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ドランジさん歓迎祭
「1日目 夜 北の都 歓楽街」
北の都は沸き立っていた。
先立って藩都にて行われた開会式は大成功であった。
ついに連邦に登場したドランジ氏の紳士っぷりに連邦国民は熱狂し、テレテレな摂政に連邦国民はキュンキュンし、小粋なイタズラを仕掛けた藩王に連邦国民はハラショーし・・・・、お祭好きな連邦民はこの機会を逃すまじと、上から下まで本日は大宴会を開催である。
藩城に置いては藩王や摂政がドランジ氏のおもてなしを行っていた。一般国民の大勢は北都の歓楽街にて飲めや歌えの大騒ぎ。誰もがドランジ氏の来訪を、そしてこの祭を楽しんでいた。
そんな北の都の歓楽街。その片隅、「ODEN」の看板をつるした強面で知られる親父の屋台にて、2人の男がちびちびと酒を飲んでいた。
「気に入らん!!」
「なにがよー?ドランジさんはカッコよかったし、摂政も嬉しそうだったし、いいこと尽くめジャナイノ!!」
すっかり酩酊して目が据わっちゃってる連邦文士・青海正輝とその飲み友達にして同僚の虹ノ七色である。ちなみに、青海は酒にチョー弱いため、まだコップ一杯しか飲んでないのにベロベロである。
「なにがじゃないぜ七色よ。歓迎祭の公式日程見たかオイ。」
「公式日程ねぇ・・・。」
ガサゴソと懐から紙を取り出す虹ノ。
ちなみにこの2人、藩城での会食を抜け出してこの屋台に来ている。
青海曰く「連邦最凶の不良コンビ」である2人は会食をすっぽかすくらいは朝飯前である。
当人達は「お邪魔虫は退散します♪後は若いお2人に・・・オホホホホ。」などというメッセージカードを残し、「気を使ったんだよー。」と言っているが、実際は祭に乗じておでんを食べながらたらふく飲みたいだけだと思われる。
「はぁ、忙しいもんだねぇ。」
「だろぅ?これは黙っておられんだろう。」
虹ノの持つ「ドランジさん歓迎祭 ドランジ氏公式日程表」は真っ黒になっている。
待ちに待ったドランジ氏の来訪に合わせて連邦では式典、大学での講演会、軍事施設の視察、一般民向けのイベント・・・祭中、ドランジ氏は連邦各地に引っ張りだこである。
「大事なものが抜けているんだよ!」
「大事なもの?摂政殿が作ったスケジュールだから、抜けなんてないと思うが・・・。」
大根をホフホフさせる虹ノ。
そう、今回の祭のスケジュールは全て摂政・砂浜ミサゴのプロデュースであり、そこには「皆でドランジさんをおもてなそう!楽しもう!!」という愛がみなぎっていた。
どこに文句なんかあるのよ?虹ノは熱々の大根を頬張りながら、2杯目をグィーっと飲み干す青海を見た。
「デートが!摂政殿とドランジ氏のデートがぬわいじゃないか!!」
ダン!っとコップが台に置かれる。そっぽを向いていた親父がめんどくさそうに酒をつぐ。
「・・・・デートってお前・・・。」
「これは重大だぞ、虹ノ!今回のドランジ氏招聘に最も尽力したのは摂政どのではないか!!本人は謙虚に藩民感情を優先しておられるが・・・・。」
納得イカーン!
