリトを離したがらないね?」
その言葉に唯の体がビクッと震える
「どうしたの唯?」
「べっ、別にそんなことは…それに私は結城くんのか、彼女なわけだし…だ、だ
いたいあなたに私たちのことは関係ないでしょっ!!?」
唯の声の大きさに驚いたララは大きな目をさらに大きくさせる
「……そうだよね。リトと唯は付き合ってるんだしごめんね!私二人の邪魔しち
ゃった」
ララは申し訳なさそうな顔をするとそのまま倉庫から出て行った
「お、おいララ?唯おまえなんであんな大声で言うんだよ?ララびっくりしてた
じゃねえか」
唯は顔を俯かせてなにも答えない「とにかくオレララを追っかけてくるからおま
えちゃんと謝れよ?」
「…嫌……」
「へ?」
「行かないで結城くん…」
いつもの唯とは違う甘えた猫の様なくすぐったい様な声にリトは反応できない
「私のそばにいて……お願い…」「あ、ああ…」
唯の声に力が抜けていくような気のない返事をするとリトは唯の隣に座る
(どうしたんだ唯のヤツ…)
唯の横顔を覗き込むリトの目にいつもと様子が違う唯が映る
俯いているため少し影になっているが、少し潤んだ黒い瞳に白い頬を赤くさせて
、なにか考え事をしている唯はすごく色っぽくて、リトの心臓をドキリとさせる
「な、なあどうしたんだよ?」
唯はゆっくり顔を上げると恥ずかしいのかあさっての方向を見つめる
「……嫌なの」
「え?」
「…嫌なの!結城くんが私以外の人と一緒にいるの∕∕∕∕

きょとんとしているリトを見つめる唯の顔がみるみる真っ赤に染まっていく
「…えっと…∕∕∕∕」
(そうじゃなくてなんとか言いなさいよ!∕∕∕∕)

リトの言葉を待っている間も唯の心臓は破裂しそうなほどドキドキしていた
自分の言った言葉が何度も頭の中で反芻される
(…私なに言ってるのよ……∕∕∕)
自分自身でも驚いていた。リトと出会ってからの変化、初めて抱く異性への感情
唯は恐る恐るリトを見る。唯の体は緊張と恥ずかしさのため少し震えていた
そんな唯の震える手をリトはギュッと握り締める
「別に唯から離れるわけじゃねえから…その心配すんなよ∕∕∕

「え…ええ…∕∕∕」
「……」
「……」
沈黙が続き慌しかった倉庫内に静けさが満ちていく
二人は手を握り合ったまま言葉を探す
「「あ、あのさ(ね)」」
ハモッてしまった声にまた黙ってしまう
「な、なんだよ?」
「結城くんこそ…」
「…そういえばお前さっきオレに何か言おうとしてなかったか?」その言葉に唯
の心臓の音がドクンと大きくなる
「べ、別になにも…∕∕∕」
俯き顔を赤らめる唯の横顔をリトはじっと見つめる
普段の毅然とした強気な唯も好きだが今みたいなしおらしい唯も……
(か、カワイイ…)
唯にデレデレになる顔を引き締めるとリトは意を決したのか唯の肩に手を回す
「なあ唯?」
「なによ?…あっ!またご褒美?ダメよあんなこと何回…」
「そうじゃねえよ!そうじゃなくて」
近づくリトの体が唯に密着していく。自分を見つめるリトの真剣な顔に唯の胸は
高鳴る
「な、なんなの…?∕∕∕∕」
「オレお前がほしいんだ。キスとかじゃなくて唯の全てがほしいんだ」
「えぇ!?」
唯自身も昨日から色々考えていたがまさかリトの口からそれもストレートに言わ
れるとは思ってもいなかった
「ダメ…か?」
「えっと…ダメ…じゃ…」
――――ダメじゃない私だって本当は結城くんともっと…
ボソボソとしか言わない唯の口にリトの唇が近づいていく
「あッ…ちょ…っと」
「なにも言わないってことはOKってことだよな?」
リトは唯の唇に自分のを重ねていく。いつもと同じ触れ合うだけのキス
リトは一度唯から離れると唯の目を見つめながら再び重ねていく
「ん、んッ…」
肩に回した手で唯の体を引き寄せる。唯は抵抗しようとリトを押し返す様に胸元
に手を伸ばすが、次第にその手も力を失い逆にリトの体操服をギュッと掴む
「唯…好きだ…」
「うん…∕∕∕∕」
何度も重ねては離れあう唇に次第に二人の息も熱くなっていく

