時空管理局創作課
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時空管理局創作課
ja
2014-11-11T07:04:25+09:00
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EXECUTOR ■ 18
https://w.atwiki.jp/trinanoss/pages/246.html
<p> ■ 18</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>
哨戒任務などで既に大西洋に進出していたイギリス海軍艦は、バイオメカノイドとの交戦に突入した米空母ジョン・C・ステニスの救援に向かう事を決定した。<br />
北極海に現れたバイオメカノイドの個体量は想像を絶するものであり、アイスランドからは、極夜の空に塵雲の帯が伸びているように見えていた。</p>
<p> アメリカ空軍はただちに可能な限りの戦闘機にスクランブルを発令し、迎撃態勢に入った。<br />
また海軍でも、大西洋艦隊の艦を急ぎラブラドル半島沖に向かわせ、バイオメカノイドの進撃を食い止めるように陣を展開した。</p>
<p>
この時点で洋上にあって戦闘行動が可能な米軍艦のうち、タイコンデロガ級については全兵装を使用しての全力射撃を行った場合、約160秒ですべてのミサイルを撃ちつくすと計算された。<br />
また既に交戦していたプリンストンやシャイローからの報告で、バイオメカノイドのうち小型個体についてはミサイルによる攻撃は携行弾数や1発で撃破可能な敵の量などから効率が悪いとされ、艦砲による攻撃を主軸にするべきと提案された。<br />
同様に戦闘機においても、1機に搭載できる対空ミサイルの本数はF-15Eであってもたかが知れており、航空機関砲による攻撃が効率が良いとされた。<br />
作戦司令部では、従来の戦術の常識からは外れるがAC-130のような大量の砲兵装を搭載できる重航空機による空対空迎撃が効果が高いと検討されていた。<br />
大型の機体なら積める弾薬の量も多く、また少々の攻撃には耐えられる。<br />
敵は空中運動性能自体はさほど高くないので対空ミサイルのような強力な誘導は必要なく、火力あたりのコストの低い艦砲やロケット弾などによる攻撃が適する。</p>
<p> バイオメカノイドと戦う場合において最も気をつけなければならないのは手持ちの武器が尽きてしまうことである。<br />
それは地球でもミッドチルダでも同じく、残弾がなくなったのに無理をして戦い続ければあっという間にやられてしまう。ミサイルや砲の弾が尽きたら、あるいは魔力カートリッジが尽きたら、ただちに撤退して交代し、補給を受けなければならない。</p>
<p> ノーフォークの海軍基地では
2014-11-11T07:04:25+09:00
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MW3_0
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SIDE Task Force141(Disavowed)
八月一四日 09:55:21
ミッドチルダ クラナガン ミッドチルダ中央放送局本社ビル
ゲイリー・"ローチ"・サンダーソン軍曹
妙なことになった、と三〇階建ての高層ビルの屋上でローチは思う。
彼は本来、地球における各国の精鋭部隊からさらに人員を選んで結集した特殊部隊"Task Force141"に属し、未だ各地に潜伏しているロシアの超国家主義者たちを討伐するのが任務のはずだった。それが様々な経緯を経て、今はこうして異世界の高層ビルの屋上にいる。変わっていないのは装備と、それから与えられた任務に対する姿勢くらいなものだ。
吹き付ける風が止んだ。それが合図であったかのように、すぐ隣で待機していた仲間が動き出す。ポール・ジャクソンと言うこの元米軍の兵士は、ローチにとっては命の恩人とも言うべき存在だった。こちらが設置したトラップのおかげで殺されかけたにも関わらず、だ。
「そろそろ時間だ。ローチ、用意しろ」
