「松山×岬」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
松山×岬 - (2009/05/02 (土) 11:28:37) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
12 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/11 16:15 ID:L27OuAd7
前スレの708です。マツミサ見たいと云って下さる方がいらっしゃるので(>_<)
載せます(まだ途中ですが)。ちっとも801じゃなくてすいません。
●マツミサほのぼのストールイー
岬、覚えてるか?
―――何を?
お前がふらのに居た頃、2人で、練習サボってさ……
―――覚えてるよ。2人だけの、想い出だもん……
ふらの小学校・とある教室にて
「ええ!岬引っ越しちゃうのかよ!」
「え?嘘だろ!」
「しかも明後日って本当かよ!」
「何でもっと早く言わないんだよー!」
「そうだよ!」
本当は自分でも驚いていた。いつも別れるのが辛いから、黙って引っ越していくボクなのに。
でも今回は、そんな事出来なかった。何故ならそれは……。
松山「皆、やめろよ!!」
「…キャプテン」
松山の一言に、教室は静まり返った。
松山「…一番辛いのは……岬なんだから…」
「…………」
松山「だから、頼むから…明るく見送ってやろうよ、皆…」
―――そう。何故ならそれは、君が居たから。松山、君が居たから……。
13 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/11 16:16 ID:L27OuAd7
>12の続き
ボクは初めてこの学校に来た時の事を思い出した。
先生「……から引っ越してきた岬太郎くんだ。皆仲良くしろよ」
何度繰り返しても、やっぱりこの瞬間だけは慣れない。
友達のだいだいがグループになっている事が多かったけれど、このクラスは違った。
皆仲が良くて、優しくて、すぐにボクを受け入れてくれた。
その日の放課後…
「岬ってサッカーやってたのか?」
「すごい上手いなー」
「キャプテン並みじゃないか?岬のボールさばき」
キャプテン?キャプテンって……
松山「岬!お前サッカー上手いんだな!」
岬「…松山くん……」
松山「おい、呼び捨てでいいぞ」
岬「…え?」
松山「だって‘松山くん’なんて呼ばれると、何か遠い感じするだろ?」
そう云って笑った。
――――それが、初めて君の笑顔を見た瞬間だった……。
「…ごめん、岬」
「そうだよな、岬が一番辛いんだもんな」
「引越したら、手紙くれよ」
「残りの二日間いい想い出、作ろうな!」
教室に居る間、松山だけは、ボクに一度も話し掛けては来なかった。
窓際にある自分の席に座って、ずっと遠くの景色を眺めていた君。
48 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:27 ID:YmqCel0B
>13のつづき
時計の針が午後四時をさした頃…。
「晴れたなー」
「こんなの久しぶりだよな」
「いつも雪雪雪…だもんな」
「久しぶりに雪かきしないでもサッカーできるな!」
雪が降っていないのなんて、ボクがふらのに来てから数えるほどしかなかった。
うっすらと青く広がる空。雪で、いつもは見えない遠くの方までよく見える。
その日、初めて松山がボクに話し掛けてきた。
松山「…岬!ちょっといいか?」
グラウンドの端で松山がボクを呼んだ。
松山「…今日、練習サボらないか?」
とても意外な言葉だった。松山からそんな言葉を聞くなんて…。
松山「ちょっとついてきてほしい所があるんだ」
………?
