俺の妹が酒乱でエロゲなわけがない

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俺の妹が酒乱でエロゲなわけがない - (2011/12/20 (火) 20:10:15) のソース

35 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:26:52.80 ID:yK69CPG+0


        俺の妹が酒乱でエロゲなわけがない 


桐乃が寝ている。 
まぁ、それは良いんだ、うん。寝てるだけならな。 
だけど、だけど……場所は考えようぜ、桐乃よ。 

時は夕方四時、俺は赤城と遊んで帰ってきた。本当はもっと遊ぶ予定だったのだが、赤城の奴に電話がかかってきて出たと思ったらいきなり
「瀬菜ちゃんにおつかいを頼まれたぜ!ひぃぃやっふうぅぅぅ」と言って走り去っていってしまったのだ。
まぁ俺が呼び止めたとしても無駄なのは目に見えて明らかだったのでしょうがなく予定を繰り上げて帰宅した。    
そして、帰宅してリビングでお茶を飲み、ホッと一息つくと自分の部屋に向かう。
家の中が静かだから、桐乃はどっか行ったのか…とボンヤリの考えながら扉を開く。 
徐々に見えてくる見慣れた部屋の中。趣味も殆ど無いと言っていいため、部屋の中は何も無いに等しい。 
だから、本来そこに無い物、異物があったら一発で気付く筈だ。そう、気付く筈なんだ。 
……だけど、俺は残念なことに何故か気付かなかった、いや、気付けなかった。だから俺は何も疑問も持たずにベッドに腰掛けたのだ。 

ギシ…。フニ…………。……フニ? 

桐乃のベッドじゃ絶対に鳴らなさそうな安いベッド特有の軋んだ音が鳴る。 
そして何時もの布団の感覚を予想していた手が何か柔らかい物に触れる。 

何だ? この感覚は。 
疑問に思い、隣に視線を送る。 


「……………」 


俺はゆっくりと立ち上がる。そして泣きそうな顔で笑う。 
心境? 分かりたいならこんな場面を想像してみろ、自分が妹が寝てる間に布団に潜り込み胸を揉みしだくところを。 

そう、もう分かったと思うが、俺は桐乃の胸を鷲掴みにして揉んでしまった。 
……桐乃が何故か俺のベッドで寝ているために。 


何がどうなってか知らないが桐乃は俺の部屋で、俺のベッドで寝ていた。 
気持ち良さそうに、スヤスヤと。 
思わず桐乃から貸してもらった、いや、違うな、押し付けられたエロゲの中のワンシーンを思い出す。
それは妹がお兄ちゃんの枕に顔を埋めてモフモフやっているシーンだ。 

「バ、バカな」 

俺は頭の中に沸いてきた一つの可能性を力の限り否定する。 
だけど、否定すればするほどもう一つの疑問が頭に浮かび上がってきてしまう。 

それは、何故桐乃がここで寝ているのか、だ。 
だってそうだろう? なんで桐乃が俺の部屋に入る必要がある? ましてや俺の部屋のベッドで寝ないといけない理由なんて無いだろう? 

じゃぁやっぱり俺の枕で………。 

もう一度浮かんでくるエロゲのワンシーン。 
俺は背筋を震わせると何とかしてこの考えを振り払おうと否定材料を頭の中で探し回る。 
だが中々見つからず思わず後ろによろめいた。 
嘘だろ? あの桐乃が俺の枕で……? 

今度はエロゲのワンシーンでは無く、桐乃が『オナピーーーーーーー』しているところが思い浮かんでしまう。 

一歩一歩後ろに下がっていく。 
静かに、逃げるように俺は少しずつ桐乃から遠ざかっていく。 
だけどそう上手くは行かなかった、途中、踵になにかがぶつかってしまったのだ。 

――――――カランッ 

軽い音が静かな部屋に響いた。一体何が!? と慌てて振り返るとそこには『お酒』の空き缶が転がっていた。 
「……………」 
思わず口をアングリと開けてしまう。 

そうか、そうかそうか、そう言う事か。 
俺はこめかみを押さえながらベッドに寝ている桐乃に視線を向けた。 

この野郎、親父とかにばれない様に俺の部屋で酒飲んでやがったな? 