リトは唯を強く抱きしめるとその口に貪る様に唇をあてる
驚いて目を丸くしている唯の口内にすばやく舌を入れると中を舐めまわしていく
(な、なな何なのこれ―――ッ!?)
自分の思い描いていたそれとはずいぶん掛け離れたキスに唯の中で次第に嫌悪感
が増していく
「んッ…んん、うん…ちょ、じゅる…ちょっと待っ…」
リトは薄目を開けて唯の表情を覗き込む、その目にはあきらかな不信感があった
「ご、ごめん…」
申し訳なさを顔いっぱいに表しながらリトは声を落としていく
「オレやっぱ…ダメだな…自分のコトしか考えてねえな…」
「……待って!」
唯は肩を落とし倉庫から出て行こうとするリトを呼び止める
「べ、別にあのキスが嫌なだけで…結城くんとするのが嫌ってわけじゃ…」
もごもごと話す唯だったがその手はリトの体操服の袖を引っ張っていた
それは自分でも気づかない、唯自身の心の中を表す無意識の行動
「それじゃあ?」
「う…うん、だけど変なことしないでよ……」
その言葉に自然と顔がほころんでくる。リトは唯の両肩に手を置くとキスをする
何度も味わいたいずっとそうしていたい気持ちをぐっと我慢して、リトはそのま
ま口を首筋へと這わせる
初めて触れる唯の首筋。白くなめらかな肌へと口を這わす度にリトの息が首にか
かる
「んッ…」
小さく震える唯の体。その背中に腕を回しギュッと抱きしめる
やわらかい、女の子特有の体の感触にリトは息を呑む
普段腕や体に抱きついてくるララとは違う感触、もっと特別な何かリトはさっき
から一言もしゃべらない唯の緊張を解してやろうと首を舌で愛撫していく
左右に這わされる舌が唾液の線を薄く描き、リトが軽くキスを繰り返すたびに首
筋に赤い印が浮かぶ「あッ…ん、ん」
唯の髪を撫でる度に流れるシャンプーの香り、体操服に染み込んだ唯自身の匂い
と少し掻いている汗の匂い
嫌でも反応してしまう男のモノが唯の太ももに押し付けられる
「ゆ、結城くんッ…ちょっと…」「えっ?何?」
リトは唯から離れると自分の自己主張しているソレに気づき赤面する
「うわッ!わ、悪い…そんなつもりじゃなくてッ!!これはその…」
必死に弁明をするリトがおもしろいのか唯はクスクスと笑い出す
「笑うなよな…男はいろいろあるんだよ…」
尚も笑い続ける唯にリトはムッと来たのか唯の体を抱き上げると床に敷いてある
マットに寝かせる
びっくりした唯が抗議の声をあげる前にリトはさっきから気になっていたところ
に手を這わせる
短パンから伸びるスラリとした長い脚に太もも。やわらかい肉の感触が撫でる度
に手に伝わる
「ちょっとやめッ…くすぐったい…」
体をくねらせて悶える唯にリトは身を屈めて顔を近づけさせる
「結城くん……?何する気なの…ひゃッ!?」
唯の体がビクンと跳ねる。リトが手で太ももを揉みながらその舌で吸い付いたか
らだ
「やめッ…あァ、んッ」
ピクンピクンと反応する唯の表情を上目遣いで追いながらリトは舌を滑らせてい

黒いソックスの上から足の指を丁寧に舐め取り、膝に内股と何往復もされる舌に
唯の口から喘ぎが聞こえてくる
笑われたお返しなのかリトは少し意地悪な笑みを浮かべると、太ももの付け根へ
と舌を伸ばす
太ももをつーっと伝う唾が短パンの中へと落ちていく、その感触に唯は寝ていた
上体を起こして声を荒げる
「ちょっと!どこ舐めようとしてるのよ!?」
「どこっておまえのあそこ」
「あ、あ、あそこって……あ、あなた何考えてるのよーーッ!?」
それから「汚い」とか「ハレンチな」とか「変態」とか散々言われ続けたリトだ
ったが
なんとか説得を続けること10分。ようやく折れた唯は仕方ないといった感じで
またマットに寝ていた
「へ、変なことしないでよね!絶対よっ!」
「もうわかったから!わかってるから心配すんなよ」
まだ何か言い足りないのか唯は苦い表情をすると小さく溜め息を吐く
好きな人とはいえエッチをすることがこんなにも大変なことなのか唯の中の世界
はだんだんと壊れ始めてきていた
短パンに手をかけるリトを見ていると思う
(私これから結城くんに自分のあそこ……見られるのね…)
初めて誰かに見せる自分の大切なところ、自分以外知らない大事な部分
(大丈夫なの……?私のって変じゃ…ないのかな…)
次第に膨らむ不安が唯を戸惑わせる。短パンを少しずつ脱がしていくリトの手を
唯は掴んでしまう
「や、やっぱり…」
「あのな…さっきも言ったろ?心配すんなって、な?」
不安に塗りつぶされている心もリトのその言葉で少し楽になれる
唯は手を離すと横を向いてリトに全てを任せる
スルスルと脱がせれる短パンの下からシンプルなデザインの白のショーツが見え
てくる
(へ~唯らしいな)
リトは声に出さず感想をこぼすと少し唯の脚を広げてやる
白の生地にうっすらと染みをつくっているその部分にリトは釘付けになってしま

