沙織「タイが曲がっていてよ」:452

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452 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:48:03.18 ID:zZuVFrAs0 変わらないものを変わらないように維持していくのはそれなりに大変だ。 時間が経てば、変わる。それは自然の摂理なんだからな。 例えば、俺や麻奈実は大学生活3年目に突入するし、 黒猫と沙織、ついでに瀬菜もめでたくこの春から大学生。桐乃はこの冬受験だ。 就職活動もしなきゃなんねーし、みんなも今よりもっと明確に 将来について真面目に考えなきゃいけないだろう。 ずっと今のままではいられない。 それは例えば沙織の姉が結婚し、海外へ行ってしまった為に 彼女を中心としたコミュニティーが空中分解してしまったように。 いずれは俺に彼女ができたり、あるいは、誰かに彼氏ができたり、 仕事の都合で遠くに引っ越す事になったり、それこそ海外とか。 何があるのが分からないのが人生なんだ。 それを面白いって言うヤツもいるだろう。 まさに俺の人生はそんな感じだったから、同意しなくもない。 だけど、こんな風になるなんて、いくらなんでも想定外だった。 453 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:49:02.86 ID:zZuVFrAs0 「またお前に先輩って呼ばれる日が来ようとはな」 「おや、拙者も今年からは後輩になるでござりますぞ」 「ああ、宜しく頼むよ、沙織」 入学式を終えて出てきた2人と合流する。 沙織はともかく、黒猫までここに受かるというのは 正直難しいと思ってたんだがどうやら見くびっていたらしい。 「まあ、先輩の目は節穴ですからね」 「む……」 悔しいが言い返せない。麻奈実は黒猫の合格を信じて疑わなかったからな。 ちなみに俺と沙織は経済学部、麻奈実は商学部、黒猫は文学部だ。 「その点については悪かったよ。悪かった。反省してるし、謝るよ」 「ふん……、分かれば良いのよ」 2つ下の女の子に頭が上がらない俺である。 「まぁ、ここに突っ立ってても仕方ない。行こうぜ」 「そうでござるな」 「行こう、と簡単に言うけれどね……」 454 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:49:51.77 ID:zZuVFrAs0 そこで言葉を区切った黒猫の視線の先にあるもの。 激しい掛け声やら校歌斉唱やら何やらしながら無数のプラカードが踊っている。 決してデモとかそういうんじゃないぜ。 この季節、どの大学でも見られる至って一般的な恒例行事だ。 「……あそこを無事通り抜けられたら、の話ね」 「だな」 新入生をサークル勧誘せんと、校門前に大挙として押し寄せている人間の波だった。 実は先ほどから視線が痛い。 この場所にスーツを着て立っていれば大体新入生である事が確定していて 彼らにしてみれば端から声をかけたいぐらいの気持ちでいるはずだ。 しかし、ここに1人、強烈に目を惹く女の子が立っている。 黒く長い髪を綺麗に結わえ、凛とした目に薄化粧の黒猫、こと五更瑠璃は この数年で桐乃ですら驚くほどの成長を遂げていた。 背はさほど変わらないものの、手足はすらりと細くなり、 顔つきも以前の堅さが少し取れ、高嶺の花、クール系美人へと進化し 高校では一、二を争うほどの人気になっていると瀬菜から聞いた。 本来ならその横に立つ、180センチの美少女、槙島沙織はそれに劣らぬどころか 俺の知る限り、あやせにすら匹敵する美貌の持ち主――つまり世界最高水準――だ。 しかし、いつものぐるぐる眼鏡は今も肌身離さず 身につけているからパッと見には分からないんだろうな。 455 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:50:54.17 ID:zZuVFrAs0 あーあー。まるで獲物を見る狼の目つきだぜ。 どうしたもんかねえ。 頭を悩ませていると、沙織はこちらに振り向いてω←こんな口を形作っている。 何か悪い企みを思いついた顔だぞ、これ。 「にゅふふ」 「沙織、なんか企んでるだろ」 「いやいや。そのような大げさなものでは決して。ええ」 そう言って沙織はするりと俺の左腕に自分の右腕を絡ませてきた。 「なっ!?」 「これでそう簡単に、彼らも声を掛けられなくなったのではござらぬか?」 ちょっと抵抗ある、というか恥ずかしいが沙織の言う事には一理ある、気がした。 本当だぜ? 決して邪な考えじゃないって。マジで。 「それじゃあ私も」 「おう!?」 すると黒猫も反対側、俺の右腕を取って自身の身体を押し付けてきた。 「く、黒猫まで……」 「この状況で声を掛けてくるような愚劣な輩はいないでしょうね」 「うむうむ」 「さぁ、行きましょうか。先輩」 456 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:51:36.96 ID:zZuVFrAs0 勧誘を企てていたサークルの人間たち、 特に野郎どもの視線は針どころか槍のムシロだ。 そりゃまぁそうだろうなあ。女2人を両脇に侍らせて 何だアイツはって思われてるに違いない。 それに、こう言っちゃ語弊になるかもしれんが、 サークルの男たちは美味しくいただける 新入生の女の子を探しに来てるヤツが相当多いはずだ。 とんびに油揚げをかっさわれた心境だろうよ。 射殺すような視線は努めて無視。 校門を出るまで、まるで生肉をぶら下げられたライオンの前を 裸で通っているような心持ちだったね。 「やれやれ。もう離れても大丈夫だよ、沙織、黒猫」 「? なぜでござる?」 「なぜって……」 相変わらずニヤニヤしながら聞き返してくる沙織。 くそう。ちっと恥ずかしがらせてやろうかな。 「……ってんだよ」 「はぁ? なんでござるか?」 「だから、胸が当たってるんだよ」 「当ててんだよ。言わせんな恥ずかしい」 見事なカウンターだった。 ガックリとうな垂れたいところだったが、 両脇を固められていてはそうもいかない。 そんな情けない姿の俺を、黒猫が見上げていた。 458 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:52:18.05 ID:zZuVFrAs0 「……」 「ど、どうした、黒猫?」 「……どう?」 どうって何がだ。心なしか黒猫は頬を紅く染めている。 そう言えばなんだか右腕がちょっと苦しい。 「私も当てているのよ。言わせないで、恥ずかしい」 「~~~~ッ!?」 聞いて真っ赤になったが、すまん、黒猫。 スーツの上からだとあんまり感じない。 いや言われてみればちょっと感じるんだけど 左からくる圧力がちょっと凄すぎてヤバイ。 津波の前の小波って感じだ。 とにかく、2人とも腕を離す気はないらしい。 俺は予め考えていた定食屋へとやや早足で進んでいくのだった。 459 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:53:04.84 ID:zZuVFrAs0 「でさ、真面目な話、2人ともサークルには入らねーのか?」 「拙者は既にいくつか興味のあるところは調べているでござる」 さすが沙織。その辺は抜かりないな。 「ただ、あまりサークルに捕らわれたり縛られたりは御免ですので  もう少し情報を集めてから決めようかと」 「私は、今のところ、あまりその気はないわね」 まあ黒猫らしい。コイツ、昔ほどじゃないけど積極的に人と関わるの下手だもんな。 「そっか。ただ就活する時に、サークルって1つの指標になるから  ムリじゃない範囲で参加しておくと、何かと楽になるぜ」 「そうね。考えておくわ」 「おう」 出された鯖の塩焼き定食を頂いて腹ごしらえをしていると、携帯が鳴った。 麻奈実からのメールだ。 「どうしたの?」 「えーと、『2人に会えた? 宜しく伝えておいてね~』だとよ」 「マメでござるなぁ」 ちなみに黒猫には麻奈実が勉強を教えていたので、 合格発表の時は自分の事のように喜んでいたし、 門出の日に駆けつけたがっていたのだった。 しかしアイツは今日は外せない用があり、来れない事は予め分かっていた。 相当残念がってたなぁ。 『もー、るりちゃんの晴れ舞台だよぉ? それなのにぃ……』 462 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:05:32.83 ID:zZuVFrAs0 まぁ、こういうのはタイミングってヤツだ。 そして間の悪さって意味ではアイツは結構悪い方なんだよな。 「さて、京介氏。拙者この後いろいろ買い物したいのでござるよ」 「ん? おお。じゃあ荷物持ち手伝うぜ」 「かたじけのうござる」 大学入ると何かと物が入り用になる。 それは自分たちの時に経験済みだ。 先輩として、男としてここは手伝ってやらにゃ。 「……」 しかし黒猫はちょっとムスッとしている。 「黒猫?」 「いえ、なんでも、ないわ」 全然なんでもなさそうじゃないんだけどなぁ。 でも俺には心当たりが全然なかった。 沙織に助けを求める視線を送ると、同様に?が浮かんでいる。 が、何か思い当たったらしい。 「黒猫氏、拙者……」 「いえ、沙織。良いのよ。ごめんなさい。大丈夫」 「しかし」 「大丈夫よ」 こうなると黒猫は引かねーんだよなあ。 463 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:08:36.68 ID:zZuVFrAs0 「後で先輩に埋め合わせしてもらうから」 なんて、そんな不穏な発言をして。 「ところで、何を買うのかしら?」 「ええ。必要なものはこのリストにまとめてあるでござるよ」 肩を寄せ合ってリストを見ている2人はなんだか姉妹みたいで微笑ましい。 「つか沙織は、いつまでその眼鏡かけてるんだ?」 「うーむ。難しい質問でござる。ですが拙者、まだしばらくは手放さないつもりでござる。にんにん」 以前は俺たちネットを通じて知り合った仲間の前、という前提でのみ眼鏡をかけていて 普段は特にキャラを作らず過ごしていたはずだったんだが、いつしか沙織は 常日頃から眼鏡をかけるようになっていった。 もったいない気がするが、こればっかりは本人の決める事だしな。 「よし。んじゃ買い物行くか。とりあえずハンズあたりか?」 「そうでござるな。道案内は宜しくお頼み申す」 「あいよ。あ、すいませーん、会計お願いします」 まぁ先輩だし、おめでたい日だし? これぐらいは奢っとかねーとな。 その後、電車で移動し色々と必要な物を買い揃え終わる頃には太陽が沈んですっかり暗くなっていた。 