基本、親父は俺達が居ない時に俺達の部屋は開けない。まぁ桐乃の18禁のゲームとか同人誌とかそういうとんでもない事が原因なら開けるけどな。 
だから桐乃は俺が居ないから俺の部屋で飲んだくれていたってわけだ、親父は入ってこないし物も少なくて広い、とくりゃそりゃぁ文句無ぇだろうよ。 

俺はヒクヒクとひくつく頬を抑えもせずに桐乃に近づいていく。気のせいだろうか? 桐乃の顔に若干汗が出ていると思うのは。 
ベッドのすぐ傍まで着くと桐乃の被っている掛け布団を思い切り剥がし取った。 

「……?」 

何か一瞬桐乃の手が動いた気がする。 
というかこいつは寝るときに手を背中に回すのだろうか? 
俺は不自然な桐乃の寝姿に疑問を覚えながらも起こそうと手を桐乃の方へと近づけていった。 






        ・・・・ 






桐乃視点。 

何かが倒れたような物音がなって、私は手放していた意識を突然取り戻した。 
ビクンッ、と体が跳ねる。 

お、お父さんじゃ無いよね? 

怖くなりながら薄目を開けると、現状を確認しようとした。 
そこにお父さんは居なく、兄貴がいただけなのでちょっとだけ安心する。 

まぁ兄貴だったらお父さんにチクッたりはしないだろう。 
そう思って、ホッと一息つく。 
別に寝ているふりをこのままする意味も無くなった。起きようとすると、何なんだろうか、兄貴が突然あたしの所に来て
布団を思い切り剥ぎ取ってきたではないか。 

ちょっとぉおお!? え? なに? もしかして強姦フラグ立っちゃった!!? 

な、な、な、なんとかしなくっちゃ!!! 
こんな所で処女を失っちゃうなんて冗談じゃない! ……い、いや、でも兄貴になら……ってこらあたし!? 何考えてんの!? 
と、とにかく起きよう! 

「………ッ!!」 

体に力を入れた瞬間、兄貴がいきなり間近に迫ってきた。 
勢い良くあたしの顔の横に置かれた手。 
互いの息遣いすら聞こえる、ちょっと動けば触れ合ってしまう様な、そんな距離。 

なな、な、な、ナニする気よぉおぉぉぉぉぉおおおおお!! 

ドクンッ、と大きく心臓が跳ねた。 
さっきまででも充分大きかったのに、心臓の音がまるで限界に挑戦しているかのようにもっと、もっとと大きくなっていった。 

血液が勢い良く体中を駆け回り、顔や体が熱くなっていくのが分かった。 

ちょ! マ、マジで? マジでする気なの!? 

「っぶねぇ、思いっきりこけるとこだった…。これで桐乃になんかぶつかったら一瞬でボコボコにされるとこだったぜ。 
おーい、桐乃ー、起きろー…っておい!!? なんじゃこりゃ!? なんでいきなり顔が真っ赤になってんだよ!?」 

こ、こけるとこだった? え? それだけ? あたしに何かするためとかじゃなくて、ただこけてあんな体勢になったって事? 

そこまで理解するとあたしはさらに顔を赤くした。自分のてんぱり具合への恥ずかしさと兄貴へのムカつきとで。 
兄貴は急にあたしの顔が真っ赤になって驚いたのか、あたしの肩をガッシと掴んできた。ここまで来たらあたしも覚悟を決める。
兄貴の顔が間近にあって恥ずかしくって赤面したなんて知られようものなら今のあたしは[ピーーー]る自信がある。 
だから意地でもこのまま寝た振りをし通しす! それしかあたしの尊厳を守る手段は無いのだ。
そして無事に済んだ暁には思いっきり兄貴をこきつかってやる。いや、こきつかうどころかもっとドギツイ事をしてやろうか。
逆さに吊るして鼻にコーラを流し込むとか。とにかくもう色々な罰ゲームをやらせてやる。 

そう意気込むと出来る限り体から力を抜いて寝た振りをする。 

「おーい、起きろっつってんだろ?」 

ペチペチとおでこを叩いてくる兄貴。 
拳骨でもくれてやろうか。 
それでもなんとか自分を制して寝た振りを続行するも、どうやら兄貴が調子に乗り出したらしい 

「……これってもしかしたら日頃の恨みを晴らすチャンスなんじゃね?」 

なんて呟き始めたではないか。 
うっわ、これやばくない?、マジで何されるか分かったものじゃないよ? 