本能が体を支配していくが小さく震える唯の体が、ショーツの上から指を這わし
たい衝動を必死に押さえ込ませる
「……それじゃあ脱がすな?」
何も言わない唯は顔を真っ赤にしてそっぽを向いたまま
薄い布地はリトの手で簡単に脱がされていく。外気にさらされた下腹部に体がピ
クンと震える
まだ閉じられたままの唯の秘所はヒダの部分がすでに濡れており中の状態をリト
に容易に想像させる耳まで真っ赤になっている唯は体をゆすって少し身を引いて
しまうただでさえリトに見られているのに、リトの唾を飲み込む音が唯の羞恥心
をさらに煽る
「……っ!!」
恥ずかしさの限界なのか唯は思わず脚を閉じて大事なところを隠そうとする
その脚をリトは両手で押さえ込み、ゆっくりと脚を広げていく
恥ずかしさで体を震えさせる唯に反して、閉じられたままの秘所は脚が広げられ
ると同時に、その口を薄く開けて中身をリトの晒す
ぬらぬらと愛液で光るピンク色の肉壁と花弁がリトに淫靡な光景を見せる
「すっげーこれが唯の…」
「ちょっと!あんまりじろじろ見ないでよ…恥ずかしい∕∕∕」
リトは唯の声も耳に入ってこないのか欲望の赴くままに指を近づけさせる

くちゅっという音と共にリトの指は膣へと入っていく
膣内はリトが思っていた以上にあったかく、また絡みつく様な肉壁の感触に、
指を入れただけで溢れ出す愛液に息を呑む
「す、すげー…」
リトが軽く指を折り曲げると中でいやらしい水音が鳴り、唯の口から息が漏れる
身をくねらせてリトから離れようとする唯に、リトは慌てて声をかける
「ごめんッ!これ痛かったのか?」
唯は首を振って否定するもリトは心配そうに見つめる
「だい、大丈夫…だから、い…いわよ」
震える口でなんとか話す唯にリトは不安を拭えない
それでも唯の体を触りたいという男の悲しい性がリトを突き動かす初めての経験
がリトから余裕と理性を奪い取っていく。そしてそれは唯も同じだった
実は風紀活動の一環として男子からエロ本を何度も取り上げてきた唯は、将来の
ために
これも勉強と自分に言い聞かせてこっそり読んでいたりしていたのだが……
(何なのこれ!本と全然違うじゃないっ)
リトの指が動く度に体に走る快感の波が唯の頭を掻き乱す
今まで経験したことのない気持ちよさに唯は次第にその身を任せるようになって
いく
「んッ、あァ…うぅん」
普段なら考えられない、死んでも口に出さない様な声が自然と出てくる
「いやァ…あァ、んっ…はあ」
口は拒絶の声を出しても体がそれを求めてしまう
自分の秘部から溢れる蜜が卑猥な音を鳴らす度に下腹部に走る快感――――私、
結城くんに……
割れ目を押し広げてリトの二本目の指が入ってくる
――――私、結城くんをもっと……
思考が乱されまともに考えられなくなっていく
体を包む快感と、そして愛しい人のリトの愛撫が唯を一人の女に変えていく
「あッ…んんっ、はァああ…」
短い吐息がいくつもいくつも重なり合わさり喘ぎへとなっていく
そしてそれはリトのモノを刺激させるのは十分で、次第に我慢できなくなったリ
トは
荒い息を吐きながら割れ目へと口を近づけさせる
リトの指が徐々に激しさを増していく。その度に唯の体にぞくぞくとした感触が
下腹部から這い上がってくる
「あッん…ちょっとそん、なに指動かさないでッ、んんッ」
仰け反ってしまう体に言葉がうまく話せない
ぐちゅぐちゅと泡立つほどに掻き回される秘所からは、愛液がマットをびちょび
ちょに
濡らすほどに溢れ出し倉庫に独特な匂いがたちこめる
「んッあぁ…んっ、うんっ…」
掻き回される度に握り締めた指がマットで滑りその上に爪あとを残していく
(やだッ変になる…頭の中がおかしくなっちゃうッ!)
ギュッと目を閉じ冷静になろうとするが本能がそれを許さない
ビクビクと震える体とリトを求めてしまう自分に唯は負けそうになってしまう
そんな唯を見ているとリトは愛液でべちょべちょになった指を引き抜き
ピクピクと動く秘所へ口を這わせていく

