決意:7スレ目28

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決意:7スレ目28 - (2011/01/20 (木) 22:50:27) の1つ前との変更点

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//まとめサイト作成支援ツール@wiki http://atwiki.jp/matome/ //編集URL: http://atwiki.jp/matome/editor?url=http%3A%2F%2Fex14.vip2ch.com%2Ftest%2Fread.cgi%2Fnews4ssnip%2F1295402665%2F //掲示板タイトル: 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.7 //掲示板URL: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295402665/ :28. &aa2(#008000){VIPにかわりましてNIPPERがお送りします} 2011/01/20(木) 21:40:31.58 ID:ESsn0w5F0|&aa2(c){ 『決意』 &br() &br() &br() 荷造り―― &br() &br() 深夜、俺は桐乃の部屋で明日に備えて荷造りをしていた。 &br() 当然俺の横には桐乃がいる。 &br() 不安そうな表情を抱えて、俺の作業をジッと見つめている。 &br() &br()「なあ、桐乃……お前の気持ちに変わりはないな」 &br()「ずっと考えていたことだから……あたしは、兄貴さえ一緒なら……」 &br() &br() ひと月前に桐乃から話を持ち出され、俺は悩みになやんだ挙句、決意した。 &br() もう後戻りは出来ない。 &br() &br()「ねぇ、飛行機のチケットは兄貴が持ってて、あとホテルの予約も兄貴の名前でしてあるから」 &br()「桐乃……俺に甲斐性がないばかりに……何からなにまですまねぇ」 &br() &br() 無言で首を横に振る桐乃。 &br() 俺たちはこのひと月の間、ずっと話し合ってきた。 &br() 万が一にも親父やお袋に知れたら反対されるのは眼に見えていた。 &br() なにしろ俺たちは実の兄妹なのだから……。 &br() &br()「持ち出す物はこれぐらいでいいだろう。 &br() 明日は親父やお袋が起きる前に……家を出る。……いいな、桐乃」 &br() &br() 桐乃は部屋をゆっくりと見回した。 &br() 俺と一緒にエロゲーをやったデスクトップパソコン、メルルのポスター、 &br() そして、コレクションの詰まった……押入れ。 &br() 車のない俺たちに持ち出せるものは自ずと限られている。 &br() &br()「ねぇ、兄貴……これは、持っていったらだめかなぁ」 &br()「……着替えとかでめいっぱいだからな。……でも、お前にとっちゃ大切なもんだろ。 &br() 俺が持っていくから安心しろ」 &br() &br() ひと通りの荷造りを終えて、俺は桐乃と明日の最終確認をした。 &br() &br()「朝、5時になったら俺が壁を叩く、準備が出来ていたら叩き返せ」 &br()「わかった。……でも……兄貴は本当にあたしとなんかでいいの?」 &br() &br() もしかしたら、これが踏みとどまる、最後のチャンスなのかもしれなかった。 &br() 明日、家から一歩出てしまえば、俺たちは世間の笑いものになるかもしれない。 &br() 実の兄と妹のくせにと。 &br() しかし、桐乃の本心を知ってしまった以上、俺にはもう……。 &br() 返事の代わりに桐乃の頭に手を載せて、優しくなでてやった。 &br() &br()「じゃあ、5時だから……忘れんなよ」 &br() &br() 少しだけ頬を赤く染めて、桐乃は頷いた。 &br()} :29. &aa2(#008000){VIPにかわりましてNIPPERがお送りします} 2011/01/20(木) 21:41:11.19 ID:ESsn0w5F0|&aa2(c){ 決行―― &br() &br() 俺は着替えを済ませ、時計を確認してから桐乃の部屋側の壁を小さく叩いた。 &br() それを待っていたかのように、桐乃からも合図のノックがあった。 &br() 廊下に出て、俺は一度だけ部屋を見回し……ドアを閉めた。 &br() &br()「……桐乃、俺が先に下りて様子を見るから、お前は俺のあとから降りてこい。 &br() 分かってるとは思うが、絶対に音を立てるなよ」 &br() &br() 両手いっぱいに荷物を持ち、俺の言葉に無言で頷く桐乃。 &br() 下の様子を伺いながら、俺は慎重に一歩ずつ階段を下った。 &br() 廊下にもリビングにも人の気配は無かった。親父もお袋もまだ寝ているのだろう。 &br() 桐乃に降りてくるよう手招きする。 &br() &br()「……兄貴、大丈夫そう?」 &br()「ああ、二人ともまだ寝てるみたいだ」 &br() &br() 桐乃の顔は、まだ早朝で廊下が薄暗いにも拘らず、期待と不安で紅潮しているのがわかる。 &br() 俺が先に靴を履き、桐乃の荷物を持ってやる。 &br() 桐乃が玄関の框を降りて靴を履こうとしたそのとき……。 &br() 真っ暗なリビングの扉が開き、無表情の親父が顔を出した。 &br() &br() &br() 発覚―― &br() &br()「京介、こんな朝っぱらからどこへ行くつもりだ」 &br()「お、親父……起きてたのか」 &br() &br() 靴を履きかけていた桐乃の顔面が一瞬のうちに蒼白になり、身体が硬直しているのが分かった。 &br() &br()「聞こえなかったのか? 俺はお前に、どこへ行くのだと聞いたんだが」 &br() &br() 地底から湧き上がるような親父の声。予想外の展開に、俺も桐乃も声が出ない。 &br() 俺達が俯いて黙っていると、親父の背後からお袋の声がした。 &br() &br()「あんたたち、福岡へ行くつもりでしょう」 &br()「お、お袋、なんでそれを……」 &br() &br() お袋に代わって、親父が口を開いた。 &br() &br()「母さんはな、最近お前たちの様子がどうもおかしいと、ずっと気に掛けていたそうだ。 &br() それで先日、桐乃の部屋を掃除した際に航空機のチケットを見つけたそうだ。 &br() ……今日の福岡行きのな」 &br() &br() 桐乃が眼を見開いてお袋を見つめた。 &br() しかし、お袋は親父の陰になっていて表情が窺い知れなかった。 &br() 再び親父が口を開く。 &br() &br()} :30. &aa2(#008000){VIPにかわりましてNIPPERがお送りします} 2011/01/20(木) 21:41:54.41 ID:ESsn0w5F0|&aa2(c){「なあ、京介……それに桐乃もよく聞いてくれ。 &br() お前たちがやろうとしていることを見て、世間はなんて言う。 &br() それが分からんお前たちではなかろう」 &br() &br() それまでジッと黙っていた桐乃が、初めて親父に噛み付いた。 &br() &br()「だって好きなんだもん! 愛してると言ってもいい」 &br() &br() 桐乃は以前、親父にオタク趣味がばれたときに、なにも言い返せなかったと悔し泣きした。 &br() しかし、今日は自分の気持ちを真正面から親父にぶつけた。 &br() そんな桐乃を見て、俺だって黙っていられるわけがねぇ。 &br() &br()「そうだよ親父、桐乃が好きなんだからしょうがねぇじゃねぇか! &br() いくら親父が止めたって、俺たちはもう後戻りはできねぇ」 &br() &br() 桐乃は胸にずっと溜まっていた気持ちを、親父にぶつけたことで勇気付けられたのか、 &br() 一気に捲くし立てた。 &br() &br()「お父さん、それにお母さんもよく聞いて、 &br() あたし……本当に好きなの。考えただけで、もう胸がいっぱいになんの。 &br() だから正直にあたしの思っていることを、兄貴に伝えたの……」 &br() &br() そこまで言うのが精一杯で、桐乃は手で顔を押さえて嗚咽した。 &br() そんな娘の姿を目の当たりにした親父は、言葉が継げずに腕を組んで瞑目した。 &br() 俺達の間に重苦しい時間だけが過ぎてゆく。 &br() やがて、親父は諦めたような口調で……。 &br() &br()「お前たちのことを認めるわけじゃない。しかし、家を出る前にこれだけは聞いてくれ……」 &br() &br() まさか、俺達を油断させておいて、二人を引き離そうというんじゃ……。 &br() そうはさせてはなるものかと、俺はゆっくりと桐乃と体勢を入換え、親父との間に割って入った。 「京介、心配するな。お前たちを引き離そうなんてことは考えていない。だが、これだけは聞いてくれ」 &br() &br() 親父は溜息を吐くと、苦渋に満ちた顔でゆっくりと口を開いた。 &br() &br()「京介、桐乃。……お前たちの着ている、その背中に漫画が描かれたピンクの半纏だけは脱いでいってくれ。 &br() それから京介、お前が頭に巻いている……バンダナも。 &br() 福岡で三日間開催される……アニメフェスティバルに参加するのに、なにも家から着てゆくことはあるまい」 &br() &br() 俺はてっきり、この前のように殴られるものと覚悟していた。 &br() 親父の言葉に全身の力が抜けてゆく。 &br() お袋が親父の背後で、リビングの壁を叩いて大笑いをしている。 &br() &br() 桐乃が襟首に挿し込んでいたメルルの団扇が、ポロリと玄関の床に落ちた。 (完) &br()                              Presented by ◆Neko./AmS6 &br() &br()}  