「今日は本当に助かったでござる」 「いつもお前に助けられる事の方が多いんだ。たまには恩を返させろよ」 「京介氏……」 464 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:10:07.67 ID:zZuVFrAs0 ちょっと温かい空気。くすぐったくなるけど、心地いい。 しかしそんな中、黒猫は1人黙り込んでいる。 それを敏感に察した沙織ではあったのだが、何故だろう。 なんかニヤニヤしている。いつもなら気を遣ってフォローに入るなり何なりするのに。 「京介氏」 「ん?」 「今日は火曜でござる」 「そうだな」 それが何だって言うんだ? 「黒猫氏は、試験などでバタバタして、久しく時間が取れませんでしたからなあ」 「っ……沙織!」 珍しく声を荒げる黒猫だったが、そこまで言われてようやく俺も気がついた。 というか、思い出したのか、それとも意図的に目を背けていたのか。 そんな事を自問自答するのも恥ずかしすぎた。 465 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:11:07.64 ID:zZuVFrAs0 「にゅふふ。それでは邪魔者は退散すると致しましょうぞ。それではまたっ!」 「あ……」 「……」 気まずい。クソ、沙織のヤツめ。この甘ったるい空気。 先ほどのちょっと温かい空気が比にならない気恥ずかしさだ。 それでも、男だからな。俺。 「く、黒猫」 「……何かしら」 1つ咳払いをして。 「寄ってくか?」 「……」 黒猫はちょっと躊躇ったのか逡巡したのか。 「ええ」 それでも、頬を紅く染めて、そう答えた。 466 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:12:27.15 ID:zZuVFrAs0 電車で、徒歩で、移動している間。俺たちは一言も話さなかった。 昼間は沙織と競うように絡ませていた腕も、今は手を握るのみ。 パッと見には、2人の距離は遠くなったように見えるが、 固く握り合った感触は、俺と黒猫が物凄く近くにいるように感じられた。 駅から徒歩5分。学生が住むにはちょっと広めの1LDK。 自宅から通えなくもない場所の大学に通う俺が、 こうして部屋を宛がわれているのは、とある理由があった。 手を解いて鍵を出す。ガチャリと回してドアを開け、靴を脱いで家にあがった、 ところで、後ろから黒猫に抱きつかれた。 「黒猫?」 「……2人きりの時は、もう1つの名前で呼んで頂戴と、言ったはずよ」 「そう、だったな、瑠璃」 黒猫が『仮の名前』と称している本当の名前。 それを呼ぶと黒猫は、さらに強く俺を抱きしめた。 「ずっと、来れなくて、寂しい思いをしたのよ。  こんな事を言うなんて、私も随分弱くなったものだけれど」 「……そうでもないだろ。弱さを曝け出せるのも、強さの1つだと俺は思うぜ」 「ふふ」 ちょっと笑って、黒猫は腕の力を緩めると 「……今日は、いっぱい愛してくれるのよね」 「御意」 468 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:13:26.03 ID:zZuVFrAs0 部屋の明かりは点けないまま、黒猫の手を取り寝室へと進んでいく。 お互いにとって勝手知ったる間取りに歩は鈍らない。 ドアを閉め、部屋の真ん中にあるベッドに腰掛ける。 そして黒猫はそこが指定席かのように俺の隣に座った。 ……何度こうしても、この時間だけは緊張する。 いや、緊張も何もなくなったら、それはそれで寂しい話だよな。 黒猫も緊張しているっぽい。元々黒猫はそういう傾向があるけど 今日は本当に久しぶりだ。それこそ、3ヶ月ぶりか? うーむ。上手く出来るかどうか、心配だ。 先に動いたのは情けない事に黒猫。 ついっと身を寄せると俺の頬に軽く唇を触れさせた。 緊張しているけれど、それ以上に期待している瞳。 白い肌と、見事なコントラストになった黒い髪、長い睫毛、大きな瞳。 そして、小さくてぷっくりとした紅い唇。 そんな黒猫が愛しくて、今度は俺から頬に軽いキス。 一度離れて、今度は互いに引き寄せられるように唇を重ねる。 「ぁ……」 そんな小さな吐息が黒猫の口から漏れ、黒猫の瞳がとろんとした。 背筋がぞくぞくして、思わず身体を強く抱き寄せ合って、熱烈に口付け合った。 キスの間あいだに熱い息が零れ、火照った声が聞こえる。 ぴくんぴくんと反応する黒猫が可愛くて脳が蕩けそうだ。 469 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:14:20.54 ID:zZuVFrAs0 どちらの唾液ともつかないじゅるじゅるしたものを貪って与えてまた貪って。 黒猫の手は俺の背中から上半身へとまさぐるように動き、やがてボタンを上から順に外していく。 キスはもちろん止まらないまま、意図を汲んで俺はシャツを脱ぎ捨てる。 お返しとばかりに黒猫のジャケット、そしてシャツのボタンを外してやると 黒猫もまた、上着とブラを脱ぎ捨て、直接肌と肌を擦るように重ね合わせた。 胸の辺りに当たる少し固い突起は黒猫の乳首がピンと立っている証だ。 黒猫の背中に、あるいは頭に、腰に回していた右手をそっと左胸に沿わせると 少し大きく声をあげて反応した。 「んぅっ」 キスの応酬はそこで一旦休憩。お互いに荒い吐息のまま、ステージは第2ラウンドへ。 「瑠璃の乳首、固くなってるな」 「そ、そういう事……んっ、言わない、でっ、あぁっ、ちょう、だい……くぅん!」 久々なのであまり強い刺激は辛いだろう。 優しく乳房を下から持ち上げるように触り、ゆっくりと円を描くように愛撫する。 「ふぁ……ん……んん……」 471 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:17:00.38 ID:zZuVFrAs0 黒猫が、俺の膝の上で、快感に集中するように目を閉じている。 その姿があまりにも可愛くて、俺は空いている首筋に軽くキスした。 「ひゃんっ! そ、それは……ダメ……くび、よわいの……知ってるくせにぃ……」 「瑠璃」 「な、なに……」 「可愛い」 言ってもう一度、首筋にキス。 「ば、ばかぁ……!」 黒猫の顔はもう蕩け切っていて、大理石みたいな肌はうっすら桃色に染まっているようだった。 身体を少し浮かせ、穿いたままのスカートを捲り上げると、黒猫は何をされるか察知したのだろう。 「ちょ、ちょっと……だめ……」 抗議の声を挙げたが、それで止まってやれるほど、俺も余裕はない。 少しでも優しく触れてやるので精一杯だった。 「ッ!……っあ……はぁっ……」 「すげえ、熱い……」 黒猫の秘所はすでにびしょびしょで、ショーツの上からでもその潤いが瞭然だ。 それにクリトリスも勃起しているのが分かる。 こっちもいきなりは控えた方が良いだろう。 人差し指と薬指で蜜壷の周りをゆっくり上下に撫で上げた。 「ぁ、ぁぁっ……そ、それ……んっ、んっ……」 473 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:18:51.40 ID:zZuVFrAs0 大丈夫だろうか、黒猫の身体がさっきからぴくぴくしていて、もしかしたらイキそうなのかもしれない。 これじゃ挿入なんてしたらショック死しかねない。 「瑠璃、一回イっとけ」 「ふぇ、い、いくって、どこ……あ、あぁっ!?」 乳首とクリトリス。敏感なところを弄りながら、首筋にキス。 もう限界近かったのだろう。 「ひぁっ! ぁっ! だめ、い、うっ、あ、はっ、やっ! っく、ぁぁぁぁっ!」 俺の身体にしがみつく様にして、びくびくと大きく揺れ、黒猫は達した。 「くっ、は……は……はぁ、はぁ……」 「……大丈夫か、瑠璃」 黒猫の呼吸はまだ荒い。必死で酸素を取り入れようとしているのが、なんだか不謹慎にも愛らしい。 「……大丈夫、じゃ、ない……わよ……」 ちょっと涙目で、顔を真っ赤にした黒猫はやっぱり可愛い。 いとおしくなって、優しくハグ。頭をゆっくり撫でてやると黒猫はコテンと頭を俺の肩に預けてきた。 「京介……貴方、上達してるでしょう」 「……いや、そんな事はないと思うが……」 心当たりがなくはないのが非常に心苦しかったりする。 483 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:45:43.96 ID:zZuVFrAs0 「隠さなくて良いのよ。元々、そういう約束なのだから」 そう、約束。同時に契約でもある。 俺がここに住む最大の理由にもなっている。 この発案者は、あろうことか、BL大好きの潔癖主義者。赤城瀬菜だった。 『……なんだって?』 『ですから。これだけ大勢の女性から愛されている高坂先輩には、応える義務があるんです!』 瀬菜がぶちまけたのは、俺の高校卒業を祝うという名目の元開催されたパーティーでだった。 桐乃、あやせ、黒猫、沙織、麻奈実、瀬菜、フェイトさんの7人の女子(約一名は女子というか女性)に対し 男が俺1人と言うのはいかにも異常だったのだが、割合つつがなく会は進んでいたのだ。 しかし、瀬菜が唐突にこんな事を言い出した。 『高坂先輩は、どの子が良いんですか?』 そりゃジュース吹き出すよな。 お前もうちょっと空気嫁と。 で、一気に場の雰囲気は大変な事になった。 尤も、それは正直俺にとっては想定外な事ばかり、というか、想定内の反応など1つもなかった。 484 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:47:01.00 ID:zZuVFrAs0 『まぁここは私って答えて頂いても全然構わないんですけど』 と瀬菜が言えば、 『冗談は胸だけになさい。先輩は私のような落ち着いた人間が良いのよ』 と黒猫が返し。 『そういう意味では年上の私が最適って事かしら?』 とフェイトさんが胸を張れば 『はァ? 年増とか需要ないから。早く婚活始めればァ?』 と桐乃。 『そ、そうだよね。桐乃は妹だから……選べませんよね。  この中で一番可愛いのは桐乃ですけど、  でも仕方ないから私を選んで下さっても良いですよ、お兄さん』 とあやせが言うと 『おっと、眼鏡を外せば拙者、それなりに自信がございますぞ』 と沙織が張り合う。 485 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:47:57.67 ID:zZuVFrAs0 そして 『きょうちゃんの事をいちばん理解してるのは、わたしだもん』 と胸を張る麻奈実に対しては 『バッカじゃない? それを言うなら妹のアタシほど  バカ兄貴の事分かってるヤツはいないっての』 と、こうなった。 