【あんたの為じゃ】なにそのツンデ霊まとめ@wiki【ないんだからね】内検索 / 「雨女と能天気男」で検索した結果

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  • 雨女と能天気男
    昔々、水神様の供物として命を落とした彼女。 以来、彼女が祀られる社から外に出る時は必ず雨が降るそうだ。 「僕は雨好きですよ」 『雨も降り続けば災厄。私は表に出ぬほうがいいのだ』 今日も小さな社の前で退屈そうな顔をしている彼女。 「でも、いつも必ず貴女が降らせるってわけじゃないんでしょ?  だったらそんなに気にしなくてもいいんじゃないですか?」 『愚か者。第一なぜ私が社の外へ出ねばならぬ?』 「僕とデートとか」 『…は?…な、なななぜ貴様とででででーとなどせねばならぬっ!?』 「デザートの美味しいお店とか可愛いアクセサリの店とかリサーチ済みですよ」 『いや人の話を聞け!だ、第一、わた、私は雨に濡れるのは好きではなく』 「じゃあ相合傘しましょう♪」 『相…!!い、いいいやあのその』 「嫌ですか?」 『え、いや、いやあの、嫌、いやじゃな...
  • 11人目
    ... 雨男と晴れ女 雨女と能天気男 ホテルの女 部屋の中でぶつかったんだ 車内アナウンス エアコン壊した理由 押入れから覗く女 ツンデ霊変換依頼 ポルターガイストとサンマ ポルターガイストとタコ おはぎ シチュエーションは「アタシのお墓の前で」 鎧武者とかぼちゃ ヴォジョレー解禁日 線香 霊側視点での特殊遭遇考察 実家から戻ったら・明かり 実家から戻ったら・醤油ラーメン 青山トンネル 素直雪女 節分の鬼 卒業、できたんだ 多田野名梨は静かに暮らしたい 多田野名梨は静かに暮らせない 幽霊が住んでいる、らしい しぃ 故意に落ちる 廃病院で肝試し
  • 写真を撮ってあげようか
    「写真を撮ってあげようか」 お寺の片隅でぼんやりしてたら、オジサンがカメラ構えて近寄ってきて、さらにやたら馴れ馴れしく声を掛けてきた。 『何?』 「俺はこの寺公認の撮影カメラマンで、七五三とかご祈祷とかのお客さんにサービスの一環で格安で写真撮影してるんだよ」 『ああ、ロリコンなんだ』 「…違うって…」 『わたし、オジサン相手にしてる暇ないの。じゃあね』 困ったように肩を落とすオジサンに軽く手を振りわたしはその場を立ち去った。 正直なところ、わたしはとても困ってた。 何でこんな古臭いお寺にいるのかが分からない。どうしても思い出せない。 それだけじゃない。お寺の外に出ようとしても、どこにもいけない。気が付くと、お寺の境内の片隅に佇んでいる。 そんな感じでもう何日も、何日も。どれだけの時間か分からないくらい長く過ごしてる。 困りごとはもうひと...
  • 雪女と雪赤子
    雪女と雪赤子 雪降る深山、背負子に荷を乗せた男が山を登る。人里はなれた場所に小屋があり、男はそこに住んでいるのだ。 猟でとった獲物を金と食料にかえた、その帰路である。 思いのほか高く売れたため、男の懐はずっしり重かった。だが、足取りも重い。換金に予想以上に手間取ったためだ。 あたりはもう、暗い。 山には怪異が住まうと言う。特に冬の山は恐ろしい。 今は亡き祖父にも厳重に戒められていた。 『夜山を登ることはならん、特に冬山は』 男は禁を破った。懐には一介の猟師がもつには相応しくない額の金子があったからだ。 だから、男は夜の雪山を登る。 「もし、そこの御仁」女の声がした。 (すわ、怪異か)男は振り返るまいと懸命に耳をふさいで道を行く。 「御仁、待ちたもれ」女の声が追いかける。そればかりか赤子の声まで聞こえてきた。 「んあぁー、んあぁー」赤...
  • 俺と小娘・小娘視点編
    俺と小娘・小娘視点編 ① 私の名前は鈴木良美。 年齢は14歳、極々ふつーな中学生 …だった。 数日前までは。 今の私は俗に言う幽霊ってヤツだ。 トラックにひき逃げされて死んじゃったらしい。 当初は自分が死んだのに気が付かず随分と戸惑ったけど 我が家で行なわれた他ならぬ自分の葬式を見て自分が死んでいる事を実感した。 そう、私は死んで、幽霊になった。 道理で誰も私を見ず、いくら呼び掛けても返事もしてくれない訳だ。 これからどうしよう? 成仏したらいいのかな? でもやり方なんて分かんない。 教わりたくてもみんな私をシカトするし。 仕方ないか…だって私は幽霊なんだもん。 でもやっぱりちょっと、悲しい。 一人は…淋しい。 私はぼんやりそんな事を考えながらふらふらしていた。 ...
  • 初恋
    初恋 1 僕の、初恋について、お話しようと思います。 僕は口下手ですし、あまり面白い話じゃありませんから、興味の無い方は、どうか読み飛ばしてください。 2 一目惚れでした。 昼休みの最中だった、彼女は、屋上の隅っこで、天気が良かったんですね、退屈そうに座ってました。 かっこよく脚なんか組んでて。大きな瞳を、眠たそうに、不機嫌そうな顔をしてました。 長い髪も、短めのスカートも押さえずに、風に任せたっきり。じっとポーズを崩さないんです。 ちょっと怖そうな、話しかけづらいような彼女は、ときどき口の中を、もごもご動かすんですよ。 なんだか可愛いでしょう。一目見て、それだけで、夢中になりました。 僕はというと、ベンチ一個分先で、突然見つけ出してしまった、初めての恋の対象を、ぽかん、と。 おいおいあの子誰だよと。級友達は、余った弁当の争奪戦に...