「……この匂い…、お袋め、また今日もカレーと味噌汁だな? ったく、一体どこでどう道を踏み外したらあんなアホな組み合わせになるんだか。 
さらにこの時間から匂い始めるって事は今日は作り置きタイプだな?」 
そんなの今はどうでもいいのよぉおおおおおおおおお!!!! 

「はぁ、なんで親父はお袋に頭があがんねぇんだ? あんだけ強面なのに、そしてあんなに強いのになんでなのか甚だ疑問で仕方がないね」 

それが家の血筋なんじゃないの? そう言ってるあんただって充分優柔不断だからね? あたしの理不尽な命令もグチグチ文句言いながらも聞いてくれるし、なんだかんだ言って優しいし顔もよく見てみれば整っているし睫毛も以外に長いし足も結構長いし、…まぁ意外とモテてるみたいだし。
本人は気付いてないっぽいけどね。 


「はっきり言って親父は結構情けないな。俺だったら絶対にビシッと言って聞かせるね」 
はい無理。確実無理。兄貴だったら渋々ながらも食って苦笑い気味に笑って「美味しいよ」って言うね。三日連続カレーでも文句を言えないね。 
第一兄貴がそんなタイプならあたしがこんなに好きになるわけないじゃんねぇ? ………? ?? ??? !? 

ボフンッッ 

「おわぁっっ!!!!??? なんでまたいきなり真っ赤になってんだ!?」 
ななな、なんで兄貴が好きなんて結論になんのよあたし!? 無し、さっきのやっぱり絶対無し!! 

「ったく、びっくりさせやがってからに、こんなんじゃどっちが優位に立ってんだか分かりゃしねぇ。
ここはビシッと悪戯してこっちが優位に立っているって事を分からせねぇとな」 
一体誰に分からせるというのだろうか。 

「よ、よし、何をやってやろうか……うん、何をやって………」 
ゴクリ……… 

「次は何をやればいいんだぁ!? 全く思いつかん!!」 
……おい、なによそれ、なんでそんな結論になるのよ。こんな可愛い妹が目の前にいるのになんで思いつくことが頭ペチペチとかだけって逆に失礼でしょ? 

「……ていうか何で俺がこいつを起こさないといけねぇんだ? 段々面倒くさくなってきたな……」 
なんて言いながらあたしから離れて地面にしゃがみこみ始める兄貴。どうやらお酒の空瓶とかを片付け始めたらしい。 
この展開の方があたしのとしても良いんだろうけど、なんでだろうか? かなり気に食わない。 

「取り敢えずどっか隠しとくか。桐乃が起きたら自分で始末させたらいいしな」 
そう言ってベッドの下にガシャガシャと突っ込んでいく兄貴。 

コンコン、コンコン。 

「ほわぁぁぁ!!?」 
「……京介? どうしたの?そんなに慌ててベッドに潜って。ていうかベッド何時もより膨らんでない?」 
「べっ、べべべ、べつになにも? って、ていうかお袋! ノックしろっていつも言ってんだろ!?」 
「はいはい、分かったわよ」 
「分かってないからいつもノックしないんだろ!?」 
「それと、桐乃が帰って来たら二人でカレーと味噌汁温めて食べてね。お父さんとお母さんはちょっと用事があるから」 
「人の話をきけぇ!!」 
「じゃぁよろしくね。……それと、あんまりハッスルしちゃ駄目よ。ポッ」 

バタン… 

「何がポッだ……」 
 何がポッよ…… 

あたしの心の声と兄貴の声が見事にシンクロした瞬間だった。 

「ま、まぁとにかくピンチは脱したな。桐乃が俺のベッドで寝てるところなんて見られたら確実に家を追い出されてたからな」 
そうね、それはあたしにも簡単に想像できる。兄貴がお父さんに殴り飛ばされるところが。 