頷き、ローチは三点スリングで上半身に引っ掛けていた銃を手に持った。M4A1、地球の自由主義陣営を代表する傑作小銃M16から発展したカービン銃。フォアグリップとダットサイトを装着した以外は何の変哲もない代物だが、ローチはその何の変哲も無い銃にかえって違和感を覚えた。ここは戦友の故郷。魔法の世界。チェストリグの内側、迷彩服の胸ポケットに大切にしまってある手帳の持ち主が生まれた場所。そんなところに、俺たちは俺たちの世界の武器を持ち込んだ。鉄と火の、科学によって生み出される破壊の力を持つ武器を。
感傷に浸る余裕がないのは、重々承知していた。この作戦は、全員がそれぞれの役割を果たして始めて上手くいく。雑念を脳裏から振り払い、先に動き出したジャクソンの背中を追った。
三〇階建ての高層ビルの屋上から見下ろす下界は、まるでミニチュア模型のようだ。頬を撫でる風、照りつける日差しが無ければ現実感も感じなかった。
魔法の世界であっても、このクラナガンという街はローチの知る地球の大都市とさほど変わりが無いように見えた。屋上の端に設けられた転落防止用のフェンスも、何の変わりも無いただの金属だ。そのフェンスに降下用のロープを引っ掛け、ジャクソンとともに乗り越える。下を見れば何十メートルとい
2014-07-21T17:01:51+09:00
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MW2_20
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SIDE 時空管理局 機動六課準備室
七日目 1800
地球 衛星軌道上空 次元航行艦『アースラ』
ポール・ジャクソン 元米海兵隊曹長
『アースラ』はアフガニスタンへ向かっていた。この戦争を仕組んだ真犯人の一人、シェパード将軍を討ち取りに向かったプライスとソープの援護のためだ。
しかしながら、彼らは一つの問題を抱えていた。アフガニスタンに向かうと決めたは良いが、あの砂漠の大地は広大だ。プライスとソープが果たしてどこで戦っているのか、その居場所は彼らには伝えられなかったのである。艦は急行する傍らで、地球上の電波情報を収集することでプライスとソープの位置を、あるいはシェパード将軍の位置を掌握しようとしていた。
「――待って、今の電波戻して!」
米軍の通信情報解析に協力していたジャクソンは、艦橋のオペレーターたちの中から聞き覚えのある声を耳にした。印刷された情報から眼を離して通信端末に噛り付いていた彼ら彼女らを覗き込むと、『アースラ』主任オペレーターのエイミィ・リミエッタが、いつもの能天気な雰囲気を感じさせない真剣な表情でキーボードと格闘していた。
「何か見つかったのか。エイミィ」
「ちょっと待って。今捕捉した電波、音声通信じゃなかった気がしたの」
艦長席から離れてやって来た『アースラ』艦長、クロノ・ハラオウンがエイミィに問う。答えるのももどかしげに彼女はキーボードを叩き、ディスプレイに細くした電波の波長を表示させていた。ジャクソンには彼女が何をしているのかおおよその予測しか付かなかったが、おそらくは電波の内容を解析しているのだろう。音声出力される形で再生された電波は最初のうちこそただの雑音にも等しかったが、幾度も再生される度にフィルターを通し、人間の声であることが分かってきた。音紋分析が行われ、ついに誰の声であるかがはっきりする。
≪――ここに記録しておく。歴史は勝者によって記されてきた。ゆえに嘘で満たされている≫
プライス大尉だ、とジャクソンは声の主を確信した。しかし、誰かと通信のやり取りを行っていると言う雰囲気は感じない。おそらくは事前に録音したのだろう。オペレーターたちは発信源の特定を急いでいる。
≪もし奴が生きて俺たちが死ねば、奴の"歴史"が記される。俺たちのはゴミだ≫
「出ました、発信源
2014-05-31T23:05:09+09:00
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MW2_19
https://w.atwiki.jp/trinanoss/pages/243.html
「普通の人間はな、今日が最期の日だと考えながら目覚めはしない」
砂の地で、男は語る。その身を自然と一体化させながら。
「だが、それは悪いことじゃない。強がりじゃなくてな――我が身の死期を感じ取った時、人はあらゆる制約から解放される」