秘所に近づく熱い吐息に、唯は反射的に身を起こしてリトの頭を掴む
「ちょっと何してるの!?そんなところ汚い…」
「汚くなんかねーよ」
リトは頭から手をどかせると愛液でたっぷり濡れた秘部へとキスをする
「あッ…」
唇が触れただけで唯の体がぞわぞわと波打つ
「う、んんッ…あァ」
ヒダを押し広げて熱くざらついたリトの舌が進入してくる
(う、そ…結城、くんの舌が入ってきてる…)
二度目の異物の挿入に唯の中で不安とそしてリトへの期待が膨らんでくる
膣内で動き回る舌に最初こそ気持ち悪さでいっぱいだった感触は、次第に興奮と
気持ちよさへと変わっていく
「はァ…うぅ、ん」
ぴちゃぴちゃと舐め回っているリトを唯は盗み見る
(…結城くんすごいエッチな顔してる……)
始めて見るかもしれないリトの牡の顔に、唯の中の女の部分が刺激を受ける
そんな唯の変化に気づいているのかいないのか、リトの口は休むことなく動いて
いく
「唯の味と匂いがする…」
「な、なに変なコト言ってんッ…あァダメェ」
唯の反応が楽しいのかリトは唯の弱いところを見つけようと必死に舌を這わして
いく
そしてそれは唯の感度を上げるには十分すぎるもので―――
「あッ、ふぁァ…う、んんッ」
ビクビクと反応する唯にリトの目が輝く
(へ~唯って奥よりも入り口のほうがいいのか…?じゃあ……)
リトの指がすっと伸びていき赤く充血しているソレに触れる
「ああッ!!」
触れるだけで声を喘がしてしまう唯にリトはますます興奮する
爪で包皮をキレイに剥くと、大きくなっているクリトリスを指の間に挟んで転が
していく
「あ、あッ…やめ、んんッ」
指で摘まれて軽く抓られてリトの執拗な責めに、唯の太ももはガクガクと震えだ

舌で膣内を掻き回され指でクリトリスを弄られる。敏感なところを同時に責めら

唯の額に汗が浮かび口からは涎がこぼれてくる
「あッく…はッあァ、んんッ…」じゅるじゅると愛液をすする音が倉庫に響きそ
の音が唯の羞恥心を煽る
(私結城くんに体全部見られてる)
見られて、触られて、感じさせられ唯の中でこれまで経験したことのない感情が
芽生える
それは嫌悪感?官能的な快感?
自分でもわからないそれは唯自身を昂らせる
―――――結城くん
昨日ベッドの上で感じた疼きにも似た感触が全身を包んでいく
―――――私結城くんがもっと
唯の足が自然とリトの首に回される
唯の腰がリトの舌の動きに合わせて少しずつ動かされる
今ならリトに全てを見せられる。今ならリトのためになんでもできる
―――――だから、だからもっともっと結城が欲しい、結城くんを感じたい
唯はリトの頭を掴み、髪がくしゃくしゃになるまで自分の秘部へと押し付ける
(すごいッ…結城くんの舌が私の中ムチャクチャに犯してるみたい…)
愛しい人の前で股を開き、口からは喘ぎを漏らしリトを求める自分これまでの日
常からはかけ離れた世界が唯を変えていく

