またね

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またね」(2008/04/18 (金) 00:26:08) の最新版変更点

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負けるな比呂美たんっ! 応援SS第44弾 『またね』 夕方の校庭 桜の木の下 頬をなでる風が心地いい ひらひら くるくる ふーわふわ 花びらが舞い落ちるのを 飽きずに眺めてる 見えない操り糸に操られるみたい 雪と似てはいるけれど 少しリズムが違う 小さい頃には飽きずに眺めたりしたものだ だけど あのときから 少し桜が嫌いになった 中学にあがったばかりの あのとき あなたは桜の木の下で 何を思っていたのだろう? 「眞一郎くん」 「…」 「眞一郎くんってば」 「ん、ああ、比呂美か?」 「どうだった、新しいクラス?」 「んー、まだよく分かんないや」 「そうだね… あのっ ざ 残念だったね」 「なにが?」 「そのっ 一緒のクラスなれなくて…」 「まあ… 仕方ないだろ」 「…そう …だね」 「あ、あのね」 「ん?」 「私、バスケ部入ろうかと思うんだ」 「バスケ部?」 「うん、前、眞一郎くん 体育の授業でバスケ好きって言ってたよね」 「そうだったかな?」 「…うん、そうだよ…」 「ふーん」 「あ、あのね、一緒に帰ろ?」 「…」 「ねえっ」 「なあ?」 「な、なあに?」 「桜の花びらが落ちるのって 綺麗だな」 「え? うん…」 「…」 「ごめんね、邪魔だったかな…」 「…いや」 「…じゃ またね」 「ああ、また」 「はあ…」 中学に入学したばかりのあのとき 確かこの桜の木だったはず… いま身につけている制服は あの時とは違うけど いま思い出した あの出来事からだったはず なんだか話しかけにくく思って あなたが遠くに行ってしまいそうで… お話しする機会が減っていったのは… 「またね か…」 この桜の木 ちょっぴり 憎い あなたの心をさらっていった どんな魔法を使ったの? わたしにも教えて? なんて… 見上げる桜は 何も答えてくれない だけど 透かして見えるお日さまの日差しは柔らかい 悔しいけれど あなたの言うとおり 舞い落ちてくる 桜の花びらは綺麗… ひらひら くるくる ふーわふわ 罪の無い美しさ もし わたしが桜なら あなたはあんなにも無心で見つめてくれるだろうか… 「比呂美?」 待ちくたびれた声に振り返る えーと何だっけ? 「ああ、なんだ、眞一郎くん?」 用意していたワザと気の無いお返事 「ひょっとして、待っててくれたのか?」 少し驚いたような声 「別にっ 桜が綺麗なんで見てただけ」 あなたには気の無さそうなフリをして桜を見上げた 「なんだ、ちがうのか」 少しだけ残念そう そんなあなたをほんのちょっぴり うれしいと思うのはいけないこと? でも、まだ許してあげないんだから 「桜をちょっと見てただけ」 わたしは桜を見上げたまま 桜に気をとられたような素振りを続ける もう少し いじめてあげるんだから 「桜、綺麗だもんな…」 あなたもそう言って桜を見上げる なーんだ 今でも わたしより 桜なの? 「…うん」 なんとかお返事できた すこし残念 いつになったらわたしの方が いいって言ってくれるかな 「あれ?」 あなたの声 なんだろう? 「ずっと見てたのか?」 なんで分かるの? 「ううん、ちょっと見てただけだよ」 今日の部活は早仕舞い 思いがけない幸運に(ごめんねみんな) 約束していた訳じゃないけど もしかしたらと期待を込めて 図書室のあなたを探しにいった あなたはすぐに見つかった だけど あなたはとても真剣そうにしてた そんなあなたがなんだか遠くに行ってしまいそうで なんだか不安になって とても邪魔できなくて そんなあなたを見たくなくて 校庭の桜の下で ずっとあなたを待ってた なんて わけじゃないんだから 絶対に… 「じっとして」 思わぬ言葉 「え?」 