おかしいなあ。ここまで張り合う理由あるのか? 一番の当事者だった気がするが、既に蚊帳の外。 誰かが名乗りを上げると、誰か(もしくは誰か『達』)が否定する。 言いがかりも、水掛け論も、ごり押しも飛び交う さながら戦場のような光景だった。 結局出ない結論に、瀬菜はそう言った。 これだけ大勢の女性から愛されている俺には、応える義務があるのだと。 そんな実感は全くなかったんだけどなあ。 しかも誰か1人を選ぶ、とかじゃなくて、全員なのか? ん? どういう事? 486 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:49:11.59 ID:zZuVFrAs0 『なるほど。全員でござるか』 『ええ。皆、ちゃんと順番を決めれば不満は出ないかなと!』 なんの順番だよ!? 『……なるほど、丁度7人、と言う訳ね』 『さっすが五更さん。あ、今は黒猫さんでしたっけ。  丁度1週間で回りますから覚えやすいですよね』 だから一体なんの話を進めてるんだよ。 蚊帳の外にも程があるだろ。 『ですから』 瀬菜は快活な声で 『ここにいる7人の女の子を、日替わりで、高坂先輩に愛してもらうんです』 一瞬、いや、数秒だったかもしれない。 『なにぃぃぃぃぃぃ!?』 瀬菜の言葉を理解できた時、俺はそう叫んでいたのだった。 487 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:49:52.22 ID:zZuVFrAs0 しかしそこからは数に勝る女性陣があれよあれよと話を決めてしまった。 ただ、高坂家に何人もの女の子が入れ代わり立ち代わり来るのは 両親から見て不審と思われるだろうし、ましてやあの親父だ。絶対に大問題になる。 そこで対策として、沙織のコネクションを使って物件を探す事になった。 実家から通うよりは楽で、且つ、女の子たちが通いやすいロケーション。 真っ直ぐに部屋の前まで来れない構造。 (建物の前でインターホンを使い、自動ドアを開けてもらわないと入れないようなアレだ。 万が一にも鉢合わせはマズイし、親の抜き打ちチェックなんてあったら頭と胴が離れちまう。) 用途が用途なので、防音性とセキュリティに優れている事も重要。 予算と相談して、見つかったアパート。 必ずではないが、ここには曜日ごとに決まった女の子がやってくる。 月曜は瀬菜。火曜は黒猫。水曜は沙織。木曜はフェイトさん。金曜は麻奈美で 土曜に桐乃、日曜はあやせ、という風に。 ハッキリ言うが、何の冗談かと思った。 随分壮大なドッキリじゃないか、こんなに金と手間をかけて大変だなオイってな。 だから女の子たちも、誰一人として来ないだろうってタカをくくってた訳だ。 初めての1人暮らし、満喫してやろうって。 488 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:51:39.91 ID:zZuVFrAs0 まず引越しが完了したのは水曜だったんだが、 その夜、沙織は引越しソバを食べようとやって来てくれた。 凄え嬉しかったんで、喜んで迎え入れた。 春らしい、薄いピンクのワンピースはシンプルなライン故に 藤原紀香と同じと自称するプロポーションを引き立てている。 あれ? そう言えばいつものオタクファッションじゃない、のに眼鏡をしている。 その上、白いエプロン身につけてるしな。 それがなんだかアンバランスでちょっとおかしい。 けどそのおかしさが、この一種異様な空間――自分の『家』で女の子と2人きりという――にあって 唯一、心を落ち着かせてくれる特効薬になっていたのだった。 『京介氏、ソバのおツユは濃い目と薄目、どちらがお好みですかな?』 『あー、つけて食べるなら濃い目で、かけるなら薄目かな』 『了解でござる』 なんだか鼻歌交じりにキッチンに立っている沙織が凄く新鮮に見えて 油断するとすぐ心臓の鼓動が早まりそうになる。やべえぜ。 醤油と出汁のいい香りがしてきたなと思うと、沙織はお盆に器を2つ載せてやってきた。 『出来上がりましたぞ、京介氏』 『おお、すまんな。全部やってもらっちまって』 『いや、なに。大した手間ではござらんよ』 つくづく思うけど、コイツってホントによく出来たヤツだよな。 2つも年上の俺がやけにちっぽけに見える。 489 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:52:23.13 ID:zZuVFrAs0 『んじゃ、いただきます』 『召し上がれでござる。お口にあうと良いのですが』 ずるずるーとソバを啜ると麺にからんだツユはやや甘めで疲れた身体にじんと染みる温かさ。 思わず 『うめえ……』 と漏らしてしまった。 普段家で食べるものとはなんだか少々味が違うのは、 やっぱ作り手が違うと家の味が変わるからなのかなとか思ったりした。 割かし勢い良く食べていた俺だったが、ふと気づくと沙織がこちらを見ていた。 『なんだ? 食べないのか? 美味いぜ』 『はは。京介氏が本当に美味しそうに食べてくださるのが、拙者、嬉しくてですな』 『な……なんだよ』 『……良いものでござるな、こういうものも』 めちゃめちゃ優しい顔で笑っているのが眼鏡越しにも分かる。 心の中に湧いた何かを振り切るように、俺は箸を動かしたのだった。 『……あー、美味かった。ごちそーさん』 『お粗末様でござる』 沙織はソバを持ってきた時と同様、器をお盆に載せて、台所に持っていく。 『あ、洗い物ぐらい俺がやるから置いといてくれ』 『これぐらい大丈夫でござるよ。量もそう多くはありませぬ』 490 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:53:17.51 ID:zZuVFrAs0 ジャーッという音がして沙織は皿洗いまで始めちまったらしい。 一応俺の家になるのに、こんなに任せきりで良いのだろうか。 でも、何気に沙織のヤツ、家事好きなのかな。割と楽しそうなんだよな。 新婚夫婦ってこんな感じなのかって思ったりした俺は慌ててそれを打ち消した。 『京介氏~』 『お、おう!?』 声が裏返っちまった。くっ、恥ずかしい。 『お風呂沸いてるでござるよ。お先にいかがかな?』 『えっ……なっ……』 『ほれほれ、入った入った!』 半ば強引に風呂場へ押し込まれてしまった。 いやいや。え? まさかだよな。けど、そもそもこの家ってさ。 ごくり。風呂のお湯のせいじゃない。この顔の熱さは。 これがエロゲーなら沙織が風呂に乱入してくる訳だが く、来るのか? 来ちゃうのか? そんなCG回収しちまうのか!? 『京介氏~』 『なっ、なななんだ!?』 ほ、ホントにキタ――(゚∀゚)――!!? 493 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:54:57.40 ID:zZuVFrAs0 『湯加減はどうでござる?』 『あ、あああ、良いぜ! ちょっと熱めだけど、うん、気持ち良いぐらいで』 『そうでござるか。ごゆっくりでござるよ~』 そう言ってパタンと音がして。 沙織はそのまま出て行った。 そ、そ……そりゃそうだよな!? いくらなんでもそれなんてエロゲみたいな展開はねえよなあ! あー恥ずかし。何1人で舞い上がってんだよ俺。バッカみてー。バーカバーカ。 引越しで疲れた俺を労うために、ソバ作って風呂まで準備してくれた沙織に対して なんつー邪な気持ちを抱いていたんだ。反省しろ。 風呂を上がって髪を乾かし、居間に戻るとそこには沙織の姿はなかった。 なんだ、帰っちまったのか? それなら声をかけてくれても良さそうなもんだが。 『沙織ー? いねーのかぁ?』 『こちらに』 声が返ってきたのは寝室から。 まさかベッドメイキングまでしてくれてんのか? そんなんならもうマジで良妻になるな、沙織。 なんて事を考えながらドアを開けると、そこにはベッドの上に正座している沙織がいた。 しかも三つ指ついてる。しかも、しかもしかも、何故か、先ほどまで着ていた ワンピースが綺麗に折り畳まれている。 つまり、裸エプロンだった。 494 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:56:08.62 ID:zZuVFrAs0 『さ、沙織!?』 『拙者は一応、家を出る前に身体は清めてきたでござる』 ……そ、それって……。 『ただまぁ、その、なんと申しますか。いきなり全てをお見せするのは、抵抗がございまして。  斯様な見苦しい姿を京介氏の前に晒す無礼をお許しくだされ』 『見苦しいって……んなこと……』 『京介氏さえ、よろしければ、拙者の事を、その……その……』 そこまで言われればいくら俺にだってその先は予想できる。けどな。 『沙織は、その、良いのか? お、俺なんかが……』 『京介さん』 沙織は眼鏡を外し、大きな瞳で俺を見据える。 『私は、軽い女ではないつもりです』 凛とした声。それは確かな意志だった。 『分かったよ、沙織』 その晩、俺たちは互いの初めてを、相手に捧げる事になった。 496 : 次さるったら風呂 - 2010/11/15(月) 21:01:57.51 ID:zZuVFrAs0 ある日、瀬菜に聞いた事がある。 『なぁ、瀬菜』 『はい、なんですか?』 『こういうのって、お前にとっちゃ許せない事なんじゃないのか?』 瀬菜はとにかく真面目気質で、きちんとしていない事が許せない性質だった筈だ。 自分で言うのもなんだが、1人の男が、相手を1人に決めずにいる事は 彼女にとっては到底許容できない事なのではないか。ましてそこに、自身が加わるなど――。 『京介先輩の言いたい事は分かります』 俺に向き直って、瀬菜は続けた。 『確かにおかしいと思いますよ。この現状。むしろ異常だと思わなくなったらオシマイかなって思いますし』 『そこまで言うなら、なんで』 なんで、あの時、お前はこんな事を発案した。 『こういうのって、ゲームの中だけかなって思ってました。  普通ならありえないんですよ。女の子って嫉妬する生き物だから。  誰かが、自分の好きな人に愛されているのが耐えられない。  そういう生き物なんですよね』 鼻歌を歌うように結構酷い事言ってないか? 497 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:02:38.05 ID:zZuVFrAs0 『だから、例えば五更さんが、嫉妬にかられて私や槙島さんを刺したりとか。  そういう展開があってもおかしくないんですよね』 『おいおい』 おいおい、である。そういやそんなエロゲあったな。 『でも、皆、多少の不満はあっても、許容範囲内みたいなんですよ。  