  • 十五年後の再開
     季節は、夏。 「はぁ・・・一人暮らしだ」  今日はこの部屋に引っ越してきた初日。高校二年生にしてやっと念願の一人暮らし。  ・・・いや、念願ではないかもしれない。  と、いうのも俺がこの部屋に引っ越してきた理由は大学生の彼女と別れたからだ。  今まで俺は彼女の家で同棲生活をしていた。  だが、つい先日その彼女と別れ、当然彼女の家から出る破目になり、ここにきた。  まぁ、この部屋ははっきり言って申し分がない。  かなり格安だし、そして広いし、何より風呂とトイレ付き。とどめは冷暖房だ。  近くにお墓があるのが凄い傷だが、まぁ、それを除けばもう最高だ。  俺のようなバイトで稼いでいる高校生には夢のような立地条件。  そんで、今日は引越しもとい彼女と別れた記念でこの部屋にて飲み会を開いた。  むろん、俺たちは二十歳未満。法律に反している。が、知った事じゃない。  それよ...
  • 子守をする幽霊
    いい天気だ。空も青さを増している。夏がくるな。 葬式か。小さい子が泣きじゃくっている。 母が亡くなったのか。おろおろしているな。気の毒に。 あれじゃ未練が残ってしまう。しょうがないな。 まかせておけといったものの、いつまでも泣いている。 めそめそしてても、母は喜ばんのに。どれ・・・ ふふ、驚いているな。ポルターガイスト現象は得意だぞ。 ん?ママが帰ってきたのではないぞ。あーあ、泣くな。 子供が声をころして泣くでない。 どれ仕方ない・・・ホワイトボードか。 『たっくんおやつは冷蔵庫に』・・・か。消せずにとってあるのだな。 「いつまでも泣いてたらいかん」 うむ、達筆だ。ふふ、目がまん丸だぞたっくん。 なになに?・・・お前まで筆談せんでもいいのに。 これこれ、もう書くところがないではないか・・・ 笑ったか。ふむふむ・・・ ...
  • 口裂け女とロリコン野郎
    ある日、帰宅途中に一人の女に呼び止められた。 真夏だというのにコートを着込んでいる。変態か? 「ワタシ綺麗?」 人が急いでいるというのに。だから変態は嫌いなんだ。 「誰が変態よ! ほら、他になんか言うことあるでしょ」 そんなデカいマスクして綺麗も糞もあるか。俺は急いでるんだ。 「これはほら、その、お約束っていうか……じゃなくて!  ワタシ、目元が色っぽいねとか言われるんだけど」 俺はどちらかというと目元よりも口元に色気を感じるんだが……。 「ああ、そうなの……じゃあ、これならどう?」 そう言うと女はコートの前を開いた。 「ワタシ、スタイルには結構自信あるのよ」 ……なんと醜悪な肉の塊が二つ……。 「ちょ、いい加減にしないと本気で怒るよ」 もういいだろ。早く帰らないとアニメが始まってしまう。 「なによ、あんたアニメオタク...
  • しぃ
    昔、友人と4人で海岸でキャンプした時の話。 浜辺にテント設営して、近くで焚き火とか花火で遊んでた。 途中から何か海の方から嫌な、気配っていうのか、そんな感じがして。 他の皆も同じみたいで、いつのまにか焚き火の後ろに隠れる感じで皆で海の方を窺ってた。そしたらさ。 波の音や動きとは違う何かが、真っ黒なものがいるのが分かった。それがこちらに近づいてきているのも。 ゆっくり近づいてくるそれが、四つん這いの人の形をしているのがわかっても真っ黒なままで、人間じゃないってわかって。 でも自分を含めて全員固まったように動けないままそれを見つめていた。 だんだん近づいてくるそれは、何かぼそぼそ言っていた。 焚き火で照らされたのに真っ黒なままのっぺりした顔面に、ぶつぶつ呟いている口のとこだけ穴が開いて動いているのが分かる距離になって、何言っているのかがやっと分かった。 ...
  • 免じて許せ
    俺が小学5年のとき、兄ちゃんは持田香織がめっちゃ可愛いといった。 俺は兄ちゃんの部屋に忍び込んでELTのCD全部にさりげなくキズをつけた。 俺が中学1年のとき、兄ちゃんの部屋でえっち本を見つけた。 俺は容赦なく母親にチクッた。母親は兄ちゃんの留守中に黙って本を捨てた。 俺が中学3年のとき、兄ちゃんが彼女を家に連れてきた。 俺は玄関にあった彼女の靴の底にロウを塗った。彼女は帰りがけに玄関で派手にコケた。 俺が高校3年のとき、兄ちゃんは親に内緒で彼女と旅行にいった。 俺は彼女の両親に匿名でチクッた。兄ちゃんは彼女と別れさせられた。 みんなほんとは俺のせいなんだ。いつもいつも嫉妬してごめんな兄ちゃん。 俺のマンコに免じて許せ。兄ちゃんの好きにしていいから。
  • 雪だるま
    雪だるま 「やあ。いい天気だね」 「最悪だわ」 「もう春だからね」 「そうね…」 「大丈夫?」 「ちょっと。泥だらけの手でさわらないで」 「あはは。嫌われたなあ」 「あたりまえでしょ。ごろごろ転がされたこと、忘れてないからね」 「しかたないよ。僕はきみと遊びたかったんだ」 「友達いないのね」 「きついなあ」 「はあ…」 「つらそうだね」 「…そりゃつらいわよ…」 「今年は、もう無理だけど。また来年、作ってもいいかな」 「わたしのこの姿見て、よく言えるわね…」 「だめかな」 「…………」 「ごめん、わかったよ。これきりにする」 「…バケツ」 「え?」 「バケツじゃなくて、ちゃんと、した帽子。用意、しときなさいよ…」 「いいの?」 「…あかいのが…いいな……てぶくろも……」 「うん、わかった」 ...