目に映ったのは 伸びてくるあなたの腕… ここ校庭だよ? いくら放課後でも… いきなりの展開 胸がドキドキし始めてる そんなわたしの事はお構い無しに あなたの腕は 私の肩を通り過ぎ… 髪に微かな感触… 何? 「花びら いっぱい ついてる」 あなたは優しげな表情 「え?」 いつのまにか 目の前にはあなたの掌… 指先には ひとひらの桜の花びら まるで手品のよう あ、桜を見上げてたから 花びらまみれなんだ… やだ、それじゃ ずっと待ってたこと 知られちゃう 「いっぱい ついてる?」 もう隠せない 頬の辺りの熱さが止まらない せめて顔を俯けて わたしの顔に咲いてるはずの 桜色を隠すのがやっと… 「たくさん ついてるな」 強気な振りを見破られたかどうか 気になってあなたの表情を上目使いで覗った あなたの視線は私の髪の辺りをいったりきたり 「まるで ずっと誰かを 待ってたみたいだ」 そう言いながら苦笑い そうこうする間にも 次から次へと花びらは舞い落ちる 「もう… むかしの事 思い出しちゃった」 降参した 「むかし?」 「うん、中学にあがったばかりの頃…」 「あ…」 「覚えてる? あのとき 眞一郎くん 桜ばかり見て  全然私のこと見てくれなかった…」 「ああ、覚えてる」 「え? 覚えてるの?」 わたしの事なんてどうでも良さそうだったのに? 「だって、比呂美の制服姿がなんだか大人っぽくて…  まともに見れなかった…  比呂美が知らないひとみたいで…  遠くに行ってしまいそうで…」 「え? わたしが?」 なんてこと 「ああ」 「嘘」 まさか? 「本当だって」 すこしテレながら… ホントみたい 「じゃあ… もう…バカみたい…」 「なにがだ?」 あなたはきょとんとしてるばかり これは罪? お互いに何年間も同じ事 考えてたなんて… 相性が良いんだか 悪いんだか… ううん、良いに決まってるんだから! 「いいの、花びら お願いね」 教えてあげない 「え、ああ」 わたしの髪に付いている花びらたち… あなたに全部取ってもらうまで それまでは 許してあげないんだから そのあとで 言ってあげる わたしの髪に触れていいのはあなただけ って… そしたら あなたはどんな顔をするかしら? いつもみたいにテレてくれたら うれしいな でも わたしが桜に妬いてたなんて それだけは 絶対ないしょ 今日の桜は あなたとわたしの距離を 少しだけ近づけてくれた すこし桜が好きになった あれ? 好きになったり… 嫌いになったり… いそがしいこと でもあなたのことはずっと好き… なーんてっ 了 ●あとがき また桜です 桜好きなもんで… 理由もなく女の子の髪に触ったりするのは いけません そんな奴はカスか変態です! 本編では不明なまま終わった封印前のふたりの距離 作者はふたりともお互いに意識して自然に距離が出来た… と無難に考えてます こんな距離が出来るきっかけはほんの些細な事だったはず… との仮定のおハナシです お付き合いが始まった後で明らかになるいろんなこと… うれしいような怖いような… 校庭とかが麦端の中高一貫の設定と矛盾があるかどうかは作者は知りません 齟齬がある場合はご容赦下さい
負けるな比呂美たんっ! 応援SS第44弾 『またね』 夕闇が迫るにはまだ間がある時間 校庭の桜の木の下で 頬をなでる風が心地いい 風にあわせてわたしの髪も踊ってる そんな髪のことは気にせずに 桜の花びらが舞い落ちるのを ただ眺めてる ひらひら くるくる ふーわふわ 見えない操り糸に操られるみたい 雪と似てはいるけれど リズムが違う わたしは雪のリズムのほうが好き 桜の花びら… 小さい頃には飽きずに眺めたりしたものだ だけど あのときから この桜の花びらが少し嫌いになった 中学にあがったばかりの あのとき あなたは桜の木の下で 何を思っていたの? 「眞一郎くん」 「…」 「眞一郎くんってば」 「ん、ああ、比呂美か?」 「また一緒のクラスになれたねっ!」 「ん? そうだな」 「運命かな」 「運命?」 「うん、その… 赤い… 」 「赤?」 「…なんでも …ない」 「…?