95 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:26:05.06 ID:PfhQkCIo [5/11] 京介「人生相談があります」 あやせ「え?……お兄さんが私にですか?」 京介「おう。それがさ……」 あやせ「えええええええええええええええ!?こ、告白されたあああ!?お兄さんがですか!?」 あやせ…いくらなんでも驚きすぎじゃねえ? そんなにモテないように見えるかな俺。 いや、確かにモテるわけじゃないけどさ。 あやせ「だ、誰にですか!!」 京介「俺の学校の後輩だ」 あやせ「そ、そんな………お兄さんに限っては絶対そんなことはおきないと思って安心してたのに……」 異様に狼狽しふらつくあやせ。 いくらなんでもショック受けすぎだろ。そのリアクションが俺にはショックだよ。 京介「続けていいか?」 あやせ「だ、だって……お兄さんは私にプロポーズまで……」 京介「おーい、あやせさん?」 あやせ「はっ!?な、何ですか?」 京介「続けていいかな?」 あやせ「あ…そ、そうですね。それで?告白されてそれからどうしたんです?まさかOKしちゃったりしてませんよね?」 京介「…なんでOKしたら駄目みたいな言い草なんだよ」 97 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:27:17.66 ID:PfhQkCIo [6/11] まさか、あやせも俺のこと… いや、ないな。それだけは、ない。 もしそうならあやせのこれまでの行動に説明がつかないからだ。 好きな人に手錠かける女の子なんていねえよ…多分だけど。 あやせ「ひゃぇ!?だ、誰もそんなこと言ってません!」 京介「…まぁいいや。でさ、告白されたのはいいんだけど受けるかどうかで悩んでるんだよ」 あやせ「えっ?」 京介「俺、今まで誰かと付き合うなんてことなかったからさ。なんていうか…どうしたらいいかわかんなくなって……」 あやせ「…お兄さんが付き合いたいと思うんなら、勝手に付き合えばいいじゃないですか」 ムスとした表情でこちらを睨みつけてくるあやせ。 京介「そ、そんなに怒るなよ。確かにあやせにとっちゃ下らない相談だろうけどさ」 あやせ「そういうことで怒ってるんじゃありません」 京介「と、とにかく、俺のまわりでこういうこと相談できそうなのあやせだけなんだよ。頼む!」 あやせ「…………仕方ないですね。でも一つだけ条件があります」 京介「ほ、ほんとか!?俺にできることならなんでもするよ」 あやせ「交渉成立ですね。…で?具体的に何がわからないんですか?」 京介「ちょ、ちょっと待ってくれ。その条件ってのは何なんだ?」 あやせ「それは今はいいんです。全部終わったらお話しますから」 京介「……スコップ買っといた方がいいすか?」 あやせ「何を言ってるんですか。失礼なこと考えてるのがバレバレですよ」 京介「冗談だよ。で、相談の続きなんだけど…」 98 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:29:33.00 ID:PfhQkCIo [7/11] 一通りの説明を終え、今俺達はベンチに腰かけている。 あやせ「つまり、今の仲良しグループの関係が崩れるのが怖いと?」 京介「ああ。もちろんあいつのことは嫌いじゃないし、俺もあいつに対して少なからず好意を持ってることも認める。でも俺は……」 俺が黒猫と付き合うことで、今の4人の関係がどうにかなってしまうのが恐ろしいんだ。 以前、桐乃に彼氏ができたできてないの話だけであれだけ大事になって、一時はサークル崩壊の危機まで迎えてしまった。 今度は同じサークル内の人間同士。一体どういうことになるのか見当もつかない。 沙織が勇気を振り絞って作り上げた今の関係を、俺の判断で狂わせることになったらいくら謝っても謝り足りない。 『サークルクラッシャー男』なんて不名誉な二つ名を頂くことになるのも避けたいしな。 口に出して説明することで直面している問題を再認識しふさぎこんでいるとあやせが声をかけてくる。 あやせ「じゃ、じゃあ……その……わ、わた」 あやせの方を見上げてみると顔はうっすらと赤みをおびており、視線も泳いでいる。 声も少し上ずっていて、動揺しているのは明らかだった。 あやせ「わ、わた…私と……つ、付き合えばいいんじゃないですか?」 京介「えっ?」 あやせ「そのサークルとやらの仲間内で付き合うことが問題なら、サークルに関係ない私と付き合えばいいんです」 京介「えっ?えっ?」 あまりの事態に脳がついていかない。 俺は黒猫と付き合うかどうかという問題を相談していたはずなのに、なんであやせと付き合うかどうかという問題が追加されてるの? 京介「あ、あやせ?