  • たて
    私はこの部屋でひとりの少女と暮らしている。 はじめて少女と出会ったときのことは覚えていない。 おそらく中学生ぐらいだろうか。幼さの残る顔立ちをしている。 前日の雨のせいか、室内は妙に蒸し暑い。 にじんだ壁の染みが、訳もなく不安を煽り、少女に語りかけてみる。 この少女に関する記憶は一切ないのに、よく知っている気がするのは何故だろう? ろくに会話もしないのに、少女の言わんとしていることが伝わってくる。 さきほどから少女は無機質な瞳で私を見つめている。 れいせいであろうと努めるが少女の表情、容姿、そして無機質な瞳が私の心をかき乱す。 たまらず私は少女から顔を背けた。 ふと部屋にかかった日めくりカレンダーが目に入る。 何もない部屋にある唯一の装飾品。日付は6月14日で止まっている。 そのとき何かが私の記憶を刺激した。6月14日……ああ、そうか。...
  • 5人目
    さゆり アンカーでツンデ霊 匣の中には綺麗な娘がぴつたり入つてゐた 俺と悪霊 外が怖い 有紀との生活 検証も5フェイズ目 Dr.オニオンの秘密 雪女と雪赤子 有紀との生活2 よいこ わるいこ ふつうのこ からかさおばけ ベッドの下 S幽霊4 猫の理由 涙の理由 ゴンタのこぶ クトゥルフの邪神達3 ひとりはやだ クトゥルフの邪神達4 幽霊の呪い 三途の川の渡し守 ねこにまたたび。 ねこにまたたびあげたら キュベ霊 七夕の物語 おねがいmy短冊 ハンターを辞めた男 濡れた幽霊 こっくりさん2 睡眠難 引退記念 キスしてくれる? ツンデ霊でレポート提出 おかえり♪ 赤猫 ホラー映画は怖いの メリーさんギシアン 何かがしたたるいい幽霊 彼の手記←3人目に収録されているのと同じです 義妹のツンデレ批判←批判じゃなくて...
  • 帽子の返せ!!
    「そこに居るんだろ?」 俺はいつもの場所に声を掛ける。 「…なぁ」 視線を定めて同じ調子で声を掛けると 「…‥‥なに?」 という返事で空気が揺らいだ。 「…帽子」 「な、何?帽子って?」 空気が濃くなり、顔を赤くしたアイツが現れる。 「右手…前に出してみて」 「どうして?!」 「いいから」 「なんで?!」 「…いいから」 「どうしてあたしがアンタの言うことなんか聞かなきゃいけないわけ?!」 「…」 「…」 「…」 「…‥なによ?」 「…見せて」 差し出された右手にはしっかりと俺の白いキャップが握られていた。 「別に欲しかったわけじゃないからね!たまたま持って来ちゃっただけだから!」 「そう」 「こんなの返すわよ!!あぁー変なのに触っちゃった!!」 「…おう」 「はい!どーぞ!」 バシ...
  • 下らないバトル
    あれから三日が過ぎた あの女との戦いはまだ続いている 古雑誌とまとめてチリ紙交換に出すという暴挙によって 大切な戦友を失った俺は新たな友を求めて新しい町の本屋を開拓していた そうして発見した本屋で見つけた友を手に早速帰宅 晩飯を終え、トイレも済ませ、そうこうしているうちに夜は更ける …………妙だな 時刻はとっくに11時を過ぎている 俺の計画に気づいたのか? 勘のいいやつめ 翌日、昨夜の失敗を反省した俺は作戦を変えることにした まず友の中身を小説に替える、俺は文字でもイケル口だ 当然カバーを一般小説のそれと交換しておくことも忘れない それを読む俺も普通の小説を読むふりをする そして時計が11時をさしたとき、再びあの視線を感じた バカめ、飛んで火にいるなんとやらだ しかしここで焦ってはいけない 俺はイメージと息子...
  • 都道府県5 タレント万歳
    兵庫「…ねぇ、大阪さんどうなさったの?」 広島「元気ないよねー?」 鳥取「いつもはうるさいくらい元気なのに」 大阪「………」 兵庫「何か悩んでらっしゃるみたい」 鳥取「あの脳天気な大阪が悩みなんて雪でも降るんじゃないかしら」 広島「いいすぎだよー」 千葉「おやぁ?大阪さんじゃあないですか」 神奈川「へへへ、府債発行ストップなんて気の毒にねぇ」 大阪「なんや…おまえら」 千葉「2億も負債抱えてるのに強気じゃん?」 神奈川「さすが『府』は違いますなぁ」 大阪「……く」 千葉「タレントなんか当選させるからこうなるんだよ」 神奈川「10年後の一括府債清算はどうすんスかぁ?」 千葉「3300億wさすが県とはスケールが違いますなぁ」 大阪「…く…どうしたらいいんや」 京都「大阪」 大阪「京都...
  • さゆり
    目を覚ました私に彼女はとても優しくしてくれました。 とても辛い経験をした私を彼女は慰め、寄り添い、時に叱咤して、 私は少しずつ生きるということに希望を見いだすことができるようになっていきました。 私がいるのは白い部屋。窓際に置かれたベッドに私は静かに横たわっています。 窓の外の景色を眺めながら、私はいつものように彼女に話しかけました。 「もうすぐ夏になるね」 彼女はベッドの脇に置かれた椅子に腰掛け、私に優しく微笑みかけます。 「そうね。あなたも夏が終わる前には身体を治さないといけないわね」 「でも……そうすると私は貴女に会えなくなる。それは少し寂しい」 「仕方のないことよ。それに私に未練を残さないで。これからのあなたには必要のないことよ」 彼女との別れが迫っていることはわかっていました。 だから私は彼女に...
