蟲師(5)




沖つ宮

生きているうちに沈んだ者を、望月の晩、命の種へ変えて吐き出すという“竜宮の海淵”。吐き出された種を飲めば沈んだ命を「生みなおす」ことが出来るという…。噂を聞いて島へと赴いたギンコは村で、父に懇願され死病に犯された母を「生みなおした」という女性に出会う。成長するにつれ、生前の母をなぞるように行動しはじめた娘に戸惑い、ギンコに真相の解明を依頼する。果たして生みなおしの真実は・・・。   母親の愛情が分かります。

眼福眼禍

娘の盲目を治すため、蟲師の父が持ち帰った幻の蟲。それは、娘に初めての光と、見えることの喜びを与えたが・・・。
放浪の途中、街道筋の宿場町でギンコは、見える眼を閉じ、路上で蟲の話を弾き語る奇妙な女に出会う。ギンコが来ることが視えていたという女の頼み、「私の目玉を山に埋めてくれ。」とは一体… 視えないこと 視えることどちらが幸せなんだろう・・・。

山抱く衣

骨董商がギンコに差し出した1枚の羽織は、羽裏(羽織の内側)に描かれた山画から時折煙を立ち上らせるという。一昔前に名を馳せた天才絵師の筆だというその羽織から蟲の気配を感じたギンコは、絵の題材になっている絵師の故郷へと向かう。一枚の羽織が織り成す、絵師と山の物語・・・。  故郷のよさがしみじみと感じます。

篝野行

開墾の途中掘り出された溶岩石から生えた一本の草。村中の誰もが気にしなかったその草は、周囲の草木を枯らしながら瞬く間に山を覆いつくし村へと迫る。新種の蟲の噂を聞き調査にやってきたギンコは、村の蟲師が解決策として下した決定「山を焼き払う事」に疑念を抱き反対するが・・・。 
誤った決断が不幸を呼ぶのかと思いました。

暁の蛇

一昨年前の春を境に、眠ることを忘れた女はそれに伴なって、あらゆる物事を忘れ始めた。団子、蟹、くしゃみ、自分の妹・・・。女の息子から助けを求められたギンコは、その謎を解明し対処法を教えるが・・・。忘れたい記憶・・・。忘れられない記憶。忘れたくない記憶。  記憶の大切さを再確認できました。
最終更新:2006年12月08日 16:30