リトは舌を引き抜くと愛液と唾液で濡れる顎で唯を見つめる
黒い瞳を潤めて見つめ返す唯の太ももにキスをすると自ら下着と短パンを脱ぎ去

勃起した肉棒を唯の割れ目にあてる
「…いくぞ?」
無言で頷く唯にリトはズブズブと膣内へと挿入していく
中はリトが思っている以上にきつくてすぐに動けなくなる
唯の膣内は強烈な締め付けでリトを包み込んで離そうとはしない
その締め付けだけでリトはイきそうになる自分を根性で押さえ込む(こんなとこ
ろで出すわけには……!!)
歯を食いしばるリトの様子に唯は心配そうな顔を向ける
その顔になんとか笑顔で答えるもそんな余裕はすぐに掻き消える
「唯ッ…ごめんもうちょっと力…抜いてくれねえか?」
「えっ…そんなこと言っても…んッ」
熱く硬いリトのモノを唯は必死で受け入れようとする
リトのためになんとかしたいと思ったが、唯自身自分のことで精一杯だった
そんな唯の様子にリトは唯の腰を掴むと、少しずつ少しずつ中へと入れていく
しばらくすると肉棒の先端が膜にあたる感触に二人の動きが止まる「結城くん…
お願い」
リトは腰をぐいっと引き寄せると一気に処女膜を貫く
「んーーーッ!!」
目をつむって痛みに耐える唯の顔にリトは顔を歪める
「ごめん唯!もうちょっと、もうちょっとだけ我慢してくれ」
唯は痛む下腹部を無視してリトの体を抱き寄せる
目に涙を浮かべる唯の横顔、綺麗な黒髪から香るシャンプーの匂い、そしてなに
より唯自身の匂い
すぐにでも吐き出してしまいたい欲望をぐっと我慢すると、リトは唯の負担を減
らそうと腰の動きを抑える
「はっあァ、んんっ…あァあっ」少しずつその声に喘ぎが混じっていき顔から苦
痛が消えていく
「ゆ、結城くん…結城、くん…」リトは唯が愛しくてたまらなかった。その体を
その声を心を唯の全てが欲しかった
そうしないと唯を誰かに奪われてしまいそうで、唯を失ってしまいそうで……
ギュッと力強く抱きしめるリトの胸の中で、唯はそんなリトの気持ちにぬくもり
に包まれていく
「結城…くん、我慢しなくてもいいわよ…私もう大、丈夫だから」リトは唯にキ
スをすると舌を絡ませ唾液を貪っていく
「んんッ、はぁ…んっ」
腰を打ち付ける度に唯の体が小さく震えリトを包む膣内もギュッと締まっていく
「唯オレ…もうっ!ごめん」
「うん…」
リトの腰が激しさを増し唯の中を掻き回していく
「あッ…んんっ、…ああッんん!」
リトは肉棒を引き抜くと唯の白いお腹に白濁した欲望をぶちまける荒い息を吐き
ながら唯はお腹から流れ落ちる精液を指で掬い取る
「はぁ、はぁ…はぁすごい白くてネバネバしてる…それに結城くんのまだ…ビュ
クビュク出てる…」
そしてそれから10数分後――――――

「んんッ、あっあァ」
リトは唯の秘所から流れ出す血と共に愛液を啜っている。口の中に広がる唯の味
と鉄錆の匂いに夢中になる
「唯、もうここ平気か?」
唯は震える様に首を縦に振る
まだじんじんと鈍い痛みが残っているがリトに舐められると不思議と痛みが和ら
いでくる
舐められる快感と痛みの間で唯は必死に体に力を入れる
「ね、ねえ?どうしてこんな格好なの?……すごく恥ずかしいんだけど…」
唯は今マットの上でリトの手によって四つん這いにさせられていた「えっなんで
って……唯のこういう格好が見たいからじゃダメ?」「……な、何よそれーッ!
!」
唯は顔を真っ赤にして立ち上がろうとするがそれをリトは体を抱きしめて阻止す

「ちょ、ちょっとやめてよッ!冗談じゃないわ、こんな犬みたいな格好よくも…
…」
思い出すだけでも恥ずかしいのか唯の握り締めた手がぷるぷる震える
「なんで?さっきまであんなに素直だったじゃねえか?」
「あ、あの時と今はもう違うのッ!もう終わったことなの∕∕∕

「オレはまだ終わってねえよッ!!」
リトは唯を再び四つん這いにさせると蜜があふれている秘所へと指を入れる
「やッ、また指なんて入れて…あッ、もう…ダメぇ」
リトは唯の意見を無視するかのように中を掻き混ぜていく。もう膜のない膣内は
さっきまでとは違ってリトの指を絡めて離そうとはしない
「本当にもうッ…ダメなんだったらぁ、結城くん聞いてるの?」
「…聞いてるよ。けどおまえのココ、もうオレを離そうとはしてないみたいだぜ