  • 意味不明作品「トイレ」
    配管の故障か?さっきから水音がする… 先週引っ越してきたばかりなのになぁ… …ん?ちょっとしたいかな?トイレ行こ ふう、なんだかんだ言ってココに座るのは落ち着くよなぁ… 一ヶ月前に彼女と別れて、しがらみのあるあのアパートを出たのは良かった… 「…らんで…る」 んん?なんか聞こえる? 「ま…き、覚悟し…さい…!」 覚悟ぉ?!……俺か、俺のことか…?! 便器に座りながらきょろきょろ見回す。 「あんたのせいでこっちでも私はぁっ…って!!えぇ??」 う っ ぎ ゃ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! ! ! 泣きながら後ろを見ると、肛門に半透明の彼女が刺さっている… 「出るとこまちがえちゃったwてへw」
  • いたずら小娘
    僕の家では物がよくなくなる。 死んだおばあちゃん曰く、「妖怪いたずら小僧」のしわざだそうだ。 しかし、家でなくなったものは本当に必要なときは、ぽっと出てくる。 だから、最近では気にしなくなった。 ある日、僕に彼女ができた。嬉しかった。 僕は有頂天で、友達に自慢しまくったものだ。 そんな僕に彼女がマフラーを作ってくれた。 彼女は「ふん、友達に私が手編みのマフラー作れることを証明したかっただけだから。…ほんとよっ」 とかいってた。それでも嬉しかった。ちょっと、歪だが僕の一生の宝物だ。 今度彼女とデートで遊園地に行くことになった。僕はこのマフラーをつけていくつもりだ。 当日、大変なことになった。確かに机においていたマフラーがなくなっている。 僕は探した。一生懸命探した。 …見つからなかった…。 彼女とけんかした。僕はマフ...
  • 見えない彼女
    彼女と二人で街を歩く。まあ他人からは男一人にしか見えないだろうけど。 服を選んでもらったり、必要な雑貨を買ったり、欲しい本を探し歩いたりとそこらにいるカップルとなんら変わりのない二人。 彼女の声は普通の人には聞こえないから、俺が言動に気を付ければ何も問題無い。 ふと、彼女が前方を見つめ、そして慌てて言った。 女「やばっ!前から同僚きたっ!」 俺「えっ?あの半透明の人の事?同僚って・・・」 女「どうしよう、えっと、うんと」 俺「何悩んで、あっそういうことか。えーとじゃあ俺は弟って事で」 女「え、弟?ちょっと無理ない?」 俺「兄とか父とかよりはましだって。何なら義理でも養子でもいいから」 女「うんわかった。じゃあよろしく」 同「どこかで見た顔だと思ったら・・・、久しぶりだねえ。で、さっそくだけどそっちの彼は?」 俺「すみません、ここだと人目があるんでちょっとあ...
  • 幼い頃の約束
    1 昔の夢を見た。 幼い頃に親の都合で二週間だけ田舎の親戚の家に預けられた時の事。 そこで出会った同い年の女の子とささやかな約束を交わした。 何故そんな夢を見たかというと、その時出来た男友達から会おうと連絡があったから。 女の子との約束はずっと覚えていたけれどなかなか実現出来ずもやもやしていたから。 で、現在山の中を迷走中。夜の山道は歩くものじゃない。 約束の場所への道案内を買って出た旧友は「大丈夫」を繰り返すだけで今一信用ならない。 「迷ってないか?」と問うても「タバコは標準装備だし線香も持って来たから大丈夫」と訳のわからない返答するし。 そもそもお前まだ未成年では。 2 どの位彷徨っただろうか。 闇の中を蛙の声がこだましている。 木々の間をすぅっと光が抜けていく。 光を追いかけるとすぐに目的地にたどり着いた。 ...
  • 悪徳商法
    俺「金がないな」 霊「いつものことであろ」 俺「女は金がかかる」 霊「…………」 俺「セックスしてぇ」 霊「…………」 俺「……どうした」 霊「う、うまく…いっていたのだな……」 俺「俺を誰だと思っている」 霊「そなただからだ。信じられぬな」 俺「何気にひどいぞ」 霊「……では、女との付き合い方を教えてやろう」 俺「断る」 霊「…………」 俺「すごくいいコなんだ。ジャマすんな」 霊「そう…か。そうだな。すまない……」 俺「俺のためなら自分の幸せなんかいらないってさ」 霊「けなげな娘だな」 俺「そのコ、幸せになる壺を持ってるんだ」 霊「…………」 俺「そんな全人類垂涎のレアアイテムを俺に譲ってくれるそうだ」 霊「いくらで」 俺「50万」 霊「効力の割に安いな」 俺「だろ?」 霊「……はぁ……」...
  • やおいちゃん2
    ⑤ 「おぉ、満開だな」 天気は良好、気候は温暖。 今日は絶好の花見日和りだ。 「ちょ、来るなって言ったのに!また遭難したらどーすんのよよ!バッカじゃないの!」 相変わらず高慢な物言いだが声が嬉しさで弾みまくってるぞ、精霊? 「まあそう言うなよ、しかし綺麗に咲いたもんだな」 「やだジロジロ見ないでよぅ…べべ別にあんたに誉められたって嬉しくも何ともないわよ!? で、何よそれ」 「ビールによっちゃんイカだが?」 「…これだから風流を解さぬ下賤な人間は! いいこと?桜ときたら花見、花見ときたら桜餅でしょ!? …私の裏に回ってみなさい」 「裏?」 「いいからっ!」 不審に思いながらも木の裏を覗いてみる。 そこには香高い桜の葉に包まれた桜餅がこんもりと積まれていた。 ⑥ 「あ、あんたの為に作ったんじゃないんだから...
  • モノローグ
    モノローグ 人生は長い。 時に若くして死ぬ者も有るが、そうでないなら人生は長い。 先の見えぬ長さに不安を覚える事も少なくない。 それでいながら終わってしまった後に顧みると余りに短かった様に思える。 彼は、今日死んだ。 78歳、十分に生きたのだろうと思う。 私の知る最も若い彼は、17歳、高校を中退したばかりの彼だ。 その頃の彼は日中から夜まで独り呆然として過ごし、時折声を殺して嗚咽していた。 自身の先行きに絶望し切っていたのだろう。 ふらりと外出し、ロープを買って帰った事もあった。 天井から吊るした輪をやはり呆然と見詰め彼は泣いた。 陰気を振りまく彼に嫌気が差していた私は、彼が躊躇う内に背中を押してやる積もりだったが、 実際には彼が輪に首を通す前にその背中を蹴飛ばしてしまっていた。 彼は腰を痛め、それを口実に自殺を諦めたのだ...
