古代文明

 数千年規模の前時代に栄えたと言われる高等先史文明のこと。
 魔法とは異なる形でマナの活用法を確立しており、現行世界を遥かに凌ぐ極めて高度な文明を誇っていた。
 古代人はマナを利用することで豊かで恵まれた生活を実現させていたが、反面マナの大量消費によって世界バランスを著しく乱してもいた。
 その結果として、現在とは比べ物にならないほど強く巨大な魔物(もはや魔神と呼べるレベル)が横行していていたという。
 古代文明は大いなる繁栄を遂げた代わりに、恐るべき魔物の群勢と慢性的な戦闘状態に陥っていたようだ。
 マナの転用技術が絶頂に達した時、遂に史上空前の破壊神級へ至る魔物が出現。猛烈な強攻に抗いきれず、最終的に古代文明は敗北、滅亡した。
 徹底的な魔物の蹂躙によって古代人は絶滅し、マナを使う者が絶え、長い時間が経つことで次第に魔物も消えていった。
 今や古代文明の名残は、各地に眠る遺跡に散見されるのみ。

 古代遺跡は大陸各地で見付かっているが、特に大陸南部の大砂漠地帯に多く埋没している。
 このことから南部南方一帯が、太古の中心地だったと推測する学者は少なくない。

【原神崇拝】

 ウィルドネアと深い関わりを持つ《神族》とは別の神、『原神』(げんしん)を崇め奉る信仰のこと。
 広大な荒野や厳しい砂漠、巨大な山脈、深い渓谷、雄大な大空、遠き海、雄々しい火山、清浄な湖、渡る風、轟く稲妻、暴力的な大嵐、こういった人の力が及ぶべくもない大きな自然そのものへ対し、人理を超越した存在として奉じる原始宗教。
 恵みを齎し人々を救う慈愛の手と、圧倒的な脅威で人の営みを屠る破滅の力、双方を併せ持つ大自然に、畏敬の念を抱いた古人が『原神』というイメージを宛がい、崇拝したのが始まり。
 特に砂漠や荒野が多く、大陸北部や東部に比べて過酷な環境の占める割合が高い大陸南部で根強い。
 南部系の多民族は古来それぞれ別個の『原神』を崇め、舞いや歌、供物や貢物を捧げてきた。それは神への感謝を示す祭りであり、神の機嫌を取る儀式であり、神に願いを送る手段であった。
 尚、『原神』の姿は荒ぶる存在として描かれるため、とても巨大で禍々しく、威厳と威圧感、そして神々しさを備えた異形として残されている。

【原神神殿】

 古代時代の神殿群を指す。
 大自然を神に見立てた『原神』の崇拝へ用いられ、神々と繋がる場所として神聖視されている。
 誰でも気軽に行けるような立地でなく、切り立った断崖の頂や、活火山の麓、大砂漠の真ん中など、人里離れた辺鄙で危険な場に建立されている。
 これは神に近い場所を選んで造られているため。
 今でも敬虔な『原神』崇拝者は、厳しい困難を顧みず巡礼の旅へ赴いている。
 その歴史は相当古く、人々の意思が一点に集う要地なため、神殿内部には『原神』へ奉納された膨大な財宝が眠っているという。
 漫然と造られているわけではなく、霊的地脈の流れなどを勘案したうえで、複数の地脈が交わり常に高エネルギーを有する基点へ、配置や構造を計算し尽くして設計された代物。
 神殿それ自体が一つの装置として働き、その機能によって大自然へ対流する『氣』が集められ、練り上げられ、固着して、形骸を成し、蓄積された人々のイメージが投影され、実像を結ぶことで、本来は崇拝の対象としてしか存在しない筈の『原神』を、神殿稼動域にて顕現させている。
最終更新:2013年10月20日 12:32