マガジンに、銃弾を込める。何度となく繰り返してきた動作だ。手馴れた様子は、語りとは裏腹にこの男に死期が迫っていることなど微塵も感じさせない。
状況を整理しよう、と男は言った。
こっちに機関銃が一丁あるとしたら、あちらには千丁ある。マカロフがくれた――あの狂人と手を組むのは不本意だが、"敵の敵は味方"だ――情報が正しいかも分からない。
「装備も増援もない。自殺まがいな危険な賭けだ」
唯一救いがあるとすれば、賭けに出る直前、彼らは唯一信頼出来る仲間と交信できたということだ。もしもローチが生きているなら、彼らが失敗したとしても志を引き継いでくれる。
それに、何より――
「数千年に及ぶ争いの血が染み込んだこの砂が、この岩が、俺たちの戦いを記憶してくれる」
ガシャ、と機械音を鳴らしてマガジンを銃に差し込む。弾丸装填、銃に命の息吹を吹き込む。
「何故なら、この選択は俺たちが無数にある"最悪"の中から、俺たち自身のために選び取ったものだからだ」
男は銃を手元に置き、他に唯一と言える武器を引き抜いた。鋭い刃、ナイフだ。
「俺たちは大地から出る息吹のように、前に進む。胸に活力を抱き、目の前の標的を見据えて――」
男の脳裏に浮かぶ、ターゲット。Task Force141の創設者にして司令官、シェパード将軍。
「俺たちが、必ず、奴を殺す」
Call of lyrical Modern Warfare 2
第19話 Just Like Old Times / 片道飛行
SIDE Task Force141
七日目 1732
アフガニスタン "ホテル・ブラボー"
ジョン・"ソープ"・マクダヴィッシュ大尉
自分たちを運んできたヘリのローター音が、碧空の向こうへと遠ざかっていく。ここから先は、いよいよプライスと自分のたった二人で臨むことになる。狙いは敵の大将、シェパードの首ただ一つ。
≪そ
2014-04-12T23:09:04+09:00
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MW2_18
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Call of lyrical Modern Warfare 2
第18話 Paratrooper / "救出作戦"
SIDE Task Force141
七日目 0831
グルジア・ロシア国境付近
ゲイリー・"ローチ"・サンダーソン軍曹
カチ、カチと通信機のスイッチを音を鳴らしてオンとオフを繰り返す。森に潜む身としてはそんな些細な音でさえ隠してしまいたいところだが、ローチにとってはそれが唯一の希望でもあった。孤立無援、追われる身とあっては例えほんの一筋であっても、希望の光に手を伸ばすことが生きることに繋がっていたからだ。
かすかに、朝を迎えてまだ数時間も経っていない深い森の中で、人の気配を感じた。登っていた木から飛び降り、着地の音に顔をしかめながらも衝撃を受け止め、茂みに身を隠す。こちらの武器はアサルトライフルのACRの他は持っていない。森に逃げ込むまでの逃避行で、いくつかの装備はすでに無くしてしまっていた。感じた気配が敵であるなら、今はひたすら隠れてやり過ごすしかない。ACRにしても残弾は心細い領域に至っていた。
どうか敵ではありませんように――祈るような気持ちで茂みに伏せていて、ローチはふと仮に敵が来たのならどっちの"敵"なのだろうと考えた。もはや敵は、マカロフ率いる超国家主義者たちだけではない。ゴーストを撃ち、ティーダや他のTask Force141隊員を焼いたシェパード将軍とその私兵も敵だった。
自分たちの司令官であった男が何故こちらを追ってくるのかは分からない。しかし敵は、間違いなく焼いた遺体を律儀にも数えていた。その数が合わないと見るや、黒尽くめの兵士たちが連なって生き残りを探しにやって来た。生き残りとはすなわち、ローチ自身だ。
くそ、冗談じゃないぞ。胸のうちで悪態を吐き捨てて、彼は銃のグリップを握り締めた。訳も分からないまま、殺されてたまるか。チェストリグのポーチに詰め込んだ手帳は、戦友の形見だ。こいつを渡すべき人が、俺にはいるんだ。
茂みの中から視線を張り巡らせて、ついに気配の正体が分かった。分かった瞬間、ローチは息を吐いて心の底から安堵した。人の気配だと思っていたのは、実際にはクマだった。とりあえず敵ではない。しかもクマはこちらに気付いた様子もなく、鼻を鳴らしてのっしのっしとその巨体を