  • 井戸の墓守
    … 何で、こんなことするのかですって? 愚問よ、それは。 あなたは私のもの。ただ、それだけ。 なによ、その目は。悲しいの? 苦しいの? あなたは永遠に私の虜なのよ … 僕は死んだ。 原因はある日届いた、ひとつのビデオ。真っ白いビデオテープ。ラベルも何も貼っていない。 差出人は不明。説明も何もない。ただ、百合の花が一輪添えられていた。 僕はあまりにも無知で、それでいて愚かだった。興味本位でビデオテープを再生させた。ポルノビデオだと嬉しいな程度にしか頭が働かなかった。 再生すると、30秒ほどのノイズ。不快な砂嵐の音。消そうかと思ったところで、井戸の描写。 じぃっと見ていると、なにか念仏のようなものが聞こえる。気味が悪かったが、僕はそのまま見続けた。 井戸に変化が現れる。女が這い上がってくる。そして、僕をみて言った。 「ミツケタ...
  • 幽霊観察
    ワンピースの可愛い少女幽霊が近所に出るんですよ。 冬になると風強いじゃないですか、スカートがめくれrげふげふん えー、失礼。純粋な知的好奇心から、早朝から夜遅くまで一週間ほど観察目的で張り込んだんです。 初日・二日目は幽霊っぽく黙って俯き加減に立っていました。 三日目になるとこっちをちらちら気にしているみたいでした。 こちらの存在を認知できるようです。 四日目は、いつもの場所に立った直後に警察官に不審人物と間違えられ、 警察署まで連れて行かれていたのでよくわかりません。 五日目は風の強い日でしたがスカートは微動だnええと笑顔で手を振ってみたんですが完全無視されました。 六日目、何故か彼女が居ません。 暫く待ってみましたが前日からの強風に加え午後は雨も降り出し、途中であえなく退散です。 七日目は、朝から酷い寒気と倦怠感を感じてましたが彼女の観...
  • 空言の世界
    あれからどれくらいの時が流れたのだろう 見えるのは白い天井、聞こえるのは微かな機械のノイズ 変わらない日々、変えることのできない現実 「ああ、今日はいい天気。風が気持ちよさそう」 いつの間に現れたのだろうか 窓際から聞こえてきたのは女の声、視界の隅で揺れるカーテン 「……毎日毎日暇なやつだな」 「あなたの代わりに外の様子を見てあげてるんじゃない、感謝してよ」 女はひとしきり窓から見える風景を語り、いつの間にか消えている 今の私がどれだけ望んでも得られぬもの、失くしたものを女は持っている あれからいくつの季節が巡ったのか 「あら、今日はいつものお爺ちゃんがいないわね。どうしたのかしら」 「なあ、頼みがあるんだ」 ある日生まれたひとつの決意 ここから抜け出す方法 「……やめた方がいいわ、...
  • 私とファイトなさいサードシーズン
    ある晩くらい夜道を歩いているとよく女の子の幽霊がでるという交差点に差し掛かった。 心霊現象を信じていない私は深く気にせず横断しようとすると向かいにたたずんでいる少女と目が合った。 少女はゆっくりと向かってくると私の前に立ち 「……好みのタイプだ… サイズ・骨格・筋力… 申し分ない」 と告げてくる。 何を言っているのか?と思う間もなく距離を詰めてきて私の顔面を殴り付けた ハンマーで殴られたような衝撃と鼻が潰れた鈍い音を聞いた。 女の子は私に馬乗りになると「拳は強く強く握りこむのよ、でないと骨を痛めてしまうわ」と言いながらさらに殴打を加えてくる。 反撃しなければ、と護身用のスタンガンを押しあてて放電すると一瞬ビクン!としたが 「電圧の高い…よくできた制圧用具だが …遊戯の域はでていない」 と傲然と言い放ち殴打再開。 ...
  • 公園のベンチの少女
    通勤の途中に公園がある。 幾ばくかの近道になるので、そこを通らせてもらっている。 帰りは中の自動販売機でジュースを買うのが習慣となっている。 最近はめっきり寒くなったので缶コーヒーに変わった。 いつも通りに販売機の前で一息つくとベンチに座っている少女が見えた。 こんな時間にひとりで?と思ったが、塾通いの子もいるし そんなに訝しがる事も無いか、と別段気にしなかった。 しかし少女が目に止まった次の日も、そのまた次の日も、またまた次の日も そこのベンチに座っているのを見て、多少は興味が出てきた。 販売機の場所からは俯き加減で顔はよく見えないが 少女はいつもそこに微動だにせずベンチに座っていた。 自動販売機のHOTの欄が一周した時、思い切って声をかけてみた。 少女は声をかけられて私の方を一瞥したが、興味無さそうに横を向いた。 なるほど少女にしてみ...
  • タンデム
    最近バイクが重くて仕方ない。丁度一人分タンデムしている感じ。 ガソリン余分に食う以上の実害は無いので放っておいた。 ネットの仲間でのツーリングオフに参加した。そのうち一人はかなりの美女。 特別仲良くなりたかったが、エンストするわ突然ブレーキロックかかってこけそうになるわ散々迷惑かけていいとこなしで終わり。 後日ネット反省会でも皆は笑って許してくれてたが俺は申し訳なくて仕方なかった。 その時のオフ仲間とはメール交換してたんだが、美人の彼女からメールが来た。 『許してあげてね。悪気があったわけじゃないから』 何の事かわからず彼女に確認してみた。 彼女曰く俺のバイクには、いわゆる幽霊が同乗していたらしい。 で、何か知らんがえらく不機嫌で、そのせいでバイクに色々な支障が出たとか。 『悪霊ですか!?』 『いいえ、どちらかと言うと守護霊かな。 ...
