聖書内に登場するものの、現在にまで伝わっていない書物の一覧。 全てで12冊である。 *旧約聖書 **主の戦いの書 [[民数記]]21:14に現れる。 民数記21:14-15 >スファのワヘブとアルノン川の支流。 >それらの支流はアルの定住地に流れ下り、モアブの国境に及ぶ。 イスラエルの文学史上重要な役割を果したものと思われるが、民数記の記事からその内容を判断することは難しい。おそらく、カナン先住民との戦いにおいてイスラエルのためになされた神の力強い救いのみわざを記録した文書であったと思われる。年代はわからないが、イスラエルの最古の文書の一つであったことは確かである。 **ヤシャルの書 [[ヨシュア記]]10:13、[[サムエル記]]下1:18に現れる。 ヨシュア10:13 >日はとどまり >月は動きをやめた >民が敵を打ち破るまで サムエル下1:19-27「弓」 >イスラエルよ、「麗しき者」は >お前の高い丘の上で刺し殺された。 >ああ、勇士らは倒れた。 >ガトに告げるな >アシュケロンの街々にこれを知らせるな >ペリシテの娘らが喜び祝い >割礼なき者の娘らが喜び勇むことのないように。 >ギルボアの山々よ、いけにえを求めた野よ >お前たちの上には露も結ぶな、雨も降るな。 >勇士らの盾がそこに見捨てられ >サウルの盾が油も塗られずに見捨てられている。 >刺し殺した者たちの血 >勇士らの脂をなめずには >ヨナタンの弓は決して退かず >サウルの剣がむなしく納められることもなかった。 >サウルとヨナタン、愛され喜ばれた二人 >鷲よりも速く、獅子よりも雄々しかった。 >命ある時も死に臨んでも >二人が離れることはなかった。 >泣け、イスラエルの娘らよ、サウルのために。 >紅の衣をお前たちに着せ >お前たちの衣の上に >金の飾りをおいたサウルのために。 >ああ、勇士らは戦いのさなかに倒れた。 >ヨナタンはイスラエルの高い丘で刺し殺された。 >あなたを思ってわたしは悲しむ >兄弟ヨナタンよ、まことの喜び >女の愛にまさる驚くべきあなたの愛を。 >ああ、勇士らは倒れた。 >戦いの器は失われた。 ヤシャルの書に言及している聖書の箇所は、アモリ人と戦う間、太陽と月が静止するようヨシュアが懇願したことについて述べているヨシュア10:12-13と、「弓」と呼ばれる詩、つまりサウルとヨナタンのことを悼む哀歌を記載しているサムエル下1:18-27である。それゆえ、「ヤシャルの書」とは詩や歌や他の著作を収集したものであると考えられる。 ある学者たちは「主の戦いの書」と「ヤシャルの書」を同一視するが、一方で、韻律、文体、内容全般から見て両者にはかなりな相違が見られるため、同一視するのは無理であろうと言う学者もいる。 **ソロモンの事績の書 [[列王記]]上11:41に現れる。 **先見者サムエルの言葉 歴代誌上29:29に現れる。 **先見者ガドの言葉 歴代誌上29:29に現れる。 **預言者ナタンの言葉 [[歴代誌]]下9:29に現れる。 **シロの人アヒヤの預言 歴代誌下9:29に現れる。 **ネバトの子ヤロブアムに関する先見者イエドの見た幻 歴代誌下9:29に現れる。 **預言者シェマヤと先見者イドの言葉 歴代誌下12:15に現れる。 **預言者イドの解説 歴代誌下13:22に現れる。 **ハナニの子イエフの言葉 歴代誌下20:34に現れる。 **ホザイの言葉 歴代誌下33:19に現れる。 *新約聖書 **エノクの言葉 ユダ1:14に現れる。 おそらく失われたのではなく、外典の[[エノク書]]より引用されたものと考えられている。 **コリントの信徒への手紙三 1コリ5:9に現れる。1コリ以前に贈られた手紙であり、1コリ、2コリとは異なるものと考えられる。 **エペソの信徒への手紙二 エペソ3:3に現れる。現行の『エペソの信徒への手紙』とは異なるものと考えられる。 **[[ラオディキアの信徒への手紙]] コロ4:16に現れる。 現存するものは後世につくられた儀典である。