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「あれなにー?」
「ナツメヤシの木だよ。」
「あれなにー?」
「あれは飛行機雲だよ。」

仲の良さそうな親子が手を繋いで北都のメイン通りを歩いている。ジェラートアイスを買って貰って上機嫌な子供は父親に質問攻撃をしていた。

「あれはなにー?」
「ん?さっき教えたろ?ナツメヤシの木だよ。」
「ちがうー。あれだよー。」

子供が指差した先はナツメヤシの木の上。真っ白な毛玉が乗っかっていた。

「(なんだあれ?)」
「くもなの?あれはなにぐも?」
「雲か。雲が空から降りて来て…なわけないな。」

しばらく見ていると毛玉から尻尾が出て、耳が出て、粒羅な瞳が開いた。

「あぁ、猫だ。」
「ねこ?」
「そう。にゃんこだ。」
「へー!ねこにゃんこ~。」

毛玉から猫に格上げになったのは最近レンジャー連邦に来た猫士の小雲だ。
自分が注目されているのに気付いた小雲は恥ずかしそうに尻尾を振って応え、親子がいる反対側に木から降りて居なくなった。

小雲はとても暑がりな猫だ。だから彼は非番の時はいつも『一番涼しい場所』を探している。 ここ最近のお気に入りは空調の効いた格納庫だったのだが、今はラスターチからヴァローナへの改装が行われている為に他の場所を探す事にしたのだ。

「(見られやすい…40点)」

これは居心地ポイント。彼独自の採点基準を元に彼の中で点をつけているのだ。

//※//


「またっスか?」
「そう。例の会議室。がんばってー!」
「ふーう、行ってきます。」

彼は本来はガラスを嵌め込むタイプの窓を作る仕事を請け負っう窓職人。ショーウィンドウやオフィスの顔とか、彼にかかればお洒落な感じにしてくれる腕っこきの職人だ。ただ、何年か前よりほぼ定期的に来る仕事があった。

「ここやるの何回目だろ…。まぁいい。ちゃっちゃとやろう。」

彼が何回も来てる場所。それはフィクションノート達が集う会議室だ。 もう何回も何回も窓が割られその度に窓を張り替えて、その余りの多さに割れた窓でステンドグラスが出来る程だった。

「(最近は簡単に付け替えが出来るように改装したから楽なんだけどね。)」

慣れた手つきで作業を進め、一時間も経たない内に張り替えは終了していた。

「はい終わりー。サラサラサラっと。」

伝票を書いていつもの様に窓から放り込む。
さぁ帰ろうと何気なく上を見るとバレーボール位の綿が窓の梁の所に乗っていた。

「っ…と、と。」

ビクッとなって梯子から落ちそうになった。姿勢を安定したところでもう一度見る。

「でっかいタンポポだなーって違うかっ。」

白くて綺麗なほわほわ。多分寝ている猫だ。思わず触りたくなったが手が届かない。っと言うより、どうやって登ったんだ?

「…???」
「ぐぅ…(暑い。20点。)」


//※ //


幻想的で見る者の心洗わせる日没が終わり、空と海と地の色が一つになる。翡翠はいつものように政庁の屋根の上でその様子を見ていた。

「(いつ見ても変わらぬ光景と少しずつ変わっていく街。遠くから見れば同じようなものかもしれんが近づけばはっきりとわかる。私の目にはあの太陽は変わらない様に見えるが太陽からも此処は変わらなく見えるのだろう。)」
「ぐぅ…」
「(そしていつの間にか私の尻尾に抱きついて寝ているこいつをどうすればいいのだろう?)」
「ぐぅ…」
「(動けなくなってしまった)」
「すー…(夕方なら静かで涼しい)90点…」
「90点?起きてるなら離せ。」
「ぐぅ…」
「(誰か…)」


//※//


ガチャリ。

「こんばんは~。ハイ、これお土産です。」
「あらー!マッサージ屋さん!ありがとう。んん?カツラの色変えたの?」
「(ビクッ)な、何を言ってるんですかぃ!俺は空馬であって流離いのマッサージ士なんかではありませんてすじょ。そ、それに今日はカツラなんか…」

もふもふ

「なんだ…!?
こ、こらー!小雲!男の脳天に乗るとは何事だ!男の体で一番目か二番目に繊細な場所なんだぞ!」
「ん…。5点」
「なんだとー!?」

ばりーん

「喧嘩両成敗!喧嘩はだめですよ!」
「あぁ!しんさん!そこ張り替えたばっかりー!(カキカキ)」
「…!(きしゃー)」
「…!!(ぎゃーす)」
「…(3点)」
「…!!(ムッキー)」
「…! (じりりりり)」

…………。





小雲の冒険は続く。そこに涼しい場所が有る限り~

(空馬)

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最終更新:1970年01月01日 09:00