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お湯の沸く音。
その音は、石油ストーブの上においたやかんがぴゅーと音を鳴らす。
「よっこらせと」
掛け声とともに気合をいれ、コタツから立ち上がる冴木悠。
「その掛け声、おっさんくさいわよ」
「うるさいっ」
まったりとくつろぐ妖精ラヴに返答しつつ、沸いたお湯を急須に入れカップを用意。
「お茶いる~?」
「お願い~」
「うい~」
おもちゃ屋で買った女の子向けの小さい人形用カップも用意。
「寒っ」
急いでコタツに入り、お茶を飲んで一息。
「ふー、お茶がうまい」
「その台詞やっぱり。お・・・いや、なんでもないわ」
お約束の台詞に返そうとしたとこを睨みつけられ台詞を中断させられる妖精。
そんな2人のやり取りには気づいていないのか。
机の上には、一生懸命にシュークリームをほお張る妖精と、ミカンを食べ続ける動物もいた。
「こいつらはー」
本日何度目かの文句を言おうとするが、それが効果のないことに気がついたのかあきらめる妖精。
その様子を見て微笑む悠。
「よっし、続きをはじめるか」
「そうね、頑張りましょう」
「む、むぐ。がんばるのー」
「みゅー」
自分の体ほどあるシュークリームを飲み込み返事する妖精シューに、返事をしつつもみかんを食べ続けるカピバラのちょこ。

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レンジャー連邦会議室。
利用する人たちの趣味なのだろうか、この季節になるとこの国には不釣合いなコタツが会議室に置かれる。
そのコタツの脇に置かれた大量の書類。
「うひー、全然減らないー」
「ほら、文句言わずに手を動かす」
何度目だろうか、世界の存亡をかけた戦い。
今回の戦いにレンジャー連邦より参加するのは、国の運営に関わる数人に、猫士たちであった。
国の中枢を担う人たちに、病院や警察署に勤める猫士たちがいなくなったことに国民たちが気付くのはすぐのことだろう。
そのことに対して少しでも助けになればと冴木悠は動いていた。
「いやいや、この量はやっぱり無理だって」
「うるさい、蝶子さんや城さんはいつもそれをこなしてるのよ」
「うひー」
「がんばるのー」
「みゅー」
山のように積み上げられた書類を必死に処理する冴木悠に、サポートする妖精ラヴ。
やることは山積みである、書類整理の後にはパトロールの予定があるのを思い出し悲鳴を上げる冴木悠。
「うひー」
ばたん。
部屋に入ってきたのは2匹の猫。
王猫のハニーに、クロロという名前の黒い毛並みの美しい黒猫であった。
「ふーやっぱり冬はコタツだにゃー」
コタツに入り丸くなるハニー。
クロロは悠のひざに乗って丸くなる。
「ちょ、今忙しいから邪魔しないでよ」
「いいって、ちょっと疲れてきたとこだから休憩にしようか」
文句を言うラヴに声をかけて、クロロの毛並みをなでる悠。
クロロがその気持ちよさに顔を上げると、羨ましそうに悠とクロロを見るラヴに気がつく。
「にゃー」
甘えた声を出し、悠に顔を擦り付けるクロロ。
「うわー、クロロは可愛いなー」
持ち上げてクロロをぎゅーと抱きしめる悠。
「にゃー」
その様子を見せ付けるようにラヴのほうを向き、にやりと笑い甘えた声を出すクロロ。
「な、ちょっとあんたなに勝ち誇った顔してんのよ」
「ん、なに言ってんだラヴ」
見せ付けるように再度顔をこすり付けるクロロ。
「あー、あんたわかってやってるわね」
その光景を見て騒ぎ始めるラヴ。
「おいしいのー」「みゅー」
回りを気にせず、シュークリームとみかんを食べ続ける妖精とカピバラ。
「平和だにゃー」
その光景をよそに一人コタツで丸くなるハニー。
レンジャー連邦会議室は忙しいながらも平和であった。

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「わー、久しぶり兄さん」
現れたのは、冴木悠を頼りにレンジャー連邦までやってきた少年。
現在連邦大学に属するする学生、勅使河原龍之介であった。
「よ、龍。さっそくで悪いけど手伝ってくれないか。こいつらでは足しにならん」
指差したコタツの上には、丸くなる猫に文句を言う妖精。
おやつを食べ続ける妖精にカピバラ。
「もう一匹コタツで丸くなってる猫もいるよ」
「ははは・・・まるで動物園みたいだね」
どう返せばいいかわからずわからず、笑い声とともに返す龍之介。
ばたん!
「うわーん、蝶子さあああーーーーん!!」
勢いよく入ってきたのは、浅葱空であった。
この人物、女の身でありながら自他共に認める蝶子さんラブなちょっとアレな人である。
蝶子さんがいなくなり情緒不安定気味である。
つくづくアレな人である。
「蝶子さん分が足りなーい・・・はっ」
コタツ周りに群がる小動物や少年に気がつく浅葱空、この人物小動物的な可愛いものにも目がない。
返す返すもアレな人であった。
獲物を狙うような鋭い視線にあとずさる小動物たち。
「てっしー、かわいいいぃぃぃ!!」
「ぎゃー、浅葱さん痛い、痛い。ギブ、ギブって、ぎゃー・・・」
特訓により、生まれわった柔らか舞踏子の全力ぎゅーをうけ、落ちる龍之介。
その光景を見て沈黙が広がる。
「うーん、まだ足りないなー・・次は」
蝶子さん分をかわいいもので補おうとする浅葱空、その視線を受け本気で恐怖する小動物たち。
「みんな可愛いー!!」
全力での鬼ごっこ開始。
「うあー、仕事がはかどらねー」
「平和だにゃー」
冴木悠の叫びと、一人コタツの中で難を逃れたハニーの声が会議室に響く。

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「それで、どうしたんです。この大変なときに」
「ごめんなさい・・・」
足りなかった何かを補給し落ち着いたのか、冴木悠の前に正座させられた浅葱空が謝る。
「えと、フェ猫さんが冴木さんが困ってるんで助けてやらないかって言ってるのを聞いて、私も国のために何か出来ないかなって」
「その助けが、これですか」
「本当にごめんなさい」
レンジャー連邦会議室。
鬼ごっこの結果は、・・・部屋中死屍累々である。
「それにしても、あのフェ猫さんがねえ」
「ほかの残ってる人にも、いろいろ声をかけてるみたいだよ」
普段の態度については思うことが多々あるものの、この行動は本当に助かる。
彼も彼なりにレンジャー連邦のために動いているのだ。
「よっし、人数がいれば何とかなるか。さっさと書類を片付けてパトロールに出ますか」
「いえっさー」
返事を返す浅葱空。
「あー、それとハニー君。てっしーと一緒にフェ猫さんが手伝ってほしいことがあるって言ってたよ」
「わかった、後で行って見るにゃー。病院にも戻らないといけないし忙しいにゃー」
そう返しつつ、人型になり書類整理を手伝う王猫ハニー。
ハニー君、病院の休み時間に会議室に顔を出したのだが、少々長い昼休みになりそうだ。
その横で何故かおやつおやつ~といいつつ、バックから取り出した携帯プレートで皆の分のもんじゃを焼き始める浅葱空。
レンジャー連邦に残った面子もそれぞれに動き始めるのであった。

(冴木悠)

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最終更新:1970年01月01日 09:00