姫川友紀&ランサー  ◆HELLmKU1MQ



 10月某日、某東京ドーム。
 その日、とある試合があった。
 球場内は両チームのファンの熱気で溢れかえっていた。
 勝った方が日本シリーズ出場へ大手を掛ける大一番。

 しかし、試合の方は……
 初回から先発投手の立ち上がりを打たれ失点。
 その後も失点を重ね、5回持たずにマウンドを降りた。
 打線も初回から沈黙。肝心な所で一本は出ない。
 本塁打も出るものの、ソロホームランのみで後続は打ち取られる。

 そして、七回の裏の攻撃の前。
 ホームチームの応援歌が流れる。
 軽快なラッパの音が印象的な応援歌であった。


『闘魂こめて 大空へ!
   球は飛ぶ飛ぶ 炎と燃えて!

 おお キャッツ!
   その名を担いて グラウンドへ!
     照らすプレイの たくましさ!

 キャッツ! キャッツ!
   ゆけゆけ それゆけ 巨猫軍!』


 ライトスタンドの一角で彼女は声を出す。
 その声はグラウンドの選手たちに届かないかもしれない。
 けれども、大っきな声で声援を送り続ける。

 ―――なぜなら、彼女は『アイドル』なのだから。

 白とオレンジのユニフォームとキャップ。
 右手にはオレンジ色のメガホン。
 左手には売り子から買ったビール(二杯目)。

 彼女の名は『姫川友紀』。
 とあるアイドルプロダクションに所属しているアイドルだ。
 何故、アイドルである彼女が野球場にいるのか?
 普通、アイドルで野球といえば試合前の始球式であるが。
 彼女はプライベートでキャッツを応援に来たのだ。
 ようするに三度の飯よりも野球(主にキャッツ)が好き。
 アイドルの仕事よりも野球(主にキャッツ)が好き。
 それが彼女なのだ。

 なお、この七回もまたキャッツは無得点で終わった。

『ゲームセット!』

 試合はキャッツの負け。
 最終回にノーアウトでチャンスは作ったものの……
 結果は追いつかない程度の反撃であった。

 相手チームのヒーローインタビューを聞きながら帰り支度をする。
 そして、そそくさと球場を後にする。

「はぁ……」

 球場のゲートを出た直後、友紀は大きく溜息を吐く。
 しかし、すぐに気持ちを切り替える。
 あとはなくなったが、まだ明日がある……。

「明日は勝つ!」

 気合いを入れ直し、友紀は空を見上げる。
 星が輝いていた、その隣では月も輝いていた。


 ―――しかし、彼女の目には赤い満月が写っていた。


  ▽ ▽ ▽


「……ん?」

 友紀が気付くと球場内に戻っていた。
 しかも、グラウンド内に入っていた。
 本当に無意識だった。
 何故自分でも戻ってきたのか、思い出せなかったが。
 あることを思い出した。

「……そ、そういえば、聞いたことがある!
 『赤い満月を見るとよからぬことが起きる』って!
 【す●ると】のあとにやってた深夜の胡散臭いバラエティ番組でやってた……まさか、そんなことが……!」

 誰に言うでもなく友紀は呟く。
 その直後であった友紀の背後から……

   ズン、ズン、ズン……

 と、重量感のある足音が聞こえた。
 その足音に気付き、後ろを振り向いた。

 ―――デカい。

 第一印象はとにかくソレであった。

 ―――此間のハズレ助っ人外国人よりも遙かにデカい。

 友紀の目測で推定身長2m以上。
 黒く細かいカールのかかった長髪に黒いレスリングパンツ。
 そして、何よりも目を引くのは、その男の頭部にある二本の角。

「お前がオレのマスターか?」

 その巨体から聞こえた声。
 友紀はその男を見上げるような格好になっている。
 そして、友紀の脳裏にはその問いにどう答えたらいいか、一瞬で閃いた。


「ゲェーーーーッ! レスラーのサーヴァント!?」


 何故だか、こういうリアクションを取らねばならない気がした。
 その角の男は少し戸惑ったが、冷静に返す。

「……一応、ランサーだ」
「いや、どうみてもレス……」
「ランサーのサーヴァント・バッファローマンだ!」
「あっ、はい」

 友紀はランサーということでとりあえず納得した。
 しかし、バッファローと聞くと他のリーグの球団を思い出した。
 だが、それよりも重要なのは今のこの状況の詳細をランサー・バッファローマンから聞いた。