  • 私とファイトなさいウィズ・ガールフレンド
    色々とツン霊にやられて寝込んでいる俺の部屋に彼女がお見舞いに来てくれた。 久しぶりに穏やかな時間を過ごしていたが、それも長くは続かなかった。 「ふん…色を知る年…か」 ゆらり、と彼女の背後に現れる例の髪の長い女。 「誰?この女の子?」 無邪気に問う彼女 「に、逃げて!ここから早く! 超逃げてーッ!」 「やかましいッ!囀るな阿呆がッ!」 メキョッ! 慌てて彼女を避難させようとする俺の脳天に女の踵落としが炸裂した。 「ヒィィ、何なのこの子!」 怯える彼女。 「黙れェ、女! いいか!この豚野郎はこの私の家畜だ!血の一滴まで私のモノ…泥棒ネコには仕置きが必要だなぁ…!」 両手をワキワキさせながら彼女にニジリ寄る女。 「ちょ…やめ…」 女は何とか阻止しようと這...
  • 個人指導
    予備校に幽霊が出るという噂は聞いていた。 初めて見かけた時、彼女はとても寂しそうに見えた。 だからつい声を掛けた。 『こんな問題もわからないの。本格的にどうにもならないわね』 「やーめーてー」 河川敷の木陰に設置されたベンチで広げた参考書。 彼女は僕の左側に座り、僕のノートをチェックする。ここ最近の日課だ。 清楚なお嬢様タイプの彼女。見た目どおり成績はかなり良かったようだが。 幽霊だからだろうか、どうも無表情というか、冷淡というか。 『何故この程度の問題で悩むのかしら』 「どうせ僕は頭悪いです」 『そうね』 にべもないい物言いに落ち込む一方の僕。先日の模試の結果も最悪だった。 「ああ、受験なんてもうやめちゃおうかな」 『貴方の勝手になさいな』 「うぅ」 がっくり肩を落としながら彼女を上目遣いに見上げる。 ちらりとこち...
  • 死に続ける男
    俺はどうしてこんな事になっているんだ・・・? 「畜生っ!またかっ」 目の前で大型トラックがスローモーションの様に迫ってくる・・・ すくんだ足は思うように動かす事が出来ず・・・ そのままグチャっと轢き殺された。 「ふふふっ、また失敗したわね。」 「・・・・・・。」 「ほらほら、早く起きないとまた始まっちゃうわよ。  今度はどこまで行けるかしらねぇ。」 暗い部屋の中で女が一人楽しそうに話している。 視線の先では俺が激痛に悶えている・・・。 「はぁ、はぁ、・・・」 「あら、回復するのが早くなったわね・・・  もっと苦しんでるところ見ていたいのに・・・残念。」 「はぁ、はぁ、い、一体いつまで続くんだ・・・?」 「あら、最初に言ったでしょ。あなたが私を殺した事を思い出すまでよ。」 ああ、それはたしかに聞いた。 信じ...
  • 雛祭りと飯だるま
    お目付け役などとぬかして勝手に棲みついている悪戯妖怪(自称座敷童子)が拗ねている。 『何か忘れてはおらぬか?』 「…んん?買出しはこないだしたし…?」 『…うつけ者!』 ここ数日こんな調子。 今日も深夜バイトを終えて、途中コンビニに寄って帰った。 いつもなら文句言いつつも出迎えに来る妖怪が、何故か奥に引き篭もったまま。 何してるのかと思ったら、白飯と海苔で雪だるま?作って遊んでたらしい。 「食い物で遊ぶなっていつも自分で言ってるくせに」 『遊んでおるわけではないわってコラ何をするーーー!?』 飯だるまを食おうとしたら腕を齧られ、蹴飛ばされた。 『乙女心も理解できぬ無粋者め』 涙目で飯だるまをガードする妖怪。乙女とか言える外見年齢&実年齢ですか? 「悪かったって。土産やるから機嫌直せ」 ぶんむくれている妖怪に、コンビニ袋を差し出す...
  • 望郷
    望郷 しんしんと雪が降る。 見渡す限り白い平野に、僕はひとりで立っている。 雪の降る音がする。 冬の空のにおいがする。 すべてが凍てつくような、純白の世界。 僕はそこに、どうしようもない懐かしさを感じていた。 携帯の目覚ましで目が覚める。 無機質に繰り返されるアラーム音を止めて、僕はベッドから起き上がった。 「―――夢か」 カーテンを開け放つ。 窓の外に見えるのは、朝もやに煙るビルの群れだ。 ここは、雪が降ることも稀で、代わりに降るものは冷たい雨で。 排気ガスと、他人のにおいがする。 思い描いていた『都会』とは、全く別物の街だ。 「仕事に、行かなきゃ」 くたびれたスーツに袖を通し、朝食もとらずに玄関をくぐる。 また、いつもの繰り返しの日々が始まるのだ。 しんしんと雪が降る。 見渡す限り白い平野に、僕はひ...
  • MISSテンガロン
    「ただいまー」 《オゥ、ここがートゥデイよりミーのホームでーすネ?》 『お帰りなさい、で、どこのどなた様ですかその愉快な色情狂気味で品性劣悪なフシダラ女は』 「ああ、ダチのアメリカ土産のテンガロン帽だよ。仲良くしてやってくれ」 《へろー、ナイストゥ出会いーイェー!》 『捨ててきなさい、今すぐ』 「いや、折角のお土産を捨てるなんて…」 《イェース!ミーはマスターと離れませーん!もぅラブスレイブでチョウCOOL!》 『っ!!彼から離れなさい!破廉恥な!大体何ですかその淫らで慎みのない格好は!』 《oops!ジェラシー?ジェラシーでーすカ?ミーのこのボインボインにジェラシーね?あきれたウォッシャブルボードガールねー》 『な!な!な!何たる非礼!何たる侮蔑!ええぃ、そこへ直れ淫毒婦、成敗してくれる!』 《リバースシューティ...
  • 一日だけ
    また退屈な一日が始まった。 幼馴染みのあいつが死んでから一年。 働く気も起きず実家から大学に通っている 朝起きて学校に行き帰宅すると部屋で寝る、そんな生活を続ける内に友人と呼べる人もいなくなり親からも見捨てられた あいつがいれば「ばっかじゃないの?」 とでも叱ってくれそうだなと思いながら支度を済ませ学校に行く ただひとつ、今日はいつもと違っている事に気付いた 授業開始ギリギリに教室に入る。 あいさつなどせずに席につく 「おはよう、遅刻ギリギリじゃん」 俺は驚いた。話しかけてくる奴がいるとは思ってもいなかった 隣りを見た瞬間自分の目を疑った。 そこには生きた幼馴染みが座っていたのだ 「え!?」 席から飛び上がり大声を出す 「おい、静かにしろ」すぐに先生に怒られてしまった・・・・ 「先生!なんでこいつがここにいるんですか?」 「...