ぐちゅぐちゅと音が鳴るたびにと蜜が溢れる感触が唯に伝わる
リトの指が動くたび太ももに伝う愛液がマットに染みをつくっていく
「あッ、だからってさっき一度終わって…んんッ」
リトは唯の口を黙らせる様に前後に激しく指を動かす。その数は二本へと増え三
本目が割れ目に触れたところで唯はリトを振り返る
すぶすぶと入っていく未体験の感触に唯は背中を仰け反らせて歯を食いしばる
「ああッ…あ、くッ…結、城くん…それキツすぎる…」
「大丈夫だって、すぐに慣れるから」
手が前後に動くだけで膣内は掻き回され、肉壁は指で擦られ唯の下半身は早くも
ガクガクになってしまう
「ああ、んんッ…やァ、あア」
快感が体を駆け巡り、唯は姿勢を維持できなくなってしまうと上半身をマットに
倒れこませる
そしてそれは下腹部をリトに突き出す姿勢。リトの興奮はますます高まる
ふるふると震えるお尻に指を這わすとラインにそって揉んでいく
「あッふァ…や、やめ、こんなの激しすぎるッ」
「…けどそれがいいんだろ?」
耳元で囁かれるリトの言葉に唯はビクッとなる
こんな格好もリトの乱暴さも嫌なのに、嫌なのに…だけど体が……リトの指が出
し入れされる度に、唯の脳裏にさっきリトと繋がっていた時の感触が蘇る
お尻を揉まれる度にまたリトを求めだす自分が現れる
下腹部が疼きだし、甘い言葉が唯の思考を満たしていく
――――また結城くんが欲しい、今だけ今だけ……これが終わればいつもの様に
唯はリトを見つめると潤んだ瞳で懇願する。その口は何かを言いたいのかパクパ
クと動かしている
「唯どうしたいんだ?」
「…私、私……」
頭ではわかってはいても心のどこかがそれを邪魔しようとする
普段ならここで終わってしまう唯だが、この独特な雰囲気が唯を後押しする
「…私…結城くんと、また……一つになりたい」

リトは唯をまた四つん這いにさせると蜜でぐちゅぐちゅになっている割れ目に再
び勃起したモノを入れていく
さっきとは違ってすんなり入るかと思っていたが中はまだまだ狭く、ギュウギュ
ウとリトを締め付ける
リトは唯の腰を使って一気に奥まで挿入すると、荒い息を吐きながら腰を振って
いく
パンッパンッと肉がぶつかる音が響き倉庫に厭らしさが満ちていく「あッ、ん…
んん…はァあ」
リトは唯の体に膣内の気持ちよさに夢中になっていた。さっきまでの様なやさし
さはなくただ欲望にまかせて腰を動かしていく
(すげー…とろけるぐらい気持ちいい…)
中は相変わらずきつかったが少しずつ膣内はリトの形に合わせてくる。唯の膣は
リトを受け入れるためだけのものになっていく
(そうだよ…唯はオレだけの……オレだけの唯なんだ……)
「はあッ、んんッ…ゆ、結城くん…もう少しゆっくり、激しすぎて私ッ」
腰だけじゃなく体全体をガクガクと震わせる唯にリトは深く奥まで突き刺す
「ああッ、やァ…結城くんのがあたって…んッ」
「……唯知ってるか?…おまえって結構モテるんだぞ」
突然のリトの言葉に唯はとっさに反応できない
「隠れファンっていうのかな、みんなおまえを狙ってるんだ」
「そ、そんな…こと知らないし、それに私には…んッ、結城くん…が…」
「ああそうだよな。だからみんなオレを羨ましがってさ…」
リトは唯の背中の体操服を捲り上げ、その白い肌を晒す
「この体欲しいんだってさ…自由にしたいんだよみんな」
汗にまみれる背中に舌を這わしていく
「ひゃッ、ああっ…んっんんッ」背中で留めているブラのホックを口で器用に外
していく
「この脚も、太ももも、腰も髪も胸も顔もみんな…みんな狙ってるんだ」
ブラがマットに落ち露わになった胸へリトの手が吸い込まれていく手のひらより
少し大きめの唯の胸が、手の中で形を変えリトに弄られていく
腰を振る度にぷるぷると振るえるやわらかさが、白いすべすべの張りがリトを夢
中にさせていく
すでに大きくなっている乳首を指で摘むとコリコリと動かす仕草に唯はピクンピ
クンと反応する
「それダメッ…おかしく、頭が変になっちゃ…ああァ、んんッ」
リトは腰の動きを加速させるともっと奥に、もっと捻じ込むように角度を変えて
いく
「いッ、あァァ…もうやめ、てェおかしくなる…おかしくなっちゃう」
「唯…唯…唯…」
何度も自分の名前を呼ぶリトに唯は愛しさでいっぱいになる
だからこのまま…リトにムチャクチャにされても……
「あッふッ、ああ…ダメェも、もう…私ッ……あ、あああァァッ!!」
唯の体で何かが弾け全身を駆け巡っていく
「はッ、はぁ…んッは…ァァ…」唯にとって初めての感覚が体の自由を奪ってい
く。ビクンッビクンッと震える下腹部にそっとキスをするとリトは自分のモノを
引き抜く
「はあ…はぁ何なの…これ?すごい……」
「気持ちよかった?」
唯は首を振って笑顔を作る。その笑顔にリトは唯をギュッと抱きしめる
「ゆ、結城くん?ちょっとどうしたの?」
唯はリトの異変を察知し体を引き離すと、目の前のつらそうなリトの顔に困惑し
てしまう
「…なあ唯……おまえはオレの…だよな?」
唯は目を丸くするとくすっと笑いながらそっとリトの頭を撫でていく。さっき責
められていた時のリトの言葉の数々が浮かぶ
――――私だけじゃなくて結城くんもいろいろあるのね……
唯はリトにキスをするとわざとツンっとそっぽを向く
「そんなの当たり前じゃない!それとも何?結城くんは私が信じられないとでも
言うわけ?」
「そんなわけねえだろッ!!ただオレは……」
「…だったらそれでいいじゃない!私は結城くんが好きで、結城くんも私が好き
なんでしょ?だったらそれでいいじゃない、ね?」
唯の言葉にリトは笑い出す
「ああそうだな…それでいいよな…」
リトは唯にキスをすると再びマットに寝かせた