49 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:28 ID:YmqCel0B
>48のつづき
ボクは松山の後ろ姿を見ながら、学校の裏にある小高い丘へと歩いていった。
どれくらい登っただろうか?松山がボクの方へ振り向いた。
松山「岬、こっちだ。見ろよ」
誘導されるまま、ボクは松山の視線の先を追った。
そこには、今まで一度も見た事がないくらい、美しい景色が広がっていた。
ふらのの街をすべて見下ろせて、地平線には丁度、紅い紅い夕焼けが燃えていた。
その美しさにボクは言葉を失ってしまった。
松山「……すごいだろ?岬。いつも雪が降ってて見れんけど、今日は珍しく晴れたからな。」
目の前に広がる景色に見とれているボクに、松山は云った。
松山「…今日、ずっと考えてた。お前が引っ越しちまう前に、何か想い出作れたらなって。
この景色、お前に見せたかったんだ…」
岬「……すごい…」
それしか口にする事が出来なかったボクに、松山はただ、優しく笑ってくれた。
50 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:29 ID:YmqCel0B
>49のつづき
松山「…そろそろ帰ろうか、日も暮れちまう。それにまた雪降りそうだし。…て、もう降ってきたな」
松山は空を見上げた。
ボクも連られて空を見上げた。
そして、ヒラヒラと舞い下りてくる雪を、広げた掌で受け止めると、音も無く溶けて消えた。
松山「あれ?お前、手袋は?」
岬「あ、今日忘れちゃって」
ボクの指先は寒さで紅く染まっていた。かじかんで、上手く動かせない。
松山「何で早く言わないんだよっ」
そう云って松山は、ボクの両手を自身のそれで包み込み、
そのまま口元に持っていき、白く暖かい息を吹きかけてくれた。
岬「松山…」
しばらく、松山はボクの手を温めてくれていた。
そして、ボクの手を解放すると、自分の右手にしていた手袋をボクの右手に着せた。
岬「い、いいよ松山!ポケットに入れてれば暖かい…」
松山「暖かくないだろ?だからこんなに冷たいんだろ?」
今度はボクの左手を、松山の右手がそっと握り締めた。とても暖かい手で。
松山はそのまま自分のコートのポケットの中に、繋がっているお互いの手をスッポリと収めた。
松山「これでお互い暖かいな」
そう云って、松山はまた優しく笑った。
岬「松山…」
何だか、帰りたくないよ。
君が優しすぎるから、君を、このまま一人占めしたくなっちゃったよ。
51 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:30 ID:YmqCel0B
>50のつづき
2人並んで、登ってきた丘を下った。
その間、ボクらは他愛もない会話を交わしていたよね。
でもボクは一つだけ覚えている事があるよ。
それは―――
松山「お前の手、ホントに冷たいな。…何だっけ?手が冷たいと心が暖かいんだよな?」
岬「そうそう。よく云うよね。何でだろうね」
松山「あー、じゃぁ俺は心が冷たいのか…」
岬「え?」
松山「だって、熱いだろ?俺の手…」
握られている左手。松山の体温が伝わってくる。暖かい。
岬「あれは、嘘だね…」
自分でも聞こえないくらい、小さな声で呟いた。
だって君の心は、この手とおんなじくらい、とってもとっても暖かいんだもん。
―――でも、照れくさくて言えなかったよ。
松山「岬?…どうした?」
岬「…ううん。何でもない」
2人の足跡が、次第に強くなる雪に、あとからあとから消されていった。END
12 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/11 16:15 ID:L27OuAd7
前スレの708です。マツミサ見たいと云って下さる方がいらっしゃるので(>_<)
載せます(まだ途中ですが)。ちっとも801じゃなくてすいません。
●マツミサほのぼのストールイー
岬、覚えてるか?
―――何を?
お前がふらのに居た頃、2人で、練習サボってさ……
―――覚えてるよ。2人だけの、想い出だもん……
ふらの小学校・とある教室にて
「ええ!岬引っ越しちゃうのかよ!」
「え?嘘だろ!」
「しかも明後日って本当かよ!」
「何でもっと早く言わないんだよー!」
「そうだよ!」
本当は自分でも驚いていた。いつも別れるのが辛いから、黙って引っ越していくボクなのに。
でも今回は、そんな事出来なかった。何故ならそれは……。
松山「皆、やめろよ!!」
「…キャプテン」
松山の一言に、教室は静まり返った。
松山「…一番辛いのは……岬なんだから…」
「…………」
松山「だから、頼むから…明るく見送ってやろうよ、皆…」
―――そう。何故ならそれは、君が居たから。松山、君が居たから……。
13 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/11 16:16 ID:L27OuAd7
>12の続き
ボクは初めてこの学校に来た時の事を思い出した。
先生「……から引っ越してきた岬太郎くんだ。皆仲良くしろよ」
何度繰り返しても、やっぱりこの瞬間だけは慣れない。
友達のだいだいがグループになっている事が多かったけれど、このクラスは違った。
皆仲が良くて、優しくて、すぐにボクを受け入れてくれた。
その日の放課後…
「岬ってサッカーやってたのか?」
「すごい上手いなー」
「キャプテン並みじゃないか?岬のボールさばき」
キャプテン?キャプテンって……
松山「岬!お前サッカー上手いんだな!」
岬「…松山くん……」
松山「おい、呼び捨てでいいぞ」
岬「…え?」
松山「だって‘松山くん’なんて呼ばれると、何か遠い感じするだろ?」
そう云って笑った。
――――それが、初めて君の笑顔を見た瞬間だった……。
「…ごめん、岬」
「そうだよな、岬が一番辛いんだもんな」
「引越したら、手紙くれよ」
「残りの二日間いい想い出、作ろうな!」
教室に居る間、松山だけは、ボクに一度も話し掛けては来なかった。
窓際にある自分の席に座って、ずっと遠くの景色を眺めていた君。
48 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:27 ID:YmqCel0B
>13のつづき
時計の針が午後四時をさした頃…。
「晴れたなー」
「こんなの久しぶりだよな」
「いつも雪雪雪…だもんな」
「久しぶりに雪かきしないでもサッカーできるな!」
雪が降っていないのなんて、ボクがふらのに来てから数えるほどしかなかった。
うっすらと青く広がる空。雪で、いつもは見えない遠くの方までよく見える。
その日、初めて松山がボクに話し掛けてきた。
松山「…岬!ちょっといいか?」
グラウンドの端で松山がボクを呼んだ。
松山「…今日、練習サボらないか?」
とても意外な言葉だった。松山からそんな言葉を聞くなんて…。
松山「ちょっとついてきてほしい所があるんだ」
………?