それがなんでか、分かります?』 『……いや』 『先輩が、素敵だからです』 ズッコケた。階下の人、すんません。 『お前、はぐらかそうとしてねーか?』 『失礼ですね。真面目トークではそんな事しません。それくらいの空気は読めますよ、あたし』 ……そうかなあ。コイツ全然空気読めないヤツだと思うんだけど。 『女の子って愛されれば自尊心が満たされて、満足するんです。  ある人は10。またある人は15って感じで人それぞれ違うんですけどね。  でも先輩はあたしたちが満足できる程度に愛してくれているんです。  だから不満が出ないんですよ』 『そんなに何かしてるつもりは全くないんだが』 『そこが先輩のすごいところなんです!』 ビシッと瀬菜は指差して言った。 タオルを巻いただけの胸がほよんと揺れて目に悪い。 498 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:03:18.57 ID:zZuVFrAs0 『普通の人なら1人を大事にするので精一杯です。  だから浮気や不倫をすると、どっちかが不足してしまいます。  経済的な意味だったり、単純に時間的、情緒的な意味だったりしますけど』 今度は腰に手を当てて胸を張る。 だから、お前はそこを強調しちゃダメだっての。 『まぁ先輩の場合、ライバルがあんまりにも多すぎているから  女の子たちが多くを求めすぎていない事も1つの要因である事は確かでしょう』 『ちょっとした事で満足してるってのか?』 それ全然誉められてないよなあ。 『でも、皆、幸せそうにしています』 『む』 『むしろ、これ以外の方法じゃ、誰も幸せになれないんです』 そこまで言うか? 幸せのかたちなんて千差万別だろう。 『だから先輩。皆、先輩と幸せになりたいんですから、  ちゃんと皆を幸せにしてくれなきゃダメですよ』 『……お前の”ちゃんと”の精神はそこに帰結するのか……』 にへらっと瀬菜は笑って――以前はこういう笑い方しなかったんだけどな 499 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:04:17.51 ID:zZuVFrAs0 『見届けたいんです。皆揃って、幸せになるのを』 『……へっ、そんなに期待しても、できる事しかやれねーぞ』 どうやら逃げ場はないらしかった。 『そうですね。じゃあできる事ヤリましょうか』 『カタカナで言うな』 『でも、先輩のソコ、また元気になってますよ?』 『……ッ!』 気づかれてた! そりゃまぁこっちもタオル巻いてるだけだからな! 隠し様がないよな! 『先輩、さっきずっとあたしの胸見てたでしょう? お見通しですよ?』 ……女の子ってなんでこう男の視線に敏感なんだろね。 『他の男に見られてもいい気はしませんけど』 そう言って瀬菜は俺の前にしゃがみ込んで、タオルをふわりと解いた。 艶かしい肌が露になる。それにしても本当に大きいな、コイツの胸。 『先輩になら、嬉しいです』 ああもうこの野郎。そんな事言うからまた愚息が反応しちまっただろうが――。 500 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:04:58.74 ID:zZuVFrAs0 そんな訳で。どんな訳だ。 この2年。毎日ではないが、それでもかなりの頻度で俺は女の子を抱いていた。 始めはそれぞれお互いに初心者みたいなもんだったし、拙い愛撫、単調なピストンだけ って感じだったが、だんだん相手の気持ちいいところが分かるようになったり ネットなんかを通じて軽く勉強したりしてちょっとずつ上達した、んじゃないだろうか。 黒猫たちは今年に入ってセンターや本試験など、まさに大学受験のクライマックスを 迎えるため、お泊りどころかウチに来るのを禁止させた。 さすがに試験前にヤリ過ぎて勉強できなかった、なんて事になったら親御さんに顔向けできないからな。 そういう訳で大体3ヶ月はご無沙汰だった訳だ。 うーん。それぐらいで劇的に上達するとは思わないんだが。 7人のうち3人(黒猫、沙織、瀬菜だ)は受験生だったから実質半減だしな。 それでも、黒猫は満足してくれたらしい。その事は純粋に嬉しかった。 「もう、大丈夫。ごめんなさい」 「焦るなよ。時間はいくらでもあるだろ」 「いえ、そんな事ないわ。足りないくらいよ」 埋め合わせしてもらうって言ったでしょう、と。 ぐいっ、と黒猫は思い切り俺に体重を預け、ベッドに俺を押し倒した。 「瑠璃?」 「今度は、私の番」 黒猫の手が俺の肉棒に絡みつくとぞくりと一気に快感がこみ上げた。
452 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:48:03.18 ID:zZuVFrAs0 変わらないものを変わらないように維持していくのはそれなりに大変だ。 時間が経てば、変わる。それは自然の摂理なんだからな。 例えば、俺や麻奈実は大学生活3年目に突入するし、 黒猫と沙織、ついでに瀬菜もめでたくこの春から大学生。桐乃はこの冬受験だ。 就職活動もしなきゃなんねーし、みんなも今よりもっと明確に 将来について真面目に考えなきゃいけないだろう。 ずっと今のままではいられない。 それは例えば沙織の姉が結婚し、海外へ行ってしまった為に 彼女を中心としたコミュニティーが空中分解してしまったように。 いずれは俺に彼女ができたり、あるいは、誰かに彼氏ができたり、 仕事の都合で遠くに引っ越す事になったり、それこそ海外とか。 何があるのが分からないのが人生なんだ。 それを面白いって言うヤツもいるだろう。 まさに俺の人生はそんな感じだったから、同意しなくもない。 だけど、こんな風になるなんて、いくらなんでも想定外だった。 453 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:49:02.86 ID:zZuVFrAs0 「またお前に先輩って呼ばれる日が来ようとはな」 「おや、拙者も今年からは後輩になるでござりますぞ」 「ああ、宜しく頼むよ、沙織」 入学式を終えて出てきた2人と合流する。 沙織はともかく、黒猫までここに受かるというのは 正直難しいと思ってたんだがどうやら見くびっていたらしい。 「まあ、先輩の目は節穴ですからね」 「む……」 悔しいが言い返せない。麻奈実は黒猫の合格を信じて疑わなかったからな。 ちなみに俺と沙織は経済学部、麻奈実は商学部、黒猫は文学部だ。 「その点については悪かったよ。悪かった。反省してるし、謝るよ」 「ふん……、分かれば良いのよ」 2つ下の女の子に頭が上がらない俺である。 「まぁ、ここに突っ立ってても仕方ない。行こうぜ」 「そうでござるな」 「行こう、と簡単に言うけれどね……」 454 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:49:51.77 ID:zZuVFrAs0 そこで言葉を区切った黒猫の視線の先にあるもの。 激しい掛け声やら校歌斉唱やら何やらしながら無数のプラカードが踊っている。 決してデモとかそういうんじゃないぜ。 この季節、どの大学でも見られる至って一般的な恒例行事だ。 「……あそこを無事通り抜けられたら、の話ね」 「だな」 新入生をサークル勧誘せんと、校門前に大挙として押し寄せている人間の波だった。 実は先ほどから視線が痛い。 この場所にスーツを着て立っていれば大体新入生である事が確定していて 彼らにしてみれば端から声をかけたいぐらいの気持ちでいるはずだ。 しかし、ここに1人、強烈に目を惹く女の子が立っている。 黒く長い髪を綺麗に結わえ、凛とした目に薄化粧の黒猫、こと五更瑠璃は この数年で桐乃ですら驚くほどの成長を遂げていた。 背はさほど変わらないものの、手足はすらりと細くなり、 顔つきも以前の堅さが少し取れ、高嶺の花、クール系美人へと進化し 高校では一、二を争うほどの人気になっていると瀬菜から聞いた。 本来ならその横に立つ、180センチの美少女、槙島沙織はそれに劣らぬどころか 俺の知る限り、あやせにすら匹敵する美貌の持ち主――つまり世界最高水準――だ。 しかし、いつものぐるぐる眼鏡は今も肌身離さず 身につけているからパッと見には分からないんだろうな。 455 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:50:54.17 ID:zZuVFrAs0 あーあー。まるで獲物を見る狼の目つきだぜ。 どうしたもんかねえ。 頭を悩ませていると、沙織はこちらに振り向いてω←こんな口を形作っている。 何か悪い企みを思いついた顔だぞ、これ。 「にゅふふ」 「沙織、なんか企んでるだろ」 「いやいや。そのような大げさなものでは決して。ええ」 そう言って沙織はするりと俺の左腕に自分の右腕を絡ませてきた。 「なっ!?」 「これでそう簡単に、彼らも声を掛けられなくなったのではござらぬか?」 ちょっと抵抗ある、というか恥ずかしいが沙織の言う事には一理ある、気がした。 本当だぜ? 決して邪な考えじゃないって。マジで。 「それじゃあ私も」 「おう!?」 すると黒猫も反対側、俺の右腕を取って自身の身体を押し付けてきた。 「く、黒猫まで……」 「この状況で声を掛けてくるような愚劣な輩はいないでしょうね」 「うむうむ」 「さぁ、行きましょうか。先輩」 456 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:51:36.96 ID:zZuVFrAs0 勧誘を企てていたサークルの人間たち、 特に野郎どもの視線は針どころか槍のムシロだ。 そりゃまぁそうだろうなあ。女2人を両脇に侍らせて 何だアイツはって思われてるに違いない。 それに、こう言っちゃ語弊になるかもしれんが、 サークルの男たちは美味しくいただける 新入生の女の子を探しに来てるヤツが相当多いはずだ。 とんびに油揚げをかっさわれた心境だろうよ。 射殺すような視線は努めて無視。 校門を出るまで、まるで生肉をぶら下げられたライオンの前を 裸で通っているような心持ちだったね。 「やれやれ。もう離れても大丈夫だよ、沙織、黒猫」 「? なぜでござる?」 「なぜって……」 相変わらずニヤニヤしながら聞き返してくる沙織。 くそう。ちっと恥ずかしがらせてやろうかな。 「……ってんだよ」 「はぁ? なんでござるか?」 「だから、胸が当たってるんだよ」 「当ててんだよ。言わせんな恥ずかしい」 見事なカウンターだった。 ガックリとうな垂れたいところだったが、 両脇を固められていてはそうもいかない。 そんな情けない姿の俺を、黒猫が見上げていた。 