リトは唯の体操服を全部脱がせる。身に着けている物はソックスだけになるの唯
の姿
「……ムチャクチャキレイだ…」「あ、ありがとう…」
「胸触ってもいい?」
唯は顔を赤らめて何も答えない。リトはそれを肯定と受け取り指を這わせる
「…んッ」
押し返されるやわらかい弾力に硬くなっている先端
(おお~ッ!!)
心の中で歓声の声を上げるとリトは乳房へ触れていく
陶器の様な白いすべすべでもちもちした肌触り、先端の大きくなったピンク色の
乳首。
手の中でムニュムニュと形を変える乳房にリトは興奮を隠せないでいた
「唯のおっぱいすげーやわらかくて…気持ちいい!」
「ちょっと…そんなこと言わないのッ!」
けれどリトに触られるだけで体にも唯自身にも熱がこもってくる
指で弾かれ摘まれ大きくなっていく乳首にリトの熱い舌が絡まる
「んッ、はァ…」
唯の体がビクンと震え顔に薄っすらと上気がさしてくる
「すげーおいしい…じゅぱ、んん…ちゅる」
唯は赤ちゃんの様に吸い続けるリトの頭に手を置くと、導く様に胸へと顔を押し
当てる
(いっぱい吸われてる…そんなにいいものなの?)
唯の疑問を裏図けるようにリトは執拗に胸を責める。舌で乳首を舐め取りもう片
方の胸を手で揉みながら指で乳首を摘んでいく
「んッぁ…はあッ、うん」
唯の喘ぎがリトを加速させる
「やッ…ああっ、ふァっんん…」リトは下に目を向けるともじもじと太ももを擦
り合わせる唯に気づく
「唯……?」
「……お願い結城くん…私もう我慢できない…」
唯からの初めてまともなお願いにリトは夢中になって唯に覆いかぶさる
「ちょっと待って!落ち着いてよ」
唯の抗議にもリトは膣内へと挿入させていく
「あっくッ…もう、もっとちゃんとしてよッ」
「悪い…」
リトはすまなさそうに笑うと腰を打ち付けていく
「あッふっ、あァ…んん」
じゅぶじゅぶと結合部から音が鳴り白濁した愛液がマットを汚す
「はッん、んん…すご、い…」
リトの力強いピストンが唯の膣内を乱暴に掻き乱していく
口から涎を垂らしながらじっと自分を見つめる唯にリトの背中はぞくぞくする
「…おまえすげーエロクなってないか?」
リトの質問にも唯は答えられない。今はたださっきの快感をリトがもっと欲しい
という欲望だけ
唯は脚をリトの腰に絡め、首に回していた腕に力を入れるとリトを抱き寄せる
「ちょ、ちょっと待てってッ!これじゃあオレおまえの中に…」
「いいわよ…私の中に結城くんの全部ちょうだい」
リトの喉がゴクリと鳴る
「ホントにいいのか?」
唯は頷くと背中に回した手でリトにギュッとしがみつく
一つに重なった二人は互いの腰を合わせるように動かすと絶頂へと誘う
「あッふぁ…んっ、あんッ…」
「唯オレ…もう出そうッ」
「うん…いいわよ、私も…私ももう…んッんん…」
リトは唯の唇に貪るようなキスをすると膣内に欲望を吐き出した
自分の中に吐き出される大量のモノに、手でお腹を擦ってその感触を味わう
自分とリトが本当の意味で一つに繋がった様なそんな感覚
それに酔いしれる様に唯はゆっくりと目を閉じていく
――――そして唯はまたいつもの日常へと戻ていった