2013-12-13T23:08:12+09:00
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MW2_17.5
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Call of lyrical Modern Warfare 2
第17.5話 隠れ蓑より
SIDE Task Force141
六日目 1801
アフガニスタン "砂漠の隠れ蓑"
ジョン・"ソープ"・マクダヴィッシュ大尉
四発のT-56エンジンは、時折咳き込むようにしてプロペラを回しながら、それでも何とか止まることなく稼動していた。
航空機にとってエンジンとは心臓と同義であり、これが止まるということは心肺停止に等しい。つまり、止まれば地面に真っ逆様だ。ここまで来て墜落死など御免被るが、パイロットを務めるニコライに不安そうな様子は無い。エンジンの調子が悪くなると、決まって不機嫌な表情を露にして「ポンコツが。これだから中古は」と愚痴を呟いているくらいだった。
ソープは、ひとまず座席に腰を落ち着けて、C-130輸送機の窓の外に広がるアフガニスタンの砂漠を眺めていた。日が傾き始めた砂漠の大地を見ていると、まるで火星にでもいるかのような気分になる。いっそ本当にここが火星なら、シェパードの追っ手も及ばないはずだった。
シェパードの私兵とマカロフの手下の挟撃から逃れ、すでに一時間以上飛行が続いていた。ソープは自分が敵の立場なら、戦闘機を出撃させてニコライのポンコツ輸送機を撃墜させると考えていたが、今のところは輸送ヘリとすらもすれ違わなかった。シェパードはすでにアメリカ全軍の指揮権を得ているから、空軍に戦闘機を出させるのは何ら難しくないはずなのだが。
「よし、この辺りだ。二人とも、着陸するぞ」
操縦席に座るニコライの声で、思考を断ち切る。しかし、着陸といわれたが相変わらず窓の外は砂漠の世界だ。飛行場どころか道路の一本も見えなかった。
「ニコライ、どこに降りる気だ」
「この下だよ」
言われて、改めて窓の外に眼をやる。よくよく眼を凝らせばポツリ、ポツリとではあるが、人家と思しき建物が建っていた。砂漠の大地もよく見れば、平坦でかろうじて着陸出来なくもない。
ニコライが操縦席で、何かを操作している。すると、地面にある建物から緑の光が数回点滅した。発光信号だというのは即座に見抜けたが、直後に人家がころころと動き始めたのを目撃した時は、さすがに驚かざるを得なかった。
要するに、人家は偽装で、移動可能なよ
2013-10-11T17:00:58+09:00
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MW2_17
https://w.atwiki.jp/trinanoss/pages/240.html
ほんの数年前、彼はまだ新米だった。
もちろん、厳しい選抜試験を突破して着任してきたのだから、本当に何も出来ない新米ということはなかった。イギリス陸軍特殊部隊、通称"SAS"に配属されたことが、彼の能力を物語っていた。
それでも実戦経験が無いという意味では、やはり彼はまだ垢抜けきらない新兵であり、未熟さゆえのミスもあった。それが元で死に掛けたこともあり、上官が助けてくれなければ今の自分はあり得なかっただろう。
やがて月日が経って、彼は新米を卒業し、大尉にまで昇進した。指揮官となり、部下を持つようになった。最初のうちはそれが実感出来なかった。俺が上官の立場になるなんて、あの頃は考えもしなかった、と。しかし、目の前の状況は彼にいつまでも新兵であることを許さず、生きたくば成長せよ、指揮官となれと命じてきた。
部下に命令を下す、というのは想像以上に辛いことだった。自分の命令一つで、彼らは死ぬ可能性だって充分にある。あるいは、最初からそうしろと言わざるを得ないこともあるかもしれない。死んで来い、と。
だからこそ、彼は自分に出来た部下がかわいくてしょうがなかった。彼らは俺に命を預けてくれている。ならばそれに応えるのが役目であり、そして部下たちは命令を忠実にこなしてきた。ここに来てようやく、彼は胸を張って言えるようになった。俺は指揮官である、俺は上官である、と。