458 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:52:18.05 ID:zZuVFrAs0 「……」 「ど、どうした、黒猫?」 「……どう?」 どうって何がだ。心なしか黒猫は頬を紅く染めている。 そう言えばなんだか右腕がちょっと苦しい。 「私も当てているのよ。言わせないで、恥ずかしい」 「~~~~ッ!?」 聞いて真っ赤になったが、すまん、黒猫。 スーツの上からだとあんまり感じない。 いや言われてみればちょっと感じるんだけど 左からくる圧力がちょっと凄すぎてヤバイ。 津波の前の小波って感じだ。 とにかく、2人とも腕を離す気はないらしい。 俺は予め考えていた定食屋へとやや早足で進んでいくのだった。 459 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 19:53:04.84 ID:zZuVFrAs0 「でさ、真面目な話、2人ともサークルには入らねーのか?」 「拙者は既にいくつか興味のあるところは調べているでござる」 さすが沙織。その辺は抜かりないな。 「ただ、あまりサークルに捕らわれたり縛られたりは御免ですので  もう少し情報を集めてから決めようかと」 「私は、今のところ、あまりその気はないわね」 まあ黒猫らしい。コイツ、昔ほどじゃないけど積極的に人と関わるの下手だもんな。 「そっか。ただ就活する時に、サークルって1つの指標になるから  ムリじゃない範囲で参加しておくと、何かと楽になるぜ」 「そうね。考えておくわ」 「おう」 出された鯖の塩焼き定食を頂いて腹ごしらえをしていると、携帯が鳴った。 麻奈実からのメールだ。 「どうしたの?」 「えーと、『2人に会えた? 宜しく伝えておいてね~』だとよ」 「マメでござるなぁ」 ちなみに黒猫には麻奈実が勉強を教えていたので、 合格発表の時は自分の事のように喜んでいたし、 門出の日に駆けつけたがっていたのだった。 しかしアイツは今日は外せない用があり、来れない事は予め分かっていた。 相当残念がってたなぁ。 『もー、るりちゃんの晴れ舞台だよぉ? それなのにぃ……』 462 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:05:32.83 ID:zZuVFrAs0 まぁ、こういうのはタイミングってヤツだ。 そして間の悪さって意味ではアイツは結構悪い方なんだよな。 「さて、京介氏。拙者この後いろいろ買い物したいのでござるよ」 「ん? おお。じゃあ荷物持ち手伝うぜ」 「かたじけのうござる」 大学入ると何かと物が入り用になる。 それは自分たちの時に経験済みだ。 先輩として、男としてここは手伝ってやらにゃ。 「……」 しかし黒猫はちょっとムスッとしている。 「黒猫?」 「いえ、なんでも、ないわ」 全然なんでもなさそうじゃないんだけどなぁ。 でも俺には心当たりが全然なかった。 沙織に助けを求める視線を送ると、同様に?が浮かんでいる。 が、何か思い当たったらしい。 「黒猫氏、拙者……」 「いえ、沙織。良いのよ。ごめんなさい。大丈夫」 「しかし」 「大丈夫よ」 こうなると黒猫は引かねーんだよなあ。 463 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:08:36.68 ID:zZuVFrAs0 「後で先輩に埋め合わせしてもらうから」 なんて、そんな不穏な発言をして。 「ところで、何を買うのかしら?」 「ええ。必要なものはこのリストにまとめてあるでござるよ」 肩を寄せ合ってリストを見ている2人はなんだか姉妹みたいで微笑ましい。 「つか沙織は、いつまでその眼鏡かけてるんだ?」 「うーむ。難しい質問でござる。ですが拙者、まだしばらくは手放さないつもりでござる。にんにん」 以前は俺たちネットを通じて知り合った仲間の前、という前提でのみ眼鏡をかけていて 普段は特にキャラを作らず過ごしていたはずだったんだが、いつしか沙織は 常日頃から眼鏡をかけるようになっていった。 もったいない気がするが、こればっかりは本人の決める事だしな。 「よし。んじゃ買い物行くか。とりあえずハンズあたりか?」 「そうでござるな。道案内は宜しくお頼み申す」 「あいよ。あ、すいませーん、会計お願いします」 まぁ先輩だし、おめでたい日だし? これぐらいは奢っとかねーとな。 その後、電車で移動し色々と必要な物を買い揃え終わる頃には太陽が沈んですっかり暗くなっていた。 「今日は本当に助かったでござる」 「いつもお前に助けられる事の方が多いんだ。たまには恩を返させろよ」 「京介氏……」 464 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:10:07.67 ID:zZuVFrAs0 ちょっと温かい空気。くすぐったくなるけど、心地いい。 しかしそんな中、黒猫は1人黙り込んでいる。 それを敏感に察した沙織ではあったのだが、何故だろう。 なんかニヤニヤしている。いつもなら気を遣ってフォローに入るなり何なりするのに。 「京介氏」 「ん?」 「今日は火曜でござる」 「そうだな」 それが何だって言うんだ? 「黒猫氏は、試験などでバタバタして、久しく時間が取れませんでしたからなあ」 「っ……沙織!」 珍しく声を荒げる黒猫だったが、そこまで言われてようやく俺も気がついた。 というか、思い出したのか、それとも意図的に目を背けていたのか。 そんな事を自問自答するのも恥ずかしすぎた。 465 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:11:07.64 ID:zZuVFrAs0 「にゅふふ。それでは邪魔者は退散すると致しましょうぞ。それではまたっ!」 「あ……」 「……」 気まずい。クソ、沙織のヤツめ。この甘ったるい空気。 先ほどのちょっと温かい空気が比にならない気恥ずかしさだ。 それでも、男だからな。俺。 「く、黒猫」 「……何かしら」 1つ咳払いをして。 「寄ってくか?」 「……」 黒猫はちょっと躊躇ったのか逡巡したのか。 「ええ」 それでも、頬を紅く染めて、そう答えた。 466 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:12:27.15 ID:zZuVFrAs0 電車で、徒歩で、移動している間。俺たちは一言も話さなかった。 昼間は沙織と競うように絡ませていた腕も、今は手を握るのみ。 パッと見には、2人の距離は遠くなったように見えるが、 固く握り合った感触は、俺と黒猫が物凄く近くにいるように感じられた。 駅から徒歩5分。学生が住むにはちょっと広めの1LDK。 自宅から通えなくもない場所の大学に通う俺が、 こうして部屋を宛がわれているのは、とある理由があった。 手を解いて鍵を出す。ガチャリと回してドアを開け、靴を脱いで家にあがった、 ところで、後ろから黒猫に抱きつかれた。 「黒猫?」 「……2人きりの時は、もう1つの名前で呼んで頂戴と、言ったはずよ」 「そう、だったな、瑠璃」 黒猫が『仮の名前』と称している本当の名前。 それを呼ぶと黒猫は、さらに強く俺を抱きしめた。 「ずっと、来れなくて、寂しい思いをしたのよ。  こんな事を言うなんて、私も随分弱くなったものだけれど」 「……そうでもないだろ。弱さを曝け出せるのも、強さの1つだと俺は思うぜ」 「ふふ」 ちょっと笑って、黒猫は腕の力を緩めると 「……今日は、いっぱい愛してくれるのよね」 「御意」 468 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:13:26.03 ID:zZuVFrAs0 部屋の明かりは点けないまま、黒猫の手を取り寝室へと進んでいく。 お互いにとって勝手知ったる間取りに歩は鈍らない。 ドアを閉め、部屋の真ん中にあるベッドに腰掛ける。 そして黒猫はそこが指定席かのように俺の隣に座った。 ……何度こうしても、この時間だけは緊張する。 いや、緊張も何もなくなったら、それはそれで寂しい話だよな。 黒猫も緊張しているっぽい。元々黒猫はそういう傾向があるけど 今日は本当に久しぶりだ。それこそ、3ヶ月ぶりか? うーむ。上手く出来るかどうか、心配だ。 先に動いたのは情けない事に黒猫。 ついっと身を寄せると俺の頬に軽く唇を触れさせた。 緊張しているけれど、それ以上に期待している瞳。 白い肌と、見事なコントラストになった黒い髪、長い睫毛、大きな瞳。 そして、小さくてぷっくりとした紅い唇。 そんな黒猫が愛しくて、今度は俺から頬に軽いキス。 一度離れて、今度は互いに引き寄せられるように唇を重ねる。 「ぁ……」 そんな小さな吐息が黒猫の口から漏れ、黒猫の瞳がとろんとした。 背筋がぞくぞくして、思わず身体を強く抱き寄せ合って、熱烈に口付け合った。 キスの間あいだに熱い息が零れ、火照った声が聞こえる。 ぴくんぴくんと反応する黒猫が可愛くて脳が蕩けそうだ。 469 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:14:20.54 ID:zZuVFrAs0 どちらの唾液ともつかないじゅるじゅるしたものを貪って与えてまた貪って。 黒猫の手は俺の背中から上半身へとまさぐるように動き、やがてボタンを上から順に外していく。 キスはもちろん止まらないまま、意図を汲んで俺はシャツを脱ぎ捨てる。 お返しとばかりに黒猫のジャケット、そしてシャツのボタンを外してやると 黒猫もまた、上着とブラを脱ぎ捨て、直接肌と肌を擦るように重ね合わせた。 胸の辺りに当たる少し固い突起は黒猫の乳首がピンと立っている証だ。 黒猫の背中に、あるいは頭に、腰に回していた右手をそっと左胸に沿わせると 少し大きく声をあげて反応した。 「んぅっ」 キスの応酬はそこで一旦休憩。お互いに荒い吐息のまま、ステージは第2ラウンドへ。 「瑠璃の乳首、固くなってるな」 「そ、そういう事……んっ、言わない、でっ、あぁっ、ちょう、だい……くぅん!」 久々なのであまり強い刺激は辛いだろう。 優しく乳房を下から持ち上げるように触り、ゆっくりと円を描くように愛撫する。 「ふぁ……ん……んん……」 471 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:17:00.38 ID:zZuVFrAs0 黒猫が、俺の膝の上で、快感に集中するように目を閉じている。 その姿があまりにも可愛くて、俺は空いている首筋に軽くキスした。 「ひゃんっ! そ、それは……ダメ……くび、よわいの……知ってるくせにぃ……」 「瑠璃」 「な、なに……」 「可愛い」 言ってもう一度、首筋にキス。 「ば、ばかぁ……!」 