「誰だお前」 陰鬱な気分で家に帰ると、今に居た謎の人物に開口一番そう言われた。 「………いや、ていうかお前こそ誰だよ。ここ俺の家なんですけど」 「いやいや、お前が誰だよ。オレん家はここなんですけど」 「…………」 「…………」 二人して沈黙。 そして互いに相手が、女のクセに男口調であることに気づく。 「………! てめえ、ユウイチ!?」 「げっ! 兄貴!!」 ………最悪だ。 「っていうかなんで兄貴女になってんだよ、今年で21だろ」 「うっせ、知るかよ。お医者さんに言わせりゃ『個人差』だってよ」 「………ってゆーか兄貴、ハタチ過ぎても……」 「ああん? てめーこそだろーが。他人のこと笑える立場か、てめー」 「いたたたたたたたっ!! 髪を引っ張るんじゃねーよ!!」 女になったところで兄貴の暴力性に変わりは無いようだ。畜生。 「ってゆーか、髪伸びたなぁ、お前」 「女体化した時、一緒に伸びたんだよ。伸ばしたわけじゃねー」 すると急に兄貴は手を伸ばしてきて……、 「うわっ!? どこ触ってんだよ!」 「なぁんだ、こっちは男の頃と変わってねーな」 「や、止めろって! 止めろ!」 兄貴はニヤニヤしながら手をひっこめる。ありったけの怒気を含ませて兄貴を睨む。が、今やられた行為のせいでどうしても胸の方に目が行ってしまう。 「でかっ!?」 「ああん? ……ああ、そうだぜ? 羨ましーだろ」 ホレホレと押し付けてくる。最低だ。品性やら倫理やら、とにかく最低だ。 「で、トーチャンは?」 「あ? 今日は帰ってこねーよ、いつものトコだよ」 兄貴は一瞬だけ口をポカンと開けると、ガシガシと頭をかきはじめた。 「~~っとに、アイツはよぉ。せっかくカワイイ愛娘が帰ってきてやったってのに」 「…………どこがカワイイんだよ」 「生意気なコト言ったのはこのお口かなぁ?」 「ひへへへへへへへへ!!」 地獄耳め。 「とにかく、オレは腹が減った。なんか作れ」 顎でキッチンを指しながら、俺に命令をしてきた。 「………わぁったよ」 反論しても無駄だ、なんてことはこの16年でみっちり教え込まれている。 「はは、オンナノコの手料理が食えるなんて、俺ってば幸せ者だな」 言いながら兄貴はベランダに出て行った。何をするのかと思うと、タバコに火をつけて吸い始めた。 「あん? 室内で吸わない主義だったっけ?」 「ちげーよ。女の子の前じゃ吸わない主義なの」 「……………んだよ、それ」 今じゃお前だって女のクセに。 「今オレのこと『お前』っつったろ。後でぶっ飛ばす」 「いやいやいやいや?! 今のはモノローグ部分であって普通は人に聞こえない所だよ!?」 ---- 夜が更けた。 恐らく兄貴はこの連休中ずっと家にいるだろう。だからさっさと自分の部屋に引きこもって寝て、朝はさっさと起きて出かけるのが一番の対処策だ。 などと考えながら蒲団に潜り込むと兄貴が普通に入ってきた。 「よっ」 「何でだよ!? 俺ちゃんとカギ閉めたはずなんですけど?!」 「あー、ウルセーウルセー。おら出ろ」 そう言うと兄貴は、俺を蒲団から蹴り出そうとし始める。 「いだっ! 何すんだよ!」 「ほら、オレってば物を自由自在に配置する人じゃん?」 「物を片付けない人と言うな、普通は」 「だからオレの部屋、今蒲団が敷けない状況なのよ」 「っていうか押入れが開かねーんだろ」 「だからお前の蒲団を貸せ」 「はぁ!? ざけんな!」 その間も兄貴の蹴りは止まない。仕返しに蹴り返してやると、そのまま俺の上に倒れこんできた。 「ちょ、どけよ!」 「やだ、このまま寝る」 「……へ?」 言うが速いか、兄貴は器用にスルスルと掛け布団の中に潜り込んでくる。 「お、おい! ちょっ………」 「あー、温いぬくい」 「出てけぇ!」 「いいだろ、こんな美人と一緒に寝れるなんて、またとない機会だぞ」 「そういう問題じゃねーだろ!」 「ああ、お前も女になっちゃったんだもんなあ?」 「そうじゃねー!」 ……ぎゅう。 抱きしめられた。 「な、なんのマネだよ………?」 密着されたせいで、兄貴の胸のボリュームが直接感じられる。 こ、これは……。 「あったけー……」 「って抱き枕か俺は!!」 「まさか」 それだけ言うと、兄貴の手がするすると俺の身体を這って行く。 「ちょ、な………え?」 右手は俺の胸に、左手は下半身へと伸びていく。 「お、おい? ちょっと、マジやめろって……えひゃ?!」 変な声が出た。寝巻の合わせから兄貴の右手が侵入してきたからだ。そのまま兄貴の腕は (省略されました・・全てを読むには夜をお待ちください) ---- 「な、なんのマネだよ………?」 密着されたせいで、兄貴の胸のボリュームが直接感じられる。 こ、これは……。 「あったけー……」 「って抱き枕か俺は!!」 「まさか」 それだけ言うと、兄貴の手がするすると俺の身体を這って行く。 「ちょ、な………え?」 右手は俺の胸に、左手は下半身へと伸びていく。 「お、おい? ちょっと、マジやめろって……えひゃ?!」 変な声が出た。寝巻の合わせから兄貴の右手が侵入してきたからだ。そのまま兄貴の腕は俺の胸を揉みしだいてくる。 