  • これは私がサークルの仲間三人と、N県にあるT山に山登りに行ったときの話です。 当時、私たちは長期の休みのたびに全国各地の山に登りに行って、登山には慣れているつもりでした。 そのため油断もあったのでしょう。その日、私は途中で仲間とはぐれ、山道で迷ってしまいました。 やがて日も暮れ、辺りに霧が漂いはじめて私はいよいよ焦りました。 しかし、このような状態で闇雲に動き回ることの危険を知っていたので、 その日のうちの下山は諦め、横になれる場所を探し、夜を乗り切ることにしたのです。 念の為に持ってきていた携帯食で空腹を満たし、いざ寝ようとしたとき、 ふと誰かに見られているような気がして顔を上げました。 すると私のいる場所からほんの4、5メートル先の繁みに一人の女が立ってこちらを見ていたのです。 私は思わず出そうになった悲鳴を必死でこらえました。 どう考えても...
  • 画家と幽霊
    1 画家志望だった若い頃に暮らしていたぼろアパート。 ただでさえ安普請な造りの上、私の部屋は女の幽霊が出た。 白装束に、長い髪。顔立ちは整っているが、いつも無表情。 色彩の無い半透明な体は膝から下が完全に消えている。 典型的な日本幽霊スタイルの彼女。 幽霊が出てくる場所はいつも決まっていた。 部屋の一角にある押入れ。 襖がじわりじわりと音も無く開いていったかと思うと、 そこから若い女が無表情のまま現れ、部屋の中を徘徊する。 最初は恐ろしかった。 追い回され襲われるとかそういった直接的な干渉は無い。 霊障と言うのか、彼女が現れている間は空気だけではなく体も酷く重く感じ、 誤って彼女と接触した時は、触れた部分を中心に異常な冷たさと痺れに襲われた。 夜中に目覚めた際に、枕元に立つ彼女にじぃっと見下ろされていた時などは、 ...
  • ある山の話
    ある山の話 これは私がサークルの仲間三人と、N県にあるT山に山登りに行ったときの話です。 当時、私たちは長期の休みのたびに全国各地の山に登りに行って、登山には慣れているつもりでした。 そのため油断もあったのでしょう。その日、私は途中で仲間とはぐれ、山道で迷ってしまいました。 やがて日も暮れ、辺りに霧が漂いはじめて私はいよいよ焦りました。 しかし、このような状態で闇雲に動き回ることの危険を知っていたので、 その日のうちの下山は諦め、横になれる場所を探し、夜を乗り切ることにしたのです。 念の為に持ってきていた携帯食で空腹を満たし、いざ寝ようとしたとき、 ふと誰かに見られているような気がして顔を上げました。 すると私のいる場所からほんの4、5メートル先の繁みに一人の女が立ってこちらを見ていたのです。 私は思わず出そうになった悲鳴を必...
  • 雨と幽霊
    1 しとしとと雨が降っている。 既に辺りは暗闇に包まれている。傘を差し、矢上綾は一人、家路を急いでいた。 明かりを借りてくるべきだったかと多少後悔はするものの、両手を塞がれる事に逆に不安を覚えるのは、彼女の生業が多少なりとも関わっている。 女が夜道を一人で歩くなど無用心だと眉をひそめる者もあろうが、腕には自信があるからこその行為である。 綾は剣道場の師範代を努める程の実力を持っていた。 堀沿いの道を急いでいると、ふと先程話題に上った他愛の無い噂話を思い出した。 曰く、雨の夜に、堀の側を歩いていると、化け物に心の臓を喰われる。 自宅までは、もう少し堀に沿って進まねばならない。この時刻にこの天気では、出歩く者も無いだろう。 綾を知る者なら、彼女が怪談など恐れるような性格ではないと知っている。 そんな彼女でも、いや、たとえ男であっても、怪談を聞いた後で一人夜...
  • 待ち合わせは交差点
     ある日、人通りの多い交差点の横断歩道で信号待ちをしていたときの出来事。  道路の向こう側にも何人か人がいたのだが、そのなかに一人異様な気配をもつ女の子がいた。  長い黒髪に白いワンピースがよく似合う可愛い娘だったが直感的に彼女が幽霊だと分かった。  最初は関わりあいたくなくて、信号が青に変わり人の群れが道路を渡り始めると僕もそのなかに混ざり、さり気ない風を装って彼女の横を通り過ぎようと思った。  しかし彼女の表情を間近で見た瞬間、そんな気は失せてしまった。  彼女は何かを言いかけていたが、それより早く僕のほうから声を掛けていた。 「大丈夫だよ。僕には見えてるから」  突然口から出た言葉に彼女はもちろん僕自身が驚いた。  慌てて横断歩道を渡りきり、その場を離れようとしたが彼女がそうさせてはくれなかった。 「何よっ、大丈夫ってどういう意味!? だいたいあん...

  • 新しいアパートに越して来て6日目。 その日彼女が現れた。 その日は休日だと言うのに朝からじめじめしていた。 陰鬱な天気に嫌気が差して、俺は早々に床に付いた。 深夜、急に寒気がして目が覚めた。 ギシ… 霊感の全くない俺でもはっきり分かる、部屋に満ちている異様な気配。 ギシ… l級に体が動かないことに気が付いた、金縛りだ。 声も首も、視線すら動かせやしない。 ぼう…と白い陰が視界に入った。 髪の長い女性。 真っ白なワンピース。顔は長い前髪に隠れて見えない。 ギシ、ギシ… 彼女はすぅっと宙を滑る様にこちらにやって来た。 そして、俺の顔を覗き込んだ。 屈んだ訳ではない。 まるでワイヤーアクションさながら天井を背にして空中に静止したのだ。 空中浮遊。 紛れもない、幽霊だった (う、うぁ…) 顔が近づく。 息...