黒猫の顔はもう蕩け切っていて、大理石みたいな肌はうっすら桃色に染まっているようだった。 身体を少し浮かせ、穿いたままのスカートを捲り上げると、黒猫は何をされるか察知したのだろう。 「ちょ、ちょっと……だめ……」 抗議の声を挙げたが、それで止まってやれるほど、俺も余裕はない。 少しでも優しく触れてやるので精一杯だった。 「ッ!……っあ……はぁっ……」 「すげえ、熱い……」 黒猫の秘所はすでにびしょびしょで、ショーツの上からでもその潤いが瞭然だ。 それにクリトリスも勃起しているのが分かる。 こっちもいきなりは控えた方が良いだろう。 人差し指と薬指で蜜壷の周りをゆっくり上下に撫で上げた。 「ぁ、ぁぁっ……そ、それ……んっ、んっ……」 473 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:18:51.40 ID:zZuVFrAs0 大丈夫だろうか、黒猫の身体がさっきからぴくぴくしていて、もしかしたらイキそうなのかもしれない。 これじゃ挿入なんてしたらショック死しかねない。 「瑠璃、一回イっとけ」 「ふぇ、い、いくって、どこ……あ、あぁっ!?」 乳首とクリトリス。敏感なところを弄りながら、首筋にキス。 もう限界近かったのだろう。 「ひぁっ! ぁっ! だめ、い、うっ、あ、はっ、やっ! っく、ぁぁぁぁっ!」 俺の身体にしがみつく様にして、びくびくと大きく揺れ、黒猫は達した。 「くっ、は……は……はぁ、はぁ……」 「……大丈夫か、瑠璃」 黒猫の呼吸はまだ荒い。必死で酸素を取り入れようとしているのが、なんだか不謹慎にも愛らしい。 「……大丈夫、じゃ、ない……わよ……」 ちょっと涙目で、顔を真っ赤にした黒猫はやっぱり可愛い。 いとおしくなって、優しくハグ。頭をゆっくり撫でてやると黒猫はコテンと頭を俺の肩に預けてきた。 「京介……貴方、上達してるでしょう」 「……いや、そんな事はないと思うが……」 心当たりがなくはないのが非常に心苦しかったりする。 483 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:45:43.96 ID:zZuVFrAs0 「隠さなくて良いのよ。元々、そういう約束なのだから」 そう、約束。同時に契約でもある。 俺がここに住む最大の理由にもなっている。 この発案者は、あろうことか、BL大好きの潔癖主義者。赤城瀬菜だった。 『……なんだって?』 『ですから。これだけ大勢の女性から愛されている高坂先輩には、応える義務があるんです!』 瀬菜がぶちまけたのは、俺の高校卒業を祝うという名目の元開催されたパーティーでだった。 桐乃、あやせ、黒猫、沙織、麻奈実、瀬菜、フェイトさんの7人の女子(約一名は女子というか女性)に対し 男が俺1人と言うのはいかにも異常だったのだが、割合つつがなく会は進んでいたのだ。 しかし、瀬菜が唐突にこんな事を言い出した。 『高坂先輩は、どの子が良いんですか?』 そりゃジュース吹き出すよな。 お前もうちょっと空気嫁と。 で、一気に場の雰囲気は大変な事になった。 尤も、それは正直俺にとっては想定外な事ばかり、というか、想定内の反応など1つもなかった。 484 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:47:01.00 ID:zZuVFrAs0 『まぁここは私って答えて頂いても全然構わないんですけど』 と瀬菜が言えば、 『冗談は胸だけになさい。先輩は私のような落ち着いた人間が良いのよ』 と黒猫が返し。 『そういう意味では年上の私が最適って事かしら?』 とフェイトさんが胸を張れば 『はァ? 年増とか需要ないから。早く婚活始めればァ?』 と桐乃。 『そ、そうだよね。桐乃は妹だから……選べませんよね。  この中で一番可愛いのは桐乃ですけど、  でも仕方ないから私を選んで下さっても良いですよ、お兄さん』 とあやせが言うと 『おっと、眼鏡を外せば拙者、それなりに自信がございますぞ』 と沙織が張り合う。 485 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:47:57.67 ID:zZuVFrAs0 そして 『きょうちゃんの事をいちばん理解してるのは、わたしだもん』 と胸を張る麻奈実に対しては 『バッカじゃない? それを言うなら妹のアタシほど  バカ兄貴の事分かってるヤツはいないっての』 と、こうなった。 おかしいなあ。ここまで張り合う理由あるのか? 一番の当事者だった気がするが、既に蚊帳の外。 誰かが名乗りを上げると、誰か(もしくは誰か『達』)が否定する。 言いがかりも、水掛け論も、ごり押しも飛び交う さながら戦場のような光景だった。 結局出ない結論に、瀬菜はそう言った。 これだけ大勢の女性から愛されている俺には、応える義務があるのだと。 そんな実感は全くなかったんだけどなあ。 しかも誰か1人を選ぶ、とかじゃなくて、全員なのか? ん? どういう事? 486 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:49:11.59 ID:zZuVFrAs0 『なるほど。全員でござるか』 『ええ。皆、ちゃんと順番を決めれば不満は出ないかなと!』 なんの順番だよ!? 『……なるほど、丁度7人、と言う訳ね』 『さっすが五更さん。あ、今は黒猫さんでしたっけ。  丁度1週間で回りますから覚えやすいですよね』 だから一体なんの話を進めてるんだよ。 蚊帳の外にも程があるだろ。 『ですから』 瀬菜は快活な声で 『ここにいる7人の女の子を、日替わりで、高坂先輩に愛してもらうんです』 一瞬、いや、数秒だったかもしれない。 『なにぃぃぃぃぃぃ!?』 瀬菜の言葉を理解できた時、俺はそう叫んでいたのだった。 487 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:49:52.22 ID:zZuVFrAs0 しかしそこからは数に勝る女性陣があれよあれよと話を決めてしまった。 ただ、高坂家に何人もの女の子が入れ代わり立ち代わり来るのは 両親から見て不審と思われるだろうし、ましてやあの親父だ。絶対に大問題になる。 そこで対策として、沙織のコネクションを使って物件を探す事になった。 実家から通うよりは楽で、且つ、女の子たちが通いやすいロケーション。 真っ直ぐに部屋の前まで来れない構造。 (建物の前でインターホンを使い、自動ドアを開けてもらわないと入れないようなアレだ。 万が一にも鉢合わせはマズイし、親の抜き打ちチェックなんてあったら頭と胴が離れちまう。) 用途が用途なので、防音性とセキュリティに優れている事も重要。 予算と相談して、見つかったアパート。 必ずではないが、ここには曜日ごとに決まった女の子がやってくる。 月曜は瀬菜。火曜は黒猫。水曜は沙織。木曜はフェイトさん。金曜は麻奈美で 土曜に桐乃、日曜はあやせ、という風に。 ハッキリ言うが、何の冗談かと思った。 随分壮大なドッキリじゃないか、こんなに金と手間をかけて大変だなオイってな。 だから女の子たちも、誰一人として来ないだろうってタカをくくってた訳だ。 初めての1人暮らし、満喫してやろうって。 488 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:51:39.91 ID:zZuVFrAs0 まず引越しが完了したのは水曜だったんだが、 その夜、沙織は引越しソバを食べようとやって来てくれた。 凄え嬉しかったんで、喜んで迎え入れた。 春らしい、薄いピンクのワンピースはシンプルなライン故に 藤原紀香と同じと自称するプロポーションを引き立てている。 あれ? そう言えばいつものオタクファッションじゃない、のに眼鏡をしている。 その上、白いエプロン身につけてるしな。 それがなんだかアンバランスでちょっとおかしい。 けどそのおかしさが、この一種異様な空間――自分の『家』で女の子と2人きりという――にあって 唯一、心を落ち着かせてくれる特効薬になっていたのだった。 『京介氏、ソバのおツユは濃い目と薄目、どちらがお好みですかな?』 『あー、つけて食べるなら濃い目で、かけるなら薄目かな』 『了解でござる』 なんだか鼻歌交じりにキッチンに立っている沙織が凄く新鮮に見えて 油断するとすぐ心臓の鼓動が早まりそうになる。やべえぜ。 醤油と出汁のいい香りがしてきたなと思うと、沙織はお盆に器を2つ載せてやってきた。 『出来上がりましたぞ、京介氏』 『おお、すまんな。全部やってもらっちまって』 『いや、なに。大した手間ではござらんよ』 つくづく思うけど、コイツってホントによく出来たヤツだよな。 2つも年上の俺がやけにちっぽけに見える。 489 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:52:23.13 ID:zZuVFrAs0 『んじゃ、いただきます』 『召し上がれでござる。お口にあうと良いのですが』 ずるずるーとソバを啜ると麺にからんだツユはやや甘めで疲れた身体にじんと染みる温かさ。 思わず 『うめえ……』 と漏らしてしまった。 普段家で食べるものとはなんだか少々味が違うのは、 やっぱ作り手が違うと家の味が変わるからなのかなとか思ったりした。 割かし勢い良く食べていた俺だったが、ふと気づくと沙織がこちらを見ていた。 『なんだ? 食べないのか? 美味いぜ』 『はは。京介氏が本当に美味しそうに食べてくださるのが、拙者、嬉しくてですな』 『な……なんだよ』 『……良いものでござるな、こういうものも』 めちゃめちゃ優しい顔で笑っているのが眼鏡越しにも分かる。 心の中に湧いた何かを振り切るように、俺は箸を動かしたのだった。 『……あー、美味かった。ごちそーさん』 『お粗末様でござる』 沙織はソバを持ってきた時と同様、器をお盆に載せて、台所に持っていく。 『あ、洗い物ぐらい俺がやるから置いといてくれ』 『これぐらい大丈夫でござるよ。量もそう多くはありませぬ』 490 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:53:17.51 ID:zZuVFrAs0 ジャーッという音がして沙織は皿洗いまで始めちまったらしい。 一応俺の家になるのに、こんなに任せきりで良いのだろうか。 でも、何気に沙織のヤツ、家事好きなのかな。割と楽しそうなんだよな。 新婚夫婦ってこんな感じなのかって思ったりした俺は慌ててそれを打ち消した。 『京介氏~』 『お、おう!?』 声が裏返っちまった。くっ、恥ずかしい。 『お風呂沸いてるでござるよ。お先にいかがかな?』 『えっ……なっ……』 『ほれほれ、入った入った!』 