、ああ」 「あ、あのね」 「ん?」 「私、バスケ部入ろうかと思うんだ」 「バスケ部?」 「うん、前、眞一郎くん 体育の授業でバスケ好きって言ってたよね」 「そうだったかな?」 「…うん、そうだよ…」 「ふーん」 「あ、あのね、一緒に帰ろっ?」 「…」 「ねえっ」 「なあ?」 「な、なあに?」 「桜の花びらが落ちるのって 綺麗だな」 「え? うん…」 「…」 「ごめんね、邪魔だったかな…」 「…いや」 「…じゃ またね」 「ああ、また」 「はあ…」 中学にあがったばかりの あのとき… 確かこの桜の木だったはず いま身につけている制服は あの頃とは違うけど いま思い出した あの出来事からだったはず なんだか話しかけにくく思って あなたが遠くに行ってしまいそうで… お話しする機会が減っていったのは… 「またね か…」 この桜の木 ちょっぴり 憎い あなたの心をさらっていった どんな魔法を使ったの? わたしにも教えて? なんて… 見上げる桜は 何も答えてくれない だけど 透かして見えるお日さまの日差しは柔らかい 悔しいけれど あなたの言うとおり 舞い落ちてくる 桜の花びらは綺麗… ひらひら くるくる ふーわふわ 罪の無い美しさ もし わたしが桜なら あなたはあんなにも無心で見つめてくれる? 「比呂美?」 待ちくたびれた声に振り返る えーと何だっけ? 「ああ、なんだ、眞一郎くん?」 用意していたワザと気の無いお返事 「ひょっとして、待っててくれたのか?」 少し驚いたような声 「別にっ 桜が綺麗なんで見てただけ」 あなたには気の無さそうな素振りで桜を見上げた 「なんだ、ちがうのか」 少しだけ残念そう そんなあなたをほんのちょっぴり うれしいと思うのはいけないこと? でも、まだ許してあげないんだから 「ちょっと桜を見てただけ」 わたしは桜を見上げたまま 桜に気をとられたような素振りを続ける もう少し いじめてあげるんだから 「桜、綺麗だもんな…」 あなたもそう言って桜を見上げる なーんだ 今でも わたしより 桜なの? 「…うん」 なんとかお返事できた すこし残念 いつになったらわたしの方が いいって言ってくれるかな 「あれ?」 あなたの声 なんだろう? 「ずっと見てたのか?」 なんで分かるの? 「ううん、ちょっと見てただけだよ」 今日の部活は早仕舞い 思いがけない幸運に(ごめんねみんな) 約束していた訳じゃないけど もしかしたらと期待を込めて 図書室にあなたを探しにいった あなたはすぐにみつかった だけど そこにみつけたあなたは とても真剣そうだった… あなたの大切な夢… あなたが遠くに行ってしまいそうで なんだか不安になって だけど邪魔もできなくて そんなあなたを見ていたくなくて だけどひとりで帰りたくなくて だから好きじゃない校庭の桜の下で ずっとあなたを待ってた なんて わけじゃないんだから 絶対に… 「じっとして」 思わぬ言葉 「え?」 目に映ったのは 伸びてくるあなたの腕… ここ校庭だよ? いくら放課後でも… いきなりの展開 胸がドキドキし始めてる そんなわたしの事はお構い無しに あなたの腕は 私の肩を通り過ぎ… 髪に微かな感触… 何? 「花びら たくさん ついてる」 あなたは優しげな表情 「え?」 いつのまにか 目の前にはあなたの掌… 指先には ひとひらの桜の花びら まるで手品のよう あ、桜を見上げてたから 花びらまみれなんだ… やだ、それじゃ ずっと待ってたこと 知られちゃう 「いっぱい ついてる?」 もう隠せない 頬の辺りの熱さが止まらない せめて顔を俯けて わたしの顔に咲いてるはずの 桜色を隠すのがやっと… 「たくさん ついてるな」 強気な素振りを見破られたかどうか気になって あなたの表情をこっそり上目使いで覗った あなたの視線は私の髪の辺りをいったりきたり 「まるで ずっと誰かを 待ってたみたいだ」 そう言いながら苦笑い そうこうする間にも 次から次へと花びらは舞い落ちる 「もう… むかしの事 思い出しちゃった」 降参した 「むかし?」 