*OTeCS (オーテクス:OverTecnology Control System) &sizex(3){&font(b,#1E90FF){”人が認めるもっとも強きものは何ですか。” }} &sizex(3){&font(b,#1E90FF){”アイドレスとは、何ですか。 ” }} **1.序文 OTeCSとは人の過ぎたるあやまちを過ぎたるままに去りゆかせぬための、今と未来を見つめ続ける機構である。 犬と猫とが横たえられた剣の上に座り、共に空を見上げるシンボルマークを掲げている。これは、自らをも滅ぼしかねないダモクレスの剣を悪戯に振るわぬよう、欲望と戦い、勝利し続けるという意志の表われである。 アイドレスにおいては、技術という名の剣ではなく、つながろうとする意志の力こそが強いのだ。 **2.ブラックボックス加工 大統領府および帝國は、各専門家の協力を得て、人工知能を備えたチップを、開封を拒む精霊回路の一部となるように組み込み、予め設定された対象と判定を下された者の手による儀式によってのみ解き明かせるTLO仕様のブラックボックス化を、各種TLO技術の根幹部分に施した。 既に扱えるものにとっては価値がなく、扱えないものにはいつまで経っても謎のまま、どの道TLOであるならば、更なるTLOを内蔵することで拡散を防ごうという、逆転の発想である。 **3.技術者の保護 最後に頼られるべきは人であり、最後に守られるべきものもまた人だ。 人類の滅亡は、共和国、帝國の垣根を越えて防がねばならない問題であり、また歩調をあわせて管理していかなければ意味がない事柄でもある。TLO技術に携わった技術者は、各自の専門分野のみに関わる知識をしか得ず、必要に応じて別系統の技術からの要求に応える、という、完全な分断作業方式が採用され、設計図や技術書などの重要資料もまた、完全なものは存在しない状態で、帝國、共和国ともにその所在を秘匿しないという条件で厳重に保管された。 また、技術者自身にも、通常の軍事機密に対するものよりさらに高いセキュリティレベルが与えられた。 **4.星見司の活躍 TLO拡散防止のために、星見司もまた専門家として協力を要請されていた。 他世界の技術や知識を組み合わせて誕生するTLOは、存在するだけで介入となり、使用される度に世界の歴史を変えていく。開かれるゲートの種類と、起こっている現象から、管理外TLOの出現、ならびに使用を察知するべく、監視者としての任が与えられたのだ。 また、複数の世界の技術が入り乱れるニューワールドにおいて、TLOにあたる技術が自然と着想・研究されうることをも鑑み、民間企業や個人の研究に対して従来の省庁による管理と併せ、新たにOTeCS主催の定期監査を実施する運びとなった。 **5.終わりに &sizex(3){&font(b,#1E90FF){”人のあやまちが原因なら人の人たることがこれを救うでしょう。”}} &sizex(3){&font(b,#1E90FF){”人の悪が生んだ災いなら人の善がこれを収めるでしょう。 ” }} アイドレスでもっとも強いものは、つながろうとする意志の力。 そしてつながりを保つために大事なものは、話し合いによってもたらされるバランスだ。 いつの世も、人の集団である組織こそが、強いのだ。 >文章:城 華一郎