半ば強引に風呂場へ押し込まれてしまった。 いやいや。え? まさかだよな。けど、そもそもこの家ってさ。 ごくり。風呂のお湯のせいじゃない。この顔の熱さは。 これがエロゲーなら沙織が風呂に乱入してくる訳だが く、来るのか? 来ちゃうのか? そんなCG回収しちまうのか!? 『京介氏~』 『なっ、なななんだ!?』 ほ、ホントにキタ――(゚∀゚)――!!? 493 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:54:57.40 ID:zZuVFrAs0 『湯加減はどうでござる?』 『あ、あああ、良いぜ! ちょっと熱めだけど、うん、気持ち良いぐらいで』 『そうでござるか。ごゆっくりでござるよ~』 そう言ってパタンと音がして。 沙織はそのまま出て行った。 そ、そ……そりゃそうだよな!? いくらなんでもそれなんてエロゲみたいな展開はねえよなあ! あー恥ずかし。何1人で舞い上がってんだよ俺。バッカみてー。バーカバーカ。 引越しで疲れた俺を労うために、ソバ作って風呂まで準備してくれた沙織に対して なんつー邪な気持ちを抱いていたんだ。反省しろ。 風呂を上がって髪を乾かし、居間に戻るとそこには沙織の姿はなかった。 なんだ、帰っちまったのか? それなら声をかけてくれても良さそうなもんだが。 『沙織ー? いねーのかぁ?』 『こちらに』 声が返ってきたのは寝室から。 まさかベッドメイキングまでしてくれてんのか? そんなんならもうマジで良妻になるな、沙織。 なんて事を考えながらドアを開けると、そこにはベッドの上に正座している沙織がいた。 しかも三つ指ついてる。しかも、しかもしかも、何故か、先ほどまで着ていた ワンピースが綺麗に折り畳まれている。 つまり、裸エプロンだった。 494 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 20:56:08.62 ID:zZuVFrAs0 『さ、沙織!?』 『拙者は一応、家を出る前に身体は清めてきたでござる』 ……そ、それって……。 『ただまぁ、その、なんと申しますか。いきなり全てをお見せするのは、抵抗がございまして。  斯様な見苦しい姿を京介氏の前に晒す無礼をお許しくだされ』 『見苦しいって……んなこと……』 『京介氏さえ、よろしければ、拙者の事を、その……その……』 そこまで言われればいくら俺にだってその先は予想できる。けどな。 『沙織は、その、良いのか? お、俺なんかが……』 『京介さん』 沙織は眼鏡を外し、大きな瞳で俺を見据える。 『私は、軽い女ではないつもりです』 凛とした声。それは確かな意志だった。 『分かったよ、沙織』 その晩、俺たちは互いの初めてを、相手に捧げる事になった。 496 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:01:57.51 ID:zZuVFrAs0 ある日、瀬菜に聞いた事がある。 『なぁ、瀬菜』 『はい、なんですか?』 『こういうのって、お前にとっちゃ許せない事なんじゃないのか?』 瀬菜はとにかく真面目気質で、きちんとしていない事が許せない性質だった筈だ。 自分で言うのもなんだが、1人の男が、相手を1人に決めずにいる事は 彼女にとっては到底許容できない事なのではないか。ましてそこに、自身が加わるなど――。 『京介先輩の言いたい事は分かります』 俺に向き直って、瀬菜は続けた。 『確かにおかしいと思いますよ。この現状。むしろ異常だと思わなくなったらオシマイかなって思いますし』 『そこまで言うなら、なんで』 なんで、あの時、お前はこんな事を発案した。 『こういうのって、ゲームの中だけかなって思ってました。  普通ならありえないんですよ。女の子って嫉妬する生き物だから。  誰かが、自分の好きな人に愛されているのが耐えられない。  そういう生き物なんですよね』 鼻歌を歌うように結構酷い事言ってないか? 497 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:02:38.05 ID:zZuVFrAs0 『だから、例えば五更さんが、嫉妬にかられて私や槙島さんを刺したりとか。  そういう展開があってもおかしくないんですよね』 『おいおい』 おいおい、である。そういやそんなエロゲあったな。 『でも、皆、多少の不満はあっても、許容範囲内みたいなんですよ。  それがなんでか、分かります?』 『……いや』 『先輩が、素敵だからです』 ズッコケた。階下の人、すんません。 『お前、はぐらかそうとしてねーか?』 『失礼ですね。真面目トークではそんな事しません。それくらいの空気は読めますよ、あたし』 ……そうかなあ。コイツ全然空気読めないヤツだと思うんだけど。 『女の子って愛されれば自尊心が満たされて、満足するんです。  ある人は10。またある人は15って感じで人それぞれ違うんですけどね。  でも先輩はあたしたちが満足できる程度に愛してくれているんです。  だから不満が出ないんですよ』 『そんなに何かしてるつもりは全くないんだが』 『そこが先輩のすごいところなんです!』 ビシッと瀬菜は指差して言った。 タオルを巻いただけの胸がほよんと揺れて目に悪い。 498 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:03:18.57 ID:zZuVFrAs0 『普通の人なら1人を大事にするので精一杯です。  だから浮気や不倫をすると、どっちかが不足してしまいます。  経済的な意味だったり、単純に時間的、情緒的な意味だったりしますけど』 今度は腰に手を当てて胸を張る。 だから、お前はそこを強調しちゃダメだっての。 『まぁ先輩の場合、ライバルがあんまりにも多すぎているから  女の子たちが多くを求めすぎていない事も1つの要因である事は確かでしょう』 『ちょっとした事で満足してるってのか?』 それ全然誉められてないよなあ。 『でも、皆、幸せそうにしています』 『む』 『むしろ、これ以外の方法じゃ、誰も幸せになれないんです』 そこまで言うか? 幸せのかたちなんて千差万別だろう。 『だから先輩。皆、先輩と幸せになりたいんですから、  ちゃんと皆を幸せにしてくれなきゃダメですよ』 『……お前の”ちゃんと”の精神はそこに帰結するのか……』 にへらっと瀬菜は笑って――以前はこういう笑い方しなかったんだけどな 499 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:04:17.51 ID:zZuVFrAs0 『見届けたいんです。皆揃って、幸せになるのを』 『……へっ、そんなに期待しても、できる事しかやれねーぞ』 どうやら逃げ場はないらしかった。 『そうですね。じゃあできる事ヤリましょうか』 『カタカナで言うな』 『でも、先輩のソコ、また元気になってますよ?』 『……ッ!』 気づかれてた! そりゃまぁこっちもタオル巻いてるだけだからな! 隠し様がないよな! 『先輩、さっきずっとあたしの胸見てたでしょう? お見通しですよ?』 ……女の子ってなんでこう男の視線に敏感なんだろね。 『他の男に見られてもいい気はしませんけど』 そう言って瀬菜は俺の前にしゃがみ込んで、タオルをふわりと解いた。 艶かしい肌が露になる。それにしても本当に大きいな、コイツの胸。 『先輩になら、嬉しいです』 ああもうこの野郎。そんな事言うからまた愚息が反応しちまっただろうが――。 500 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:04:58.74 ID:zZuVFrAs0 そんな訳で。どんな訳だ。 この2年。毎日ではないが、それでもかなりの頻度で俺は女の子を抱いていた。 始めはそれぞれお互いに初心者みたいなもんだったし、拙い愛撫、単調なピストンだけ って感じだったが、だんだん相手の気持ちいいところが分かるようになったり ネットなんかを通じて軽く勉強したりしてちょっとずつ上達した、んじゃないだろうか。 黒猫たちは今年に入ってセンターや本試験など、まさに大学受験のクライマックスを 迎えるため、お泊りどころかウチに来るのを禁止させた。 さすがに試験前にヤリ過ぎて勉強できなかった、なんて事になったら親御さんに顔向けできないからな。 そういう訳で大体3ヶ月はご無沙汰だった訳だ。 うーん。それぐらいで劇的に上達するとは思わないんだが。 7人のうち3人(黒猫、沙織、瀬菜だ)は受験生だったから実質半減だしな。 それでも、黒猫は満足してくれたらしい。その事は純粋に嬉しかった。 「もう、大丈夫。ごめんなさい」501 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:05:41.37 ID:zZuVFrAs0 「うっ」 「あら、情けない。まだ始まってもいないわよ」 コイツは責めても可愛い反応するけど、気性的にはSなのだ。 つまり、やられたらやり返さないと気がすまない。 黒猫の痴態を見ただけで溢れていたカウパーを巧みに手のひら全体に伸ばし シュッシュッと両手で上下に擦り始める。 さらに顔を俺の胸に近づけて、乳首のあたりを舐め始めた。 「ぐっ、る、瑠璃……それやべえ」 「まだ、れろ、出してはだめよ……んむっ、もっと、ぴちゃ、楽しませてちょうだい」 これでブランクが3ヶ月とか。コイツこそ上達してんじゃねえのか? 容赦なく続く責めに、それ以上耐えられそうにない。 「やば、出る……」 「ッ!」 ビクンと一際大きく揺れる肉棒を感じ、黒猫は素早く顔を股間へとうずめ、 どぐっ、どぐどぐっ。 「う、あ……」 俺は黒猫の小さな口の中に、欲望を吐き出した。 503 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:06:24.22 ID:zZuVFrAs0 「る、瑠璃……」 黒猫は答えない。どうやら予想以上に出たので困っているらしい。 それでも、外に吐き出す気はないようで、こくんこくんと喉を鳴らして ゆっくり俺の精を飲み下していった。 「……ふぅ。ご馳走様」 「……お粗末様」 「ふふっ、久しぶりに堪能したわ」 嬉しそうに、黒猫はそう言って、未だに鎮まる事を知らない俺の股間に目を向けた。 「次は、こっちね」 「……ああ」 黒猫が上に跨り、間近で見なくても分かるぐらいに濡れそぼった割れ目を俺の棒に宛がう。 「いくわよ……んっ」 じゅぶりと音を立てて俺のモノを受け入れた黒猫のそこは熱くてキュウキュウと締め付けてきた。 「あぁっ……す、すごい……」 「やっべ……瑠璃の中……気持ち良すぎる」 「バカね、当たり前、でしょう?」 