&size(large){【-回} ガッツ &size(large){避-】} 「うーーーっ、ひょーーーーーう!!!!」 頓狂な声を上げながら、とてもそんな場面とは思えないコミカルな表情と、それとは裏腹の、死に物狂いの大激走が、男の両脚では開始されていた。男は祈る。一路その胸に一心に。 (なっこちゃんに会いたい英吏と酒が飲みたい英吏と源のコンビに混ざりたいセーラ帰ってきますようにみんなしあわせになーれ天戸文族で名を上げたい根源力たくさんほしいお国にいっぱい資産ほしいなオーマ覚醒してみたい士族になりたい新しいアイドレス着たいetcetc…) 欲望の塊だ。 「しまった英吏は未成年かまあいい気にするなともあれなにはなくともなーーーっこちゃーーーんあいらーーーびゅーーーーんんん!!!!!」 意味なく裏声混じりに大シャウト。吐き出す息と蹴り出す地面と、優雅にバレエダンサーのように足を伸ばして跳躍し、たーん、とーん、たーん、走る、走る、とにかく走る、両腕ぶんぶか勢いよく振り乱して反動をつけての大爆走!! 「俺は物語における一つの神髄に気付いた、そう、つまぁーり!!」 誰も聞いてないのに叫び出す。仲間はあきれてるだろうか。敵が聞いてたら何と思うだろう。まあいい、そんな体面を気にしていては、この計画は成功しない! 「『映画や小説でこういう場面ほど欲望丸出しでジョークを飛ばしている奴に限ってその間だけは生き延びられるよね』の法則ぅぅぅぅぅーーーー!!!!」 びゅうびゅう灰色の長い髪をなびかせ風が耳元を切っていく。なりふり構わず走ると、なぜかこれが速い。フォームを整えてきちんと身体運用をした方がずっといいような気もするのだが、ハイになって脳内麻薬でも出ているのだろうか、 だん、 だん、 だん! と、たくましく、見える景色を揺らしながら、男はひた走りにステップ刻んで走りまくった。 「俺は、かっこ悪く生きのびてやるー!」 ―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎*援