//まとめサイト作成支援ツール@wiki http://atwiki.jp/matome/ //編集URL: http://atwiki.jp/matome/editor?url=http%3A%2F%2Fex14.vip2ch.com%2Ftest%2Fread.cgi%2Fnews4ssnip%2F1295402665%2F //掲示板タイトル: 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.7 //掲示板URL: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295402665/ :28. &aa2(#008000){VIPにかわりましてNIPPERがお送りします} 2011/01/20(木) 21:40:31.58 ID:ESsn0w5F0|&aa2(c){ 『決意』 &br() &br() &br() 荷造り―― &br() &br() 深夜、俺は桐乃の部屋で明日に備えて荷造りをしていた。 &br() 当然俺の横には桐乃がいる。 &br() 不安そうな表情を抱えて、俺の作業をジッと見つめている。 &br() &br()「なあ、桐乃……お前の気持ちに変わりはないな」 &br()「ずっと考えていたことだから……あたしは、兄貴さえ一緒なら……」 &br() &br() ひと月前に桐乃から話を持ち出され、俺は悩みになやんだ挙句、決意した。 &br() もう後戻りは出来ない。 &br() &br()「ねぇ、飛行機のチケットは兄貴が持ってて、あとホテルの予約も兄貴の名前でしてあるから」 &br()「桐乃……俺に甲斐性がないばかりに……何からなにまですまねぇ」 &br() &br() 無言で首を横に振る桐乃。 &br() 俺たちはこのひと月の間、ずっと話し合ってきた。 &br() 万が一にも親父やお袋に知れたら反対されるのは眼に見えていた。 &br() なにしろ俺たちは実の兄妹なのだから……。 &br() &br()「持ち出す物はこれぐらいでいいだろう。 &br() 明日は親父やお袋が起きる前に……家を出る。……いいな、桐乃」 &br() &br() 桐乃は部屋をゆっくりと見回した。 &br() 俺と一緒にエロゲーをやったデスクトップパソコン、メルルのポスター、 &br() そして、コレクションの詰まった……押入れ。 &br() 車のない俺たちに持ち出せるものは自ずと限られている。 &br() &br()「ねぇ、兄貴……これは、持っていったらだめかなぁ」 &br()「……着替えとかでめいっぱいだからな。……でも、お前にとっちゃ大切なもんだろ。 &br() 俺が持っていくから安心しろ」 &br() &br() ひと通りの荷造りを終えて、俺は桐乃と明日の最終確認をした。 &br() &br()「朝、5時になったら俺が壁を叩く、準備が出来ていたら叩き返せ」 &br()「わかった。……でも……兄貴は本当にあたしとなんかでいいの?」 &br() &br() もしかしたら、これが踏みとどまる、最後のチャンスなのかもしれなかった。 &br() 明日、家から一歩出てしまえば、俺たちは世間の笑いものになるかもしれない。 &br() 実の兄と妹のくせにと。 &br() しかし、桐乃の本心を知ってしまった以上、俺にはもう……。 &br() 返事の代わりに桐乃の頭に手を載せて、優しくなでてやった。 &br() &br()「じゃあ、5時だから……忘れんなよ」 &br() &br() 少しだけ頬を赤く染めて、桐乃は頷いた。 &br()} :29. &aa2(#008000){VIPにかわりましてNIPPERがお送りします} 2011/01/20(木) 21:41:11.19 ID:ESsn0w5F0|&aa2(c){ 決行―― &br() &br() 俺は着替えを済ませ、時計を確認してから桐乃の部屋側の壁を小さく叩いた。 &br() それを待っていたかのように、桐乃からも合図のノックがあった。 &br() 廊下に出て、俺は一度だけ部屋を見回し……ドアを閉めた。 &br() &br()「……桐乃、俺が先に下りて様子を見るから、お前は俺のあとから降りてこい。 &br() 分かってるとは思うが、絶対に音を立てるなよ」 &br() &br() 両手いっぱいに荷物を持ち、俺の言葉に無言で頷く桐乃。 &br() 下の様子を伺いながら、俺は慎重に一歩ずつ階段を下った。 &br() 廊下にもリビングにも人の気配は無かった。親父もお袋もまだ寝ているのだろう。 &br() 桐乃に降りてくるよう手招きする。 &br() &br()「……兄貴、大丈夫そう?」 &br()「ああ、二人ともまだ寝てるみたいだ」 &br() &br() 桐乃の顔は、まだ早朝で廊下が薄暗いにも拘らず、期待と不安で紅潮しているのがわかる。 &br() 俺が先に靴を履き、桐乃の荷物を持ってやる。 &br() 桐乃が玄関の框を降りて靴を履こうとしたそのとき……。 &br() 真っ暗なリビングの扉が開き、無表情の親父が顔を出した。 &br() &br() &br() 発覚―― &br() &br()「京介、こんな朝っぱらからどこへ行くつもりだ」 &br()「お、親父……起きてたのか」 &br() &br() 靴を履きかけていた桐乃の顔面が一瞬のうちに蒼白になり、身体が硬直しているのが分かった。 &br() &br()「聞こえなかったのか? 俺はお前に、どこへ行くのだと聞いたんだが」 &br() &br() 地底から湧き上がるような親父の声。予想外の展開に、俺も桐乃も声が出ない。 &br() 俺達が俯いて黙っていると、親父の背後からお袋の声がした。 &br() &br()「あんたたち、福岡へ行くつもりでしょう」 &br()「お、お袋、なんでそれを……」 &br() &br() お袋に代わって、親父が口を開いた。 &br() &br()「母さんはな、最近お前たちの様子がどうもおかしいと、ずっと気に掛けていたそうだ。 &br() それで先日、桐乃の部屋を掃除した際に航空機のチケットを見つけたそうだ。 &br() ……今日の福岡行きのな」 &br() &br() 桐乃が眼を見開いてお袋を見つめた。 &br() しかし、お袋は親父の陰になっていて表情が窺い知れなかった。 &br() 再び親父が口を開く。 &br() &br()} :30. &aa2(#008000){VIPにかわりましてNIPPERがお送りします} 2011/01/20(木) 21:41:54.41 ID:ESsn0w5F0|&aa2(c){「なあ、京介……それに桐乃もよく聞いてくれ。 &br() お前たちがやろうとしていることを見て、世間はなんて言う。 &br() それが分からんお前たちではなかろう」 &br() &br() それまでジッと黙っていた桐乃が、初めて親父に噛み付いた。 &br() &br()「だって好きなんだもん! 愛してると言ってもいい」 &br() &br() 桐乃は以前、親父にオタク趣味がばれたときに、なにも言い返せなかったと悔し泣きした。 &br() しかし、今日は自分の気持ちを真正面から親父にぶつけた。 &br() そんな桐乃を見て、俺だって黙っていられるわけがねぇ。 &br() &br()「そうだよ親父、桐乃が好きなんだからしょうがねぇじゃねぇか! &br() いくら親父が止めたって、俺たちはもう後戻りはできねぇ」 &br() &br() 桐乃は胸にずっと溜まっていた気持ちを、親父にぶつけたことで勇気付けられたのか、 &br() 一気に捲くし立てた。 &br() &br()「お父さん、それにお母さんもよく聞いて、 &br() あたし……本当に好きなの。考えただけで、もう胸がいっぱいになんの。 &br() だから正直にあたしの思っていることを、兄貴に伝えたの……」 &br() &br() そこまで言うのが精一杯で、桐乃は手で顔を押さえて嗚咽した。 &br() そんな娘の姿を目の当たりにした親父は、言葉が継げずに腕を組んで瞑目した。 &br() 俺達の間に重苦しい時間だけが過ぎてゆく。 &br() やがて、親父は諦めたような口調で……。 &br() &br()「お前たちのことを認めるわけじゃない。しかし、家を出る前にこれだけは聞いてくれ……」 &br() &br() まさか、俺達を油断させておいて、二人を引き離そうというんじゃ……。 &br() そうはさせてはなるものかと、俺はゆっくりと桐乃と体勢を入換え、親父との間に割って入った。 &br() &br()「京介、心配するな。お前たちを引き離そうなんてことは考えていない。だが、これだけは聞いてくれ」 &br() &br() 親父は溜息を吐くと、苦渋に満ちた顔でゆっくりと口を開いた。 &br() &br()「京介、桐乃。……お前たちの着ている、その背中に漫画が描かれたピンクの半纏だけは脱いでいってくれ。 &br() それから京介、お前が頭に巻いている……バンダナも。 &br() 福岡で三日間開催される……アニメフェスティバルに参加するのに、なにも家から着てゆくことはあるまい」 &br() &br() 俺はてっきり、この前のように殴られるものと覚悟していた。 &br() 親父の言葉に全身の力が抜けてゆく。 &br() お袋が親父の背後で、リビングの壁を叩いて大笑いをしている。 &br() &br() 桐乃が襟首に挿し込んでいたメルルの団扇が、ポロリと玄関の床に落ちた。 &br() &br() &br() (完) &br()                              Presented by ◆Neko./AmS6 &br() &br()}

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