青海は憤慨しながらハンペンと玉子を口に放り込み、盛大にむせた。どうでもいいが、猫舌である。
「ぐぼふぁ・・・と、とにかくだ、これはなんとも納得いかん。摂政殿が納得してても、俺が納得いかん。ここは一つ、ドッキリを仕掛けようじゃないか。」
「まぁな。あの人はもうちょい、自分本位になってもいいと思うぜ俺も。その話ノラせてもらうぜ!!」
「おぉ、友よ!!」
暑苦しく友情を交し合う2人。親父はいつものこと、と見てみないフリである。
「で、実際、どんなドッキリを仕掛けるのよ?」
「任せろ。もう策は練ってある!いいか、まずは明日、藩都で行われる『ドランジさん特別トークショー』でだな・・・。」
「・・・・。」
「・・・・・・・・。」
なにやら話し込む2人を余所に、祭の夜は更けていく・・・・・。
「 2日目 昼 政庁前広場特設ステージ『ドランジさんトークショー』 」
藩都の空に、盛大なブーイングが飛び交う。
「なんじゃおまえはー!」
「ドランジさんはどうしたのよーー!!」
「にゃんにゃんにゃーーーん!!」
ステージ上にてマッスルポーズをとる、ドランジ氏・・・・風の男。
「オー、ワタ―シ、どらんじデース。」
たゆんだお腹、若干ずれた金髪のカツラ、良く見ると金の龍じゃなくて何故か金のミミズの刺繍された青い服・・・ドランジファンから速攻、デリートされそうな偽ドランジである。あまりにあまりな完成度であるが、本人はいたって真面目である。
「フン!ムファ!!」
「ぎゃー!」「いやぁー!!」「ふぎゃー!!!」
何故か満面の笑みの偽ドランジ。無意味に輝く歯が痛々しい。
マッスルポーズをとるたびに観客席からは悲鳴が上がる。司会進行役の虹ノが頭を抱えている。
昨夜、青海から持ちかけられた作戦は、こうである。
まず、摂政に藩王からの緊急任務として北の都近辺に出没する変質者のとりしまりに至急赴くように連絡する。責任感の強い摂政は早朝の虹ノの知らせに疑いもせず頷くと北の都へと向かった。
対してドランジ氏の客間に深夜侵入(途中で摂政作の警備マシーンに撃ち抜かれそうになった)した青海は、銃を眉間に当てられつつもスケジュールの変更、トークショーから国内の施設案内への変更を伝えた。ドランジ氏は意図を見抜いてかどうか、フッと笑うと了承したという・・・・・。
「だからと言ってお前が変装する必要がどこにあるんだ・・・・。あぁ!物を、物を投げないでください!!」
あまりにもっともな呟きであるが、あっと言う間に怒号にかき消されてしまった。
「お前を見にきたんじゃないぞー!」「ひっこめー!!」「にゃにゃーーん!!」
「物を、物を投げないでください!青海はもう引っ込め!物を・・・ぐは。」
あわれ、虹ノは飛んできたフライパンに当たって転倒してしまった。
「もう少し似せる努力をしろー!」「仮装なら私のほうがまだましよー!」「にゃんやん!!」
危険物が飛び交う中で青海がマイクを握る。
「えぇい!うるさいうるさい!そんなに文句あるならお前らがやれよ!!」
もう無茶苦茶である。言ってる意味もよく分からない。
「おーし、分かった!!明日のパレードは『仮装パレード』に変更じゃい!文句あるやつは俺と勝負じゃ!!」
「なんだと!やってやろうじゃねぇか!」「私がトップに決まってるじゃないの!!」「にゃひにゃひにゃにゃーん!!!」
連邦民のノリの良さが幸いしてか、どうにかこの場は切り抜けられそうである。それが事態の良化につながるかは別として・・・・。
兎にも角にも、一人倒れ付す虹ノを余所に、急遽開催が決定した仮装パレードの準備に散っていく連邦民たち。会場には虹ノの涙が残るのみであった・・・・・。
【次回予告】
ドランジさん歓迎用だったはずのパレードはいったいどうなってしまうのか!?
そして2人で消えた摂政とドランジ氏の行方は!?
ぶっちゃけ自信も時間もないが次回の連邦SSは!
NEXT SS
→「 2日目 朝 ドキ☆2人だけのレンジャー連邦エスコートツアー 」
NEXT SS
→「 3日目 夕 激闘!国民参加・大仮装パレード 」
頑張れ作者!投げっぱなしにするな作者!!
(文責:青海正輝)