「聖杯戦争……?」
「そうだ、なんでも願いを叶える願望器らしいぜ?」
「なんでもか……『キャッツの優勝させて』とかでもアリ?」
「ああ」
「うーん……どうしよう……」
(それは本気で悩むことなのか?)

 そして、数秒ほど友紀は考えた。

「なら、いらないや!
 あたしの願いは他の人を蹴落としてまで叶える願いじゃない!
 自分で……というよりもキャッツが掴み取る願いだ!」

 試合中以外の奇跡など要らない。
 ましてや、キャッツ他プロ野球と全く関係ない人たちを勝手な願いのために犠牲にするわけはいかない。

「あたしの考えに文句はある?」
「いや、別に構わないぜ! ルール破りは悪魔の十八番だからな」
「えっ、18番はクワタでしょ?」
「…………まあそんなことはいいが、他のサーヴァントに襲われたらどうするんだ?」
「そん時はランサーが戦えばいいんじゃないかな?
 ホームラン50本くらい打ちそうな腕とか筋肉してるし、多分倒せるって!!」
「まあ、俺はそれで構わないがな」
「よし、じゃあ! しまってこーっ!!」


【クラス】
 ランサー

【真名】
 バッファローマン@キン肉マン

【ステータス】
 筋力:A 耐久:C+ 敏捷:B+ 魔力:E 幸運:C+ 宝具:B

【属性】
 中立・悪

【クラススキル】
 対魔力:E
 無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。

【保有スキル】
 超人レスリング:A
 超人レスラー最上位の1人であることを示す。
 リング上ではステータスが上昇する。

 戦闘続行:A
 試合終了後まで勝負を諦めない往生際の悪さ。
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

 怒れる猛牛:A
 自身の怒りが最大時、ステータスを1ランクずつ上昇させる。

【宝具】
 『猛牛の突進(ハリケーンミキサー)』
 ランク:B 種別:対人 レンジ:1~5 最大補足:1~10
 ロングホーンを用いた突進技。
 その威力は5人の邪神をも吹き飛ばす。

 『煌めきの流血列車(ロングホーン・トレイン)』
 ランク:B 種別:対人 レンジ:1~5 最大補足:2~20
 バッファローマンがランサーたる最大の要因。
 自身が槍となり、相手に突進しロングホーンで串刺しにする技。
 なお、バッファローマンと同等の実力を持っていなければ発動は出来ない。

【weapon】
 ロングホーン 

【人物背景】
 人間をはるかに超える戦闘能力を持つ「超人」のひとり。
 元はキン肉族と肩を並べるほどの繁栄を見せていたバッファロー一族の唯一の生き残り。
 その後、紆余曲折あり大魔王サタンに自らの血を売り正義超人から悪魔超人へと転身した超人である。

 技術よりも腕力・体力にものを言わせたファイトスタイルが特徴的であるが、
 性格は冷静沈着であり、試合中に熱くなっても場外乱闘は好まない。
 また、相手のスタミナの消耗を誘う戦術を取るなど試合巧者である。

 最近、草野球チームのマスコットにもなった。


【マスター】
 姫川友紀@アイドルマスターシンデレラガールズ

【マスターとしての願い】
 元の世界に帰ってキャッツの優勝を見届ける。

【weapon】
 特になし

【能力・技能】
 強いて言うならアイドルの才と野球の知識。
 落ちるスライダーが投げられる。

【人物背景】
 とあるアイドルプロダクションに所属するアイドル。
 本人曰く、強豪の野球チーム『キャッツ』の大ファン。
 アイドルの仕事よりも野球が好きな20歳の野球好きアイドル。

【方針】
 元の世界に帰る方法を探す。

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最終更新:2014年12月28日 00:30