「うん、中学にあがったばかりの頃…」 「あ…」 「覚えてる? あのとき 眞一郎くん 桜ばかり見て  わたしのこと 全然見てくれなかった…」 「ああ、覚えてる」 「え? 覚えてるの?」 わたしの事なんてどうでも良さそうだったのに? 「だって、比呂美の制服姿がなんだか大人っぽくて…  まともに見れなかった…  比呂美が知らないひとみたいで…  遠くに行ってしまいそうで…」 「え? わたしが?」 なんてこと 「ああ」 「嘘」 まさか? 「本当だって」 すこしテレながら… ホントみたい 「じゃあ… もう… バカみたい…」 「なにがだ?」 あなたはきょとんとしてるばかり これは罪? お互いに何年間も同じ事 考えてたなんて… 相性が良いんだか 悪いんだか… ううん、良いに決まってるんだから! 「いいの、花びら お願いね」 教えてあげない 「え、ああ」 わたしの髪に付いている花びらたち… あなたに全部取ってもらうまで それまでは 許してあげないんだから そのあとで 言ってあげる わたしの髪に触れていいのはあなただけ って… そしたら あなたはどんな顔をするかしら? いつもみたいにテレてくれたら うれしいな でも わたしが桜に妬いてたなんて それだけは 絶対ないしょ 今日の桜の花びらは あなたとわたしの距離を すこしだけ近づけてくれた その近づいた分だけ 桜の花びらのリズムが好きになった あれ? 好きになったり… 嫌いになったり… いそがしいこと でもあなたのことはずっと好き… なーんてねっ 了 ●あとがき また桜です 桜好きなもんで… 理由もなく女の子の髪に触ったりするのは いけません そんな奴はカスか変態です! 本編では不明なまま終わった封印前のふたりの距離 作者はふたりともお互いに意識して自然に距離が出来た… と無難に考えてます そんな距離が出来るきっかけはほんの些細な事だったはず… との仮定のおハナシです お付き合いが始まった後で明らかになるいろんなこと… うれしいような怖いような… 校庭とかが麦端の中高一貫の設定と矛盾があるかどうかは作者は知りません 齟齬がある場合はご容赦下さい ●改訂版あとがき 『(ずっと)同じクラス』設定で改訂しました。 ◆公式いいわけ 作者は『同じクラスで…』という表現を、本作投下時点では 単に比呂美を昔から知っていたことに対しての説明であり 必ずしも「『ずっと』同じクラス」かどうかはよく分からない との認識でした。 ◆非公式いいわけ 1、そのシーン直後に破壊力絶大な『ただいま』がある。 2、唯一の中学の制服シーンでコマ送りや一時停止が多かったのではないか? 3、基本的に本シリーズは比呂美の幸せそうなシーンを描き出す事が目的でスタートしたもので、  作者は本編の設定とかは実はあまり気にしていなかったりします。  あと、おハナシにより性格や言葉遣いも本編とは変えてます。  以上3点から眞一郎モノローグが殆んど記憶に残らなかったものと思われます ◆おハナシで別のクラスにした意図 本編の改鋳が目的ではありませんでしたので、念のため! 単純にクラスが別になって距離が出来てしまったので それを取り戻そうとバスケに望みを繋いだ… という出来すぎのシナリオをもくろんだものです。 で、このころすでに桜の美しさに心を奪われるほど メルヘンの世界の入り口に立っていた 肝心の眞一郎くんは入部してくれない…と、 だけど比呂美は途中で投げ出したりせずに いつか入部してくれるかもしれない眞一郎くんをずうっと待っていた というカンジにしたかったものです。 でも、ずうっと同じクラスというのは大変ですね。 もし作者なら好きな娘の前で笛のテストは受けたくありません、ええ! 比呂美が成績優秀だったりするのは やっぱり恥ずかしくない存在で居たい との思いもあってのことだと仮定すると 感慨深いものがあります。 そうそう、このおハナシは眞一郎に比呂美の髪を触らせる為に つくったものです。

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