泰山府君

 三英雄の一人。百年戦争末期、魔法の発展に大きく貢献した英雄。その出自、来歴はほとんど謎に包まれており、『狐と人の間に生まれた』『死者をも生き返らせられる』などという俗説が世に広まっている。
 百年戦争後期、大量発生した魔物の被害に国が手を焼いていた頃、ミョウジョウの王朝に突如現れ、「万物流動の真理を知りえた。ミョウジョウを王道へと導きたいのなら、私にミョウジョウの魔法研究を一任しろ」と宣言し、反感を覚えた名魔術師たちと幾度の呪術合戦の末、その実力を認められ、明王より呪術をすべる魔王の名『泰山府君』の勲章を授与する。
 驚くべきことに彼が実際に魔術研究のトップとなってから、ミョウジョウの魔法技術はその後40年にわたり急速に発展する。
 その後、「悪路王」「土蜘蛛」「穏神形部」「肉芝仙人」の四人の高名な魔術師、呪術師と共に国内及び国外の魔物達を成敗、封印し、その逸話を各地に多く残し、後に『反魔の象徴』として祭り上げられることとなった。

 しかし終戦の兆しが見えてきたころ、英雄は戦争を放り出し魔法の研究に取り付かれ、神族の正体を明かそうとした。その執念たるや、逸話では十日間断食・断飲・不臥・不休でのただただ机上で魔術を練っていたと語られるほどであったという。
そして七月七日丑三つの晩、「神族のいた世界にへゆく」と言い残し、強力な魔力によってこじ開けた異次元の扉へと消える。

 その後、同じく四人の魔術師達のうち三人も魔法に囚われ『あやかし』となり、最後まで人間であったのは『穏神形部』のみであった。
最終更新:2013年10月22日 23:09