制服に着替えながら唯は浮かない顔をしていた。さっきした行為が目に浮かぶ
――――私…あんなこと…
あの時は確かにリトが好きで好きでたまらなくて、離したくなくて感情的なまで
にリトを求めた。だからその反動で冷静になればなるほど胸に広がるある感情
ドアの前ではきっとリトが待っている。扉の先を見つめる唯の目に戸惑いが宿る
「私…どんな顔して結城くんに会えばいいのよ…」
答えの出ないつぶやきに唯は静かに歩き出す

「遅くなってごめんなさい」
「あっ…ああ」
唯の浮かない顔にリトはとまどってしまう
「どうしたんだよ唯?」
「別に…」
「オレなにかしたか?その…さっきのコトとかさ」
その言葉に唯はビクッとなる
「やっぱり……」
「あっち、違うのそうじゃないの!」
「どう違うって言うんだよ!?」リトの問いかけにも唯は答えられない。二人は
廊下で立ちすくんだまま時間だけが過ぎていく
「あのね…」
やっと口を開いた唯だがその様子はいつもとはかけ離れており、それがひどく唯
を小さく見せる
「あのね私学校であんなことしたじゃない…」
唯は震える自分の体をギュッと抱きしめる
「普段は規則とか風紀違反だとか言ってるくせに…私…私…」
「……それでおまえはそのコト後悔してるのかよ?」
リトの言葉に反射的に俯いていた顔を上げる
「後悔なんてしてない!するはずない!だけど…私…」
「……」
「自分でどうしていのかわからないの!結城くんともっと色んなコトしたいっ!
デートにもいっぱい行って、手を繋いで街も歩きたい!したいことたくさん…た
くさんあるの
……だけど……」
言葉を詰まらせる唯の姿に、リトの脳裏にいつもの委員活動をしている唯が映る
「私……苦しくて…どうしていいのかわからなくて……」
俯く唯の目から涙がぽろぽろと廊下に落ちていく
リトは唯に歩み寄ると笑いながら頭に手を置き撫でていく
「えっ!?ちょ、ちょっと結城くん?私真面目に…」
「おまえちょっと考えすぎだぞ…そりゃあ唯がいつも言ってるコトはすげー正し
いと思うぜ!けどな唯、おまえもうちょっと自分の気持ちとかに素直になれよ」
「えっ…?」
「おまえが規則をちょっと破るぐらいなんだよ!オレいつもどれだけおまえが風
紀活動がんばってるのか知ってるんだぜ。オレの知らない時見てない時とか。
だから……ちょっとぐらい自分に甘くなってもいいんじゃねえかなその…オレの
前ぐらいはではさ∕∕∕」
リトのやさしさが胸に広がっていき、唯は止まらない涙をハンカチで拭っていく
「…あ、ありがとう…………あの…ね、今日結城くんに求められた時私本当は…
すごく……うれしかったの…」
少しずつ言葉を口にする唯にリトはじっと耳を傾ける
「私あの時、ただあなたが結城くんが欲しくて欲しくて……」
唯は俯いていた顔をあげてリトの目を覗き込む
「私…いや…らしくない?」
「えっ?どこが?」
「結城くんあんな私に幻滅してない?」
「おまえなー…」
溜め息を吐くリトに唯は少し怒った感じで声を出す
「結城くんっ!!私真面目に聞いてるのッ!!!」
「…今日の唯も、いつもの規則を守ってる唯もおまえはおまえだろ?心配しなく
てもオレの好きな古手川唯は世界に一人しかいねえよ」