  • 待ち合わせ
    「べ、別にあなたのために取ってきたわけじゃないから」 「に、似合うじゃないの」 「そろそろ、あたらしいの必要ね。ち、ちがうわよ、私があきただけなんだから」 彼女はいつも新しいものを持ってきてくれる。 テレながら、来る日も来る日も…。 ある日、俺はこんな噂話を聞いた。 「知ってるか、ここで恋人を亡くした美女の幽霊がでるんだって」 その幽霊は生前、恋人とデートの待ち合わせをしていたらしい。 彼女は入院生活が長く、あまりデートをしたことがなかった。 デートをするために、一日だけ、仮退院したんだそうだ。 しかし、恋人は来なかった。彼女は夜遅くまでずっと待っていたらしい。 結局、病が悪化し、彼女は死んでしまった。 恋人はどうやら交通事故でしんだらしい。 それからだ。そこには女の幽霊があらわれ、恋人の訪れを待っている。 ...
  • のんべえ
    元々酒は好きじゃない。 なのに最近酒が飲みたくて仕方ない。 友人に言われた。お前は悪霊に取り憑かれている、と。 その悪霊の容姿を聞いて、思い当たる節があった。 いつかは忘れたが、居酒屋で飲んでいた時に怖い顔してこっちを睨んでいたオッサン。 思い出してみるとその出会い以降確かに酒量が増えている。 オッサンと俺とは霊的相性がいいらしく、友人の力では祓えないとか。このまま放置すると取り殺されると忠告を受けた。 ちゃんとした場所へ御祓いに行こうと思っていたが、酒を飲んでいるうちにどうでもよくなった。 深酒が増え、普段の生活での失敗も増えた。 その夜も随分と飲んだ。 気が付くとオッサンと肩を組んで歩いていた。オッサンは上機嫌に見えた。俺もとても楽しかった。 突然の強烈な光に目がくらんだ。 目を開けると病院だった。 人通りの少な...
  • 霊能者の真似事
    多少霊感があるせいで、時々霊能者の真似事をさせられる。 今回の依頼主は幽霊の少女だ。 『最後に一目会いたくて』 寂しそうに俯きながら現れた彼女。 真夜中に、人の首絞め時々力をこめながら、幼馴染の少年への思いを延々惚気られたよこん畜生。 彼女にとっとと成仏してもらう為、俺は協力する事にした。 可能な限り自分の力で思いを伝えたいというので出来る事を探した結果、テープに一度録音する方式で、彼女の声が記録できた。 数日後。 俺は幼馴染の少年の前に立った。彼女は俺の後ろで恥らっている。 非常に香ばしい人扱いされたものの、少女と少年しか知らない情報を伝える事で何とか信じてもらうことが出来た。 で、いよいよメインイベントの告白タイム。 まっさらなテープをセットし、録音ボタンを押す。少年は期待と不安の入り混じった表情で俺とレコーダーを交互に見ている...
  • 春休みの出来事
    それは春休みの出来事だった。 とても不思議で…絶対に忘れてはいけない出来事。 俺は高校生ならほとんどの奴らが挑むであろう受験戦争に敗れ、それなりの失意の下、浪人を決めた。 クラスの友人達も各々進路が決まりみんな一喜一憂しながら卒業式を迎え、俺の浪人生活スタート。 のはずだったのだが、俺は端から見たら相当疲れているように見えたらしく 春休み入ってすぐに母親の提案で俺のリフレッシュのため母の実家に泊まりに行くことになった 何故リフレッシュがいわゆるお婆ちゃんの家なのかというと俺が好きだったから お婆ちゃんはもちろん、家、場所、気候全てが小さな頃から好きだったのだ 父の運転する車にそれなりの時間揺られ、懐かしい景色が見えてくる 「何年ぶりだっけ?」 窓の外を眺めながら俺は母に聞いた 「んー、爽太が最後に来たのは中学三年の時だから三年ぶりくら...
  • 同級生の訃報
    男「なぁ、死ってどんな感じなんだ?」 霊「ナ、何よ急にっ!ま、まさか…」 男「別に、俺が今すぐ死ぬ訳じゃない。ただ、経験したことが無いから興味を持っただけだ」 霊「ふん、初めて話しかけてきた話題がそれ?随分自分勝手なのねっ!」 男「今まで居て、気が付かなかったのか?それで、どうなんだ?」 霊「残念だけど、別に生きてる時と変わりは無いわよ」 男「そうか…変わりは無いのか」 霊「急にどうしたって言うの?貴方がそんなことに興味を持つなんて?」 男「別にたいした事じゃない。ただ、さっきこんなのが届いてな…」 霊「はがき?」 男「ああ、小学校時代の同級生が死んだらしい」 霊「そ、それで急に気になったって訳…貴方らしいわ、普段は私なんか構いもしない癖に」 男「ま、流石に本人が目の前に居れば気にはなる。それで、今はもう辛くないのか?」 霊「き、気付いて...
  • 俺と小娘の嫌な日々
    俺と小娘の嫌な日々 導入編 今日もいい天気だ。 俺は神にチョイスされた毎食パンの耳でOKな人間!だからそこらのパンピーみたく働く必要はナッシング。 さて、優雅にツンデ霊と戯れるとしよう。 「うへへへ、観念するんだな銅タン いや!やめて!触らないで! そんなコト言っちゃって…本当は感じてるんだろう?」  ぽた、しゅうぅぅ 「こんなに泡をだしちゃって…ハァハァ」 ジョン・レノンも歌ったよな、イマジンは偉大だって。 想像力!萌えあがれ、想像力! 「…ウッ!…ふぅ~エクセレントォ!」 ごしごし 今日も太陽が黄色いぜ。 「……何…やってんのよ…あんた…」 「うおぅッ!?こ、小娘!いつからそこに!」 「…あんたが一人芝居しつつ銅に希硫酸垂らしてるあたりからいたけど?」 「シィィット!!視姦し...
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