おまえ…自分で何言ってるのか…」 あやせ「わかってます!」 京介「じゃ、じゃあ!…グェ」 そこまで言いかけたところであやせに胸倉をつかまれる。 あやせ「私とつきあえばその人もお兄さんのことを諦めるでしょう!それともなんですか!?私よりもその人のことの方が好きだと!?そう言うんですか、お兄さんは!?」 京介「お、お、お、落ち着けあやせ!?」 あやせ「私は落ち着いてます!!」 いやいや!絶対落ち着いてないですよね!? 落ち着いて男の胸倉つかみあげたあげく前後に揺さぶりながら詰問してくる女子中学生がどこにいるんだよ!? 99 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:30:52.65 ID:PfhQkCIo [8/11] 京介「ちょ、ちょっと待って……あ、頭がクラクラする……」 あまりに脳を揺さぶられたもんだから頭がぼうっとする。 あやせ「あ…ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」 申し訳なさそうに俺の安否を気遣ってくれるあやせ。 しかし、俺の胸倉をつかみあげている両手は未だにしっかりと握られており、あやせが完全に平静を取り戻していないことをうかがわせる。 京介「あ、あぁ…だいじょう……ぶっ!?」 結論から言ってしまうと、今のこの状況を黒猫に見られた。 黒猫は公園の入り口に立ちすくんでいて、こちらをまっすぐに見つめている。 はたから見ればあやせが俺の胸に体を預けており、正に今からキスでもしようか、というような体勢に見えたことだろう。 京介「く、黒猫!?違うんだこれは…」 まるで浮気した男の台詞そのものじゃないか、と自分でも思ってしまう。 あやせ「…あの人が例の人ですか?」 京介「そう!だ、だからちょっと離して!?このままじゃ色々とまずい!」 そうしている間に黒猫はゆっくりとこちらに歩いてくる。 あれ?なんか黒猫の背後にどす黒いオーラが見えるんだけど。あれが例の闇の力ってやつですか? 黒猫「先輩?一体何をしているの?」 京介「ち、違うんだ!これはあやせに人生相談していただけで…」 あやせ「そうですよ?お兄さんが悩んでいたので、私と付き合ったらどうですか?って言ってあげたところだったんです」 あやせ!?間違ってないけど間違ってる!! それは今言うべきところじゃない!! 100 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:31:46.67 ID:PfhQkCIo [9/11] 黒猫「へ、へぇ…」 見ろ!黒猫も顔をひきつらせちゃってるじゃないか!! 京介「黒猫!話を聞いてくれ!これは俺がまた仲間内でギクシャクするのが嫌で相談してただけで…」 あやせ「じゃあ私へのプロポーズは嘘だったんですか?」 あやせお願い!今は静かにしてて!! 黒猫「プ、プロ!?……先輩は私よりこんな小娘がいいというの?私には返事を保留しておいて、この子にはプロポーズ?」 京介「そうじゃなくて!」 あやせ「そうです!そ、それに私は…こっ、こんなことだってできるんですから!!」 チュッ え? 黒猫「!!」 え?俺、今何された? なんだか唇に柔らかい感触が…… あやせ「ふふふ、ここは素直に諦めて名実ともに俗に言う『俺の嫁』状態である私に譲ったらどうですか?」 俺の嫁って…あやせどこでそんな言葉知ったの? 桐乃か?桐乃の影響なのか? 101 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:34:17.83 ID:PfhQkCIo [10/11] 黒猫「ふっ、あなたがどこのだれだか知らないけれど、その程度のことなら私はとっくに済ませてあるわ」 嘲笑するような目であやせを見下ろす黒猫。 そう、俺はかつて『呪い』と称して口づけをしてもらったことがある。 さすがに唇にではなかったけどね。 あやせ「へ、へぇ?そうなんですか?ま、まぁだからといってプロポーズまでされている私の優位性は崩れませんけどね!」 なんであやせが黒猫に張り合ってるんだよ。 ……俺は一体何に突っ込んでるんだ。 違うだろ。ここまでくればさすがに俺でもわかる。 あやせが俺のことを好いてくれていたってことくらいな。 さっきの揺さぶりとあやせからの『不意打ち』のせいで脳が上手く働いてないみたいだ。 黒猫「先輩?こんな雌はほっておいて、早く呪いの儀式の続きをしましょう?」 あやせ「お兄さん?こんな怪しい子はほっておいて、早く人生相談の続きをしましょう?」 俺の双眸には今二人の美少女が映っている。 しかし、瞳を通して俺の脳内に映し出された映像には全く違ったものが見えていて… 京介「……やべぇ、死亡フラグしか見えない」 おわり