「なっ、なにすんだよ!?」 頭の中はパニック状態だ。 「ん~? そりゃ、うら若き乙女二人が一つの布団の中にいるとしたら、ヤる事は一つだろ?」 「やっ、やめ・・・・・・・・・ろぉ!」 「やだ」 兄貴の右手がきゅう、と俺の胸の先端をつまむ。 「あっ、や!」 「ほうほう、いい声だすじゃん」 「てっ………めえ! 殺す……っぞ!」 「ん? 何だよ口答えかー?」 左手が下着の中にもぐりこむ。 「うひゃ!?」 「あれ? なんだお前、まだ生え」「それ以上言ったらマジで殺す!!」 にひひ、と笑いつつ、左手は更に奥へ奥へと進んでいく。 必死で身体を捩じらせて逃げようとするが、身体に張った腕はがっしりと俺を締め付けて離そうとしない。 つぷ。 「うあぁ、あ、あ! 入った! 今入った!」 「過剰反応しすぎだろ? もしかして自分でヤったことねーの?」 「あ、あ、当たり前だろっ!」 「うーわ、カワイイ奴め」 兄貴のする事ひとつ一つに一々反応してしまう自分の身体が情けない。 右手が乳首を引っ張ったり抓ったりする度に、左手が股間を摺たっり時々内部に侵入する度に、ぴくぴくと身体が震えてしまう。 「ん……! ふ……、う……」 「あ? 何だよ、もしかして声我慢してんの? どーせ今日ウチに誰もいねーんだから、声出しちゃえよ」 「………………やだ…!」 「でもなー、そんな事されちゃうと、オレってば益々イジワルしたくなっちゃうワケよ」 「え?」 ガバ! と勢いよく立ち上がったかと思うと、今度は上下逆さまに覆いかぶさってきた。そしてズボンと下着を手際よく脱がせると、 「ちゅう」 「わっ! や、止めろ! ほんと、ダメだって! あ! ダメ! んん!? あ、あ!」 なんとも艶かしい舌使いで俺の秘所を舐めたてるっ。 それはとても優しく、ときに激しく。しかもシテいる音をわざと立てている。それがより一層イヤらしさを増している。 そしてやっぱり兄貴の胸が、へそのあたりを圧迫してくる。 「ほれ、お前もオレのを舐めていいぜ?」 そう言って俺の顔に腰を下ろしてくる。 「だ、あ! 誰が……んん! する……ぅう!? うあ! するかっ! はぁっ!」 「にひひ、もう返事もままならねーな。そんなにイイのか?」 「やめ……ろぉ……ん!」 「つったって、もうお前準備万端じゃねーか」 兄貴は自分の指を一度俺のアソコに突っ込んでから、俺の目の前に持ってきた。………テカテカ光っている。 「て、てめーのヨダレだろ!」 「ふぅん、あっそ」 ずぶ。 「…………~~~っっ!!!」 「お? さっきより随分入るなー?」 「止めろ……って! そ、それ以上入れたら……!」 「破れちゃうってか?」 声は出さず、首だけで肯定する。 「まっさか! 指なんかで破れるかよ。ていうかお前、元男のクセにそんな事気にしてんのな。もしかして『捧げたい相手』でもいんのかよ?」 「!!」 ドキン! と、より一層心臓が脈打つ。そして、脳裏に一瞬だけ――― 「………なんだよ、図星?」 「ち、ちげえ! いねーよっ! そんな奴!!」 な、なんで今アイツの顔が……? 「じゃ、いいじゃん」 再び俺の中に指を入れようとする。 「止めろ! ダメだ! 絶対ダメ!」 「う~ん、じゃ、どうしよっかなー?」 にひひ、と笑いながら考える『フリ』をする。 「な………にをすりゃ、いいんだよ?」 「お、分かってるねー、さすが俺の『妹』。じゃ、お願いするんだな。オレに。女言葉で」 「おん……!?」 「別に、出来ないんならいいんだぜー?」 つぷぷ。 「やめっ……! 分かったから! する、する! お願い!」 にひひ、と兄貴は笑う。悪魔だ。 「お願い……し、ます。俺…、ワタシの……その、あ、アソコ…………に、指を入れるのを、止めて………ください」 屈辱だ。 「まーねー? こんなにカワイイ妹の頼みとあっちゃあ、聞かないワケにはいかないよねー?」 ほっ、と息を吐いたのもつかの間。 「でも、それじゃあオレが収まりつかないワケよ」 「え?」 「なあ、何で童貞のハズのオレが、こんなに上手いか疑問に思わねーの?」 つつつ、と兄貴の指が下半身を滑ってゆく。 「え? なんでって……?」 兄貴の指は恥丘に達し、徐々に下ってゆく。 「つまり、オンナと寝た経験はあるわけよ、オレは」 「え? え?」 そのまま兄貴の指は濡れそぼった俺の秘所へ。……が、そこでは止まらず、更に奥へ。 「なんかな、前じゃないと童貞卒業したコトにならないみたいなんだな、女体化って」 「え? ……え!? ちょ、ちょっと!!?」 そして、そのまま俺の肛門へ……。 「や! ちょっ!」 「前は諦めるけど、後ろは頂くな?」 ず! 「~~~~!!!」 ず、ず。 「おい、もうちょっと緩めないと、入らんぜ?」 「あ………! かは…………っ!」 声が、出ないっ! 「やっぱ初めてのトキは、指より舌の方がいいみたいだな?」 「……………!」 っぽ! という小気味よい音と共に指を引き抜くと、さっきと同じように口を近づける。 「へん……………たいっ」 ようやくそれだけ言う事ができた。 「にひひ。じゃあお前は変態に責められて感じるマゾだな」 夜はまだ始まったばかりだった……。 ----