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マニューバ。

なんかかっこよさげな言葉だなとだけ思っていた。よくわからんが、いかにもメカっぽくてかっこいいぜ!である。

I=Dに乗り込んでいる今ならわかる。こいつはとんだじゃじゃ馬で、すこぶるつきの感度のよさで人間とは比べ物にならない速度をたたき出す。そいつをうまく制御するために、こんな概念が必要になったんだ。

図体もでかいがその分だけ歩幅もスピードもある。日常、変な先入観で言葉面上は巨漢ほど鈍いと思われがちだが、それは小回りの問題で、パワーの塊をみっしり搭載している戦闘用のボディの場合はそのパワーを上手に集めれば、目玉をぶん回すような威力が出ているのだ。

「双海さぁん、まだ、いけますよ!」

燃料は宰相持ち。だからといって、余分に搭載したりすることが出来るわけではないが、気分的にはたっぷり出し惜しみなく動かせる。

データマップ上で、自機が飛ぶようにジグザグ地形に添って動き、メインパイロットにゲイン幅を具体的に伝えながら、挙動制御をがっちり組み上げる。

マニューバ。こいつ、この、機動パターンの基準がなければ、とてもじゃないがこの速度レベルでコントロールがおっつかない。数値を入れて実地のデータに対応して、姿勢などを自動補正するプログラムと共に、ぎりぎりまでこの鋼の塊をピーキーにぶん回してやるため、襲い掛かる慣性に耐えながら、必死に手元に集中する。

人間の体を扱うのとまた別の集中力がいるな。

頭の中を電卓化し、普段は気もなく受けていた国内のコパイ訓練のありがたみを今更ながらに実感した。

直接視野をなるべく使わないようにしているため、気分は遊園地のびっくりハウス的な感じだが、あれはどんなに事故あっても命がけってわけにゃいかんしな、と、緊張感の中に一抹の笑みを持ち込む。

生身なら体の柔軟性が敏捷を生むが、I=Dでは、心の柔軟性こそ、敏捷を生むのだ。

―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎

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