その大事な部下たちが、裏切りによって死んだと聞かされた時、彼は何を思っただろうか。どう思っただろうか。
答えは彼だけが知っている。マクダヴィッシュ大尉、かつての"ソープ"だけが。
Call of lyrical Modern Warfare 2
第17話 The Enemy of My Enemy / 二つの線
SIDE Task Force141
六日目 1603
アフガニスタン カンダハル南西160マイル 第四三七廃機場
ジョン・"ソープ"・マクダヴィッシュ大尉
「ティーダ! ゴースト! ゴースト! 聞こえないのか!? Task Force141、誰か応答しろ!」
誰でもいい。せめて誰か一人、応答してくれ。生き残っていてくれ。誰か。通信機に向かって怒鳴る自分の声に悲壮さが帯びてきていることなど、ソープが気付くはずもない。
退
2013-10-11T16:58:35+09:00
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MW2_16 後編
https://w.atwiki.jp/trinanoss/pages/239.html
SIDE Task Force141
六日目 1546
グルジア・ロシア国境付近
ゲイリー・"ローチ"・サンダーソン軍曹
制圧されたロッジを隅々まで探索したが、ついにマカロフが潜んでいることはなかった。敵の死体をひっくり返してみるが、やはりマカロフの死体はない。元より二分の一の確率でしかなかったが、マカロフはこのロッジにはそもそもいなかったということである。
そう結論付けたところで、ならばもう片方にはいるかもしれない、とTask Force141の誰もが思った。情報によればマカロフが潜伏しているのはこのロッジか、それともアフガニスタンであるとされていた。そのアフガニスタンには、プライス大尉とマクダヴィッシュ大尉からなる残り半分のTask Force141が向かっている。
あまりいい気分はしないがな、と悔しそうに呟くゴーストの声を、ローチは聞き逃さなかった。彼は、プライスのことを快く思っていない。はっきりと言えば、信じていなかった。ゴーストにしてみれば、プライスはロシアの潜水艦に突入し、独断で核ミサイルを発射させた男でしかない。その意図が東海岸上空に居座る管理局の次元航行艦隊の殲滅と降下部隊の装備壊滅だったと理解してからも、やはり彼はプライスのことが気に入らないようだった。
それでも確認はどうしても必要であり、ゴーストもその辺りは理解してか通信機のスイッチを入れる。
「こちらゴースト、こっちは外れだ。プライス大尉、そちらはどうです?」
≪外れだ。傭兵が五〇人ほどいるが……マカロフは見当たらん≫
誰のものともなく、ため息が聞こえた。こちらは数名の戦死者も出しているのに、肝心の目標がどちらにもいなかった。情報が間違っていたとしか言いようが無い事態だ。
しかし、まったく収穫がない、ということでもないのもまた事実だった。ゴーストがちらりと目配せすると、彼の隣にいたスケアクロウという兵士がチェストリグのポーチからデジタルカメラを取り出す。レンズが向けられた先には、ロッジのリビングにあったテーブルだった。その上には地図、名簿、取引記録、ありとあらゆる情報が無造作に放置されている。
「情報ならここに。このロッジはお宝だらけだ、今スケアクロウが写真を撮っている…」
≪ゴースト、シェパードだ≫
通信に割り込みが入った。
2013-06-02T21:52:27+09:00
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MW2_16 前編
https://w.atwiki.jp/trinanoss/pages/238.html
シェパード将軍曰く、この戦争は今日で終わりにするらしい。奴の手には全軍を指揮する権利が与えられて、もううちの部隊が支援に困ることはないそうだ。
しかし、どうにも胡散臭い気がする。奴はブリーフィングで「我々は民間人を巻き込むような真似はしない」と言っていたが、俺は知っている。いや、Task Force141に所属する者は全員知っているはずだ。この戦争の発端となった、ミッドチルダ臨海空港の虐殺テロ。現場に残されていた、テロ実行犯の一人と思われるアメリカ人の死体。あいつは、うちの部隊から送り込まれたスパイだった。ジョセフ・アレン上等兵。