49 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:28 ID:YmqCel0B
>48のつづき
ボクは松山の後ろ姿を見ながら、学校の裏にある小高い丘へと歩いていった。
どれくらい登っただろうか?松山がボクの方へ振り向いた。
松山「岬、こっちだ。見ろよ」
誘導されるまま、ボクは松山の視線の先を追った。
そこには、今まで一度も見た事がないくらい、美しい景色が広がっていた。
ふらのの街をすべて見下ろせて、地平線には丁度、紅い紅い夕焼けが燃えていた。
その美しさにボクは言葉を失ってしまった。
松山「……すごいだろ?岬。いつも雪が降ってて見れんけど、今日は珍しく晴れたからな。」
目の前に広がる景色に見とれているボクに、松山は云った。
松山「…今日、ずっと考えてた。お前が引っ越しちまう前に、何か想い出作れたらなって。
この景色、お前に見せたかったんだ…」
岬「……すごい…」
それしか口にする事が出来なかったボクに、松山はただ、優しく笑ってくれた。
50 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:29 ID:YmqCel0B
>49のつづき
松山「…そろそろ帰ろうか、日も暮れちまう。それにまた雪降りそうだし。…て、もう降ってきたな」
松山は空を見上げた。
ボクも連られて空を見上げた。
そして、ヒラヒラと舞い下りてくる雪を、広げた掌で受け止めると、音も無く溶けて消えた。
松山「あれ?お前、手袋は?」
岬「あ、今日忘れちゃって」
ボクの指先は寒さで紅く染まっていた。かじかんで、上手く動かせない。
松山「何で早く言わないんだよっ」
そう云って松山は、ボクの両手を自身のそれで包み込み、
そのまま口元に持っていき、白く暖かい息を吹きかけてくれた。
岬「松山…」
しばらく、松山はボクの手を温めてくれていた。
そして、ボクの手を解放すると、自分の右手にしていた手袋をボクの右手に着せた。
岬「い、いいよ松山!ポケットに入れてれば暖かい…」
松山「暖かくないだろ?だからこんなに冷たいんだろ?」
今度はボクの左手を、松山の右手がそっと握り締めた。とても暖かい手で。
松山はそのまま自分のコートのポケットの中に、繋がっているお互いの手をスッポリと収めた。
松山「これでお互い暖かいな」
そう云って、松山はまた優しく笑った。
岬「松山…」
何だか、帰りたくないよ。
君が優しすぎるから、君を、このまま一人占めしたくなっちゃったよ。
51 名前: ametora(前スレ708) 投稿日: 02/02/12 00:30 ID:YmqCel0B
>50のつづき
2人並んで、登ってきた丘を下った。
その間、ボクらは他愛もない会話を交わしていたよね。
でもボクは一つだけ覚えている事があるよ。
それは―――
松山「お前の手、ホントに冷たいな。…何だっけ?手が冷たいと心が暖かいんだよな?」
岬「そうそう。よく云うよね。何でだろうね」
松山「あー、じゃぁ俺は心が冷たいのか…」
岬「え?」
松山「だって、熱いだろ?俺の手…」
握られている左手。松山の体温が伝わってくる。暖かい。
岬「あれは、嘘だね…」
自分でも聞こえないくらい、小さな声で呟いた。
だって君の心は、この手とおんなじくらい、とってもとっても暖かいんだもん。
―――でも、照れくさくて言えなかったよ。
松山「岬?…どうした?」
岬「…ううん。何でもない」
2人の足跡が、次第に強くなる雪に、あとからあとから消されていった。END