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比呂美END予想SS - (2008/03/24 (月) 18:32:11) の1つ前との変更点

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+比呂美END予想SS
 
+祭りの夜、雪の降る学校。俺はここで石動乃絵を探している。
+彼女に今までの事を感謝するため、そして…
+奥から物音が聞こえ、俺はその方向へ走り出した。
+乃絵が木に登っていた。でも彼女は、俺が駆け寄る前に木の上から飛び降りた。
+駆け寄る俺に気が付いて、彼女が振り向く。降り積もった雪がクッションになったようだ。
+彼女は怪我をしていないようだ。
+彼女が飛び降りた時、自殺でもするつもりだったのかと思ったが、
+どうやらそれは俺の思い過ごしだったようだ。
+「眞一郎、私、飛べなかった」
+「お前、飛ぼうとしたのか?」
+いまだにコイツの考えることはよく分からないことがある。
+だが、今はそんなことで悩んでも仕方が無い。俺は本題に入った。
+「絵本、完成したんだ。見て欲しくて。」
+俺は乃絵のために書き上げた、「地べたと雷轟丸の物語」を取り出す。
+前に書き上げたときとはエンディングを変えてある。
+失速した地べたを、地面から飛び上がった雷轟丸が支えて着地する…
+ありえないようなハッピーエンドだ。
+「眞一郎、あなた、飛べたわね。」
+絵本を読み終えた後、乃絵が口を開いた。
+「ああ、乃絵のおかげだ。踊りのことも、絵本のことだってそうだ。
+ 俺が飛べたのは乃絵が傍にいて励ましてくれたからだ。ありがとう。」
+「お礼なんていいよ、眞一郎なら、きっと、自分だけでも飛べたから。」
+「それと俺、もう一つ乃絵に伝えなきゃならないことがあるんだ。」
+「何?」
+乃絵は笑顔で俺を見つめている。一点の曇りもないような、澄んだ瞳…
+俺は少しためらいつつも、勇気を振り絞って、話し始めた。
+乃絵には残酷な、俺の真実。
+「俺、湯浅比呂美が好きだ。比呂美とは幼馴染で、昔からよく遊んでた。
+ あいつの両親が亡くなってさ、うちで引き取ってたんだ。
+ でも、あいつと俺、兄妹かもしれないて言われてて、それで…」
+「それでお兄ちゃんから私と付き合ってって言われたとき、
+ お兄ちゃんと湯浅比呂美が付き合うように取引をしたのね。」
+「乃絵、おまえ…」
+「お兄ちゃんから、全部聞いた。湯浅比呂美からも、全部。だから、分かるの。」
+「ごめん、乃絵、俺は…」
+乃絵は俺の言葉を遮って続けた。
+「私、何も知らなかった。お兄ちゃんのことも、湯浅比呂美のことも、そして、眞一郎のことも。」
+「乃絵…」
+「それなのに、『真心の想像力』だとか言って、全部分かったつもりになってた。
+ そんな私が、何も見えていない私が涙なんて取り戻せるはずなかったんだわ。
+ でも、ありがとう、眞一郎。今の私なら涙を取り戻せる。
+ 真実が見えるようになった、今の私なら、きっと。」
+乃絵が俺に近づいてくる。
+「眞一郎、あなたの涙、私がもらってあげる。」
+乃絵に言われて、初めて自分が泣いていることに気が付いた。
+彼女の指が、俺の頬に触れる。
+そして…俺の目の前の少女は、涙を流した。
+失った涙を、彼女は取り戻した。俺の涙を拭うことで、彼女は。
+「乃絵、おまえも飛べるさ」
+俺は泣きながら呟いた。
+
+乃絵を家まで送った後、俺はそのまま家に戻った。
+家までの帰り道、比呂美に今日のことを何て言おうか、そればかり考えていた。
+乃絵とのこと、ちゃんとしよう。
+そればかり考えて、比呂美にあんな嘘をついてしまって。
+俺って、本当に結局ちゃんとできているんだろうか。
+そんなことが、頭に浮かんでは消えていった。
+
+次の日の昼休み、俺は三代吉と教室にいた。
+昨日の祭り会場以来、比呂美とは話をしていない。
+比呂美は昼休みが始まるとすぐに教室を出て行って、今は教室にはいない。
+比呂美から、何か避けられている感じがして、
+俺は完全に話しかけるタイミングを失ってしまっていた。
+昨日の嘘を謝らないといけないのに、自分から話しかける言葉も見つからずに、
+ただただ時間だけが過ぎていった。何やってるんだ、俺は。
+これじゃあ何一つ変われてないみたいじゃないか。
+自分が嫌になる。
+
+放課後、急に比呂美のほうから一緒に帰ろうと声をかけてきた。
+口を開くタイミングをつかめないまま、海岸沿いをただ歩き続ける。
+「今日の昼休みね、」
+「え?」
+急に口を開いたのは比呂美のほうだった。
+「石動乃絵が来たの。」
+比呂美の話によると、昼休みに乃絵が体育館に来たのだそうだ。
+比呂美に会うために。そして、昨日のことを全部話していったらしい。
+俺はあまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になった。
+「それでね、彼女、最後になんて言ったと思う?」
+「さあ…」
+「眞一郎君のこと、信じてあげてほしいって。避けないで、きちんと向き合ってあげてって。」
+比呂美は俺のほうに振り返って話し続けた。
+「だからもう、私、眞一郎君のこと疑ったりしないわ。こんな自分、嫌なの。」
+「比呂美、俺…」
+「なあに?」
+もうこうなったら覚悟を決めるしかない。俺は目を閉じ、自分の気持ちを比呂美にぶつけた。
+「比呂美、俺、お前のことが好きだ。」
+そのまま間をおかず俺は続ける。
+「うちに引き取られて来てから、お前はずっと泣いていた。でも、お前が泣いたら、
+ これからは俺がお前の涙を拭ってやる。明るい場所へ連れて行ってやる。
+ だから、もう泣かないで欲しい。比呂美には笑顔でいて欲しんだ、だから…」
+目を開けると、そこには涙を流す一人の少女がいた。
+「泣かないでって言ったのに…」
+「でも、私…嬉しくて。私も眞一郎君のこと…」
+後は言葉にならなかった。
+俺は比呂美の涙を指で拭う。
+
+僕の中の君は、いつも泣いていて、
+僕は、君の涙を拭いたいと思う。
+拭った頬の感覚を、僕はこのとき始めて知った。
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