アレンと話をしたのはほんの少しだが、いい奴だってのはなんとなく分かっていた。たぶん、本当は軍人なんて向いてない優しい奴だったんだろう。どっちかと言えば教師の方が似合いそうだ。だから、スパイとなって奴らの虐殺行為に加担することになった時、あいつが何を思ったのか、どう感じたか、なんとなく想像はつく。しかしそうしなければ、スパイの任務は果たせない。
だから俺は、シェパード将軍が胡散臭いと思う訳だ。「我々は民間人を巻き込むような真似はしない」だって? アレンが虐殺に加担することになることを知っていたんじゃないか、奴は。何しろテロの実行犯――超国家主義者とか言うテロリストたちのリーダー、マカロフの元にアレンを送り込んだのは、シェパード将軍自身だ。
今日の作戦は、マカロフの居場所と思われる二つあるテロリストたちのアジトのうち、隊を半分に分けて両方一気に畳んでしまおうというものだ。俺はローチやゴーストと一緒に、アジトと思われるグルジアとロシアの国境間にある山中のロッジに攻め込むことになった。あの髭の爺さん、プライス大尉とかいう奴はマクダヴィッシュ大尉ともう片方のアジト、アフガニスタンに行く。あの爺さんは凄まじく強いらしいが、ゴーストが彼と組むのを嫌がったんだ。核ミサイルを発射させたから、って。
何はともあれ、とにかくTask Force141はこの戦争の真の元凶であるテロリスト、マカロフをとっちめに行く。確率は二分の一だから、俺の方かマクダヴィッシュ大尉の方か、どちらかにはいるはずだ。殺すか生け捕りにして、シェパード将軍はこの戦争の真実を明らかにするんだろう。
作戦自体に異議はない。前にもこの手帳に書いたが、マカロフがやったの
2013-06-02T21:47:34+09:00
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MW2_15
https://w.atwiki.jp/trinanoss/pages/237.html
Call of lyrical Modern Warfare 2
第15話 "Whiskey Hotel" / 取り戻せ星条旗
SIDE 時空管理局 機動六課準備室
五日目 時刻 2005
地球 衛星軌道上 次元航行艦『アースラ』
ポール・ジャクソン 元米海兵隊曹長
地球の、衛星軌道上での核爆発。この情報がミスターRとミスRからもたらされた時、『アースラ』は幸か不幸か、地球に向かっていた。
超国家主義者たちの新たなリーダー、ウラジミール・マカロフのミッドチルダ臨海空港での無差別虐殺と計略により、つい先日まで同盟の関係にあったはずの地球のアメリカ合衆国と時空管理局は戦争状態に陥った。管理局側は米本土東海岸への奇襲空挺攻撃で米軍を翻弄し、首都ワシントンや大都市ニューヨークを蹂躙し続けている。このままでは戦火は拡大する一方であり、アメリカと管理局の共倒れを意図するマカロフの思う壺となってしまう。多くの人々は、その事実に気付かされないままに。
そこで、時空管理局の八神はやて三佐は、自身が指揮官として部隊の稼動準備を行っていた独立部隊『機動六課』、正確にはその準備のためである機動六課準備室を用い、事態の収拾とマカロフを捜索を開始した。
臨海空港でのテロが本当にアメリカの手によるものなのかどうかは、実のところ調査が完了していなかった。ただ、現場にテロの実行犯の一人と思われるアメリカ人の遺体が残されており、このためにテロはアメリカの仕業であるという推測が広まった。このためまずは調査を完了させ、その報告結果を待つべきという報復慎重派が管理局には多数いた。不運であったのは、彼らとは主張が相反するもの、すなわちただちにアメリカへの報復を強行すべきという報復強行派もまた、管理局には多数存在したことだ。強行派は慎重派を強引な手段で次々と逮捕してしまい、現在の管理局、それも地球への兵力輸送と攻撃を行えるだけの能力を持つ本局は主導権を強行派が握っている。
これに対し機動六課準備室は、報復慎重派の中でも特に大きな権限を持っていたクロノ・ハラオウン提督の救出作戦を決行。管理局の中でも優秀で人望もある彼を奪還し、クロノ自身が強行派に報復作戦の中止と撤退を呼びかければ、彼らは大きく動揺するだろう。強行派に鞍替えせざるを得なかった者も、戻ってくるか
2013-06-02T21:43:37+09:00
1370177017