なんとか平静を装っている黒猫だが、バレバレだ。 でもそんな強がっている様子が愛しくてつい悪戯心が湧いてしまう。 ぴくり。筋肉で肉棒を動かし、黒猫のイイ部分を軽く刺激してやると、 黒猫の身体がびくりと反応した。 504 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:07:05.85 ID:zZuVFrAs0 「なっ」 「相変わらずそこが弱いんだな、瑠璃」 「お、おやめ、なさ……やめ……だめ……そこ、だめ、なの……ひゃん!」 やっぱり可愛い。クソ、可愛すぎる。 こうなるともうガマンできない。 ベッドのスプリングを生かし、反動をつけて、下から黒猫を突き上げた。 「ひゃ、ぅっ……ら、あっ、あぁぁっ! わた、わたし、が……うごく、のにぃっ!」 「もうたまんねーよ。こんなっ、可愛いとこ、見せられちゃ!」 黒猫が身をよじって逃れようとするが、許さない。 腰を両手で抑え、わざと音を立てるように肉孔をかき回していく。 「ひゃ、らめ、も、い、ちゃ……わ……」 突如、膣圧が急激高まり、黒猫の絶頂が近い事を知る。 「くっ、お、やべっ」 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 黒猫が長く美しい髪を振り乱して絶頂に達すると、 俺も搾り取られるように2度目の射精に至った。 ぱたりと、黒猫が俺の胸にもたれかかるようにして倒れてきた。 505 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:07:47.15 ID:zZuVFrAs0 「瑠璃……、大丈夫か?」 そう聞く俺の呼吸も荒い。 「ええ……だい、じょうぶ……」 それ以上に黒猫の吐息も荒くなっていた。 「ちょっと、休憩すっか?」 「……それも良い提案ね。でも、まだまだ搾り取るから覚悟なさい」 「はは……お手柔らかに頼むよ、瑠璃」 月明かりが差す部屋に、卑猥な音が反響する。 肉と肉、骨と骨がぶつかり合う音。 混ざり合った体液を貪りあう音だ。 「あァ、んぅっ! ひぅっ! ぁぁっ!」 ベッドに黒猫の手をつかせ、後ろから獣みたいに交わる俺たち。 いや、これはもう獣そのものかもしれない。 黒猫との3ヶ月ぶりのセックスは、それくらい激しいものになっていた。 「ぐっ、で、射精そうだっ、瑠璃っ!」 「いい、わっ! だして、だして、なか、にっ! んんっ!」 強烈な一突きを黒猫の秘肉に打ち込み、一番奥、子宮に肉棒の先端を押し付けて 今日4度目の射精の勢いは弱まる事を知らなかった。 黒猫も、最後にイったらしい。膣は俺を離そうとはしなかった。 506 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:08:29.49 ID:zZuVFrAs0 折り重なるように黒猫の背中の上から被さって、キスをした。 黒猫もそれに応じて顔をこちらに向けてくれる。 「ん、ちゅ……んん……」 「んっ……ふう……どうだった?」 「どうって……決まってるわ」 ぷいっとそっぽを向いた黒猫は決してこっちを見ない。 けれど、耳まで真っ赤なのはこの角度でもよくわかる。 「すごく、素敵だった」 言わせたのは俺だけど、こんなに嬉しい言葉はないし、こんなに照れる言葉もない。 「瑠璃も、すげえ可愛かったよ」 「ッ……バカ……」 さすがに4回も出すと結構疲れる。……最初は2回でもヘロヘロだったんだけどな。 ま、黒猫も満足してくれただろ。多分。 なんてそんな事を考えていた時の事だった。 ギシッ。 「焦るなよ。時間はいくらでもあるだろ」 「いえ、そんな事ないわ。足りないくらいよ」 埋め合わせしてもらうって言ったでしょう、と。 ぐいっ、と黒猫は思い切り俺に体重を預け、ベッドに俺を押し倒した。 「瑠璃?」 「今度は、私の番」 黒猫の手が俺の肉棒に絡みつくとぞくりと一気に快感がこみ上げた。 517 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:58:56.04 ID:zZuVFrAs0 ………………えっ? 今、明らかに寝室の外、つまり居間から物音しなかった? まさか、不審者? 動揺しかけた俺を、しかし、黒猫の声がぴしゃりと抑えた。 「……見逃してあげようと思ったけれど、自分からシッポ踏ませてどうするの」 『……』 「観念して出てきなさい、沙織』 「さっ、沙織ぃ!?」 慌てて寝室のドアを開けるとそこには、本当に、沙織が腰をおろしていた。 それも、ただ床に座り込んでいた訳じゃない。 スカートをたくしあげ、ショーツはぐしょぐしょに濡れていたのだ。 しかも手元には俺のジャケットがあった。つまり、沙織は――。 横になっていた黒猫がようやくむくりと起き上がり、シーツを巻いて立ち上がる。 「自分を慰めるだけで気が済むなら、見逃すつもりだったけれど。  こうなっては仕方がないわね」 「も、申し訳……」 沙織は傍目にも可哀想なくらい震えていて、今にも泣きそうだった。 「お、おい。る……黒猫。あんまり沙織を……」 「人聞きが悪いわね。苛めているつもりはないわよ」 「うう……」 黒猫は目を眇めて沙織を見ると、ニヤリと笑った。 あ、なんか嫌な予感。 519 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 21:59:47.80 ID:zZuVFrAs0 「沙織。取引といかない?」 「取引……ですか?」 「ええ」 沙織のやつ、眼鏡してるのに普段の口調に戻ってない。 キャラを被る余裕がなくなっているって事か。 いやまぁ、そりゃこの状況で平静でいられる女の子とかちょっと引くけどね。 「3Pをします」 「「……は?」」 図らずもハモってしまった。え、何言ってんの、黒猫さん? ううん、と首をひねって思案するような仕草。 「違うわね。こうじゃないわ。3Pをして……頂けませんか?」 な、なにを…… 「3Pをしたら……どうなんですか……?」 さっきから何を口走っているんだよ、黒猫おまえっ! 「3Pをしましょう。沙織」 しかも俺じゃないっ!? 「さ、さささんぴー……?」 「ええ、そうよ。私と貴方と、京介の3人でプレイ。略して3P」 520 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 22:01:00.19 ID:zZuVFrAs0 3Pて。お前は何を言っているのか分かっているのか? いや、知識はあるよ? そりゃね、そういうものは見聞きしましたよ。 主にゲームとかDVDとかでな。 けど、黒猫。お前は分かっているはずだろう? 女の子は基本的に独占したいんだ。独占して、満たされる。 けど3Pってそれとは真逆の行為じゃねえのか? それで黒猫も沙織も満たされるのか? 俺には―― 「京介」 「……?」 「私も本音を言えば、不満がない訳ではないわ」 「黒猫」 「……」 チラリと沙織を見て、黒猫は続けた。 「今日は私の日なのに、出歯亀した上、乱入なんてね」 「ご、ごめんなさい……」 「けど、分からなくはない」 沙織の元に歩み寄って、しゃがみ込んだ。 521 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 22:06:21.31 ID:zZuVFrAs0 「貴女も、私と同じで、ずっとお預けされていたんですものね」 「……」 「……溜まっていたんじゃなくて?」 カッと沙織の顔が紅くなる。 「ふふ。久しぶりに京介に会って、腕に抱きついて、彼の匂いを嗅いで、  優しくされて、でも、彼は他の女とこれから一夜を共にする、なんてね。  耐えなさいって言う方が酷と言うものよね。」 沙織は耳まで真っ赤にしながら、黙って聞いている。 「だけど、今日はやっぱりまだ私の日。あと2時間はね。  でも、一刻も我慢できないお嬢様のために、ちょっとだけ分けてあげるわ。  その代わり、明日は私も混ぜなさい」 「っ!」 黒猫は優しい目をしたまま、沙織の耳元に口を近づけて、ぽそりと呟いた。 「さぁ、早く京介に貫かれたいでしょう?」 その声は静かで穏やかだったはずなのに、 やけに静まった部屋の中でハッキリ聞こえてしまった。 そして沙織は眼鏡を外して俺を見上げた。 「京介さん……私にも、ください……!」 真っ赤な顔、潤んだ瞳。 疲れていた体が上下共に一気に活力と精力を取り戻して漲る。 523 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 22:09:25.77 ID:zZuVFrAs0 結局その日。日付が変わっても快感の饗宴が終わる事はなかったのだった。 524 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 22:10:20.94 ID:zZuVFrAs0 翌日。 講義やオリエンテーションは変わらずあるよ? しかしそこは、『そういう用途のための家』である。 女性陣たちはそれぞれ、お泊りセットと着替えの1つ2つが完備されている。 歯ブラシの数だけ見たらどんな大家族かと思うよな。8本て。 干からびそうな身体に鞭打って起こすと、既に黒猫も沙織も起きていたらしい。 「おはようございます、京介さん」 「おはよう、先輩」 なんだろうね。2人ともすっごいツヤツヤしてんすけど。女ってすごい。 「朝ごはんはもうすぐ出来ますから。顔でも洗って待っててください」 「あ、ああ、あんがと、沙織……」 525 : 以下、名無しにか - 2010/11/15(月) 22:11:45.07 ID:zZuVFrAs0 ふらふらしながら洗面所に向かう。ああ、太陽が黄色い。 顔を洗って少しさっぱりしたけど、だからって疲れは抜けない。 ……何回出したか分からんくらい出した、っつーか絞られたもんなあ。 そりゃおにーさんもヘトヘトですよ。 けどよ。 「京介さん、ご飯できましたよ~」 「早くいらっしゃいな、京介先輩」 こうやって、幸せそうな顔見てると、頑張らなきゃなって思い直す訳だよ。 ゲンキンなヤツだって? 我ながらそう思うぜ。 この生活は、いつまでも続く訳じゃないだろう。 いつか必ず変化は訪れる。ずっと今のままではいられない。 そんな事は良く分かってる。 だからこそ、今は。目の前の笑顔を大事にしていこう。 「はい、しっかり食べて体力つけてくださいね、『兄さん』」 「そうですね、今夜も頑張って頂かなくてはいけませんものね、『お兄様』」 カーッと顔が紅く、熱くなる。 だって仕方ないだろ? 俺の妹たちは、こんなに可愛い。 終わり

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