「これはひどい」
 寝起きからポルターガイスト。 ベッドがギシギシ揺れるから二度寝ができない。
 ……家賃月額2万円、文句は言わないさ。 この家出てもついてきてるけどな。
 いっつも、夜道だとひとつ余計に足音が聞こえてるぜ。

「ドーピング睡眠薬スープだ。 さぁ、俺が眠るのを止められ――――いてぇ!!」
 飛来する目覚まし時計。 寝そべってる状態で避けることは無理。 すげぇ痛い。
 …目覚まし時計が顔にめり込む経験をした奴は、オレぐらいのものじゃないだろうか。
「…わかったよ。ベッドで死ぬなんて、腹上死以外ごめんだ」
 取り付いてるヤツはどうやらエロい話とかがダメだ、と共同生活でわかっている。 わざわざ言ったのは、そいつをからかうためだ。
 …飛んでくる目覚まし。 イナバウアーの体勢でかわす。
「うぐぉあっ!!」
 ……たぶん、腰をやった。 ちょっと嫌な音したし。 ポルターガイストやんだけど、毎日これじゃ身が持たない。

 まぁとりあえず、メシ食おう。 …いつものようにパンだけど。
 キッチンに行くと、なぜかみそ汁が用意されてた。 いつものことだ。
 いつものように禍い色をしているので、たぶんトラップ。 いつものように流す。
 いつものように皿が飛んできた。 いつもと違うのは、皿の破片が刺さってるところぐらいかな! ……本気で痛い。
「オレの選択が最良でないと言うのか…!!」
 攻略見ないでエロゲやるとすぐ詰んじまうオレの選択が、最良でないと言うのか。 …くそっ、否定できないぜ。

 でもさ。 食わずに流すのには、ちゃんとした理由がある。
 ……一度食べたことがあるんだ。 今まで病院なんていったことのない俺が、病院にかかる原因となった。

 それはそうと、折角の休日だ。 それも快晴。 ここは―――――――
「そうだ、エロゲしよう!」
 最近、こいつのせいでエロゲしてない。 …そうだな、少しでも積みゲを崩さないと。 パソコンを起動する。
「………………!!?!!?!?!?!?1」
 ダブルクリックした瞬間、べきッ、という嫌な音。 …それだけで、HDDが逝ったと理解できた。 ………とうぜん、今まで集めてきたエロ動画も全ておじゃんだ。

 ――――――――ああちくしょう、悪霊め! いつか絶対、一泡吹かせてやるからな!!
最終更新:2008年02月13日 03:09