そんな事を想像したからだろうか? あたしが冷や汗をかいていると何をしようとしたのだろうか、兄貴が体をモゾモゾと動かした。 
ちょっ!? 兄貴、そんな所さわっちゃっ 
「んッ……ふぅ」 
「ぶぅぅっ」 

思わず変な声が口から漏れてしまった。兄貴も驚いたらしく盛大に咽ている。 

っていうか、今更だけど凄い格好なんじゃない? あたし達。 
同じベッドに入っているだけあって下半身の肌のかなりの面積が兄貴と重なり合っていた。
上半身は兄貴が腕を突っ張っているせいか別になんとも無いのだがそれでも問題は問題なのだ。 
さらに上半身が重なっていないと言ってもやはりベッドなので些細な動きも互いに伝わってしまう。
兄貴が腕を動かそうとしたらベッドはギシ…と悲鳴を上げるし、それがまた何故かエロく感じるし。 
とにかくこの状況は兄妹としての境界線上のギリギリを彷徨っていると言っていい状況なのだ。 
一歩間違えれば一気に境界線を越えて兄妹の壁も何もかもを飛び越えてしまうような状況なのだ。 
心なしか兄貴の呼吸が荒くなってきている気がする。兄貴の腕の分距離は離れている筈なのに息遣いが聞こえてくるのだ。 

ちょ……本当にやっちゃう気なの……? 兄妹なのに? それでいいの? 兄貴はそんな事をして幸せになれるの? 

あたしは変な気になってしまい、数々の不安への疑惑に囚われていく。 
ベッドが不意に大きく揺れた。それと同時にあたしの上にいた兄貴が遠ざかっていくの感じた。 

「そんな不安そうな顔するなよ……」 

ギシ…… 
もう一度ベッドが軋む。上にいた兄貴は横に移動して頬杖をついてあたしの頬をつついた。 

「なんで寝てるのにそんな不安そうな顔すんだよ……何かあったなら俺に言えよ、俺を頼れよ、俺に泣き付けよ、俺に……心配かけろよ」 

ふにふにとつつく兄貴の手が震え出した 

「待ってるから、きっとお前が相談してくれるって、思って待ってるから。だってそうだろ? 俺達兄妹なんだから困った時に頼らなかったらうそだよな」 
グスッ 

兄貴が鼻を啜るのが聞こえてきた。 
何勘違いしてんのよ……あたしが兄貴との関係の事で兄貴に相談したら、そんなの、駄目に決まってんじゃん。そんなの、辛いだけじゃん。 

あたしも鼻がつんとして泣きそうになってしまう。 

「待ってるからな」 

兄貴はそう耳元で呟くと、あたしに小さくキスをして素早く離れていった。 

それはあまりにも一瞬かつすんなりとやられたのであたしは反応が数秒間遅れた。言うなれば呆けていたのだ、頭がまるで機能していなく、
まるで時が止まったかのようになにも考えれなくなっていた。 
「カフッ」 

全身の空気が抜けた瞬間だった。 
駄目だ、これ、反則だ。反則……!! 

呆けていた反動なのだろうか、今度は一気に脳が、心臓が活性化していく。
ただし脳が活性化していると言っても正常な働きをしていかと聞かれればそれはしているとは答えられない。
言葉を発しようとしてもまるで受け付けないのだ。 

「カフッ…」 

あたしはもう一度体中の空気を吐き出すと、少しずつ気を失っていった、兄貴のキスがどんだけ効いてんだよ! と自分に自分がツッコみたい。 
そんな中、あたしが最後に見たのは兄貴だった。 

一瞬だったんであたしの記憶が絶対に正しいとは言いがたいのだが、あたしの記憶がただしければ、最後に見た兄貴は首から顔まで真っ赤に染まっていた、
…ように感じた。 
そんな兄貴の表情を見たせいか、あたしはちょっと笑って瞼を完全に閉じたのだった。 

もしかしたら、兄貴もあたしと同じ気持ちなんじゃないだろうか? という儚い希望を抱いて。 






そこは二人きりの部屋、そこで誰かが最後にこう呟いたそうだ。 

「ったく、何やってんだか……自制しろよな…俺」 

首から先を真っ赤に染めて。 



fin 
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