**序章 ほの暗い洞窟の中、ミノタウロスが何かの肉を食べている。 (違う……食べられているのは自分だ) ぐちゃり、という音が洞窟の中を反響していく。 一旦記憶がブラックアウトする。 自分の体が引っ張られる感覚でぼんやりと意識を取り戻す。 ミノタウロスが吼える声と共に何かが倒れるような大きな音そして誰かの声がする。 「おお、急いで逃げたがいいなあ」 「ああ。それと」 「なるべく遠くに伝えてきてくれ。戦争しようと」 包み込むような暖かい笑い声が聞こえ、視界がホワイトアウトしていく。 ベットの上で、はっと目が覚める。まだ、心臓がドキドキしている。 「またあの夢か……」 どうも、E90で一旦死体になってからよく見るなぁ、と思う鴨瀬。 「前半は悪夢なんだけど、後半、あの声を聞くとなんか安心するんだよなぁ」 紅葉国の方たちに助けられた際、話を聞いてみると、どうやらミノタウロスを倒し、地上に戻してくれたのは黒オーマの人らしい。 「羅幻での戦いの際も、非戦闘員を非難させ、戦いに挑んだというし……」 なんとも漢気にあふれるお方らしい。 「間接的とは言え、命を救っていただいたわけだからお礼を一言申し上げたいな。それに……」 お仕えする主人をあれこれ言える立場ではない。けれども、 「執事としてあのような方を旦那様に出来れば、これほど名誉な事はないだろうなぁ」 **物語背景 戦争準備で忙しい国民を尻目に、お見合いの話を聞いた鴨瀬は 「旦那様を探してきます」 と書置きを残して出て行ってしまった。 **プロフィール(イラスト提供:橘) #ref(kamose1.png) akiharu国 0200031 鴨瀬高次 執事見習いの眼鏡青少年。 趣味はアイロン。 彼の手にかかるとどんな皺の付いたワイシャツも一瞬にしてピンとする。 お見合い→旦那様探し=執事として旦那様に仕える→なら男だけど出ても大丈夫! という非常にゆるい思考でお見合いに参加する。 「いい旦那様にお仕えするぞ!」